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教員採用試験 TEACHER EMPLOYMENT EXAM

生徒指導・教育相談・キャリア教育

講義 4 本・確認問題 36 問 | 教育課程・指導 | 最終更新 2026-10-16

この章で学ぶこと
目次
  1. 生徒指導の基礎:定義・目的と重層的支援構造
  2. 教育相談とチーム支援
  3. 不登校の理解と支援
  4. キャリア教育と進路指導
  5. 確認問題(36問)
  6. 演習ツール

1. 生徒指導の基礎:定義・目的と重層的支援構造

生徒指導提要(令和4年12月改訂)は、小学校から高等学校までの生徒指導の考え方をまとめた文部科学省の基本書です。定義・目的・4つの視点と、「2軸3類4層」の構造を押さえます。

生徒指導提要は、小学校段階から高等学校段階までの生徒指導の理論・考え方や実際の指導方法を、網羅的にまとめた文部科学省の基本書です。2010年(平成22年)に作られ、2022年(令和4年)12月に全面改訂されました。法令ではありませんが、教職教養でもっとも大切な資料の一つです。第I部「生徒指導の基本的な進め方」(第1〜3章)と、第II部「個別の課題に対する生徒指導」(いじめ、暴力行為、少年非行、児童虐待、自殺、中途退学、不登校、インターネット・携帯電話、性に関する課題、多様な背景を持つ児童生徒)からなります。

定義と目的

提要は、生徒指導を次のように定義しています。「生徒指導とは、児童生徒が、社会の中で自分らしく生きることができる存在へと、自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動のことである。なお、生徒指導上の課題に対応するために、必要に応じて指導や援助を行う。」主役は児童生徒で、教職員はその成長を支える立場です。問題行動への対応は「必要に応じて」行うもので、生徒指導=取り締まり、ではありません。生徒指導は、学習指導と並んで学校教育で重要な意義を持つ「働き(機能)」です。

目的は、「児童生徒一人一人の個性の発見とよさや可能性の伸長と社会的資質・能力の発達を支えると同時に、自己の幸福追求と社会に受け入れられる自己実現を支えること」です。ここでいう発達には、心理面(自信・自己肯定感等)だけでなく、学習面、社会面、進路面、健康面も含まれます。この目的のために重要なのが自己指導能力です。深い自己理解に基づき、「何をしたいのか」「何をするべきか」、主体的に問題や課題を発見し、自己の目標を選択・設定して、自発的、自律的、かつ他者の主体性を尊重しながら、自らの行動を決断し実行する力をいいます。

実践上の4つの視点

自己指導能力の獲得を支えるため、提要は次の4つの視点を示しています。(1)自己存在感の感受:集団に個が埋没しないよう、「自分も一人の人間として大切にされている」と実感できるようにします。自己肯定感や自己有用感を育むことも大切です。(2)共感的な人間関係の育成:失敗を恐れない、間違いを笑わない、支持的で創造的な学級づくりが土台です。(3)自己決定の場の提供:意見を述べる、仮説を検証してレポートするなど、自ら考え、選択し、決定する体験を広げます。そのために「主体的・対話的で深い学び」に向けた授業改善が求められます。(4)安全・安心な風土の醸成:いじめや暴力行為、教職員の配慮に欠けた言動や体罰を許さず、安心して過ごせる風土を、児童生徒自らがつくり上げるよう支えます。

2軸3類4層の構造

提要は生徒指導を、時間軸・課題性・対象の範囲で整理しています。2軸は時間軸で、課題が起こる前から積極的に働きかける「常態的・先行的(プロアクティブ)」と、起きた課題に事後対応する「即応的・継続的(リアクティブ)」の2つです。3類は「発達支持的生徒指導」「課題予防的生徒指導」「困難課題対応的生徒指導」で、課題予防的生徒指導は「課題未然防止教育」と「課題早期発見対応」に分かれます。これを対象の範囲で4つに並べたのが4層(重層的支援構造)です。

第4層 困難課題対応的生徒指導特定の児童生徒・リアクティブ第3層 課題予防的:課題早期発見対応一部の児童生徒・リアクティブ第2層 課題予防的:課題未然防止教育全ての児童生徒・プロアクティブ第1層 発達支持的生徒指導全ての児童生徒・プロアクティブ
生徒指導の重層的支援構造(生徒指導提要の図2をもとに作成。緑の枠がプロアクティブ、茶色の枠がリアクティブ)
4層の対象と具体例
層対象具体例
第1層 発達支持的生徒指導全ての児童生徒日々の挨拶、声かけ、励まし、賞賛、対話。授業や行事を通した個と集団への働きかけ
第2層 課題未然防止教育全ての児童生徒いじめ防止教育、SOSの出し方教育を含む自殺予防教育、薬物乱用防止教育、情報モラル教育、非行防止教室
第3層 課題早期発見対応気になる一部の児童生徒成績の急落、遅刻・早退・欠席の増加などに早く気付き、教育相談や家庭訪問で対応
第4層 困難課題対応的生徒指導深刻な課題を抱える特定の児童生徒いじめ、不登校、少年非行、児童虐待などに、校内のチームと関係機関が連携して対応

2010年版の提要は、「成長を促す指導」「予防的な指導」「課題解決的な指導」の3層でした。改訂で「成長を促す指導」が第1層と第2層に分けられ、4層になりました。提要は、これからは特にプロアクティブな生徒指導の創意工夫が必要だとしています。

方法:児童生徒理解、集団指導と個別指導

生徒指導の基本は児童生徒理解です。心理面だけでなく、学習面、社会面、健康面、進路面、家庭面から総合的に理解し、担任の観察に、養護教諭やSC(スクールカウンセラー)・SSW(スクールソーシャルワーカー)の専門的な見方や、アンケートなどの客観的なデータを加えます。集団指導と個別指導は、「集団に支えられて個が育ち、個の成長が集団を発展させる」という相互作用で進めます。個別指導には、集団から離れて行う指導と、集団指導の場面でも個に配慮すること、の二つの意味があります。

学習指導要領の総則(小学校・中学校とも第1章第4「児童(生徒)の発達の支援」)は、学級経営の充実とともに、主に集団の場面で必要な指導や援助を行うガイダンスと、一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うカウンセリングの双方により発達を支援するよう示しています。小学校と中学校で文言は同じで、「児童」「生徒」の違いだけです。小学校には、低学年・中学年・高学年の時期の特長を生かした指導の工夫も加えられています。

用語

自己指導能力
自己理解に基づき、課題を見つけ、目標を決め、他者の主体性を尊重しながら自分の行動を決断し実行する力。
プロアクティブ
課題が起こる前から積極的に働きかける、先手型の生徒指導(第1層・第2層)。
リアクティブ
課題の予兆や発生に応じて行う、事後対応型の生徒指導(第3層・第4層)。
課題未然防止教育
全ての児童生徒を対象に、特定の課題の未然防止をねらって意図的・組織的・系統的に行う教育プログラム。
ガイダンスとカウンセリング
集団の場面での指導・援助と、個別の課題に応じた指導。発達を支える両輪。

例題

例題:ある中学校が、全校生徒を対象に「SOSの出し方に関する教育」を年間指導計画に位置付けて行う。4層のどれに当たるか。
答えと考え方 第2層「課題予防的生徒指導:課題未然防止教育」。全ての児童生徒が対象で、自殺という特定の課題の未然防止をねらう計画的なプログラムだからです。特定の課題を意識しない日々の声かけ(第1層)や、予兆のある一部の生徒への対応(第3層)とは区別します。小学校で行う場合も同じ考え方です。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章(1.1 生徒指導の意義、1.2 生徒指導の構造、1.3 生徒指導の方法)、小学校学習指導要領(平成29年告示)・中学校学習指導要領(平成29年告示) 第1章総則 第4の1(1)

2. 教育相談とチーム支援

教育相談は、生徒指導の一環としてその中心的な役割を担うものとされています。教育相談の考え方、早期発見・早期対応の方法、校内の体制とチーム支援の進め方を学びます。

提要は、「教育相談は、生徒指導から独立した教育活動ではなく、生徒指導の一環として位置付けられるものであり、その中心的役割を担うもの」としています。教育相談は主に個に焦点を当て、面接やエクササイズ(演習)を通して個の内面の変容を図ります。生徒指導は主に集団に焦点を当て、行事や体験活動などで集団としての成果や発展を目指し、集団に支えられた個の変容を図ります。

両者の目的は共通していますが、生徒指導は「集団や社会の一員として求められる資質や能力を身に付けるように働きかける」発想が強く、教育相談は「個人の資質や能力の伸長を援助する」発想が強い傾向があります。そのため、毅然とした指導か受容的な援助かで意見が分かれることもあります。提要は、両者を一体化させて全教職員が一致して取り組むために、次の姿勢を求めています。①指導や援助の在り方を、教職員の価値観や信念からではなく、児童生徒理解(アセスメント)に基づいて考える。②あらゆる場面に通用する指導・援助の方法は存在しないと理解し、柔軟に働きかける。③どの段階でどのような指導・援助が必要かという時間的視点を持つ。

早期発見・早期対応の方法

教育相談も、発達支持的教育相談、課題予防的教育相談(課題未然防止教育・課題早期発見対応)、困難課題対応的教育相談に整理されます。危機的な状況にあってもうまく表現できない児童生徒は少なくないので、サインを待つのではなく、教職員から積極的に気付こうとする姿勢が大切です。

課題早期発見対応の主な方法(生徒指導提要 3.3.2)
区分方法ポイント
早期発見丁寧な関わりと観察成績の急な下降、遅刻・早退の増加、表情のこわばり、頭痛や原因不明の熱などの変化に気付く
早期発見定期相談5分程度の面接でも続けることで、安心感と信頼関係ができる
早期発見作品の活用日記・作文・絵などから心理状態を読み取る
早期発見質問紙調査観察や面接で見落としたSOSを把握する
早期対応スクリーニング会議教育相談コーディネーター、生徒指導主事、特別支援教育コーディネーター、養護教諭、SC、SSWなどがリスクの高い児童生徒を見いだし、支援体制を整える
早期対応その他リスト化と定期的な情報更新、個別の支援計画、グループ面談、関係機関を含めたネットワークによる支援

スクリーニング会議では、欠席日数、遅刻・早退の回数、保健室の利用回数など取り上げる基準を決めておき、担任以外も対象の児童生徒を認識しておくことが大切です。担任の「抱え込み」による支援の遅れを防ぐためです。

校内の体制と専門職

学校教育法施行規則は、中学校には生徒指導主事を置くものとしています(第70条第1項。生徒指導主事の担当する校務を整理する主幹教諭や、2026年4月1日施行の改正で加わった主務教諭を置くとき、その他特別の事情のあるときは、置かないことができます)。生徒指導主事は指導教諭又は教諭をもって充て、校長の監督を受け、生徒指導に関する事項をつかさどり、連絡調整及び指導、助言に当たります。小学校には生徒指導主事の規定はなく、必要に応じて校務を分担する主任等を置くことができるという規定(第47条)を受けて、生徒指導部や生徒指導主任等を置いています。

教育相談の要は教育相談コーディネーターです(全ての学校に置かれているとは限らず、教育相談主任などと呼ぶ学校もあります)。同規則は、スクールカウンセラーは児童の心理に関する支援に、スクールソーシャルワーカーは児童の福祉に関する支援に従事すると定めています(第65条の3・第65条の4。小学校の規定で、第79条により中学校に準用)。

チーム支援

支援チームには3つの形態があります。担任に生徒指導主事や学年主任、教育相談コーディネーター等を加えた最小の機動的連携型支援チーム、校務分掌や学年を超えた校内連携型支援チーム、学校と関係機関等で構成するネットワーク型支援チームです。チーム支援は、①チーム支援の判断とアセスメントの実施、②課題の明確化と目標の共有、③チーム支援計画の作成、④支援チームによる実践、⑤点検・評価に基づくチーム支援の終結・継続、の順に進みます。

アセスメントの方法の一つがBPSモデル(生物・心理・社会モデル)です。課題を、生物学的要因(発達特性、病気等)、心理学的要因(認知、感情、信念、ストレス、パーソナリティ等)、社会的要因(家庭や学校の環境や人間関係等)の3つの観点から検討し、本人のよさや長所などの自助資源と、役に立つ人や機関などの支援資源も探ります。チームで扱う情報は慎重に扱う必要があり、知り得た情報を外に漏らさないチーム内守秘義務(集団守秘義務)が重要です。一方で、守秘義務を理由に必要な情報共有が妨げられないようにすることも求められます。

用語

教育相談コーディネーター
校内の教育相談の中心となる教職員。情報を一元的に管理し、チームや外部との連絡を調整する。
スクリーニング会議
リスクの高い児童生徒を広く見いだし、支援体制を整えるための会議。
ケース会議
特定の児童生徒について、アセスメントを行い、支援の目標・方法・役割分担を決める会議。
BPSモデル
生物学的・心理学的・社会的の3つの観点から課題を見立てるアセスメントの枠組み。
集団守秘義務
チームのメンバーが、チーム支援で知り得た情報をチームの外に漏らさない義務。

例題

例題:欠席が増え始めた児童について、担任が「自分の学級のことだから」と誰にも相談せずに対応している。提要の考え方では、どうすることが望ましいか。
答えと考え方 担任が一人で抱え込まず、生徒指導主事(小学校では生徒指導主任等)や教育相談コーディネーターと情報を共有し、スクリーニング会議などを通してチームで早期に対応します。提要は、担任中心の「抱え込み型」から、多職種による連携・協働型の生徒指導への転換を求めています。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章1.1.3・1.3.4、第3章(3.2 生徒指導体制、3.3 教育相談体制、3.4 チーム支援)、学校教育法施行規則(e-Gov法令検索) 第47条・第65条の3・第65条の4・第70条・第79条

3. 不登校の理解と支援

不登校の定義と最新の調査結果、教育機会確保法の考え方、学びの場と出席扱い、支援の目標を整理します。目標は「登校」という結果だけではなく、社会的自立です。

文部科学省の調査では、不登校を「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。生徒指導提要もこの定義を示しています。

小・中学校の不登校児童生徒数(令和6年度調査。2026年10月時点で公表されている最新の結果)
区分人数
小学校137,704人
中学校216,266人
合計353,970人(12年連続で増加し、過去最多)
児童生徒1,000人当たり38.6人(前年度37.2人)

中学校の人数は小学校より多く、提要は、小学校から中学校に移ると不登校や暴力行為が増える「中1ギャップ」にも触れています。小学校と中学校の間で支援を途切れさせない「縦」の連携が大切です。

考え方の移り変わり

学校に行けない状態は、昭和30年代半ばには「学校恐怖症」、その後「登校拒否」と呼ばれました。平成4年の通知「登校拒否問題への対応について」は、「不登校はどの子にも起こりうる」という視点と、やみくもに登校刺激を与えず「待つ」ことの大切さを強調しました。しかしその後、ただ待つだけでなく、どのような支援が必要かを見極めて働きかけることが重要とされました。提要は、いじめから不登校になったケース、背景に虐待が隠れているケース、発達障害から生じる二次的な問題によるケースなどを「待っていてはいけないケース」として挙げています。

教育機会確保法

平成28年に「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(教育機会確保法)が成立し、平成29年に基本指針が作られました。法律は不登校児童生徒を「相当の期間学校を欠席する児童生徒であって、学校における集団の生活に関する心理的な負担その他の事由のために就学が困難である状況として文部科学大臣が定める状況にあると認められるもの」と定めています(第2条第3号)。主な規定は次のとおりです。

教育機会確保法の主な条文
条文内容
第3条(基本理念)全ての児童生徒が安心して教育を受けられる学校環境の確保、不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえた個々の状況に応じた支援 など
第10条不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の整備(努力義務)
第11条学習活動を支援する公立の教育施設(教育支援センター等)の整備(努力義務)
第13条学校以外の場での多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえた支援
第14条夜間その他特別な時間に授業を行う学校(夜間中学)での就学機会の提供

提要は、確保法の考え方として、不登校は多様な要因・背景により結果として不登校になっているのであり、その行為を「問題行動」と判断してはならないことを挙げています。学びの場としては、教育支援センター、学びの多様化学校、NPO法人やフリースクール、夜間中学などがあります。学びの多様化学校は、以前「不登校特例校」と呼ばれていた学校で、令和5年8月に文部科学大臣が名称を決めました。学校教育法施行規則第56条(中学校は第79条で準用)などにより、教育課程の基準によらない特別の教育課程を編成できます。

学校外の公的機関や民間施設での学びは、一定の要件の下、校長の判断で指導要録上の出席扱いにできます。要件は、①保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること、②民間施設の相談・指導が適切かは、ガイドラインを参考に校長が教育委員会等と連携して判断すること、③施設に通所又は入所して相談・指導を受けること、④学習成果を評価に反映する場合は学習内容等が教育課程に照らし適切であること、です。

支援の目標と重層的支援構造

支援の目標は、「学校に登校する」という結果のみではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立することです。ここでの社会的自立は、依存しないことではなく、適切に他者に依存したり、自ら必要な支援を求めたりしながら社会の中で自己実現していくことだとされます。不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つ場合がある一方、学業の遅れや進路選択上の不利益などのリスクにも留意します。

4層で整理すると、第1層は「魅力ある学校づくり」と「分かりやすい授業」、第2層はSOSを出す力と受けとめる力の向上、第3層は休み始めの段階でのアセスメント(スクリーニング会議)と連携した支援の開始、第4層はケース会議に基づく家庭訪問、SC・SSWによるカウンセリング、別室登校、関係機関と連携した継続的支援です。校内の別室(保健室・相談室、校内教育支援センターなど)は、教室に居場所感が持てない児童生徒の避難場所や、戻りたいと思ったときの通過点になります。支援の情報は「児童生徒理解・支援シート」で整理し、小学校から中学校へ引き継ぎます。文部科学省は令和5年3月に不登校対策「COCOLOプラン」をまとめています。

用語

教育機会確保法
不登校児童生徒への支援や、夜間中学などでの教育機会の確保を定めた法律(平成28年成立)。
教育支援センター
教育委員会が設置し、不登校児童生徒の学習支援や相談を行う施設(適応指導教室とも呼ばれた)。
学びの多様化学校
不登校児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程を編成できる学校。旧称は「不登校特例校」。
出席扱い
学校外の施設での相談・指導を、一定の要件の下、校長の判断で指導要録上の出席とすること。
社会的自立
適切に他者を頼り、必要な支援を求めながら、社会の中で自己実現していくこと。

例題

例題:ある中学生が、民間のフリースクールに通って学習している。この学びを指導要録上の出席扱いにするかどうかは、誰が判断するか。
答えと考え方 在籍校の校長です。保護者と学校の連携があること、施設の相談・指導が適切かを校長が教育委員会等と連携して判断することなどの要件の下で、校長が判断します。フリースクールの代表や保護者の申告だけで決まるものではありません。小学生の場合も同じです。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第10章「不登校」、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(e-Gov法令検索) 第2条・第3条・第10条・第11条・第13条・第14条、文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(不登校抜粋版)」、文部科学省「学びの多様化学校」名称決定の資料(令和5年8月31日)、学校教育法施行規則(e-Gov法令検索) 第56条・第79条、文部科学省「COCOLOプラン」

4. キャリア教育と進路指導

キャリア教育の定義と基礎的・汎用的能力、学習指導要領での位置付け(小学校と中学校の違い)、特別活動とキャリア・パスポート、進路指導との関係を学びます。

文部科学省は、キャリア教育を「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」と説明しています(平成23年1月の中央教育審議会答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」による定義)。キャリア教育で育成すべき力として、この答申は基礎的・汎用的能力を示しました。「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」の4つです。

学習指導要領の総則:小学校と中学校

平成29年告示の学習指導要領は、総則の第4「児童(生徒)の発達の支援」で、キャリア教育を次のように示しています。小学校と中学校の違いに注意しましょう。

総則 第4の1(3) の比較
学校内容
小学校・中学校に共通児童(生徒)が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう、特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ること。
中学校だけその中で、生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行うこと。

提要は、この規定から「キャリア教育の中に進路指導が包含されて」いると説明しています。進路指導は中学校・高等学校で行われてきた活動で、提要は、その諸活動として、①生徒理解と自己理解を深める活動、②進路に関する情報を得させる活動、③啓発的な経験を得させる活動、④進路に関する相談の機会を与える活動、⑤就職や進学等に関する指導・援助の活動、⑥卒業者の追指導に関する活動、の6つを紹介しています(昭和52年の文部省の手引きによる)。

学校教育法施行規則は、中学校には進路指導主事を置くものとしています(第71条)。進路指導主事は指導教諭又は教諭をもって充て、校長の監督を受け、生徒の職業選択の指導その他の進路の指導に関する事項をつかさどり、連絡調整及び指導、助言に当たります。小学校には進路指導主事の規定はありません。

特別活動が「要」

キャリア教育の要となるのは特別活動、とくに学級活動の内容(3)「一人一人のキャリア形成と自己実現」です。小学校と中学校で項目が少し違います。

学級活動(3)「一人一人のキャリア形成と自己実現」の内容
小学校中学校
ア現在や将来に希望や目標をもって生きる意欲や態度の形成社会生活、職業生活との接続を踏まえた主体的な学習態度の形成と学校図書館等の活用
イ社会参画意識の醸成や働くことの意義の理解社会参画意識の醸成や勤労観・職業観の形成
ウ主体的な学習態度の形成と学校図書館等の活用主体的な進路の選択と将来設計

学級活動(3)の指導では、学習や生活の見通しを立て、学んだことを振り返る活動を行い、その際「児童(生徒)が活動を記録し蓄積する教材等を活用すること」とされています。これがキャリア・パスポートです。提要によると、キャリア・パスポートは、小学校から高等学校までのキャリア教育に関わる諸活動について、学級活動・ホームルーム活動を中心として各教科等と往還し、自らの学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら、自身の変容や成長を自己評価できるよう工夫されたポートフォリオで、校種を越えて引き継がれます。

学校行事の「勤労生産・奉仕的行事」も関係します。小学校は勤労の尊さや生産の喜びを体得し、ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験を、中学校はこれに加えて職場体験活動などの勤労観・職業観に関わる啓発的な体験を得られるようにする、と示しています。

生徒指導とのつながり

提要は、生徒指導とキャリア教育を、どちらも児童生徒の社会的自己実現を支える教育活動とし、一体となった取組を求めています。いじめや暴力行為などへの対応でも、反省だけでは再発防止力は弱く、自他の人生への影響を考えることや、将来の夢や進路目標を明確にすることが重要だとしています。

用語

キャリア教育
社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力や態度を育て、キャリア発達を促す教育。
基礎的・汎用的能力
人間関係形成・社会形成能力、自己理解・自己管理能力、課題対応能力、キャリアプランニング能力の4つ。
進路指導
生徒が自らの生き方を考え、主体的に進路を選択できるよう、学校の教育活動全体を通じて行う指導。キャリア教育に含まれる。
キャリア・パスポート
キャリア教育に関わる活動を記録し、見通しと振り返りに使うポートフォリオ。小学校から高等学校まで引き継ぐ。

例題

例題:「キャリア教育は中学3年生の進路選択の時期に、進路指導主事が中心になって行うものだ」という考えは正しいか。
答えと考え方 正しくありません。総則は小学校から、特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じてキャリア教育を行うよう示しています。進路指導はキャリア教育に含まれる一部で、中学校でも学校の教育活動全体を通じて組織的・計画的に行うものです。

根拠:文部科学省「キャリア教育」、文部科学省「キャリア・パスポート」、小学校学習指導要領(平成29年告示)・中学校学習指導要領(平成29年告示) 第1章総則 第4の1(3)、特別活動 学級活動(3)・学校行事、生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章1.1.3、第2章2.5.3、第9章(注104・注108)、学校教育法施行規則(e-Gov法令検索) 第71条

確認問題(36問)

四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。

問1|生徒指導の定義

生徒指導提要(令和4年12月)が示す生徒指導の定義として、正しいものはどれか。

  1. 問題行動を起こした児童生徒に対して、校則に基づいて反省を促し、再発を防ぐための教育活動
  2. 児童生徒が、社会の中で自分らしく生きることができる存在へと、自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動
  3. 教育課程の外で、主に生徒指導部の教員が担当して行う、集団の規律を保つための教育活動
  4. 学習指導の成果を上げるために、児童生徒に生活上のきまりを守らせる管理的な教育活動
正解と解説
正解:B. 児童生徒が、社会の中で自分らしく生きることができる存在へと、自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動

提要は、生徒指導を「児童生徒が、社会の中で自分らしく生きることができる存在へと、自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動」と定義し、課題への指導や援助は「必要に応じて」行うとしています。問題行動への反省の促しだけを指すものではありません。生徒指導は教育課程の内外を問わず全ての教育活動で、全ての教職員が行うもので、生徒指導部だけの活動でもありません。学習指導と並んで重要な意義を持つ働きであり、学習指導のための管理活動とする説明も誤りです。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章

問2|自己指導能力

生徒指導提要が示す「自己指導能力」の説明として、最も適切なものはどれか。

  1. 教員の指示や学校のきまりを正確に理解し、その内容のとおりに迷わず行動することができる力
  2. 他者の意見や評価に左右されることなく、自分の計画だけを一人で立てて最後までやり通す力
  3. 学級の中でリーダーとなり、他の児童生徒に集団のきまりを守らせることができる指導の力
  4. 深い自己理解に基づき課題を発見し、目標を選択・設定して、他者の主体性を尊重しながら自らの行動を決断し実行する力
正解と解説
正解:D. 深い自己理解に基づき課題を発見し、目標を選択・設定して、他者の主体性を尊重しながら自らの行動を決断し実行する力

提要は自己指導能力を、深い自己理解に基づき、主体的に問題や課題を発見し、自己の目標を選択・設定して、自発的、自律的、かつ、他者の主体性を尊重しながら、自らの行動を決断し実行する力としています。指示どおりに行動する力ではなく、自ら決める力です。また「他者の主体性を尊重しながら」とあるので、他者と関わらずに一人でやり通す力でもありません。他の児童生徒にきまりを守らせるリーダーの力を指すものでもありません。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章

問3|実践上の4つの視点

生徒指導提要が示す「生徒指導の実践上の視点」に含まれないものはどれか。

  1. 教員による一律で厳格な規律の徹底
  2. 自己存在感の感受
  3. 共感的な人間関係の育成
  4. 安全・安心な風土の醸成
正解と解説
正解:A. 教員による一律で厳格な規律の徹底

提要が示す実践上の視点は、自己存在感の感受、共感的な人間関係の育成、自己決定の場の提供、安全・安心な風土の醸成の4つです。したがって含まれないのは「教員による一律で厳格な規律の徹底」です。自己存在感の感受は、集団に個が埋没しないよう「大切にされている」と実感できるようにする視点です。共感的な人間関係の育成は、支持的で創造的な学級づくりの土台です。安全・安心な風土は、教職員の支援の下で児童生徒自らがつくり上げることが大切だとされています。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章

問4|2軸:プロアクティブ

生徒指導提要の「2軸」のうち、常態的・先行的(プロアクティブ)生徒指導に当たる組み合わせはどれか。

  1. 課題未然防止教育と課題早期発見対応
  2. 課題早期発見対応と困難課題対応的生徒指導
  3. 発達支持的生徒指導と課題未然防止教育
  4. 発達支持的生徒指導と困難課題対応的生徒指導
正解と解説
正解:C. 発達支持的生徒指導と課題未然防止教育

提要は、日常の生徒指導を基盤とする発達支持的生徒指導と、組織的・計画的な課題未然防止教育を、先手型の常態的・先行的(プロアクティブ)生徒指導としています。課題早期発見対応と困難課題対応的生徒指導は、事後対応型の即応的・継続的(リアクティブ)生徒指導です。したがって、課題早期発見対応や困難課題対応的生徒指導を含む組み合わせは誤りです。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章

問5|4層:第3層の対象

生徒指導の重層的支援構造(4層)で、第3層「課題予防的生徒指導:課題早期発見対応」が対象とするのはどれか。

  1. 特定の課題を意識せずに働きかける、全ての児童生徒
  2. 深刻な課題を抱え、関係機関との連携が必要な特定の児童生徒
  3. 課題の予兆行動が見られるなど、気になる一部の児童生徒
  4. 児童生徒ではなく、その保護者と地域の関係者
正解と解説
正解:C. 課題の予兆行動が見られるなど、気になる一部の児童生徒

第3層の課題早期発見対応は、課題の予兆行動が見られたり、問題行動のリスクが高まったりしている気になる一部の児童生徒を対象に、深刻な問題に発展しないよう初期の段階で対応します。全ての児童生徒を対象とするのは第1層と第2層です。深刻な課題を抱える特定の児童生徒を対象とするのは第4層の困難課題対応的生徒指導です。4層は児童生徒を対象とした構造で、保護者や地域を対象とした層ではありません。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章

問6|課題未然防止教育の例

生徒指導提要の4層のうち、「課題予防的生徒指導:課題未然防止教育」に当たる取組はどれか。

  1. 全ての児童生徒を対象に、年間指導計画に位置付けて行う薬物乱用防止教育
  2. 遅刻や欠席が増え始めた児童生徒に対して、早めに行う家庭訪問や面談
  3. 児童相談所と連携して進める、虐待を受けている児童生徒への継続的な支援
  4. 特定の課題を意識せずに、毎日の挨拶や声かけ、励ましを全ての児童生徒に行うこと
正解と解説
正解:A. 全ての児童生徒を対象に、年間指導計画に位置付けて行う薬物乱用防止教育

課題未然防止教育は、全ての児童生徒を対象に、生徒指導の諸課題の未然防止をねらいとした意図的・組織的・系統的な教育プログラムで、いじめ防止教育、SOSの出し方教育を含む自殺予防教育、薬物乱用防止教育、情報モラル教育、非行防止教室などが当たります。欠席が増え始めた児童生徒への早めの対応は第3層の課題早期発見対応です。関係機関と連携した虐待への継続的な支援は第4層の困難課題対応的生徒指導です。特定の課題を意識しない日々の声かけは第1層の発達支持的生徒指導です。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章

問7|2010年版からの変更

生徒指導提要の改訂(令和4年)で、生徒指導の構造はどのように変わったか。

  1. 3層構造のうち「課題解決的な指導」が廃止され、全ての児童生徒を対象とする2層構造になった
  2. 3層構造のうち「予防的な指導」が、課題早期発見対応と困難課題対応的生徒指導の2つの層に分けられた
  3. 3層構造はそのまま残され、新たに保護者を対象とする第4層が加えられた
  4. 3層構造のうち「成長を促す指導」が、発達支持的生徒指導と課題未然防止教育の2つの層に分けられた
正解と解説
正解:D. 3層構造のうち「成長を促す指導」が、発達支持的生徒指導と課題未然防止教育の2つの層に分けられた

2010年(平成22年)版の提要は、成長を促す指導、予防的な指導、課題解決的な指導の3層構造でした。改訂ではこの構造を発展させ、「成長を促す指導」が第1層「発達支持的生徒指導」と第2層「課題予防的生徒指導:課題未然防止教育」に分けられ、4層になりました。課題解決的な指導に当たる層は第4層の困難課題対応的生徒指導として残っており、廃止されていません。予防的な指導が分けられたのではありません。保護者を対象とする層が加えられたわけでもありません。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章

問8|ガイダンスとカウンセリング

小学校・中学校学習指導要領(平成29年告示)の総則「児童(生徒)の発達の支援」に示されたガイダンスとカウンセリングの説明として、正しいものはどれか。

  1. ガイダンスは中学校だけで行う進路の説明会のこと、カウンセリングはスクールカウンセラーだけが行う心理面接のことである
  2. ガイダンスは主に集団の場面で必要な指導や援助を行うもの、カウンセリングは一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うものである
  3. ガイダンスは一人一人の悩みに個別に対応するもの、カウンセリングは学級全体に情報提供や説明を行うものである
  4. ガイダンスとカウンセリングは、どちらか一方を学校の実態に応じて選んで行えばよいとされている
正解と解説
正解:B. ガイダンスは主に集団の場面で必要な指導や援助を行うもの、カウンセリングは一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うものである

総則は、主に集団の場面で必要な指導や援助を行うガイダンスと、個々の児童(生徒)の多様な実態を踏まえ、一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うカウンセリングの「双方により」発達を支援するよう示しています。この規定は小学校と中学校で同じなので、ガイダンスを中学校だけの進路説明会とするのは誤りです。カウンセリングもSCだけでなく教職員が行うものです。ガイダンスとカウンセリングの説明を入れ替えた選択肢も誤りです。どちらか一方を選ぶのではなく、双方で支援します。

根拠:小学校学習指導要領(平成29年告示)・中学校学習指導要領(平成29年告示) 第1章総則 第4の1(1)、生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 1.3.3

問9|個別指導の二つの概念

生徒指導提要が示す「個別指導」の説明として、正しいものはどれか。

  1. 問題行動を起こした児童生徒を、別室に移して行う指導だけを指す
  2. 集団指導とは別に、放課後に一対一で行う学習の補充指導だけを指す
  3. 集団指導の効果を下げるため、できるだけ行わないことが望ましいとされている
  4. 集団から離れて行う指導と、集団指導の場面においても個に配慮することの二つの概念がある
正解と解説
正解:D. 集団から離れて行う指導と、集団指導の場面においても個に配慮することの二つの概念がある

提要は、個別指導には「集団から離れて行う指導」と「集団指導の場面においても個に配慮すること」の二つの概念があるとしています。授業など一斉の活動の中で個に応じて配慮することも個別指導です。問題行動の際の別室指導や放課後の補充指導だけに限られません。また、提要は集団指導と個別指導を、集団に支えられて個が育ち、個の成長が集団を発展させるという相互作用で捉えており、個別指導を控えるべきものとはしていません。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章

問10|教育相談の位置付け

生徒指導提要における教育相談の位置付けとして、正しいものはどれか。

  1. 生徒指導から独立した教育活動で、スクールカウンセラーが専門に担うもの
  2. 生徒指導の一環として位置付けられ、その中心的役割を担うもの
  3. 問題が起きた後の個別対応に限って行う、生徒指導とは別の活動
  4. 学級担任は関わらず、教育相談コーディネーターだけが行うもの
正解と解説
正解:B. 生徒指導の一環として位置付けられ、その中心的役割を担うもの

提要は、教育相談は生徒指導から独立した教育活動ではなく、生徒指導の一環として位置付けられ、その中心的役割を担うものとしています。SCだけの専門業務ではなく、教育相談コーディネーター、担任、SC、SSWなどがチームで進めます。また、事後の個別対応だけでなく、未然防止、早期発見、早期支援・対応から再発防止まで一貫した支援が求められています。担任が関わらないという説明も誤りで、担任は児童生徒に最も近い立場で教育相談に関わります。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章・第3章

問11|生徒指導と教育相談の発想

生徒指導提要が説明する、生徒指導と教育相談の発想の違いとして、適切なものはどれか。

  1. 生徒指導は個人の資質や能力の伸長を援助する発想が強く、教育相談は集団の規律を守らせる発想が強い
  2. 生徒指導は児童生徒の将来の自己実現を目的とするが、教育相談は目の前の悩みの解消だけを目的とする
  3. 生徒指導は集団や社会の一員として求められる資質や能力を身に付けるよう働きかける発想が強く、教育相談は個人の資質や能力の伸長を援助する発想が強い
  4. 生徒指導と教育相談は目的も発想も異なるため、別々の担当者が分けて取り組むことが求められる
正解と解説
正解:C. 生徒指導は集団や社会の一員として求められる資質や能力を身に付けるよう働きかける発想が強く、教育相談は個人の資質や能力の伸長を援助する発想が強い

提要は、教育相談の目的は児童生徒が将来において社会的な自己実現ができるような資質・能力・態度を形成するよう働きかけることで、この点で生徒指導と共通するとしています。そのうえで、生徒指導は集団や社会の一員として求められる資質や能力を身に付けるよう働きかける発想が強く、教育相談は個人の資質や能力の伸長を援助する発想が強いと説明しています。説明を入れ替えた選択肢は誤りです。教育相談も将来の自己実現を目指すので、目の前の悩みだけが目的ではありません。提要は両者を一体化させ、全教職員が一致して取り組むよう求めています。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章・第3章

問12|教職員に求められる姿勢

生徒指導提要が、生徒指導と教育相談を一体化させるために教職員に求める姿勢として、適切でないものはどれか。

  1. 指導や援助の在り方は、経験の豊かな教職員の価値観や信念に基づいて決めること
  2. 指導や援助の在り方を、児童生徒理解(アセスメント)に基づいて考えること
  3. あらゆる場面に通用する指導や援助の方法は存在しないことを理解し、柔軟な働きかけを目指すこと
  4. どの段階でどのような指導・援助が必要かという時間的視点を持つこと
正解と解説
正解:A. 指導や援助の在り方は、経験の豊かな教職員の価値観や信念に基づいて決めること

提要は、①指導や援助の在り方を教職員の価値観や信念から考えるのではなく、児童生徒理解(アセスメント)に基づいて考えること、②あらゆる場面に通用する方法は存在しないと理解し、柔軟な働きかけを目指すこと、③時間的視点を持つこと、の3つを求めています。したがって、教職員の価値観や信念に基づいて決めるという選択肢が適切でないものです。経験が豊かでも、根拠はアセスメントに置きます。他の3つは提要が示す姿勢そのものです。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章・第3章

問13|定期相談

生徒指導提要が早期発見の方法として挙げる「定期相談」の説明として、適切なものはどれか。

  1. 5分程度の面接であっても継続することで、安心感の形成と信頼関係の構築に効果がある
  2. 問題の兆候が見られた児童生徒だけを呼び出し、1時間程度かけて原因を詳しく聞き取る
  3. 年度末に1回、全ての児童生徒を対象に書面で悩みを回答させる調査である
  4. スクールカウンセラーだけが行い、学級担任は内容を知らされないことが原則である
正解と解説
正解:A. 5分程度の面接であっても継続することで、安心感の形成と信頼関係の構築に効果がある

提要は、定期相談について、5分程度の面接であっても継続することで、「定期相談のときに相談できる」という安心感の形成と信頼関係の構築に効果的に作用するとし、受容的かつ共感的に傾聴することを求めています。兆候のある児童生徒だけを長時間呼び出すものではありません。書面で回答させるのは「質問紙調査」という別の方法です。担任などの教職員が行う面接であり、SCだけが行い担任に知らせないことを原則とするものでもありません。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章・第3章

問14|スクリーニング会議

生徒指導提要が説明するスクリーニング会議について、適切なものはどれか。

  1. 深刻な事態が起きた特定の児童生徒について、関係機関とともに具体的な支援計画を作る会議である
  2. 学級担任が一人で、自分の学級の気になる児童生徒を選び出すために行う作業である
  3. 欠席日数や保健室の利用回数など取り上げる基準を決めておき、担任以外も対象の児童生徒を認識しておくことが重要である
  4. 対象を絞り込むため、明らかに問題行動を起こした児童生徒だけを取り上げる会議である
正解と解説
正解:C. 欠席日数や保健室の利用回数など取り上げる基準を決めておき、担任以外も対象の児童生徒を認識しておくことが重要である

スクリーニング会議は、教育相談コーディネーター、生徒指導主事、特別支援教育コーディネーター、養護教諭、SC、SSWなどが集まり、リスクの高い児童生徒を見いだし、必要な支援体制を整えるための会議です。悩みや不安を抱える児童生徒を広く網に掛けるようにスクリーニングし、基準を決めておくこと、担任以外も対象を認識しておくことが重要とされます。特定の児童生徒の支援計画を作るのはケース会議です。担任一人の作業ではなく、担任の抱え込みを防ぐための仕組みです。問題行動を起こした児童生徒だけに絞るのではなく、広く対象を拾います。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章・第3章

問15|支援チームの形態

生徒指導提要が示す支援チームの形態のうち、学校と児童相談所や警察などの関係機関等で構成されるものはどれか。

  1. 機動的連携型支援チーム
  2. ネットワーク型支援チーム
  3. 校内連携型支援チーム
  4. 学年会議型支援チーム
正解と解説
正解:B. ネットワーク型支援チーム

提要は支援チームの形態として、担任に生徒指導主事や学年主任、教育相談コーディネーター等を加えた最小の「機動的連携型支援チーム」、校務分掌や学年を超えた「校内連携型支援チーム」、学校と関係機関等で構成される「ネットワーク型支援チーム」を示しています。関係機関を含むのはネットワーク型です。機動的連携型と校内連携型は校内のメンバーによるチームです。「学年会議型支援チーム」という形態は提要には示されていません。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章・第3章

問16|BPSモデル

生徒指導提要が紹介するBPSモデル(生物・心理・社会モデル)で、「家庭や学校の環境や人間関係」はどの要因として検討されるか。

  1. 生物学的要因
  2. 心理学的要因
  3. 教育的要因
  4. 社会的要因
正解と解説
正解:D. 社会的要因

BPSモデルは、児童生徒の課題を、生物学的要因、心理学的要因、社会的要因の3つの観点から検討するアセスメントの方法です。提要は不登校の例で、生物学的要因を「発達特性、病気等」、心理学的要因を「認知、感情、信念、ストレス、パーソナリティ等」、社会的要因を「家庭や学校の環境や人間関係等」としています。したがって答えは社会的要因です。「教育的要因」はBPSモデルの3つの観点に含まれていません。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章・第3章

問17|生徒指導主事(小学校と中学校)

学校教育法施行規則における生徒指導主事の規定について、正しいものはどれか。

  1. 小学校と中学校の両方に、生徒指導主事を必ず置かなければならないとされている
  2. 中学校には生徒指導主事を置くものとされ、小学校には生徒指導主事の規定はない
  3. 小学校には生徒指導主事を置くものとされ、中学校では置くかどうかを校長が決める
  4. 生徒指導主事は、校長又は教頭をもって充てることとされている
正解と解説
正解:B. 中学校には生徒指導主事を置くものとされ、小学校には生徒指導主事の規定はない

学校教育法施行規則第70条は、「中学校には、生徒指導主事を置くものとする」とし(主幹教諭や主務教諭〔2026年4月1日施行の改正で追加〕を置くとき、その他特別の事情のあるときは、置かないことができます)、生徒指導主事は指導教諭又は教諭をもって充て、校長の監督を受けて生徒指導に関する事項をつかさどると定めています。小学校には生徒指導主事の規定はなく、提要によると、校務を分担する主任等を置くことができるという第47条を受けて、生徒指導部や生徒指導主任等を置いています。小学校と中学校を入れ替えた選択肢や、両方に必置とする選択肢は誤りです。校長や教頭を充てるという規定もありません。

根拠:学校教育法施行規則(e-Gov法令検索) 第47条・第70条、生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 3.2.1

問18|SCとSSWの規定

学校教育法施行規則におけるスクールカウンセラー(SC)とスクールソーシャルワーカー(SSW)の規定として、正しいものはどれか。

  1. SCは児童の心理に関する支援に、SSWは児童の福祉に関する支援に従事すると定められ、この規定は中学校に準用されている
  2. SCは児童の福祉に関する支援に、SSWは児童の心理に関する支援に従事すると定められている
  3. SCとSSWの職務は、中学校についてだけ定められ、小学校には規定がない
  4. SCとSSWは学校外の相談員とされ、校長の指揮監督は受けないと定められている
正解と解説
正解:A. SCは児童の心理に関する支援に、SSWは児童の福祉に関する支援に従事すると定められ、この規定は中学校に準用されている

学校教育法施行規則は、第65条の3で「スクールカウンセラーは、小学校における児童の心理に関する支援に従事する」、第65条の4で「スクールソーシャルワーカーは、小学校における児童の福祉に関する支援に従事する」と定め、第79条で中学校に準用しています。心理と福祉を入れ替えた選択肢は誤りです。規定は小学校の規定として置かれ、中学校に準用されているので、中学校だけという選択肢も誤りです。提要は、学校配置のSCやSSWは教職員として位置付けられ、校長の指揮監督の下で職務を行うとしています。

根拠:学校教育法施行規則(e-Gov法令検索) 第65条の3・第65条の4・第79条、生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章注4・10.2.2

問19|調査上の不登校の定義

文部科学省の調査で用いられ、生徒指導提要も示している不登校の定義に合うものはどれか。

  1. 心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、連続して30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの
  2. 心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、年間60日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの
  3. 心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、年間30日以上欠席した者で、病気や経済的な理由による者も含めたもの
  4. 心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの
正解と解説
正解:D. 心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの

定義は「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」です。基準は「連続して」ではなく「年間」の欠席日数です。日数は60日ではなく30日です。病気や経済的な理由による欠席は除くので、含めるとする選択肢も誤りです。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第10章(10.1.1)、文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(不登校抜粋版)」

問20|確保法の考え方

生徒指導提要が、教育機会確保法の考え方として前面に出されている点に挙げているものはどれか。

  1. 不登校は本人の性格や家庭のしつけに主な原因がある問題行動であり、早く是正する必要がある
  2. 不登校の児童生徒には、学校への復帰だけを目標として、毎日の強い登校刺激を与える必要がある
  3. 不登校は多様な要因・背景により結果として不登校になっているのであり、その行為を「問題行動」と判断してはならない
  4. 不登校は教育の観点だけで捉えて、学校の内部だけで対応することが求められる
正解と解説
正解:C. 不登校は多様な要因・背景により結果として不登校になっているのであり、その行為を「問題行動」と判断してはならない

提要は、確保法では、不登校は多様な要因・背景により結果として不登校になっているということであり、その行為を「問題行動」と判断してはならないという点が前面に出されていると説明しています。本人や家庭に原因がある問題行動とする選択肢はこれと逆です。支援の目標は学校復帰という結果だけではなく社会的自立であり、やみくもな登校刺激は勧められていません。また提要は、不登校を教育の観点のみで捉えて対応することには限界があるとし、関係機関との連携によるネットワーク支援の重要性を挙げています。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第10章(10.1.2)

問21|支援の目標

生徒指導提要が示す、不登校児童生徒への支援の目標として、最も適切なものはどれか。

  1. できるだけ早く在籍している学級に復帰させ、欠席日数を減らすことを最も重要な目標とする
  2. 本人が望むまで一切の働きかけをせず、家庭で休養させることを目標とする
  3. 学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指す
  4. 学業の遅れを取り戻させることを目標とし、家庭学習の課題の量を増やす
正解と解説
正解:C. 学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指す

提要は、支援の目標を、将来、児童生徒が精神的にも経済的にも自立し、豊かな人生を送れるような社会的自立を果たすことだとし、「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではないとしています。学級復帰や欠席日数の減少だけを最重要とする選択肢は誤りです。一方で、提要は「待つ」だけでなく状況に応じた働きかけの重要性も述べており、一切働きかけないという選択肢も不適切です。学業の遅れはリスクの一つですが、課題の量を増やすことが目標なのではありません。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第10章(10.1.4)

問22|社会的自立の意味

生徒指導提要が説明する、不登校支援における「社会的自立」の意味として、適切なものはどれか。

  1. 他者に依存せず、どのような支援も受けずに、一人の力で生活できるようになること
  2. 義務教育を修了した後、すぐに就職して経済的に独立すること
  3. 在籍する学校の教育課程をすべて修了して、卒業すること
  4. 適切に他者に依存したり、自ら必要な支援を求めたりしながら、社会の中で自己実現していくこと
正解と解説
正解:D. 適切に他者に依存したり、自ら必要な支援を求めたりしながら、社会の中で自己実現していくこと

提要は、ここでいう社会的自立は、依存しないことや支援を受けないということではなく、適切に他者に依存したり、自らが必要な支援を求めたりしながら、社会の中で自己実現していくという意味だとしています。したがって、支援を受けずに一人で生活することとする選択肢は誤りです。提要は進路として高校進学、高卒認定試験、就職など多様な道を挙げており、すぐの就職や、在籍校の卒業という一つの形に限定するものではありません。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第10章(10.1.4)

問23|出席扱いの判断

不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けている場合の、指導要録上の出席扱いについて正しいものはどれか。

  1. 一定の要件の下で、校長の判断により出席扱いとすることができる
  2. 教育委員会が、通っている施設の種類によって一律に出席扱いを決める
  3. 保護者が施設に通ったことを申告すれば、それだけで出席扱いとなる
  4. 民間施設の代表者が出席を証明すれば、学校は出席扱いにしなければならない
正解と解説
正解:A. 一定の要件の下で、校長の判断により出席扱いとすることができる

提要は、学校外の公的機関や民間施設での学びを、一定の要件の下、校長の判断により指導要録上の出席扱いとすることができるとしています。要件には、保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること、民間施設の相談・指導が適切かを、ガイドラインを参考に校長が教育委員会等と連携して判断すること、施設に通所又は入所して相談・指導を受けることなどがあります。教育委員会が一律に決めるのではなく、教育委員会は校長と連携する立場です。保護者の申告や施設の証明だけで自動的に出席扱いになるものでもありません。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第10章(10.1.2、注116)

問24|学びの多様化学校

「学びの多様化学校」についての説明として、正しいものはどれか。

  1. 夜間に授業を行い、主に学齢期を過ぎた人を受け入れるために新しく作られた学校の名称である
  2. 以前「不登校特例校」と呼ばれていた学校で、不登校児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程を編成できる
  3. 教育委員会が設置する、不登校児童生徒の学習支援と相談を行う施設の新しい名称である
  4. 民間のフリースクールのうち、文部科学大臣が認定したものの名称である
正解と解説
正解:B. 以前「不登校特例校」と呼ばれていた学校で、不登校児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程を編成できる

学びの多様化学校は、いわゆる「不登校特例校」の名称として、令和5年8月に文部科学大臣が決定しました。学校教育法施行規則第56条(中学校は第79条で準用)などにより、不登校児童生徒の実態に配慮して、教育課程の基準によらない特別の教育課程を編成できます。夜間に授業を行う学校は夜間中学で、別のものです。教育委員会が設置する学習支援・相談の施設は教育支援センターです。学びの多様化学校は学校教育法上の学校で、民間のフリースクールの認定制度の名称ではありません。

根拠:文部科学省「学びの多様化学校」名称決定の資料(令和5年8月31日)、学校教育法施行規則(e-Gov法令検索) 第56条・第79条、生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 10.1.2

問25|確保法第13条

教育機会確保法第13条は、学校以外の場で行う学習活動の支援について、何を踏まえるとしているか。

  1. 在籍する学校への早期の復帰
  2. 保護者の就労の状況と家計の収入
  3. 全国学力・学習状況調査の結果
  4. 個々の不登校児童生徒の休養の必要性
正解と解説
正解:D. 個々の不登校児童生徒の休養の必要性

第13条は、国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ、その状況に応じた学習活動が行われるよう、児童生徒や保護者への情報提供、助言その他の支援に必要な措置を講ずる、と定めています。早期の学校復帰を踏まえるという文言はありません。保護者の就労や収入、学力調査の結果も、この条文が踏まえるものとしては挙げられていません。

根拠:義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(e-Gov法令検索) 第13条

問26|平成4年の通知の視点

生徒指導提要によると、平成4年の通知「登校拒否問題への対応について」で強調された視点はどれか。

  1. 不登校は特定の性格を持つ子にだけ起こるという視点
  2. 不登校の原因は主に家庭の養育にあるという視点
  3. 不登校はどの子にも起こりうるという視点
  4. 不登校には強い登校刺激を与えることが基本だという視点
正解と解説
正解:C. 不登校はどの子にも起こりうるという視点

提要は、平成4年の通知「登校拒否問題への対応について」の中で、「不登校はどの子にも起こりうる」という視点と、「やみくもに登校刺激を与えるのではなく、待つことが大切」ということが強調されたと説明しています。特定の性格の子にだけ起こるという見方は、「どの子にも」と逆です。原因を家庭に限定する視点も示されていません。強い登校刺激を基本とする選択肢も、この通知の考え方と逆です。なお、その後は「待つ」だけでなく、状況を見極めた働きかけが重要とされました。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第10章(10.1.1)

問27|不登校の調査結果

文部科学省の令和6年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の、小・中学校の不登校児童生徒数についての説明として正しいものはどれか。

  1. 小・中学校の合計は前年度より減少し、12年ぶりに減少に転じた
  2. 小・中学校の合計は約35万4千人で、12年連続で増加し過去最多となった
  3. 小学校の不登校児童数が、中学校の不登校生徒数を上回った
  4. 児童生徒1,000人当たりの不登校児童生徒数は、約3.9人であった
正解と解説
正解:B. 小・中学校の合計は約35万4千人で、12年連続で増加し過去最多となった

令和6年度調査では、小学校137,704人、中学校216,266人、合計353,970人で、12年連続で増加し過去最多でした。したがって減少に転じたという選択肢は誤りです。中学校の人数が小学校を上回っています。児童生徒1,000人当たりでは38.6人(前年度37.2人)で、約3.9人ではありません。この数字は2026年10月時点で公表されている最新の調査結果で、毎年更新されます。

根拠:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(不登校抜粋版)」

問28|キャリア教育の定義

文部科学省が示すキャリア教育の説明として、正しいものはどれか。

  1. 一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育
  2. 一定の職業に従事するために必要な知識、技能、能力や態度を育てる教育
  3. 中学校第3学年で、生徒の希望と成績に応じて進学先や就職先を決めるための教育
  4. 職場体験活動を中心に、特定の職業の技能を身に付けさせる教育
正解と解説
正解:A. 一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育

文部科学省は、キャリア教育を「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」と説明しています(平成23年1月の中央教育審議会答申の定義)。キャリア教育は社会的・職業的自立の「基盤となる」能力や態度を育てるもので、特定の職業に必要な知識や技能を育てることを指すものではありません。キャリア教育は小学校から学校の教育活動全体で行うもので、中学3年の進路決定だけではありません。職場体験活動は手段の一つで、特定の職業の技能習得が目的ではありません。

根拠:文部科学省「キャリア教育」

問29|基礎的・汎用的能力

キャリア教育で育成すべき力として示された「基礎的・汎用的能力」に含まれないものはどれか。

  1. 情報活用能力
  2. 人間関係形成・社会形成能力
  3. 自己理解・自己管理能力
  4. キャリアプランニング能力
正解と解説
正解:A. 情報活用能力

基礎的・汎用的能力は、平成23年の中央教育審議会答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」で示された、「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」の4つです。したがって含まれないのは「情報活用能力」です。情報活用能力は、学習指導要領の総則で言語能力などとともに「学習の基盤となる資質・能力」として示されているもので、基礎的・汎用的能力の4つとは別です。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第2章 注20(中央教育審議会答申、平成23年)

問30|キャリア教育の要

小学校・中学校学習指導要領(平成29年告示)の総則で、キャリア教育の充実を図るに当たって「要」とされているものはどれか。

  1. 総合的な学習の時間
  2. 特別活動
  3. 特別の教科 道徳
  4. 社会科
正解と解説
正解:B. 特別活動

総則は、児童(生徒)が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう、「特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて」キャリア教育の充実を図るよう示しています。この規定は小学校と中学校で共通です。総合的な学習の時間、道徳科、社会科もそれぞれの特質に応じてキャリア教育に関わりますが、「要」とされているのは特別活動です。

根拠:小学校学習指導要領(平成29年告示)・中学校学習指導要領(平成29年告示) 第1章総則 第4の1(3)

問31|進路指導の規定

学習指導要領(平成29年告示)の総則と生徒指導提要に照らして、進路指導の説明として正しいものはどれか。

  1. 小学校と中学校の総則に、まったく同じ文言で進路指導を行うことが示されている
  2. 進路指導はキャリア教育より広い概念で、キャリア教育は進路指導の一部とされている
  3. 中学校の総則には、学校の教育活動全体を通じた組織的かつ計画的な進路指導を行うことが示され、進路指導はキャリア教育に包含される
  4. 進路指導は中学校第3学年の学級担任だけが、進学先を決める時期に行うものとされている
正解と解説
正解:C. 中学校の総則には、学校の教育活動全体を通じた組織的かつ計画的な進路指導を行うことが示され、進路指導はキャリア教育に包含される

中学校の総則は、キャリア教育の充実に続けて、「その中で、生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行うこと」と示しています。この一文は小学校の総則にはありません。提要は、このことから「キャリア教育の中に進路指導が包含されて」いると説明しており、進路指導の方が広いとする選択肢は逆です。また、進路指導は学校の教育活動全体を通じて組織的・計画的に行うもので、3年生の担任だけが行うものではありません。

根拠:小学校学習指導要領(平成29年告示)・中学校学習指導要領(平成29年告示) 第1章総則 第4の1(3)、生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 1.1.3

問32|学級活動(3)の小中の違い

学習指導要領(平成29年告示)の学級活動の内容(3)「一人一人のキャリア形成と自己実現」で、中学校には示されているが、小学校には示されていない項目はどれか。

  1. 社会参画意識の醸成
  2. 学校図書館等の活用
  3. 主体的な学習態度の形成
  4. 主体的な進路の選択と将来設計
正解と解説
正解:D. 主体的な進路の選択と将来設計

学級活動(3)の項目は、小学校が「ア 現在や将来に希望や目標をもって生きる意欲や態度の形成」「イ 社会参画意識の醸成や働くことの意義の理解」「ウ 主体的な学習態度の形成と学校図書館等の活用」、中学校が「ア 社会生活、職業生活との接続を踏まえた主体的な学習態度の形成と学校図書館等の活用」「イ 社会参画意識の醸成や勤労観・職業観の形成」「ウ 主体的な進路の選択と将来設計」です。「主体的な進路の選択と将来設計」は中学校だけの項目です。社会参画意識の醸成、学校図書館等の活用、主体的な学習態度の形成は、小学校と中学校の両方に含まれています。

根拠:小学校学習指導要領(平成29年告示)・中学校学習指導要領(平成29年告示) 特別活動 学級活動 2(3)

問33|キャリア・パスポート

「キャリア・パスポート」の説明として、正しいものはどれか。

  1. 中学校卒業時に、進路先の高等学校へ提出が義務付けられている成績と出欠の公式な記録
  2. 職場体験活動を行った事業所が、生徒の働きぶりを評価して記入する証明書
  3. 学級活動・ホームルーム活動を中心に、学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりして、自身の変容や成長を自己評価できるよう工夫されたポートフォリオ
  4. 就職を希望する生徒だけが中学校第3学年で作成する、履歴書の練習用の書類
正解と解説
正解:C. 学級活動・ホームルーム活動を中心に、学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりして、自身の変容や成長を自己評価できるよう工夫されたポートフォリオ

生徒指導提要によると、キャリア・パスポートは、児童生徒が、小学校から高等学校までのキャリア教育に関わる諸活動について、特別活動の学級活動及びホームルーム活動を中心として各教科等と往還し、自らの学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら、自身の変容や成長を自己評価できるよう工夫されたポートフォリオです。学習指導要領の学級活動(3)の「活動を記録し蓄積する教材等」に当たります。成績や出欠の公式記録は指導要録で、キャリア・パスポートではありません。事業所が書く証明書でも、就職希望者だけの書類でもなく、小学校から全ての児童生徒が使います。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第9章 注108、文部科学省「キャリア・パスポート」、小学校学習指導要領(平成29年告示)・中学校学習指導要領(平成29年告示) 特別活動 学級活動 3(2)

問34|進路指導主事

学校教育法施行規則における進路指導主事の規定として、正しいものはどれか。

  1. 小学校と中学校の両方に、進路指導主事を置かなければならないとされている
  2. 中学校には進路指導主事を置くものとされ、指導教諭又は教諭をもって充て、校長の監督を受けて進路の指導に関する事項をつかさどる
  3. 進路指導主事は、校長が兼ねることとされている
  4. 進路指導主事は、学校の外部から招いた職業相談の専門家をもって充てることとされている
正解と解説
正解:B. 中学校には進路指導主事を置くものとされ、指導教諭又は教諭をもって充て、校長の監督を受けて進路の指導に関する事項をつかさどる

学校教育法施行規則第71条は、中学校には進路指導主事を置くものとし(進路指導主事の担当する校務を整理する主幹教諭、又は2026年4月1日施行の改正で加わった主務教諭を置くときは、置かないことができます)、進路指導主事は指導教諭又は教諭をもって充て、校長の監督を受け、生徒の職業選択の指導その他の進路の指導に関する事項をつかさどり、当該事項について連絡調整及び指導、助言に当たると定めています。小学校には進路指導主事の規定はありません。校長が兼ねるという規定や、外部の専門家を充てるという規定もありません。

根拠:学校教育法施行規則(e-Gov法令検索) 第71条

問35|職場体験活動の位置付け

中学校学習指導要領(平成29年告示)の特別活動で、「職場体験活動などの勤労観・職業観に関わる啓発的な体験」が示されている学校行事はどれか。

  1. 儀式的行事
  2. 文化的行事
  3. 健康安全・体育的行事
  4. 勤労生産・奉仕的行事
正解と解説
正解:D. 勤労生産・奉仕的行事

中学校の学校行事の「勤労生産・奉仕的行事」は、勤労の尊さや生産の喜びを体得し、職場体験活動などの勤労観・職業観に関わる啓発的な体験が得られるようにするとともに、ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られるようにする、と示されています。小学校の勤労生産・奉仕的行事には職場体験活動の例示はなく、勤労の尊さや生産の喜び、ボランティア活動などが示されています。儀式的行事、文化的行事、健康安全・体育的行事には職場体験活動は示されていません。

根拠:中学校学習指導要領(平成29年告示)・小学校学習指導要領(平成29年告示) 特別活動 学校行事 2(5)

問36|生徒指導とキャリア教育

生徒指導提要が説明する、生徒指導とキャリア教育の関係として、適切なものはどれか。

  1. いじめや暴力行為への対応でも、反省だけでは再発防止力は弱く、将来の夢や進路目標を明確にすることなどが重要であり、両者は深い関係にある
  2. 生徒指導は問題行動への対応、キャリア教育は進路の決定を扱うので、両者は別々に進めることが望ましい
  3. キャリア教育は中学校以降で行うものなので、小学校の生徒指導とは関係がない
  4. 問題行動を起こした児童生徒には、まず反省させることが十分な再発防止になるので、キャリア教育の視点は不要である
正解と解説
正解:A. いじめや暴力行為への対応でも、反省だけでは再発防止力は弱く、将来の夢や進路目標を明確にすることなどが重要であり、両者は深い関係にある

提要は、生徒指導と同様に児童生徒の社会的自己実現を支える教育活動としてキャリア教育があり、両者の相互作用を理解して一体となった取組を行うことが大切だとしています。いじめや暴力行為などへの対応でも、児童生徒の反省だけでは再発防止力は弱く、自他の人生への影響を考えること、自己の生き方を見つめること、将来の夢や進路目標を明確にすることが重要だとし、両者は深い関係にあると述べています。別々に進めるという選択肢や、反省だけで十分とする選択肢は誤りです。キャリア教育は小学校の総則にも示されています。

根拠:生徒指導提要(令和4年12月、文部科学省) 第1章(1.1.3)

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※ 解説は学習用の情報提供です。採用選考の実施方法・出題範囲は、必ず受験する自治体の実施要項をご確認ください。
※ 問題はすべて仮の宿 学習室のオリジナル問題で、本試験の問題ではありません。法令は2026年10月時点のものです。