就職活動 JOB HUNTING
職業訓練で学び直して就職する
講義 2 本・確認問題 10 問 | 最終更新 2026-10-16
この章で学ぶこと- 公共職業訓練と求職者支援訓練の違い(対象・期間・受講料)と、eラーニングコースを選ぶときの注意点を整理します。
- 求職者支援制度の職業訓練受講給付金(月10万円)の内訳と、収入・資産・出席などの主な要件を確かめます。
- ハローワークでの申込みから受講あっせん、指定来所日、修了後の報告まで、就職につなげる流れをつかみます。
1. ハロートレーニングのしくみとコースの選び方
公共職業訓練と求職者支援訓練の違い、受講料、eラーニングコース、受講までの流れを整理します。
仕事を探している人が、働くために必要な知識や技能を公的な制度で学べるのが「ハロートレーニング」です。厚生労働省が進める公的職業訓練の愛称で、略して「ハロトレ」とも呼ばれます。仕事を離れて次の仕事を探している人のための訓練は、原則として受講料が無料です。ただし、テキスト代などは自己負担です。学校に入り直すよりも費用をおさえながら、事務・IT・介護・デザインなど、就職に直結する分野を学べます。
離職者向けのハロートレーニングには、大きく分けて2つの種類があります。1つは「公共職業訓練(離職者訓練)」で、主に雇用保険(失業したときの手当)を受けている人が対象です。国(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)と都道府県が実施し、期間はおおむね3か月から2年です。もう1つは「求職者支援訓練」で、主に雇用保険を受けられない人(受け終わった人も含む)が対象です。民間の教育機関が国の認定を受けて行い、期間は2か月から6か月です。どちらに当てはまるかは、ハローワークで相談すれば判断してもらえます。雇用保険そのもののしくみは、この章では扱いません(給与から引かれる保険料の話は 給与明細の読み方 を参照してください)。
求職者支援訓練には、多くの仕事に共通する基礎(ビジネスマナーやパソコンの基本など)を学ぶ「基礎コース」(2〜4か月)と、介護、医療事務、経理事務、プログラミング、Webデザインなど特定の仕事に必要な技能まで学ぶ「実践コース」があります。コースは地域ごとに順次開講されますが、内容・定員・時間帯はコースごとに違うので、募集案内で確かめます。
外出が難しい人にとって大切なのが「eラーニングコース」です。インターネットを使って、受講する人の希望に応じた日時に学べるコースで、動画の講義などで学びます。中には「通所は必要ありません」と明記したコースもあります。一方で、通所(スクーリング)が組み込まれたコースもあるため、「オンライン=一度も行かなくてよい」とは限りません。また、パソコン(カメラ・マイク付き)とインターネット回線を自分で用意することを条件にしたコースや、機器の貸し出しが有料のコースもあります。ハローワークインターネットサービスの訓練検索では、フリーワードに「eラーニング」(全角)と入れると探しやすいと案内されています。
受講までの流れは、どの訓練でもほぼ同じです。いきなり学校に申し込むのではなく、まずハローワークで求職の申込みをして職業相談を受けるところから始まります。訓練には面接や筆記試験などの選考があり、合格したうえで、ハローワークがその訓練が就職に必要だと認める「受講あっせん」を受けて、はじめて受講できます。申込みの締切は開講日より前に設けられているので、早めに相談しましょう。
離職者向けハロートレーニングの2つの種類| 項目 | 公共職業訓練(離職者訓練) | 求職者支援訓練 |
|---|
| 主な対象 | 雇用保険を受けている求職者 | 雇用保険を受けられない求職者(受け終わった人を含む) |
| 実施 | 国(高齢・障害・求職者雇用支援機構)・都道府県 | 国の認定を受けた民間の教育機関など |
| 期間 | おおむね3か月〜2年 | 2〜6か月(基礎コースは2〜4か月) |
| 受講料 | 原則無料(テキスト代などは自己負担) |
| オンライン | eラーニングコースがある(通所を含むコースや、機器を自分で用意するコースもある) |
受講までの流れ1. ハローワークで求職の申込みをし、職業相談を受ける2. 訓練のコースを選び、受講を申し込む3. 面接・筆記試験などの選考を受ける4. 合格したら、ハローワークで受講あっせんを受ける5. 訓練を開始する
用語
- ハロートレーニング
- 公的職業訓練の愛称。就職に必要な技能や知識を学ぶ公的な制度で、離職者向け・在職者向け・学卒者向け・障害者向けなどがある。
- 公共職業訓練(離職者訓練)
- 主に雇用保険を受けている求職者のための訓練。国と都道府県が実施し、期間はおおむね3か月〜2年。
- 求職者支援訓練
- 主に雇用保険を受けられない求職者のための訓練。基礎コースと実践コースがあり、期間は2〜6か月。
- eラーニングコース
- インターネットで、受講する人の都合のよい日時に学べるコース。通所を含むものもある。
- 受講あっせん
- ハローワークが、その訓練が就職に必要だと認めて受講を取り次ぐこと。これを受けてはじめて受講できる。
例題
例題:雇用保険の手当を受け終わってから半年たったAさんは、パソコンの基本から学びたいと考えています。主にどちらの訓練が対象になりますか。
答えと考え方 求職者支援訓練です。雇用保険を受けられない人(受け終わった人を含む)が主な対象で、パソコンの基本やビジネスマナーを学ぶなら基礎コースが候補になります。最終的な判断はハローワークで相談して決まります。
例題:「eラーニングコースなら必ず一度も外出しないで修了できる」は正しいですか。
答えと考え方 正しくありません。通所(スクーリング)が組み込まれたコースもあります。募集案内で「通所の有無」と「必要な機器・回線」を確かめてから申し込みます。
出典・根拠:厚生労働省「ハロートレーニング(公的職業訓練)」、厚生労働省「離職者訓練(公共職業訓練)・求職者支援訓練」、厚生労働省 ハロートレーニング公式サイト「ハロートレーニングとは」、山形労働局・ハローワーク「ハロートレーニングで職業選択肢 広げませんか?」(PDF)、千葉労働局「求職者支援訓練」、神奈川労働局・ハローワーク「ハロートレーニングで就職をつかむ!」(2026年10月開講分の募集案内、PDF)、栃木労働局 掲載の求職者支援訓練(eラーニングコース)募集案内(PDF)(いずれも2026-10-16確認)
2. 求職者支援制度の給付金と訓練中の就職支援
職業訓練受講給付金(月10万円)の金額と主な要件、指定来所日などの就職支援のしくみを確かめます。
雇用保険を受けられない人が訓練に通う間、生活費が心配で学びに集中できない、ということが起こりえます。そこで用意されているのが「求職者支援制度」です。厚生労働省は、この制度を「月10万円の生活支援の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受講する制度」と説明しています。この給付金を「職業訓練受講給付金」といい、一定の要件を満たす人だけが受け取れます。訓練を受けること自体は、要件を満たさなくても可能な場合があります。
職業訓練受講給付金は3つの手当からなります。中心は「職業訓練受講手当」で、月10万円です。通う訓練では、ほかに交通費にあたる「通所手当」(通所経路に応じた額で、月42,500円が上限)と、家族と別に住む必要があるとハローワークが認めた場合の「寄宿手当」(月10,700円)があります。なお、本人収入が月8万円を超えていても、月12万円以下で世帯収入が月34万円以下などの条件を満たせば、通所手当だけを受けられる場合があります。
主な支給要件は、本人の収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月30万円以下、世帯全体の金融資産が300万円以下、今住んでいるところ以外に土地・建物を持っていないこと、などです。さらに、訓練の実施日にすべて出席することが求められます。病気などやむを得ない理由で欠席し、それを証明できる場合でも、8割以上の出席が必要です。世帯の中に同時にこの給付金を受けて訓練を受けている人がいないこと、過去6年以内にこの給付金を受けていないことも要件です。eラーニングコースでは、すべての訓練時間を受講することが条件で、動画を倍速で見て実際の受講時間が足りなくなると不支給になると案内されています。
この制度のもう1つの柱が、訓練中からの就職支援です。受講する人には、ハローワークが「就職支援計画」を作り、訓練の期間中も修了後も積極的に就職を支援します。原則として月に一度、あらかじめ決められた「指定来所日」にハローワークへ行き、職業相談を受けます。正当な理由なく就職支援を拒むと給付金が支給されないことがあるので、来所は義務だと考えておきましょう。訓練を行う学校の側でも、キャリアコンサルティングや求人情報の提供、履歴書の書き方や面接の指導を行うコースが多くあります。履歴書と面接の基本は 履歴書の書き方・面接のマナー で確認できます。
修了後も、修了から3か月間(修了後3回目の指定来所日まで)は支援が続きます。修了した人は、就職できたかどうかにかかわらず、修了後3か月以内に「就職状況報告書」を出します。訓練は「受けたら終わり」ではなく、就職までを1つの流れとして設計されているのが特徴です。学び直しの選び方全体は 学び直しのページ も参考にしてください。
職業訓練受講給付金の金額と主な要件| 項目 | 内容 |
|---|
| 職業訓練受講手当 | 月10万円 |
| 通所手当 | 通所経路に応じた額(上限 月42,500円) |
| 寄宿手当 | 月10,700円(ハローワークが必要と認めた場合) |
| 本人の収入 | 月8万円以下 |
| 世帯全体の収入 | 月30万円以下 |
| 世帯全体の金融資産 | 300万円以下 |
| 出席 | 訓練実施日すべて(やむを得ない理由で証明できる欠席がある場合も8割以上) |
| 過去の受給 | 過去6年以内に受けていないこと |
用語
- 求職者支援制度
- 雇用保険を受けられない求職者が、無料の職業訓練と、要件を満たせば月10万円の給付金、ハローワークの就職支援を受けられる制度。
- 職業訓練受講給付金
- 職業訓練受講手当(月10万円)・通所手当・寄宿手当をまとめた呼び名。収入・資産・出席などの要件がある。
- 指定来所日
- 給付金を受ける人がハローワークに来て職業相談をする日。原則として月に一度、あらかじめ決められる。
- 就職状況報告書
- 訓練の修了後、就職の有無にかかわらず3か月以内に出す報告書。
例題
例題:本人の月収が5万円、世帯の月収が35万円のBさんは、職業訓練受講手当(月10万円)を受けられますか。
答えと考え方 受けられません。本人収入は月8万円以下を満たしますが、世帯全体の収入が月30万円を超えています。ただし、世帯収入が月34万円以下ではないため、通所手当だけを受ける条件も満たしません。訓練そのものを無料で受けることは別に検討できます。
出典・根拠:厚生労働省「求職者支援制度のご案内」、厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「求職者支援制度・訓練受講のしおり」(PDF)、神奈川労働局・ハローワーク「ハロートレーニングで就職をつかむ!」(2026年10月開講分の募集案内、PDF)(いずれも2026-10-16確認)
確認問題(10問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|ハロートレーニングとは
「ハロートレーニング」の説明として最も適切なものはどれですか。
- 民間の資格スクールをまとめて呼ぶ名前で、受講料は自分で払う
- 厚生労働省が進める公的職業訓練の愛称で、離職者向けは原則受講料無料(テキスト代などは自己負担)
- ハローワークが求人を紹介するサービスの名前で、訓練は含まない
- 会社に勤めている人だけが受けられる社内研修の名前
正解と解説
問2|受講にかかる費用
離職者向けのハロートレーニング(公共職業訓練・求職者支援訓練)の費用について、正しいものはどれですか。
- 受講料もテキスト代もすべて無料で、自分で払うものは何もない
- 受講料は毎月10万円で、あとで給付金として戻ってくる
- 受講料は給付金から自動的に差し引かれる
- 受講料は原則無料だが、テキスト代などは自己負担になる
正解と解説
問3|2つの訓練の対象
公共職業訓練(離職者訓練)と求職者支援訓練の主な対象の組み合わせとして正しいものはどれですか。
- 公共職業訓練は主に雇用保険を受けている人、求職者支援訓練は主に雇用保険を受けられない人(受け終わった人を含む)
- 公共職業訓練は主に雇用保険を受けられない人、求職者支援訓練は主に雇用保険を受けている人
- どちらも雇用保険を受けている人だけが対象
- どちらも在職中の人が対象で、仕事を探している人は受けられない
正解と解説
正解:A. 公共職業訓練は主に雇用保険を受けている人、求職者支援訓練は主に雇用保険を受けられない人(受け終わった人を含む)厚生労働省は、公共職業訓練(離職者訓練)を主に雇用保険を受給している求職者向け、求職者支援訓練を主に雇用保険を受給できない求職者(受給が終わった人を含む)向けと説明しています。対象を入れかえた組み合わせは逆です。求職者支援訓練は雇用保険を受けられない人のためにあるので、どちらも雇用保険の受給者だけという説明も誤りです。どちらも仕事を探している人のための訓練で、在職者向けの訓練は別にあります。
根拠:厚生労働省 ハロートレーニング公式サイト「ハロートレーニングとは」、厚生労働省「離職者訓練(公共職業訓練)・求職者支援訓練」
問4|eラーニングコース
ハロートレーニングのeラーニングコースについて、最も適切な説明はどれですか。
- すべての職業訓練がオンラインで受けられるので、コースを選ぶ必要はない
- eラーニングコースは給付金の要件が免除され、出席の確認もない
- インターネットで都合のよい日時に学べるが、通所を含むコースや、パソコンと回線を自分で用意するコースもある
- 動画を倍速で見て早く終えれば、そのぶん早く修了できる
正解と解説
問5|受講手当の金額
求職者支援制度の「職業訓練受講手当」の金額はどれですか。
- 月5万円
- 月8万円
- 月10万円
- 前の仕事の給料の6割
正解と解説
正解:C. 月10万円職業訓練受講手当は月10万円です。月8万円は本人収入の上限(月8万円以下)で、手当の額ではありません。月5万円という定額はありません。前の給料に応じて額が決まるのは雇用保険の手当の考え方で、求職者支援制度の受講手当は定額です。
根拠:厚生労働省「求職者支援制度のご案内」
問6|給付金の要件
職業訓練受講給付金を受けるための主な要件として正しいものはどれですか。
- 世帯全体の金融資産が300万円以下であること
- 本人の収入が月12万円以下であれば、受講手当(月10万円)を受けられること
- 世帯全体の収入が月50万円以下であること
- 一度でも受給したことがある人は、二度と受給できないこと
正解と解説
正解:A. 世帯全体の金融資産が300万円以下であること主な要件には、本人収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月30万円以下、世帯全体の金融資産が300万円以下などがあります。本人収入の月12万円以下は、通所手当だけを受けられる場合の基準で、受講手当の基準ではありません。世帯収入の上限は月30万円で、月50万円ではありません。過去の受給については「過去6年以内に受けていないこと」が要件で、二度と受けられないわけではありません。
根拠:厚生労働省「求職者支援制度のご案内」
問7|出席の要件
給付金を受けながら訓練を受けている人の出席について、正しいものはどれですか。
- 出席率が5割以上あれば、理由を問わず支給される
- オンラインのコースには出席の考え方がない
- 欠席しても、あとで補習を受ければ必ず支給される
- 原則として訓練実施日すべてに出席し、やむを得ない理由で証明できる欠席がある場合も8割以上の出席が必要
正解と解説
問8|訓練中の就職支援
求職者支援制度で給付金を受けている人が、訓練期間中にすることとして正しいものはどれですか。
- 訓練が終わるまでハローワークには行かず、修了後に初めて職業相談をする
- 原則として月に一度、指定来所日にハローワークへ行き、職業相談を受ける
- 就職支援は希望者だけが受けるもので、断っても給付金には影響しない
- 訓練中は就職活動をしてはいけない
正解と解説
問9|最初の一歩
ハロートレーニングを受けたいと思ったとき、最初にすることとして正しいものはどれですか。
- ハローワークで求職の申込みをし、職業相談を受ける
- 訓練を行う学校に直接入学金を払って申し込む
- 選考に合格してからハローワークに求職の申込みをする
- 受講あっせんは不要なので、開講日に訓練施設へ行く
正解と解説
正解:A. ハローワークで求職の申込みをし、職業相談を受ける流れは、ハローワークで求職申込みと職業相談→受講申込み→面接・筆記試験などの選考→合格後に受講あっせん→受講開始です。まずハローワークに行くのが出発点です。離職者向けの訓練は受講料が原則無料で、学校に入学金を払って直接申し込む仕組みではありません。求職の申込みは選考より前に行います。受講にはハローワークの受講あっせんが必要なので、開講日に行けば受けられるわけではありません。
根拠:厚生労働省 ハロートレーニング公式サイト「ハロートレーニングとは」
問10|修了したあと
求職者支援制度の訓練を修了したあとについて、正しいものはどれですか。
- 修了した時点で、ハローワークの支援はすべて終わる
- 就職が決まった人だけが報告すればよく、決まらなかった人は何もしなくてよい
- 修了後3か月間は支援が続き、就職の有無にかかわらず3か月以内に就職状況報告書を出す
- 修了後1年間は、就職するまで月10万円の手当が続く
正解と解説
正解:C. 修了後3か月間は支援が続き、就職の有無にかかわらず3か月以内に就職状況報告書を出す修了後3か月間(修了後3回目の指定来所日まで)は支援が続きます。修了した人は、就職できたかどうかにかかわらず、修了後3か月以内に就職状況報告書を出します。修了時点で支援がすべて終わるわけではありません。報告は就職できなかった人も必要です。月10万円の職業訓練受講手当は訓練を受けている期間の手当で、修了後1年間続くという仕組みはありません。
根拠:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「求職者支援制度・訓練受講のしおり」(PDF)
演習:この章の問題を解く
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※ 解説は学習用の情報提供です。制度や手続きは変わることがあるため、最新の情報はハローワーク・厚生労働省などの公式案内でご確認ください。
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