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特別支援教育とインクルーシブ教育
講義 3 本・確認問題 30 問 | 教育課程・指導 | 最終更新 2026-10-16
この章で学ぶこと- 特別支援学校・特別支援学級・通級による指導の対象と根拠条文を区別できる。
- 通級と日本語指導の授業時数の標準、個別の教育支援計画・個別の指導計画の扱いを説明できる。
- インクルーシブ教育システム、合理的配慮と基礎的環境整備の違いを説明できる。
- 障害者差別解消法が公立学校・私立学校に求めることと、就学先の決め方を説明できる。
- 外国人児童生徒の就学と「特別の教育課程」による日本語指導の要点を説明できる。
1. 特別支援教育のしくみ:特別支援学級と通級による指導
障害のある子どもの4つの学びの場と、小学校・中学校の先生が必ず関わる特別支援学級・通級による指導の決まりを、条文に沿って整理します。
障害のある子どもの教育は、現在「特別支援教育」と呼ばれています(学校教育法第8章)。特別支援教育は、障害の種類や重さで学ぶ場所を決めるだけの仕組みではありません。一人一人の困りごと(教育的ニーズ)に合わせて、学ぶ場と教育課程を選べるようにする仕組みです。この講義では、小学校・中学校の先生が必ず関わる「特別支援学級」と「通級による指導」を中心に、法令の定めを整理します。条文は2026年10月時点のものです。
学びの場は4つ
障害のある子どもの学びの場は、①通常の学級、②通級による指導(通常の学級に在籍し、一部の時間だけ別の場で指導を受ける)、③特別支援学級、④特別支援学校、の4つです。文部科学省の「障害のある子供の教育支援の手引」(令和3年6月)は、これらを「連続性のある『多様な学びの場』」と呼んでいます。
特別支援学校(学校教育法72条)は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者、病弱者(身体虚弱者を含む)の5つの障害種を対象に、幼稚園・小学校・中学校・高等学校に「準ずる教育」を行い、障害による困難を克服し「自立を図るために必要な知識技能」を授ける学校です。特別支援学校の設置義務は都道府県にあります(80条)。また、特別支援学校は、近くの小学校・中学校などの要請に応じて助言や援助を行うよう努めます(74条)。これを「センター的機能」と呼びます。
特別支援学級は、小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校に「置くことができる」学級です(81条2項)。対象は、知的障害者、肢体不自由者、身体虚弱者、弱視者、難聴者、その他障害のある者で特別支援学級で教育を行うことが適当なもの、の6号です。また、病気で療養中の子どもには、特別支援学級を設けるか、教員を派遣して教育を行うことができます(81条3項)。公立の小学校・中学校の特別支援学級は、1学級8人が標準です(義務標準法3条2項)。
通級による指導は、通常の学級に在籍する子どもが、障害に応じた特別の指導を受ける仕組みです(学校教育法施行規則140条)。対象は、言語障害者、自閉症者、情緒障害者、弱視者、難聴者、学習障害者、注意欠陥多動性障害者、その他の8号です。特別支援学級の児童生徒は通級の対象から除かれています。また、知的障害は140条の号に入っていません。通級は小学校・中学校に加え、2018年度(平成30年度)から高等学校でも制度化されました。
特別支援学級と通級による指導(小学校・中学校共通)| 項目 | 特別支援学級 | 通級による指導 |
|---|
| 在籍 | 特別支援学級に在籍 | 通常の学級に在籍 |
| 根拠 | 学校教育法81条2項 | 学校教育法施行規則140条 |
| 対象の例 | 知的障害・肢体不自由・身体虚弱・弱視・難聴など | 言語障害・自閉症・情緒障害・弱視・難聴・学習障害・注意欠陥多動性障害など |
| 教育課程 | 特別の教育課程によることができる(施行規則138条) | 特別の教育課程によることができる(施行規則140条) |
| 時間 | 原則として週の授業時数の半分以上を目安に特別支援学級で(令和4年通知) | 年間35〜280単位時間が標準(学習障害・注意欠陥多動性障害は年間10〜280単位時間) |
教育課程と計画
小学校・中学校の学習指導要領の総則(第1章第4の2⑴)は、特別支援学級の特別の教育課程について、特別支援学校の学習指導要領に示す「自立活動」を取り入れること、子どもの実態に応じて各教科の目標や内容を下学年のものに替えたり、知的障害者の特別支援学校の各教科に替えたりできることを定めています。通級による指導では、自立活動の内容を参考に具体的な目標や内容を定めます。通級は特別支援学校の自立活動に相当する指導で、単なる教科の遅れを補充する指導にならないようにします。他の学校で受けた通級の授業は、校長が在籍校の特別の教育課程の授業とみなすことができます(施行規則141条)。
総則は、障害のある子どもについて、関係機関と連携した長期的な「個別の教育支援計画」と、各教科等の指導のための「個別の指導計画」の作成・活用に努めるとしています。特に、特別支援学級に在籍する子どもと通級による指導を受ける子どもについては、両方を作成し、効果的に活用するものとされています(努力ではなく必ず作る)。この部分は小学校と中学校で同じ書き方です。
2022年4月の文部科学省の通知は、特別支援学級の子どもが大半の時間を通常の学級で過ごしている例があることを受け、原則として週の授業時数の半分以上を目安に特別支援学級で授業を行うこと、自立活動の時間を設けることなどを求めました。
例題
例題:小学校3年の通常の学級に在籍し、読み書きに困難がある学習障害の児童が、週1時間だけ別の教室で特別の指導を受けたいと考えています。この指導は、どの仕組みにあたりますか。
答えと考え方 通級による指導です。通常の学級に在籍したまま、障害に応じた特別の指導を受けるのが通級です(施行規則140条6号の学習障害者)。学習障害・注意欠陥多動性障害の場合の標準は年間10〜280単位時間なので、週1時間(年間35週なら35単位時間)でも範囲内です。
用語
- 特別支援学級
- 小学校・中学校などに置くことができる、障害のある子どものための少人数の学級(標準8人)。
- 通級による指導
- 通常の学級に在籍する子どもが、一部の時間に障害に応じた特別の指導を受ける仕組み。
- 自立活動
- 障害による学習上・生活上の困難を改善・克服するための指導。特別支援学校の教育課程に特有の領域。
- 個別の教育支援計画
- 医療・福祉・保健・労働などの関係機関と連携して作る、長期的な支援の計画。
- 個別の指導計画
- 各教科等の指導の目標・内容・方法を、一人一人について具体的に定める計画。
- センター的機能
- 特別支援学校が、地域の小学校・中学校などに助言や援助を行う働き(学校教育法74条)。
根拠:e-Gov法令検索「学校教育法」(72条・74条・80条・81条)、e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」(138条・140条・141条)、e-Gov法令検索「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(3条)、文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」 第1章第4の2、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」 第1章第4の2、文部科学省「初めて通級による指導を担当する教師のためのガイド」制度的位置付け、文部科学省「初めて通級による指導を担当する教師のためのガイド」、文部科学省「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について(通知)」(4文科初第375号、令和4年4月27日)、文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」第1・2編(令和3年6月)(いずれも2026年10月確認)
2. インクルーシブ教育と合理的配慮、障害者差別解消法
障害者権利条約から生まれたインクルーシブ教育システムの考え方と、学校が行う合理的配慮、就学先の決め方を学びます。
「インクルーシブ教育」は、障害のある子どもと障害のない子どもが、できるだけ同じ場で共に学ぶことを目指す考え方です。日本では、障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)を受けて、学校の制度や法律が整えられてきました。この講義では、インクルーシブ教育システム、合理的配慮、障害者差別解消法、就学先の決め方を学びます。
障害者権利条約とインクルーシブ教育システム
日本は障害者権利条約に2007年(平成19年)9月に署名し、2014年(平成26年)1月に批准しました。条約は教育について「インクルーシブ教育システム」の理念を示しています。文部科学省の「障害のある子供の教育支援の手引」は、障害のある子供と障害のない子供が「可能な限り同じ場で共に学ぶことを目指すべき」としたうえで、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校という連続性のある「多様な学びの場」を用意する必要があるとしています。同じ場で学ぶことを目指しつつ、一人一人に合った指導を受けられることも大切にする、という考え方です。
障害者基本法16条も、国と地方公共団体は「可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮」すること、本人と保護者に十分な情報を提供し「可能な限りその意向を尊重」すること、「交流及び共同学習を積極的に進める」ことを定めています。小学校・中学校の学習指導要領の総則も、特別支援学校などとの交流及び共同学習の機会を設けるとしています。教育基本法4条2項は、国と地方公共団体が、障害のある者がその障害の状態に応じ十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならないと定めています。
合理的配慮と基礎的環境整備
2012年(平成24年)7月の中央教育審議会初等中等教育分科会の報告は、学校での合理的配慮を、障害のある子どもが他の子どもと平等に「教育を受ける権利」を確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことで、その子に個別に必要とされるもの、と整理しました。体制面・財政面で均衡を失した、または過度の負担を課さないものとされます。合理的配慮の土台として、設置者が不特定多数の子どものために行う環境の整備(施設のバリアフリー化、ICT機器の整備など)を基礎的環境整備と呼びます。
障害者差別解消法
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)は2016年(平成28年)4月1日に施行されました。法律は2つのことを求めています。1つは不当な差別的取扱いの禁止、もう1つは合理的配慮の提供です。合理的配慮は、障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合に、負担が過重でないときに行うものです。
学校にあてはめた障害者差別解消法(2026年10月時点)| 学校の種類 | 法律上の立場 | 不当な差別的取扱い | 合理的配慮の提供 |
|---|
| 公立学校(地方公共団体が設置) | 行政機関等(7条) | 禁止 | 義務 |
| 私立学校(学校法人が設置) | 事業者(8条) | 禁止 | 義務(2024年4月1日から。それまでは努力義務) |
2021年(令和3年)の法改正により、事業者による合理的配慮の提供が努力義務から義務に変わり、2024年(令和6年)4月1日に施行されました。文部科学省の対応指針は、合理的配慮は本来の業務に付随するものに限られ、事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと、障害者と事業者が「建設的対話」を通じて相互理解を図ること、過重な負担かどうかは事務・事業への影響の程度、実現可能性の程度、費用・負担の程度、事業規模、財政・財務状況などを考慮して個別に判断することを示しています。学校での合理的配慮の例として、拡大文字や音声読み上げ、タブレットなどICT機器の使用、座席位置の配慮、試験時間の延長、別室での受験などがあげられています。
就学先の決め方
2013年(平成25年)9月の学校教育法施行令の改正で、障害の状態だけで画一的に就学先を決める仕組みは改められ、子ども一人一人の教育的ニーズ、学校や地域の状況、保護者や専門家の意見などを総合的に勘案して、個別に判断・決定する仕組みになりました。市町村の教育委員会は、障害の状態、必要な支援の内容、地域の教育体制の整備状況などを勘案して、特別支援学校に就学させることが適当と認めた子ども(認定特別支援学校就学者)を決めます(施行令5条)。その際、保護者と、教育学・医学・心理学などの専門家の意見を聴きます(施行令18条の2)。本人・保護者の意向は可能な限り尊重されますが、最終的には市町村の教育委員会が決定します。
例題
例題:公立中学校の生徒が、手書きでノートを取るのが難しいので、授業中に板書をタブレットで撮影したいと申し出ました。学校の対応として、法律の考え方に合うのはどれでしょう。
答えと考え方 申し出(意思の表明)を受けて、本人・保護者と建設的対話を行い、過重な負担にならない範囲で撮影を認めるなどの配慮を検討します。公立学校は「行政機関等」なので、合理的配慮の提供は義務です。「前例がない」「他の生徒と同じでなければ不公平」という理由だけで一律に断るのは、法律の考え方に合いません。
用語
- インクルーシブ教育システム
- 障害のある子どもと障害のない子どもが可能な限り共に学ぶことを目指し、多様な学びの場を用意する仕組み。
- 合理的配慮
- 一人一人の必要に応じて、学校の設置者と学校が行う変更・調整。過度の負担を課さないものに限られる。
- 基礎的環境整備
- 合理的配慮の土台となる、不特定多数を対象にした環境の整備。
- 不当な差別的取扱い
- 正当な理由なく、障害を理由に入学やサービスの提供を拒んだり制限したりすること。
- 建設的対話
- 合理的配慮の内容を、障害者と学校などが話し合って一緒に決めていく過程。
- 交流及び共同学習
- 障害のある子どもと障害のない子どもが共に活動し、互いを理解し合う学習。
根拠:文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」第1・2編(令和3年6月)、e-Gov法令検索「障害者基本法」(16条)、e-Gov法令検索「教育基本法」(4条2項)、e-Gov法令検索「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(2条・5条・7条・8条)、内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進」、文部科学省「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(令和6年4月1日改正施行)、同 対応指針(テキスト版)、e-Gov法令検索「学校教育法施行令」(5条・18条の2)、文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」 第1章第5の2、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」 第1章第5の2、文部科学省「生徒指導提要」(令和4年12月) 13.1.1(いずれも2026年10月確認)
3. 外国人児童生徒等の就学と日本語指導
日本語指導が必要な子どもの現状、外国人の子どもの就学、「特別の教育課程」による日本語指導の決まりを学びます。
日本の小学校・中学校には、日本語を母語としない子どもが増えています。外国籍の子どもだけでなく、海外から帰国した子どもや、家庭で外国語を使う日本国籍の子どももいます。この講義では、外国人児童生徒等の就学と、日本語指導の制度を学びます。
数字で見る現状
文部科学省の「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」(令和7年度、令和7年5月1日現在)では、公立学校で日本語指導が必要な児童生徒は84,759人で、前回より15,636人(22.6%)増えました。そのうち外国籍が73,313人、日本国籍が11,446人です。外国籍の子どもの言語別では、中国語(24.3%)、ポルトガル語(16.3%)の順に多くなっています。日本語指導など特別な配慮に基づく指導を受けている割合は88.6%でした。
外国人の子どもの就学
学齢(6〜15歳)の外国人の子どもの保護者には、学校教育法による就学義務は課されていません。しかし、国際人権規約や児童の権利に関する条約を踏まえ、希望すれば公立の小学校・中学校に入学できます。公立の義務教育では授業料を徴収しません(教育基本法5条4項)。文部科学省は2026年(令和8年)8月28日に「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針」を改訂し、就学案内の徹底、住民基本台帳に基づく「学齢簿に準じるもの」の作成、電話・訪問による就学状況の個別確認などを求めました。令和7年度の「外国人の子供の就学状況等調査」では、学齢相当の外国人の子ども177,726人のうち、不就学の可能性がある子どもは9,153人でした。
中学校に特有の点として、さまざまな事情で義務教育を修了しないまま学齢を超えた人も、公立の中学校で受け入れることができます。夜間中学(公立中学校の夜間学級)を置く地方公共団体では、夜間中学を案内することにも配慮するよう求められています。
「特別の教育課程」による日本語指導
2014年(平成26年)4月1日から、日本語に通じない児童生徒に、在籍学級以外の教室で行う日本語指導を「特別の教育課程」として編成・実施できるようになりました。小学校は学校教育法施行規則56条の2に定めがあり、中学校は79条でこれを準用します。文部科学省の通知と告示による主な内容は次のとおりです。
「特別の教育課程」による日本語指導の要点(小学校・中学校共通)| 項目 | 内容 |
|---|
| 対象 | 学校生活や教科学習に必要な日本語の力が十分でない児童生徒(外国籍に限らず、帰国児童生徒や日本国籍の子どもも含む)。判断は校長の責任で行う |
| 内容 | 日本語の能力を高める指導に加え、日本語の能力に応じた各教科等の指導も含む |
| 時間 | 年間10単位時間から280単位時間までが標準 |
| 指導者 | 教員免許をもつ日本語指導担当教員が中心。必要に応じて指導補助者(母語支援など)を置く |
| 場所 | 原則は在籍校。難しい場合は他校での指導も可能(編成の責任は在籍校) |
| 計画 | 個別の指導計画を作成し、学習評価を行う |
小学校・中学校の学習指導要領の総則(第1章第4の2⑵)は、海外から帰国した子どもについて、学校生活への適応を図るとともに「外国における生活経験を生かす」などの適切な指導を行うこと、日本語の習得に困難のある子どもについて、指導内容や方法の工夫を組織的かつ計画的に行うことを定めています。特に通級による日本語指導では、教師間の連携に努め、指導についての計画を個別に作成するなどして効果的な指導に努めます。公立の小学校・中学校の教員定数には、日本語の特別の指導を受ける児童生徒18人につき1人の基礎定数があります(障害に応じた通級の指導は13人につき1人。義務標準法7条1項5号・6号)。
生徒指導提要(令和4年12月)は、多様な文化的・言語的背景をもつ子どもが、文化や言語の違いから複合的な困難に直面し、不登校やいじめなどに発展する場合があると指摘しています。保護者の通訳をするなど、いわゆるヤングケアラーの状態にある子どもについては、学校が積極的にニーズを把握し、支援につなぐことが必要です。
例題
例題:中学校1年の外国籍の生徒が、日常会話はできるものの、教科書の文章が理解できません。学校が「特別の教育課程」による日本語指導を行う場合、正しい説明はどれでしょう。
答えと考え方 日本語の力を高める指導だけでなく、日本語の力に応じた教科の指導を行うこともできます。時間は年間10〜280単位時間が標準で、個別の指導計画を作って評価します。中学校の根拠は、小学校の規定(施行規則56条の2)を準用する79条です。会話ができても学習に必要な日本語の力が十分でなければ、対象になり得ます。
用語
- 外国人児童生徒等
- 外国籍の子どもに加え、帰国した子どもや国際結婚家庭の子どもなど、多様な言語・文化の背景をもつ子どもをまとめた呼び方。
- 特別の教育課程(日本語指導)
- 在籍学級以外の教室などで行う日本語指導を、正式な教育課程として位置づける仕組み。
- 不就学
- 学齢相当なのに、どの学校にも通っていない状態。
- 学齢簿
- 市町村の教育委員会が作る、学齢の子どもの名簿。外国人の子どもについては「学齢簿に準じるもの」の作成に努める。
- 夜間中学
- 公立中学校の夜間学級。義務教育を修了していない人などが学ぶ。
根拠:文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和7年度)」結果の概要、文部科学省「外国人の子供の就学状況等調査(令和7年度)」結果、文部科学省「外国人児童生徒等の就学の促進について(通知)」(8文科教第974号、令和8年8月28日)、文部科学省「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針」(令和8年8月28日改訂)、e-Gov法令検索「教育基本法」(5条4項)、e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」(56条の2・79条)、文部科学省「学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(通知)」(25文科初第928号、平成26年1月14日)、文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」 第1章第4の2⑵、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」 第1章第4の2⑵、e-Gov法令検索「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(7条1項5号・6号)、文部科学省「生徒指導提要」(令和4年12月) 13.4.7(いずれも2026年10月確認)
確認問題(30問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|特別支援学校の対象
学校教育法72条で、特別支援学校の対象とされている障害種の組み合わせとして正しいものはどれですか。
- 視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者、病弱者(身体虚弱者を含む)
- 視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、自閉症者、学習障害者
- 知的障害者、情緒障害者、言語障害者、肢体不自由者、病弱者
- 視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者、注意欠陥多動性障害者、病弱者
正解と解説
正解:A. 視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者、病弱者(身体虚弱者を含む)72条が定める特別支援学校の対象は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者、病弱者(身体虚弱者を含む)の5つです。自閉症者・学習障害者・注意欠陥多動性障害者・情緒障害者・言語障害者は、通級による指導の対象として施行規則140条に挙げられている障害種で、72条の5障害種ではありません。
根拠:e-Gov法令検索「学校教育法」(72条)、e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」(140条)
問2|特別支援学級の対象
学校教育法81条2項で、特別支援学級の対象として号に明記されている障害種はどれですか。
- 学習障害者
- 難聴者
- 注意欠陥多動性障害者
- 言語障害者
正解と解説
正解:B. 難聴者81条2項の号は、知的障害者、肢体不自由者、身体虚弱者、弱視者、難聴者、その他障害のある者で特別支援学級において教育を行うことが適当なもの、の6つです。難聴者は5号に明記されています。学習障害者・注意欠陥多動性障害者・言語障害者は施行規則140条(通級による指導)の号に挙げられている障害種で、81条2項の号には書かれていません(言語障害などの特別支援学級は「その他」の号を根拠に置かれます)。
根拠:e-Gov法令検索「学校教育法」(81条2項)、e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」(140条)
問3|通級の対象
学校教育法施行規則140条で、通級による指導の対象として号に挙げられて「いない」ものはどれですか。
- 自閉症者
- 情緒障害者
- 知的障害者
- 学習障害者
正解と解説
正解:C. 知的障害者140条の号は、言語障害者、自閉症者、情緒障害者、弱視者、難聴者、学習障害者、注意欠陥多動性障害者、その他障害のある者、の8つです。知的障害者は含まれていません。知的障害のある子どもの学びの場としては、特別支援学級(学校教育法81条2項1号)や特別支援学校が想定されています。自閉症者・情緒障害者・学習障害者は、いずれも140条の号に挙げられています。
根拠:e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」(140条)、e-Gov法令検索「学校教育法」(81条2項)
問4|通級の授業時数
通級による指導の授業時数の標準について、正しいものはどれですか。
- 障害の種類にかかわらず、年間10〜280単位時間
- 年間35〜140単位時間。学習障害者・注意欠陥多動性障害者は年間70単位時間以上
- 週の授業時数の半分以上を目安とし、上限は定められていない
- 年間35〜280単位時間。学習障害者・注意欠陥多動性障害者は年間10〜280単位時間
正解と解説
問5|特別支援学級と通級
特別支援学級に在籍する児童生徒と通級による指導の関係について、正しいものはどれですか。
- 特別支援学級の児童生徒も、保護者が希望すれば通級による指導を受けることが義務づけられている
- 施行規則140条は対象から特別支援学級の児童生徒を除いているので、通級による指導の対象にならない
- 特別支援学級の児童生徒は、通級による指導を週の半分以上受けなければならない
- 特別支援学級の児童生徒は、他校通級に限って通級による指導を受けることができる
正解と解説
正解:B. 施行規則140条は対象から特別支援学級の児童生徒を除いているので、通級による指導の対象にならない施行規則140条は、対象の児童生徒について「特別支援学級の児童及び生徒を除く」と定めています。通級は通常の学級に在籍する子どものための仕組みなので、特別支援学級の子どもは対象になりません。保護者の希望で義務になる、週の半分以上受ける、他校通級なら受けられる、といった規定はありません。
根拠:e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」(140条)
問6|他校通級の扱い
児童が在籍校とは別の小学校で通級による指導を受けた場合の扱いとして、正しいものはどれですか。
- 他校で受けた授業は、在籍校の授業時数には一切数えることができない
- 他校で通級を受ける児童は、その学校に転学しなければならない
- 他校で受けた授業は、市町村教育委員会の承認がある場合に限り欠席扱いにしない
- 校長は、他校で受けた授業を、在籍校の特別の教育課程に係る授業とみなすことができる
正解と解説
問7|特別支援学級の人数
公立の小学校・中学校の特別支援学級の1学級の児童生徒数の標準として正しいものはどれですか(義務標準法3条2項)。
- 小学校・中学校とも8人
- 小学校は8人、中学校は6人
- 小学校・中学校とも12人
- 小学校は6人、中学校は8人
正解と解説
正解:A. 小学校・中学校とも8人公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(義務標準法)3条2項の表は、特別支援学級の1学級の人数を、小学校・中学校とも8人としています。小学校と中学校で人数が違うという選択肢、12人とする選択肢は、いずれも表の数字と合いません。なお、この数は標準で、都道府県の教育委員会が特に必要と認めるときは、より少ない数を基準にできます。
根拠:e-Gov法令検索「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(3条2項)
問8|特別支援学級の教育課程
小学校・中学校学習指導要領の総則が示す、特別支援学級の特別の教育課程の編成として正しいものはどれですか。
- 通常の学級と同じ教育課程とし、教科の目標や内容を替えることは認められていない
- 自立活動は特別支援学校だけの領域なので、特別支援学級の教育課程には取り入れない
- 自立活動を取り入れ、実態に応じて各教科の目標や内容を下学年のものに替えることもできる
- 各教科の目標や内容は、上の学年のものに替えることだけが例外として認められている
正解と解説
正解:C. 自立活動を取り入れ、実態に応じて各教科の目標や内容を下学年のものに替えることもできる総則(第1章第4の2⑴イ)は、特別支援学級の特別の教育課程について、障害による困難を克服し自立を図るため自立活動を取り入れること、障害の程度や学級の実態などを考慮して各教科の目標や内容を下学年のものに替えたり、知的障害者の特別支援学校の各教科に替えたりするなどして実態に応じた教育課程を編成することを定めています。通常の学級と同じでなければならない、自立活動を取り入れない、上の学年の内容に替えるだけ、という説明はいずれも総則と合いません。小学校と中学校で同じ規定です。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」 第1章第4の2⑴、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」 第1章第4の2⑴、e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」(138条)
問9|二つの個別の計画
個別の教育支援計画と個別の指導計画について、小学校・中学校学習指導要領の総則の記述として正しいものはどれですか。
- 個別の教育支援計画は特別支援学校だけで作成し、小学校・中学校では作成しないものとされる
- 通常の学級に在籍する障害のある子ども全員について、両方の作成が法律で義務づけられている
- 特別支援学級の子どもと通級による指導を受ける子どもについては、両方を作成し活用する
- 個別の指導計画は保護者が作成し、学年の初めに学校へ提出するものとされている
正解と解説
正解:C. 特別支援学級の子どもと通級による指導を受ける子どもについては、両方を作成し活用する総則(第1章第4の2⑴エ)は、障害のある子どもなどについて両計画の作成・活用に「努める」としたうえで、特に特別支援学級に在籍する子どもと通級による指導を受ける子どもについては、両計画を「作成し、効果的に活用するものとする」としています。小学校・中学校でも作るので、特別支援学校だけという説明は誤りです。通常の学級の障害のある子ども全員に義務づけているわけではなく、作成は努力の対象です。計画は学校が作成するもので、保護者が作って提出するものではありません。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」 第1章第4の2⑴エ、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」 第1章第4の2⑴エ、e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」(134条の2・139条の2・141条の2)
問10|交流及び共同学習の時間
令和4年4月の文部科学省通知「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」の内容として正しいものはどれですか。
- 特別支援学級の児童生徒は、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級で授業を行う
- 特別支援学級の児童生徒は、交流を重視して、週の授業時数の半分以上を通常の学級で過ごす
- 通級の場を設けることが難しい場合は、代わりに特別支援学級を開設することが望ましい
- 特別支援学級では、自立活動の時間を設けないことが望ましい
正解と解説
正解:A. 特別支援学級の児童生徒は、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級で授業を行う通知は、特別支援学級の児童生徒について、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級で授業を行うことを求め、「交流」の側面だけに重点を置くことは適切でないとしました。半分以上を通常の学級で、という説明は逆です。通級の場を設けにくいことを理由に安易に特別支援学級を開設することは適切でないとされています。また、特別の教育課程を編成しているのに自立活動の時間がない場合は、教育課程の再編成を検討するよう求めています。
根拠:文部科学省「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について(通知)」(4文科初第375号、令和4年4月27日)
問11|センター的機能
学校教育法74条が定める特別支援学校の役割として正しいものはどれですか。
- 地域の小学校・中学校の特別支援学級の担任を任命し、配置を決める
- 地域の小学校・中学校に通う障害のある子どもの就学先を最終決定する
- 地域の小学校・中学校の個別の指導計画を代わりに作成し、提出させる
- 小学校・中学校などの要請に応じ、必要な助言又は援助を行うよう努める
正解と解説
正解:D. 小学校・中学校などの要請に応じ、必要な助言又は援助を行うよう努める74条は、特別支援学校が、幼稚園・小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校の要請に応じて、障害のある子どもの教育について必要な助言又は援助を行うよう努めるものとしています。これがセンター的機能です。教員の任命は任命権者(教育委員会)の権限です。就学先の決定は市町村の教育委員会が行います。個別の指導計画は在籍する学校が作るもので、特別支援学校が代わりに作る義務はありません。
根拠:e-Gov法令検索「学校教育法」(74条)、e-Gov法令検索「学校教育法施行令」(5条)
問12|特別支援学校の設置義務
学校教育法80条で、特別支援学校の設置が義務づけられているのはどれですか。
- 市町村
- 都道府県
- 国
- 学校法人
正解と解説
正解:B. 都道府県80条は、都道府県が、区域内の学齢児童・学齢生徒のうち、視覚障害者などで政令で定める程度の障害のある者を就学させるのに必要な特別支援学校を設置しなければならないと定めています。小学校・中学校の設置義務が市町村にあること(38条・49条)と混同しないようにします。国や学校法人も特別支援学校を設置できますが、80条の設置義務の主体ではありません。
根拠:e-Gov法令検索「学校教育法」(80条)
問13|通級の指導内容
通級による指導の内容について、正しいものはどれですか。
- 各教科の遅れを取り戻すための補習授業として行うものである
- 通常の学級の授業と同じ内容を、少人数でもう一度繰り返す指導である
- 自立活動の内容は参考にせず、各教科の目標だけに基づいて行う指導である
- 自立活動に相当する指導で、単なる教科の遅れの補充にしない
正解と解説
問14|障害者権利条約
障害者の権利に関する条約と日本の関係について、正しいものはどれですか。
- 日本は2006年に署名と同時に批准した
- 日本は署名したが、2026年10月時点でまだ批准していない
- 日本は2007年9月に署名し、2014年1月に批准した
- 日本は2016年4月に批准し、同時に障害者差別解消法を施行した
正解と解説
問15|合理的配慮の定義
2012年7月の中央教育審議会初等中等教育分科会報告で整理された、学校における「合理的配慮」の説明として正しいものはどれですか。
- 国が全国一律に定めた配慮の一覧で、学校はそのとおりに実施しなければならないもの
- 学校の設置者及び学校が、その子に個別に必要な変更・調整を、過度の負担にならない範囲で行うもの
- 障害のある子どもの保護者が、学校に代わって費用を負担して用意する支援のこと
- 施設のバリアフリー化など、不特定多数の子どもを対象にあらかじめ行う環境の整備
正解と解説
正解:B. 学校の設置者及び学校が、その子に個別に必要な変更・調整を、過度の負担にならない範囲で行うもの報告は、合理的配慮を、障害のある子どもが他の子どもと平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことで、その子に個別に必要とされるもの、体制面・財政面で均衡を失した又は過度の負担を課さないもの、としました。全国一律の一覧ではなく個別に決めます。保護者が費用を負担する支援ではありません。不特定多数を対象にした環境の整備は「基礎的環境整備」で、合理的配慮とは区別されます。
根拠:文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」第1・2編(令和3年6月)(平成24年中教審報告の定義の引用)
問16|基礎的環境整備
「基礎的環境整備」と「合理的配慮」の関係として正しいものはどれですか。
- 基礎的環境整備は合理的配慮の土台で、その状況を踏まえて合理的配慮が個別に提供される
- 基礎的環境整備がすべて完了するまでは、学校は合理的配慮を提供する必要がない
- 基礎的環境整備は個々の申し出に応じて行い、合理的配慮は申し出を待たずに行う
- 基礎的環境整備と合理的配慮は同じ意味の言葉で、使う場面によって呼び方が違うだけである
正解と解説
正解:A. 基礎的環境整備は合理的配慮の土台で、その状況を踏まえて合理的配慮が個別に提供される手引は、合理的配慮の基礎となる環境整備を基礎的環境整備と呼び、その整備状況を踏まえて合理的配慮が個別に提供されると説明しています。対応指針も、環境の整備は個々の申し出を待たずに進めるもの、合理的配慮は個別の申し出に応じて行うもので、両者を並行して進めるとしています。したがって、整備が終わるまで配慮は不要という説明、申し出の有無を逆にした説明、同じ意味とする説明はいずれも誤りです。
根拠:文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」第1・2編(令和3年6月)、同 対応指針(テキスト版)
問17|差別解消法の施行と改正
障害者差別解消法の施行と改正について、正しいものはどれですか。
- 2016年4月1日に施行され、2021年の改正で事業者の合理的配慮の提供が義務となり、2024年4月1日に施行された
- 2013年4月1日に施行され、当初から事業者を含めて合理的配慮の提供が義務だった
- 2016年4月1日に施行され、2024年4月1日から行政機関等の合理的配慮が努力義務に変わった
- 2021年4月1日に施行され、事業者の合理的配慮の提供は2026年10月時点でも努力義務である
正解と解説
問18|公立学校と私立学校
2026年10月時点の障害者差別解消法の下で、公立学校と私立学校の扱いとして正しいものはどれですか。
- 法律の対象は公立学校だけで、私立学校には不当な差別的取扱いの禁止も適用されない
- 公立学校は合理的配慮の提供が義務であるが、私立学校は現在も努力義務にとどまる
- 公立は「行政機関等」、私立は「事業者」で、どちらも合理的配慮の提供が義務である
- 私立学校は合理的配慮の提供が義務であるが、公立学校は現在も努力義務にとどまる
正解と解説
問19|配慮の申し出への対応
学習障害のある公立中学校の生徒が、定期テストで問題文の読み上げと時間の延長を求めました。障害者差別解消法と文部科学省の対応指針の考え方に合う対応はどれですか。
- 他の生徒と条件が変わってしまうので、公平のため一律に断る
- 医師の診断書が提出されるまでは、どのような検討も行わない
- 前例がないので次の年度から検討すると伝え、今回は断る
- 本人・保護者と建設的対話を行い、実施できる方法を検討する
正解と解説
問20|過重な負担の判断
文部科学省の対応指針が、合理的配慮が「過重な負担」にあたるかを判断する際の考慮要素としてあげているものはどれですか。
- 同じ学級の他の保護者の賛否
- 費用・負担の程度
- 前例の有無
- 担当する教員の経験年数
正解と解説
正解:B. 費用・負担の程度対応指針は、過重な負担かどうかを、事務・事業への影響の程度、実現可能性の程度、費用・負担の程度、事業規模、財政・財務状況などを考慮し、個別の事案ごとに判断するとしています。他の保護者の賛否、前例の有無、教員の経験年数は、指針のあげる要素ではなく、これらだけを理由に断ることは適切ではありません。
根拠:同 対応指針(テキスト版)
問21|就学先の決定
2013年9月の学校教育法施行令の改正後の、障害のある子どもの就学先の決め方として正しいものはどれですか。
- 施行令22条の3の障害の程度に該当すれば、原則として特別支援学校に就学させることになる
- ニーズや保護者・専門家の意見などを総合的に勘案し、最終的に市町村教育委員会が決定する
- 保護者が希望した学校に必ず就学することになり、教育委員会は決定に関わらない
- 在籍する予定の小学校の校長が、保護者の意見を聴かずに単独で就学先を決定する
正解と解説
正解:B. ニーズや保護者・専門家の意見などを総合的に勘案し、最終的に市町村教育委員会が決定する手引によると、2013年9月の施行令改正で、障害の状態に基づいて画一的に決める仕組み(就学基準に該当すれば原則特別支援学校)が改められ、教育的ニーズ、学校や地域の状況、保護者や専門家の意見などを総合的に勘案して個別に判断・決定する仕組みになりました。本人・保護者の意向は可能な限り尊重されますが、最終的には市町村の教育委員会が決定します。保護者の希望で必ず決まるわけではなく、校長が単独で決めるものでもありません。
根拠:文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」第1・2編(令和3年6月)、e-Gov法令検索「学校教育法施行令」(5条)
問22|障害者基本法と共に学ぶこと
障害者基本法16条の内容として正しいものはどれですか。
- 可能な限り共に教育を受けられるよう配慮し、交流及び共同学習を積極的に進める
- 障害のある児童生徒は、原則として特別支援学校で教育を受けるものとする
- 交流及び共同学習は、すべての保護者の同意がない限り行ってはならない
- 本人・保護者の意向にかかわらず、教育委員会の判断だけで教育の内容を決める
正解と解説
正解:A. 可能な限り共に教育を受けられるよう配慮し、交流及び共同学習を積極的に進める16条は、国と地方公共団体が、可能な限り障害者である児童生徒が障害者でない児童生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ教育の内容・方法の改善・充実を図ること(1項)、本人・保護者に十分な情報を提供し可能な限りその意向を尊重すること(2項)、交流及び共同学習を積極的に進めることで相互理解を促進すること(3項)を定めています。原則として特別支援学校、という定めはありません。保護者の同意がなければ交流してはならない、意向にかかわらず決める、という内容も条文と合いません。
根拠:e-Gov法令検索「障害者基本法」(16条)
問23|基礎定数
義務標準法7条1項で、公立の小学校・中学校の教員定数の算定に使われる数として正しい組み合わせはどれですか。
- 障害に応じた指導は18人に1人、日本語の指導は13人に1人
- 障害に応じた指導も日本語の指導も、児童生徒8人に1人
- 障害に応じた指導は13人に1人、日本語の指導は18人に1人
- 障害に応じた指導も日本語の指導も、児童生徒35人に1人
正解と解説
正解:C. 障害に応じた指導は13人に1人、日本語の指導は18人に1人義務標準法7条1項5号は、障害に応じた特別の指導(通級による指導)が行われている児童生徒の数に13分の1を、6号は、日本語を理解し使用する能力に応じた特別の指導が行われている児童生徒の数に18分の1を乗じて教員数を算定するとしています。13と18を逆にした選択肢は誤りです。8人は特別支援学級の1学級の標準、35人は同学年で編制する学級の標準で、教員定数の算定の数ではありません。
根拠:e-Gov法令検索「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(3条2項・7条1項5号・6号)
問24|日本語指導の特別の教育課程
「特別の教育課程」による日本語指導について、正しいものはどれですか。
- 中学校だけの制度として定められており、小学校では行うことができない
- 年間35〜280単位時間が標準で、障害に応じた通級による指導と同じである
- 指導内容は日本語そのものに限られ、教科の内容を扱うことはできない
- 施行規則56条の2を中学校にも準用し、年間10〜280単位時間が標準である
正解と解説
問25|日本語指導の対象と実施
平成26年1月の文部科学省通知が示す「特別の教育課程」による日本語指導の説明として正しいものはどれですか。
- 対象は外国籍の児童生徒に限られ、日本国籍の児童生徒は対象にならない
- 指導は必ず他の学校で行うこととされ、在籍校では行うことができない
- 帰国した子どもや日本国籍の子どもも対象になり得、判断は校長が行う
- 指導は教員免許をもたない地域のボランティアだけで行うこととされている
正解と解説
問26|令和7年度の調査
文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」(令和7年度、令和7年5月1日現在)の結果として正しいものはどれですか。
- 前回より減少し、全体で5万人を下回る人数となった
- 外国籍の子どもだけで、日本国籍の子どもは0人だった
- 外国籍では英語が最も多く、次いでスペイン語だった
- 84,759人で前回より増え、外国籍では中国語が最も多い
正解と解説
正解:D. 84,759人で前回より増え、外国籍では中国語が最も多い調査結果の概要によると、公立学校で日本語指導が必要な児童生徒は84,759人で、前回より15,636人(22.6%)増えました。外国籍が73,313人、日本国籍が11,446人です。外国籍の子どもの言語別では中国語(24.3%)が最も多く、次いでポルトガル語(16.3%)でした。減少した、日本国籍は0人、英語が最多、はいずれも結果と合いません。
根拠:文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和7年度)」結果の概要
問27|外国人の子どもの就学
外国人の子どもの就学について、文部科学省の指針(令和8年8月改訂)の内容として正しいものはどれですか。
- 保護者に学校教育法の就学義務は課されていないが、公立の義務教育諸学校に入学できることを案内する必要がある
- 外国人の子どもの保護者にも、日本人と同じく学校教育法の就学義務が課されている
- 外国人の子どもは、公立の小学校・中学校には入学できず、外国人学校に通うこととされている
- 外国人の子どもの就学状況は、個人情報保護のため市町村が把握してはならない
正解と解説
問28|学齢を超えた人と中学校
令和8年8月の文部科学省通知「外国人児童生徒等の就学の促進について」で、学齢を超えた人について示された内容として正しいものはどれですか。
- 公立の中学校に入学することは、法律で禁止されているとしている
- 公立の中学校で受け入れることが可能で、夜間中学の案内にも配慮する
- 必ず小学校1年生から入り直さなければならない、としている
- 夜間中学は日本国籍の人だけが入学できるので、外国人には案内しない
正解と解説
正解:B. 公立の中学校で受け入れることが可能で、夜間中学の案内にも配慮する通知は、さまざまな事情により義務教育を修了しないまま学齢を経過した人について、公立の中学校で受け入れることが可能であるとし、夜間中学を設置する地方公共団体では夜間中学への案内に配慮するよう求めています。入学を禁止する、小学校1年生から入り直す、外国人には夜間中学を案内しない、という内容はありません。これは中学校段階に特有の論点です。
根拠:文部科学省「外国人児童生徒等の就学の促進について(通知)」(8文科教第974号、令和8年8月28日)
問29|総則と帰国・日本語指導
小学校・中学校学習指導要領の総則(第1章第4の2⑵)の内容として正しいものはどれですか。
- 帰国した子どもには、学校生活への適応を図り、外国での生活経験を生かす指導を行う
- 帰国した子どもには、外国での生活経験に触れず、早く日本の生活に合わせるよう指導する
- 通級による日本語指導は担当教員だけで行い、学級担任との連携は求められていない
- 日本語の習得に困難のある子どもの指導計画は、学級全体で1つだけ作成すればよい
正解と解説
正解:A. 帰国した子どもには、学校生活への適応を図り、外国での生活経験を生かす指導を行う総則は、海外から帰国した子どもについて、学校生活への適応を図るとともに、外国における生活経験を生かすなどの適切な指導を行うとしています。日本語の習得に困難のある子どもについては、指導内容や方法の工夫を組織的かつ計画的に行い、特に通級による日本語指導では、教師間の連携に努め、指導についての計画を個別に作成するなどして効果的な指導に努めるとしています。経験に触れない、連携は不要、学級で1つだけ、はいずれも総則と合いません。小学校・中学校で同じ規定です。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」 第1章第4の2⑵、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」 第1章第4の2⑵
問30|多様な背景と生徒指導
生徒指導提要(令和4年12月)が外国人児童生徒等について述べている内容として正しいものはどれですか。
- 外国人児童生徒等は外国籍の子どもだけを指し、帰国した子どもや国際結婚家庭の子どもは含まない
- 言語の違いは時間がたてば自然に解決するので、学校が特別な支援を考える必要はない
- 複合的な困難から不登校などに発展する場合があり、学校がニーズを把握して支援につなぐ
- 保護者の通訳をするのは家庭の問題なので、学校は関わらないこととされている
正解と解説
正解:C. 複合的な困難から不登校などに発展する場合があり、学校がニーズを把握して支援につなぐ提要(13.4.7)は、外国籍の子どもだけでなく、帰国児童生徒や国際結婚家庭の子どもなど多様な文化的・言語的背景をもつ子どもが増えていること、文化や言語の違いなどに起因する複合的困難から不登校やいじめ、中途退学などに発展する場合があることを指摘しています。また、保護者の通訳をしたり家族の世話をしたりするなど、いわゆるヤングケアラーの状態にある子どもについては、学校が積極的にニーズを把握し、適切な支援につなぐことが必要としています。
根拠:文部科学省「生徒指導提要」(令和4年12月) 13.4.7
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※ 解説は学習用の情報提供です。採用選考の実施方法・出題範囲は、必ず受験する自治体の実施要項をご確認ください。
※ 問題はすべて仮の宿 学習室のオリジナル問題で、本試験の問題ではありません。法令は2026年10月時点のものです。