日商簿記3級 BOOKKEEPING GRADE 3
決算整理
講義 4 本・確認問題 14 問 | 決算 | 最終更新 2026-10-16
この章で学ぶこと- 決算の流れの中で決算整理がどこにあたるかと、3級の決算整理事項の種類がわかる
- 三分法で、仕入勘定を使って売上原価を算定する仕訳ができる
- 貸倒引当金(差額補充法)、減価償却(定額法・定率法・月割・間接法)、貯蔵品の整理ができる
- 前払・前受・未収・未払の経過勘定と、翌期首の再振替仕訳を説明できる
- 現金過不足・当座借越・消費税・法人税等の整理と、月次決算の場合の処理ができる
1. 決算の流れと売上原価の算定
決算整理が決算のどこにあたるかを確かめ、三分法での売上原価の計算を身につけます。
決算とは、会計期間(多くの会社では1年間)の終わりに帳簿を整理し、その期間のもうけ(損益計算書)と、期末の財産の状態(貸借対照表)をまとめる手続きです。期中の仕訳は、お金や商品が動いたときに記録します。そのため、期末の時点で見ると「本当の姿」とずれている部分があります。たとえば、1年分前払いした保険料のうち来期の分まで今期の費用になっていたり、まだ売れ残っている商品の分まで仕入(費用)になっていたりします。このずれを直す仕訳を決算整理仕訳といい、直すべき事柄を決算整理事項といいます。
決算の流れ(3級)| 順番 | すること | 主に扱う章 |
|---|
| 1 | 決算整理前残高試算表を作り、期中の記録の合計を確かめる | bk10 |
| 2 | 決算整理事項にもとづいて決算整理仕訳をする | この章(bk9) |
| 3 | 決算整理後残高試算表を作る(精算表で2と3をまとめて行うこともある) | bk10 |
| 4 | 収益・費用を損益勘定へ振り替え、当期純利益を繰越利益剰余金勘定へ振り替える | bk10 |
| 5 | 帳簿を締め切り、損益計算書と貸借対照表を作る | bk10 |
出題区分表(2027年度適用)の3級「第三 3.決算整理」には、当座借越の振替、商品棚卸、貸倒見積り、減価償却、貯蔵品棚卸、収益・費用の前受け・前払いと未収・未払い、および月次決算による場合の処理(※印:簡易な内容に限る)が挙がっています。このラボでは、これに加えて、期中の処理と結びつく現金過不足の整理、消費税の整理、法人税等の計上も、この章でまとめて練習します。
売上原価の算定(三分法)
三分法では、商品を仕入れたときは仕入(費用)、売ったときは売上(収益)で記録し、期中は売上原価(売った商品の原価)を計算しません。期末に、売れ残った商品(期末商品棚卸高)を調べて、次の式で売上原価を求めます。
売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 − 期末商品棚卸高
決算整理前の時点で、繰越商品勘定(資産)には前期から繰り越した期首商品の額、仕入勘定には当期に仕入れた額が入っています。仕入勘定で売上原価を計算するときは、次の2行の仕訳をします。1行目で期首商品を仕入勘定に加え(売上原価に含める)、2行目で期末商品を仕入勘定から差し引いて繰越商品勘定に移します(来期に繰り越す)。
仕入勘定で売上原価を計算する仕訳(期首50,000円・期末40,000円の場合)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 仕入 | 50,000 | 繰越商品 | 50,000 |
| 繰越商品 | 40,000 | 仕入 | 40,000 |
当期の仕入が700,000円なら、整理後の仕入勘定の残高は 700,000+50,000−40,000=710,000円で、これが売上原価です。繰越商品勘定の残高は期末商品の40,000円になり、貸借対照表に「商品」として表示されます。問題文で「売上原価は売上原価勘定で算定する」と指示された場合は、(借)売上原価/(貸)繰越商品(期首分)、(借)売上原価/(貸)仕入(当期仕入分)、(借)繰越商品/(貸)売上原価(期末分)の3行にします。結果の金額は同じです。
売上原価対立法の場合
2027年度から3級に移った売上原価対立法(販売のつど売上原価勘定に振り替える方法)では、商品を売るたびに、その原価を商品勘定から売上原価勘定へ移します。そのため期末には、商品勘定の残高が期末の商品の原価、売上原価勘定の残高が当期の売上原価になっていて、三分法のような売上原価を計算するための決算整理仕訳は必要ありません(くわしくはbk3 商品売買)。
例題
例題:期首商品棚卸高30,000円、当期商品仕入高500,000円、期末商品棚卸高45,000円。三分法で、売上原価を仕入勘定で算定する仕訳と、売上原価の金額は?
答えと考え方 仕訳は(借)仕入 30,000/(貸)繰越商品 30,000、(借)繰越商品 45,000/(貸)仕入 45,000。売上原価は 30,000+500,000−45,000=485,000円です。期首は「足す」、期末は「引く」と覚えます。
用語
- 決算整理
- 期中の記録を、期末の実態に合わせて直す手続き
- 決算整理事項
- 期末に直すべき事柄の一覧。試験では問題文に箇条書きで示される
- 繰越商品
- 前期から繰り越した(または来期へ繰り越す)商品の原価を記録する資産の勘定
- 売上原価
- 当期に売った商品の原価。売上から差し引くと売上総利益になる
- 期末商品棚卸高
- 期末に残っている商品を数えて求めた原価
- 売上原価対立法
- 販売のつど原価を商品勘定から売上原価勘定へ移す方法
根拠:日本商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用)」第三 1〜9(特に3.決算整理)・第二 7.商品の売買、「改定項目等の説明書(2027年度適用)」(売上原価対立法の3級への移行)、「商業簿記標準・許容勘定科目表(2027年度適用)」(繰越商品・商品・売上原価)(いずれも2026-10-16確認)
2. 貸倒見積り・減価償却・貯蔵品
期末に資産の金額を見直す3つの整理です。差額補充法と月割の計算がポイントです。
この講義では、資産の金額を期末に見直す3つの整理を学びます。売掛金などが回収できないおそれに備える貸倒見積り、建物や備品の価値の減少を費用にする減価償却、使わずに残った切手や印紙を資産にする貯蔵品の整理です。
貸倒見積り(差額補充法)
売掛金や電子記録債権などの債権は、取引先の倒産などで回収できなくなることがあります。そこで期末に、過去の実績にもとづく割合(実績率)を使って来期に回収できなくなりそうな額を見積もり、貸倒引当金(資産のマイナスを表す勘定)として準備します。3級の区分表では、貸倒引当金は「実績法」に限られています。
見積額 = 期末の債権の残高 × 実績率。決算整理前の貸倒引当金にまだ残高があるときは、見積額との差額だけを補充します(差額補充法)。
差額補充法の2つの場合| 場合 | 仕訳 |
|---|
| 見積額が残高より多い | (借)貸倒引当金繰入/(貸)貸倒引当金(差額) |
| 見積額が残高より少ない | (借)貸倒引当金/(貸)貸倒引当金戻入(差額) |
たとえば、売掛金400,000円に2%を見積もると8,000円です。残高が3,000円なら繰入は5,000円、残高が10,000円なら2,000円を戻し入れます。
減価償却
建物・備品・車両運搬具などの有形固定資産は、使うにつれて価値が減ります。取得原価を使う期間に割り振って費用(減価償却費)にする手続きが減価償却です。3級では次の2つの方法を扱います。
3級の減価償却の方法| 方法 | 1年分の計算 |
|---|
| 定額法 | (取得原価 − 残存価額)÷ 耐用年数 |
| 定率法(2027年度から3級) | (取得原価 − 期首の減価償却累計額)× 償却率(償却率は問題文で示される) |
期の途中で取得したときは、使った月数分だけ計上します(月割)。会計期間が4月1日〜3月31日で10月1日に取得したなら、6か月分=1年分×6/12です。3級の記帳方法は間接法で、減価償却費を、資産の勘定を直接減らさずに減価償却累計額の勘定(備品減価償却累計額など)の貸方に記入します。資産を直接減らす直接法は2級の範囲です。定率法は、改定の説明書で「償却率を具体的に示すなど簡易な出題にとどめ」るとされています(くわしくはbk6 固定資産と減価償却)。
間接法の仕訳(備品の場合)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 減価償却費 | ××× | 備品減価償却累計額 | ××× |
貯蔵品
郵便切手は通信費、収入印紙は租税公課として、買ったときに費用で処理することが多いです。期末に使っていない分が残っていれば、それは来期に使える資産です。そこで、未使用分を費用から貯蔵品(資産)に振り替えます。たとえば未使用の切手2,000円と印紙4,000円なら、(借)貯蔵品 6,000/(貸)通信費 2,000、租税公課 4,000です。翌期の期首には、逆の仕訳(再振替仕訳)で元の費用の勘定に戻します。
例題
例題:会計期間は4月1日〜3月31日。当期の10月1日に備品360,000円を取得した。定額法、耐用年数6年、残存価額ゼロ、間接法。当期の減価償却の仕訳は?
答えと考え方 1年分は 360,000÷6=60,000円。10月〜3月の6か月分なので 60,000×6/12=30,000円。(借)減価償却費 30,000/(貸)備品減価償却累計額 30,000です。月割を忘れて60,000円にしないようにします。
用語
- 貸倒引当金
- 債権が回収できなくなる見込み額。債権から差し引く形で示す
- 差額補充法
- 見積額と引当金の残高との差額だけを繰り入れる(または戻し入れる)方法
- 減価償却累計額
- これまでに計上した減価償却費の合計を記録する勘定
- 月割
- 1年分の金額を12で割り、使った月数を掛けて計算すること
- 貯蔵品
- 期末に使わずに残った切手・印紙などを表す資産の勘定
根拠:日本商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用)」第二 5.引当金(貸倒引当金(実績法))・10.有形固定資産(減価償却(間接法)(定額法、定率法※))・第三 3.決算整理、「改定項目等の説明書(2027年度適用)」(定率法の3級への移行と出題の範囲)、「商業簿記標準・許容勘定科目表(2027年度適用)」(貯蔵品・貸倒引当金戻入など)(いずれも2026-10-16確認)
3. 経過勘定(前払・前受・未収・未払)と再振替
費用・収益を正しい期間に割り振る4つの経過勘定と、翌期首の再振替仕訳を学びます。
費用と収益は、お金を払った(受け取った)時期ではなく、サービスを受けた(提供した)期間に合わせて計上します。期中は支払い・受け取りの時に記録するので、期末に、当期の分と来期の分を分け直します。このとき使う4つの勘定をまとめて経過勘定といいます。
4つの経過勘定| 種類 | 状態 | 分類 | 勘定の例 | 決算整理仕訳 |
|---|
| 前払費用 | 来期の分の費用を当期に払った | 資産 | 前払保険料 | (借)前払保険料/(貸)保険料 |
| 前受収益 | 来期の分の収益を当期に受け取った | 負債 | 前受家賃 | (借)受取家賃/(貸)前受家賃 |
| 未払費用 | 当期の分の費用をまだ払っていない | 負債 | 未払利息 | (借)支払利息/(貸)未払利息 |
| 未収収益 | 当期の分の収益をまだ受け取っていない | 資産 | 未収利息 | (借)未収利息/(貸)受取利息 |
覚え方のコツは、「前払・前受」はすでに記録した費用・収益から来期の分を取り除く、「未払・未収」はまだ記録していない費用・収益の当期の分を加える、ということです。勘定科目表では、前払保険料は「前払費用の各勘定」、未収利息は「未収収益の各勘定」のように、内容に合わせた名前を使うことが示されています。
月数の数え方
会計期間が4月1日〜3月31日で、8月1日に1年分の保険料を払ったとします。当期の分は8月〜3月の8か月、来期の分は4月〜7月の4か月です。月数を間違えないように、支払日から期末まで、期末から契約の終わりまでを指で数えるか、簡単な線を書いて確かめます。
再振替仕訳
経過勘定は、翌期の最初の日(期首)に、決算整理仕訳と逆の仕訳をして元の費用・収益の勘定に戻します。これを再振替仕訳といいます。たとえば前期末に未払利息3,000円を計上していたら、期首に(借)未払利息 3,000/(貸)支払利息 3,000とします。こうすると、当期に利息をまとめて払って支払利息に記録したとき、前期の分(3,000円)が自動的に差し引かれ、支払利息勘定には当期の分だけが残ります。前払費用なら期首に(借)保険料/(貸)前払保険料とし、来期の分として残しておいた費用を当期の費用に戻します。
未払利息の流れ(前期末3,000円を計上していた場合)| 時点 | 仕訳 | 支払利息勘定の残高 |
|---|
| 期首(再振替) | (借)未払利息 3,000/(貸)支払利息 3,000 | 貸方 3,000 |
| 利息の支払い 12,000円 | (借)支払利息 12,000/(貸)普通預金 12,000 | 借方 9,000 |
貯蔵品(講義2)や当座借越(講義4)も、同じように翌期首に再振替をします。
例題
例題:会計期間は4月1日〜3月31日。6月1日に1年分の保険料24,000円を払い、保険料勘定で処理した。決算整理仕訳は?
答えと考え方 来期の分は4月〜5月の2か月。24,000×2/12=4,000円。(借)前払保険料 4,000/(貸)保険料 4,000です。当期の保険料は20,000円になります。翌期首には(借)保険料 4,000/(貸)前払保険料 4,000と再振替します。
未収の例も見ておきます。1月1日に200,000円を年利3%で貸し付け、利息は返済日に受け取る約束なら、期末までの3か月分 200,000×3%×3/12=1,500円を、(借)未収利息 1,500/(貸)受取利息 1,500と計上します。
用語
- 経過勘定
- 前払費用・前受収益・未払費用・未収収益の4つの総称
- 前払費用
- 来期の分を先に払った費用。資産として来期へ繰り越す
- 前受収益
- 来期の分を先に受け取った収益。負債として来期へ繰り越す
- 未払費用・未収収益
- 当期の分なのにまだ払っていない費用(負債)・受け取っていない収益(資産)
- 再振替仕訳
- 翌期首に決算整理仕訳と逆の仕訳をして、元の勘定に戻すこと
根拠:日本商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用)」第三 3.決算整理(収益・費用の前受け・前払いと未収・未払い)、「商業簿記標準・許容勘定科目表(2027年度適用)」(前払保険料(前払費用の各勘定)・未収利息(未収収益の各勘定)・未払利息(未払費用の各勘定)・前受手数料(前受収益の各勘定))(いずれも2026-10-16確認)
4. 現金過不足・当座借越・消費税・法人税等・月次決算
現金・預金と税金にかかわる決算整理と、月次決算による場合の処理をまとめます。
最後の講義では、現金・預金と税金にかかわる決算整理と、月次決算をまとめます。どれも期中の処理(bk2・bk7)の続きです。
現金過不足の整理
期中に現金の実際の額と帳簿の額が合わないとき、差額を現金過不足勘定に記録し、原因を調べます。決算になっても原因がわからない残りは、現金過不足を消して、不足なら雑損(費用)、過剰なら雑益(収益)に振り替えます。たとえば現金過不足が借方に5,000円(現金が不足)あり、決算で交通費の記入漏れ3,000円がわかって残りが不明なら、(借)旅費交通費 3,000、雑損 2,000/(貸)現金過不足 5,000です。決算日当日に差額が見つかり、原因がわからない場合は、現金過不足を使わず直接、雑損または雑益で処理します。
当座借越の振替
当座借越の契約があると、当座預金の残高を超えて支払いができます。期中は当座預金勘定だけで記録する方法の場合、期末に当座預金勘定が貸方残高(マイナス)になっていれば、それは銀行からの借入れと同じなので、負債の当座借越勘定に振り替えます。貸方残高30,000円なら、(借)当座預金 30,000/(貸)当座借越 30,000です。翌期首には逆の仕訳で再振替します。勘定科目表では、当座借越の許容科目(B欄)として借入金も示されています。問題文の指示に従います。
消費税の整理(税抜方式)
税抜方式では、仕入れなどで払った消費税を仮払消費税、売上で受け取った消費税を仮受消費税に記録します。期末に両者を相殺し、受け取った分が多ければ差額を未払消費税(負債)にします。仮受消費税90,000円・仮払消費税60,000円なら、(借)仮受消費税 90,000/(貸)仮払消費税 60,000、未払消費税 30,000です。このラボでは、仮受消費税のほうが多い場合を扱います。
法人税等の計上
会社のもうけにかかる法人税・住民税・事業税は、決算で当期の金額が決まります。期中に中間納付をしていれば仮払法人税等(資産)に記録されています。決算では、年間の金額を法人税、住民税及び事業税(費用。許容科目は「法人税等」)に計上し、中間納付額を差し引いた残りを未払法人税等(負債)にします。
法人税等の計上(年額250,000円、中間納付100,000円)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 法人税、住民税及び事業税 | 250,000 | 仮払法人税等 | 100,000 |
| | 未払法人税等 | 150,000 |
更新メモ(2026年10月時点):日本商工会議所は、2026年7月に公表された法人税等の会計基準の改正を2027年度の区分表には織り込んでおらず、強制適用(2028年4月以降に始まる事業年度)に先立って改定を行う予定としています。2028年度以降は、この部分が変わる可能性があります。
月次決算(簡易)
月ごとに損益を把握する会社では、減価償却費などを毎月見積もって計上することがあります(月次決算)。この場合、決算では年額から計上済みの額を差し引いた残りだけを計上します。たとえば年額120,000円を4月〜2月の11か月に毎月10,000円ずつ計上していたら、決算(3月)で計上するのは 120,000−110,000=10,000円です。区分表ではこの項目に※印があり、3級では簡易な内容に限られます。
例題
例題:期中に現金の不足4,000円を現金過不足で処理していた。決算で、そのうち2,500円は通信費の記入漏れとわかったが、残りは不明。決算整理仕訳は?
答えと考え方 不足は借方の現金過不足4,000円です。判明した2,500円は通信費、不明な1,500円は雑損にします。(借)通信費 2,500、雑損 1,500/(貸)現金過不足 4,000。過剰(貸方残高)なら、不明分は雑益になります。
用語
- 雑損・雑益
- 原因不明の現金の不足・過剰などを処理する費用・収益の勘定
- 当座借越
- 当座預金の残高を超えて引き出した額。銀行への負債
- 未払消費税
- 仮受消費税と仮払消費税の差額で、これから納める消費税
- 仮払法人税等
- 法人税等の中間納付額を一時的に記録する資産の勘定
- 月次決算
- 毎月、損益を把握するために行う簡易な決算
根拠:日本商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用)」第二 1.現金預金(現金過不足)・19.税金・第三 3.決算整理(当座借越の振替、月次決算による場合の処理※)、「商業簿記標準・許容勘定科目表(2027年度適用)」(当座借越のB欄に借入金、法人税、住民税及び事業税のB欄に法人税等)、「出題区分表のページ(法人税等の会計基準についての注記)」(いずれも2026-10-16確認)
確認問題(14問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|売上原価の算定(仕入勘定)
三分法で記帳している。期首商品棚卸高は80,000円、期末商品棚卸高は95,000円である。売上原価を仕入勘定で算定するための決算整理仕訳として正しいものはどれか。
- (借)繰越商品 80,000、仕入 95,000/(貸)仕入 80,000、繰越商品 95,000
- (借)仕入 80,000、繰越商品 95,000/(貸)繰越商品 80,000、仕入 95,000
- (借)仕入 95,000、繰越商品 80,000/(貸)繰越商品 95,000、仕入 80,000
- (借)繰越商品 95,000/(貸)仕入 95,000
正解と解説
正解:B. (借)仕入 80,000、繰越商品 95,000/(貸)繰越商品 80,000、仕入 95,000期首商品は売上原価に加えるので(借)仕入/(貸)繰越商品 80,000、期末商品は売上原価から除いて繰り越すので(借)繰越商品/(貸)仕入 95,000です。『(借)繰越商品 80,000、仕入 95,000/(貸)仕入 80,000、繰越商品 95,000』とする選択肢は2行とも貸借が逆です。仕入を95,000円、繰越商品を80,000円で借方に書く選択肢は、期首と期末の金額を取り違えています。『(借)繰越商品 95,000/(貸)仕入 95,000』だけの選択肢は期末商品の振替だけで、期首商品を仕入勘定に移していません。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 7.商品の売買・第三 3.決算整理(商品棚卸)
問2|貸倒引当金(差額補充法)
期末の売掛金残高は450,000円、電子記録債権残高は250,000円である。これらの期末残高に対して2%の貸倒引当金を差額補充法で設定する。決算整理前の貸倒引当金残高は5,000円である。決算整理仕訳として正しいものはどれか。
- (借)貸倒引当金繰入 14,000/(貸)貸倒引当金 14,000
- (借)貸倒引当金繰入 4,000/(貸)貸倒引当金 4,000
- (借)貸倒引当金 9,000/(貸)貸倒引当金戻入 9,000
- (借)貸倒引当金繰入 9,000/(貸)貸倒引当金 9,000
正解と解説
正解:D. (借)貸倒引当金繰入 9,000/(貸)貸倒引当金 9,000見積額は(450,000+250,000)×2%=14,000円。残高5,000円との差額9,000円を繰り入れます。14,000円を繰り入れる選択肢は、残高を差し引かずに見積額全部を繰り入れています。4,000円を繰り入れる選択肢は、電子記録債権を対象から外して計算しています(450,000×2%−5,000)。貸倒引当金戻入とする選択肢は、見積額が残高より多いのに戻入にしており、向きが逆です。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 5.引当金(貸倒引当金(実績法))・第三 3.決算整理(貸倒見積り)
問3|減価償却(定額法・月割)
会計期間は4月1日〜3月31日。当期の9月1日に備品480,000円を取得し、使い始めた。定額法(耐用年数5年、残存価額ゼロ)、間接法で、月割で減価償却を行う。決算整理仕訳として正しいものはどれか。
- (借)減価償却費 56,000/(貸)備品減価償却累計額 56,000
- (借)減価償却費 96,000/(貸)備品減価償却累計額 96,000
- (借)減価償却費 56,000/(貸)備品 56,000
- (借)減価償却費 48,000/(貸)備品減価償却累計額 48,000
正解と解説
正解:A. (借)減価償却費 56,000/(貸)備品減価償却累計額 56,0001年分は480,000÷5=96,000円。9月〜3月の7か月分なので96,000×7/12=56,000円を、間接法で備品減価償却累計額に記入します。96,000円とする選択肢は月割をしていません。貸方を備品とする選択肢は備品を直接減らす直接法で、3級の範囲(間接法)ではありません。48,000円とする選択肢は月数を6か月と数え違えています。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 10.有形固定資産(減価償却(間接法))・第三 3.決算整理
問4|貯蔵品への振替
期中に購入した郵便切手は通信費、収入印紙は租税公課として処理している。期末に調べたところ、未使用の郵便切手が3,200円、未使用の収入印紙が6,000円あった。決算整理仕訳として正しいものはどれか。
- (借)貯蔵品 9,200/(貸)通信費 9,200
- (借)通信費 3,200、租税公課 6,000/(貸)貯蔵品 9,200
- (借)貯蔵品 9,200/(貸)通信費 3,200、租税公課 6,000
- (借)貯蔵品 9,200/(貸)消耗品費 9,200
正解と解説
正解:C. (借)貯蔵品 9,200/(貸)通信費 3,200、租税公課 6,000未使用分は来期に使える資産なので、貯蔵品に振り替え、それぞれ処理していた費用の勘定(切手は通信費、印紙は租税公課)を減らします。貸方を通信費9,200円とする選択肢は、印紙の分まで通信費から差し引いています。借方を通信費と租税公課、貸方を貯蔵品とする選択肢は貸借が逆で、翌期首の再振替仕訳の形です。貸方を消耗品費とする選択肢は、切手・印紙を消耗品費として処理していないので、科目が違います。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第三 3.決算整理(貯蔵品棚卸)、商業簿記標準・許容勘定科目表(2027年度適用)(貯蔵品)
問5|前払費用(前払保険料)
会計期間は4月1日〜3月31日。当期の8月1日に、1年分の火災保険料36,000円を支払い、保険料勘定で処理した。決算整理仕訳として正しいものはどれか。
- (借)前払保険料 24,000/(貸)保険料 24,000
- (借)保険料 12,000/(貸)前払保険料 12,000
- (借)前払保険料 9,000/(貸)保険料 9,000
- (借)前払保険料 12,000/(貸)保険料 12,000
正解と解説
正解:D. (借)前払保険料 12,000/(貸)保険料 12,000来期の分は4月〜7月の4か月。36,000×4/12=12,000円を保険料から前払保険料(資産)に移します。24,000円とする選択肢は、当期の分(8か月)を前払にしています。『(借)保険料/(貸)前払保険料』とする選択肢は貸借が逆で、翌期首の再振替仕訳の形です。9,000円とする選択肢は、来期の月数を3か月と数え違えています。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第三 3.決算整理(費用の前払い)、商業簿記標準・許容勘定科目表(2027年度適用)(前払保険料)
問6|前受収益(前受家賃)
会計期間は4月1日〜3月31日。当期の12月1日に、12月1日から5月31日までの6か月分の家賃180,000円を受け取り、受取家賃勘定で処理した。決算整理仕訳として正しいものはどれか。
- (借)受取家賃 60,000/(貸)前受家賃 60,000
- (借)前受家賃 60,000/(貸)受取家賃 60,000
- (借)受取家賃 120,000/(貸)前受家賃 120,000
- (借)未収家賃 60,000/(貸)受取家賃 60,000
正解と解説
正解:A. (借)受取家賃 60,000/(貸)前受家賃 60,000来期の分は4月〜5月の2か月。6か月分で180,000円なので1か月30,000円、180,000×2/6=60,000円を受取家賃から前受家賃(負債)に移します。『(借)前受家賃/(貸)受取家賃』とする選択肢は貸借が逆で、翌期首の再振替仕訳の形です。120,000円とする選択肢は、当期の分(4か月)を前受にしています。借方を未収家賃とする選択肢は、すでに受け取った家賃を「まだ受け取っていない」未収として扱っており、考え方が逆です。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第三 3.決算整理(収益の前受け)、商業簿記標準・許容勘定科目表(2027年度適用)(前受収益の各勘定)
問7|消費税の整理(税抜方式)
消費税は税抜方式で記帳している(税率10%)。決算整理前の仮払消費税は84,000円、仮受消費税は130,000円である。決算整理仕訳として正しいものはどれか。
- (借)仮払消費税 84,000、未払消費税 46,000/(貸)仮受消費税 130,000
- (借)仮受消費税 130,000/(貸)仮払消費税 84,000、未払消費税 46,000
- (借)仮受消費税 46,000/(貸)未払消費税 46,000
- (借)租税公課 46,000/(貸)未払消費税 46,000
正解と解説
正解:B. (借)仮受消費税 130,000/(貸)仮払消費税 84,000、未払消費税 46,000仮受消費税(貸方残高)と仮払消費税(借方残高)をどちらもゼロにし、差額130,000−84,000=46,000円を未払消費税(負債)にします。借方を仮払消費税と未払消費税、貸方を仮受消費税とする選択肢は、貸借がすべて逆です。『(借)仮受消費税 46,000/(貸)未払消費税 46,000』とする選択肢は差額だけを動かしており、仮払消費税と仮受消費税の残高が残ってしまいます。借方を租税公課とする選択肢は、消費税を租税公課(費用)にしており、税抜方式では費用にしません。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 19.税金(消費税(税抜方式))、商業簿記標準・許容勘定科目表(2027年度適用)(仮払消費税・仮受消費税・未払消費税)
問8|法人税等の計上
決算の結果、当期の法人税・住民税・事業税の合計額が320,000円と計算された。期中に中間納付として140,000円を支払い、仮払法人税等で処理している。決算整理仕訳として正しいものはどれか。
- (借)法人税、住民税及び事業税 320,000/(貸)未払法人税等 320,000
- (借)法人税、住民税及び事業税 180,000/(貸)未払法人税等 180,000
- (借)法人税、住民税及び事業税 320,000/(貸)仮払法人税等 140,000、未払法人税等 180,000
- (借)仮払法人税等 140,000、未払法人税等 180,000/(貸)法人税、住民税及び事業税 320,000
正解と解説
正解:C. (借)法人税、住民税及び事業税 320,000/(貸)仮払法人税等 140,000、未払法人税等 180,000費用は年額の320,000円です。中間納付分は仮払法人税等を消して差し引き、残り180,000円を未払法人税等(負債)にします。未払法人税等を320,000円とする選択肢は中間納付分を差し引いておらず、仮払法人税等も残ります。費用を180,000円とする選択肢は費用を中間納付後の残りだけにしており、当期の費用が少なくなります。貸方を法人税、住民税及び事業税とする選択肢は貸借が逆です。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 19.税金(法人税・住民税・事業税※)、商業簿記標準・許容勘定科目表(2027年度適用)(法人税、住民税及び事業税・仮払法人税等・未払法人税等)
問9|売上原価の金額
次の資料から、当期の売上原価を求めよ。期首商品棚卸高 60,000円、当期商品仕入高 820,000円、期末商品棚卸高 75,000円。
- 805,000円
- 835,000円
- 880,000円
- 745,000円
正解と解説
正解:A. 805,000円売上原価=期首60,000+当期仕入820,000−期末75,000=805,000円。835,000円は期首を引いて期末を足しており、逆です。880,000円は期末商品を差し引き忘れています。745,000円は期首商品を加え忘れています。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 7.商品の売買・第三 3.決算整理(商品棚卸)
問10|減価償却(定率法)
前期以前に取得し、当期も1年間使った備品(取得原価600,000円、決算整理前の備品減価償却累計額240,000円)について、定率法(償却率40%)で当期の減価償却費を計算する。金額はいくらか。
- 240,000円
- 96,000円
- 144,000円
- 216,000円
正解と解説
正解:C. 144,000円定率法は(取得原価−期首の減価償却累計額)×償却率です。(600,000−240,000)×40%=144,000円。240,000円は期首の減価償却累計額を差し引かずに、取得原価に償却率を掛けています。96,000円は累計額に償却率を掛けています。216,000円は未償却残高に(1−償却率)の60%を掛けています。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 10.有形固定資産(定率法※)、改定項目等の説明書(2027年度適用)(定率法は償却率を示す簡易な出題)
問11|現金過不足の整理
期中に、現金の実際有高が帳簿残高より7,000円少なかったため、現金過不足で処理していた。決算で、このうち4,500円は通信費の記入漏れとわかったが、残りの原因は不明である。不明分について決算整理で計上する科目と金額はどれか。
- 雑益 2,500円
- 雑損 7,000円
- 雑益 4,500円
- 雑損 2,500円
正解と解説
正解:D. 雑損 2,500円現金が不足していたので、現金過不足は借方残高7,000円です。判明した4,500円を通信費に振り替え、残り7,000−4,500=2,500円は原因不明の不足なので雑損(費用)にします。雑益になるのは現金が過剰だった場合です。7,000円は判明分を差し引いていません。4,500円は判明分の金額で、不明分ではありません。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 1.現金預金(現金過不足)、商業簿記標準・許容勘定科目表(2027年度適用)(雑損・雑益・現金過不足)
問12|再振替と支払利息
会計期間は4月1日〜3月31日。借入金の利息は毎年11月30日に1年分(12月1日〜11月30日)18,000円を支払っている。前期末に未払利息6,000円を計上し、当期首に再振替仕訳を行った。当期の11月30日に利息18,000円を支払い、支払利息で処理した。決算整理前の支払利息勘定の残高はいくらか。
- 18,000円
- 12,000円
- 24,000円
- 6,000円
正解と解説
正解:B. 12,000円期首の再振替仕訳(借)未払利息 6,000/(貸)支払利息 6,000で、支払利息は貸方に6,000円となります。11月30日の支払いで借方に18,000円が入るので、残高は18,000−6,000=12,000円(4月〜11月の8か月分)です。18,000円は再振替を忘れた額です。24,000円は再振替の6,000円を逆に加えています。6,000円は前期末の未払額そのものです。決算ではさらに当期末の未払分(12月〜3月の4か月、6,000円)を計上し、当期の支払利息は18,000円になります。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第三 3.決算整理(費用の未払い)、商業簿記標準・許容勘定科目表(2027年度適用)(未払利息)
問13|月次決算と減価償却
会計期間は4月1日〜3月31日。月次決算を行っており、建物の減価償却費を4月から2月までの11か月間、毎月末に15,000円ずつ計上してきた(間接法)。決算で確定した当期の減価償却費の年額は180,000円である。決算(3月)で計上する減価償却費はいくらか。
- 15,000円
- 180,000円
- 165,000円
- 0円
正解と解説
正解:A. 15,000円計上済みの額は15,000×11=165,000円。年額180,000円との差額180,000−165,000=15,000円を決算で計上します。180,000円は計上済みの分を差し引いておらず、二重に計上してしまいます。165,000円は計上済みの額そのものです。0円では3月分が計上されません。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第三 3.決算整理(月次決算による場合の処理※)
問14|当座借越の振替
当座借越契約を結んでいる当座預金について、期中は当座預金勘定だけで記帳している。決算整理前の当座預金勘定は貸方残高35,000円である。決算での処理と、貸借対照表での表示として正しいものはどれか。
- 振替はせず、資産の部に当座預金をマイナス35,000円として表示する
- (借)当座借越 35,000/(貸)当座預金 35,000 と振り替え、資産の部に表示する
- (借)当座預金 35,000/(貸)当座借越 35,000 と振り替え、負債の部に表示する
- (借)当座借越 35,000/(貸)当座預金 35,000 と振り替え、負債の部に表示する
正解と解説
正解:C. (借)当座預金 35,000/(貸)当座借越 35,000 と振り替え、負債の部に表示する当座預金の貸方残高は銀行からの借入れと同じなので、当座預金勘定の借方に記入して残高をゼロにし、負債の当座借越に振り替えます。資産をマイナスで表示するのではなく、負債として表示します。『(借)当座借越/(貸)当座預金』と振り替えて資産の部に表示する選択肢は、仕訳が逆で、表示も資産になっています。同じ仕訳で負債の部に表示する選択肢は、表示は負債ですが、仕訳の貸借が逆で、当座預金の貸方残高がさらに増えてしまいます。翌期首には(借)当座借越/(貸)当座預金と再振替します。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第三 3.決算整理(当座借越の振替)、商業簿記標準・許容勘定科目表(2027年度適用)(当座借越)
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※ 解説は学習用の情報提供です。出題範囲・配点・試験の実施方法は、必ず日本商工会議所の公式発表をご確認ください。
※ 問題はすべて日本商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表」(2027年度適用)に沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題で、本試験の問題ではありません。