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外国籍の人・海外に住む相続人がいるときの相続——適用される法律と、サイン証明・在留証明の使い方

やさしい ことばで亡なくなった 人ひとが 外国がいこくの 国籍こくせきの ときは、その 国くにの 法律ほうりつで 相続そうぞくを するのが 基本きほんです。
海外かいがいに 住すんでいる 日本人にほんじんは、印鑑証明いんかんしょうめいの かわりに、大使館たいしかんで 「サイン証明しょうめい」を もらいます。
住民票じゅうみんひょうの かわりは 「在留証明ざいりゅうしょうめい」です。
外国語がいこくごの 書類しょるいには、日本語にほんごの 訳やくを つけます。
わからない ときは、法務局ほうむきょくや 専門家せんもんかに 相談そうだんしましょう。
最終更新:2026年10月16日|仮の宿 編集部
先に結論

日本で暮らす家族が亡くなったとき、亡くなった人や相続人の誰かが外国籍だったり、相続人が海外に住んでいたりすると、「どの国の法律で考えるのか」「印鑑証明書や住民票がない人はどうするのか」で手が止まりがちです。この記事では、国籍・住所が国をまたぐ相続で、最初に押さえておきたい考え方と書類をまとめます。国ごとの法律の中身はここでは扱いません。個別の判断は、在外公館(海外にある日本大使館・総領事館)や専門家に確認してください。

この記事でわかること
  1. どの国の法律で相続するか(通則法36条)
  2. 遺言が外国で作られていたとき
  3. 外国籍の人の書類(戸籍がないとき・翻訳文・印鑑登録)
  4. 海外に住む相続人の書類(サイン証明・在留証明・国内連絡先)
  5. 相続税で気をつけること
  6. 相談先

まず整理:あなたのケースはどれ?

「外国が関係する相続」といっても、困りごとはケースによって違います。

ケース主な論点
亡くなった人(被相続人)が外国籍どの国の法律で相続するか/戸籍がない場合の相続関係の証明
相続人の中に外国籍の人がいる(日本に住んでいる)戸籍がない人の身分の証明/印鑑登録/登記のローマ字表記
相続人が海外に住んでいる(日本国籍・外国籍とも)印鑑証明書・住民票の代わりになる書類/郵送のやりとり/相続税

いくつかに当てはまる場合もあります。以下、順に見ていきます。

どの国の法律で相続するか

国をまたぐ問題で「どの国の法律を使うか」を決める日本の法律が、法の適用に関する通則法(以下、通則法)です。相続については、次のように定めています。

通則法36条 「相続は、被相続人の本国法による。」

「本国法」とは、その人が国籍を持つ国の法律のことです。誰が相続人になるか、それぞれの取り分はどれだけか、といったことは、原則として亡くなった人の本国法で決まります。

国籍が2つ以上ある・国の中で法律が違うとき

通則法38条に補足があります。

ここは専門家に確認を
本国法の中身や、その国の法律のしくみによって、最終的な結論が変わることがあります。たとえば本国の法律に従うと日本法によるべきとされる場合は、日本法で相続します(通則法41条「反致」)。また、海外にある財産(預金・不動産など)は、その国の手続きも別に必要になるのが一般的です。外国籍の人の相続は、国際相続を扱う司法書士・弁護士に早めに相談してください。

遺言が外国で作られていたとき

遺言については、通則法37条が「遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による」と定めています。遺言を作ったときの国籍が基準です。

一方、遺言の形式(方式)が有効かどうかは、別の法律「遺言の方式の準拠法に関する法律」2条で判断します。次のどれか1つの法律の形式に合っていれば、方式の点では有効です。

形式が合っていればよい法律
遺言をした場所の法律(行為地法)
遺言をしたとき、または亡くなったときに国籍を持っていた国の法律
遺言をしたとき、または亡くなったときに住所があった地の法律
遺言をしたとき、または亡くなったときに常居所があった地の法律
不動産に関する遺言なら、その不動産がある場所の法律

つまり、外国で現地の形式で作った遺言でも、方式の点では日本で有効と扱われる可能性があります。中身の効力は本国法で考える、という二段構えです。

これから日本で遺言を作る外国籍の人には、公正証書遺言という方法もあります。公正証書は日本語で作成すると決められていますが(公証人法27条)、日本語に通じない人の場合は公証人が通訳人に通訳させて作成します(公証人法29条)。遺言の種類は遺言の種類と選び方で解説しています。

外国籍の人の書類

戸籍がないとき:法定相続情報一覧図は使えない

日本の相続手続きは、戸籍で「誰が相続人か」を証明するのが基本です(戸籍収集チェックリスト)。ところが外国籍の人には日本の戸籍がありません。

法務省は、被相続人や相続人が日本国籍を持たないなどで戸籍謄本を添付できない場合、法定相続情報証明制度は利用できないとしています。この場合、法定相続情報一覧図の代わりに、本国の公的書類などで相続関係を一つずつ証明することになります。どの書類で足りるかは国やケースで違うため、法務局(登記相談)に事前に相談するのが近道です。

外国語の書類には日本語の訳文を

外国語で書かれた書類を日本の役所に出すときは、日本語の訳文をつけるのが基本です。たとえば法務局の相続登記の申請書記載例では、外国籍の人の国籍を証明する書類として「旅券(パスポート)の写し及び日本語訳文」が挙げられています。どの部分まで訳すか、誰が訳すかなどは提出先によって違うため、出す前に提出先へ確認してください。

日本に住む外国籍の人の印鑑登録

日本に住民登録がある外国籍の人は、市区町村で印鑑登録ができます。たとえば東京都練馬区では、区に住民登録のある15歳以上の人が登録でき、住民票に記載されたローマ字の氏名・漢字の氏名・通称のいずれかの印鑑を登録できると案内しています。細かい条件は市区町村ごとに違うので、住んでいる市区町村の窓口で確認してください。

登記名義人が外国籍の人のときはローマ字も

2024年4月1日以降に申請する所有権の登記では、登記名義人となる人が外国籍の場合、原則として氏名のローマ字表記も登記します(通称で申請する場合などの例外あり)。ローマ字の氏名が書かれた住民票の写しや、条件を満たすパスポートの写しなどで証明します。

海外に住む相続人がいるとき

遺産分割協議書(相続人全員で遺産の分け方を決めた書類)には、通常、相続人全員が実印を押して印鑑証明書をつけます。相続登記では、財産をもらう人の住所の証明(住民票)も必要です。海外に住んでいて日本に住民登録がない人は、これらを日本の役所で取れません。代わりに次の書類を使います。

日本に住んでいる人海外に住んでいる日本人取る場所・手数料
印鑑証明書署名証明(サイン証明)住んでいる国の日本大使館・総領事館(1通1,700円相当を現地通貨で)
住民票在留証明同上(1通1,200円相当を現地通貨で)

署名証明(サイン証明)

署名証明は、本人の署名が領事の前でされたことを証明するもので、海外に住む日本人のための印鑑証明書の代わりです。法務省も、外国に住んでいて印鑑証明書を取れない人は、日本の領事が発行した署名証明書をつけることができるとしています。

署名証明は原則として日本国籍の人が対象です。日本国籍を離れた人でも、日本での相続手続きなどのために取れる場合があるので、在外公館に相談してください。外国籍の相続人の場合、どのような署名の証明(現地の公証人による証明など)が使えるかは、提出先(法務局・金融機関など)に事前に確認してください。法務省は、在外公館が遠いなどの事情がある日本人について、外国の公証人の署名証明書を使える場合があることも示しています。

在留証明

在留証明は、海外のどこに住んでいるかを在外公館が証明するもので、相続登記で財産をもらう人の住所の証明などに使います。

海外に住む人が不動産の名義人になるとき:国内連絡先

2024年4月1日以降に申請する所有権の登記では、登記名義人が海外に住んでいる場合、日本国内の連絡先となる人(司法書士や不動産会社なども可)の氏名・住所などもあわせて登記します。国内連絡先となる人がいない場合は、その旨を書いて申請できます。

郵送の往復を前提にスケジュールを
海外の相続人とのやりとりは、書類を送る→在外公館で署名→送り返す、と時間がかかります。相続には期限のある手続き(相続放棄、相続税の申告、相続登記など)があるので、相続手続きの全体像と期限で先に期限を確認し、早めに動き始めてください。

相続税で気をつけること

相続人が海外に住んでいても、相続税と無関係とは限りません。国税庁の説明(タックスアンサーNo.4138)の要点は次のとおりです。

どの区分に当たるかは、国籍・在留資格・住所の期間で細かく分かれます。財産が多い場合や外国籍の人が関係する場合は、早めに税理士や税務署に相談してください。

どこに相談するか

知りたいこと相談先
相続登記の書類(外国の書類で足りるか など)不動産がある地域の法務局(登記相談)、司法書士
どの国の法律になるか、遺産分割の争い弁護士、家庭裁判所
サイン証明・在留証明の取り方住んでいる国の日本大使館・総領事館
相続税税務署、税理士
日本語以外で相談したい法テラス 多言語情報提供サービス(0570-078377。英語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語・ベトナム語・タガログ語・ネパール語・タイ語・インドネシア語)

よくある質問

Q. 日本に住んでいた外国籍の親が亡くなりました。日本の法律で相続しますか?
A. 原則として、亡くなった人の国籍の国(本国)の法律で相続します(法の適用に関する通則法36条)。基準は住所ではなく国籍です。ただし、本国の法律に従うと日本法によるべきとされる場合は日本法で相続します(通則法41条「反致」)。結論は本国の法律の内容によって変わるため、司法書士・弁護士などの専門家に確認してください。
Q. 海外に住んでいる相続人は印鑑証明書が取れません。どうすればいいですか?
A. 日本国籍の人は、住んでいる国の日本大使館・総領事館で署名証明(サイン証明)を取り、印鑑証明書の代わりにできます。領事の前で署名する必要があり、本人が窓口へ行きます。外国籍の人がどのような証明を使えるかは、提出先に確認してください。どの形式が必要かは提出先に確認してください。
Q. 被相続人が外国籍でも法定相続情報一覧図は作れますか?
A. 法務省の説明では、被相続人や相続人が日本国籍を持たないなどの理由で戸籍謄本を添付できない場合、法定相続情報証明制度は利用できません。相続関係は本国の公的書類などで証明することになるため、事前に法務局や専門家に相談してください。
Q. 海外に住んでいる相続人にも相続税はかかりますか?
A. かかることがあります。国税庁の説明では、日本に住所がない相続人でも日本にある財産は課税の対象になり、国籍や過去10年以内の住所などの条件によっては海外の財産も対象になります。申告が必要な場合は納税管理人を決めて税務署に届け出ます。
出典(最終確認:2026年10月)
※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、法律・税務・登記に関する具体的な助言ではありません。国ごとの法律や必要書類の違いについては在外公館に、個別の事案については弁護士・司法書士・税理士等の専門家、または法務局・家庭裁判所・税務署・法テラスにご相談ください。記載内容は最終更新日時点の情報にもとづきます。
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