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保育士試験 CHILDCARE WORKER EXAM

保育原理①(保育の意義と保育所保育指針)

講義 4 本・確認問題 25 問 | 保育原理(本試験 20問) | 最終更新 2026-10-16

この章で学ぶこと
目次
  1. 保育所・保育士と保育所保育指針の位置づけ
  2. 保育所保育の基本原則と養護
  3. 保育の計画と評価、幼児教育として共有すべき事項
  4. 乳児保育・1歳以上3歳未満児の保育と障害児保育
  5. 確認問題(25問)
  6. 演習ツール

1. 保育所・保育士と保育所保育指針の位置づけ

保育所と保育士は児童福祉法でどう定められ、保育所保育指針はどんな性格の文書なのかを整理します。

保育士試験の「保育原理」は、保育とは何か、保育所はどんな場所で、何をよりどころに保育をしているのか、を問う科目です。よりどころは大きく2つあります。1つは児童福祉法などの法律、もう1つは国が示す保育所保育指針です。この講義では、その全体像をつかみます。内容は2026年10月時点の法令と指針によります(本試験は、その年の4月1日以前に施行された法令などから出題されます)。

保育所とは:児童福祉法第39条

保育所は、児童福祉法に定められた児童福祉施設の1つです。第39条第1項は、保育所を「保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行うことを目的とする施設」と定めています。かっこ書きで、利用定員が20人以上であるものに限り、幼保連携型認定こども園は除く、とされています。第2項では、特に必要があるときは、保育を必要とする「その他の児童」(小学生など)も通わせて保育できるとしています。ポイントは「保育を必要とする」「日々」「通わせて」の3語です。子どもが住み込む施設ではなく、毎日家庭から通う施設です。

保育所には、子どもの保育だけでなく、地域に開かれた役割もあります。第48条の4は、保育所は地域の住民に対して、その行う保育に関し情報の提供を行わなければならない(義務)とし、保育に支障がない限りで、乳児・幼児などの保育に関する相談に応じ、助言を行うよう努めなければならない(努力義務)としています。「しなければならない」と「努めなければならない」の違いは、試験でよく問われる形です。

保育士とは:児童福祉法第18条の4など

児童福祉法第18条の4は、保育士を、保育士の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識と技術をもって、児童の保育と児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者、と定めています。保護者への支援も、保育士の仕事として法律に書かれている点が大切です。

保育士に関する主な規定(児童福祉法)
条文内容
第18条の21信用失墜行為の禁止:保育士の信用を傷つけるような行為をしてはならない
第18条の22秘密保持義務:正当な理由なく、業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保育士でなくなった後も同じ
第18条の23名称の使用制限:保育士でない者は、保育士またはこれに紛らわしい名称を使ってはならない

保育士は「名称独占」の資格です。資格がない人が「保育士」と名乗ることは禁じられますが、法律が保育の仕事そのものを保育士だけに限っているわけではありません(業務独占ではない)。

保育所保育指針の位置づけ

「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(国の省令)第35条は、保育所の保育は養護及び教育を一体的に行うことをその特性とし、その内容は国が定める指針に従う、としています(2026年10月時点の条文では「内閣総理大臣が定める指針」)。この指針が保育所保育指針です。現行の指針は2017年(平成29年)3月31日に厚生労働省告示第117号として告示され、2018年(平成30年)4月1日から適用されています。現在はこども家庭庁のページで公開されています。指針解説は、指針が告示であり「規範性を有する基準としての性格をもつ」と説明しています。つまり、保育所が守るべき基準です。

指針の歩みも押さえましょう。指針解説によれば、指針は1965年(昭和40年)に策定され、1990年(平成2年)と1999年(平成11年)に改訂されました。2008年(平成20年)の改定で告示化され、2017年の改定が現行です。

保育所保育指針(2017年告示)の構成
章主な内容
第1章 総則基本原則、養護、保育の計画及び評価、幼児教育を行う施設として共有すべき事項
第2章 保育の内容乳児、1歳以上3歳未満児、3歳以上児のねらい及び内容、留意事項
第3章 健康及び安全健康支援、食育の推進、環境・衛生管理と安全管理、災害への備え
第4章 子育て支援利用している保護者への支援、地域の保護者等への支援
第5章 職員の資質向上施設長の責務、職員の研修等

あわせて、同じ基準の第33条第2項は保育士の数を、乳児おおむね3人につき1人以上、満1歳以上満3歳未満の幼児おおむね6人につき1人以上、満3歳以上満4歳未満おおむね15人につき1人以上、満4歳以上おおむね25人につき1人以上、と定めています(2026年10月時点の条文)。

用語

児童福祉施設
児童福祉法に定められた、子どもの福祉のための施設。保育所はその1つ。
保育所保育指針
保育所の保育の内容と運営の基本を国が示した告示。現行は2017年告示、2018年4月適用。
告示
国の機関が決めたことを広く知らせる形式。保育所保育指針は告示なので、守るべき基準としての性格をもつ。
名称独占
資格のない人がその名称を名乗ることを禁じる仕組み。仕事そのものを独占する「業務独占」とは違う。
努力義務
「〜するよう努めなければならない」と書かれた義務。「しなければならない」より弱い。

例題

例題:保育所が地域の住民に対して行うことのうち、児童福祉法第48条の4で「義務」とされているのはどれか。
答えと考え方 その行う保育に関する「情報の提供」です。条文は「行わなければならない」と書いています。一方、乳児・幼児などの保育に関する相談・助言は、保育に支障がない限りで「行うよう努めなければならない」とされ、努力義務です。条文の語尾で義務の強さを見分けましょう。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第18条の4、第18条の21〜第18条の23、第39条、第48条の4)、e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(第33条、第35条)、こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)、こども家庭庁「保育所保育指針解説」(序章)、こども家庭庁「保育」(2026-10-16確認)

2. 保育所保育の基本原則と養護

保育所保育指針の総則にある基本原則(役割・目標・方法・環境・社会的責任)と、保育の土台となる養護を学びます。

保育所保育指針の第1章「総則」の最初には、保育所保育に関する基本原則が書かれています。(1)保育所の役割、(2)保育の目標、(3)保育の方法、(4)保育の環境、(5)保育所の社会的責任、の5つです。続く「2」では、保育所保育の土台となる養護を説明しています。この講義では、この2つをまとめて学びます。

保育所の役割

指針は、保育所は児童福祉法第39条に基づいて保育を必要とする子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設であり、入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進するのに最もふさわしい生活の場でなければならない、としています。さらに、保育に関する専門性をもつ職員が、家庭との緊密な連携の下に、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている、と書いています。入所する子どもの保育だけでなく、入所する子どもの保護者への支援と、地域の子育て家庭への支援も役割に含まれます。保育士には、倫理観に裏付けられた専門的知識・技術・判断をもって保育し、保護者に対する保育に関する指導を行うことが求められます。

保育の目標

目標は2つに分かれます。アは子どもについての目標で、子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うために、次の6つを目指します。

保育の目標ア(要旨)
番号内容
(ア)十分に養護の行き届いた環境の下で、生命の保持と情緒の安定を図る
(イ)生活に必要な基本的な習慣や態度を養い、心身の健康の基礎を培う
(ウ)人に対する愛情と信頼感、人権を大切にする心を育て、自主・自立・協調の態度を養い、道徳性の芽生えを培う
(エ)生命・自然・社会の事象への興味や関心を育て、豊かな心情や思考力の芽生えを培う
(オ)言葉への興味や関心を育て、話したり聞いたりする意欲や言葉の豊かさを養う
(カ)様々な体験を通して豊かな感性や表現力を育み、創造性の芽生えを培う

イは保護者についての目標で、保護者の意向を受け止め、子どもと保護者の安定した関係に配慮し、保育所の特性や専門性を生かして援助に当たる、とされています。

保育の方法と環境

保育の方法として、指針はア〜カの6項目を挙げます。一人一人の子どもの状況や家庭・地域での生活の実態を把握すること、子どもの生活のリズムを大切にすること、一人一人の発達過程に応じて保育すること、子ども相互の関係づくりを大切にし集団での活動を効果あるものにすること、子どもが自発的・意欲的に関われるような環境を構成し、生活や遊びを通して総合的に保育すること、一人一人の保護者の状況や意向を理解・受容して援助すること、です。

保育の環境には、保育士等や子どもなどの人的環境、施設や遊具などの物的環境、さらに自然や社会の事象があります。指針は、これらが相互に関連し合い、子どもの生活が豊かなものとなるよう、計画的に環境を構成し、工夫して保育しなければならない、としています。

保育所の社会的責任

保育所は、子どもの人権に十分配慮し、一人一人の人格を尊重して保育を行うこと、地域社会との交流や連携を図り、保護者や地域社会に保育の内容を適切に説明するよう努めること、入所する子どもなどの個人情報を適切に取り扱い、保護者の苦情などに対してその解決を図るよう努めること、が求められています。

養護とは

指針は、保育における養護を「子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わり」と定義し、保育所の保育は養護と教育を一体的に行うことを特性とする、と書いています。養護は、保育所保育全体を通して行われるものです。生命の保持と情緒の安定には、それぞれ4つの「ねらい」があります。

養護の2つの柱と、ねらいの例(要旨)
柱ねらい(4つずつ)
生命の保持快適に生活できる/健康で安全に過ごせる/生理的欲求が十分に満たされる/健康増進が積極的に図られる
情緒の安定安定感をもって過ごせる/自分の気持ちを安心して表すことができる/周囲から主体として受け止められ、主体として育ち、自分を肯定する気持ちが育まれていく/くつろいで共に過ごし、心身の疲れが癒される

どのねらいも「一人一人の子どもが」で始まります。集団の保育であっても、一人一人を大切にするという考え方です。

用語

最善の利益
子どもにとって何がいちばん良いかを第一に考えること。児童の権利に関する条約にもある考え方。
発達過程
子どもが育っていく道筋。年齢で一律にそろえず、一人一人の育ちの流れとして見る。
人的環境・物的環境
保育士等や子どもなどの「人」の環境と、施設や遊具などの「物」の環境。
養護
子どもの生命の保持と情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わり。

例題

例題:「一人一人の子どもが、自分の気持ちを安心して表すことができるようにする」は、養護の2つの柱のどちらのねらいか。
答えと考え方 情緒の安定です。気持ち・安心・安定感・自分を肯定する気持ち・くつろぎなど、心の面にかかわるものが情緒の安定、快適・健康・安全・生理的欲求など体と命にかかわるものが生命の保持、と覚えると区別しやすくなります。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章1・2)、こども家庭庁「保育所保育指針解説」(2026-10-16確認)

3. 保育の計画と評価、幼児教育として共有すべき事項

全体的な計画・指導計画と評価のしくみ、育みたい資質・能力と「10の姿」、教育の5領域を学びます。

保育所の保育は、思いつきではなく計画に基づいて行い、その結果を評価して改善します。また、2017年の改定では「保育所保育における幼児教育の積極的な位置づけ」が方向性の1つとされ(指針解説の序章)、指針に「幼児教育を行う施設として共有すべき事項」が設けられました。この講義では、指針第1章の「3 保育の計画及び評価」と「4 幼児教育を行う施設として共有すべき事項」、そして第2章の「教育」と5領域の考え方を学びます。

全体的な計画と指導計画

指針は、保育所の保育の目標を達成するために、各保育所の保育の方針や目標に基づき、子どもの発達過程を踏まえて、保育の内容が組織的・計画的に構成され、保育所の生活の全体を通して総合的に展開されるよう全体的な計画を作成しなければならない、としています。全体的な計画は「保育所保育の全体像を包括的に示すもの」で、これに基づく指導計画、保健計画、食育計画などを通じて、各保育所が創意工夫して保育できるよう作成されます。

指導計画には、子どもの生活や発達を見通した長期的な指導計画と、それに関連しながら、より具体的な子どもの日々の生活に即した短期的な指導計画があります。3歳未満児については、一人一人の子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して個別的な計画を作成すること、とされています。3歳以上児については個の成長と子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮すること、異年齢で構成される組やグループでの保育では一人一人の生活や経験、発達過程などを把握し適切な援助や環境構成ができるよう配慮すること、も書かれています。

保育内容等の評価

評価には2つの段階があります。1つは保育士等の自己評価で、保育の計画や記録を通して自らの保育実践を振り返り、自己評価することを通して、専門性の向上や保育実践の改善に努めなければならない、とされています。その際、子どもの活動内容やその結果だけでなく、子どもの心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮するよう留意します。もう1つは保育所の自己評価で、保育の質の向上を図るため、保育内容等の改善に向けた課題を明確にし、全職員による共通理解をもって取り組みます。保育所の自己評価は、その結果を公表するよう努めなければならないとされています(努力義務)。評価を踏まえて計画を改善する、という流れ(計画→実践→評価→改善)を繰り返すことで、保育の質を高めます。

育みたい資質・能力と「10の姿」

指針第1章4は、生涯にわたる生きる力の基礎を培うため、保育の目標を踏まえ、次の3つの資質・能力を一体的に育むよう努める、としています。

育みたい資質・能力(3つ)
名前おおまかな意味
知識及び技能の基礎豊かな体験を通じて、感じたり、気付いたり、分かったり、できるようになったりする
思考力、判断力、表現力等の基礎気付いたことやできるようになったことを使い、考えたり、試したり、工夫したり、表現したりする
学びに向かう力、人間性等心情、意欲、態度が育つ中で、よりよい生活を営もうとする

さらに、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿として、次の10項目が示されています(「10の姿」と呼ばれます)。健康な心と体/自立心/協同性/道徳性・規範意識の芽生え/社会生活との関わり/思考力の芽生え/自然との関わり・生命尊重/数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚/言葉による伝え合い/豊かな感性と表現。指針は、これらを、保育活動全体を通して資質・能力が育まれている子どもの小学校就学時の具体的な姿であり、保育士等が指導を行う際に考慮するもの、と説明しています。全員が到達しなければならない到達目標や、できる・できないで評価する項目ではありません。小学校との連携については、第2章4で、子どもの育ちを支えるための資料が保育所から小学校へ送付されるようにすることとされています。

「教育」と5領域

指針第2章は、「教育」を「子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助」と定義します。1歳以上3歳未満児と3歳以上児の教育に関わるねらい及び内容は、健康・人間関係・環境・言葉・表現の5つの領域で示されています。領域は小学校の「教科」とは違い、子どもの育ちを見る視点です。実際の保育では、遊びや生活の中で領域が重なり合って展開されます。

用語

全体的な計画
保育所保育の全体像を包括的に示す計画。指導計画・保健計画・食育計画などのもとになる。
指導計画
全体的な計画に基づく具体的な保育の計画。子どもの生活や発達を見通した長期的なものと、日々の生活に即した短期的なものがある。
自己評価
保育士等や保育所が自らの保育を振り返って評価すること。保育所の自己評価の結果は公表に努める。
10の姿
幼児期の終わりまでに育ってほしい姿。到達目標ではなく、指導を行う際に考慮するもの。
5領域
健康・人間関係・環境・言葉・表現。1歳以上の教育のねらい・内容をまとめる視点。

例題

例題:2歳児クラスの指導計画を作るとき、指針で特に求められていることは何か。
答えと考え方 3歳未満児なので、一人一人の子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して「個別的な計画」を作成することです。クラス全体の計画だけでなく、一人一人の計画が求められます。3歳以上児で求められる「個の成長と子ども相互の関係や協同的な活動」への配慮との違いに注意しましょう。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章3・4、第2章前文・4)、こども家庭庁「保育所保育指針解説」(序章)(2026-10-16確認)

4. 乳児保育・1歳以上3歳未満児の保育と障害児保育

乳児保育の3つの視点と配慮事項、1歳以上3歳未満児の育ち、障害のある子どもの保育と関係機関との連携を学びます。

2017年の指針改定では、方向性の1つ目に「乳児・1歳以上3歳未満児の保育に関する記載の充実」が挙げられました(指針解説の序章)。この講義では、指針第2章の乳児保育と1歳以上3歳未満児の保育、そして障害のある子どもの保育を学びます。

乳児保育:3つの視点

指針は、乳児期の発達について、視覚、聴覚などの感覚や、座る、はう、歩くなどの運動機能が著しく発達し、特定の大人との応答的な関わりを通じて情緒的な絆が形成される、という特徴があると書いています。そのため、乳児保育は愛情豊かに、応答的に行われることが特に必要です。

乳児期は発達の諸側面が未分化であるため、乳児保育のねらい及び内容は、5領域ではなく次の3つの視点で示されています(指針解説は、乳児期は発達の諸側面が未分化であることから3つの視点で整理した、と説明しています)。

乳児保育の3つの視点と、ねらいの例
視点かかわる面ねらいの例(要旨)
健やかに伸び伸びと育つ身体的発達伸び伸びと体を動かし、はう、歩くなどの運動をしようとする/食事、睡眠等の生活のリズムの感覚が芽生える
身近な人と気持ちが通じ合う社会的発達体の動きや表情、発声等により、保育士等と気持ちを通わせようとする/愛情や信頼感が芽生える
身近なものと関わり感性が育つ精神的発達見る、触れる、探索するなど、身近な環境に自分から関わろうとする

乳児保育の配慮事項として、指針は次のことを挙げています。乳児は疾病への抵抗力が弱く、心身の機能の未熟さに伴う疾病の発生が多いことから、一人一人の発育・発達状態や健康状態についての適切な判断に基づく保健的な対応を行うこと。一人一人の子どもの生育歴の違いに留意しつつ欲求を適切に満たし、特定の保育士が応答的に関わるように努めること。職員間の連携や嘱託医との連携を図り、栄養士や看護師等が配置されている場合はその専門性を生かすこと。保護者との信頼関係を築きながら保育を進めること。担当の保育士が替わる場合には、子どものそれまでの生育歴や発達過程に留意し、職員間で協力して対応すること、です。

1歳以上3歳未満児の保育

この時期は、歩き始めから、歩く、走る、跳ぶなどへと基本的な運動機能が次第に発達し、つまむ、めくるなどの指先の機能も発達します。排泄の自立のための身体的機能も整い、発声も明瞭になり、語彙も増えて、自分の意思や欲求を言葉で表出できるようになります。指針は、保育士等は子どもの生活の安定を図りながら、自分でしようとする気持ちを尊重し、温かく見守るとともに、愛情豊かに、応答的に関わることが必要だ、としています。ねらい及び内容は、5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)で示されます。3歳以上児になると、仲間と遊び、仲間の中の一人という自覚が生じ、集団的な遊びや協同的な活動も見られるようになります。

障害のある子どもの保育

指針は、指導計画の作成に当たって、障害のある子どもの保育については、一人一人の子どもの発達過程や障害の状態を把握し、適切な環境の下で、障害のある子どもが他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう、指導計画の中に位置付けること、としています。また、子どもの状況に応じた保育を実施する観点から、家庭や関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成するなど適切な対応を図ること、とされています。障害のある子どもだけを別に扱うのではなく、クラスの指導計画の中に位置付けたうえで、個別の支援も考える、という二本立てです。

関係機関の例として、児童福祉法の障害児通所支援があります。そのうち児童発達支援は、障害児を児童発達支援センターなどに通わせ、日常生活における基本的な動作や知識技能の習得、集団生活への適応のための支援などを行うものです。保育所等訪問支援は、保育所などに通う障害児について、専門の支援者がその施設を訪問し、障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援などを行うものです。保育所は、こうした支援と連携して子どもを支えます。

用語

応答的な関わり
子どもの表情・声・しぐさに気付き、それに応えて関わること。
3つの視点
乳児保育のねらい・内容を示す「健やかに伸び伸びと育つ」「身近な人と気持ちが通じ合う」「身近なものと関わり感性が育つ」。
未分化
発達の諸側面がまだはっきり分かれていない状態。
保育所等訪問支援
専門の支援者が保育所などを訪問し、障害児が集団生活に適応するための専門的な支援を行う障害児通所支援。

例題

例題:0歳児クラスで、Aちゃんの担当保育士が4月から交代することになった。指針に沿った対応はどれか。
答えと考え方 Aちゃんのそれまでの生育歴や発達過程に留意し、前の担当と新しい担当が情報を共有するなど、職員間で協力して対応することです。乳児保育では特定の保育士が応答的に関わることが大切なので、担当の交代は子どもの安心に影響します。引き継ぎを丁寧にすることが求められます。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章3(2)キ、第2章1〜3)、こども家庭庁「保育所保育指針解説」(序章)、e-Gov法令検索「児童福祉法」(第6条の2の2)(2026-10-16確認)

確認問題(25問)

五肢択一(「2つ選べ」などの問題は正解が複数)。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。

問1|保育所の定義

児童福祉法第39条第1項の保育所の定義として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 保護者が希望すれば、保育の必要の有無にかかわらず乳児・幼児を通わせて保育する施設
  2. 保育を必要とする乳児・幼児を入所させて、家庭に代わって養育する施設
  3. 保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行う施設
  4. 保育を必要とする乳児・幼児を通わせる施設で、幼保連携型認定こども園を含む
  5. 小学校就学前の幼児に、学校教育として教育を行う施設
正解と解説
正解:C. 保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行う施設

第39条第1項は、保育所を「保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行うことを目的とする施設」と定めています。保育の必要がない子どもを希望だけで受け入れる施設ではありません。子どもが入所して生活する施設(乳児院など)とも違い、毎日家庭から通います。かっこ書きで幼保連携型認定こども園は除かれています。学校教育として教育を行うのは幼稚園などで、保育所は児童福祉施設です。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第39条)(2026-10-16確認)

問2|保育士の定義

児童福祉法第18条の4に定める保育士の業務として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 児童の保育と、児童の保護者に対する保育に関する指導
  2. 児童の保育だけで、保護者への指導は含まれない
  3. 児童の保育と、児童の病気の診断・治療
  4. 保護者に対する保育に関する指導だけで、児童の保育は含まれない
  5. 児童の保育と、地域の子育て支援施設の運営の監督
正解と解説
正解:A. 児童の保育と、児童の保護者に対する保育に関する指導

第18条の4は、保育士を、専門的知識と技術をもって「児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導」を行うことを業とする者と定めています。保護者への指導も法律上の業務なので、「保育だけ」は誤りです。逆に「保護者への指導だけ」も誤りです。病気の診断・治療は医師の仕事です。施設の運営の監督は、保育士の定義には含まれません。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第18条の4)(2026-10-16確認)

問3|保育士の義務

児童福祉法に定める保育士の義務などについて、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 秘密保持義務は、保育士として勤務している間だけ守ればよい
  2. 保育士は、正当な理由なく業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならず、保育士でなくなった後も同じである
  3. 保育士の資格がない者は、保育所で子どもの保育に関わる仕事をしてはならない
  4. 信用失墜行為の禁止は、勤務時間中の行為だけが対象である
  5. 保育士でない者は、保育士またはこれに紛らわしい名称を使用してはならない
正解と解説
正解:B・E(保育士は、正当な理由なく業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならず、保育士でなくなった後も同じである / 保育士でない者は、保育士またはこれに紛らわしい名称を使用してはならない)

第18条の22の秘密保持義務は「保育士でなくなつた後においても、同様とする」とされ、在職中だけではありません。第18条の23は、保育士でない者が保育士や紛らわしい名称を使うことを禁じています(名称独占)。一方、法律は保育の仕事そのものを保育士だけに限る「業務独占」にはしていないので、「資格がない者は保育に関わる仕事をしてはならない」は誤りです。第18条の21の信用失墜行為の禁止は「保育士の信用を傷つけるような行為」を広く禁じており、勤務時間中に限っていません。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第18条の21〜第18条の23)(2026-10-16確認)

問4|地域への情報提供・相談

児童福祉法第48条の4に定める、保育所の地域の住民に対する役割について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 保育に関する情報の提供も、相談・助言も、どちらも努力義務である
  2. 保育に関する情報の提供も、相談・助言も、どちらも義務である
  3. 相談・助言は義務で、保育に関する情報の提供は努力義務である
  4. 保育に関する情報の提供は義務で、相談・助言は保育に支障がない限りで行うよう努める
  5. 地域の住民への対応は市町村の役割で、保育所の役割とはされていない
正解と解説
正解:D. 保育に関する情報の提供は義務で、相談・助言は保育に支障がない限りで行うよう努める

第48条の4第1項は、保育所はその行う保育に関し情報の提供を「行わなければならない」(義務)とし、第2項は、保育に支障がない限りにおいて乳児・幼児等の保育に関する相談に応じ助言を「行うよう努めなければならない」(努力義務)としています。両方とも努力義務・両方とも義務、とする選択肢や、義務と努力義務を逆にした選択肢は誤りです。条文は保育所自身の役割として定めているので、市町村だけの役割というのも誤りです。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第48条の4)(2026-10-16確認)

問5|保育所保育指針の性格

保育所保育指針の位置づけについて、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 各保育所が自由に参考にする手引きで、守るべき基準としての性格はない
  2. 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準に基づく告示で、規範性を有する基準としての性格をもつ
  3. 国会が制定した法律で、違反すると直ちに刑罰が科される
  4. 各都道府県が独自に定める条例で、内容は地域ごとに大きく異なる
  5. 幼稚園の教育内容を定めたもので、保育所には適用されない
正解と解説
正解:B. 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準に基づく告示で、規範性を有する基準としての性格をもつ

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第35条は、保育所の保育の内容は国が定める指針に従うとしており、保育所保育指針はこれに基づく告示です。指針解説は、指針が「規範性を有する基準としての性格をもつ」と説明しています。そのため、自由な手引きではありません。国会が制定した法律でも、都道府県の条例でもありません。幼稚園の教育内容を定めるのは幼稚園教育要領で、保育所保育指針は保育所に適用されます。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(第35条)、こども家庭庁「保育所保育指針解説」(序章)(2026-10-16確認)

問6|保育所保育指針の歩み

保育所保育指針の歩みについて、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 指針は2000年代に初めて作られ、それ以前は保育内容を示す国の文書はなかった
  2. 指針は1965年に告示として制定され、その後一度も改定されていない
  3. 現行の指針は2008年に告示され、2017年の改定は行われなかった
  4. 現行の指針は2017年に告示され、同じ年の4月1日から適用された
  5. 指針は1965年に策定され、2008年の改定で告示となり、現行は2017年告示である
正解と解説
正解:E. 指針は1965年に策定され、2008年の改定で告示となり、現行は2017年告示である

指針解説によると、指針は1965年(昭和40年)に策定され、1990年・1999年の改訂を経て、2008年(平成20年)の改定で告示化されました。現行の指針は2017年(平成29年)3月31日に告示され、2018年(平成30年)4月1日から適用されています。したがって、2000年代に初めて作られた、1965年から改定なし、2017年の改定なし、は誤りです。2017年の4月1日から適用、も誤りで、適用は翌2018年4月1日です。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(前文)、こども家庭庁「保育所保育指針解説」(序章)(2026-10-16確認)

問7|指針の構成

保育所保育指針(2017年告示)の章と、その章の名前の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 第2章 ― 子育て支援
  2. 第5章 ― 保育の計画及び評価
  3. 第3章 ― 健康及び安全
  4. 第1章 ― 職員の資質向上
  5. 第4章 ― 保育の内容
正解と解説
正解:C. 第3章 ― 健康及び安全

指針は、第1章 総則、第2章 保育の内容、第3章 健康及び安全、第4章 子育て支援、第5章 職員の資質向上、の5章です。子育て支援は第4章、保育の内容は第2章、職員の資質向上は第5章です。「保育の計画及び評価」は独立した章ではなく、第1章総則の中の項目(3)です。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(2026-10-16確認)

問8|保育所の特性

保育所保育指針は、保育所の特性について次のように書いている。( )に入る語句として、最も適切なものを1つ選びなさい。「保育に関する専門性を有する職員が、家庭との緊密な連携の下に、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、( )ことを特性としている。」

  1. 養護及び教育を一体的に行う
  2. 養護を先に行い、3歳以降に教育を行う
  3. 教科ごとの学習を計画的に行う
  4. 保護者に代わって家庭教育を行う
  5. 生命の保持だけを専門的に行う
正解と解説
正解:A. 養護及び教育を一体的に行う

指針第1章1(1)イは、保育所は「養護及び教育を一体的に行うことを特性としている」と書いています。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第35条も同じ考え方です。養護と教育は年齢で分けるものではなく、0歳から一体的に行います。保育所は教科ごとの学習を行う場ではありません。家庭教育の代わりではなく、家庭と連携します。生命の保持は養護の一部で、それだけを行うわけではありません。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章1(1))、e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(第35条)(2026-10-16確認)

問9|保育の目標

保育所保育指針の「保育の目標」(子どもについての目標)に含まれるものとして、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 生活に必要な基本的な習慣や態度を養い、心身の健康の基礎を培う
  2. 小学校の教科の内容を先取りして、読み書きや計算を身に付けさせる
  3. 集団の決まりを守ることを最優先し、一人一人の欲求は後回しにする
  4. 人に対する愛情と信頼感、人権を大切にする心を育て、道徳性の芽生えを培う
  5. 競争を通して、他の子どもより早くできるようになる力を育てる
正解と解説
正解:A・D(生活に必要な基本的な習慣や態度を養い、心身の健康の基礎を培う / 人に対する愛情と信頼感、人権を大切にする心を育て、道徳性の芽生えを培う)

保育の目標アには、生命の保持と情緒の安定、基本的な習慣や態度と心身の健康の基礎、人に対する愛情と信頼感・人権を大切にする心・道徳性の芽生え、興味や関心と思考力の芽生え、言葉の豊かさ、感性・表現力と創造性の芽生え、の6つがあります。小学校の教科の先取りは目標に含まれません。目標(ア)は「子どもの様々な欲求を満たし」とあり、一人一人の欲求を後回しにする考え方とは逆です。競争で他の子より早くできることも、目標には書かれていません。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章1(2))(2026-10-16確認)

問10|保育の方法

保育所保育指針の「保育の方法」として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 同じ年齢の子どもには、発達の違いにかかわらず同じ内容を同じ時期に一斉に行う
  2. 保育士があらかじめ決めた課題を、子どもが指示どおりにこなすことを中心にする
  3. 家庭での生活の様子は保護者の問題なので、保育所では把握しない
  4. 子どもの生活のリズムよりも、保育所の日課に合わせることを優先する
  5. 子どもが自発的・意欲的に関われる環境を構成し、生活や遊びを通して総合的に保育する
正解と解説
正解:E. 子どもが自発的・意欲的に関われる環境を構成し、生活や遊びを通して総合的に保育する

指針の保育の方法オは、子どもが自発的・意欲的に関われるような環境を構成し、子どもの主体的な活動や子ども相互の関わりを大切にし、生活や遊びを通して総合的に保育すること、としています。ウは一人一人の発達過程に応じて保育し個人差に十分配慮することとしており、年齢で一斉にそろえる考え方とは違います。保育士の指示どおりにこなす活動を中心にするのも、主体性を大切にする考え方と合いません。アは家庭や地域社会での生活の実態を把握すること、イは子どもの生活のリズムを大切にすることを求めています。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章1(3))(2026-10-16確認)

問11|保育の環境

保育所保育指針が示す「保育の環境」について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 保育の環境とは、園舎や遊具などの物的環境だけを指す
  2. 保育士等や子どもなどの人的環境、施設や遊具などの物的環境、自然や社会の事象などがあり、計画的に構成する
  3. 環境は子どもが自由に作るものなので、保育士は環境の構成に関わらない
  4. 保育の環境は、安全のためにできるだけ変化させず一年中同じにしておく
  5. 人的環境とは、保育士等だけを指し、子ども同士の関係は含まない
正解と解説
正解:B. 保育士等や子どもなどの人的環境、施設や遊具などの物的環境、自然や社会の事象などがあり、計画的に構成する

指針第1章1(4)は、保育の環境には保育士等や子どもなどの人的環境、施設や遊具などの物的環境、さらに自然や社会の事象などがあるとし、これらが相互に関連し合うよう、計画的に環境を構成し、工夫して保育しなければならない、としています。物的環境だけではありません。保育士は環境を計画的に構成する役割を担います。指針は子どもの活動が豊かに展開されるような環境を求めており、変化させないことを求めてはいません。人的環境には子どもも含まれます。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章1(4))(2026-10-16確認)

問12|保育所の社会的責任

保育所保育指針の「保育所の社会的責任」について、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 保育の内容は専門的なので、保護者や地域社会に説明する必要はない
  2. 保護者からの苦情は市町村が受け付けるので、保育所は対応しなくてよい
  3. 子どもの人権に十分配慮するとともに、一人一人の人格を尊重して保育を行う
  4. 地域社会との交流は保育の妨げになるので、できるだけ控える
  5. 入所する子ども等の個人情報を適切に取り扱い、保護者の苦情などの解決を図るよう努める
正解と解説
正解:C・E(子どもの人権に十分配慮するとともに、一人一人の人格を尊重して保育を行う / 入所する子ども等の個人情報を適切に取り扱い、保護者の苦情などの解決を図るよう努める)

指針第1章1(5)は、保育所は子どもの人権に十分配慮し一人一人の人格を尊重して保育を行うこと、地域社会との交流や連携を図り保護者や地域社会に保育の内容を適切に説明するよう努めること、個人情報を適切に取り扱い保護者の苦情などの解決を図るよう努めること、としています。したがって、説明しなくてよい、苦情は保育所が対応しなくてよい、地域との交流を控える、は誤りです。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章1(5))(2026-10-16確認)

問13|養護の定義

保育所保育指針における「養護」の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 病気の子どもに対して看護師が行う医療的な処置
  2. 子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助
  3. 保育士等が子どもに生活習慣をしつけるための指導
  4. 子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わり
  5. 保護者が家庭で行う子育てを、保育所が代わりに行うこと
正解と解説
正解:D. 子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わり

指針は、保育における養護を「子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わり」と定義しています。「発達の援助」は、指針第2章が示す「教育」の定義なので、養護の説明としては誤りです。養護は医療的な処置に限られず、しつけのための指導でもありません。また、家庭の子育てを代わりに行うことではなく、家庭と連携して行います。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章2(1)、第2章前文)(2026-10-16確認)

問14|情緒の安定のねらい

保育所保育指針の養護に関わるねらいのうち、「情緒の安定」のねらいとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 一人一人の子どもが、健康で安全に過ごせるようにする
  2. 一人一人の子どもの生理的欲求が、十分に満たされるようにする
  3. 一人一人の子どもが、快適に生活できるようにする
  4. 一人一人の子どもの健康増進が、積極的に図られるようにする
  5. 一人一人の子どもが、自分の気持ちを安心して表すことができるようにする
正解と解説
正解:E. 一人一人の子どもが、自分の気持ちを安心して表すことができるようにする

養護には「生命の保持」と「情緒の安定」の2つの柱があり、それぞれねらいが4つあります。「自分の気持ちを安心して表すことができるようにする」は情緒の安定のねらいです。ほかの4つ(健康で安全に過ごせる、生理的欲求が十分に満たされる、快適に生活できる、健康増進が積極的に図られる)は、すべて生命の保持のねらいです。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章2(2))(2026-10-16確認)

問15|教育の定義と5領域

保育所保育指針の第2章「保育の内容」について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「教育」とは、小学校の教科の基礎となる知識を教え込むことと定義されている
  2. 「教育」とは、子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助と定義されている
  3. 5領域は、0歳から5歳まですべての年齢で同じ形で示されている
  4. 5領域は、健康・人間関係・環境・言葉・音楽である
  5. 5領域は小学校の教科と同じで、領域ごとに時間を区切って指導する
正解と解説
正解:B. 「教育」とは、子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助と定義されている

指針第2章は、教育を「子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助」と定義しています。知識を教え込むことではありません。5領域は健康・人間関係・環境・言葉・表現で、「音楽」ではなく「表現」です。5領域で示されるのは1歳以上3歳未満児と3歳以上児で、乳児は3つの視点で示されるので、全年齢で同じではありません。領域は教科とは違い、生活や遊びの中で重なり合って展開されます。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第2章)(2026-10-16確認)

問16|養護と教育の一体性

1歳児のおむつを替えるとき、保育士が「さっぱりしたね」と目を合わせて声をかけた。保育所保育指針の考え方に照らして、この場面の説明として最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. おむつ替えは養護の場面なので、声かけなどの教育的な関わりは別の時間に行うべきである
  2. 言葉の発達は3歳以上児の課題なので、1歳児への声かけは保育の内容に当たらない
  3. 生理的欲求を満たす養護と、言葉や人との関わりを育む教育が、一体的に展開されている
  4. 衛生管理だけが目的の場面なので、できるだけ短時間で無言で済ませることが望ましい
  5. 保護者が家庭で行うべきことを代わりに行っているので、保育の内容には含まれない
正解と解説
正解:C. 生理的欲求を満たす養護と、言葉や人との関わりを育む教育が、一体的に展開されている

指針は、保育所の保育は養護及び教育を一体的に行うことを特性とする、としています。おむつ替えは生理的欲求を満たす養護の場面ですが、目を合わせた声かけは、人との関わりや言葉の育ちにつながる教育的な関わりでもあります。養護と教育を時間で分けるという考え方は誤りです。1歳以上3歳未満児にも領域「言葉」があります。衛生だけを目的に無言で済ませるのは、応答的な関わりを大切にする指針の考え方と合いません。生活の世話も保育の内容です。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章1(1)・2(1)、第2章)(2026-10-16確認)

問17|全体的な計画と指導計画

保育所保育指針の「保育の計画」について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 全体的な計画は保育所保育の全体像を包括的に示すもので、これに基づいて指導計画などを作成する
  2. 指導計画を先に作り、全体的な計画は作らなくてもよい
  3. 全体的な計画は国が全国共通のものを作成し、各保育所はそれをそのまま使う
  4. 保健計画と食育計画は、全体的な計画とは関係なく別に作成する
  5. 全体的な計画は、0歳児クラスだけを対象に作成する
正解と解説
正解:A. 全体的な計画は保育所保育の全体像を包括的に示すもので、これに基づいて指導計画などを作成する

指針第1章3(1)は、各保育所の保育の方針や目標に基づき全体的な計画を作成しなければならないとし、全体的な計画は「保育所保育の全体像を包括的に示すもの」で、これに基づく指導計画、保健計画、食育計画等を通じて各保育所が創意工夫して保育できるよう作成する、としています。全体的な計画は省略できません。国が共通のものを作るのではなく、各保育所が作ります。保健計画・食育計画も全体的な計画に基づきます。対象は保育所の生活全体です。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章3(1))(2026-10-16確認)

問18|指導計画の種類

保育所保育指針の指導計画について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 3歳未満児については、クラス全体の計画だけを作成し、個別の計画は作らない
  2. 短期的な指導計画は、子どもの生活や発達を長い期間で見通すためのものである
  3. 3歳以上児については、一人一人の生育歴に即した個別的な計画の作成が求められている
  4. 指導計画は年間計画だけを作成し、月・週・日の計画は作らない
  5. 3歳未満児については、一人一人の生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して個別的な計画を作成する
正解と解説
正解:E. 3歳未満児については、一人一人の生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して個別的な計画を作成する

指針第1章3(2)は、長期的な指導計画(子どもの生活や発達を見通したもの)と、より具体的な日々の生活に即した短期的な指導計画を作成するとし、3歳未満児については一人一人の生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して個別的な計画を作成すること、としています。3歳以上児については、個の成長と子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮すること、とされています。長期と短期の説明を入れ替えた選択肢や、年間計画だけとする選択肢は誤りです。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章3(2))(2026-10-16確認)

問19|保育内容等の評価

保育所保育指針の「保育内容等の評価」について、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 保育士等の自己評価では、子どもの活動内容やその結果だけでなく、心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮する
  2. 保育所の自己評価の結果は、必ず公表しなければならない義務とされている
  3. 保育の評価は施設長だけが行い、保育士等は自己評価を行わない
  4. 保育所の自己評価は、その結果を公表するよう努めなければならないとされている
  5. 評価は子どもができるようになったことの数だけで行う
正解と解説
正解:A・D(保育士等の自己評価では、子どもの活動内容やその結果だけでなく、心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮する / 保育所の自己評価は、その結果を公表するよう努めなければならないとされている)

指針第1章3(4)は、保育士等は自らの保育実践を振り返り自己評価することで専門性の向上や保育実践の改善に努めなければならず、その際、子どもの活動内容やその結果だけでなく、子どもの心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮するよう留意すること、としています。保育所の自己評価については、その結果を「公表するよう努めなければならない」とされ、努力義務です。したがって「必ず公表する義務」は誤りです。保育士等も自己評価を行います。できたことの数だけで評価するのは、過程を重視する指針の考え方と合いません。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章3(4))(2026-10-16確認)

問20|育みたい資質・能力

保育所保育指針の「育みたい資質・能力」の3つの組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 健康な心と体、自立心、協同性
  2. 生命の保持、情緒の安定、健康増進
  3. 知識及び技能の基礎、思考力・判断力・表現力等の基礎、学びに向かう力・人間性等
  4. 健やかに伸び伸びと育つ、身近な人と気持ちが通じ合う、身近なものと関わり感性が育つ
  5. 読む力、書く力、計算する力
正解と解説
正解:C. 知識及び技能の基礎、思考力・判断力・表現力等の基礎、学びに向かう力・人間性等

指針第1章4(1)は、育みたい資質・能力として「知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力等の基礎」「学びに向かう力、人間性等」の3つを挙げ、一体的に育むよう努めるとしています。健康な心と体・自立心・協同性は「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」(10の姿)の一部です。生命の保持・情緒の安定は養護の柱です。「健やかに伸び伸びと育つ」などは乳児保育の3つの視点です。読み書き計算は資質・能力として示されていません。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章4(1))(2026-10-16確認)

問21|10の姿の位置づけ

保育所保育指針の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 小学校入学までにすべての子どもが到達しなければならない到達目標である
  2. 小学校就学時の具体的な姿であり、保育士等が指導を行う際に考慮するものである
  3. 5歳児クラスだけで扱い、それより下の年齢の保育とは関係がない
  4. 項目ごとに子どもを点数で評価し、小学校に成績として伝えるためのものである
  5. 保護者が家庭で達成させる目標として示されている
正解と解説
正解:B. 小学校就学時の具体的な姿であり、保育士等が指導を行う際に考慮するものである

指針第1章4(2)は、この姿を、ねらい及び内容に基づく保育活動全体を通して資質・能力が育まれている子どもの小学校就学時の具体的な姿であり、保育士等が指導を行う際に考慮するもの、としています。全員が到達すべき到達目標ではありません。「保育活動全体を通して」育まれるので、5歳児クラスだけのものではありません。点数で評価するものでも、保護者が家庭で達成させる目標でもありません。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章4(2))(2026-10-16確認)

問22|乳児保育の3つの視点

保育所保育指針で、乳児保育のねらい及び内容を示す「3つの視点」の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 健康・人間関係・環境
  2. 生命の保持・情緒の安定・健康増進
  3. 自立心・協同性・思考力の芽生え
  4. 健やかに伸び伸びと育つ・身近な人と気持ちが通じ合う・身近なものと関わり感性が育つ
  5. 見る・聞く・話す
正解と解説
正解:D. 健やかに伸び伸びと育つ・身近な人と気持ちが通じ合う・身近なものと関わり感性が育つ

指針第2章1は、乳児保育のねらい及び内容を、身体的発達に関する「健やかに伸び伸びと育つ」、社会的発達に関する「身近な人と気持ちが通じ合う」、精神的発達に関する「身近なものと関わり感性が育つ」の3つの視点で示しています。指針解説は、乳児期は発達の諸側面が未分化であるため、この3つの視点で整理したと説明しています。健康・人間関係・環境は5領域の一部で、1歳以上に使われます。生命の保持・情緒の安定は養護の柱、自立心・協同性などは10の姿の一部です。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第2章1)、こども家庭庁「保育所保育指針解説」(序章)(2026-10-16確認)

問23|乳児保育の配慮事項

保育所保育指針の乳児保育に関わる配慮事項について、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 乳児は疾病への抵抗力が強いので、保健的な対応は特に必要ない
  2. 一人一人の生育歴の違いに留意しつつ欲求を適切に満たし、特定の保育士が応答的に関わるように努める
  3. できるだけ多くの保育士が日替わりで関わり、特定の大人への愛着ができないようにする
  4. 担当の保育士が替わる場合には、子どものそれまでの生育歴や発達過程に留意し、職員間で協力して対応する
  5. 乳児保育は保育士だけで行い、嘱託医や看護師等との連携は求められていない
正解と解説
正解:B・D(一人一人の生育歴の違いに留意しつつ欲求を適切に満たし、特定の保育士が応答的に関わるように努める / 担当の保育士が替わる場合には、子どものそれまでの生育歴や発達過程に留意し、職員間で協力して対応する)

指針第2章1(3)は、乳児は疾病への抵抗力が弱く、心身の機能の未熟さに伴う疾病の発生が多いことから保健的な対応を行うこと、生育歴の違いに留意しつつ欲求を適切に満たし特定の保育士が応答的に関わるように努めること、職員間の連携や嘱託医との連携を図り栄養士や看護師等の専門性を生かすこと、保護者との信頼関係を築くこと、担当の保育士が替わる場合には生育歴や発達過程に留意し職員間で協力して対応すること、を挙げています。抵抗力が強い、特定の大人への愛着を避ける、嘱託医等との連携は不要、はいずれも指針と逆です。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第2章1(3))(2026-10-16確認)

問24|障害のある子どもの保育

保育所保育指針の、障害のある子どもの保育についての記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 障害のある子どもは、専門機関に通うことが原則なので、保育所の指導計画には位置付けない
  2. 障害のある子どもは、他の子どもと別のクラスで、別の日課で保育することが求められている
  3. 他の子どもと共に成長できるよう指導計画に位置付け、家庭や関係機関と連携した支援計画を個別に作成する
  4. 障害の診断名が確定するまでは、特別な配慮を行わないこととされている
  5. 支援の計画は保育所だけで作成し、家庭や関係機関には知らせないこととされている
正解と解説
正解:C. 他の子どもと共に成長できるよう指導計画に位置付け、家庭や関係機関と連携した支援計画を個別に作成する

指針第1章3(2)キは、一人一人の発達過程や障害の状態を把握し、適切な環境の下で、障害のある子どもが他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう指導計画の中に位置付けること、また家庭や関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成するなど適切な対応を図ること、としています。指導計画に位置付けない、別のクラス・別の日課、は「他の子どもとの生活を通して共に成長」と合いません。指針は発達過程や障害の状態の把握を求めており、診断名の確定を条件にしていません。計画は家庭や関係機関と連携して作ります。

根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)(第1章3(2)キ)(2026-10-16確認)

問25|保育所等訪問支援

児童福祉法に定める「保育所等訪問支援」の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 保育所などを訪問し、障害児が障害児以外の児童との集団生活に適応するための専門的な支援などを行う
  2. 障害児を児童発達支援センターなどに通わせ、日常生活の基本的な動作の習得などの支援を行う
  3. 都道府県の職員が保育所を訪問し、設備や運営が基準に合っているかを監査する
  4. 保育士が障害児の自宅を訪問し、保護者の代わりに家事を行う
  5. 小学校の教員が保育所を訪問し、就学前の子どもに教科の授業を行う
正解と解説
正解:A. 保育所などを訪問し、障害児が障害児以外の児童との集団生活に適応するための専門的な支援などを行う

児童福祉法第6条の2の2は、保育所等訪問支援を、保育所など集団生活を営む施設に通う障害児などについて、その施設を訪問し、障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援などを行うもの、としています。障害児を児童発達支援センターなどに通わせる支援は「児童発達支援」で、別のサービスです。基準に合っているかの監査、家事の代行、教科の授業は、保育所等訪問支援の内容ではありません。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第6条の2の2)(2026-10-16確認)

演習:この章の問題を解く

ランダム出題の演習ツールです(JavaScript が有効な場合に動きます)。上の「確認問題」はそのままでもすべて読めます。

※ 解説は学習用の情報提供です。試験の日程・出題範囲・合格基準は、必ず全国保育士養成協議会の公式発表をご確認ください。
※ 問題はすべて仮の宿 学習室のオリジナル問題で、本試験の問題ではありません。保健・栄養の内容は国のガイドラインに基づく学習用の説明で、医療上の助言ではありません。