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遺言の種類と選び方——自筆証書・公正証書・秘密証書と、法務局の保管制度・検認

やさしい ことばで遺言ゆいごんは、自分じぶんが 死しんだ あと、財産ざいさんを だれに あげるかを 書かいて おく ものです。
15歳さいから つくれます。
書かき方かたは、大おおきく 3つ あります。
決きまりを まもらないと、使つかえない ことが あります。
心配しんぱいな ときは、公証役場こうしょうやくばや 法務局ほうむきょく、専門家せんもんかに 相談そうだんしましょう。
最終更新:2026年10月16日|仮の宿 編集部
先に結論

遺言(いごん・ゆいごん)は、亡くなった後に財産を誰にどう渡すかを、生きているうちに決めておくための書面です。民法で決められた方式(作り方のルール)を守らないと、効力が認められないことがあります。この記事では、3つの方式の違い、法務局の保管制度、公正証書遺言の費用、検認の手続きを、公的な情報にもとづいて整理します。

この記事でわかること
  1. 遺言の基本ルール(年齢・共同遺言の禁止・撤回)
  2. 3つの方式の比較表
  3. 自筆証書遺言の書き方と、法務局の保管制度
  4. 公正証書遺言の作り方と手数料
  5. 秘密証書遺言
  6. 家庭裁判所の検認
  7. どれを選ぶか(状況別の目安)
  8. 外国籍の人・海外に家族がいる場合

遺言の基本ルール

3つの方式の比較

民法967条は、ふつうの遺言(普通方式)を次の3つに限っています。このほか、死が迫っている場合などの「特別の方式」もありますが、この記事では扱いません。

自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言
作る人本人が手書き公証人が作成(本人は内容を伝える)本人(パソコンや代筆も可。署名・押印は本人)
証人不要2人以上2人以上(+公証人1人)
主な費用無料(法務局に預けるなら1通3,900円)財産の価額に応じた手数料(下の表)13,000円
保管自分(または法務局)原本は公証役場自分
死亡後の検認必要(法務局保管なら不要)不要必要
形式ミスのリスクあり(保管制度でも内容の有効性は保証されない)低い(公証人が作成)あり(公証人は内容を確認しない)

自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自分で手書きし、印を押すことが必要です(民法968条1項)。

よくある失敗
・本文をパソコンで作った、または家族が代わりに書いた(自筆証書遺言としては認められない)
・日付が「○年○月吉日」「○月末ごろ」など、特定できない
・訂正のルールを守らずに書き直した
・夫婦2人で1枚の遺言書を作った(共同遺言の禁止)

法務局の自筆証書遺言書保管制度

2020年(令和2年)7月10日に始まった、手書きの遺言書を法務局(遺言書保管所)に預ける制度です。原本は遺言者の死亡後50年間、画像データは150年間保管されます。紛失や、相続人による隠す・書き換えるといったおそれを防ぐことができ、死亡後の検認も不要です。

預けるときのポイント

手数料(収入印紙で納付)

手続き手数料
遺言書の保管の申請1通 3,900円
遺言書情報証明書の交付(相続人等)1通 1,400円
遺言書の閲覧(モニター)1回 1,400円
遺言書の閲覧(原本)1回 1,700円
遺言書保管事実証明書の交付1通 800円

死亡後は、相続人等が全国どの法務局でも遺言書情報証明書を請求できます(原本の閲覧は保管している法務局のみ)。相続人の1人が証明書の交付や閲覧をすると、他の相続人にも遺言書が保管されていることが通知されます(関係遺言書保管通知)。遺言者が希望すれば、死亡が確認されたときに指定した人(3人まで)へ通知が届く仕組み(指定者通知)もあります。

注意
法務局が確認するのは様式などの外形だけです。遺言の内容の相談には応じず、保管された遺言書の有効性を保証するものではありません。

公正証書遺言の作り方と手数料

公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が内容を公証人に伝え(口授)、公証人が作成する遺言です(民法969条)。原本は公証役場に保管され、検認は不要です(民法1004条2項)。

手数料(公証人手数料令。2025年10月1日以降の嘱託に適用)

手数料は、遺言の目的である財産の価額に応じて決まり(9条・別表)、価額が1億円以下なら13,000円が加算されます(19条)。

目的の価額手数料
50万円以下3,000円
50万円超〜100万円以下5,000円
100万円超〜200万円以下7,000円
200万円超〜500万円以下13,000円
500万円超〜1,000万円以下20,000円
1,000万円超〜3,000万円以下26,000円
3,000万円超〜5,000万円以下33,000円
5,000万円超〜1億円以下49,000円

病床で作成する場合は手数料が5割増しになり(32条)、出張には日当(1日2万円、4時間以内は1万円)と旅費(交通費の実費等)がかかります(43条)。遺言の内容や財産の評価によって計算が変わるため、正確な金額は依頼する公証役場で見積もりを受けてください。

秘密証書遺言

内容を誰にも知られずに、遺言書が「本人のもの」であることだけを公証人に証明してもらう方式です(民法970条)。本人が署名・押印した遺言書を封筒に入れて同じ印で封印し、公証人1人と証人2人以上の前に出して、自分の遺言書であることと、書いた人の氏名・住所を述べます。

家庭裁判所の検認

検認は、相続人に遺言の存在と内容を知らせ、検認の日の時点での遺言書の状態を記録して、偽造・変造を防ぐための手続きです。遺言が有効か無効かを判断する手続きではありません。

項目内容
必要な遺言自筆証書遺言(法務局保管のものを除く)、秘密証書遺言
申し立てる人遺言書の保管者、遺言書を見つけた相続人
いつ相続の開始を知った後、遅滞なく(民法1004条1項)
申立先遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
費用遺言書1通につき収入印紙800円+連絡用の郵便切手等
主な書類申立書、遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本、相続人全員の戸籍謄本 など

封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いのもとでなければ開封できません(民法1004条3項)。提出を怠ったり、検認を経ずに遺言を執行したり、家庭裁判所の外で開封したりすると、5万円以下の過料の対象になります(民法1005条)。遺言を執行するには、遺言書に検認済証明書を付けてもらいます(申請に遺言書1通につき収入印紙150円)。戸籍の集め方は戸籍収集チェックリストを参考にしてください。

見つけても開けない
封がされた遺言書を見つけたら、自宅で開けずに、そのまま家庭裁判所に検認を申し立てましょう。

どれを選ぶか(状況別の目安)

こんなとき検討しやすい方式
費用を抑えたい・自分で書ける・法務局に行ける自筆証書遺言+法務局の保管制度
形式の不備で無効になるのを避けたい公正証書遺言
病気や障がいで外出が難しい公正証書遺言(公証人の出張)※保管制度は本人の出頭が必須
手で文字を書くのが難しい公正証書遺言(秘密証書遺言も本文の自書は不要)
財産や家族関係が複雑、相続人どうしの争いが心配公正証書遺言+専門家への相談

これはあくまで目安です。内容の決め方や税金については、弁護士・司法書士・税理士などの専門家に相談してください。費用が心配な場合は、法テラス(日本司法支援センター)の窓口で相談先の案内を受けられます。

外国籍の人・海外に家族がいる場合

よくある質問

Q. パソコンで作った遺言書は有効ですか?
A. 自筆証書遺言は、本文・日付・氏名を手書きし、押印する必要があります。パソコンで作ってよいのは、添付する財産目録(各ページに署名・押印が必要)だけです。本文をパソコンで作りたい場合は、公正証書遺言や秘密証書遺言を検討します。
Q. 法務局の保管制度を使えば、遺言が無効になることはありませんか?
A. いいえ。法務局が確認するのは様式などの外形だけで、内容の相談には応じず、遺言書の有効性も保証しません。内容に不安がある場合は、専門家に相談してください。
Q. 入院中や外出が難しい人でも遺言を作れますか?
A. 公正証書遺言なら、公証人が自宅・病院・施設などに出張して作成できます(日当・旅費がかかり、病床で作成する場合は手数料が5割増しになります)。法務局の保管制度は、本人が法務局に出向くことが必須で、代理や郵送はできません。
Q. 一度書いた遺言を書き直せますか?
A. はい。遺言者はいつでも、遺言の方式に従って、遺言の全部または一部を撤回できます。前の遺言と後の遺言が矛盾する部分は、後の遺言で撤回したものとみなされます。
※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、法律・税務・登記に関する具体的な助言ではありません。個別の事案については、弁護士・司法書士・税理士等の専門家、または公証役場・法務局・家庭裁判所・法テラス等の公的窓口にご相談ください。記載内容は最終更新日時点の情報にもとづきます。
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出典(最終確認日:2026年10月) この記事は文化・作法・制度の一般的な解説です。制度・法令は最新の公式情報をご確認ください。