幼稚園教員 KINDERGARTEN TEACHER
領域「環境」「言葉」「表現」
講義 5 本・確認問題 45 問 | 幼稚園教育要領 | 最終更新 2026-10-16
この章で学ぶこと- 領域「環境」のねらい3つ・内容12項目・内容の取扱い5項目を、要領の文言で押さえる。
- 領域「言葉」は、言葉が応答の中で獲得されること、文字は「伝える楽しさ」と関心を育てることを理解する。
- 領域「表現」は、素朴な表現を受容し、表現する過程を大切にするという考え方を理解する。
- 領域は発達の側面から見る視点で、具体的な活動を通して総合的に指導されることを説明できる。
- 保育所保育指針の3歳以上児・1歳以上3歳未満児の記述との共通点と違いを知る。
1. 領域「環境」のねらいと内容
領域「環境」は、身の回りの自然・物・数量や文字・文化などとの関わりを扱います。まず、ねらい3つと内容12項目を、要領の言葉のまま押さえます。
幼稚園教育要領(平成29年告示)の第2章は、幼稚園で育てたいことを5つの領域に分けて示しています。領域とは、幼児の発達をどの面から見るかという「窓」のようなもので、小学校の教科とは違います(くわしくは第5講義)。このうち領域「環境」は「身近な環境との関わりに関する領域」です。最初に、この領域が何を養うのかが〔 〕の中に書かれています。
〔周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもって関わり,それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。〕
ここでの「環境」は、自然だけではありません。遊具や道具などの物、数や形、標識や文字、地域の施設や情報、季節の行事や伝統文化まで、幼児を取り巻くものすべてを含みます。大事なのは「知っている」ことより、自分から関わり、生活に取り入れようとする力を育てることです。
ねらい(3つ)
(1) 身近な環境に親しみ,自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ。
(2) 身近な環境に自分から関わり,発見を楽しんだり,考えたりし,それを生活に取り入れようとする。
(3) 身近な事象を見たり,考えたり,扱ったりする中で,物の性質や数量,文字などに対する感覚を豊かにする。
(3)の最後は「知識を身に付ける」ではなく「感覚を豊かにする」です。幼稚園では、数を正しく数えられる、文字を書けるといった到達目標は示されていません。試験ではこの語句の違いがよく問われます。
内容(12項目)
領域「環境」の内容(幼稚園教育要領 第2章)| 番号 | 内容(要領の文言) | まとまり |
|---|
| (1) | 自然に触れて生活し,その大きさ,美しさ,不思議さなどに気付く。 | 自然 |
| (2) | 生活の中で,様々な物に触れ,その性質や仕組みに興味や関心をもつ。 | 物 |
| (3) | 季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く。 | 自然・季節 |
| (4) | 自然などの身近な事象に関心をもち,取り入れて遊ぶ。 | 自然 |
| (5) | 身近な動植物に親しみをもって接し,生命の尊さに気付き,いたわったり,大切にしたりする。 | 生命 |
| (6) | 日常生活の中で,我が国や地域社会における様々な文化や伝統に親しむ。 | 文化・伝統 |
| (7) | 身近な物を大切にする。 | 物 |
| (8) | 身近な物や遊具に興味をもって関わり,自分なりに比べたり,関連付けたりしながら考えたり,試したりして工夫して遊ぶ。 | 物・思考 |
| (9) | 日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ。 | 数量・図形 |
| (10) | 日常生活の中で簡単な標識や文字などに関心をもつ。 | 標識・文字 |
| (11) | 生活に関係の深い情報や施設などに興味や関心をもつ。 | 情報・施設 |
| (12) | 幼稚園内外の行事において国旗に親しむ。 | 国旗 |
「まとまり」の列は、覚えやすくするためにこのラボで付けた分け方で、要領にはありません。内容を見ると、(9)(10)の数量・図形・標識・文字はどれも「日常生活の中で」「関心をもつ」と書かれています。(6)の文化や伝統、(12)の国旗が、領域「人間関係」ではなく「環境」に入っていることも確認しておきましょう。(8)の「自分なりに比べたり,関連付けたりしながら考えたり,試したり」は、のちの幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の「思考力の芽生え」につながる部分です。
「健康」「人間関係」の2領域は前の章で扱いました。保育所保育指針の3歳以上児の領域「環境」も、ねらいと内容はほぼ同じ文で、「幼稚園内外」が「保育所内外」となっています。
用語
- 領域
- 幼児の発達を見る側面ごとに、ねらいと内容をまとめたもの。健康・人間関係・環境・言葉・表現の5つ。
- ねらい
- 幼稚園教育で育みたい資質・能力を、幼児の生活する姿から捉えたもの。
- 内容
- ねらいを達成するために指導する事項。
- 事象
- 身の回りで起きる出来事や現象。雨が降る、氷が溶ける、影が伸びる、など。
- 探究心
- 不思議に思ったことを、自分で確かめたり調べたりしようとする気持ち。
例題
例題:「日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ」と「10までの数を正しく数えられるようにする」。領域「環境」の内容として要領に書かれているのはどちらか。
答えと考え方 前者です。要領の内容(9)の文言そのものです。幼稚園教育要領は「できるようにする」という到達目標ではなく、関心や感覚を育てることを示しています。おやつを配るときに数を数える、積み木の形に気付くなど、生活の中で自然に数や形に触れる経験を重ねることが大切です。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年3月告示)第2章 ねらい及び内容「環境」、こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年告示)第2章3(2)ウ「環境」
2. 「環境」の内容の取扱いと指導の例
内容の取扱いは、指導するときに気を付けることです。「環境」の5項目を、自然・動植物・文化・数量と文字の場面に当てはめて考えます。
各領域の「内容の取扱い」は、要領の言葉では「幼児の発達を踏まえた指導を行うに当たって留意すべき事項」です。つまり「どう指導するか」の注意書きです。領域「環境」には5項目あります。
領域「環境」の内容の取扱い(要点)| 番号 | 要点 | 要領のキーワード |
|---|
| (1) | 遊びの中で周囲の環境と関わり、自分なりに考えられるようになる過程を大切にする。他の幼児の考えに触れる喜びも味わえるようにする | 物事の法則性に気付き/過程を大切にする/新しい考えを生み出す喜びや楽しさ |
| (2) | 自然に直接触れる体験を大切にし、自然との関わりを深められるよう工夫する | 心が安らぎ,豊かな感情,好奇心,思考力,表現力の基礎 |
| (3) | 感動を伝え合い共感し合う中で、自分から関わろうとする意欲を育てる | 親しみや畏敬の念,生命を大切にする気持ち,公共心,探究心 |
| (4) | 伝統的な行事や遊び、異なる文化に触れる活動に親しむ | 社会とのつながりの意識や国際理解の意識の芽生え |
| (5) | 数量や文字は、幼児自身の必要感に基づく体験を大切にする | 必要感/興味や関心,感覚 |
(1) 答えより「考える過程」
要領は、幼児が「次第に周囲の世界に好奇心を抱き,その意味や操作の仕方に関心をもち,物事の法則性に気付き,自分なりに考えることができるようになる過程を大切にする」としています。たとえば坂道で車を転がす遊びで、教師がすぐに「坂が急だと速いよ」と答えを言うのではなく、幼児が板の角度を変えて何度も試す時間を保障します。友達の違うやり方を見て「そうすればいいのか」と気付くことも、(1)の後半「他の幼児の考えなどに触れて新しい考えを生み出す喜びや楽しさを味わい,自分の考えをよりよいものにしようとする気持ち」に当たります。
(2)(3) 自然と動植物
(2)は「幼児期において自然のもつ意味は大きく」と始まり、自然の大きさ・美しさ・不思議さに直接触れる体験を通して「幼児の心が安らぎ,豊かな感情,好奇心,思考力,表現力の基礎が培われる」としています。図鑑や映像だけで済ませず、実際に土や水や虫に触れる機会をつくることが基本です。
(3)は、動植物への感動を教師や友達と「伝え合い,共感し合う」ことで、自分から関わろうとする意欲を育てるとしています。その結果として養われるのが「親しみや畏敬の念,生命を大切にする気持ち,公共心,探究心など」です。飼育しているウサギが死んでしまったとき、その悲しみを受け止め、みんなで命について話す経験も、この項目に関わります。
(4) 文化や伝統
正月や節句など我が国の伝統的な行事、国歌、唱歌、わらべうた、伝統的な遊びに親しむことに加え、「異なる文化に触れる活動」にも親しむと書かれています。目指すのは「社会とのつながりの意識や国際理解の意識の芽生え」です。外国につながる幼児がいる園では、その家庭の言葉のあいさつや行事を紹介することも、異なる文化に触れる機会になります。
(5) 数量や文字は「必要感」から
数量や文字は「日常生活の中で幼児自身の必要感に基づく体験を大切にし」と書かれています。必要感とは「使いたい、知りたい」という幼児の側の思いです。お店屋さんごっこで値段の札が欲しくなる、当番表で自分の名前を探す、といった場面がその例です。プリントでの書き取り練習のように、大人が先に教え込むやり方とは考え方が違います。
これらは、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の「思考力の芽生え」「自然との関わり・生命尊重」「数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚」と深く関係します。
用語
- 内容の取扱い
- 幼児の発達を踏まえた指導を行うに当たって留意すべき事項。
- 法則性
- 「こうすると、いつもこうなる」というきまり。
- 畏敬の念
- 自然や生命の大きさに対して、おそれ敬う気持ち。
- 必要感
- 遊びや生活の中で、幼児自身が「必要だ」「使いたい」と感じること。
- 国際理解
- 自分と異なる文化や習慣をもつ人がいることを知り、尊重しようとすること。
例題
例題:5歳児が郵便ごっこを始め、「手紙に名前を書きたい」と言っている。領域「環境」の内容の取扱いに沿った教師の関わりとして、どのようなものが考えられるか。
答えと考え方 幼児の「書きたい」という必要感を生かし、名前カードや五十音表をそばに置く、教師が書いて見せるなど、文字に触れられる環境を用意します。全員に同じ字を書かせる練習を始めるのではなく、文字で伝える楽しさを味わえるようにします(要領「環境」内容の取扱い(5))。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」第2章「環境」3 内容の取扱い、第1章 第2の3「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」(6)〜(8)
3. 領域「言葉」のねらい・内容・内容の取扱い
領域「言葉」は「言葉の獲得に関する領域」です。話す・聞く・絵本・文字の4つの面から、要領の文言と指導のポイントを整理します。
領域「言葉」が養うものは、次の〔 〕に書かれています。
〔経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し,相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て,言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。〕
「自分なりの言葉で」「聞こうとする意欲や態度」という表現から分かるように、正しい発音や文法を教え込む領域ではありません。
ねらい(3つ)
(1) 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。
(2) 人の言葉や話などをよく聞き,自分の経験したことや考えたことを話し,伝え合う喜びを味わう。
(3) 日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに,絵本や物語などに親しみ,言葉に対する感覚を豊かにし,先生や友達と心を通わせる。
内容(10項目)
領域「言葉」の内容(幼稚園教育要領 第2章)| 番号 | 内容(要領の文言) |
|---|
| (1) | 先生や友達の言葉や話に興味や関心をもち,親しみをもって聞いたり,話したりする。 |
| (2) | したり,見たり,聞いたり,感じたり,考えたりなどしたことを自分なりに言葉で表現する。 |
| (3) | したいこと,してほしいことを言葉で表現したり,分からないことを尋ねたりする。 |
| (4) | 人の話を注意して聞き,相手に分かるように話す。 |
| (5) | 生活の中で必要な言葉が分かり,使う。 |
| (6) | 親しみをもって日常の挨拶をする。 |
| (7) | 生活の中で言葉の楽しさや美しさに気付く。 |
| (8) | いろいろな体験を通じてイメージや言葉を豊かにする。 |
| (9) | 絵本や物語などに親しみ,興味をもって聞き,想像をする楽しさを味わう。 |
| (10) | 日常生活の中で,文字などで伝える楽しさを味わう。 |
文字に関わるのは(10)だけで、それも「文字などで伝える楽しさを味わう」です。「ひらがなを読み書きできるようにする」とは書かれていません。領域「環境」の内容(10)「簡単な標識や文字などに関心をもつ」とあわせて、幼稚園では文字への興味・関心を育てると覚えましょう。
内容の取扱い(5項目)の要点
(1) 言葉は「身近な人に親しみをもって接し,自分の感情や意志などを伝え,それに相手が応答し,その言葉を聞くことを通して次第に獲得されていく」。だから、心を動かされる体験をし、言葉を交わす喜びを味わえるようにします。
(2) 自分の思いを伝えるとともに、教師や他の幼児の話を興味をもって注意して聞くことを通して、言葉による伝え合いができるようにします。
(3) 絵本や物語で、内容と自分の経験とを結び付けたり、想像を巡らせたりして楽しみを十分に味わうことで、豊かなイメージをもち、言葉に対する感覚が養われるようにします。
(4) 言葉の響きやリズム、新しい言葉や表現に触れ、使う楽しさを味わえるようにします。その際、絵本や物語、言葉遊びなどを通して言葉が豊かになるようにします。
(5) 文字などを使いながら思ったことや考えたことを伝える喜びや楽しさを味わい、文字に対する興味や関心をもつようにします。
園生活全体の「言語環境」
第1章総則の指導計画の留意事項には、「言語に関する能力の発達と思考力等の発達が関連していることを踏まえ,幼稚園生活全体を通して,幼児の発達を踏まえた言語環境を整え,言語活動の充実を図ること」とあります。言葉の指導は特別な時間だけで行うものではなく、遊びや生活のあらゆる場面で行うということです。教師自身の話し方も、幼児にとって大切な言語環境です。
言葉の領域は、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の「言葉による伝え合い」と直接つながります。日本語を母語としない幼児にとっては、身振りや絵カードなども使って思いを受け止め、応答してもらう経験が、言葉の獲得の土台になります。
用語
- 言語環境
- 幼児が聞いたり話したりする言葉の周りの状況。教師の話し方、絵本、掲示、友達との会話などを含む。
- 応答
- 相手の言葉や気持ちに、言葉や態度で返すこと。言葉の獲得の中心になる関わり。
- 言葉遊び
- しりとり、なぞなぞ、早口言葉など、言葉の音や意味そのものを楽しむ遊び。
- 伝え合い
- 自分の思いを伝え、相手の話を聞いて理解し合うこと。
例題
例題:4歳児が「せんせい、あのね、きのうね、おおきいね…」と、つかえながら一生懸命話している。領域「言葉」の考え方に沿った教師の対応はどれか考えなさい。
答えと考え方 話の内容に関心をもって最後まで聞き、「大きい何を見たの?」などと応答します。言葉は、伝えたことに相手が応答し、それを聞く経験を通して次第に獲得されていくからです(内容の取扱い(1))。言い間違いをその場で直させたり、話を急がせたりすると、話す楽しさ(ねらい(1))を損ないます。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」第2章「言葉」、第1章 第4の3(3)(言語環境)、第1章 第2の3(9)「言葉による伝え合い」
4. 領域「表現」のねらい・内容・内容の取扱い
領域「表現」は「感性と表現に関する領域」です。上手な作品を作ることではなく、感じたことを自分なりに表す過程を大切にするという考え方を押さえます。
領域「表現」が養うものは、次の〔 〕に書かれています。
〔感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して,豊かな感性や表現する力を養い,創造性を豊かにする。〕
表現には、絵をかく・ものをつくる・歌う・楽器を鳴らす・体を動かす・ごっこ遊びで演じるなど、いろいろな形があります。音楽や図画工作の技能を教える領域ではなく、感性(美しさや面白さを感じ取る心の働き)と、それを自分なりに表す力を育てる領域です。
ねらい(3つ)
(1) いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。
(2) 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
(3) 生活の中でイメージを豊かにし,様々な表現を楽しむ。
内容(8項目)
領域「表現」の内容(幼稚園教育要領 第2章)| 番号 | 内容(要領の文言) |
|---|
| (1) | 生活の中で様々な音,形,色,手触り,動きなどに気付いたり,感じたりするなどして楽しむ。 |
| (2) | 生活の中で美しいものや心を動かす出来事に触れ,イメージを豊かにする。 |
| (3) | 様々な出来事の中で,感動したことを伝え合う楽しさを味わう。 |
| (4) | 感じたこと,考えたことなどを音や動きなどで表現したり,自由にかいたり,つくったりなどする。 |
| (5) | いろいろな素材に親しみ,工夫して遊ぶ。 |
| (6) | 音楽に親しみ,歌を歌ったり,簡単なリズム楽器を使ったりなどする楽しさを味わう。 |
| (7) | かいたり,つくったりすることを楽しみ,遊びに使ったり,飾ったりなどする。 |
| (8) | 自分のイメージを動きや言葉などで表現したり,演じて遊んだりするなどの楽しさを味わう。 |
(6)の音楽は「楽しさを味わう」で終わっています。楽譜を読む、決まった曲を正確に演奏する、といった技能の目標はありません。(4)は「自由にかいたり,つくったりなどする」で、見本どおりに仕上げることは求めていません。(1)の「音,形,色,手触り,動き」は、身の回りのものを五感で感じ取ることから表現が始まることを示しています。
内容の取扱い(3項目)
(1) 豊かな感性は、身近な環境と十分に関わる中で美しいもの、優れたもの、心を動かす出来事などに出会い、そこから得た感動を他の幼児や教師と共有し、様々に表現することなどを通して養われるようにします。その際、「風の音や雨の音,身近にある草や花の形や色など自然の中にある音,形,色など」に気付くようにします。
(2) 「幼児の自己表現は素朴な形で行われることが多いので,教師はそのような表現を受容し,幼児自身の表現しようとする意欲を受け止めて」、幼児らしい様々な表現を楽しめるようにします。
(3) 遊具や用具などを整え、様々な素材や表現の仕方に親しんだり、他の幼児の表現に触れられるよう配慮したりし、「表現する過程を大切にして自己表現を楽しめるように工夫すること」。
指導の例
雨上がりの園庭で、幼児が水たまりを踏んで「ピチャピチャいう!」と喜んでいる場面を考えます。教師が一緒に音を楽しみ、「どんな音?」と言葉にしてみたり、室内で空き容器に水を入れて音を比べられるようにしたりすれば、自然の中の音に気付く経験(取扱い(1))から、音で表現する遊び(内容(4))へと広がります。生活発表会などの行事でも、出来栄えをそろえることより、幼児が表現を工夫する過程を大切にします。
この領域は、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の「豊かな感性と表現」につながります。要領はその姿を「様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き,感じたことや考えたことを自分で表現したり,友達同士で表現する過程を楽しんだりし,表現する喜びを味わい,意欲をもつようになる」と書いています。
用語
- 感性
- 美しさ、面白さ、不思議さなどを感じ取る心の働き。
- 創造性
- 自分なりの新しいものを生み出そうとする力。
- 素材
- 表現に使う材料。紙、粘土、砂、水、木の実、空き箱など。
- 受容
- 相手の表現や気持ちを、評価する前にそのまま受け止めること。
- リズム楽器
- カスタネット、タンバリン、鈴など、主にリズムを打つための簡単な楽器。
例題
例題:3歳児が画用紙いっぱいにぐるぐると線をかき、「これ、おかあさん!」と見せに来た。領域「表現」の内容の取扱いに沿った対応はどのようなものか。
答えと考え方 「おかあさんをかいたんだね」と、その表現と思いをそのまま受け止めます。幼児の自己表現は素朴な形で行われることが多いので、教師はそれを受容し、表現しようとする意欲を受け止めます(内容の取扱い(2))。顔の形をかき直させたり、手本を見せてまねさせたりするのは、この考え方に合いません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」第2章「表現」、第1章 第2の3(10)「豊かな感性と表現」
5. 領域を総合的に指導する・保育所保育指針との比較
5領域は別々の時間割ではなく、一つの遊びの中で重なり合います。第2章の前文の考え方と、保育所保育指針との共通点・違いを確認します。
第2章の前文で決まっていること
第2章「ねらい及び内容」の最初に、領域の性格が書かれています。要点は次の4つです。
1. ねらいは「幼稚園教育において育みたい資質・能力を幼児の生活する姿から捉えたもの」、内容は「ねらいを達成するために指導する事項」、内容の取扱いは「幼児の発達を踏まえた指導を行うに当たって留意すべき事項」。
2. 各領域は、これらを「幼児の発達の側面から」まとめたもの。心身の健康=「健康」、人との関わり=「人間関係」、身近な環境との関わり=「環境」、言葉の獲得=「言葉」、感性と表現=「表現」。
3. ねらいは「幼稚園における生活の全体を通じ,幼児が様々な体験を積み重ねる中で相互に関連をもちながら次第に達成に向かうもの」。内容は「幼児が環境に関わって展開する具体的な活動を通して総合的に指導されるもの」。
4. 特に必要な場合は、ねらいの趣旨に基づいて具体的な内容を工夫して加えてもよい。ただし第1章の「幼稚園教育の基本」を逸脱しないよう慎重に配慮する。
つまり、「月曜は環境の時間、火曜は言葉の時間」のように領域ごとに時間を区切る考え方はとりません。領域は、教師が幼児の姿を見るときの視点です。
一つの遊びを5領域で見る
例:5歳児の「どんぐり拾い」を5つの視点で見る| 領域 | この遊びの中に見える姿の例 |
|---|
| 健康 | 坂道を走ったり、しゃがんだりして全身を使う |
| 人間関係 | 友達と拾った数を見せ合う、袋を貸し合う |
| 環境 | 形や大きさの違いに気付き、比べたり数えたりする。季節の変化に気付く |
| 言葉 | 「帽子をかぶってる」「こっちは細長い」と見つけたことを伝え合う |
| 表現 | どんぐりで顔を作る、マラカスにして音を鳴らす |
このように、一つの活動の中で複数の領域のねらいが同時に関わります。指導計画を立てるときは、どの領域のねらいが特に関わるかを考えて環境を構成します(指導計画は次の章で扱います)。
情報機器を使うとき
総則には「幼児期は直接的な体験が重要であることを踏まえ,視聴覚教材やコンピュータなど情報機器を活用する際には,幼稚園生活では得難い体験を補完するなど,幼児の体験との関連を考慮すること」とあります。たとえば、捕まえた虫が何を食べるか知りたくなったときに図鑑や映像で調べるのは、直接の体験を深める使い方です。映像で直接体験を置き換えることは、この趣旨に合いません。
保育所保育指針との共通点と違い
3領域の示し方の比較(いずれも平成29年告示) | 幼稚園教育要領 | 保育所保育指針 |
|---|
| 3歳以上 | 環境・言葉・表現のねらい・内容・内容の取扱い | 「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」で、ほぼ同じ文。「教師」は「保育士等」、「幼児」は「子ども」、「幼稚園内外」は「保育所内外」 |
| 1歳以上3歳未満 | (対象外) | 同じ5領域で、年齢に合わせたねらい・内容を示す |
| 乳児 | (対象外) | 5領域ではなく3つの視点(「健やかに伸び伸びと育つ」「身近な人と気持ちが通じ合う」「身近なものと関わり感性が育つ」) |
1歳以上3歳未満児の保育所保育指針には、幼稚園にない記述があります。たとえば「環境」の内容に「自分の物と人の物の区別や、場所的感覚など、環境を捉える感覚が育つ」、「表現」の内容に「音、形、色、手触り、動き、味、香りなど」(幼稚園は「音,形,色,手触り,動きなど」)、「言葉」の内容の取扱いに「片言から、二語文、ごっこ遊びでのやり取りができる程度へと、大きく言葉の習得が進む時期」とあります。保育士ラボ(/learn/shikaku/hoiku/)で学んだ人は、3歳以上の部分はそのまま使えます。
用語
- 総合的な指導
- 領域ごとに分けず、具体的な活動を通して複数のねらいを同時に育てる指導。
- 視点
- 物事を見るときの立場や角度。領域は幼児の発達を見る視点にあたる。
- 直接的な体験
- 実物に触れる、自分の体で確かめるなどの体験。
- 補完
- 足りないところを補うこと。
例題
例題:ある園の計画に「毎週水曜日は『言葉』の日として、言葉の領域だけを指導する」と書かれていた。幼稚園教育要領の考え方から見て、何が問題か。
答えと考え方 要領は、ねらいは生活の全体を通じて相互に関連をもちながら次第に達成に向かい、内容は具体的な活動を通して総合的に指導されるとしています。領域は時間割の教科ではないので、特定の曜日に一つの領域だけを指導する計画は、この考え方に合いません。言葉の指導は、園生活全体の言語環境の中で行います。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」第2章 前文、第1章 第4の3(6)、こども家庭庁「保育所保育指針」第2章1(2)、2(2)ウ〜オ、3(2)
確認問題(45問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|「環境」が養う力
幼稚園教育要領の領域「環境」の冒頭の〔 〕に示されている、この領域で養う力として正しいものはどれか。
- 健康な心と体を育て,自ら健康で安全な生活をつくり出す力
- 周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもって関わり,それらを生活に取り入れていこうとする力
- 他の人々と親しみ,支え合って生活するために,自立心を育て,人と関わる力
- 身近な自然や社会の仕組みについての正しい知識を身に付け,説明する力
正解と解説
正解:B. 周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもって関わり,それらを生活に取り入れていこうとする力正解は「周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもって関わり,それらを生活に取り入れていこうとする力」です。「健康な心と体を育て…」は領域「健康」、「他の人々と親しみ,支え合って…」は領域「人間関係」の〔 〕の文です。「正しい知識を身に付け,説明する力」は要領にない表現で、幼稚園は知識の習得より関わろうとする力を重視します。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」「健康」「人間関係」
問2|「環境」ねらい(3)の語句
領域「環境」のねらい(3)「身近な事象を見たり,考えたり,扱ったりする中で,物の性質や数量,文字などに対する( )を豊かにする。」の空欄に入る語はどれか。
- 知識
- 技能
- 理解
- 感覚
正解と解説
正解:D. 感覚正解は「感覚」です。要領は数量や文字について、知識や技能を身に付けることではなく、感覚を豊かにすることをねらいとしています。「知識」「技能」「理解」はどれも要領のこの文にはなく、小学校の教科のような到達目標と混同した誤りです。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」1 ねらい(3)
問3|「環境」内容(1)の語句
領域「環境」の内容(1)「自然に触れて生活し,その大きさ,美しさ,( )などに気付く。」の空欄に入る語はどれか。
- 厳しさ
- 恐ろしさ
- 不思議さ
- 便利さ
正解と解説
正解:C. 不思議さ正解は「不思議さ」です。自然の「大きさ,美しさ,不思議さ」の3つは、内容の取扱い(2)でも同じ組み合わせで出てきます。「厳しさ」「恐ろしさ」「便利さ」は要領のこの文にはありません。不思議さに気付くことが、好奇心や探究心につながります。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」2 内容(1)、3 内容の取扱い(2)
問4|国旗の扱い
国旗について、幼稚園教育要領の領域「環境」の内容に示されているものはどれか。
- 国旗の由来や意味を理解し,説明できるようにする。
- 幼稚園内外の行事において国旗に親しむ。
- 国旗を正しい形と色でかけるようにする。
- 国旗は小学校で扱うため,幼稚園の内容には含めない。
正解と解説
正解:B. 幼稚園内外の行事において国旗に親しむ。正解は「幼稚園内外の行事において国旗に親しむ。」で、領域「環境」の内容(12)です。幼稚園では「親しむ」ことが内容で、由来を説明できる、正しくかけるといった到達目標は示されていません。また国旗は幼稚園の内容に含まれているので、小学校で扱うから含めないという考えも誤りです。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」2 内容(12)
問5|動植物との関わり
領域「環境」の内容のうち、動植物について書かれたものとして正しいものはどれか。
- 身近な動植物の名前を正しく覚え,その特徴によって仲間分けをする。
- 飼育や栽培の当番を毎日責任をもって最後までやり遂げる。
- 身近な動植物に親しみをもって接し,生命の尊さに気付き,いたわったり,大切にしたりする。
- 動植物の成長を観察して記録し,その変化を友達と比較する。
正解と解説
正解:C. 身近な動植物に親しみをもって接し,生命の尊さに気付き,いたわったり,大切にしたりする。正解は「身近な動植物に親しみをもって接し,生命の尊さに気付き,いたわったり,大切にしたりする。」で、内容(5)です。名前を覚えて仲間分けする、当番を毎日やり遂げる、観察記録を比較する、はいずれも要領の内容の文ではありません。幼稚園で重視するのは、知識や作業の正確さより、親しみをもって接し生命の尊さに気付くことです。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」2 内容(5)
問6|「環境」内容(8)の語句
領域「環境」の内容(8)「身近な物や遊具に興味をもって関わり,自分なりに(ア)たり,(イ)たりしながら考えたり,試したりして工夫して遊ぶ。」の(ア)(イ)に入る語の組合せはどれか。
- ア 数え イ 測っ
- ア 比べ イ 関連付け
- ア 分類し イ 記録し
- ア まね イ 覚え
正解と解説
正解:B. ア 比べ イ 関連付け正解は「比べ」「関連付け」です。幼児が自分なりに比べたり関連付けたりしながら考え、試すことで、物の性質や仕組みに気付いていきます。「数え・測っ」「分類し・記録し」は小学校の算数や理科の学習活動を思わせる語で、この文にはありません。「まね・覚え」も要領の文ではありません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」2 内容(8)
問7|「環境」の内容でないもの
次のうち、幼稚園教育要領の領域「環境」の内容に<b>含まれない</b>ものはどれか。
- 季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く。
- 身近な物を大切にする。
- 日常生活の中で,文字などで伝える楽しさを味わう。
- 生活に関係の深い情報や施設などに興味や関心をもつ。
正解と解説
正解:C. 日常生活の中で,文字などで伝える楽しさを味わう。正解は「日常生活の中で,文字などで伝える楽しさを味わう。」です。これは領域「言葉」の内容(10)です。領域「環境」で文字に関わるのは内容(10)「日常生活の中で簡単な標識や文字などに関心をもつ。」です。季節による変化に気付く(内容(3))、身近な物を大切にする(内容(7))、情報や施設に関心をもつ(内容(11))は、いずれも「環境」の内容です。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」2 内容、「言葉」2 内容(10)
問8|数量・図形の扱い
数量や図形について、幼稚園教育要領の領域「環境」の内容に示されているものはどれか。
- 10までの数を正しく数え,数字で書けるようになる。
- 丸・三角・四角の名前を覚え,正しく区別できるようになる。
- 具体物を使って,簡単な足し算ができるようになる。
- 日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ。
正解と解説
正解:D. 日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ。正解は「日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ。」で、内容(9)です。要領の内容は「関心をもつ」で、数を数えて書く、図形の名前を覚える、足し算ができる、といった「できるようになる」目標は示されていません。数量への関心は、内容の取扱い(5)のとおり、幼児自身の必要感に基づく体験の中で育てます。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」2 内容(9)、3 内容の取扱い(5)
問9|文化や伝統はどの領域か
「日常生活の中で,我が国や地域社会における様々な文化や伝統に親しむ。」は、幼稚園教育要領のどの領域の内容か。
- 環境
- 人間関係
- 表現
- 言葉
正解と解説
正解:A. 環境正解は「環境」で、内容(6)です。人との関わりを扱う「人間関係」に入っていると誤解しやすいので注意します。わらべうたなどが出てくるので「表現」と考えるのも誤りで、文化や伝統に親しむことは、身近な環境との関わりとして「環境」に位置付けられています。「言葉」の内容にもこの文はありません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」2 内容(6)
問10|取扱い(1) 大切にするもの
領域「環境」の内容の取扱い(1)で、教師が大切にするとされているものはどれか。
- 幼児が正しい答えにできるだけ早くたどり着くための手順
- 教師が示した手順どおりに幼児が道具を操作できること
- 幼児が物事の法則性に気付き,自分なりに考えることができるようになる過程
- 幼児が身近な事物の名称や性質を正確に覚えること
正解と解説
正解:C. 幼児が物事の法則性に気付き,自分なりに考えることができるようになる過程正解は「物事の法則性に気付き,自分なりに考えることができるようになる過程」です。要領は、遊びの中で周囲の環境と関わり、次第に好奇心を抱き、意味や操作の仕方に関心をもち、法則性に気付いて自分なりに考えられるようになる「過程を大切にすること」としています。早く正解にたどり着くこと、教師の手順どおりに操作すること、名称を正確に覚えることは、結果や知識を重んじる考え方で、この項目の趣旨と違います。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」3 内容の取扱い(1)
問11|他の幼児の考えに触れる
領域「環境」の内容の取扱い(1)は、他の幼児の考えなどに触れることについて、どのような気持ちが育つようにするとしているか。
- 新しい考えを生み出す喜びや楽しさを味わい,自分の考えをよりよいものにしようとする気持ち
- 他の幼児の考えと自分の考えを比べ,どちらが正しいかを判断しようとする気持ち
- 多くの幼児が支持する考えに合わせ,集団としてまとまろうとする気持ち
- 他の幼児の考えに左右されず,最初の自分の考えを守り通そうとする気持ち
正解と解説
正解:A. 新しい考えを生み出す喜びや楽しさを味わい,自分の考えをよりよいものにしようとする気持ち正解は「新しい考えを生み出す喜びや楽しさを味わい,自分の考えをよりよいものにしようとする気持ち」で、要領の文言どおりです。どちらが正しいか判断する、多数に合わせる、最初の考えを守り通す、はどれも要領にない考え方です。友達の考えに触れて自分の考えを見直すことは、10の姿の「思考力の芽生え」にもつながります。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」3 内容の取扱い(1)
問12|自然に直接触れる意味
領域「環境」の内容の取扱い(2)によれば、自然の大きさ、美しさ、不思議さなどに直接触れる体験を通して培われるものはどれか。
- 自然科学についての体系的な知識と,観察や実験の技能の基礎
- 屋外で安全に活動するための体力と,危険を避ける判断力の基礎
- 集団のきまりを守る規範意識と,友達と協力する協調性の基礎
- 幼児の心が安らぎ,豊かな感情,好奇心,思考力,表現力の基礎
正解と解説
正解:D. 幼児の心が安らぎ,豊かな感情,好奇心,思考力,表現力の基礎正解は「幼児の心が安らぎ,豊かな感情,好奇心,思考力,表現力の基礎」です。要領は「幼児期において自然のもつ意味は大きく」として、これらが培われることを踏まえ、自然との関わりを深められるよう工夫するとしています。自然科学の体系的な知識や実験の技能は小学校以降の学習の内容です。体力や危険回避は領域「健康」、規範意識や協調性は領域「人間関係」に近い内容で、この項目の文にはありません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」3 内容の取扱い(2)
問13|取扱い(3)の語句
領域「環境」の内容の取扱い(3)は、身近な事象や動植物への様々な関わり方を通して「それらに対する親しみや( ),生命を大切にする気持ち,公共心,探究心など」が養われるようにするとしている。空欄に入る語はどれか。
- 所有の意識
- 競争心
- 警戒心
- 畏敬の念
正解と解説
正解:D. 畏敬の念正解は「畏敬の念」です。自然や生命の大きさをおそれ敬う気持ちで、10の姿の「自然との関わり・生命尊重」にも「自然への愛情や畏敬の念」と出てきます。「所有の意識」「競争心」「警戒心」はこの文にありません。動植物を自分の物として扱う、他の幼児と競う、危険なものとして警戒させる、という方向は、親しみや生命を大切にする気持ちを育てる趣旨と合いません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」3 内容の取扱い(3)、第1章 第2の3(7)
問14|文化や伝統に親しむねらい
領域「環境」の内容の取扱い(4)は、伝統的な行事や遊び、異なる文化に触れる活動などに親しむことを通じて、何が養われるようにするとしているか。
- 日本の歴史や伝統行事の由来についての正しい知識
- 社会とのつながりの意識や国際理解の意識の芽生え
- 外国語で簡単なあいさつや会話をする力の芽生え
- 伝統行事を幼児自身で企画し運営する力の芽生え
正解と解説
正解:B. 社会とのつながりの意識や国際理解の意識の芽生え正解は「社会とのつながりの意識や国際理解の意識の芽生え」です。正月や節句などの行事、国歌、唱歌、わらべうた、伝統的な遊びに加え、異なる文化に触れる活動に親しむことで、これらの意識の芽生えを養います。歴史や由来の正しい知識、外国語の会話力、行事を企画・運営する力は、要領のこの項目には書かれていません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」3 内容の取扱い(4)
問15|異なる文化に触れる
領域「環境」の内容の取扱い(4)の説明として、正しいものはどれか。
- 我が国の伝統文化を優先し,異なる文化に触れる活動は小学校以降で扱うとされている。
- 唱歌やわらべうたは示されているが,国歌については示されていない。
- 伝統的な遊びは示されているが,正月や節句などの行事については示されていない。
- 我が国の伝統的な行事や遊びに親しむことに加え,異なる文化に触れる活動に親しむことも示されている。
正解と解説
正解:D. 我が国の伝統的な行事や遊びに親しむことに加え,異なる文化に触れる活動に親しむことも示されている。正解は、伝統的な行事や遊びに加えて異なる文化に触れる活動にも親しむ、とする記述です。要領は「異なる文化に触れる活動に親しんだりすること」を明記しているので、小学校以降で扱うという記述は誤りです。国歌も、正月や節句などの伝統的な行事も、この項目に書かれているので、それらが示されていないとする記述も誤りです。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」3 内容の取扱い(4)
問16|数量や文字の指導の例
領域「環境」の内容の取扱い(5)「数量や文字などに関しては,日常生活の中で幼児自身の必要感に基づく体験を大切に」する、という考え方に最も合う指導はどれか。
- 毎朝の会で,ひらがなの書き取りプリントを全員に同じ枚数ずつ取り組ませる。
- 週に一度,1から20までの数を順に唱える練習をし,言えた幼児に印を付ける。
- お店屋さんごっこで値札を作りたいという幼児の思いを受け,数字や文字に触れられる材料を用意する。
- 文字をまだ書けない幼児は,看板作りの活動には加わらず見学するようにする。
正解と解説
正解:C. お店屋さんごっこで値札を作りたいという幼児の思いを受け,数字や文字に触れられる材料を用意する。正解は、値札を作りたいという幼児の思いを受けて材料を用意する指導です。「必要感」とは、遊びや生活の中で幼児自身が「使いたい」と感じることで、そこから数量や文字への興味や関心、感覚を育てます。全員一律の書き取りや、数唱の練習と評価は、幼児の必要感ではなく大人の計画が先に立つやり方です。書けない幼児を活動から外すことは、関心を育てる機会を奪うので不適切です。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「環境」3 内容の取扱い(5)
問17|対応する10の姿(数量・文字)
領域「環境」の内容「日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ」「日常生活の中で簡単な標識や文字などに関心をもつ」と最も直接に対応する「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」はどれか。
- 数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚
- 言葉による伝え合い
- 豊かな感性と表現
- 道徳性・規範意識の芽生え
正解と解説
正解:A. 数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚正解は「数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚」です。要領はこの姿を、遊びや生活の中で数量や図形、標識や文字などに親しむ体験を重ね、「自らの必要感に基づきこれらを活用し,興味や関心,感覚をもつようになる」と書いています。「言葉による伝え合い」は主に領域「言葉」、「豊かな感性と表現」は主に領域「表現」、「道徳性・規範意識の芽生え」は主に領域「人間関係」と結び付く姿です。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第1章 第2の3(8)、第2章「環境」2 内容(9)(10)
問18|対応する10の姿(考えの交流)
領域「環境」の内容の取扱い(1)の「他の幼児の考えなどに触れて新しい考えを生み出す喜びや楽しさを味わい,自分の考えをよりよいものにしようとする」と、ほぼ同じ表現を含む「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」はどれか。
- 健康な心と体
- 思考力の芽生え
- 社会生活との関わり
- 言葉による伝え合い
正解と解説
正解:B. 思考力の芽生え正解は「思考力の芽生え」です。この姿には「友達の様々な考えに触れる中で,自分と異なる考えがあることに気付き,自ら判断したり,考え直したりするなど,新しい考えを生み出す喜びを味わいながら,自分の考えをよりよいものにするようになる」とあります。「健康な心と体」「社会生活との関わり」「言葉による伝え合い」の文には、この表現は含まれていません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第1章 第2の3(6)、第2章「環境」3 内容の取扱い(1)
問19|「言葉」が養う力
幼稚園教育要領の領域「言葉」の冒頭の〔 〕の内容として正しいものはどれか。
- 経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し,相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て,言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。
- 正しい発音や語法で話すことを身に付け,相手の話す言葉を正確に聞き取る力を育て,文字を読み書きする力の基礎を養う。
- 感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して,豊かな感性や表現する力を養い,創造性を豊かにする。
- 日常生活に必要な言葉を数多く覚え,場面に応じて適切に使い分ける態度を育て,集団の中で発表する力を養う。
正解と解説
正解:A. 経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し,相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て,言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。正解は「経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し…」の文です。「自分なりの言葉で」「聞こうとする意欲や態度」がポイントです。正しい発音や読み書きの基礎を養うとする文、言葉を数多く覚え発表する力を養うとする文は、要領にない表現です。「感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して…創造性を豊かにする」は領域「表現」の〔 〕です。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「言葉」「表現」
問20|「言葉」ねらい(1)の語句
領域「言葉」のねらい(1)「自分の気持ちを言葉で表現する( )を味わう。」の空欄に入る語はどれか。
- 楽しさ
- 正しさ
- 大切さ
- 難しさ
正解と解説
正解:A. 楽しさ正解は「楽しさ」です。幼稚園では、言葉で表現すること自体を楽しいと感じる経験を大切にします。「正しさ」は言い方の正確さを求める方向、「大切さ」は大人が価値を教える方向、「難しさ」は否定的な経験で、どれも要領のこの文にはありません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「言葉」1 ねらい(1)
問21|「言葉」ねらい(3)の語句
領域「言葉」のねらい(3)「日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに,絵本や物語などに親しみ,言葉に対する感覚を豊かにし,先生や友達と( )。」の空欄に入る語句はどれか。
- 意見を述べ合う
- 約束を守り合う
- 心を通わせる
- 正しく話し合う
正解と解説
正解:C. 心を通わせる正解は「心を通わせる」です。10の姿の「言葉による伝え合い」も「先生や友達と心を通わせる中で」と始まります。「意見を述べ合う」「約束を守り合う」「正しく話し合う」はこの文にありません。約束を守ることは領域「人間関係」に近い内容です。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「言葉」1 ねらい(3)、第1章 第2の3(9)
問22|文字に関する「言葉」の内容
文字について、幼稚園教育要領の領域「言葉」の内容に示されているものはどれか。
- ひらがなをすべて読めるようになり,簡単な文を読む。
- 日常生活の中で,文字などで伝える楽しさを味わう。
- 自分の名前を正しい書き順で書けるようになる。
- 小学校の入学に備えて,文字を書く練習を重ねる。
正解と解説
正解:B. 日常生活の中で,文字などで伝える楽しさを味わう。正解は「日常生活の中で,文字などで伝える楽しさを味わう。」で、内容(10)です。要領は文字について、読み書きの到達目標ではなく、伝える楽しさを味わい、興味や関心をもつこと(内容の取扱い(5))を示しています。ひらがなをすべて読む、名前を正しい書き順で書く、入学に備えて書く練習を重ねる、はどれも要領にありません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「言葉」2 内容(10)、3 内容の取扱い(5)
問23|「言葉」の内容(尋ねる)
次のうち、幼稚園教育要領の領域「言葉」の内容として示されているものはどれか。
- 大人の話は最後まで黙って聞き,分からないことがあっても後で尋ねる。
- 目上の人に対して,敬語を正しく使い分けて話す。
- 発表会などで,決められた言葉を一人ずつはっきりと暗唱する。
- したいこと,してほしいことを言葉で表現したり,分からないことを尋ねたりする。
正解と解説
正解:D. したいこと,してほしいことを言葉で表現したり,分からないことを尋ねたりする。正解は「したいこと,してほしいことを言葉で表現したり,分からないことを尋ねたりする。」で、内容(3)です。分からないことを尋ねることはむしろ大切にされているので、黙って聞いて後で尋ねるという記述は要領の趣旨と違います。敬語の使い分けや決められた言葉の暗唱も、要領の内容にはありません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「言葉」2 内容(3)
問24|言葉はどう獲得されるか
領域「言葉」の内容の取扱い(1)は、言葉がどのように獲得されていくと考えているか。
- 大人が正しい言葉を繰り返し教え,幼児がそれをまねて練習することによって次第に獲得されていく。
- 身近な人に親しみをもって接し,自分の感情や意志などを伝え,それに相手が応答し,その言葉を聞くことを通して次第に獲得されていく。
- 文字を覚えて絵本を自分で読めるようになることによって,語彙が増えて次第に獲得されていく。
- テレビや動画などで多くの言葉を聞くことによって,自然に語彙が増えて次第に獲得されていく。
正解と解説
正解:B. 身近な人に親しみをもって接し,自分の感情や意志などを伝え,それに相手が応答し,その言葉を聞くことを通して次第に獲得されていく。正解は、身近な人に感情や意志を伝え、相手が応答し、その言葉を聞くことを通して獲得されていく、とする記述です。要領はこれを踏まえ、心を動かされる体験をし、言葉を交わす喜びを味わえるようにするとしています。大人が教えてまねさせる練習、文字を覚えて自分で読むこと、映像で多くの言葉を聞くことを獲得の道筋とする記述は、要領の考え方ではありません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「言葉」3 内容の取扱い(1)
問25|絵本の読み聞かせ
領域「言葉」の内容の取扱い(3)に沿った絵本の扱い方として、最も適切なものはどれか。
- 内容と自分の経験とを結び付けたり想像を巡らせたりして,楽しみを十分に味わえるようにする。
- 読み終えるたびに内容についての質問をし,正しく答えられたかを確かめる。
- 文字を指でなぞらせながら読み,文字を読む練習の機会として使う。
- 教訓がはっきり伝わる話に限って選び,読後に教訓を言葉で確認する。
正解と解説
正解:A. 内容と自分の経験とを結び付けたり想像を巡らせたりして,楽しみを十分に味わえるようにする。正解は、内容と自分の経験を結び付けたり想像を巡らせたりして楽しみを十分に味わえるようにする扱い方です。要領は、そうすることで「次第に豊かなイメージをもち,言葉に対する感覚が養われる」としています。毎回の内容確認テスト、文字を読む練習としての使用、教訓の確認は、楽しみを味わうことより別の目的を優先しており、この項目の趣旨に合いません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「言葉」3 内容の取扱い(3)
問26|言葉遊び
しりとりや早口言葉などの言葉遊びについて、領域「言葉」の内容の取扱い(4)に沿った説明はどれか。
- 言葉遊びは語彙の多さを競う活動なので,勝ち負けをはっきりさせて意欲を高めるようにする。
- 言葉遊びは文字を読めるようになってから行う活動なので,5歳児の後半から取り入れるようにする。
- 言葉遊びは正しい日本語を身に付けにくくするので,絵本の読み聞かせを中心にするようにする。
- 言葉の響きやリズム,新しい言葉や表現などに触れ,これらを使う楽しさを味わえるようにする中で,言葉が豊かになるようにする。
正解と解説
正解:D. 言葉の響きやリズム,新しい言葉や表現などに触れ,これらを使う楽しさを味わえるようにする中で,言葉が豊かになるようにする。正解は、言葉の響きやリズム、新しい言葉や表現に触れて使う楽しさを味わう中で言葉が豊かになるようにする、という説明です。要領は「絵本や物語に親しんだり,言葉遊びなどをしたりすることを通して,言葉が豊かになるようにする」と明記しています。勝ち負けを競わせる、文字を読めるようになってから行う、言葉遊びを避ける、という説明は要領にありません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「言葉」3 内容の取扱い(4)
問27|園生活全体の言語環境
幼稚園教育要領の総則(指導計画の作成上の留意事項)は、言語に関する能力の発達と思考力等の発達が関連していることを踏まえ、どうするとしているか。
- 幼稚園生活全体を通して,幼児の発達を踏まえた言語環境を整え,言語活動の充実を図る。
- 言葉の指導のための時間を毎日特設し,その時間に言語活動を集中して行う。
- 言語活動は領域「言葉」に関わる活動の中に限って行い,他の活動と区別する。
- 言語の発達は家庭の役割が大きいので,言語環境の整備は保護者に任せる。
正解と解説
正解:A. 幼稚園生活全体を通して,幼児の発達を踏まえた言語環境を整え,言語活動の充実を図る。正解は「幼稚園生活全体を通して,幼児の発達を踏まえた言語環境を整え,言語活動の充実を図る」です。言葉の指導は特別な時間や一つの領域の活動に限るものではないので、時間を特設して集中する、領域「言葉」の活動に限る、という記述は誤りです。家庭との連携は大切ですが、言語環境の整備を保護者に任せるとは書かれていません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第1章 第4の3(3)
問28|対応する10の姿(言葉)
「先生や友達と心を通わせる中で,絵本や物語などに親しみながら,豊かな言葉や表現を身に付け,経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり,相手の話を注意して聞いたりし,( )を楽しむようになる。」は、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の一つである。空欄に入る語句はどれか。
- 豊かな言葉の表現
- 言葉による伝え合い
- 友達との話し合い
- 絵本の読み聞かせ
正解と解説
正解:B. 言葉による伝え合い正解は「言葉による伝え合い」で、10の姿の(9)の名前でもあります。領域「言葉」のねらい(2)の「伝え合う喜び」や内容の取扱い(2)の「言葉による伝え合いができるようにする」と同じ言葉が使われています。「豊かな言葉の表現」「友達との話し合い」「絵本の読み聞かせ」は、この姿の文の語句ではありません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第1章 第2の3(9)、第2章「言葉」
問29|「表現」が最終的に目指すもの
領域「表現」の冒頭の〔感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して,豊かな感性や表現する力を養い,( )。〕の空欄に入る語句はどれか。
- 表現の技能を高める
- 作品を完成させる力を養う
- 創造性を豊かにする
- 正確に再現する力を養う
正解と解説
正解:C. 創造性を豊かにする正解は「創造性を豊かにする」です。領域「表現」は、技能の向上や作品の完成、見たものを正確に再現することを目的にした領域ではありません。自分なりの表現を通して感性と表現する力を養い、創造性を豊かにすることを目指します。他の語句はどれも要領のこの文にはありません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「表現」
問30|「表現」ねらい(1)の語句
領域「表現」のねらい(1)「いろいろなものの美しさなどに対する豊かな( )をもつ。」の空欄に入る語はどれか。
- 感性
- 知識
- 技術
- 鑑賞眼
正解と解説
正解:A. 感性正解は「感性」です。感性とは、美しさや面白さなどを感じ取る心の働きです。「知識」「技術」はこの領域のねらいにはなく、「鑑賞眼」も要領の語ではありません。豊かな感性は、内容の取扱い(1)のとおり、身近な環境と十分に関わり、感動を共有し表現することなどを通して養われます。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「表現」1 ねらい(1)、3 内容の取扱い(1)
問31|「表現」内容(1)の感覚
幼稚園教育要領の領域「表現」の内容(1)「生活の中で様々な( )などに気付いたり,感じたりするなどして楽しむ。」の空欄に入るものはどれか。
- 音,形,色,手触り,動き,味,香り
- 音,リズム,旋律,拍子,強弱
- 音,形,色,手触り,動き
- 線,面,立体,明暗,遠近
正解と解説
正解:C. 音,形,色,手触り,動き正解は「音,形,色,手触り,動き」です。「味,香り」まで含む組み合わせは、保育所保育指針の1歳以上3歳未満児の領域「表現」の内容③の文で、幼稚園教育要領にはありません。「音,リズム,旋律,拍子,強弱」や「線,面,立体,明暗,遠近」は、音楽や美術の専門的な要素を並べたもので、要領の文ではありません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「表現」2 内容(1)、こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年告示) 第2章2(2)オ
問32|かく・つくる
次のうち、幼稚園教育要領の領域「表現」の内容として示されているものはどれか。
- 見本をよく見て,形や色を正確にかいたり,つくったりできるようにする。
- 感じたこと,考えたことなどを音や動きなどで表現したり,自由にかいたり,つくったりなどする。
- はさみやのりなどの用具の正しい使い方を,順序よく身に付ける。
- 季節ごとに決められた題材で作品をつくり,期日までに完成させる。
正解と解説
正解:B. 感じたこと,考えたことなどを音や動きなどで表現したり,自由にかいたり,つくったりなどする。正解は「感じたこと,考えたことなどを音や動きなどで表現したり,自由にかいたり,つくったりなどする。」で、内容(4)です。要領は「自由に」かいたりつくったりすることを示しており、見本どおり正確に仕上げる、用具の使い方を順序よく身に付ける、決められた題材を期日までに完成させる、といった内容は示していません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「表現」2 内容(4)
問33|音楽に関する内容
音楽について、幼稚園教育要領の領域「表現」の内容に示されているものはどれか。
- 簡単な楽譜を読み,鍵盤楽器で短い曲を演奏できるようにする。
- 正しい音程と発声で,季節の歌を上手に歌えるように練習する。
- 合奏で自分のパートを覚え,全体の演奏をそろえられるようにする。
- 音楽に親しみ,歌を歌ったり,簡単なリズム楽器を使ったりなどする楽しさを味わう。
正解と解説
正解:D. 音楽に親しみ,歌を歌ったり,簡単なリズム楽器を使ったりなどする楽しさを味わう。正解は「音楽に親しみ,歌を歌ったり,簡単なリズム楽器を使ったりなどする楽しさを味わう。」で、内容(6)です。この内容は「楽しさを味わう」で、楽譜を読む、正しい音程で上手に歌う、合奏をそろえる、といった技能の目標は示されていません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「表現」2 内容(6)
問34|豊かな感性はどう養われるか
領域「表現」の内容の取扱い(1)によれば、豊かな感性はどのようにして養われるようにするか。
- 優れた絵画や音楽作品を系統的に鑑賞し,作品の特徴を言葉で説明する活動を繰り返すことを通して
- 表現の技法を易しいものから難しいものへと段階的に教え,一人一人が身に付けることを通して
- 他の幼児の表現に影響されないよう,一人で集中して作品に取り組む時間を確保することを通して
- 身近な環境と十分に関わる中で美しいものや心を動かす出来事などに出会い,得た感動を他の幼児や教師と共有し,様々に表現することなどを通して
正解と解説
正解:D. 身近な環境と十分に関わる中で美しいものや心を動かす出来事などに出会い,得た感動を他の幼児や教師と共有し,様々に表現することなどを通して正解は、身近な環境と十分に関わる中で美しいものなどに出会い、感動を他の幼児や教師と共有し、様々に表現することを通して、という記述です。その際、風の音や雨の音、草や花の形や色など、自然の中にある音、形、色に気付くようにするとされています。系統的な鑑賞と説明、技法の段階的な指導は要領の文ではありません。また要領は内容の取扱い(3)で、他の幼児の表現に触れられるよう配慮するとしており、影響されないよう一人で取り組ませるという記述はこれと逆です。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「表現」3 内容の取扱い(1)(3)
問35|素朴な表現への対応
3歳児が粘土を丸めて「ケーキ!」と見せに来た。形はケーキには見えない。領域「表現」の内容の取扱い(2)に沿った教師の対応として、最も適切なものはどれか。
- 「おいしそうなケーキだね」と、その表現と作ろうとした思いをそのまま受け止める。
- 「ケーキはこういう形だよ」と見本を作って見せ、作り直すよう促す。
- 形が整っていないので、もう少し上手になってから展示するよう伝える。
- 「ケーキには見えないね」と率直に伝え、よく観察してから作るよう促す。
正解と解説
正解:A. 「おいしそうなケーキだね」と、その表現と作ろうとした思いをそのまま受け止める。正解は、表現と思いをそのまま受け止める対応です。要領は「幼児の自己表現は素朴な形で行われることが多いので,教師はそのような表現を受容し,幼児自身の表現しようとする意欲を受け止めて」としています。見本を見せて作り直させる、上手になるまで展示しない、見えないと指摘して観察させる、という対応は、表現しようとする意欲を受け止めることになりません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「表現」3 内容の取扱い(2)
問36|発表会と表現の過程
生活発表会で劇遊びを行う場合、領域「表現」の内容の取扱い(3)の考え方に最も合う指導はどれか。
- 保護者に見せる出来栄えをそろえるため,せりふと動きを教師が決め,繰り返し練習させる。
- 幼児が役になりきって動きや言葉を工夫する過程を大切にし,他の幼児の表現に触れる機会もつくる。
- 上手に演じられる幼児を主な役に選び,他の幼児は大道具の係として参加させる。
- 本番での失敗を防ぐため,幼児の思い付きによる変更は認めず,台本どおりに進める。
正解と解説
正解:B. 幼児が役になりきって動きや言葉を工夫する過程を大切にし,他の幼児の表現に触れる機会もつくる。正解は、幼児が動きや言葉を工夫する過程を大切にし、他の幼児の表現に触れる機会もつくる指導です。要領は、遊具や用具を整え、様々な素材や表現の仕方に親しみ、他の幼児の表現に触れられるよう配慮し、「表現する過程を大切にして自己表現を楽しめるように工夫すること」としています。出来栄えのために教師が決めたことを練習させる、上手な幼児だけを主役にする、幼児の工夫を認めない、という指導は、表現する過程を大切にする考え方に合いません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章「表現」3 内容の取扱い(3)
問37|対応する10の姿(表現)
幼児期の終わりまでに育ってほしい姿「豊かな感性と表現」の説明として、幼稚園教育要領の文に合うものはどれか。
- 様々な楽器や画材の正しい使い方を身に付け,感じたことや考えたことを作品として仕上げ,発表会で多くの人に見てもらう喜びを味わうようになる。
- 自然に触れて感動する体験を通して,自然の変化などを感じ取り,好奇心や探究心をもって考え言葉などで表現しながら,身近な事象への関心が高まるようになる。
- 様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き,感じたことや考えたことを自分で表現したり,友達同士で表現する過程を楽しんだりし,表現する喜びを味わい,意欲をもつようになる。
- 先生や友達と心を通わせる中で,絵本や物語などに親しみながら,豊かな言葉や表現を身に付け,言葉による伝え合いを楽しむようになる。
正解と解説
正解:C. 様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き,感じたことや考えたことを自分で表現したり,友達同士で表現する過程を楽しんだりし,表現する喜びを味わい,意欲をもつようになる。正解は「様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き…表現する喜びを味わい,意欲をもつようになる」の文です。用具の正しい使い方や作品の仕上げ、発表会で見てもらう喜びを中心にした文は、要領にない表現です。「自然に触れて感動する体験を通して…」は「自然との関わり・生命尊重」、「先生や友達と心を通わせる中で…」は「言葉による伝え合い」の文です。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第1章 第2の3(7)(9)(10)
問38|領域は何の側面か
幼稚園教育要領の第2章によれば、5つの領域は、ねらいと内容を何の側面からまとめたものか。
- 小学校の教科の側面
- 教師の指導技術の側面
- 幼児の発達の側面
- 幼稚園の年間行事の側面
正解と解説
正解:C. 幼児の発達の側面正解は「幼児の発達の側面」です。要領は、各領域はねらいと内容を「幼児の発達の側面から」まとめたものとしています。領域は小学校の教科とは違い、領域ごとに授業を分けるものではありません。教師の指導技術や年間行事によって分けたものでもありません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章 前文
問39|3領域の名称と説明
幼稚園教育要領の第2章で、領域とその説明の組合せとして正しいものはどれか。
- 環境=自然と科学に関する領域 言葉=言葉の獲得に関する領域 表現=音楽と造形に関する領域
- 環境=身近な環境との関わりに関する領域 言葉=言葉の獲得に関する領域 表現=感性と表現に関する領域
- 環境=身近な環境との関わりに関する領域 言葉=読み書きの基礎に関する領域 表現=感性と表現に関する領域
- 環境=自然と科学に関する領域 言葉=伝え合いに関する領域 表現=感性と表現に関する領域
正解と解説
正解:B. 環境=身近な環境との関わりに関する領域 言葉=言葉の獲得に関する領域 表現=感性と表現に関する領域正解は、環境=身近な環境との関わり、言葉=言葉の獲得、表現=感性と表現、の組合せです。「自然と科学に関する領域」「音楽と造形に関する領域」「読み書きの基礎に関する領域」「伝え合いに関する領域」は、いずれも要領の表現ではありません。領域「環境」は自然だけでなく物・数量・文字・文化なども含み、「表現」は音楽や造形の技能に限りません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章 前文
問40|「内容の取扱い」とは
幼稚園教育要領の第2章で、「内容の取扱い」はどのようなものと説明されているか。
- 幼児の発達を踏まえた指導を行うに当たって留意すべき事項
- 幼稚園教育において育みたい資質・能力を幼児の生活する姿から捉えたもの
- ねらいを達成するために指導する事項
- 幼稚園修了時までに全員が到達すべき目標を示したもの
正解と解説
正解:A. 幼児の発達を踏まえた指導を行うに当たって留意すべき事項正解は「幼児の発達を踏まえた指導を行うに当たって留意すべき事項」です。「育みたい資質・能力を幼児の生活する姿から捉えたもの」は「ねらい」、「ねらいを達成するために指導する事項」は「内容」の説明です。修了時に全員が到達すべき目標とする説明は要領にありません。10の姿も、到達すべき目標ではなく、指導を行う際に考慮するものとされています。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章 前文
問41|総合的な指導
ある幼稚園の計画に「月曜日は『環境』、水曜日は『言葉』、金曜日は『表現』の領域を指導する」と書かれていた。幼稚園教育要領の考え方として、最も適切な指摘はどれか。
- 5領域すべてを扱っていないので,「健康」と「人間関係」の曜日も加えれば要領の考え方に合う。
- 領域ごとに曜日を分けるのはよいが,1日に1領域では少ないので,1日に2領域ずつ扱うのが望ましい。
- 3歳児では領域ごとに分けて指導し,5歳児になってから総合的に指導するのが要領の考え方である。
- 内容は,幼児が環境に関わって展開する具体的な活動を通して総合的に指導されるものなので,領域ごとに曜日を分ける考え方は合わない。
正解と解説
正解:D. 内容は,幼児が環境に関わって展開する具体的な活動を通して総合的に指導されるものなので,領域ごとに曜日を分ける考え方は合わない。正解は、内容は具体的な活動を通して総合的に指導されるので領域ごとに曜日を分ける考え方は合わない、とする指摘です。要領は、ねらいは生活の全体を通じて相互に関連をもちながら次第に達成に向かうものとしています。曜日を増やす、1日に2領域ずつにする、という指摘は領域を時間割の教科のように扱う点で同じ誤りです。年齢によって分けて指導するとは書かれていません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章 前文
問42|内容を加える場合
幼稚園教育要領の第2章は、各領域に示された内容に、園が独自の内容を加えることについてどのように述べているか。
- 各領域の内容は全国で統一されたものなので,園が独自の内容を加えることは認められていない。
- 保護者の要望があれば,ねらいの趣旨にかかわらず,小学校の教科の内容を加えることができる。
- 特に必要な場合には,ねらいの趣旨に基づいて適切な具体的な内容を工夫して加えてもよいが,幼稚園教育の基本を逸脱しないよう慎重に配慮する。
- 独自の内容を加える場合は,その分だけ要領に示された内容を減らして全体の量を調整する。
正解と解説
正解:C. 特に必要な場合には,ねらいの趣旨に基づいて適切な具体的な内容を工夫して加えてもよいが,幼稚園教育の基本を逸脱しないよう慎重に配慮する。正解は、特に必要な場合はねらいの趣旨に基づいて内容を工夫して加えてもよいが、幼稚園教育の基本を逸脱しないよう慎重に配慮する、とする記述です。加えること自体は認められているので、認められていないとする記述は誤りです。ねらいの趣旨にかかわらず加えられる、要領の内容を減らして調整する、という記述も要領にありません。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第2章 前文
問43|情報機器の活用
5歳児が園庭で捕まえたダンゴムシが何を食べるのか知りたがっている。幼稚園教育要領の総則にある情報機器の活用についての考え方に最も合う対応はどれか。
- ダンゴムシの生態がよく分かる動画を見せ,実物の飼育は省略する。
- 情報機器は幼児期にふさわしくないので,図鑑や映像は一切使わない。
- 実際に飼育しながら,図鑑や映像で調べて,直接の体験を深めることにつなげる。
- 一人一台のタブレットを渡し,調べ方を覚えるまで繰り返し練習させる。
正解と解説
正解:C. 実際に飼育しながら,図鑑や映像で調べて,直接の体験を深めることにつなげる。正解は、飼育しながら図鑑や映像で調べ、直接の体験を深めることにつなげる対応です。要領は「幼児期は直接的な体験が重要であることを踏まえ」、情報機器は「幼稚園生活では得難い体験を補完するなど,幼児の体験との関連を考慮すること」としています。動画で実物の体験を置き換えるのは補完ではありません。情報機器を一切使わないとは書かれておらず、操作の練習を目的にすることも趣旨と違います。
根拠:文部科学省「幼稚園教育要領」(平成29年告示) 第1章 第4の3(6)
問44|保育所保育指針との関係
保育所保育指針の「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」の領域「環境」「言葉」「表現」について、正しいものはどれか。
- 幼稚園教育要領とほぼ同じ文で示され、「教師」は「保育士等」、「幼児」は「子ども」などと書かれている。
- 保育所は養護が中心のため、領域「言葉」と「表現」は示されず、「環境」だけが示されている。
- 保育所保育指針の3歳以上児には5領域はなく、乳児と同じ3つの視点で示されている。
- 保育所保育指針には国旗に関する記述がなく、文化や伝統の内容も示されていない。
正解と解説
正解:A. 幼稚園教育要領とほぼ同じ文で示され、「教師」は「保育士等」、「幼児」は「子ども」などと書かれている。正解は、ほぼ同じ文で示され、「教師」が「保育士等」、「幼児」が「子ども」などとなっている、とする記述です。保育所保育指針の3歳以上児にも5領域がすべて示されています。3つの視点(健やかに伸び伸びと育つ、身近な人と気持ちが通じ合う、身近なものと関わり感性が育つ)は乳児保育の示し方です。国旗についても「保育所内外の行事において国旗に親しむ」があり、文化や伝統の内容もあります。
根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年告示) 第2章1(2)、3(2)ウ〜オ、文部科学省「幼稚園教育要領」第2章
問45|1歳以上3歳未満児の「言葉」
保育所保育指針の1歳以上3歳未満児の領域「言葉」の内容の取扱いで、この時期の言葉の習得はどのように説明されているか。
- まだ言葉の習得はほとんど進まず、身振りや表情だけでやり取りをする時期である。
- 文字への関心が急に高まり、自分の名前を読んだり書いたりし始める時期である。
- 経験したことを筋道立てて話し、相手に分かるように説明できるようになる時期である。
- 片言から、二語文、ごっこ遊びでのやり取りができる程度へと、大きく言葉の習得が進む時期である。
正解と解説
正解:D. 片言から、二語文、ごっこ遊びでのやり取りができる程度へと、大きく言葉の習得が進む時期である。正解は「片言から、二語文、ごっこ遊びでのやり取りができる程度へと、大きく言葉の習得が進む時期」です。指針はこのため、子どもの発達の状況に応じて遊びや関わりを工夫するとしています。言葉の習得がほとんど進まないとする記述は逆の内容です。名前の読み書きを始める、筋道立てて説明できる、という記述は指針のこの項目にありません。
根拠:こども家庭庁「保育所保育指針」(平成29年告示) 第2章2(2)エ「言葉」(ウ)③
演習:この章の問題を解く
ランダム出題の演習ツールです(JavaScript が有効な場合に動きます)。上の「確認問題」はそのままでもすべて読めます。
※ 解説は学習用の情報提供です。認定試験・採用選考の受験資格や実施方法は、必ず文部科学省・受験する自治体の公式発表をご確認ください。
※ 問題はすべて仮の宿 学習室のオリジナル問題で、本試験の問題ではありません。幼稚園教育要領は平成29年告示のもの(2026年10月時点)です。