教員採用試験 TEACHER EMPLOYMENT EXAM
子どもの権利・安全・保健
講義 4 本・確認問題 36 問 | 教育法規 | 最終更新 2026-10-16
この章で学ぶこと- 児童の権利に関する条約の四つの原則と、こども基本法の基本理念との対応を理解する。
- いじめ防止対策推進法のいじめの定義、学校の義務、重大事態への対応を説明できる。
- 学校保健安全法で、健康診断・出席停止・臨時休業・学校安全計画を「だれが・いつ」行うかを区別できる。
- 児童虐待の4類型と、教職員の早期発見・通告の義務、通告するときの注意点を説明できる。
1. 子どもの権利:児童の権利条約とこども基本法
子どもを権利の主体として扱う考え方を、条約の四つの原則とこども基本法の基本理念から学びます。
この講義は、2026年10月時点の法令と国の資料で書いています。教員採用試験の教職教養では、子どもを「守られる対象」としてだけでなく、権利をもつ一人の人として扱う考え方が、条約と法律の両方から問われます。小学校でも中学校でも同じ考え方です。
児童の権利に関する条約
児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)は、1989年11月20日に第44回国連総会で採択され、1990年に発効しました。日本は1990年に署名し、1994年に批准しました(日本について効力が生じたのは1994年5月22日)。条約の「児童」は、18歳未満のすべての者です(第1条)。締約国は196か国・地域です(2025年3月現在、こども家庭庁)。
生徒指導提要(文部科学省、令和4年12月)は、教職員がこの条約の四つの原則を理解しておくことが「不可欠」だとしています。
条約の四つの原則(生徒指導提要の整理)| 原則 | 条文 | 内容(要約) |
|---|
| 差別の禁止 | 第2条 | 子どもや父母の人種、性、言語、宗教、障害、出生などにかかわらず、差別なく権利を守る |
| 子どもの最善の利益 | 第3条 | 子どもに関するすべての措置で、子どもの最善の利益を主として考える |
| 生命・生存・発達の権利 | 第6条 | 生命への固有の権利を認め、生存と発達をできる限り確保する |
| 意見を表明する権利 | 第12条 | 自分に関係することに自由に意見を表せる。意見は年齢と成熟度に応じて相応に考慮される |
第12条は「子どもの言うとおりに決める」という意味ではありません。意見を聴き、年齢と成熟度に応じてきちんと考えに入れる、という意味です。学校に関係が深い条文として、第28条(教育への権利。初等教育を義務的かつ無償にすること、定期的な登校を奨励し中途退学を減らすこと)と、第28条2(学校の規律が子どもの人間の尊厳に合う方法で運用されること)、第19条(虐待・放置などからの保護)、第31条(休息・余暇・遊びの権利)も覚えておきましょう。
こども基本法
こども基本法は2022年(令和4年)6月に成立・公布され、2023年(令和5年)4月1日に施行されました。第1条は、日本国憲法と児童の権利に関する条約の精神にのっとり、こども施策を総合的に進めることを目的とします。この法律の「こども」は「心身の発達の過程にある者」で、年齢で区切っていません(第2条)。
こども基本法第3条の基本理念(要約)と条約の原則| 号 | 内容 | 条約との対応 |
|---|
| 第1号 | 個人として尊重され、基本的人権が保障され、差別されない | 差別の禁止 |
| 第2号 | 適切に養育され、生活が保障され、福祉の権利が等しく保障される。教育を受ける機会が等しく与えられる | 生命・生存・発達 |
| 第3号 | 年齢と発達の程度に応じて、自分に直接関係することに意見を表し、社会活動に参画する機会がある | 意見の表明 |
| 第4号 | 年齢と発達の程度に応じて、意見が尊重され、最善の利益が優先して考慮される | 最善の利益 |
| 第5号 | 家庭での養育が基本で、父母などが第一義的責任をもつ。難しい場合は家庭に近い環境を確保する | ― |
| 第6号 | 家庭や子育てに夢をもち、子育てに伴う喜びを実感できる社会をつくる | ― |
そのほかの主な規定は次のとおりです。政府はこども大綱を定めます(第9条。最初の大綱は2023年12月に閣議決定)。都道府県こども計画・市町村こども計画は努力義務です(第10条)。国と地方公共団体は、こども施策の策定・実施・評価にあたり、こどもや養育者などの意見を反映させる措置を講じます(第11条)。国は、この法律と児童の権利に関する条約の趣旨と内容を国民に周知するよう努めます(第15条)。こども家庭庁には、内閣総理大臣を会長とするこども政策推進会議が置かれます(第17条・第18条)。
生徒指導提要は、こども基本法の基本理念を、条約とともに理解しておくことを教職員に求めています。たとえば校則を見直すときに子どもの意見を聴く、学級のルールづくりに子どもが参加する、といった場面が、この考え方につながります。
用語
- 児童の権利に関する条約
- 1989年に国連総会で採択された条約。18歳未満を児童とし、日本は1994年に批准した。
- 批准
- 国が条約に正式に従うと決める手続き。
- 最善の利益
- 子どもに関わる決定で、その子にとって何が一番よいかを主として考えること(条約第3条)。
- 意見表明権
- 自分に関係することに自由に意見を表す権利。年齢と成熟度に応じて考慮される(条約第12条)。
- こども大綱
- こども基本法第9条にもとづき、政府が定めるこども施策の基本的な方針。
例題
例題:こども基本法の「こども」は何歳までか。
答えと考え方 年齢の上限はありません。第2条は「こども」を「心身の発達の過程にある者」と定めています。18歳未満と定めるのは児童の権利に関する条約(第1条)や児童福祉法の「児童」なので、混同しないようにしましょう。
根拠:こども家庭庁「児童の権利に関する条約」、こども家庭庁「児童の権利に関する条約 全文」、外務省「児童の権利条約」、こども基本法(e-Gov法令検索) 第1〜3条・第9〜11条・第15条・第17条・第18条・附則、こども家庭庁「こども基本法の概要」、文部科学省「生徒指導提要」(令和4年12月) 1.5.1(児童生徒の権利の理解)(いずれも2026年10月確認)
2. いじめ防止対策推進法
いじめの法律上の定義と、学校・教職員がしなければならないこと、重大事態への対応を学びます。
この講義は、2026年10月時点のいじめ防止対策推進法(以下「法」)と生徒指導提要で書いています。法は、2011年(平成23年)に起きたいじめ自殺事件をきっかけに、2013年(平成25年)6月に成立し、同年9月から施行されました。
目的と定義
第1条は、いじめが、いじめを受けた子どもの教育を受ける権利を著しく侵害し、心身の成長と人格の形成に重大な影響を与え、生命や身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるとし、子どもの尊厳を保持するために対策を進めると定めます。
第2条第1項の「いじめ」は、子ども(児童等)に対して、同じ学校に在籍しているなど一定の人的関係にある他の児童等が行う、心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって、その行為の対象となった子どもが心身の苦痛を感じているものです。いじめを受けた子どもの受け止めを重視した定義で、「自分より弱い者に対して一方的に」「継続的に」といった条件はありません(これは平成17年度までの文部科学省の調査で使われた古い定義です)。学校の外で起きた行為も対象です。
法の「学校」は、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校(幼稚部を除く)です(第2条第2項)。幼稚園は含まれません。第4条は「児童等は、いじめを行ってはならない」と定めます。
学校がしなければならないこと
法が定める主な取組(要約)| 条 | 内容 | 主体と義務の強さ |
|---|
| 第11条〜第13条 | いじめ防止基本方針 | 国(文部科学大臣)が定める/地方公共団体は努力義務/学校は定めるものとする(義務) |
| 第15条 | 道徳教育と体験活動などの充実 | 学校の設置者と学校 |
| 第16条 | 定期的な調査など早期発見の措置、相談体制の整備 | 学校の設置者と学校 |
| 第19条 | インターネットを通じたいじめの防止の啓発 | 学校 |
| 第22条 | 複数の教職員、心理・福祉などの専門家その他の関係者で構成する組織を置く | 学校 |
| 第23条 | 相談を受けたら学校へ通報、事実確認と設置者への報告、支援と指導、警察との連携 | 教職員・学校 |
第23条第1項は、教職員などが子どもからいじめの相談を受け、いじめの事実があると思われるときは、学校への通報その他の適切な措置をとると定めます。生徒指導提要は、教職員がいじめの情報を抱え込み、学校いじめ対策組織に報告しないことは、この規定に違反し得るとしています。学校は事実を確認し、結果を学校の設置者に報告します(第2項)。犯罪として扱うべきときは警察署と連携し、生命・身体・財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは直ちに警察署に通報します(第6項)。
いじめた子どもに対しては、校長と教員が、教育上必要なときに学校教育法第11条にもとづき適切に懲戒を加えます(第25条)。また、市町村の教育委員会は、いじめた子どもの保護者に出席停止を命じるなど、いじめを受けた子どもが安心して教育を受けられる措置を速やかにとります(第26条)。この出席停止は、小学校は学校教育法第35条、中学校は同条を準用する第49条が根拠で、命じるのは市町村教育委員会(相手は保護者)です。
「解消」と重大事態
国の基本方針(平成29年改定)は、謝罪だけで安易に「解消」としないこととし、解消の要件を、①いじめの行為が止んでいる状態が相当の期間(3か月が目安)続いている、②いじめを受けた子どもが心身の苦痛を感じていない(本人や保護者の面談などで確認)、の二つとしています。
重大事態は、いじめにより①生命・心身・財産に重大な被害が生じた疑いがあるとき(第28条第1項第1号)、②相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあるとき(同第2号)です。②の「相当の期間」は不登校の基準の年間30日が目安ですが、一定期間連続して欠席しているときは、目安にかかわらず迅速に調査に着手します。子どもや保護者から重大事態に至ったという申立てがあったときは、学校が「いじめの結果ではない」と考えていても、重大事態が発生したものとして報告・調査にあたります。公立学校は、教育委員会を通じて地方公共団体の長に報告します(第30条)。
用語
- いじめ(法の定義)
- 一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的・物理的な影響を与える行為で、対象の子どもが心身の苦痛を感じているもの。ネット上も含む。
- 学校いじめ防止基本方針
- 各学校が国や地方の方針を参酌して定める、いじめ防止の基本的な方針(法第13条)。
- 学校いじめ対策組織
- 法第22条にもとづき学校に置く、複数の教職員や専門家などによる組織。
- 重大事態
- 生命・心身・財産への重大な被害の疑い、または相当の期間の欠席を余儀なくされている疑いがある事態(法第28条)。
- 出席停止(学校教育法第35条)
- 性行不良で他の児童の教育に妨げがあるとき、市町村教育委員会が保護者に命じる。中学校は第49条で準用。
例題
例題:中学生Aさんが、部活動の仲間からSNSのグループで無視され、つらいと担任に打ち明けた。仲間は「ふざけていただけ」と言う。法の「いじめ」にあたるか。
答えと考え方 あたります。同じ学校の仲間という一定の人的関係があり、ネット上の行為も含まれ、Aさんが心身の苦痛を感じているからです。行った側の意図は要件ではありません。担任は一人で抱え込まず、学校いじめ対策組織に報告します(法第23条第1項)。
根拠:いじめ防止対策推進法(e-Gov法令検索) 第1条・第2条・第4条・第11〜13条・第15条・第16条・第19条・第22条・第23条・第25条・第26条・第28条・第30条、学校教育法(e-Gov法令検索) 第11条・第35条・第49条、文部科学省「生徒指導提要」(令和4年12月) 3.6.3(出席停止制度)・4.1(いじめ防止対策推進法等)(いずれも2026年10月確認)
3. 学校保健安全法:健康診断・感染症・学校安全
健康診断や感染症の出席停止を「だれが・いつ」行うかと、学校安全計画などのしくみを整理します。
この講義は、2026年10月時点の学校保健安全法と、その施行令・施行規則で書いています。この法律は、子ども(児童生徒等)と職員の健康の保持増進と、学校の安全の確保を目的とします(第1条)。「学校」は学校教育法第1条の学校なので、幼稚園も小学校も中学校も対象です。
学校保健:計画・環境・保健室
学校は、健康診断、環境衛生検査、子どもへの指導などを内容とする学校保健計画を策定し、実施しなければなりません(第5条)。文部科学大臣は学校環境衛生基準を定め(第6条第1項)、校長は環境衛生上の問題があると認めたときは遅滞なく改善の措置をとり、できないときは設置者に申し出ます(同第3項)。学校には保健室を設けます(第7条)。
学校は健康相談を行います(第8条)。養護教諭その他の職員は、互いに連携して、健康相談や日常的な健康観察で子どもの心身の状況を把握し、問題があれば遅滞なく指導し、必要に応じて保護者に助言します(第9条)。生徒指導提要は、健康観察は学級担任や養護教諭が中心となり、全教職員で行うとしています。
健康診断:だれが・いつ
三つの健康診断| 種類 | 行う者 | 時期など |
|---|
| 就学時の健康診断 | 市町村の教育委員会(第11条) | 学齢簿の作成後、翌学年の初めから4か月前(手続に支障がなければ3か月前)まで(施行令第1条)。結果により治療の勧告、保健上の助言、就学に関する指導などを行う(第12条) |
| 児童生徒等の健康診断 | 学校(第13条) | 毎学年定期に。6月30日までに行う(施行規則第5条)。結果は21日以内に本人と保護者に通知(施行規則第9条) |
| 職員の健康診断 | 学校の設置者(第15条) | 毎学年定期に。時期は設置者が定める(施行規則第12条) |
健康診断票は5年間保存し、進学や転学のときは校長が進学先・転学先の校長に送ります(施行規則第8条)。
感染症:出席停止と臨時休業
校長は、感染症にかかっている、かかっている疑いがある、またはかかるおそれのある子どもの出席を停止させることができます(第19条)。小学校・中学校では、理由と期間を明らかにして保護者に指示し、設置者に報告します(施行令第6条・第7条)。一方、学校の設置者は、感染症の予防上必要があるとき、学校の全部または一部の臨時休業を行うことができます(第20条)。いじめなどの「性行不良」による出席停止(学校教育法第35条、命じるのは市町村教育委員会)とは別の制度です。
出席停止の期間の基準の例(施行規則第19条)| 感染症 | 基準 |
|---|
| 第一種(エボラ出血熱、ジフテリアなど) | 治癒するまで |
| インフルエンザ | 発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで |
| 新型コロナウイルス感染症 | 発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで |
| 麻しん(はしか) | 解熱した後3日を経過するまで |
第二種の基準は、病状により学校医その他の医師が感染のおそれがないと認めたときは、この限りではありません。
学校医など・学校安全
学校には学校医を置き、大学以外の学校には学校歯科医と学校薬剤師も置きます(第23条)。学校安全では、学校は、施設・設備の安全点検、通学を含む学校生活その他の日常生活における安全指導、職員の研修などを内容とする学校安全計画を策定し、実施しなければなりません(第27条)。また、危険が起きたときに職員がとるべき措置を定めた危険等発生時対処要領を作成し(第29条第1項)、校長はその周知と訓練を行います(同第2項)。事故などで心理的外傷などの影響を受けた子どもやその他の関係者の心身の健康を回復させるための支援も行います(同第3項)。
用語
- 学校保健計画
- 健康診断、環境衛生検査、保健指導などを内容とし、学校が策定・実施する計画(第5条)。
- 健康観察
- 養護教諭や担任などが日常的に子どもの心身の状態を観察すること(第9条)。
- 出席停止(感染症)
- 感染症にかかった子どもなどの出席を、校長が停止させる措置(第19条)。
- 臨時休業
- 感染症予防のため、学校の設置者が学校の全部または一部を休みにすること(第20条)。
- 危険等発生時対処要領
- 事故や災害などのときに職員がとるべき措置の内容と手順を定めたもの。学校が作成する(第29条)。
例題
例題:インフルエンザと診断された小学5年生。月曜日に発症し、水曜日に解熱した。発症日を0日目として数えると、最も早くて何曜日から登校できるか。
答えと考え方 発症後5日を経過するのは土曜日(5日目)の終わり、解熱後2日を経過するのは金曜日(解熱した水曜日を0日目として2日目)の終わりです。両方を満たすのは土曜日の終わりなので、最も早くて日曜日から、つまり学校のある日では翌週の月曜日から登校できます。小学生は「幼児」ではないので、解熱後は2日で数えます。
根拠:学校保健安全法(e-Gov法令検索) 第1条・第2条・第5〜9条・第11〜13条・第15条・第19条・第20条・第23条・第27条・第29条、学校保健安全法施行令(e-Gov法令検索) 第1条・第6条・第7条、学校保健安全法施行規則(e-Gov法令検索) 第5条・第8条・第9条・第12条・第18条・第19条、文部科学省「生徒指導提要」(令和4年12月) 13.3(健康課題に関する理解と対応)(いずれも2026年10月確認)
4. 児童虐待防止法と学校の対応
児童虐待の定義、学校と教職員の通告義務、通告するときの実務上の注意を学びます。
この講義は、2026年10月時点の児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)と生徒指導提要で書いています。法は2000年(平成12年)に成立しました。児童相談所の虐待相談対応件数は、統計が公表された1990年度(平成2年度)の1,101件から2000年度には17,725件まで急増し、児童福祉法だけでは対応が難しくなったためです。令和6年度は223,691件で、心理的虐待が最も多くなっています(こども家庭庁)。
児童虐待の定義(第2条)
児童虐待は、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するもの)が、監護する18歳未満の児童に行う次の4つの行為です。生徒指導提要は、親の交際相手のように親子関係がなくても、定期的に家庭に滞在して養育に関わっている人は「保護者」にあたる場合があるとしています。
児童虐待の4つの類型(児童虐待防止法第2条の要約)| 類型 | 内容 |
|---|
| 身体的虐待 | 身体に外傷が生じる、または生じるおそれのある暴行。けががなくても該当し得る |
| 性的虐待 | 児童にわいせつな行為をする、またはさせる |
| ネグレクト | 著しい減食、長時間の放置、保護者以外の同居人による虐待を放置するなど、監護を著しく怠る |
| 心理的虐待 | 著しい暴言、著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭での配偶者に対する暴力(いわゆる面前DV)など |
学校と教職員の役割
学校や教職員は、虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、早期発見に努めなければなりません(第5条第1項)。学校は、子どもと保護者への虐待防止のための教育・啓発にも努めます(同第5項)。そして、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、市町村、都道府県の設置する福祉事務所、児童相談所(または児童委員を介してこれらの機関)に通告しなければなりません(第6条第1項)。「思われる」なので、確証は要りません。けがが小さい、あざが消えたといった理由で「次に何かあったら」と先延ばしにしないことが大切です。
公務員などの守秘義務の規定は、通告を妨げるものと解釈してはなりません(第6条第3項)。通告を受けた機関の職員は、通告した人を特定させるものを漏らしてはなりません(第7条)。学校は、児童相談所長などから資料や情報の提供を求められたとき、必要な範囲で提供することができます(第13条の4)。全国共通ダイヤル「189」にかけると近くの児童相談所につながります。
通告するときの実務(生徒指導提要)
通告先を市町村にするか児童相談所にするかに法律上の決まりはありません。文部科学省の手引では、迷う場合や緊急でない場合は市町村、重篤と思われる場合は児童相談所とし、明らかな外傷がある、生命・身体に関わるネグレクト、性的虐待の疑い、子どもが「帰りたくない」と言った場合は児童相談所に通告します。通告と同時に、教育委員会などの設置者に報告します。
教員が虐待の詳しい内容を聞き出すことは原則として避けます。つらい記憶を呼び起こして子どもを再び傷つけ、後の裁判などで「誘導された」と扱われるおそれがあるからです。傷について聞くのは「その傷はどうしたの」程度にとどめ、速やかに通告します。記録は、傷の写真やイラストを残し、子どもの発言は要約せずにそのまま書き残します。
体罰の禁止
2020年(令和2年)4月施行の改正で、親権者による体罰の禁止が法律に明記されました。現在の第14条第1項は、親権を行う者は子どもの人格を尊重し、年齢と発達の程度に配慮しなければならず、体罰その他の児童の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならないと定めます。第2項は、親権者であることを理由に暴行罪・傷害罪などの責任を免れることはできないとします。なお、教員の体罰は学校教育法第11条ただし書で禁止されています。
用語
- 保護者(児童虐待防止法)
- 親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するもの。
- ネグレクト
- 著しい減食や長時間の放置など、保護者としての監護を著しく怠ること。
- 面前DV
- 子どもが同居する家庭で配偶者に暴力をふるうこと。心理的虐待にあたる。
- 通告
- 虐待を受けたと思われる子どもを、市町村・福祉事務所・児童相談所に知らせること。確証は不要。
- 189
- 児童相談所虐待対応ダイヤル。近くの児童相談所につながる。
例題
例題:小学3年生のBさんの腕にあざがあり、聞くと「家で…」と言って黙った。担任はどうするのがよいか。
答えと考え方 詳しく問い詰めず、学校の組織(管理職など)に報告し、虐待を受けたと思われる段階で速やかに通告します(児童虐待防止法第6条)。確証を待つ必要はありません。Bさんの言葉は要約せずにそのまま記録し、あざは写真などで残します。
根拠:児童虐待の防止等に関する法律(e-Gov法令検索) 第2条・第5条・第6条・第7条・第13条の4・第14条、文部科学省「生徒指導提要」(令和4年12月) 第7章(児童虐待)、こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル『189』について」、こども家庭庁「令和6年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数」、学校教育法(e-Gov法令検索) 第11条(いずれも2026年10月確認)
確認問題(36問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|条約の「児童」
児童の権利に関する条約で「児童」とされるのはだれか。
- 15歳未満のすべての者
- 20歳未満のすべての者
- 18歳未満のすべての者
- 義務教育を受けているすべての者
正解と解説
問2|四つの原則と条文
児童の権利に関する条約の四つの原則と条文の組合せとして正しいものはどれか。
- 差別の禁止 ― 第3条
- 子どもの最善の利益 ― 第6条
- 生命・生存・発達の権利 ― 第2条
- 意見を表明する権利 ― 第12条
正解と解説
問3|意見表明権
児童の権利に関する条約第12条の意見表明権の説明として、適切なものはどれか。
- 子どもの意見は、年齢と成熟度に応じて相応に考慮される
- 子どもが意見を表したら、大人はそのとおりに決めなければならない
- 意見を表す権利は、18歳になってから認められる
- 保護者が同意した場合に限り、子どもの意見を聴く
正解と解説
問4|条約の採択と批准
児童の権利に関する条約の採択と日本の批准について、正しいものはどれか。
- 1959年に国連総会で採択され、日本は同じ年に批准した
- 1989年に国連総会で採択され、日本はまだ批准していない
- 1989年に国連総会で採択され、日本は1994年に批准した
- 1994年に国連総会で採択され、日本は2023年に批准した
正解と解説
問5|「こども」の定義
こども基本法における「こども」の定義として正しいものはどれか。
- 18歳未満の者
- 心身の発達の過程にある者
- 20歳未満の者
- 小学校就学の始期から18歳に達するまでの者
正解と解説
正解:B. 心身の発達の過程にある者こども基本法第2条は「こども」を「心身の発達の過程にある者」とし、年齢で区切っていません。18歳未満は条約や児童福祉法の「児童」、小学校就学の始期から18歳までは児童福祉法の「少年」の定義です。20歳未満という定義もありません。
根拠:こども基本法(e-Gov法令検索)、こども家庭庁「こども基本法の概要」
問6|こども政策推進会議
こども基本法に定めるこども政策推進会議について、正しいものはどれか。
- こども家庭庁に置かれ、内閣総理大臣が会長となる
- 文部科学省に置かれ、文部科学大臣が会長となる
- 内閣府に置かれ、内閣官房長官が会長となる
- 各都道府県に置かれ、知事が会長となる
正解と解説
問7|大綱と計画
こども基本法に定めるこども大綱と地方のこども計画について、正しいものはどれか。
- こども大綱は、文部科学大臣が単独で定める
- 市町村こども計画の策定は義務で、国の承認が必要である
- こども大綱は、各学校が地域の実情に応じて定める
- 都道府県こども計画・市町村こども計画の策定は努力義務である
正解と解説
正解:D. 都道府県こども計画・市町村こども計画の策定は努力義務である第10条は、都道府県と市町村がこども計画を定めるよう「努める」としており、努力義務です。こども大綱は政府が定めるもので(第9条)、内閣総理大臣が閣議の決定を求めます。文部科学大臣が単独で定めるものでも、各学校が定めるものでもありません。国の承認という規定もありません。
根拠:こども基本法(e-Gov法令検索)、こども家庭庁「こども基本法の概要」
問8|意見の反映
こども基本法第11条(こども施策に対するこども等の意見の反映)の内容として正しいものはどれか。
- 国と地方公共団体は、施策の評価のときに限り、こどもの意見を聴く
- 意見を反映させる対象は、18歳以上の若者に限られる
- 国と地方公共団体は、施策の策定・実施・評価にあたり、こどもや養育者などの意見を反映させる措置を講ずる
- 意見を反映させるのは保護者の意見だけで、こども本人の意見は含まない
正解と解説
正解:C. 国と地方公共団体は、施策の策定・実施・評価にあたり、こどもや養育者などの意見を反映させる措置を講ずる第11条は、国と地方公共団体が、こども施策の策定・実施・評価にあたり、施策の対象となるこどもや、こどもを養育する者などの意見を反映させるために必要な措置を講ずるとします。評価のときだけではなく、年齢で対象を限ってもおらず、こども本人の意見が中心です。
根拠:こども基本法(e-Gov法令検索)、こども家庭庁「こども基本法の概要」
問9|教育への権利
児童の権利に関する条約第28条(教育についての権利)の内容として正しいものはどれか。
- 高等教育をすべての者に義務的なものとする
- 中等教育については何も定めていない
- 初等教育を義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとする
- 学校の規律の在り方は各国に任され、条約には規定がない
正解と解説
正解:C. 初等教育を義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとする第28条1(a)は、初等教育を義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとすると定めます。高等教育は能力に応じてすべての者に機会を与えるもので、義務ではありません。中等教育の発展についても(b)で定めています。また第28条2は、学校の規律が子どもの人間の尊厳に適合する方法で運用されることを求めています。
根拠:こども家庭庁「児童の権利に関する条約 全文」
問10|いじめの定義
いじめ防止対策推進法第2条の「いじめ」の定義として正しいものはどれか。
- 自分より弱い者に対して一方的に、継続的に攻撃を加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの
- 一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為で、対象の児童等が心身の苦痛を感じているもの
- 学校の敷地内で行われた行為のうち、教員がけんかやふざけ合いではないと判断したもの
- 同じ学級の児童等が行う暴力行為のうち、けがが生じて医療機関を受診したもの
正解と解説
正解:B. 一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為で、対象の児童等が心身の苦痛を感じているもの法第2条は、一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じたものを含む)で、対象となった子どもが心身の苦痛を感じているものをいじめとします。「自分より弱い者に対して一方的に、継続的に攻撃を加え」とする選択肢は平成17年度までの文部科学省調査の古い定義です。学校の外の行為も含み、教員の判断や、けが・受診は要件ではありません。
根拠:いじめ防止対策推進法(e-Gov法令検索)、文部科学省「生徒指導提要」(令和4年12月) 4.1
問11|法の対象となる学校
いじめ防止対策推進法の「学校」に含まれないものはどれか。
- 小学校
- 義務教育学校
- 幼稚園
- 特別支援学校の中学部
正解と解説
正解:C. 幼稚園法第2条第2項の「学校」は、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校(幼稚部を除く)です。幼稚園は含まれません。特別支援学校は幼稚部だけが除かれるので、中学部は含まれます。
根拠:いじめ防止対策推進法(e-Gov法令検索)
問12|基本方針
いじめ防止対策推進法に定めるいじめ防止基本方針について、正しいものはどれか。
- 学校は、国や地方の基本方針を参酌し、学校いじめ防止基本方針を定めるものとされている
- 学校いじめ防止基本方針の策定は努力義務で、定めなくてもよい
- すべての市町村は、地方いじめ防止基本方針を定めなければならない
- 国のいじめ防止基本方針は、各都道府県知事が定める
正解と解説
問13|学校いじめ対策組織
いじめ防止対策推進法第22条が学校に置くとする組織の構成として、正しいものはどれか。
- 校長一人で構成し、ほかの教職員は加わらない
- 被害を受けた子どもの学級担任だけで構成する
- PTAの役員だけで構成し、教職員は加わらない
- 複数の教職員、心理・福祉などの専門家その他の関係者で構成する
正解と解説
問14|相談を受けたとき
教員が子どもからいじめの相談を受け、いじめの事実があると思われる。いじめ防止対策推進法と生徒指導提要に照らして適切な対応はどれか。
- 担任が一人で解決できると判断したときは、組織には報告しない
- 学校いじめ対策組織に報告し、学校として事実確認などを行う
- 保護者の了解が得られるまで、学校内のだれにも伝えない
- 加害が疑われる子どもに謝罪させれば、報告は必要ない
正解と解説
正解:B. 学校いじめ対策組織に報告し、学校として事実確認などを行う第23条第1項は、相談を受けた教職員が学校への通報その他の適切な措置をとるとし、生徒指導提要は、情報を抱え込んで組織に報告しないことはこの規定に違反し得るとしています。学校は事実を確認し、設置者に報告します(第2項)。一人で判断する、保護者の了解まで伝えない、謝罪で済ませる、はいずれも不適切です。
根拠:いじめ防止対策推進法(e-Gov法令検索)、文部科学省「生徒指導提要」(令和4年12月) 4.1
問15|いじめの解消
国のいじめ防止基本方針(平成29年改定)が示す、いじめが「解消している」状態の要件として正しいものはどれか。
- 加害者が謝罪し、被害者がそれを受け入れた
- 加害者が反省文を書き、保護者にも報告した
- いじめの行為が1週間止んでおり、学級の雰囲気も落ち着いている
- 行為が止んでいる状態が相当の期間(3か月が目安)続き、被害者が心身の苦痛を感じていない
正解と解説
正解:D. 行為が止んでいる状態が相当の期間(3か月が目安)続き、被害者が心身の苦痛を感じていない国の基本方針は、①行為が止んでいる状態が相当の期間(3か月が目安)継続している、②被害者が心身の苦痛を受けていない(面談などで確認)、の二つを解消の要件とし、謝罪だけで安易に解消としないとしています。1週間では期間が足りず、反省文も要件ではありません。
根拠:文部科学省「生徒指導提要」(令和4年12月) 4.1.3
問16|不登校重大事態
いじめにより「相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑い」がある重大事態について、生徒指導提要が示す「相当の期間」の目安はどれか。
- 年間7日
- 年間30日
- 年間60日
- 連続90日
正解と解説
問17|いじめと出席停止
いじめ防止対策推進法第26条にかかわる、いじめを行った児童生徒の出席停止(公立の小学校・中学校)について正しいものはどれか。
- 校長が、本人に対して直接命じる
- 学級担任が、保護者の同意を得て命じる
- 市町村教育委員会が、保護者に対して命じる
- 都道府県知事が、本人と保護者に命じる
正解と解説
問18|重大事態の報告
公立学校でいじめの重大事態が発生した場合の報告について、いじめ防止対策推進法に照らして正しいものはどれか。
- 教育委員会を通じて、地方公共団体の長に報告しなければならない
- 文部科学大臣に直接報告し、教育委員会には報告しない
- 警察署に報告すれば、ほかへの報告は必要ない
- 子どもや保護者から申立てがあった場合に限って報告する
正解と解説
正解:A. 教育委員会を通じて、地方公共団体の長に報告しなければならない第30条第1項により、公立学校は教育委員会を通じて地方公共団体の長に報告します。長は必要があれば調査の結果について調査(再調査)を行い、その結果を議会に報告します。文部科学大臣への報告は国立学校の場合です。申立てがなくても、学校が重大事態と認めれば報告します。
根拠:いじめ防止対策推進法(e-Gov法令検索)、文部科学省「生徒指導提要」(令和4年12月) 4.1
問19|学校保健計画
学校保健安全法第5条の学校保健計画について、正しいものはどれか。
- 保健所が策定し、学校に通知する
- 学校医が個人で策定し、校長に提出する
- 都道府県教育委員会が策定し、学校は実施だけを行う
- 学校が、健康診断や環境衛生検査などの事項について策定し、実施しなければならない
正解と解説
正解:D. 学校が、健康診断や環境衛生検査などの事項について策定し、実施しなければならない第5条は、学校が、児童生徒等と職員の健康診断、環境衛生検査、児童生徒等に対する指導その他保健に関する事項について計画を策定し、これを実施しなければならないとしています。保健所・学校医・都道府県教育委員会が策定するものではありません。
根拠:学校保健安全法(e-Gov法令検索)
問20|健康診断の時期
学校保健安全法施行規則で、児童生徒等の定期の健康診断はいつまでに行うとされているか。
- 毎学年、4月30日まで
- 毎学年、6月30日まで
- 毎学年、9月30日まで
- 毎学年、12月31日まで
正解と解説
正解:B. 毎学年、6月30日まで施行規則第5条は、児童生徒等の健康診断を毎学年、6月30日までに行うとしています。病気などやむを得ない理由で受けられなかった子どもには、理由がなくなった後すみやかに行います。結果は21日以内に本人と保護者に通知します(第9条)。
根拠:学校保健安全法施行規則(e-Gov法令検索) 第5条・第9条
問21|就学時の健康診断
就学時の健康診断を行う者として、学校保健安全法に定められているのはどれか。
- 市町村の教育委員会
- 入学予定の小学校の校長
- 地域の保健所長
- 都道府県の教育委員会
正解と解説
正解:A. 市町村の教育委員会第11条は、市町村の教育委員会が、翌学年の初めから小学校などに就学させるべき者について健康診断を行わなければならないとしています。結果にもとづき、治療の勧告、保健上の助言、就学に関する指導などを行います(第12条)。小学校の校長が行うのは、入学後の児童の健康診断です。
根拠:学校保健安全法(e-Gov法令検索)、学校保健安全法施行令(e-Gov法令検索) 第1条
問22|職員の健康診断
学校保健安全法で、学校の職員の定期の健康診断を行わなければならないとされているのはだれか。
- 各職員本人
- 学校医
- 学校の設置者
- 地域の保健所
正解と解説
正解:C. 学校の設置者第15条は、学校の設置者が、毎学年定期に、学校の職員の健康診断を行わなければならないとしています。児童生徒等の健康診断は学校が行う(第13条)ので、主体の違いに注意しましょう。職員本人や学校医、保健所が行う義務を負うのではありません。
根拠:学校保健安全法(e-Gov法令検索)
問23|出席停止と臨時休業
学校保健安全法で、感染症による児童生徒等の出席停止と、学校の臨時休業を行う者の組合せとして正しいものはどれか。
- 出席停止:学校の設置者 臨時休業:校長
- 出席停止:校長 臨時休業:学校の設置者
- 出席停止:学校医 臨時休業:保健所長
- 出席停止:学級担任 臨時休業:校長
正解と解説
正解:B. 出席停止:校長 臨時休業:学校の設置者第19条により出席停止は校長が、第20条により臨時休業は学校の設置者が行います。出席停止の指示は、小学校・中学校では理由と期間を明らかにして保護者に行い、校長は設置者に報告します(施行令第6条・第7条)。学校医や学級担任が決めるものではありません。
根拠:学校保健安全法(e-Gov法令検索)、学校保健安全法施行令(e-Gov法令検索) 第6条・第7条
問24|インフルエンザの出席停止期間
学校保健安全法施行規則に定めるインフルエンザ(特定鳥インフルエンザなどを除く)による出席停止の期間の基準として、小学生・中学生にあてはまるものはどれか。
- 発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで
- 解熱したらすぐに登校してよい
- 発症した後3日を経過するまで
- 発症した後7日を経過し、かつ、解熱した後5日を経過するまで
正解と解説
正解:A. 発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで施行規則第19条は、インフルエンザの基準を「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」としています。小学生・中学生は幼児ではないので解熱後2日です。ただし、医師が感染のおそれがないと認めたときはこの限りではありません。ほかの選択肢のような基準はありません。
根拠:学校保健安全法施行規則(e-Gov法令検索) 第19条
問25|学校医・学校歯科医・学校薬剤師
学校保健安全法第23条について、正しいものはどれか。
- 学校薬剤師は中学校にだけ置き、小学校には置かない
- 学校医は大学にだけ置き、小学校・中学校には置かない
- 学校歯科医を置くかどうかは、校長が任意に決める
- 学校には学校医を置き、大学以外の学校には学校歯科医と学校薬剤師も置く
正解と解説
正解:D. 学校には学校医を置き、大学以外の学校には学校歯科医と学校薬剤師も置く第23条は、学校には学校医を置くものとし、大学以外の学校には学校歯科医と学校薬剤師を置くものとしています。小学校・中学校には三者とも置かれます。校長の任意ではありません。
根拠:学校保健安全法(e-Gov法令検索)
問26|学校安全計画
学校保健安全法第27条の学校安全計画について、正しいものはどれか。
- 通学路は学校の管理外なので、通学に関する安全指導は計画に含めない
- 策定は努力義務で、策定しなくても実施すればよい
- 施設・設備の安全点検、通学を含む安全指導、職員の研修などを含め、学校が策定・実施する
- 教育委員会が各学校に代わって策定し、学校は実施しない
正解と解説
正解:C. 施設・設備の安全点検、通学を含む安全指導、職員の研修などを含め、学校が策定・実施する第27条は、学校が、施設・設備の安全点検、児童生徒等に対する通学を含めた学校生活その他の日常生活における安全に関する指導、職員の研修その他の学校安全に関する事項について計画を策定し、実施しなければならないとしています。通学も含み、義務であり、学校自身が策定・実施します。
根拠:学校保健安全法(e-Gov法令検索)
問27|危険等発生時対処要領
学校保健安全法第29条の危険等発生時対処要領について、正しいものはどれか。
- 要領は国が全国共通のものを作り、学校は作成しない
- 要領を作成すれば、職員への周知や訓練は必要ない
- 事故などの後の心身の健康の回復のための支援は、けがをした児童生徒等だけを対象とする
- 学校が作成し、校長が職員への周知や訓練などを行う
正解と解説
正解:D. 学校が作成し、校長が職員への周知や訓練などを行う第29条は、学校が学校の実情に応じて危険等発生時対処要領を作成し(第1項)、校長がその周知、訓練の実施などの措置を講ずる(第2項)としています。第3項は、心理的外傷その他の心身の健康に対する影響を受けた児童生徒等その他の関係者への支援を定めており、けがをした子どもに限りません。
根拠:学校保健安全法(e-Gov法令検索)
問28|面前DV
児童虐待防止法の定義で、子どもが同居する家庭で保護者が配偶者に暴力をふるうこと(いわゆる面前DV)は、どの類型にあたるか。
- 身体的虐待
- 性的虐待
- ネグレクト
- 心理的虐待
正解と解説
正解:D. 心理的虐待第2条第4号は、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力を、心理的虐待の例としてあげています。子ども自身がけがをしていなくても、心に傷を残すからです。身体的虐待は子どもの身体への暴行、ネグレクトは監護を著しく怠ることです。
根拠:児童虐待の防止等に関する法律(e-Gov法令検索)
問29|同居人による虐待の放置
保護者が、同居している自分の交際相手が子どもに暴力をふるうのを知りながら止めずに放置している。児童虐待防止法の定義では、保護者のこの行為はどの類型にあたるか。
- 身体的虐待
- ネグレクト
- 性的虐待
- 心理的虐待
正解と解説
問30|早期発見の努力義務
児童虐待防止法第5条に定める学校・教職員の役割として、正しいものはどれか。
- 学校の教職員は、虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、早期発見に努めなければならない
- 虐待の早期発見は児童相談所の仕事で、学校については規定がない
- 学校は、子どもや保護者に虐待防止の啓発をしてはならない
- 教職員は、虐待の確証を得るまで家庭を調査する義務がある
正解と解説
正解:A. 学校の教職員は、虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、早期発見に努めなければならない第5条第1項は、学校や学校の教職員などが、虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、早期発見に努めなければならないとします。第5項は、学校が子どもと保護者への虐待防止の教育・啓発に努めるとしています。家庭を調査するのは教職員の義務ではなく、確証を待たずに通告します。
根拠:児童虐待の防止等に関する法律(e-Gov法令検索)、文部科学省「生徒指導提要」(令和4年12月) 7.1.3
問31|通告の要件
児童虐待防止法第6条の通告について、正しいものはどれか。
- 虐待の確証を得てから通告しなければならない
- 保護者の同意を得てから通告しなければならない
- 児童虐待を受けたと思われる児童を発見したら、速やかに通告しなければならない
- けがが治っていれば、次に同じことが起きるまで通告を待つ
正解と解説
問32|通告先
児童虐待防止法第6条に定める通告先として正しいものはどれか。
- 市町村、都道府県の設置する福祉事務所、児童相談所
- 家庭裁判所または法務局
- 学校を設置する教育委員会だけ
- 子どもの住所地を管轄する保健所だけ
正解と解説
問33|守秘義務と通告
公立学校の教員は地方公務員法の守秘義務を負う。児童虐待の通告との関係について、正しいものはどれか。
- 守秘義務があるので、保護者の同意がなければ通告できない
- 守秘義務の規定は、通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない
- 通告すると守秘義務違反となるので、まず教育委員会の許可を得る
- 守秘義務が優先されるので、通告できるのは私立学校の教員だけである
正解と解説
問34|通告者の秘密
児童虐待防止法第7条について、正しいものはどれか。
- 児童相談所は、保護者から求められれば、通告した教員の氏名を伝えなければならない
- 通告した人は、必ず保護者に通告したことを知らせなければならない
- 通告は実名で行う必要があり、匿名の通告は受け付けられない
- 通告を受けた機関の職員は、通告した人を特定させるものを漏らしてはならない
正解と解説
問35|子どもからの聴き取り
児童虐待が疑われる子どもへの教員の聴き取りについて、生徒指導提要に照らして適切なものはどれか。
- 加害者を特定するため、担任がくわしく何度も質問してから通告する
- 「その傷はどうしたの」と聞く程度にとどめ、速やかに通告する
- 複数の教員が順番に同じことを聞き、話のくい違いを確かめる
- 本人に起きたことを詳しく書面に書かせ、署名させてから通告する
正解と解説
正解:B. 「その傷はどうしたの」と聞く程度にとどめ、速やかに通告する生徒指導提要は、教員が虐待の詳細を聴取することは原則として避けるべきだとしています。つらい記憶を呼び起こして子どもを再び傷つけるおそれがあり、後の家庭裁判所の審判や刑事手続で誘導と扱われるおそれもあるからです。傷について聞くのは「その傷はどうしたの」程度にとどめ、速やかに通告します。
根拠:文部科学省「生徒指導提要」(令和4年12月) 7.5
問36|親権者の体罰
親権者による体罰について、2026年10月時点の児童虐待防止法の規定として正しいものはどれか。
- 親権を行う者は、体罰その他の児童の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない
- しつけのためであれば、軽い体罰は親権者に認められている
- 体罰の禁止は教員にだけ定められ、親権者についての規定はない
- 親権者が子どもに暴行しても、親権者であることを理由に罪に問われない
正解と解説
正解:A. 親権を行う者は、体罰その他の児童の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない第14条第1項は、親権を行う者は、児童の人格を尊重し、年齢と発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の児童の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならないとしています(体罰の禁止は2020年4月施行の改正で明記)。しつけのためでも許されません。第2項は、親権者であることを理由に暴行罪・傷害罪などの責任を免れないとしています。
根拠:児童虐待の防止等に関する法律(e-Gov法令検索)、文部科学省「生徒指導提要」(令和4年12月) 7.3.2
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※ 解説は学習用の情報提供です。採用選考の実施方法・出題範囲は、必ず受験する自治体の実施要項をご確認ください。
※ 問題はすべて仮の宿 学習室のオリジナル問題で、本試験の問題ではありません。法令は2026年10月時点のものです。