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幼稚園教育要領の総則

講義 4 本・確認問題 35 問 | 幼稚園教育要領 | 最終更新 2026-10-16

この章で学ぶこと
目次
  1. 幼稚園の目的・目標と幼稚園教育要領の位置づけ
  2. 幼稚園教育の基本(総則 第1)
  3. 育みたい資質・能力と「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」
  4. 教育課程の編成・小学校との接続・認定こども園
  5. 確認問題(35問)
  6. 演習ツール

1. 幼稚園の目的・目標と幼稚園教育要領の位置づけ

幼稚園は学校教育法が定める「学校」の一つです。法律が定める目的・目標と、幼稚園教育要領がどこから来たきまりかを確かめます。

幼稚園の先生を目指す試験では、まず「幼稚園とは法律上どんな学校か」と「幼稚園教育要領はどこから来たきまりか」が問われます。この講義では、学校教育法の幼稚園の規定(第22〜26条)と、幼稚園教育要領の位置づけ、そして要領の最初に置かれた「前文」を確かめます。法規の全体像は教職・一般教養ラボの教育の理念と教育基本法と学校の制度と学校教育法で学べます。

幼稚園は「学校」の一つ

学校教育法第1条は、「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。」と定めています。幼稚園は、この一覧のいちばん初めに挙げられた学校です。保育所は児童福祉法に基づく児童福祉施設なので、根拠になる法律が違います。ただし、幼稚園は義務教育ではありません。

学校教育法の第3章「幼稚園」は、第22条から第28条までです。

学校教育法の幼稚園の主な規定(2026年10月時点)
条内容
第22条(目的)幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。
第23条(目標)第22条の目的を実現するため、5つの目標(下の表)を達成するよう教育を行う。
第24条(家庭・地域への支援)保護者や地域住民などからの相談に応じ、情報の提供や助言を行うなど、家庭及び地域における幼児期の教育の支援に努める。
第25条(教育課程)教育課程その他の保育内容に関する事項は、第22条・第23条に従い、文部科学大臣が定める。
第26条(入園資格)入園できるのは、満3歳から、小学校就学の始期に達するまでの幼児。
第27条(職員)園長・教頭・教諭を置かなければならない(副園長を置くときなどは教頭を置かないことができる)。

第22条の目的は、試験で語句を空欄にして問われやすい条文です。「義務教育及びその後の教育の基礎を培う」「適当な環境を与えて」「心身の発達を助長する」の3つの語句を正確に覚えましょう。学校教育法は、幼稚園での営みを「保育」という言葉で表しています。

学校教育法第23条の5つの目標(要点)
号何を通じて何を養うか
1(生活全体)健康、安全で幸福な生活のために必要な基本的な習慣を養い、身体諸機能の調和的発達を図る
2集団生活喜んで参加する態度、家族や身近な人への信頼感、自主、自律及び協同の精神並びに規範意識の芽生え
3(身近な社会生活・生命・自然への関わり)それらへの興味、正しい理解と態度及び思考力の芽生え
4日常の会話や、絵本、童話等に親しむこと言葉の使い方を正しく導き、相手の話を理解しようとする態度
5音楽、身体による表現、造形等に親しむこと豊かな感性と表現力の芽生え

5つの目標は、幼稚園教育要領の5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)とおおまかに重ねて読むと覚えやすくなります(5領域はyc4・yc5で学びます)。

幼稚園教育要領はどこから来たか

学校教育法第25条を受けて、学校教育法施行規則(文部科学省令)が細かいことを定めています。第37条は「幼稚園の毎学年の教育週数は、特別の事情のある場合を除き、三十九週を下つてはならない」、第38条は、教育課程その他の保育内容については「教育課程その他の保育内容の基準として文部科学大臣が別に公示する幼稚園教育要領によるものとする」と定めます。つまり幼稚園教育要領は、法律と省令に基づいて文部科学大臣が告示する、教育課程の基準です。現行の要領は平成29年(2017年)3月31日に告示され、平成30年(2018年)4月1日から施行されました。

教育基本法(第1条・第2条・第11条) 学校教育法 第22〜25条 学校教育法施行規則 第38条 幼稚園教育要領(大臣告示) 各幼稚園の教育課程
法律から各園の教育課程までのつながり(上から下へ、根拠になる順)

要領は「前文」「第1章 総則」「第2章 ねらい及び内容」「第3章 教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項」でできています。総則は第1から第7までの7つの部分からなり、この章(yc3)では主に第1〜第3を扱います。

前文の要点

前文は、教育基本法第1条の教育の目的と第2条の目標を引用し、さらに第11条の「幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なもの」という考えを示します。そのうえで、これからの幼稚園には、学校教育の始まりとして、一人一人の幼児が将来「持続可能な社会の創り手」となることができるようにするための基礎を培うことが求められる、と述べます。

また前文は、よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会が共有し、社会との連携及び協働により実現を図る「社会に開かれた教育課程」が重要だとしています。そして、幼稚園教育要領は教育課程の基準を大綱的に(大まかな枠組みとして)定めるもので、その役割の一つは「公の性質を有する幼稚園における教育水準を全国的に確保すること」だと説明します。同時に、各幼稚園が特色を生かして創意工夫を重ねることも重要だとしています。

なお、2026年10月時点で、幼稚園教育要領を含む学習指導要領等の次の改訂が中央教育審議会で審議されています。試験は現行(平成29年告示)の要領で準備し、改訂の内容が決まったら確かめてください。

用語

学校教育法第1条
「学校」の範囲を定める条文。幼稚園はその最初に挙げられている。
保育(学校教育法の用語)
学校教育法が幼稚園での営みを表すのに使う言葉。第22条で「幼児を保育し」とある。
幼稚園教育要領
学校教育法施行規則第38条に基づき、文部科学大臣が教育課程その他の保育内容の基準として公示するもの。
告示
国の機関が決めたことを広く知らせる形式。要領は文部科学省告示として出される。
社会に開かれた教育課程
学校と社会が理念を共有し、社会との連携・協働で実現を図る教育課程。前文で示された。

例題

例題:2歳6か月の子どもは、学校教育法上、幼稚園に入園できるか。
答えと考え方 入園できません。第26条は、入園できる者を「満三歳から、小学校就学の始期に達するまでの幼児」としています。満3歳未満で保育を必要とする子どもも入園できるのは、幼保連携型認定こども園です(認定こども園法第11条。講義4で扱います)。

根拠:学校教育法(e-Gov)(第1条、第22〜27条)、学校教育法施行規則(e-Gov)(第36〜38条)、幼稚園教育要領(平成29年告示)(告示文・前文・目次)、文部科学省「平成29・30・31年改訂学習指導要領(本文、解説)」(いずれも2026-10-16確認)

2. 幼稚園教育の基本(総則 第1)

幼稚園教育は「環境を通して行う」ことを基本とします。重視する3つの事項と、教師の役割を要領の言葉で整理します。

総則の第1「幼稚園教育の基本」は、要領全体の土台になる部分です。ここには、幼稚園教育は何を基本とするか、教師は何に努めるか、どんな事項を重視するか、が短くまとめられています。試験では語句の空欄補充と、場面の中で「基本に沿った指導はどれか」を選ぶ問題の両方が出ます。

基本の一文

第1は次の文で始まります。「幼児期の教育は,生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり,幼稚園教育は,学校教育法に規定する目的及び目標を達成するため,幼児期の特性を踏まえ,環境を通して行うものであることを基本とする。」

前半の「生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なもの」は、教育基本法第11条(幼児期の教育)と同じ表現です。後半の「環境を通して行う」が、幼稚園教育の最も大切なキーワードです。ここでいう環境は、遊具・素材・園庭などの物だけでなく、教師や友達などの人、自然や季節、時間や空間も含む広い意味で使われています。教師が知識を一方的に教え込むのではなく、幼児が自分から関わりたくなる環境を整え、その中で幼児が自ら学ぶようにする、という考え方です。

教師が努めること(見方・考え方)

続く文は、教師は「幼児との信頼関係を十分に築き」、幼児が身近な環境に主体的に関わり、環境との関わり方や意味に気付き、これらを取り込もうとして、試行錯誤したり、考えたりするようになる「幼児期の教育における見方・考え方」を生かし、「幼児と共によりよい教育環境を創造するように努める」としています。教師が環境を一人でつくり上げるのではなく、幼児と共に創造する点に注意しましょう。

重視する3つの事項

第1「幼稚園教育の基本」で重視する事項
考慮すること(理由)そのためにすること
1幼児は安定した情緒の下で自己を十分に発揮することにより発達に必要な体験を得ていく幼児の主体的な活動を促し、幼児期にふさわしい生活が展開されるようにする
2幼児の自発的な活動としての遊びは、心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習である遊びを通しての指導を中心として第2章に示すねらいが総合的に達成されるようにする
3幼児の発達は心身の諸側面が相互に関連し合い、多様な経過をたどる。生活経験もそれぞれ異なる幼児一人一人の特性に応じ、発達の課題に即した指導を行う

1つ目は「生活」、2つ目は「遊び」、3つ目は「一人一人」がキーワードです。特に2つ目で、遊びが「学習」と位置づけられていることは重要です。遊びは勉強の合間の休み時間ではなく、幼児期の大切な学びそのものです。また、5領域のねらいは、領域ごとに別々の時間を設けて達成するのではなく、遊びを通して総合的に達成されるものとされています。小学校の教科の時間割とは考え方が違います。

計画的な環境の構成と教師の役割

第1の最後の段落は、教師の役割をまとめています。教師は、幼児の主体的な活動が確保されるよう「幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき,計画的に環境を構成しなければならない」。また、幼児と人やものとの関わりが重要であることを踏まえ「教材を工夫し,物的・空間的環境を構成しなければならない」。さらに、幼児一人一人の活動の場面に応じて「様々な役割を果たし,その活動を豊かにしなければならない」としています。

「環境を通して」は「幼児に任せきりにする」ことではありません。幼児が何に興味をもち、次に何をしそうかを予想して、物や場を計画的に用意し、活動が始まったら見守ったり、一緒に遊んだり、必要な援助をしたりします。教師が果たす役割の例(理解者、共同作業者など)は総則の第4に書かれており、yc6 指導計画・環境の構成・評価で詳しく学びます。

保育所保育指針との共通点

保育所保育指針も、保育所は「保育所における環境を通して、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている」と書いています。「環境を通して」は幼稚園と保育所に共通する考え方です。保育所の特徴は「養護(生命の保持及び情緒の安定)と教育の一体性」が明記されている点です(詳しくは保育士ラボ c1)。

用語

環境を通して行う教育
幼児が自ら関わりたくなる環境を計画的に整え、その環境との関わりを通して幼児が学ぶようにする、幼稚園教育の基本。
幼児期の教育における見方・考え方
幼児が身近な環境に主体的に関わり、関わり方や意味に気付き、取り込もうとして試行錯誤したり考えたりすること。
幼児期にふさわしい生活
幼児が安定した情緒の下で自己を十分に発揮し、主体的に活動できる生活。重視事項の1つ目。
遊びを通しての指導
幼児の自発的な活動である遊びを中心に、第2章のねらいを総合的に達成する指導。
発達の課題
その幼児が今の発達の姿から次へ進むうえで取り組んでいること。一人一人に即して捉える。

例題

例題:4歳児の学級で、何人かが空き箱で「お店」を作り始めた。要領の「幼稚園教育の基本」に沿った教師の関わりとして適切なのはどちらか。(ア)全員を集めて、決めた手順どおりにお店を作らせる。(イ)子どもの様子から次の展開を予想し、値札用の紙やペンを近くに置き、遊びに加わりながら必要に応じて手助けする。
答えと考え方 (イ)です。行動の理解と予想に基づいて計画的に環境を構成し、活動の場面に応じて様々な役割を果たす、という第1の考え方に合います。(ア)は、幼児の主体的な活動を促すという基本から外れます。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(前文、第1章第1・第4の3)、保育所保育指針(平成29年告示)(第1章1(1)イ、2(1))(いずれも2026-10-16確認)

3. 育みたい資質・能力と「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」

3つの資質・能力と10の姿は、平成29年の改訂で総則に加わりました。語句を正確に覚え、10の姿をどう使うかを理解します。

平成29年の改訂で、幼稚園教育要領の総則に新しく加わったのが、第2「幼稚園教育において育みたい資質・能力及び『幼児期の終わりまでに育ってほしい姿』」です。いわゆる「3つの資質・能力」と「10の姿」で、試験では語句の正確さが問われます。

育みたい資質・能力(3つ)

要領は、幼稚園では「生きる力の基礎を育むため」、第1の幼稚園教育の基本を踏まえ、次の資質・能力を「一体的に育むよう努める」としています。

幼稚園教育において育みたい資質・能力
資質・能力要領の説明
知識及び技能の基礎豊かな体験を通じて,感じたり,気付いたり,分かったり,できるようになったりする
思考力,判断力,表現力等の基礎気付いたことや,できるようになったことなどを使い,考えたり,試したり,工夫したり,表現したりする
学びに向かう力,人間性等心情,意欲,態度が育つ中で,よりよい生活を営もうとする

小学校以降の学習指導要領も、資質・能力を「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱で整理しています(kj5 学習指導要領と教育課程)。幼稚園では、前の2つに「の基礎」が付きます。3つ目の「学びに向かう力,人間性等」には「基礎」が付かないことに注意しましょう。

さらに要領は、これらの資質・能力は「第2章に示すねらい及び内容に基づく活動全体によって育むもの」だとしています。「知識及び技能の基礎はこの活動で」というように一つずつ切り離して育てるのではなく、遊びや生活の全体の中で一体的に育つ、という考え方です。

幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、第2章のねらい及び内容に基づく活動全体を通して資質・能力が育まれている幼児の「幼稚園修了時の具体的な姿」であり、「教師が指導を行う際に考慮するもの」とされています。項目名は次の10です。

幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(項目名と要領の文の手がかり)
項目名要領の文に出てくる手がかり
(1)健康な心と体充実感をもって自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ、見通しをもって行動し、自ら健康で安全な生活をつくり出す
(2)自立心しなければならないことを自覚し、自分の力で行うために考えたり工夫したりしながら、諦めずにやり遂げることで達成感を味わい、自信をもって行動する
(3)協同性友達と互いの思いや考えなどを共有し、共通の目的の実現に向けて、考えたり、工夫したり、協力したりし、充実感をもってやり遂げる
(4)道徳性・規範意識の芽生えしてよいことや悪いことが分かり、相手の立場に立って行動する。きまりを守る必要性が分かり、自分の気持ちを調整し、友達と折り合いを付けながら、きまりをつくったり守ったりする
(5)社会生活との関わり家族を大切にしようとする気持ち、地域の身近な人との触れ合い、遊びや生活に必要な情報を取り入れて活用する、公共の施設を大切に利用する
(6)思考力の芽生え物の性質や仕組みなどを感じ取り、考えたり、予想したり、工夫したりする。自分と異なる考えに気付き、新しい考えを生み出す喜びを味わう
(7)自然との関わり・生命尊重好奇心や探究心、自然への愛情や畏敬の念、生命の不思議さや尊さに気付き、命あるものとしていたわる
(8)数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚遊びや生活の中で親しむ体験を重ね、標識や文字の役割に気付き、自らの必要感に基づき活用する
(9)言葉による伝え合い絵本や物語などに親しみ、経験したことや考えたことを言葉で伝え、相手の話を注意して聞き、伝え合いを楽しむ
(10)豊かな感性と表現様々な素材の特徴や表現の仕方に気付き、感じたことや考えたことを自分で表現し、友達同士で表現する過程を楽しむ

覚えるときは、似た言葉に気を付けます。「協同性」は「協調性」ではありません。(4)は「道徳性」だけでなく「規範意識の芽生え」と続きます。(6)は「思考力」ではなく「思考力の芽生え」です。(8)の「数量や図形」は、文字を正しく書く力や計算の力ではなく、「関心・感覚」です。

10の姿をどう使うか

10の姿は、修了までに全員が達成しなければならない到達目標や、できる・できないを判定するチェックリストではありません。要領は、指導を行う際に「考慮するもの」としています。また総則の第4では、幼児理解に基づいた評価について、他の幼児との比較や一定の基準に対する達成度についての評定によって捉えるものではないことに留意する、としています。10の姿は、5歳児になって急に現れるものでもありません。3歳児からの毎日の遊びや生活の積み重ねの先に見えてくる姿です。

10の姿は要領の中で何度も使われます。第2章の前書きでは指導を行う際に考慮するもの、第3の1では教育課程を編成するときに踏まえるもの、第3の5では小学校の教師と共有するものとして登場します(講義4)。同じ3つの資質・能力と10の姿は、保育所保育指針の第1章にも「幼児教育を行う施設として共有すべき事項」として書かれています。

用語

生きる力の基礎
幼稚園で資質・能力を育む目的として要領が示す言葉。
一体的に育む
3つの資質・能力を別々にではなく、遊びや生活の活動全体の中でまとめて育てること。
幼児期の終わりまでに育ってほしい姿
資質・能力が育まれている幼児の幼稚園修了時の具体的な姿。10項目。教師が指導の際に考慮するもの。
協同性
友達と思いや考えを共有し、共通の目的の実現に向けて工夫・協力してやり遂げるようになる姿。
芽生え
まだ完成していない、育ち始めの段階を表す言葉。要領・学校教育法に何度も出てくる。

例題

例題:5歳児が、劇の発表に向けて、役や台詞を話し合いながら決め、意見がぶつかったときは折り合いを付けて最後まで準備をやり遂げた。10の姿のうち、特に関係が深いものを2つ挙げよ。
答えと考え方 「協同性」(共通の目的の実現に向けて考え、工夫し、協力してやり遂げる)と、「道徳性・規範意識の芽生え」(自分の気持ちを調整し、友達と折り合いを付ける)です。「言葉による伝え合い」や「豊かな感性と表現」も関わります。10の姿は一つの活動の中で重なり合って現れます。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第2、第3の1・5、第4の4、第2章前書き)、保育所保育指針(平成29年告示)(第1章4)(いずれも2026-10-16確認)

4. 教育課程の編成・小学校との接続・認定こども園

教育課程をどう編成するか、小学校とどうつなぐかを総則の第3で確かめ、幼保連携型認定こども園・保育所との関係を整理します。

総則の第3「教育課程の役割と編成等」は、各幼稚園が教育課程(幼稚園の教育の全体計画)をどう作るかを定めています。この講義では第3の要点と、小学校との接続、そして幼稚園と同じ幼児教育を行う認定こども園・保育所との関係を整理します。指導計画と評価(第4)はyc6、教育時間の終了後の教育活動(いわゆる預かり保育)と子育て支援(第7・第3章)はyc7で扱います。

教育課程の役割とカリキュラム・マネジメント

各幼稚園は、教育基本法・学校教育法その他の法令と要領に従い、創意工夫を生かし、幼児の心身の発達と幼稚園及び地域の実態に即応した適切な教育課程を編成します。そのうえで要領は、次の3つなどを通して、教育課程に基づき組織的かつ計画的に教育活動の質の向上を図ることを「カリキュラム・マネジメント」と呼んでいます。

(1)「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を踏まえ教育課程を編成すること、(2) 教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと、(3) 教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくこと。

また、教育課程の編成に当たっては、各幼稚園の教育目標を明確にし、編成の基本的な方針が家庭や地域とも共有されるよう努めます。前文の「社会に開かれた教育課程」とつながる考え方です。

編成の基本的事項(数字を含む)

教育課程の編成上の基本的事項(第3の3)
項目要領の規定
ねらいと内容の組織幼稚園生活の全体を通して第2章のねらいが総合的に達成されるよう、教育期間や幼児の生活経験、発達の過程などを考慮して具体的なねらいと内容を組織する。特に、自我が芽生え、他者の存在を意識し、自己を抑制しようとする気持ちが生まれる幼児期の発達の特性を踏まえ、入園から修了までの長期的な視野をもつ
教育週数毎学年、特別の事情のある場合を除き、39週を下ってはならない(学校教育法施行規則第37条も同じ)
1日の教育時間4時間を標準とする。ただし、幼児の心身の発達の程度や季節などに適切に配慮する

「39週以上」は下限、「4時間」は標準です。言い方の違い(「下ってはならない」と「標準とする」)も問われます。

編成上の留意事項(第3の4)としては、入園当初の安定していく時期から、学級全体で目的をもって協同して生活を展開する時期までの過程を考慮すること、3歳児の入園では家庭との連携を緊密にし、生活のリズムや安全面に十分配慮すること、満3歳児は学年の途中から入園することを考慮すること、教職員の協力体制の下で安全な幼稚園生活にすることが挙げられています。

小学校教育との接続

第3の5は2つのことを定めます。(1) 幼稚園教育が小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し、「幼児期にふさわしい生活を通して,創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培う」。(2) 小学校教育が円滑に行われるよう、「小学校の教師との意見交換や合同の研究の機会などを設け,『幼児期の終わりまでに育ってほしい姿』を共有するなど連携を図り」、円滑な接続を図るよう努める。

ここで大切なのは、接続とは小学校の教科の内容を幼稚園で先取りして教えることではない、という点です。(1)は「幼児期にふさわしい生活を通して」基礎を培う、と書いています。また第6の3は、幼稚園の幼児と小学校の児童との交流の機会を積極的に設けるようにする、としています。

全体的な計画

第3の6は、各幼稚園が、教育課程を中心に、教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動の計画、学校保健計画、学校安全計画などとを関連させ、一体的に教育活動が展開されるよう「全体的な計画」を作成する、としています。教育課程と全体的な計画は同じものではありません。教育課程は、全体的な計画の中心にあるものです。

認定こども園と3つの文書

認定こども園は、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(認定こども園法)に基づく施設で、幼保連携型・幼稚園型・保育所型・地方裁量型の4つの類型があります。幼稚園型・保育所型・地方裁量型は、既存の幼稚園や保育所等が都道府県知事など(指定都市・中核市にある施設はその市長)の認定を受けるものです(第3条)。幼保連携型認定こども園は、満3歳以上の子どもへの教育と、保育を必要とする子どもへの保育を一体的に行い、保護者への子育て支援も行う施設として法律で定義されています(第2条第7項)。入園できるのは満3歳以上の子どもと、満3歳未満の保育を必要とする子どもです(第11条)。設置できるのは国、地方公共団体、学校法人、社会福祉法人に限られ(第12条)、職員として園長と保育教諭を置きます(第14条)。その教育課程その他の教育及び保育の内容は主務大臣が定め(第10条)、これが「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」です。

幼児教育を行う3つの施設の基準(2026年10月時点)
施設法律上の性格内容の基準入る子ども
幼稚園学校(学校教育法第1条)幼稚園教育要領満3歳から就学の始期まで
保育所児童福祉施設(児童福祉法第39条)保育所保育指針(平成29年告示)保育を必要とする子ども
幼保連携型認定こども園認定こども園法に基づく施設幼保連携型認定こども園教育・保育要領満3歳以上と、満3歳未満の保育を必要とする子ども

学校教育法第25条第2項は、文部科学大臣が幼稚園の教育課程などを定めるとき、保育所や幼保連携型認定こども園の内容の基準との整合性の確保に配慮することを求めています。実際に、保育所保育指針は第1章に「幼児教育を行う施設として共有すべき事項」を置き、幼稚園教育要領と同じ3つの資質・能力と10の姿を示しています。小学校との連携についても、保育所保育指針は「小学校教師との意見交換や合同の研究の機会などを設け」と、ほぼ同じ書き方をしています。

用語

教育課程
幼稚園の教育目標を達成するために、教育の内容を組織した全体計画。各幼稚園が編成する。
カリキュラム・マネジメント
教育課程の編成・実施・評価・改善と体制の確保を通して、教育活動の質を組織的・計画的に高めること。
全体的な計画
教育課程を中心に、教育時間終了後等の教育活動の計画、学校保健計画、学校安全計画などを関連させた計画。
幼保連携型認定こども園
教育と保育を一体的に行い、子育て支援も行う施設。認定こども園法で定義。職員は保育教諭。
保育教諭
幼保連携型認定こども園で教育と保育を担う職員(認定こども園法第14条)。

例題

例題:ある幼稚園が「教育週数を38週、1日の教育時間を5時間」とする教育課程を考えた。要領に照らして見直すべき点は。
答えと考え方 教育週数は、特別の事情のある場合を除き39週を下ってはならないので、38週は見直しが必要です。1日の教育時間は4時間が「標準」で、幼児の発達の程度や季節などに配慮するとされています。5時間がただちに禁止されるわけではありませんが、標準より長い理由と、幼児の負担への配慮を説明できるようにする必要があります。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(前文、第1章第3・第6・第7)、学校教育法施行規則(e-Gov)(第37条)、学校教育法(e-Gov)(第1条、第25条、第26条)、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(認定こども園法、e-Gov)(第2条第7項、第3条、第10〜12条、第14条)、保育所保育指針(平成29年告示)(第1章1(1)ア、第1章4、第2章4(2))、こども家庭庁ほか「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン【事故発生時の対応】」(認定こども園の4類型の名称)(いずれも2026-10-16確認)

確認問題(35問)

四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。

問1|幼稚園の目的(第22条)

学校教育法第22条は、幼稚園を何の基礎を培うものと位置づけているか。

  1. 小学校の教科の学習に必要な読み書き計算の基礎
  2. 義務教育及びその後の教育の基礎
  3. 保育を必要とする子どもの家庭生活の基礎
  4. 職業及び生活との関連を重視する勤労の基礎
正解と解説
正解:B. 義務教育及びその後の教育の基礎

第22条は「幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し…」と定めます。正解は『義務教育及びその後の教育の基礎』です。『読み書き計算の基礎』とする選択肢は、教科の先取りを目的とするような書き方で、条文にありません。『保育を必要とする子どもの家庭生活の基礎』は、保育所の役割に近い表現で、幼稚園の目的ではありません。『勤労の基礎』は、教育基本法第2条の目標の一部の表現で、第22条の語句ではありません。

根拠:学校教育法(e-Gov)(第22条)

問2|第22条の語句

学校教育法第22条の空欄に入る語句はどれか。「幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な(  )を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。」

  1. 課題
  2. 教材
  3. 環境
  4. 指示
正解と解説
正解:C. 環境

条文は「適当な環境を与えて、その心身の発達を助長する」です。正解は『環境』です。これは幼稚園教育要領の「環境を通して行う」教育ともつながります。『課題』『教材』『指示』は、教師が一方的に与えるものを表す言葉で、条文の語句ではありません。教材の工夫は要領の第1にも出てきますが、第22条の空欄の語ではありません。

根拠:学校教育法(e-Gov)(第22条)

問3|第23条の目標(表現)

学校教育法第23条の目標のうち、「音楽、身体による表現、造形等に親しむことを通じて」養うとされているものはどれか。

  1. 身体諸機能の調和的発達
  2. 正しい理解と態度及び思考力の芽生え
  3. 豊かな感性と表現力の芽生え
  4. 自主、自律及び協同の精神
正解と解説
正解:C. 豊かな感性と表現力の芽生え

第23条第5号は「音楽、身体による表現、造形等に親しむことを通じて、豊かな感性と表現力の芽生えを養うこと」です。『身体諸機能の調和的発達』は第1号(健康・安全な生活のための基本的な習慣)の語句です。『正しい理解と態度及び思考力の芽生え』は、身近な社会生活・生命・自然についての第3号です。『自主、自律及び協同の精神』は、集団生活についての第2号です。

根拠:学校教育法(e-Gov)(第23条)

問4|第23条の目標(集団生活)

学校教育法第23条第2号は、集団生活を通じて、喜んでこれに参加する態度を養うとともに家族や身近な人への信頼感を深め、何を養うとしているか。

  1. 相手の話を理解しようとする態度
  2. 身近な社会生活、生命及び自然に対する興味
  3. 健康、安全で幸福な生活のための基本的な習慣
  4. 自主、自律及び協同の精神並びに規範意識の芽生え
正解と解説
正解:D. 自主、自律及び協同の精神並びに規範意識の芽生え

第2号は「…家族や身近な人への信頼感を深め、自主、自律及び協同の精神並びに規範意識の芽生えを養うこと」です。『相手の話を理解しようとする態度』は、日常の会話や絵本、童話等についての第4号です。『身近な社会生活、生命及び自然に対する興味』は第3号です。『健康、安全で幸福な生活のための基本的な習慣』は第1号です。

根拠:学校教育法(e-Gov)(第23条)

問5|入園できる者(第26条)

学校教育法第26条が定める、幼稚園に入園することのできる者として正しいものはどれか。

  1. 満3歳から、小学校就学の始期に達するまでの幼児
  2. 満2歳から、小学校就学の始期に達するまでの幼児
  3. 満3歳以上の幼児と、満3歳未満の保育を必要とする子ども
  4. 保育を必要とする、0歳から小学校就学の始期までの乳幼児
正解と解説
正解:A. 満3歳から、小学校就学の始期に達するまでの幼児

第26条は「満三歳から、小学校就学の始期に達するまでの幼児」と定めます。『満2歳から』とする選択肢は年齢が違います。『満3歳以上の幼児と、満3歳未満の保育を必要とする子ども』は、幼保連携型認定こども園の入園資格(認定こども園法第11条)です。『0歳から』の乳幼児で保育を必要とする子どもは、保育所の対象に近い表現で、幼稚園の規定ではありません。

根拠:学校教育法(e-Gov)(第26条)、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(認定こども園法、e-Gov)(第11条)

問6|要領の法的な位置づけ

幼稚園教育要領の位置づけとして正しいものはどれか。

  1. 児童福祉法に基づき、厚生労働大臣が保育所の運営の基準として告示するもの
  2. 各都道府県の教育委員会が、地域の実情に合わせてそれぞれ定める教育課程の指針
  3. 幼稚園の団体が作成し、各園が参考として自由に選んで使う民間の手引き
  4. 学校教育法施行規則に基づき、文部科学大臣が教育課程その他の保育内容の基準として公示するもの
正解と解説
正解:D. 学校教育法施行規則に基づき、文部科学大臣が教育課程その他の保育内容の基準として公示するもの

学校教育法施行規則第38条は、幼稚園の教育課程その他の保育内容は「教育課程その他の保育内容の基準として文部科学大臣が別に公示する幼稚園教育要領による」と定めます。現行の要領は平成29年3月31日の文部科学省告示です。厚生労働大臣が保育所について告示したのは保育所保育指針で、幼稚園教育要領ではありません。都道府県教育委員会がそれぞれ定めるものや、民間の手引きとする選択肢は、国の基準である要領の位置づけと合いません。

根拠:学校教育法施行規則(e-Gov)(第38条)、幼稚園教育要領(平成29年告示)(告示文)

問7|第24条(家庭・地域の支援)

学校教育法第24条が幼稚園に求めていることとして正しいものはどれか。

  1. 教育課程に係る教育時間の終了後に、希望するすべての幼児を必ず預かる
  2. 保護者や地域住民などからの相談に応じ、情報の提供や助言を行うなど、家庭及び地域における幼児期の教育の支援に努める
  3. 満3歳未満の子どもを保育する場を、すべての幼稚園に設ける
  4. 保護者に対して、家庭で小学校の学習を先取りさせるよう指導する
正解と解説
正解:B. 保護者や地域住民などからの相談に応じ、情報の提供や助言を行うなど、家庭及び地域における幼児期の教育の支援に努める

第24条は、第22条の目的を実現するための教育を行うほか、「保護者及び地域住民その他の関係者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うなど、家庭及び地域における幼児期の教育の支援に努める」と定めます。正解は相談・情報提供・助言の選択肢です。教育時間の終了後の教育活動は要領の第3章にありますが、第24条は全員を必ず預かることを定めていません。満3歳未満の保育の場をすべての園に設ける規定もありません。家庭での小学校の学習の先取りを指導することも条文にありません。

根拠:学校教育法(e-Gov)(第24条)

問8|幼稚園と学校

幼稚園の法律上の位置づけについて、正しいものはどれか。

  1. 児童福祉法に基づく児童福祉施設で、学校教育法の「学校」には含まれない
  2. 学校教育法第1条の学校だが、義務教育の一部として保護者に就園させる義務がある
  3. 学校教育法第1条が定める「学校」の一つで、同条の一覧の最初に挙げられている
  4. 認定こども園法に基づく施設で、都道府県知事の認定を受けて初めて設置できる
正解と解説
正解:C. 学校教育法第1条が定める「学校」の一つで、同条の一覧の最初に挙げられている

学校教育法第1条は「学校とは、幼稚園、小学校、中学校…とする」と定め、幼稚園は最初に挙げられています。児童福祉法に基づく児童福祉施設は保育所で、幼稚園ではありません。幼稚園は学校ですが、義務教育ではないので、保護者に就園させる義務はありません。認定こども園法に基づく知事などの認定は、既存の幼稚園や保育所等が認定こども園になる場合の手続で、幼稚園そのものの根拠ではありません。

根拠:学校教育法(e-Gov)(第1条)、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(認定こども園法、e-Gov)(第3条)

問9|前文と要領の役割

幼稚園教育要領の前文が示す、要領の役割の一つとして正しいものはどれか。

  1. 公の性質を有する幼稚園における教育水準を全国的に確保すること
  2. 各幼稚園の一日の活動内容と時間割を全国で統一すること
  3. 幼児の発達の到達度を全国共通の基準で評定すること
  4. 小学校入学前に身に付ける学力の到達目標を定めること
正解と解説
正解:A. 公の性質を有する幼稚園における教育水準を全国的に確保すること

前文は、要領は教育課程の基準を大綱的に定めるもので、その役割の一つは「公の性質を有する幼稚園における教育水準を全国的に確保すること」だとしています。同時に、各幼稚園が特色を生かして創意工夫を重ねることも重要だとしているので、一日の活動や時間割を全国で統一するものではありません。総則の第4は、評価は他の幼児との比較や一定の基準に対する達成度についての評定によって捉えるものではないとしており、到達度を全国共通に評定するという選択肢は誤りです。小学校入学前の学力の到達目標を定めるという記述も前文にありません。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(前文、第1章第4の4)

問10|幼稚園教育の基本

幼稚園教育要領の第1章第1「幼稚園教育の基本」で、幼稚園教育は幼児期の特性を踏まえ、何を通して行うものであることを基本とするとされているか。

  1. 教師の一斉指導を通して行うもの
  2. 環境を通して行うもの
  3. 領域別の時間割を通して行うもの
  4. 家庭での学習を通して行うもの
正解と解説
正解:B. 環境を通して行うもの

第1は「幼稚園教育は,学校教育法に規定する目的及び目標を達成するため,幼児期の特性を踏まえ,環境を通して行うものであることを基本とする」と書いています。正解は『環境を通して』です。教師の一斉指導を中心とする考え方は、幼児の主体的な活動を促すという第1の内容と合いません。5領域のねらいは遊びを通して総合的に達成されるものなので、領域別の時間割で行うという選択肢も誤りです。家庭での学習を通して行うという記述もありません。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第1)

問11|冒頭の一文と教育基本法

「幼児期の教育は,生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なもの」という幼稚園教育要領第1の冒頭の表現は、どの法律の規定と同じ考えを示しているか。

  1. 学校教育法第26条(入園資格)
  2. 児童福祉法第39条(保育所)
  3. 教育基本法第11条(幼児期の教育)
  4. 学校教育法施行規則第37条(教育週数)
正解と解説
正解:C. 教育基本法第11条(幼児期の教育)

前文は、幼児期の教育について教育基本法第11条が「生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なもの」としていることを示しており、第1の冒頭も同じ表現です。学校教育法第26条は入園できる者の年齢の規定です。児童福祉法第39条は保育所の規定です。学校教育法施行規則第37条は教育週数(39週)の規定です。いずれも人格形成の基礎についての規定ではありません。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(前文、第1章第1)

問12|重視事項1(生活)

幼稚園教育の基本で重視する事項の一つは、幼児が「安定した情緒の下で自己を十分に発揮することにより発達に必要な体験を得ていく」ことを考慮して、どうすることとしているか。

  1. 幼児の主体的な活動を促し、幼児期にふさわしい生活が展開されるようにする
  2. 幼児が自分を抑えて集団の決まりに従えるよう、規律の指導を優先する
  3. 発達に必要な体験を、教師が決めた順序で全員に同じように経験させる
  4. 情緒が安定するまでは、幼児が他の幼児と関わらないように配慮する
正解と解説
正解:A. 幼児の主体的な活動を促し、幼児期にふさわしい生活が展開されるようにする

第1の重視事項1は、安定した情緒の下で自己を十分に発揮することにより発達に必要な体験を得ていくことを考慮して「幼児の主体的な活動を促し,幼児期にふさわしい生活が展開されるようにすること」です。規律の指導を優先するという選択肢は、自己を十分に発揮するという趣旨と逆です。全員に同じ順序で同じ体験をさせるという選択肢は、重視事項3の「一人一人の特性に応じ」と合いません。他の幼児と関わらないようにするという記述はありません。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第1)

問13|重視事項2(遊び)

幼稚園教育の基本で、幼児の自発的な活動としての遊びはどのように位置づけられているか。

  1. 学習の合間に心身を休めるための大切な休息
  2. 小学校の教科学習に向けた準備のための練習
  3. 自由時間に行う、教育課程の外の活動
  4. 心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習
正解と解説
正解:D. 心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習

重視事項2は「幼児の自発的な活動としての遊びは,心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習である」とし、「遊びを通しての指導を中心として」第2章のねらいが総合的に達成されるようにする、としています。遊びは学習そのものなので、学習の合間の休息とする選択肢は誤りです。小学校の教科の練習とする選択肢も、要領の位置づけと違います。遊びを通しての指導が中心なので、教育課程の外の活動とする選択肢も誤りです。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第1)

問14|重視事項3(一人一人)

幼稚園教育の基本で重視する事項の一つは、幼児の発達が心身の諸側面が相互に関連し合い多様な経過をたどることや、生活経験がそれぞれ異なることなどを考慮して、どうすることとしているか。

  1. 同じ年齢の幼児には、同じ時期に同じ課題を達成させる
  2. 発達の遅い面を集中的に訓練し、平均に追いつかせる
  3. 幼児一人一人の特性に応じ、発達の課題に即した指導を行う
  4. 生活経験の違いが出ないよう、家庭での体験をそろえさせる
正解と解説
正解:C. 幼児一人一人の特性に応じ、発達の課題に即した指導を行う

重視事項3は「幼児一人一人の特性に応じ,発達の課題に即した指導を行うようにすること」です。同じ年齢なら同じ時期に同じ課題を達成させるという選択肢は、発達が多様な経過をたどるという前提と合いません。遅い面を集中的に訓練して平均に追いつかせるという選択肢は、他の幼児との比較で捉えない(第4の4)という考え方とも合いません。家庭での体験をそろえさせるという記述はありません。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第1、第4の4)

問15|見方・考え方

幼稚園教育要領が示す「幼児期の教育における見方・考え方」の説明として、要領の内容に合うものはどれか。

  1. 幼児が身近な環境に主体的に関わり、関わり方や意味に気付き、取り込もうとして試行錯誤したり考えたりすること
  2. 教師が5領域ごとに身に付けさせる知識を整理し、順序よく説明して理解させること
  3. 幼児が小学校の各教科の特質に応じた物事を捉える視点を身に付けること
  4. 教師が幼児の行動を一定の基準に照らして、できたかどうかを判断する視点
正解と解説
正解:A. 幼児が身近な環境に主体的に関わり、関わり方や意味に気付き、取り込もうとして試行錯誤したり考えたりすること

第1は、幼児が身近な環境に主体的に関わり、環境との関わり方や意味に気付き、これらを取り込もうとして、試行錯誤したり、考えたりするようになる「幼児期の教育における見方・考え方」を生かす、と書いています。教師が知識を順序よく説明するという選択肢は、幼児が主体的に関わることを中心とする考え方と違います。小学校の各教科の視点とする選択肢は、教科の学習の話で幼児期のものではありません。一定の基準でできたかどうかを判断するという選択肢は、評価を達成度の評定で捉えないとする第4の4と合いません。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第1、第4の4)

問16|教師の役割と環境の構成

幼稚園教育の基本で、教師は幼児の主体的な活動が確保されるよう、何に基づいて計画的に環境を構成しなければならないとされているか。

  1. 前年度の同じ月に行った活動の記録だけ
  2. 幼児一人一人の行動の理解と予想
  3. 保護者が希望する活動の一覧
  4. 小学校で学ぶ教科の単元の順序
正解と解説
正解:B. 幼児一人一人の行動の理解と予想

第1は「教師は,幼児の主体的な活動が確保されるよう幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき,計画的に環境を構成しなければならない」としています。前年度の記録は参考にはなりますが、それだけに基づくと目の前の幼児の理解が抜けます。保護者の希望の一覧や小学校の単元の順序も、要領が示す根拠ではありません。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第1)

問17|場面:環境を通した指導

5歳児が園庭で、雨どいを並べて水を流す遊びを始めた。幼稚園教育の基本に照らして、最も適切な教師の関わりはどれか。

  1. 水の流れ方の正しい仕組みを先に説明し、説明どおりに並べ直すよう全員に指示する
  2. けがや汚れを防ぐため遊びをやめさせ、室内で同じ内容を絵で学ぶ時間に切り替える
  3. 幼児の自主性を大切にするため、道具の補充も声かけも一切行わずに遠くから眺める
  4. 遊びの展開を予想して、長さの違う雨どいや受け皿を用意し、幼児の工夫を見守りながら必要に応じて一緒に考える
正解と解説
正解:D. 遊びの展開を予想して、長さの違う雨どいや受け皿を用意し、幼児の工夫を見守りながら必要に応じて一緒に考える

第1は、行動の理解と予想に基づいて計画的に環境を構成し、活動の場面に応じて様々な役割を果たして活動を豊かにする、としています。正解は、道具を用意して見守り、必要に応じて一緒に考える関わりです。仕組みを先に説明して全員に指示する選択肢は、幼児が試行錯誤する見方・考え方を生かしていません。遊びをやめさせて絵で学ばせる選択肢は、直接的な体験を大切にする考え方と合いません。一切関わらない選択肢は、教師の役割を果たしておらず、主体性の尊重と放任を取り違えています。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第1、第4の3)

問18|資質・能力(学びに向かう力)

幼稚園教育要領で、「心情,意欲,態度が育つ中で,よりよい生活を営もうとする」と説明されている資質・能力はどれか。

  1. 知識及び技能の基礎
  2. 思考力,判断力,表現力等の基礎
  3. 学びに向かう力,人間性等
  4. 豊かな感性と表現
正解と解説
正解:C. 学びに向かう力,人間性等

要領の第2の1(3)は「心情,意欲,態度が育つ中で,よりよい生活を営もうとする『学びに向かう力,人間性等』」です。『知識及び技能の基礎』は、豊かな体験を通じて感じたり、気付いたり、分かったり、できるようになったりするものです。『思考力,判断力,表現力等の基礎』は、気付いたことなどを使い、考えたり、試したり、工夫したり、表現したりするものです。『豊かな感性と表現』は10の姿の一つで、資質・能力の名前ではありません。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第2の1)

問19|資質・能力(思考力等の基礎)

「気付いたことや,できるようになったことなどを使い,考えたり,試したり,工夫したり,表現したりする」と説明される資質・能力はどれか。

  1. 思考力,判断力,表現力等の基礎
  2. 知識及び技能の基礎
  3. 学びに向かう力,人間性等
  4. 思考力の芽生え
正解と解説
正解:A. 思考力,判断力,表現力等の基礎

第2の1(2)は、この説明を「思考力,判断力,表現力等の基礎」としています。『知識及び技能の基礎』は、豊かな体験を通じて感じたり、気付いたり、分かったり、できるようになったりするものです。『学びに向かう力,人間性等』は、心情、意欲、態度が育つ中で、よりよい生活を営もうとするものです。『思考力の芽生え』は10の姿の(6)の項目名で、資質・能力の名前ではありません。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第2の1・3)

問20|資質・能力の育み方

幼稚園教育要領における「育みたい資質・能力」の育み方として、正しいものはどれか。

  1. 3つの資質・能力ごとに専用の活動の時間を設け、一つずつ順番に育てる
  2. 5歳児になってから、小学校入学に向けて集中的に育てる
  3. 知識及び技能の基礎が身に付いてから、ほかの2つを育てる
  4. 生きる力の基礎を育むため、第2章のねらい及び内容に基づく活動全体によって一体的に育む
正解と解説
正解:D. 生きる力の基礎を育むため、第2章のねらい及び内容に基づく活動全体によって一体的に育む

第2の1は、生きる力の基礎を育むため、資質・能力を「一体的に育むよう努める」とし、第2の2は「第2章に示すねらい及び内容に基づく活動全体によって育むもの」としています。資質・能力ごとに専用の時間を設けて一つずつ育てるという選択肢は、一体的に育むという趣旨と合いません。5歳児になってから集中的に育てるという記述はなく、入園から修了までの活動全体で育みます。知識及び技能の基礎を先にするという順序も定められていません。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第2の1・2)

問21|10の姿の位置づけ

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の位置づけとして、幼稚園教育要領の内容に合うものはどれか。

  1. 幼稚園修了までに全員が必ず到達しなければならない達成基準で、指導要録で評定するもの
  2. 資質・能力が育まれている幼児の幼稚園修了時の具体的な姿であり、教師が指導を行う際に考慮するもの
  3. 小学校の入学時に、学校が幼児の能力を判定するための評価項目
  4. 5歳児の後半になってから、各項目を個別に取り出して指導するための目標
正解と解説
正解:B. 資質・能力が育まれている幼児の幼稚園修了時の具体的な姿であり、教師が指導を行う際に考慮するもの

第2の3は、10の姿を「資質・能力が育まれている幼児の幼稚園修了時の具体的な姿であり,教師が指導を行う際に考慮するもの」としています。全員が到達すべき達成基準として評定するという選択肢は、評価は他の幼児との比較や一定の基準に対する達成度についての評定によって捉えるものではない(第4の4)とする要領と合いません。小学校が能力を判定する項目という記述はなく、小学校とは姿を共有して連携します(第3の5)。5歳児後半に個別に取り出して指導するという選択肢も、活動全体を通して育まれるという説明と合いません。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第2の3、第3の5、第4の4)

問22|10の姿(協同性)

「友達と関わる中で,互いの思いや考えなどを共有し,共通の目的の実現に向けて,考えたり,工夫したり,協力したりし,充実感をもってやり遂げるようになる」と説明される姿の項目名はどれか。

  1. 協調性
  2. 自立心
  3. 社会生活との関わり
  4. 協同性
正解と解説
正解:D. 協同性

この説明は10の姿の(3)「協同性」です。『協調性』は要領の項目名ではなく、よく似た言葉による取り違えです。『自立心』は、しなければならないことを自覚し、自分の力で行うために考えたり工夫したりしながら、諦めずにやり遂げる姿です。『社会生活との関わり』は、家族や地域の人との関わり、情報の活用、公共の施設を大切に利用することなどの姿です。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第2の3)

問23|10の姿(自立心)

「しなければならないことを自覚し,自分の力で行うために考えたり,工夫したりしながら,諦めずにやり遂げることで達成感を味わい,自信をもって行動するようになる」と説明される姿の項目名はどれか。

  1. 健康な心と体
  2. 協同性
  3. 自立心
  4. 道徳性・規範意識の芽生え
正解と解説
正解:C. 自立心

この説明は10の姿の(2)「自立心」です。『健康な心と体』は、充実感をもって自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ、見通しをもって行動し、自ら健康で安全な生活をつくり出す姿です。『協同性』は、友達と共通の目的の実現に向けて協力する姿です。『道徳性・規範意識の芽生え』は、してよいことや悪いことが分かり、きまりを守る必要性が分かる姿です。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第2の3)

問24|10の姿(道徳性・規範意識の芽生え)

「きまりを守る必要性が分かり,自分の気持ちを調整し,友達と折り合いを付けながら,きまりをつくったり,守ったりするようになる」という記述を含む姿の項目名はどれか。

  1. 道徳性・規範意識の芽生え
  2. 社会生活との関わり
  3. 協同性
  4. 言葉による伝え合い
正解と解説
正解:A. 道徳性・規範意識の芽生え

この記述は10の姿の(4)「道徳性・規範意識の芽生え」に含まれています。(4)は、してよいことや悪いことが分かり、相手の立場に立って行動することも含みます。『社会生活との関わり』は家族や地域、情報、公共の施設に関わる姿です。『協同性』は共通の目的の実現に向けて協力する姿で、きまりについての記述はありません。『言葉による伝え合い』は、言葉で伝えたり相手の話を注意して聞いたりする姿です。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第2の3)

問25|10の姿(社会生活との関わり)

「遊びや生活に必要な情報を取り入れ,情報に基づき判断したり,情報を伝え合ったり,活用したりする」「公共の施設を大切に利用する」という記述を含む姿の項目名はどれか。

  1. 思考力の芽生え
  2. 社会生活との関わり
  3. 数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚
  4. 言葉による伝え合い
正解と解説
正解:B. 社会生活との関わり

これらの記述は10の姿の(5)「社会生活との関わり」に含まれています。(5)は、家族を大切にしようとする気持ちや、地域の身近な人と触れ合うことも含みます。『思考力の芽生え』は、物の性質や仕組みを感じ取り、考えたり予想したり工夫したりする姿です。『数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚』は、標識や文字の役割に気付き活用する姿で、情報や公共の施設の記述はありません。『言葉による伝え合い』は、言葉で伝え合う姿です。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第2の3)

問26|10の姿の項目名

次のうち、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の項目名として、幼稚園教育要領の表記どおりのものはどれか。

  1. 豊かな心情と表現力
  2. 創造性と表現の技能
  3. 感性と音楽的な表現
  4. 豊かな感性と表現
正解と解説
正解:D. 豊かな感性と表現

10の姿の(10)の項目名は「豊かな感性と表現」です。『豊かな心情と表現力』『創造性と表現の技能』『感性と音楽的な表現』は、どれも似た言葉を組み合わせたもので、要領の項目名ではありません。なお、学校教育法第23条第5号は「豊かな感性と表現力の芽生え」を養うとしており、こちらと混同しないよう注意します。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第2の3)、学校教育法(e-Gov)(第23条)

問27|10の姿(数量・文字)

10の姿の「数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚」の説明として、幼稚園教育要領の内容に合うものはどれか。

  1. 修了までに、ひらがなをすべて正しく読み書きでき、10までの足し算ができるようになる
  2. 遊びや生活の中で親しむ体験を重ね、標識や文字の役割に気付き、自らの必要感に基づき活用し、興味や関心、感覚をもつ
  3. 教師が用意したプリント教材で、数字と文字を毎日決まった量だけ練習する
  4. 数量や文字への関心は個人差が大きいので、幼稚園では扱わず小学校に任せる
正解と解説
正解:B. 遊びや生活の中で親しむ体験を重ね、標識や文字の役割に気付き、自らの必要感に基づき活用し、興味や関心、感覚をもつ

(8)は「遊びや生活の中で,数量や図形,標識や文字などに親しむ体験を重ねたり,標識や文字の役割に気付いたりし,自らの必要感に基づきこれらを活用し,興味や関心,感覚をもつようになる」です。ひらがなの読み書きや足し算の到達を求める選択肢は、「関心・感覚」の姿と違い、要領にそうした到達目標はありません。プリントで毎日決まった量を練習する選択肢は、遊びや生活の中での体験や自らの必要感を大切にする考え方と合いません。幼稚園では扱わないという選択肢は、要領が10の姿の一つとしていることと矛盾します。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第2の3)

問28|カリキュラム・マネジメント

幼稚園教育要領が「カリキュラム・マネジメント」として示す内容に含まれるものはどれか。

  1. 教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと
  2. 幼児一人一人の発達の到達度を数値で評定し、学級ごとに比べること
  3. 教育課程を毎年度、教育委員会が作成した見本と同じにすること
  4. 教育課程の編成は園長一人が行い、他の教職員は実施だけを担うこと
正解と解説
正解:A. 教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと

第3の1は、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を踏まえ教育課程を編成すること、教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと、実施に必要な人的又は物的な体制を確保し改善を図っていくことなどを通して、教育活動の質の向上を図ることを「カリキュラム・マネジメント」としています。到達度を数値で評定し比べるという選択肢は、第4の4の評価の考え方と合いません。見本と同じにするという選択肢は、各園が創意工夫を生かして編成するという規定と合いません。第6の1は、教職員が役割を分担しつつ相互に連携して教育課程の改善を図るとしているので、園長一人で編成するという選択肢も誤りです。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第3の1、第4の4、第6の1)

問29|教育週数と教育時間

幼稚園教育要領が定める教育課程の編成上の基本的事項として、正しいものはどれか。

  1. 毎学年の教育週数は35週を標準とし、1日の教育時間は4時間を下ってはならない
  2. 毎学年の教育週数は39週を標準とし、1日の教育時間は5時間を上限とする
  3. 毎学年の教育週数は特別の事情のある場合を除き39週を下ってはならず、1日の教育時間は4時間を標準とする
  4. 毎学年の教育週数は各園が自由に決め、1日の教育時間は8時間を原則とする
正解と解説
正解:C. 毎学年の教育週数は特別の事情のある場合を除き39週を下ってはならず、1日の教育時間は4時間を標準とする

第3の3は、教育週数は「特別の事情のある場合を除き,39週を下ってはならない」、1日の教育時間は「4時間を標準とする。ただし,幼児の心身の発達の程度や季節などに適切に配慮する」としています(教育週数は学校教育法施行規則第37条も同じ)。『35週を標準』『4時間を下ってはならない』は、数字と言い方が違います。『39週を標準』『5時間を上限』も、下限と標準の言い方を取り違えています。8時間を原則とする規定はありません。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第3の3)、学校教育法施行規則(e-Gov)(第37条)

問30|小学校との接続(基礎を培う)

幼稚園教育要領は、幼稚園教育が小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し、幼稚園ではどうするとしているか。

  1. 小学校第1学年の教科の内容を、幼稚園の年長の時期に先取りして教える
  2. 幼児期にふさわしい生活を通して、創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培う
  3. 小学校の時間割と同じ45分単位の活動に、入園当初から慣れさせる
  4. 小学校入学に向けて、集団での一斉指導の時間を学年が進むにつれ中心にする
正解と解説
正解:B. 幼児期にふさわしい生活を通して、創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培う

第3の5(1)は「幼児期にふさわしい生活を通して,創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うようにする」としています。教科の内容を先取りする選択肢、45分単位の時間割に慣れさせる選択肢、一斉指導を中心にする選択肢は、どれも小学校の形を幼稚園に持ち込むもので、「幼児期にふさわしい生活を通して」という規定や、遊びを通しての指導を中心とする第1の考え方と合いません。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第1、第3の5)

問31|小学校との接続(連携)

幼稚園教育と小学校教育との円滑な接続のために、幼稚園教育要領が示す取組として正しいものはどれか。

  1. 幼稚園が幼児ごとの到達度を判定した結果を、入学選考の資料として小学校に提出する
  2. 小学校の教師が幼稚園の教育課程を作成し、幼稚園はそのとおりに実施する
  3. 接続は小学校側の課題なので、幼稚園は修了後の情報の引き継ぎだけを行う
  4. 小学校の教師との意見交換や合同の研究の機会などを設け、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を共有する
正解と解説
正解:D. 小学校の教師との意見交換や合同の研究の機会などを設け、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を共有する

第3の5(2)は「小学校の教師との意見交換や合同の研究の機会などを設け,『幼児期の終わりまでに育ってほしい姿』を共有するなど連携を図り,幼稚園教育と小学校教育との円滑な接続を図るよう努める」としています。到達度の判定結果を入学選考に使うという選択肢は、評価を達成度の評定で捉えないとする第4の4と合わず、公立小学校の入学選考という仕組みも要領にありません。小学校の教師が教育課程を作るという選択肢は、各園が編成するという第3の1と合いません。幼稚園は情報の引き継ぎだけという選択肢は、幼稚園側が連携に努めるとする規定と合いません。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第3の1・5、第4の4)

問32|全体的な計画

幼稚園教育要領が示す「全体的な計画」の説明として正しいものはどれか。

  1. 教育課程を中心に、教育時間の終了後等に行う教育活動の計画、学校保健計画、学校安全計画などを関連させて作成するもの
  2. 教育課程を作成しない幼稚園が、その代わりに作成する1年間の行事予定表
  3. 保護者が家庭での生活の目標を書き、幼稚園に提出する計画
  4. 週や日の活動を具体的に書いた、教師一人一人の短期の指導計画
正解と解説
正解:A. 教育課程を中心に、教育時間の終了後等に行う教育活動の計画、学校保健計画、学校安全計画などを関連させて作成するもの

第3の6は、各幼稚園は「教育課程を中心に,第3章に示す教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動の計画,学校保健計画,学校安全計画などとを関連させ,一体的に教育活動が展開されるよう全体的な計画を作成する」としています。教育課程はすべての幼稚園が編成するもので、全体的な計画はその代わりではなく、教育課程を中心に置くものです。保護者が提出する計画という記述はありません。週や日の短期の指導計画は第4で扱う別の計画です。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第3の6、第4の3)

問33|幼保連携型認定こども園

認定こども園法に基づく幼保連携型認定こども園について、正しいものはどれか。

  1. 満3歳以上の子どもだけが入園でき、職員として園長・教頭・教諭を置かなければならない
  2. 株式会社を含むどのような法人でも設置でき、教育・保育の内容は各園が自由に定める
  3. 保育所が名前を変えただけの施設で、内容の基準は保育所保育指針そのものである
  4. 満3歳以上の子どもと満3歳未満の保育を必要とする子どもが入園でき、園長と保育教諭を置かなければならない
正解と解説
正解:D. 満3歳以上の子どもと満3歳未満の保育を必要とする子どもが入園でき、園長と保育教諭を置かなければならない

認定こども園法第11条は、入園できる者を「満三歳以上の子ども及び満三歳未満の保育を必要とする子ども」とし、第14条は「園長及び保育教諭を置かなければならない」としています。満3歳以上だけ・園長・教頭・教諭とする選択肢は、幼稚園の規定(学校教育法第26条・第27条)と混同しています。第12条は、設置できるのは国、地方公共団体、学校法人及び社会福祉法人のみとしており、教育・保育の内容は主務大臣が定めます(第10条)。保育所が名前を変えただけで内容の基準が保育所保育指針だとする選択肢も、法律で独自に定義され独自の教育・保育要領をもつことと合いません。

根拠:就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(認定こども園法、e-Gov)(第2条第7項、第10条、第11条、第12条、第14条)、学校教育法(e-Gov)(第26条・第27条)

問34|保育所保育指針との共通点

幼稚園教育要領と保育所保育指針の関係として正しいものはどれか。

  1. 保育所は児童福祉施設なので、保育所保育指針には育みたい資質・能力や10の姿の記述がない
  2. 保育所保育指針も「幼児教育を行う施設として共有すべき事項」として、同じ3つの資質・能力と10の姿を示している
  3. 保育所保育指針では、10の姿の代わりに、保育所独自の5つの姿が示されている
  4. 保育所保育指針は、小学校との連携について幼稚園教育要領と違い何も定めていない
正解と解説
正解:B. 保育所保育指針も「幼児教育を行う施設として共有すべき事項」として、同じ3つの資質・能力と10の姿を示している

保育所保育指針の第1章4は「幼児教育を行う施設として共有すべき事項」として、「知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力等の基礎」「学びに向かう力、人間性等」と、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を示しています。資質・能力や10の姿の記述がないという選択肢、独自の5つの姿があるという選択肢は誤りです。保育所保育指針は小学校との連携も定め、小学校教師との意見交換や合同の研究の機会を設け、10の姿を共有するなど連携を図るとしているので、何も定めていないという選択肢も誤りです。

根拠:保育所保育指針(平成29年告示)(第1章4、第2章4(2))、幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第2)

問35|入園当初と3歳児

教育課程の編成上の留意事項として、幼稚園教育要領が入園当初、特に3歳児の入園について示していることはどれか。

  1. 家庭との連携を緊密にし、生活のリズムや安全面に十分配慮する
  2. 早く集団に慣れるよう、入園初日から5歳児と同じ時間・同じ活動を行う
  3. 家庭の影響を減らすため、保護者との連絡は必要最小限にとどめる
  4. 生活習慣が身に付くまでは遊びを控え、生活指導だけを行う
正解と解説
正解:A. 家庭との連携を緊密にし、生活のリズムや安全面に十分配慮する

第3の4(2)は「入園当初,特に,3歳児の入園については,家庭との連携を緊密にし,生活のリズムや安全面に十分配慮すること」とし、満3歳児は学年の途中から入園することを考慮して安心して過ごせるよう配慮する、としています。5歳児と同じ時間・活動にする選択肢は、発達や生活のリズムへの配慮と合いません。保護者との連絡を最小限にする選択肢は、家庭との連携を緊密にするという規定と逆です。遊びを控えて生活指導だけを行う選択肢は、遊びを通しての指導を中心とする第1の考え方と合いません。

根拠:幼稚園教育要領(平成29年告示)(第1章第1、第3の4)

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※ 解説は学習用の情報提供です。認定試験・採用選考の受験資格や実施方法は、必ず文部科学省・受験する自治体の公式発表をご確認ください。
※ 問題はすべて仮の宿 学習室のオリジナル問題で、本試験の問題ではありません。幼稚園教育要領は平成29年告示のもの(2026年10月時点)です。