小学校教員 ELEMENTARY SCHOOL TEACHER
全科・社会
講義 4 本・確認問題 30 問 | 全科(小学校専門) | 最終更新 2026-10-16
この章で学ぶこと- 社会科の教科の目標の語句(社会的な見方・考え方、公民としての資質・能力の基礎)と、3〜6年の内容・授業時数を言える。
- 学年ごとの「内容の取扱い」(事例の選び方、元号、47都道府県、領土など)を区別できる。
- 方位・地図記号・縮尺・等高線・緯度と経度を使って、地図と資料を読み取れる。
- 6年の歴史の11の事項と、例示された42人の人物の働きを時代順に整理できる。
- 日本国憲法の基本的原則、天皇の国事行為、三権の関係と、社会科の指導上の配慮を説明できる。
1. 社会科の目標と学年ごとの内容
小学校社会科は第3学年から始まり、市→県→国土→政治・歴史・国際社会へと学ぶ範囲が広がります。教科の目標の語句と、学年ごとの内容・内容の取扱いを整理します。
この章は、平成29年告示の学習指導要領に基づきます(2026年10月時点)。学習指導要領は改訂の審議中で、中央教育審議会の答申は2026年冬頃の予定です。受験する年度の要項と最新の告示を確かめてください。教職教養(教育法規・総則など)は教職・一般教養ラボで扱います。
小学校の社会科は第3学年から第6学年までの教科です(第1・2学年には社会科がなく、生活科があります)。教員採用試験の「小学校全科」では、学習指導要領の目標の語句と、どの学年で何を学ぶかがよく問われます。
教科の目標
教科の目標は、次の一文で始まります。「社会的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。」
続く⑴〜⑶は、資質・能力の3つの柱に対応しています。⑴は知識及び技能(地理的環境、現代社会の仕組みや働き、歴史や伝統と文化を通して社会生活を理解し、様々な資料や調査活動を通して情報を適切に調べまとめる技能を身に付ける)、⑵は思考力,判断力,表現力等(社会的事象の特色や相互の関連、意味を多角的に考える力、社会への関わり方を選択・判断する力、表現する力)、⑶は学びに向かう力,人間性等(よりよい社会を考え主体的に問題解決しようとする態度、地域社会に対する誇りと愛情、我が国の国土と歴史に対する愛情など)です。
注意したいのは言葉の違いです。教科の目標は「社会的な見方・考え方」ですが、各学年の目標は「社会的事象の見方・考え方」を働かせ、「学習の問題を追究・解決する活動」を通して、と書かれています。
学年ごとの内容
学ぶ範囲は、3年の「市」から、4年の「県」、5年の「国土」、6年の「政治・歴史・国際社会」へと広がります。
社会科の学年ごとの内容と授業時数(平成29年告示)| 学年 | 主な内容(「2 内容」の項目) | 年間授業時数 |
|---|
| 第3学年 | ⑴身近な地域や市区町村の様子 ⑵地域に見られる生産や販売の仕事 ⑶地域の安全を守る働き ⑷市の様子の移り変わり | 70 |
| 第4学年 | ⑴都道府県の様子 ⑵人々の健康や生活環境を支える事業 ⑶自然災害から人々を守る活動 ⑷県内の伝統や文化、先人の働き ⑸県内の特色ある地域の様子 | 90 |
| 第5学年 | ⑴我が国の国土の様子と国民生活 ⑵農業や水産業における食料生産 ⑶工業生産 ⑷産業と情報との関わり ⑸国土の自然環境と国民生活との関連 | 100 |
| 第6学年 | ⑴我が国の政治の働き ⑵我が国の歴史上の主な事象 ⑶グローバル化する世界と日本の役割 | 105 |
授業時数は学校教育法施行規則の別表第一によるもので、1単位時間は45分です。
「内容の取扱い」でよく問われる点
第3学年:内容⑴は学年の導入で扱い、白地図にまとめる際に地図帳を参照して方位や主な地図記号を扱う。生産の仕事は農家、工場などから選択し、販売の仕事は商店を取り上げる。地域の安全では火災と事故はいずれも取り上げる。年表にまとめる際は、昭和、平成など元号を用いた言い表し方を取り上げる。公共施設では租税の役割に触れる。
第4学年:47都道府県の名称と位置を理解する。飲料水、電気、ガスの中から選択し、廃棄物はごみ、下水のいずれかを選択する。自然災害は、地震災害、津波災害、風水害、火山災害、雪害などの中から過去に県内で発生したものを選択する。
第5学年:「領土の範囲」では、竹島や北方領土、尖閣諸島が我が国の固有の領土であることに触れる。地図帳や地球儀を用いて方位,緯度や経度による位置の表し方を扱う。食料生産は稲作のほか、野菜、果物、畜産物、水産物などの中から一つを取り上げる。工業は金属工業、機械工業、化学工業、食料品工業などの中から一つを取り上げる。
第6学年:我が国の国旗と国歌の意義を理解し尊重する態度と、諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を養う。我が国とつながりが深い国から数か国を取り上げ、児童が1か国を選択して調べる。
また「指導計画の作成と内容の取扱い」では、47都道府県の名称と位置、世界の大陸と主な海洋の名称と位置を小学校卒業までに身に付け活用できるよう指導すること、全ての学年で地図帳を活用することが示されています。
用語
- 社会的な見方・考え方
- 教科の目標にある語。社会的事象を位置や空間、時間、人々の相互関係などに着目してとらえ、比べたり関連付けたりする視点や方法のこと。
- 公民としての資質・能力の基礎
- 社会科が最終的に育てようとするもの。平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な力の土台。
- 学習の問題
- 各学年の目標で使われる語。児童が追究・解決していく問い(単元の問い)のこと。
- 内容の取扱い
- 各学年の「3」に書かれた、内容を指導するときの範囲や選び方の決まり。
- 地図帳
- 学習指導要領では教科用図書「地図」のこと。全ての学年で活用する。
例題
例題:「消防署や警察署などの関係機関が、相互に連携して緊急時に対処する体制をとっていること」を学ぶのは第何学年か。
答えと考え方 第3学年です。3年の内容⑶「地域の安全を守る働き」にあたります。4年の⑶は「自然災害から人々を守る活動」で、県庁や市役所の働きが中心なので区別しましょう。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(第2章第2節 社会:第1 目標、第2 各学年の目標及び内容、第3 指導計画の作成と内容の取扱い)/e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」(別表第一。同資料にも収録)
2. 地理の基礎と地図・資料の読み取り
方位・地図記号・縮尺・等高線・緯度と経度、日本と世界の位置、グラフの使い分けを、計算の手順とあわせて確かめます。
地図や資料を読む力は、3年から6年まで全ての学年で使います。ここでは、方位・地図記号・縮尺・等高線・緯度と経度・日本と世界の位置、そしてグラフの読み方を、計算の手順も含めて整理します。
方位と地図記号
方位は、北・東・南・西の4方位と、その間を加えた8方位(北東・南東・南西・北西)で表します。8方位は「北」「南」を先に言うのがきまりで、「東北」ではなく「北東」と言います。地図はふつう上が北で、そうでない場合は方位記号で北を示します。
地図記号は、国土地理院が地形図で使う記号です。3年では主な地図記号を扱います。
小学校でよく使う地図記号(形の説明)| 施設など | 記号の形 | 覚え方の例 |
|---|
| 小・中学校 | 「文」の字 | 文字を学ぶところ |
| 郵便局 | 〒 | 郵便のマーク |
| 警察署 | ○の中に× | 交番(×)を○で囲む |
| 交番 | × | 警棒を2本交差させた形 |
| 寺院 | 卍 | 仏教で使われるしるし |
| 神社 | 鳥居の形 | 神社の入口の鳥居 |
| 田 | 稲を刈り取ったあとの形 | 縦の短い線が並ぶ |
| 果樹園 | 果実の形(○) | りんごなどの実 |
縮尺の計算
縮尺は、実際の距離を地図上でどれだけ縮めたかを表す割合です。「2万5千分の1」は、実際の距離を25,000分の1に縮めたという意味です。計算は次の2つの式だけで足ります。
実際の距離 = 地図上の長さ × 縮尺の分母
地図上の長さ = 実際の距離 ÷ 縮尺の分母
2万5千分の1の地図で1cmは 1×25,000=25,000cm=250m、4cmで1kmです。5万分の1の地図では1cmが500m、2cmで1kmです。単位の換算(1m=100cm、1km=1,000m=100,000cm)を落ち着いて行うのがポイントです。分母が小さいほど「縮尺が大きい」地図で、せまい範囲がくわしく描かれます。
等高線
等高線は、同じ高さの地点を結んだ線です。等高線の間隔がせまいところは傾斜が急、広いところは傾斜がゆるやかです。2万5千分の1地形図では、細い主曲線が10mごと、太い計曲線が50mごとに引かれています。
緯度・経度と世界の大陸・海洋
緯度は赤道を0度として南北をそれぞれ90度まで(北緯・南緯)、経度はイギリスのロンドンにある旧グリニッジ天文台を通る本初子午線を0度として東西をそれぞれ180度まで(東経・西経)で表します。日本は北緯・東経の範囲にあります。
世界の6つの大陸は、ユーラシア大陸・アフリカ大陸・北アメリカ大陸・南アメリカ大陸・オーストラリア大陸・南極大陸です。3つの大きな海洋は、太平洋・大西洋・インド洋です。
日本の国土は、北海道・本州・四国・九州と多数の島からなります。東西南北の端は、北端が択捉島、東端が南鳥島、南端が沖ノ鳥島、西端が与那国島です。学習指導要領は5年の「領土の範囲」で、竹島や北方領土、尖閣諸島が我が国の固有の領土であることに触れるとしています。
グラフ・資料の読み取り
グラフは目的で使い分けます。折れ線グラフは時間とともに変わる様子(変化)、棒グラフは量の大小の比較、円グラフ・帯グラフは全体に占める割合を表すのに向いています。読み取るときは、①題名、②出典と調査年、③単位(万人、t、%など)、④目盛りの始まり(0から始まっているか)を先に確かめます。6年の内容の取扱いでは、年表や絵画など資料の特性に留意した読み取り方についても指導するとしています。
用語
- 8方位
- 北・北東・東・南東・南・南西・西・北西の8つの向き。
- 縮尺
- 実際の距離を地図上に縮めた割合。分母が小さいほど縮尺が大きく、くわしい地図。
- 等高線
- 同じ高さの地点を結んだ線。間隔がせまいほど傾斜が急。
- 本初子午線
- 経度0度の線。ロンドンの旧グリニッジ天文台を通る。
- 赤道
- 緯度0度の線。地球を北半球と南半球に分ける。
例題
例題:2万5千分の1の地図上で、駅から公園まで8cmあった。実際の距離は何kmか。
答えと考え方 8×25,000=200,000cm です。100,000cm=1km なので、200,000cm=2km です。「1cmで250m」を覚えておけば、250m×8=2,000m と暗算でも確かめられます。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(第2章第2節 社会:第3学年・第5学年の内容の取扱い、第6学年の内容の取扱い⑵カ)/国土地理院(地形図の地図記号・等高線)
3. 歴史の基礎:11の事項と42人の人物
6年の歴史学習は、主な事象を手掛かりに大まかな歴史をつかむ学習です。学習指導要領の11の事項と、例示された42人の人物を時代順に整理します。
6年の歴史学習は、通史を細かく覚えることではなく、歴史上の主な事象を手掛かりに大まかな歴史を理解し、関連する先人の業績、優れた文化遺産を理解することがねらいです。学習指導要領は、内容⑵のアの(ア)〜(サ)で11の事項を示し、(シ)で資料による調べ学習を示しています。
6年 内容⑵ア(ア)〜(サ)の「手掛かり」と「理解すること」| 項目 | 手掛かり | 理解すること |
|---|
| (ア) | 狩猟・採集や農耕の生活,古墳,大和朝廷(大和政権)による統一の様子 | むらからくにへと変化したこと |
| (イ) | 大陸文化の摂取,大化の改新,大仏造営の様子 | 天皇を中心とした政治が確立されたこと |
| (ウ) | 貴族の生活や文化 | 日本風の文化が生まれたこと |
| (エ) | 源平の戦い,鎌倉幕府の始まり,元との戦い | 武士による政治が始まったこと |
| (オ) | 京都の室町に幕府が置かれた頃の代表的な建造物や絵画 | 今日の生活文化につながる室町文化が生まれたこと |
| (カ) | キリスト教の伝来,織田・豊臣の天下統一 | 戦国の世が統一されたこと |
| (キ) | 江戸幕府の始まり,参勤交代や鎖国などの幕府の政策,身分制 | 武士による政治が安定したこと |
| (ク) | 歌舞伎や浮世絵,国学や蘭学 | 町人の文化が栄え新しい学問がおこったこと |
| (ケ) | 黒船の来航,廃藩置県や四民平等などの改革,文明開化など | 明治維新を機に欧米の文化を取り入れつつ近代化を進めたこと |
| (コ) | 大日本帝国憲法の発布,日清・日露の戦争,条約改正,科学の発展など | 国力が充実し国際的地位が向上したこと |
| (サ) | 日中戦争や我が国に関わる第二次世界大戦,日本国憲法の制定,オリンピック・パラリンピックの開催など | 戦後、民主的な国家として出発し、国民生活が向上し、国際社会の中で重要な役割を果たしてきたこと |
時代の流れ
時代は、政治の中心地や世の中の様子で区切られます。古い順に、縄文 → 弥生 → 古墳 → 飛鳥 → 奈良 → 平安 → 鎌倉 → 室町 → 安土桃山 → 江戸 → 明治 → 大正 → 昭和 → 平成 → 令和です。学習指導要領も、我が国の歴史は「政治の中心地や世の中の様子などによって幾つかの時期に分けられること」に気付くようにするとしています。
例示された42人の人物
内容の取扱いでは、(ア)〜(コ)について「例えば,次に掲げる人物を取り上げ,人物の働きを通して学習できるよう指導すること」として42人を挙げています。人物と業績を組で覚えると、時代の並べ替え問題にも強くなります。
42人の人物と主な働き(時代順)| 時代 | 人物と主な働き |
|---|
| 弥生〜飛鳥 | 卑弥呼(邪馬台国の女王)/聖徳太子(十七条の憲法、冠位十二階)/小野妹子(遣隋使)/中大兄皇子・中臣鎌足(大化の改新) |
| 奈良 | 聖武天皇(東大寺の大仏造営)/行基(大仏造営に協力した僧)/鑑真(唐から来日した僧、唐招提寺) |
| 平安 | 藤原道長(貴族の政治の全盛)/紫式部(『源氏物語』)/清少納言(『枕草子』)/平清盛(武士として初めて太政大臣) |
| 鎌倉 | 源頼朝(鎌倉幕府を開く)/源義経(源平の戦いで平氏を破る)/北条時宗(元との戦いの時の執権) |
| 室町 | 足利義満(金閣)/足利義政(銀閣)/雪舟(水墨画) |
| 戦国〜安土桃山 | ザビエル(キリスト教を伝える)/織田信長・豊臣秀吉(天下統一。秀吉は検地・刀狩) |
| 江戸 | 徳川家康(江戸幕府を開く)/徳川家光(参勤交代の制度化)/近松門左衛門(人形浄瑠璃・歌舞伎の脚本)/歌川広重(浮世絵「東海道五十三次」)/本居宣長(国学、『古事記伝』)/杉田玄白(蘭学、『解体新書』)/伊能忠敬(全国を測量し日本地図を作成)/ペリー(黒船で来航) |
| 明治 | 勝海舟・西郷隆盛(江戸城の明け渡し)/大久保利通・木戸孝允(明治政府の改革)/明治天皇/福沢諭吉(『学問のすゝめ』)/大隈重信・板垣退助(政党をつくり国会開設を求める)/伊藤博文(初代内閣総理大臣、憲法づくり)/陸奥宗光(領事裁判権の撤廃)/東郷平八郎(日露戦争の日本海海戦)/小村寿太郎(関税自主権の回復)/野口英世(黄熱病の研究) |
(サ)の戦後の事項には人物の例示がなく、「児童の発達の段階を考慮すること」とされています。
そのほかの取扱い
文化遺産は、国宝、重要文化財に指定されているものや、世界文化遺産に登録されているものなどを取り上げます。(ア)の「神話・伝承」は、古事記,日本書紀,風土記などの中から適切なものを取り上げます。(イ)〜(サ)では、当時の世界との関わりにも目を向け、歴史を広い視野からとらえられるようにします。
用語
- 大和朝廷(大和政権)
- 古墳時代に、近畿地方の豪族を中心に各地を統一していった政権。
- 大化の改新
- 中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我氏をたおして始めた、天皇中心の国づくりの改革。
- 鎖国
- 江戸幕府が、外国との行き来や貿易を限られた国・場所に制限した政策。
- 条約改正
- 幕末に結んだ不平等な条約(領事裁判権を認め、関税自主権がない)を対等に改めること。
- 国学・蘭学
- 国学は古典から日本古来の考え方を研究する学問、蘭学はオランダ語の書物を通して西洋の学問を学ぶこと。
例題
例題:「足利義満」「雪舟」「足利義政」は、6年の内容⑵アの(ア)〜(サ)のどの事項の学習で取り上げる人物か。
答えと考え方 (オ)です。手掛かりは「京都の室町に幕府が置かれた頃の代表的な建造物や絵画」で、金閣(義満)、銀閣(義政)、水墨画(雪舟)が代表例です。理解することは「今日の生活文化につながる室町文化が生まれたこと」です。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(第2章第2節 社会:第6学年 内容⑵、内容の取扱い⑵ア〜キ(42人の人物の例示))
4. 公民の基礎と社会科の指導法
日本国憲法の基本的原則、天皇の国事行為、三権のしくみ、国民の権利と義務を確かめ、学習指導要領が示す社会科の指導上の配慮をまとめます。
6年の内容⑴は「我が国の政治の働き」です。学習指導要領は、日本国憲法が国家の理想、天皇の地位、国民としての権利及び義務など国家や国民生活の基本を定めていること、立法,行政,司法の三権がそれぞれの役割を果たしていることを理解するとしています。最後に、社会科の指導法の要点をまとめます。
日本国憲法の基本的原則
日本国憲法は、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義を基本的原則としています(中学校学習指導要領の公民的分野も、この3つを基本的原則として扱います)。天皇は「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」(第1条)で、国政に関する権能を持たず、国事に関する行為を内閣の助言と承認により行います(第3条・第4条)。国事行為には、国会の指名に基づく内閣総理大臣の任命(第6条)、法律の公布、国会の召集、衆議院の解散、栄典の授与など(第7条)があります。
国民の権利として、選挙で代表を選ぶ参政権などがあり、選挙権は18歳以上の国民がもちます(公職選挙法第9条)。国民の義務は、子どもに普通教育を受けさせる義務(第26条)、勤労の義務(第27条)、納税の義務(第30条)の3つです。学習指導要領は「国民としての権利及び義務」として参政権,納税の義務などを取り上げるとしています。
三権のしくみ
三権の役割と、たがいの関係(主なもの)| 機関 | 役割 | ほかの機関への働き |
|---|
| 国会(立法) | 法律をつくる。予算を議決する。衆議院と参議院の二院制 | 内閣総理大臣を指名する。衆議院は内閣不信任の決議ができる。弾劾裁判所を設けて裁判官を裁く |
| 内閣(行政) | 法律や予算にもとづいて政治を行う | 衆議院を解散できる。最高裁判所の長官を指名し、その他の裁判官を任命する |
| 裁判所(司法) | 法にもとづいて争いや犯罪を裁く | 法律や行政の処分が憲法に違反していないかを審査する(違憲審査) |
国会は「国権の最高機関であつて,国の唯一の立法機関」(第41条)です。国民は、選挙で国会議員を選び、最高裁判所の裁判官を国民審査で審査します。学習指導要領は、裁判員制度や租税の役割も扱うとしています。裁判員制度は、国民から選ばれた裁判員が、一定の重大な刑事事件の第一審に裁判官とともに参加する制度で、原則として裁判官3人と裁判員6人で審理します。
地方公共団体では、首長(知事・市町村長)と議会の議員を、住民が直接選挙で選びます(第93条)。「国や地方公共団体の政治」は、社会保障、自然災害からの復旧や復興、地域の開発や活性化などの取組の中から選択して取り上げます。内容⑶の国際社会では、「国際連合の働き」について、網羅的、抽象的な扱いを避けるためユニセフやユネスコの身近な活動を取り上げます。
指導法の要点
社会科の授業は、学習の問題を追究・解決する活動(問題解決的な学習)が中心です。一般的には「問題をつかむ → 調べる → まとめる → いかす(生かす)」の流れで単元を組み立てます。学習指導要領の「指導計画の作成と内容の取扱い」の主な点は次のとおりです。
①児童の主体的・対話的で深い学びの実現を図る。②観察や見学、聞き取りなどの調査活動を含む具体的な体験を伴う学習と、それに基づく表現活動の充実を図る。③多角的に考えたことや選択・判断したことを論理的に説明したり、立場や根拠を明確にして議論したりする言語活動を重視する。④学校図書館や公共図書館、コンピュータなどを活用し、全ての学年で地図帳を活用する。⑤博物館や資料館などの施設の活用と、専門家や関係の諸機関との連携を図る。⑥多様な見解のある事柄、未確定な事柄では、特定の事柄を強調し過ぎたり,一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなどの偏った取扱いをしない。⑦障害のある児童などについては、困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的、組織的に行う。
用語
- 国民主権
- 国の政治のあり方を最終的に決める力が国民にあるという考え方。
- 国事行為
- 天皇が内閣の助言と承認により行う、形式的・儀礼的な行為。法律の公布、国会の召集など。
- 三権分立
- 国の権力を立法・行政・司法に分け、たがいに抑え合わせるしくみ。
- 裁判員制度
- 国民が裁判員として重大な刑事事件の第一審に参加する制度。
- 問題解決的な学習
- 学習の問題を児童がつかみ、調べ、考え、まとめていく学習の進め方。
例題
例題:「衆議院の解散」は、内閣・国会・裁判所のうち、どの機関がどの機関に対して行う働きか。また天皇の国事行為とどう関係するか。
答えと考え方 内閣が国会(衆議院)に対して行う働きです。形式上は、天皇が内閣の助言と承認により国事行為として衆議院を解散します(第7条)。内閣不信任の決議(国会→内閣)と組で覚えると、たがいに抑え合う関係が分かります。
根拠:e-Gov法令検索「日本国憲法」(第1・3・4・6・7・26・27・30・41・93条)/e-Gov法令検索「公職選挙法」(第9条)/e-Gov法令検索「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(第2条)/文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(第2章第2節 社会:第6学年 内容⑴⑶と内容の取扱い、第3 指導計画の作成と内容の取扱い)(中学校社会・公民的分野C⑴も同資料に収録)
確認問題(30問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|教科の目標
小学校学習指導要領(平成29年告示)社会の教科の目標で、育成を目指すとされているものはどれか。
- 国民としての資質・能力の基礎
- 社会人としての資質・能力の基礎
- 公民としての資質・能力の基礎
- 市民としての資質・能力の基礎
正解と解説
正解:C. 公民としての資質・能力の基礎教科の目標は「…平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な<b>公民としての資質・能力の基礎</b>を次のとおり育成することを目指す」です。「国民」「社会人」「市民」はどれも目標の語句ではありません。特に「国民としての自覚」は⑶に出てくる語なので、取り違えに注意します。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第1 目標)
問2|見方・考え方
社会科の<b>教科の目標</b>の冒頭で、児童が働かせるとされている見方・考え方はどれか。
- 社会的な見方・考え方
- 歴史的な見方・考え方
- 地理的な見方・考え方
- 公民的な見方・考え方
正解と解説
正解:A. 社会的な見方・考え方教科の目標は「<b>社会的な見方・考え方</b>を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して」で始まります。なお各学年の目標では「社会的事象の見方・考え方」と書かれています。「歴史的」「地理的」「公民的」は、中学校の分野ごとの言い方に近い語で、小学校の教科の目標の語ではありません。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第1 目標)
問3|授業時数
学校教育法施行規則の別表第一で、小学校第5学年の社会の年間授業時数として正しいものはどれか(1単位時間は45分)。
- 70
- 90
- 100
- 105
正解と解説
正解:C. 100社会の授業時数は、第3学年70、第4学年90、<b>第5学年100</b>、第6学年105です。70は3年、90は4年、105は6年の時数です。学年が上がるほど時数が増えると覚えておきます。
根拠:e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」(別表第一)
問4|第3学年の内容
小学校社会科の第3学年の内容として、学習指導要領に示されているものはどれか。
- 飲料水、電気、ガスを供給する事業
- 地域の安全を守る働き
- 我が国の工業生産
- 我が国の政治の働き
正解と解説
正解:B. 地域の安全を守る働き3年の内容は、⑴身近な地域や市の様子、⑵生産や販売の仕事、⑶<b>地域の安全を守る働き</b>、⑷市の様子の移り変わりです。飲料水・電気・ガスの事業は4年、工業生産は5年、政治の働きは6年の内容です。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第2 〔第3学年〕)
問5|47都道府県
「47都道府県の名称と位置」について、学習指導要領の記述として正しいものはどれか。
- 第3学年の内容で理解し、以後は扱わない。
- 第6学年の歴史の学習の中でまとめて理解する。
- 第5学年の内容で初めて扱い、中学校卒業までに身に付ける。
- 第4学年の内容で理解し、小学校卒業までに身に付け活用できるよう指導する。
正解と解説
正解:D. 第4学年の内容で理解し、小学校卒業までに身に付け活用できるよう指導する。4年の内容⑴に「47都道府県の名称と位置を理解すること」があり、指導計画の作成の配慮事項で「学習内容と関連付けながら,その都度,地図帳や地球儀などを使って確認するなどして,<b>小学校卒業までに</b>身に付け活用できるよう」指導するとしています。3年で終わりではなく、6年の歴史でまとめて扱うのでもなく、中学校卒業までとも書かれていません。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第2 〔第4学年〕)・第3 指導計画の作成と内容の取扱い1⑶
問6|食料生産の事例
第5学年「我が国の農業や水産業における食料生産」の内容の取扱いとして正しいものはどれか。
- 稲作のほか、野菜、果物、畜産物、水産物などの中から一つを取り上げる。
- 稲作は扱わず、野菜、果物、畜産物、水産物の全てを取り上げる。
- 水産物を必ず取り上げ、稲作は選択して取り上げる。
- 県内で生産が盛んなものに限って一つを取り上げる。
正解と解説
正解:A. 稲作のほか、野菜、果物、畜産物、水産物などの中から一つを取り上げる。内容の取扱いは「稲作のほか,野菜,果物,畜産物,水産物などの中から一つを取り上げること」です。稲作は必ず扱い、それに加えて一つ選びます。稲作を扱わない、全てを扱う、水産物を必ず扱う、という規定はありません。「県内」に限る規定もありません(県内の事例は4年の学習の特徴です)。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第2 〔第5学年〕)・内容の取扱い⑵ア
問7|廃棄物の処理
第4学年の「廃棄物を処理する事業」の内容の取扱いとして正しいものはどれか。
- ごみと下水の両方を必ず取り上げる。
- ごみ、下水のいずれかを選択して取り上げる。
- 下水は第5学年で扱うため、ごみだけを取り上げる。
- 飲料水、電気、ガスの中から一つを選んで取り上げる。
正解と解説
正解:B. ごみ、下水のいずれかを選択して取り上げる。4年の内容の取扱いは「ごみ,下水の<b>いずれかを選択</b>して取り上げること」です。両方を必ず扱うのではありません。下水を5年で扱うという規定もありません。「飲料水,電気,ガスの中から選択」は、同じ内容⑵のうち供給の事業(アの(ア))の取扱いです。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第2 〔第4学年〕)・内容の取扱い⑴イ・ウ
問8|年表と元号
第3学年「市の様子の移り変わり」で年表などにまとめる際、学習指導要領が取り上げるとしていることはどれか。
- 西暦だけを用いて年代を表すこと
- 世紀を単位とする時代区分を用いること
- 昭和、平成など元号を用いた言い表し方などがあること
- 縄文から令和までの時代名を全て覚えること
正解と解説
正解:C. 昭和、平成など元号を用いた言い表し方などがあること3年の内容の取扱いは「時期の区分について,<b>昭和,平成など元号を用いた言い表し方</b>などがあることを取り上げること」です。西暦だけに限る、世紀の区分を用いる、という規定はありません。時代名の全体の流れは6年の歴史学習で扱います。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第2 〔第3学年〕)・内容の取扱い⑷ア
問9|8方位
上が北の地図で、ある地点から見て右下の方向にある場所の方位はどれか。
- 北東
- 南西
- 北西
- 南東
正解と解説
正解:D. 南東上が北なら、右が東、下が南です。右下は南と東の間なので<b>南東</b>です。8方位は「北」「南」を先に言うので「東南」とは言いません。北東は右上、南西は左下、北西は左上です。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第3学年 内容の取扱い⑴イ(方位))
問10|縮尺の計算
2万5千分の1の地図上で6cmの長さは、実際には何kmか。
- 0.15km
- 1.5km
- 15km
- 0.6km
正解と解説
正解:B. 1.5km実際の距離=地図上の長さ×縮尺の分母なので、6×25,000=150,000cm。100,000cm=1kmなので<b>1.5km</b>です。0.15kmは単位換算で桁を1つ落とした値、15kmは桁を1つ多くした値です。0.6kmは分母を1万として計算した値です。
根拠:国土地理院(地形図の縮尺)
問11|等高線
地形図の等高線の読み取りとして正しいものはどれか。
- 等高線の間隔がせまいところほど、傾斜が急である。
- 等高線の間隔が広いところほど、標高が高い。
- 等高線は、同じ傾斜の地点を結んだ線である。
- 等高線が交わっているところは、山頂を表す。
正解と解説
正解:A. 等高線の間隔がせまいところほど、傾斜が急である。等高線は<b>同じ高さ</b>の地点を結んだ線で、間隔がせまいほど傾斜が急です。間隔の広さは傾斜のゆるやかさを表し、標高の高さとは関係しません。「同じ傾斜」ではなく「同じ高さ」です。高さの違う等高線はふつう交わらず(がけでは重なって見えることがあります)、山頂は閉じた等高線の内側で表されます。
根拠:国土地理院(地形図の等高線)
問12|地図記号
地形図で「卍」の地図記号が表すものはどれか。
- 神社
- 城跡
- 寺院
- 墓地
正解と解説
正解:C. 寺院「卍」は<b>寺院</b>の記号です。仏教で使われるしるしから作られています。神社は鳥居の形の記号で、寺院と取り違えやすいので組で覚えます。城跡、墓地にはそれぞれ別の記号があります。
根拠:国土地理院(地図記号)/文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第3学年 内容の取扱い⑴イ(主な地図記号))
問13|緯度と経度
経度0度の線についての説明として正しいものはどれか。
- 赤道とよばれ、地球を北半球と南半球に分ける。
- 日付変更線とよばれ、太平洋上を通る。
- 日本の兵庫県明石市を通り、日本の標準時の基準となる。
- 本初子午線とよばれ、ロンドンの旧グリニッジ天文台を通る。
正解と解説
正解:D. 本初子午線とよばれ、ロンドンの旧グリニッジ天文台を通る。経度0度の線は<b>本初子午線</b>で、イギリスのロンドンにある旧グリニッジ天文台を通ります。赤道は緯度0度の線です。日付変更線は経度180度付近に引かれた線です。明石市を通るのは東経135度の線で、日本の標準時の基準ですが経度0度ではありません。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第5学年 内容の取扱い⑴イ(緯度や経度による位置の表し方))
問14|日本の端
日本の東西南北の端の島の組合せとして、<b>東端</b>にあたる島はどれか。
- 南鳥島
- 与那国島
- 沖ノ鳥島
- 択捉島
正解と解説
正解:A. 南鳥島東端は<b>南鳥島</b>です。与那国島は西端、沖ノ鳥島は南端、択捉島は北端です。「南鳥島」は名前に「南」が入りますが東端、「沖ノ鳥島」が南端なので、名前で判断しないよう注意します。
根拠:国土地理院(日本の東西南北端点)/文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第5学年 内容⑴・内容の取扱い⑴ア)
問15|6つの大陸
世界の6つの大陸に<b>含まれない</b>ものはどれか。
- ユーラシア大陸
- グリーンランド
- 南極大陸
- アフリカ大陸
正解と解説
正解:B. グリーンランド6つの大陸は、ユーラシア・アフリカ・北アメリカ・南アメリカ・オーストラリア・南極の各大陸です。<b>グリーンランド</b>は世界最大級の島で、大陸には数えません。ユーラシア大陸、南極大陸、アフリカ大陸はいずれも6大陸に含まれます。学習指導要領は、世界の大陸と主な海洋の名称と位置を小学校卒業までに身に付けるよう求めています。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第5学年 内容⑴イ(ア)・第3 1⑶)
問16|グラフの使い分け
ある市の人口が30年間でどのように変わったかを表すのに最も適したグラフはどれか。
- 円グラフ
- 折れ線グラフ
- 帯グラフ
- 絵グラフ
正解と解説
正解:B. 折れ線グラフ時間とともに変わる様子(変化)を表すには<b>折れ線グラフ</b>が向いています。円グラフと帯グラフは、全体に占める割合を表すグラフです。絵グラフは数量を絵の数で比べるもので、長い期間の変化を読み取るのには向きません。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第2 各学年の内容(統計などの資料で調べまとめる技能))
問17|時代の順序
次の時代を古い順に並べたものとして正しいものはどれか。
- 飛鳥 → 奈良 → 平安 → 鎌倉
- 奈良 → 飛鳥 → 鎌倉 → 平安
- 飛鳥 → 平安 → 奈良 → 鎌倉
- 奈良 → 平安 → 飛鳥 → 鎌倉
正解と解説
正解:A. 飛鳥 → 奈良 → 平安 → 鎌倉正しい順は<b>飛鳥 → 奈良 → 平安 → 鎌倉</b>です。飛鳥時代に大化の改新があり、奈良時代に大仏が造営され、平安時代に貴族の文化が栄え、鎌倉時代に武士の政治が始まります。ほかの並びは、奈良と飛鳥、または奈良と平安の前後を取り違えています。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第6学年 内容⑵ア(イ)〜(エ)・内容の取扱い⑵キ)
問18|大化の改新
学習指導要領が例示する人物のうち、「大化の改新」を手掛かりとする学習で取り上げる人物の組合せはどれか。
- 聖徳太子・小野妹子
- 中大兄皇子・中臣鎌足
- 聖武天皇・行基
- 藤原道長・紫式部
正解と解説
正解:B. 中大兄皇子・中臣鎌足大化の改新は、<b>中大兄皇子と中臣鎌足</b>が蘇我氏をたおして始めた改革です。聖徳太子・小野妹子は大陸文化の摂取(十七条の憲法、遣隋使)、聖武天皇・行基は大仏造営、藤原道長・紫式部は貴族の生活や文化の学習で取り上げる人物です。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第6学年 内容⑵ア(イ)・内容の取扱い⑵ウ)
問19|天皇中心の政治
6年の内容⑵アの(イ)で、「天皇を中心とした政治が確立されたこと」を理解する手掛かりとして示されているものはどれか。
- 源平の戦い,鎌倉幕府の始まり,元との戦い
- 狩猟・採集や農耕の生活,古墳,大和朝廷による統一の様子
- 貴族の生活や文化
- 大陸文化の摂取,大化の改新,大仏造営の様子
正解と解説
正解:D. 大陸文化の摂取,大化の改新,大仏造営の様子(イ)の手掛かりは「<b>大陸文化の摂取,大化の改新,大仏造営の様子</b>」です。源平の戦いなどは(エ)で「武士による政治が始まったこと」、狩猟・採集などは(ア)で「むらからくにへと変化したこと」、貴族の生活や文化は(ウ)で「日本風の文化が生まれたこと」を理解する手掛かりです。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第6学年 内容⑵ア(ア)〜(エ))
問20|元との戦い
「元との戦い」の時期に、鎌倉幕府の執権として対応した人物はどれか。
- 源頼朝
- 北条時宗
- 平清盛
- 足利義満
正解と解説
正解:B. 北条時宗元との戦いの時の執権は<b>北条時宗</b>です。源頼朝は鎌倉幕府を開いた人物、平清盛は武士として初めて太政大臣になった人物で、いずれも元との戦いより前の時代です。足利義満は室町幕府の将軍で、金閣を建てた人物です。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第6学年 内容⑵ア(エ)・内容の取扱い⑵ウ)
問21|新しい学問
「国学や蘭学」を手掛かりとする学習で取り上げる人物と業績の組合せとして正しいものはどれか。
- 杉田玄白 ― 『解体新書』を出版した
- 本居宣長 ― 全国を測量して日本地図を作った
- 伊能忠敬 ― 『古事記伝』を著した
- 歌川広重 ― 人形浄瑠璃の脚本を書いた
正解と解説
正解:A. 杉田玄白 ― 『解体新書』を出版した<b>杉田玄白</b>はオランダ語の解剖書を翻訳した『解体新書』を出版し、蘭学の発展に尽くしました。『古事記伝』を著したのは本居宣長(国学)、全国を測量して日本地図を作ったのは伊能忠敬です。歌川広重は浮世絵(「東海道五十三次」)の作者で、人形浄瑠璃の脚本を書いたのは近松門左衛門です。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第6学年 内容⑵ア(ク)・内容の取扱い⑵ウ)
問22|条約改正
条約改正について、人物と業績の組合せとして正しいものはどれか。
- 小村寿太郎 ― 領事裁判権を撤廃した
- 伊藤博文 ― 関税自主権を回復した
- 陸奥宗光 ― 領事裁判権を撤廃した
- 東郷平八郎 ― 関税自主権を回復した
正解と解説
正解:C. 陸奥宗光 ― 領事裁判権を撤廃した領事裁判権の撤廃に成功したのは<b>陸奥宗光</b>、関税自主権の回復を実現したのは小村寿太郎です。この2つを入れ替えた選択肢に注意します。伊藤博文は初代内閣総理大臣で憲法づくりに関わった人物、東郷平八郎は日露戦争の日本海海戦で知られる人物です。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第6学年 内容⑵ア(コ)・内容の取扱い⑵ウ)
問23|例示された人物
小学校学習指導要領(平成29年告示)社会の内容の取扱いで、歴史学習で取り上げる人物として<b>例示されていない</b>のはどれか。
- 伊能忠敬
- 野口英世
- 雪舟
- 坂本龍馬
正解と解説
正解:D. 坂本龍馬内容の取扱いが例示する42人に<b>坂本龍馬</b>は含まれていません。伊能忠敬(日本地図)、野口英世(黄熱病の研究)、雪舟(水墨画)はいずれも例示された人物です。幕末から明治の人物としては、ペリー、勝海舟、西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允などが挙げられています。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第6学年 内容の取扱い⑵ウ)
問24|神話・伝承
6年の内容⑵アの(ア)の「神話・伝承」について、取り上げるものとして学習指導要領に示されているものはどれか。
- 源氏物語,枕草子,徒然草など
- 古事記,日本書紀,風土記など
- 万葉集,古今和歌集,新古今和歌集など
- 学問のすゝめ,解体新書,古事記伝など
正解と解説
正解:B. 古事記,日本書紀,風土記など内容の取扱いは「<b>古事記,日本書紀,風土記</b>などの中から適切なものを取り上げること」です。源氏物語・枕草子は平安時代の貴族の文化、和歌集は文学作品、学問のすゝめ・解体新書・古事記伝は人物の業績にかかわる書物で、神話・伝承の例示ではありません。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第6学年 内容⑵ア(ア)・内容の取扱い⑵エ)
問25|憲法の基本的原則
日本国憲法の基本的原則の組合せとして正しいものはどれか。
- 国民主権・基本的人権の尊重・三権分立
- 国民主権・議会制民主主義・平和主義
- 国民主権・基本的人権の尊重・平和主義
- 象徴天皇制・基本的人権の尊重・平和主義
正解と解説
正解:C. 国民主権・基本的人権の尊重・平和主義日本国憲法の基本的原則は<b>国民主権・基本的人権の尊重・平和主義</b>です(中学校学習指導要領の公民的分野も、この3つを基本的原則としています)。三権分立や議会制民主主義は憲法が定めるしくみですが、3つの基本的原則の1つには数えません。天皇は象徴とされていますが、それも基本的原則の1つではありません。
根拠:e-Gov法令検索「日本国憲法」(前文・第1条・第9条・第11条)/文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(中学校 社会 公民的分野C⑴ア(ウ)、同資料に収録)
問26|国事行為
日本国憲法が定める天皇の国事に関する行為にあたるものはどれか。
- 内閣総理大臣を指名すること
- 法律を制定すること
- 予算を作成すること
- 衆議院を解散すること
正解と解説
正解:D. 衆議院を解散すること<b>衆議院の解散</b>は第7条の国事行為の1つで、内閣の助言と承認により行います。内閣総理大臣を<b>指名</b>するのは国会で、天皇は国会の指名に基づいて<b>任命</b>します(第6条)。法律を制定するのは国会、予算を作成するのは内閣です(天皇は法律を「公布」します)。
根拠:e-Gov法令検索「日本国憲法」(第3・6・7・41・67・73条)
問27|三権の関係
三権の関係のうち、裁判所が国会に対して持つ働きとして正しいものはどれか。
- 法律が憲法に違反していないかを審査する。
- 内閣総理大臣を指名する。
- 衆議院を解散する。
- 内閣不信任の決議をする。
正解と解説
正解:A. 法律が憲法に違反していないかを審査する。裁判所は、法律が憲法に違反していないかを審査します(<b>違憲審査</b>、第81条)。内閣総理大臣の指名と内閣不信任の決議は国会(不信任決議は衆議院)が内閣に対して行う働き、衆議院の解散は内閣が国会に対して行う働きです。
根拠:e-Gov法令検索「日本国憲法」(第7・67・69・81条)
問28|国民の義務
日本国憲法に定められた国民の義務に<b>含まれない</b>ものはどれか。
- 子どもに普通教育を受けさせる義務
- 勤労の義務
- 選挙で投票する義務
- 納税の義務
正解と解説
正解:C. 選挙で投票する義務憲法が定める国民の義務は、<b>子どもに普通教育を受けさせる義務</b>(第26条)、<b>勤労の義務</b>(第27条)、<b>納税の義務</b>(第30条)の3つです。選挙で投票することは参政権という<b>権利</b>で、憲法上の義務ではありません。学習指導要領は「国民としての権利及び義務」として参政権、納税の義務などを取り上げるとしています。
根拠:e-Gov法令検索「日本国憲法」(第15・26・27・30条)/文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第6学年 内容の取扱い⑴イ)
問29|偏った取扱いの防止
社会科の指導について、学習指導要領の「指導計画の作成と内容の取扱い」に示された配慮として正しいものはどれか。
- 多様な見解のある事柄は、児童が混乱しないよう扱わないこととする。
- 未確定な事柄は、教師が正しいと考える見解を一つに絞って教える。
- 特定の事柄を強調し過ぎたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなどの偏った取扱いをしない。
- 社会的事象については、教科書の記述以外の見解を提示しないようにする。
正解と解説
正解:C. 特定の事柄を強調し過ぎたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなどの偏った取扱いをしない。配慮事項は、多様な見解のある事柄、未確定な事柄を取り上げる場合には有益適切な教材に基づいて指導し、「特定の事柄を強調し過ぎたり,一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなどの<b>偏った取扱い</b>」により、児童が多角的に考えたり公正に判断したりすることを妨げないよう留意する、というものです。扱わない、一つに絞る、他の見解を示さない、はいずれもこの趣旨(様々な見解を提示する)に反します。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第3 指導計画の作成と内容の取扱い2⑷)
問30|国際連合の働き
6年の「グローバル化する世界と日本の役割」で、「国際連合の働き」を扱う際の学習指導要領の取扱いとして正しいものはどれか。
- 国際連合の全ての機関を網羅的に取り上げる。
- 安全保障理事会の仕組みを中心に取り上げる。
- 国際連合憲章の条文を読み取らせる。
- 網羅的、抽象的な扱いを避けるため、ユニセフやユネスコの身近な活動を取り上げる。
正解と解説
正解:D. 網羅的、抽象的な扱いを避けるため、ユニセフやユネスコの身近な活動を取り上げる。内容の取扱いは「網羅的,抽象的な扱いを避けるため,『国際連合の働き』については,<b>ユニセフやユネスコの身近な活動</b>を取り上げること」です。全ての機関を網羅することは、この規定が避けるとしている扱いです。安全保障理事会の仕組みや憲章の条文の読み取りは示されていません。
根拠:文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」(社会 第6学年 内容⑶・内容の取扱い⑶オ)
演習:この章の問題を解く
ランダム出題の演習ツールです(JavaScript が有効な場合に動きます)。上の「確認問題」はそのままでもすべて読めます。
※ 解説は学習用の情報提供です。採用選考・認定試験の実施方法は、必ず受験する自治体・文部科学省の公式発表をご確認ください。
※ 問題はすべて仮の宿 学習室のオリジナル問題で、本試験の問題ではありません。学習指導要領は平成29年告示のもの(2026年10月時点)です。