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ITパスポート IT PASSPORT

経営戦略

講義 5 本・確認問題 50 問 | 本試験では「ストラテジ系」(35問)の一部 | 最終更新 2026-09-24

この章で学ぶこと
目次
  1. 経営戦略の分析手法
  2. 企業提携・業務改革と経営管理システム
  3. 経営目標の管理と技術戦略マネジメント
  4. ビジネスインダストリ(e-ビジネスと産業システム)
  5. AI活用と生成AIの留意点
  6. 確認問題(50問)
  7. 演習ツール

1. 経営戦略の分析手法

会社が「どこで・誰に・何を売って戦うか」を決めるときに使う代表的な分析手法を、名前と目的の対応で覚えられるようになります。

経営戦略とは、会社が限られたお金・人・モノをどこに集中させるかを決める大きな方針のことです。方針をいきなり思いつきで決めるとうまくいかないので、まず「自社の状態」と「自社を取り巻く環境」を整理します。この整理のやり方に名前を付けたものが分析手法で、ITパスポートでは手法の名前と「何を見る手法か」の対応がそのまま問われます。

代表的なのが SWOT分析・3C分析・PPM・4P です。SWOT分析は自社の内側(強み・弱み)と外側(機会・脅威)を4つのマスに並べます。3C分析は、顧客・競合という外部の要素と自社という内部の要素を突き合わせて、市場での自社の立ち位置を見ます。PPMは複数の製品や事業を「市場成長率」と「市場占有率(シェア)」の2軸のマスに置いて、どれにお金を投じ、どれをやめるかを判断します。4Pは商品をどう売るかを、製品・価格・流通・販促の4つの要素で組み立てるものです。

戦略の方向を決める道具もあります。コアコンピタンスは「他社がまねできない自社の中核の強み」で、そこに集中するのが基本の考え方です。成長マトリクス(アンゾフ)は、市場と製品をそれぞれ既存か新規かで組み合わせ、4つの成長の方向を示します。バリューチェーン分析は、調達から販売・サービスまでの活動を分解して、どこで価値が生まれ、どこにコストがかかっているかを見ます。経営資源が小さい会社は、大手が来ない狭い市場を狙うニッチ戦略をとることがあります。

混同しやすい4つの分析手法の比較(何を見るか・構成要素)
手法何のために使うか構成要素
SWOT分析自社の内部と外部の状況をまとめて把握する強み・弱み(内部)/機会・脅威(外部)
3C分析市場での自社の立ち位置を把握する顧客・競合・自社
PPM複数の製品や事業への投資配分を判断する市場成長率×市場占有率の4区分(花形・金のなる木・問題児・負け犬)
4P商品の売り方を組み立てる(売り手視点)製品・価格・流通・販売促進
4C商品の売り方を買い手視点で捉え直す顧客価値・顧客の負担費用・利便性・対話

用語

SWOT分析
自社の強み(Strength)・弱み(Weakness)と、市場の機会(Opportunity)・脅威(Threat)の4つを整理する手法。強みと弱みは自社の内部環境、機会と脅威は競合や法改正などの外部環境を指す。
3C分析
顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つの視点から事業環境を分析する手法。市場に誰がいて、競合は何が強く、自社は何ができるのかを突き合わせて戦略を考える。
PPM
プロダクトポートフォリオマネジメントの略。市場成長率と市場占有率の2軸で製品や事業を「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」に分け、投資と撤退の判断に使う手法。
4P
売り手の視点で販売の組み立てを考える4要素。Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販売促進)を指し、これらの組合せをマーケティングミックスという。
4C
4Pを買い手の視点に置き換えた4要素。Customer Value(顧客価値)・Cost(顧客が負担する費用)・Convenience(買いやすさ)・Communication(顧客との対話)を指す。
コアコンピタンス
他社が容易にまねできない、その企業の中核となる強みのこと。独自の製造技術や長年の顧客基盤などが該当し、経営資源をここに集中させるのが基本の戦略とされる。
成長マトリクス
アンゾフが示した成長戦略の分類。市場と製品を既存・新規で組み合わせ、市場浸透・市場開拓・新製品開発・多角化の4つの方向を示す。
バリューチェーン分析
購買・製造・出荷・販売・サービスといった一連の活動を分解し、どの活動で価値が生まれ、どの活動にコストがかかっているかを分析する手法。価値連鎖分析ともいう。
ニッチ戦略
大企業が参入しにくい特定の狭い市場(すきま市場)に経営資源を集中し、その中で優位を築く戦略。経営資源の限られた企業が採りやすい。
ベンチマーキング
自社の業務やサービスを、その分野で最も優れた他社の水準と比較し、差を明らかにして改善につなげる手法。比較の基準となる相手をベンチマークという。

例題

例題:「駅前の再開発で人通りが増えそうだ」という情報は、SWOT分析のどこに入るか。
答えと考え方 外部環境のプラス要因なので「機会(Opportunity)」に入る。自社の立地の良さという話であれば内部の「強み」になるが、街の変化は自社では変えられない外部の話なので機会に分類する。
例題:市場は伸びているが自社のシェアが低い製品は、PPMのどこか。また普通どうするか。
答えと考え方 「問題児」に当たる。市場が伸びているうちに投資してシェアを上げれば「花形」に育つ可能性があるため、投資の判断が必要になる。伸びが止まってシェアも低いままなら「負け犬」となり撤退の検討対象になる。

出典・根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営戦略手法、マーケティング)

2. 企業提携・業務改革と経営管理システム

他社と組んで事業を伸ばす手段と、業務のやり方そのものを作り直す考え方、そして CRM・SCM・ERP・SFA の役割の違いが分かるようになります。

会社が事業を大きくする方法は、自社だけで頑張ることだけではありません。他社を買ったり一緒になったりする M&A、独立性を保ったまま協力するアライアンス、製造だけを引き受ける OEM、逆に工場を持たず製造を外部に任せるファブレスなど、他社の力を借りる形がいくつもあります。自社の業務の一部を外部の専門企業に任せることをアウトソーシングといい、そのうち業務プロセスをまとめて委託する形を BPO と呼びます。

業務のやり方そのものを見直すのが BPR です。今のやり方を少しずつ改善するのではなく、「そもそもこの作業は必要か」というところまで戻って業務の流れを根本から設計し直します。BPR の結果として、一部の業務を BPO に出したり、システムを入れ替えたりします。

経営管理システムは名前が似ていて混同しやすいので、「誰の何を管理するか」で覚えます。CRM は顧客との関係、SCM は調達から販売までのモノの流れ、ERP は会計・人事・生産・販売といった社内の基幹業務全体、SFA は営業活動を対象にします。また、社員一人ひとりが持つ経験やノウハウを組織で共有して活用する取組みをナレッジマネジメントといいます。

混同しやすい経営管理システムの比較(対象と目的)
略語日本語何を管理するか主な狙い
CRM顧客関係管理顧客の属性・購買履歴・問合せ履歴顧客満足度を上げ、取引を長く続けてもらう
SCM供給連鎖管理調達から生産・物流・販売までのモノの流れ在庫を減らし、納期を短くする
ERP企業資源計画会計・人事・生産・販売など社内の基幹業務データを一元化し、全社最適で経営資源を使う
SFA営業支援システム商談の進捗・訪問履歴など営業活動営業活動を見える化し、成約率を高める

用語

M&A
Mergers and Acquisitions の略で、合併と買収のこと。他社を買収したり他社と合併したりして、技術や販路を短期間で手に入れ事業を拡大する手法。
アライアンス
複数の企業がそれぞれ独立性を保ったまま、技術や販路を持ち寄って協力関係を結ぶこと。企業提携ともいう。合併と違い、別々の会社のまま協力する点が特徴。
OEM
相手先ブランドによる製造のこと。受託した企業が製品を作り、発注元のブランド名を付けて供給する形態。発注側は設備投資なしに品揃えを増やせる。
ファブレス
自社では製造設備(工場)を持たず、企画・設計・販売に専念して製造は外部に委託する企業の形態。設備投資の負担を避けられる。
アウトソーシング
自社の業務の一部を外部の専門企業に委託すること。自社は得意な業務に集中でき、専門企業のノウハウも活用できる。
BPO
ビジネスプロセスアウトソーシングの略。経理や問合せ対応など、業務プロセスをひとまとまりで外部の専門企業に継続的に委託する形態。
BPR
ビジネスプロセスリエンジニアリングの略。既存の業務手順を前提とせず、業務の流れや組織を根本から設計し直して大幅な改善を狙う取組み。
CRM
顧客関係管理のこと。顧客の属性や購買履歴・問合せ履歴を一元管理して、一人ひとりに合った対応を行い、長く取引を続けてもらうことを狙う仕組み。
SCM
供給連鎖管理のこと。資材の調達から生産・物流・販売までの流れを、取引先も含めて全体で管理し、在庫の削減と納期の短縮を図る仕組み。
ERP
企業資源計画のこと。会計・人事・生産・販売などの基幹業務のデータを一つに統合して管理し、経営資源を全社最適の視点で活用する仕組み。その機能をまとめた製品をERPパッケージという。
SFA
営業支援システムのこと。商談の進み具合や訪問履歴を担当者間で共有し、案件の管理や次の行動の判断を助けて営業活動の質を高める仕組み。
ナレッジマネジメント
個人が経験の中で身に付けたノウハウ(暗黙知)を文書や事例として見える形(形式知)にし、組織全体で共有・活用して競争力を高める取組み。

例題

例題:「取引先の在庫状況を共有して、部品の欠品と作りすぎを同時に減らしたい」。導入すべき仕組みはどれか。
答えと考え方 SCM。取引先を含めたモノの流れ全体を管理するのがSCMの役割である。CRMは顧客対応、ERPは社内の基幹業務全体、SFAは営業活動が対象なので、この目的には直接結び付かない。
例題:BPRとBPOはどう違うか。
答えと考え方 BPRは業務の流れを根本から設計し直す「改革の考え方」、BPOはその業務を外部の専門企業にまとめて委託する「実施の形態」である。BPRの検討結果としてBPOを選ぶことはあるが、両者は別の概念である。

出典・根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営戦略手法、経営管理システム)

3. 経営目標の管理と技術戦略マネジメント

KGI・CSF・KPI の関係を筋道立てて説明でき、技術を事業に結び付けるときに現れる「魔の川・死の谷・ダーウィンの海・キャズム」を区別できるようになります。

立てた戦略が進んでいるかどうかは、数字で確かめないと分かりません。そこで、最終的に達成したい目標を数値で表した KGI(重要目標達成指標)を決め、それを達成するために特に重要な要因を CSF(重要成功要因)として洗い出し、その要因がうまくいっているかを測る中間の物差しとして KPI(重要業績評価指標)を置きます。「ゴール(KGI)→ 勝ち筋(CSF)→ 途中経過の物差し(KPI)」の順に並べて覚えると混同しません。

目標を財務の数字だけで見ると偏るため、財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の4つの視点でバランスよく評価するバランススコアカード(BSC)という手法があります。ほかに、社員が上司と話し合って自ら目標を決め達成度で評価する MBO(目標による管理)、品質管理を製造部門だけでなく全社的な活動として続ける TQM(総合的品質管理)などがあります。

技術戦略マネジメント(MOT)は、技術を持っているだけで終わらせず、事業として稼げる形にするための考え方です。技術が事業になるまでには段階ごとに壁があり、研究から開発へ進む壁を魔の川、開発から事業化へ進む壁を死の谷、事業化した後に他社との競争を勝ち抜く壁をダーウィンの海と呼びます。また、新製品が新しもの好きの層から一般の多数派へ広がる際の大きな溝をキャズムといいます。いつどの技術を実用化するかを時間軸に沿って図にした計画が技術ロードマップです。

近年は、自社だけで開発を抱え込まず外部の知恵や技術を取り入れるオープンイノベーション、機能をAPIとして公開し他社サービスと組み合わせて価値を生むAPIエコノミー、利用者の困りごとの観察から発想するデザイン思考、最小限の試作品で早く仮説検証を回すリーンスタートアップといった進め方が重視されています。

混同しやすい目標管理の指標の比較(KGI・CSF・KPI・BSC)
用語日本語位置づけ例
KGI重要目標達成指標最終的に達成したいゴールの数値年間売上高1億円
CSF重要成功要因ゴール達成のカギとなる要因(言葉で表す)リピート購入者を増やすこと
KPI重要業績評価指標途中経過が順調かを測る中間の数値月間のリピート率30%
BSCバランススコアカード指標を4つの視点で偏りなく設定する手法財務・顧客・業務プロセス・学習と成長

用語

KGI
重要目標達成指標のこと。「年間売上高を1億円にする」のように、最終的に達成すべきゴールを数値で表したもの。
CSF
重要成功要因のこと。目標を達成するうえで特に重要になる要因を明らかにしたもの。「リピート購入を増やすこと」のように、勝ち筋を言葉で示す。
KPI
重要業績評価指標のこと。KGIの達成に向けて、途中経過が順調かどうかを測る中間の物差し。「月間の新規会員数」「解約率」などを数値で設定する。
バランススコアカード
財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の4つの視点から目標と指標を設定し、業績を偏りなく評価・管理する手法。BSCと略す。
MBO(目標による管理)
従業員が上司と話し合って自ら目標を設定し、その達成度で評価する管理手法。自主性を引き出す狙いがある。なお同じ略語で経営陣による自社買収(マネジメントバイアウト)を指す場合もある。
TQM
総合的品質管理のこと。品質を製造部門だけの責任とせず、営業や事務も含めた全社的な活動として継続的に改善していく経営手法。
MOT
技術経営のこと。企業が持つ技術を事業の成果に結び付けるために、研究開発への投資や事業化の進め方を経営の視点で管理する考え方。
技術ロードマップ
どの技術をいつまでにどの水準まで開発するかを、時間軸に沿って図で示した計画。関係者が開発の見通しを共有するために使う。
プロダクトイノベーション
これまでにない新しい製品やサービスを生み出す革新のこと。製品そのものの価値を変える点が特徴。
プロセスイノベーション
製造工程や業務の進め方を変えて、生産性や品質を大きく高める革新のこと。作るモノではなく作り方を変える点が特徴。
魔の川・死の谷・ダーウィンの海
技術が事業になるまでの三つの壁。研究から開発へ進む壁が魔の川、開発から事業化へ進む壁が死の谷、事業化した後に競争を勝ち抜き産業として定着するまでの壁がダーウィンの海。
キャズム
新しい製品が、新しもの好きの初期市場から一般の消費者が中心の主流市場へ広がるときに立ちはだかる深い溝のこと。ここを越えられずに消える製品が多い。
オープンイノベーション
自社だけで研究開発を抱え込まず、他社や大学、利用者など外部の技術やアイディアを積極的に取り入れて新しい価値を生み出す進め方。
APIエコノミー
自社サービスの機能をAPI(他のソフトウェアから呼び出すための接続口)として公開し、企業どうしが機能を組み合わせて新たなサービスと価値を生み出す経済圏のこと。
デザイン思考
利用者を観察して本当の困りごとを見つけ、試作と検証を繰り返しながら解決策を作り上げる発想法。見た目のデザインの話ではない点に注意する。
リーンスタートアップ
最小限の機能をもつ試作品を短期間で作って顧客の反応を確かめ、学びを基に改善または方向転換を繰り返す事業開発の進め方。無駄な作り込みを避けられる。
特許戦略
自社の技術を特許として権利化し、他社の模倣を防いだり、他社に使用を許諾して収益を得たりする経営上の戦略。あえて技術を公開して普及を促す判断もある。

例題

例題:「今年度の営業利益を5億円にする」「新規顧客の獲得件数を月100件にする」。それぞれKGIとKPIのどちらか。
答えと考え方 営業利益5億円が最終ゴールなのでKGI、新規顧客獲得件数はその達成に向けた途中経過の物差しなのでKPIである。両者の間に「新規開拓の強化」といったCSFが置かれる。
例題:研究所で有望な素材の合成に成功したが、量産設備への投資資金が集まらず製品化できずに終わった。これは何と呼ばれる状況か。
答えと考え方 死の谷。開発の成果を事業化へ進める段階で、資金や人材が不足して越えられない壁を指す。研究から開発へ進む段階の壁は魔の川、事業化後の競争の壁はダーウィンの海である。

出典・根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営管理システム)/IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類4:技術戦略マネジメント

4. ビジネスインダストリ(e-ビジネスと産業システム)

ECや電子マネーなどのe-ビジネスの形、工場で使われるCAD・MRP・かんばん方式などの仕組み、IoTを使った新しいサービスと働き方の変化を整理できるようになります。

インターネットを使った商取引を EC(電子商取引)といい、取引する相手の組合せで呼び分けます。企業どうしが BtoB、企業と消費者が BtoC、消費者どうしが CtoC です。フリマアプリは CtoC の代表例です。支払いの面では、あらかじめ入金して使う前払い方式などの電子マネーや、ITを使って金融サービスを新しくするフィンテック、インターネット上でやり取りされる暗号資産などがあります。

ネット販売ならではの現象や手法もあります。あまり売れない商品でも品揃えを増やせば、その合計が売上に大きく貢献するのがロングテールです。他人のサイトに広告を載せ、そこから商品が売れたら報酬を払う仕組みがアフィリエイト、実店舗とネットとアプリを統合してどこからでも同じように買えるようにするのがオムニチャネルです。ほかにも、遊休資産を貸し借りするシェアリングエコノミー、不特定多数から少額ずつ資金を集めるクラウドファンディングがあります。

工場で使われる仕組みも出題されます。設計をコンピュータで行うのが CAD、その設計データを使って製造を行うのが CAM、工場の自動化全般が FA です。部品表と生産計画から必要な資材の量を計算するのが MRP、少人数で製品を最初から最後まで組み立てるのがセル生産方式、必要なものを必要なときに必要なだけ作って在庫を減らすのがかんばん方式(ジャストインタイム)です。

IoT(モノがネットにつながる仕組み)が広がったことで、工場をデータで最適化するスマートファクトリー、センサやドローンを使うスマート農業、移動を一つのサービスとしてまとめる MaaS、現実の設備を仮想空間に再現して試すデジタルツインなどが生まれました。事務作業をソフトウェアのロボットに任せる RPA も普及しています。働き方の面では、会社以外の場所で働くテレワーク、私物端末を業務に使う BYOD、多様な人材を生かすダイバーシティ、仕事と生活の調和を図るワークライフバランスが重視されています。

工場・生産で使われる仕組みの比較(何をするものか)
名称何をするものか覚え方のポイント
CADコンピュータで設計・製図を行うDesign=設計
CAM設計データを基に工作機械を動かして製造するManufacturing=製造
FA工場の生産工程を自動化する仕組み全般Factory Automation
MRP生産計画と部品表から必要な資材の量と時期を計算する資材の所要量を計算する
セル生産方式少人数で最初から最後まで組み立てる多品種少量に強い作り方
かんばん方式必要な分だけ後工程が引き取り、前工程が作る在庫を持たない(ジャストインタイム)

用語

EC(電子商取引)
インターネットなどを通じて商品やサービスを売買すること。企業間はBtoB、企業と消費者はBtoC、消費者どうしはCtoCと呼び分ける。
電子マネー
現金の代わりに使える電子的な決済手段。あらかじめ入金して使う前払い方式や、後日まとめて請求される後払い方式などがある。
フィンテック
金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語。スマートフォン決済や自動家計簿、AIによる資産運用など、ITを使って金融サービスを新しくする動きを指す。
暗号資産
インターネット上でやり取りされる財産的価値で、法定通貨ではないもの。暗号技術とブロックチェーンで取引記録を守る。価格変動が大きい点に注意が必要。
ロングテール
販売数の少ない多品種の商品でも、品揃えを増やしてその売上を合計すると全体の売上に大きく貢献するという現象。在庫制約の小さいネット販売で顕著になる。
アフィリエイト
Webサイトやブログに掲載した広告を経由して商品が購入されたときに、そのサイトの運営者へ成果に応じた報酬が支払われる広告の仕組み。
オムニチャネル
実店舗・ネット通販・アプリなど複数の販売経路を統合し、どの経路からでも同じように注文・受取・返品ができるようにする販売のしかた。
シェアリングエコノミー
個人が持つ住宅・自動車・技能などの使っていない資産を、インターネット上の場を通じて他の人と貸し借り・共有する経済のしくみ。
クラウドファンディング
インターネットを通じて不特定多数の人から少額ずつ資金を集める仕組み。支援者に製品を返す購入型、寄付型、金銭的な見返りのある投資型などがある。
CAD/CAM
CADはコンピュータを使って設計・製図を行う仕組み。CAMはその設計データを基に工作機械を動かして製造を行う仕組みで、設計と製造をつないで作業を効率化する。
MRP
資材所要量計画のこと。生産計画と部品表から、いつ・どの部品が・いくつ必要かを計算し、発注や製造の指示につなげる仕組み。
セル生産方式
一人または少人数の作業者が、部品の取付けから組立て・検査までを担当する生産方式。多品種少量生産に向き、作業者の技能向上や動機付けにもつながる。
かんばん方式
後工程が使った分だけ前工程が作るように「かんばん」で指示し、必要なものを必要なときに必要なだけ生産する方式。ジャストインタイム生産方式ともいい、中間在庫を減らせる。
IoT
Internet of Things の略で「モノのインターネット」。家電・自動車・設備などにセンサと通信機能を組み込み、集めたデータを分析して制御やサービスに生かす仕組み。
デジタルツイン
現実の設備や製品の状態をセンサで集め、仮想空間上に同じものを再現する技術。実物を止めずに故障予測や改善のシミュレーションができる。
MaaS
電車・バス・タクシー・シェア自転車など複数の交通手段を一つのサービスとしてまとめ、検索から予約・決済までを一括で行えるようにする考え方。
RPA
ソフトウェアのロボットに、複数のシステム間のデータ転記や照合といった定型的な事務作業を代行させる仕組み。判断を伴わない繰返し作業に向く。
テレワーク
情報通信技術を使って、自宅やサテライトオフィスなど会社以外の場所で働く働き方。通勤負担の軽減や事業継続に役立つ一方、労務管理と情報セキュリティの対策が必要になる。
BYOD
Bring Your Own Device の略。従業員が個人所有のパソコンやスマートフォンを業務に使うこと。費用を抑えられる反面、情報漏えいや私物端末の管理に関する規程が必要になる。
ダイバーシティ
性別・年齢・国籍・障害の有無などが異なる多様な人材を受け入れ、それぞれの力を生かす考え方。多様な視点が新しい発想につながるとされる。

例題

例題:個人が自分の空き駐車場を、アプリを通じて他人に時間貸しするサービスは何の例か。
答えと考え方 シェアリングエコノミーの例である。使っていない資産をインターネット上の場を介して他人と共有する点が特徴。企業が自社の在庫を値引き販売するのはシェアリングエコノミーではない。
例題:自動運転レベル3とレベル4の違いは何か。
答えと考え方 レベル3は特定の条件下でシステムが全ての運転操作を行うが、システムから要請があれば運転者が対応しなければならない。レベル4は特定の条件下ならその要請への対応も不要で、運転者の関与なく走行できる。場所や天候などの条件が付かない完全自動運転がレベル5である。

出典・根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類5:ビジネスインダストリ(e-ビジネス、エンジニアリングシステム、IoTを利用したシステム、民生機器・産業機器)

5. AI活用と生成AIの留意点

生成AIで何ができて何ができないのかを理解し、業務で使うときに守るべきこと(情報漏えい・権利侵害・ハルシネーション・偏り)を判断できるようになります。

AI(人工知能)は、大量のデータから規則性を学び、分類や予測を行う技術です。近年広がっている生成AIは、学習した内容を基に、指示(プロンプト)に応じて文章・画像・プログラムなどを新しく作り出せる点が特徴です。検索のようにどこかにある正解を探して返しているのではなく、もっともらしい続きを組み立てて出力している、という点を押さえておくと、後で述べる注意点の理由が理解できます。

自社でAIを一から開発するには大量のデータと専門人材、計算資源が必要です。そこで多くの企業は、クラウド事業者が提供するAIの機能をAPIやサービスとして利用します(AIサービスの利用形態)。短期間・低コストで導入できる反面、入力したデータの取扱いや利用規約、サービス停止時の影響を確認する必要があります。

生成AIを業務で使うときの代表的な注意点は四つです。第一にハルシネーション。事実に基づかない内容をもっともらしく出力することがあるため、出力は人が必ず確認します。第二に情報漏えい。社外のサービスに顧客情報や社外秘の資料を入力すると、外部に渡ってしまうおそれがあります。第三に権利侵害。出力が既存の著作物に似ている場合があり、そのまま公開・販売すると著作権などを侵害するおそれがあります。第四に偏り(バイアス)。学習データに偏りがあると、特定の属性の人に不利な結果を出すことがあります。

こうした問題に備えて、AIを開発・利用する側が守るべき考え方が整理されています。内閣府が示した「人間中心のAI社会原則」では、人間の尊厳を尊重すること、公平性・説明責任・透明性を確保することなどが掲げられています。要点は、AIに任せきりにせず、最終的な判断と責任は人が担えるようにしておくことです。ディープフェイクのようにAIが悪用される例もあり、利用する側の倫理も問われます。

業務で生成AIを使うときの主なリスクと対策
リスクどんなことが起きるか基本的な対策
ハルシネーション事実でない内容をもっともらしく出力する出力を人が事実確認してから使う
情報漏えい入力した機密情報や個人情報が外部に渡る入力してよい情報の範囲を社内規程で定める
権利侵害出力が既存の著作物に似て、著作権などを侵害する公開・販売の前に類似性と利用規約を確認する
バイアス(偏り)特定の属性の人に不利な判断が出る学習データと結果を検証し、最終判断は人が行う
悪用(ディープフェイクなど)偽の映像・音声で詐欺や偽情報が広がる情報の出所を確認し、生成物である旨を明示する

用語

生成AI
大量のデータを学習し、利用者の指示に応じて文章・画像・音声・プログラムなどを新しく作り出すAI。ジェネレーティブAIともいう。
プロンプト
生成AIに与える指示文のこと。何をしてほしいか、条件、出力の形式などを具体的に書くほど、目的に近い出力が得られやすい。
プロンプトエンジニアリング
望む出力を得られるように、指示文の書き方(役割・条件・例の与え方など)を工夫する取組み。AIそのものを作り替えるのではなく、使い方を工夫する点が特徴。
ハルシネーション
生成AIが、事実に基づかない内容をもっともらしい文章として出力してしまう現象。存在しない出典や数値を作ることがあるため、出力の事実確認が欠かせない。
AIのバイアス
学習データの偏りや社会的な偏見が反映され、AIの判断が特定の属性の人に不利になること。採用や与信のように人に影響する用途では特に注意が必要。
ディープフェイク
AIを使って、実在の人物が話していない映像や音声を本物のように作り出したもの。詐欺や偽情報の拡散に悪用される危険がある。
人間中心のAI社会原則
内閣府が示した、AIを社会で使ううえでの基本的な考え方。人間の尊厳の尊重、公平性・説明責任・透明性の確保などを掲げ、AIに依存しきらず人が判断できる状態を保つことを求めている。
AIサービスの利用形態
自社でAIを開発せず、クラウド事業者が提供する学習済みのAI機能をAPIやアプリとして利用する形。導入は速いが、入力データの取扱いや利用規約の確認が必要になる。
AI倫理
AIを開発・利用する際に守るべき道徳的な考え方。差別を助長しない、利用していることを適切に知らせる、判断の根拠を説明できるようにする、といった配慮を含む。

例題

例題:社外の生成AIサービスに、まだ発表していない新製品の仕様書を貼り付けて要約させてよいか。
答えと考え方 原則として避けるべきである。入力した内容が事業者側に保存されたり学習に使われたりする可能性があり、社外秘情報の漏えいにつながる。会社が入力可能な情報の範囲を定めた規程に従い、必要なら社内環境で動く仕組みを使う。
例題:生成AIが出した「2020年制定の△△法 第5条」という記述を、そのまま社内報告書に載せてよいか。
答えと考え方 載せてはいけない。生成AIは存在しない法令名や条番号をもっともらしく作ることがある(ハルシネーション)。必ず一次情報である官公庁のサイトなどで裏を取ってから使う。

出典・根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略(AI活用:AI利活用の原則と指針、生成AIの活用と留意点)/内閣府「人間中心のAI社会原則」

確認問題(50問)

四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。

問1|SWOT分析

SWOT分析の四つの視点のうち、自社を取り巻く外部環境を表すものの組合せはどれか。

  1. 強みと弱み
  2. 強みと機会
  3. 機会と脅威
  4. 弱みと脅威
正解と解説
正解:C. 機会と脅威

SWOT分析は強み(S)・弱み(W)・機会(O)・脅威(T)の四つで整理する。このうち強みと弱みは技術力や人材といった自社の内部環境、機会と脅威は市場の拡大や法改正、競合の参入といった外部環境を指す。したがって外部環境だけの組合せは機会と脅威であり、強みや弱みを含む組合せは内部環境が混ざるため誤りである。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営戦略手法)

問2|3C分析

3C分析で分析対象とする三つの要素の組合せはどれか。

  1. 顧客・競合・自社
  2. 顧客・費用・流通
  3. company・cost・channel
  4. 顧客・チャネル・広告
正解と解説
正解:A. 顧客・競合・自社

3C分析は Customer(顧客・市場)、Competitor(競合)、Company(自社)の三つの視点から事業環境を分析する手法である。費用や流通、広告はマーケティングミックス(4Pや4C)で扱う要素であり、3Cの構成要素ではない。3Cは「誰に売るか・誰と戦うか・自社に何ができるか」を突き合わせる点が特徴である。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営戦略手法)

問3|PPM

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)において、市場成長率が低く市場占有率が高い製品が分類される区分はどれか。

  1. 花形製品
  2. 金のなる木
  3. 問題児
  4. 負け犬
正解と解説
正解:B. 金のなる木

PPMは市場成長率と市場占有率の2軸で四つに分ける。市場成長率が低くシェアが高いのは「金のなる木」で、追加投資が少なくて済み資金を生み出す。「花形」は成長率もシェアも高く投資も必要な区分、「問題児」は成長率は高いがシェアが低い区分、「負け犬」は両方とも低く撤退を検討する区分である。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営戦略手法)

問4|4P

マーケティングミックスの4Pを構成する四つの要素の組合せはどれか。

  1. Plan・Do・Check・Act
  2. Product・Price・Place・Promotion
  3. Product・Profit・People・Process
  4. Price・Process・People・Physical
正解と解説
正解:B. Product・Price・Place・Promotion

4Pは売り手の視点で販売方法を組み立てる枠組みで、Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販売促進)から成る。Plan・Do・Check・ActはPDCAサイクルであり業務改善の手順を表すもので、マーケティングの枠組みではない。ProfitやPhysicalを含む組合せは4Pの構成要素ではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(マーケティング)

問5|4C

マーケティングにおいて、4PのPrice(価格)に対応する4Cの要素はどれか。

  1. Customer Value(顧客にとっての価値)
  2. Cost(顧客が負担する費用)
  3. Convenience(買いやすさ)
  4. Communication(顧客との対話)
正解と解説
正解:B. Cost(顧客が負担する費用)

4Cは4Pを買い手の視点に置き換えたもので、ProductはCustomer Value、PriceはCost、PlaceはConvenience、PromotionはCommunicationに対応する。Priceは売り手が付ける値段だが、買い手から見れば購入や利用のために負担する費用なのでCostが対応する。他の三つはそれぞれProduct、Place、Promotionに対応する要素である。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(マーケティング)

問6|コアコンピタンス

経営戦略における「コアコンピタンス」の説明として、適切なものはどれか。

  1. 他社が容易にまねできない、企業の中核となる強みのこと
  2. 企業が保有する土地や建物などの固定資産のこと
  3. 法令順守を監視するために設置する社内の監査部門のこと
  4. 顧客からの苦情を集約して管理する仕組みのこと
正解と解説
正解:A. 他社が容易にまねできない、企業の中核となる強みのこと

コアコンピタンスは、独自の製造技術や長年培った顧客基盤など、他社が容易に模倣できない自社の中核的な強みを指し、そこへ経営資源を集中するのが基本の戦略とされる。固定資産は会計上の資産区分、社内の監査部門は内部統制の話、苦情の管理はCRMやクレーム対応の話であり、いずれもコアコンピタンスの定義ではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営戦略手法)

問7|成長戦略

成長マトリクス(アンゾフの成長ベクトル)において、既存の市場に新しい製品を投入する成長戦略はどれか。

  1. 市場浸透
  2. 市場開拓
  3. 新製品開発
  4. 多角化
正解と解説
正解:C. 新製品開発

成長マトリクスは市場と製品をそれぞれ既存・新規で組み合わせる。既存市場に新製品を出すのは「新製品開発」である。「市場浸透」は既存市場に既存製品でシェアを高める戦略、「市場開拓」は既存製品を新しい市場へ広げる戦略、「多角化」は新市場に新製品を投入する最も挑戦的な戦略である。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営戦略手法)

問8|バリューチェーン

バリューチェーン分析の目的として、適切なものはどれか。

  1. 競合他社の株価や財務諸表の推移を分析し、買収や資本提携を行うべきかどうかを財務面から判断する
  2. 購買・製造・出荷・販売などの活動ごとに、どこで価値が生まれどこにコストがかかるかを分析する
  3. 従業員の勤務時間を部門ごとに集計し、残業の多い部署を見つけて労務管理を改善する
  4. 顧客の購買履歴を蓄積して分析し、次に購入しそうな商品を予測して個別に提案する
正解と解説
正解:B. 購買・製造・出荷・販売などの活動ごとに、どこで価値が生まれどこにコストがかかるかを分析する

バリューチェーン分析は、事業を購買物流・製造・出荷物流・販売・サービスなどの活動に分解し、どの活動が価値を生みどこにコストがかかっているかを明らかにして、強化すべき活動を見極める手法である。株価分析は財務的な評価、勤務時間の集計は労務管理、購買予測はCRMやデータ分析の話であり、いずれも目的が異なる。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営戦略手法)

問9|ニッチ戦略

経営資源が限られた企業が、大企業が参入しにくい特定の狭い市場に資源を集中して優位を築く戦略はどれか。

  1. コストリーダーシップ戦略
  2. 多角化戦略
  3. 同質化戦略
  4. ニッチ戦略
正解と解説
正解:D. ニッチ戦略

特定の狭い市場(すきま市場)に資源を集中する戦略をニッチ戦略という。コストリーダーシップ戦略は規模を生かして低価格で勝つ戦略で、資源の大きい企業に向く。多角化戦略は新市場に新製品を出す拡大策、同質化戦略は上位企業が下位企業の差別化を模倣して無効化する戦略であり、いずれも狭い市場への集中とは異なる。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営戦略手法)

問10|M&A

企業のM&Aの説明として、適切なものはどれか。

  1. 自社の株式を従業員が割安で購入できるようにし、財産形成を支援する制度
  2. 他社を買収したり他社と合併したりして事業を拡大すること
  3. 自社工場を持たず製造を全て外部に委託すること
  4. 取引先と共同で物流拠点を運営する契約を結ぶこと
正解と解説
正解:B. 他社を買収したり他社と合併したりして事業を拡大すること

M&Aは Mergers and Acquisitions の略で、合併と買収により技術・人材・販路を短期間で獲得し事業を拡大する手法である。従業員が自社株を取得する制度は従業員持株会やストックオプション、製造を全て外部に委託するのはファブレス、共同で拠点を運営するのはアライアンス(企業提携)に当たり、いずれもM&Aの説明ではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営戦略手法)

問11|OEM

OEMの説明として、適切なものはどれか。

  1. 複数の製品で部品を共通化し、量産効果によって製造原価を下げること
  2. 製品の設計図面や仕様を無償で公開し、誰でも改良できるようにすること
  3. 相手先のブランド名で販売される製品を製造して供給すること
  4. 人件費の安い海外の子会社に生産を移管すること
正解と解説
正解:C. 相手先のブランド名で販売される製品を製造して供給すること

OEMは相手先ブランドによる製造を指し、受託側が製造し発注側のブランド名を付けて販売される形態である。発注側は設備投資なしに品揃えを増やせ、受託側は生産設備の稼働率を上げられる。部品の共通化はコスト削減の一手法、設計図面の公開はオープン化の話、海外への生産移管はオフショアリングであり、いずれもOEMの定義ではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営戦略手法)

問12|アライアンス

複数の企業が、それぞれ独立した企業のまま技術や販路を持ち寄って協力関係を結ぶことを何というか。

  1. デューデリジェンス
  2. リストラクチャリング
  3. カニバリゼーション
  4. アライアンス
正解と解説
正解:D. アライアンス

アライアンス(企業提携)は、合併や買収と違い各社が独立性を保ったまま協力する形態で、共同開発や販売提携などがある。デューデリジェンスはM&Aの前に相手企業の実態を調査すること、カニバリゼーションは自社製品どうしが顧客を奪い合う現象、リストラクチャリングは事業の再構築であり、いずれも企業間の協力関係を指す言葉ではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営戦略手法)

問13|BPR

BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)の説明として、適切なものはどれか。

  1. システム障害に備えて予備の機器を用意し、可用性を高めておくこと
  2. 従業員の作業時間を計測して集計し、労務管理や人事評価に用いること
  3. 競合他社の優れた業務手順を調べ上げ、そのまま自社に模倣して導入すること
  4. 既存の業務手順を前提とせず、業務の流れや組織を根本から設計し直すこと
正解と解説
正解:D. 既存の業務手順を前提とせず、業務の流れや組織を根本から設計し直すこと

BPRは現行のやり方を当然のものとせず、業務そのものの必要性から問い直して流れや組織を抜本的に作り直す取組みである。予備機の用意は可用性を高める対策、作業時間の計測は労務管理、他社の手順の導入は模倣であり、いずれも根本的な業務再設計を意味しない。少しずつ直す改善活動とも区別する。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営戦略手法)

問14|BPO

BPOの説明として、適切なものはどれか。

  1. 経理や問合せ対応などの業務プロセスを、まとめて外部の専門企業に委託すること
  2. 業務の流れを図に描いて可視化し、無駄や重複を洗い出す業務分析のこと
  3. 自社で運用してきたサーバをクラウドサービスへ移行し、基盤の運用負担を減らすこと
  4. 全社の売上目標を部門ごとに割り振り、達成度を評価する目標管理のこと
正解と解説
正解:A. 経理や問合せ対応などの業務プロセスを、まとめて外部の専門企業に委託すること

BPOはビジネスプロセスアウトソーシングの略で、業務プロセスを一まとまりで外部の専門企業に継続的に委託する形態である。自社は中核業務に集中でき、委託先のノウハウも活用できる。業務の可視化は業務分析、クラウドへの移行はシステム基盤の話、目標の割振りは目標管理であり、外部委託とは別の概念である。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営戦略手法)

問15|CRM

CRMを導入する目的として、最も適切なものはどれか。

  1. 資材の調達から生産・物流・販売までの流れを取引先も含めて全体最適化する
  2. 会計・人事・生産などの基幹業務データを部門をまたいで一元管理する
  3. 顧客との関係を長期にわたって維持・強化し、顧客満足度と収益を高める
  4. 商談の進捗や訪問履歴を共有して営業担当者の活動を支援する
正解と解説
正解:C. 顧客との関係を長期にわたって維持・強化し、顧客満足度と収益を高める

CRMは顧客関係管理であり、顧客の属性や購買・問合せの履歴を一元管理して一人ひとりに合った対応を行い、長く取引を続けてもらうことを狙う。調達から販売までの流れの最適化はSCM、基幹業務データの一元管理はERP、営業活動の支援はSFAの目的であり、対象とする範囲が異なる。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営管理システム)

問16|SCM

SCMの説明として、適切なものはどれか。

  1. 顧客ごとの属性や購買・問合せの履歴を一元管理し、一人ひとりに合った個別の提案を行う仕組み
  2. 資材の調達から生産・物流・販売までの流れを取引先も含めて統合的に管理し、在庫と納期を最適化する仕組み
  3. 会計・人事・生産・販売などの基幹業務を統合し、部門ごとに分かれていたデータを一元管理するパッケージソフトウェア
  4. 商談の進捗や訪問履歴の共有に特化し、営業担当者の活動を支援する仕組み
正解と解説
正解:B. 資材の調達から生産・物流・販売までの流れを取引先も含めて統合的に管理し、在庫と納期を最適化する仕組み

SCMは供給連鎖管理であり、調達から生産・物流・販売までのモノと情報の流れを取引先を含めて全体で管理し、在庫の削減と納期短縮を図る。購買履歴を用いた個別提案はCRM、基幹業務を統合したパッケージはERP、営業支援に特化したものはSFAであり、いずれも管理する対象が異なる。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営管理システム)

問17|ERP

ERPパッケージを導入する主な狙いはどれか。

  1. 取引先とやり取りするデータの通信経路を暗号化し、盗聴や改ざんに対する安全性を高める
  2. Webサイトの訪問者数や閲覧経路を解析し、出稿した広告の効果を測定して次の施策の改善につなげる
  3. 製品の図面をコンピュータ上で3次元に作成し、設計や試作の工程を効率化する
  4. 会計・人事・生産・販売などの基幹業務データを一元管理し、経営資源を全社最適の視点で活用する
正解と解説
正解:D. 会計・人事・生産・販売などの基幹業務データを一元管理し、経営資源を全社最適の視点で活用する

ERPは企業資源計画のことで、部門ごとにばらばらだった基幹業務のデータを統合し、全社最適の視点で人・モノ・カネを配分できるようにすることが狙いである。通信の暗号化はセキュリティ対策、アクセス解析はWebマーケティング、3次元の図面作成はCADの機能であり、いずれもERP導入の主目的ではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営管理システム)

問18|SFA

SFAの説明として、適切なものはどれか。

  1. 従業員の出退勤を打刻させ、労働時間や休暇の取得状況を集計する人事システム
  2. 商談の進捗や顧客訪問の履歴を共有し、営業活動を支援するシステム
  3. 工場の生産設備をコンピュータで自動制御するシステム
  4. 仕訳データを集計して財務諸表を自動的に作成するシステム
正解と解説
正解:B. 商談の進捗や顧客訪問の履歴を共有し、営業活動を支援するシステム

SFAは営業支援システムであり、案件の進捗や訪問履歴、次の行動予定を組織で共有して営業活動の質と効率を高める。勤怠管理は人事システム、生産設備の自動制御はFA、財務諸表の作成は会計システムの役割である。顧客との関係全般を扱うCRMの一部として位置付けられることもあるが、SFAは営業活動に焦点を当てる点が特徴である。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営管理システム)

問19|ナレッジ管理

ナレッジマネジメントの説明として、適切なものはどれか。

  1. 従業員が業務に関わる資格を取得する際に、受験料や講座費用を会社が補助する制度
  2. 顧客情報の漏えいを防ぐため、担当者ごとにアクセス権を制限して閲覧できる範囲を絞る仕組み
  3. 必要なものを必要なときに必要なだけ作り、在庫を最小限に抑える生産方式
  4. 個人が経験の中で得たノウハウを組織全体で共有・活用し、企業の競争力を高める取組み
正解と解説
正解:D. 個人が経験の中で得たノウハウを組織全体で共有・活用し、企業の競争力を高める取組み

ナレッジマネジメントは、個人が持つ言葉にしにくいノウハウ(暗黙知)を事例や手順書などの見える形(形式知)にして共有し、組織全体で活用する取組みである。資格取得の補助は人材育成制度、アクセス権の制限は情報セキュリティ対策、在庫を抑える生産はジャストインタイム生産方式であり、いずれも知識の共有と活用を目的とする概念ではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営管理システム)

問20|KGI

KGI(重要目標達成指標)の説明として、適切なものはどれか。

  1. 最終的に達成すべき目標を数値で表したもの
  2. 目標達成のかぎとなる重要な要因を明らかにしたもの
  3. 目標に対する途中経過の達成度合いを測る中間的な指標
  4. 目標を審議し決定する会議体の名称
正解と解説
正解:A. 最終的に達成すべき目標を数値で表したもの

KGIは Key Goal Indicator の略で、「年間売上高を1億円にする」のように最終的なゴールを数値化した指標である。かぎとなる要因を示すのはCSF(重要成功要因)、途中経過を測るのはKPI(重要業績評価指標)である。会議体の名称を指す用語ではない。ゴール・勝ち筋・中間指標の順で整理すると混同しにくい。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営管理システム)

問21|KPI

「Webサイト経由の年間売上高を1億円にする」というKGIを設定した企業が、KPIとして設定する指標として適切なものはどれか。

  1. 年間売上高1億円という金額そのもの
  2. 会社が定める経営理念の条文数
  3. Webサイトの月間訪問者数
  4. 本社が所在する都道府県名
正解と解説
正解:C. Webサイトの月間訪問者数

KPIはKGI達成に向けて途中経過が順調かを測る中間指標なので、月間訪問者数のように定期的に測れて売上に結び付く数値が適切である。年間売上高1億円はKGIそのものであってKPIではない。経営理念の条文数や本社の所在地は業績の進み具合を表さず、指標として意味を持たない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営管理システム)

問22|BSC

バランススコアカードで用いる四つの視点の組合せとして、適切なものはどれか。

  1. 強み・弱み・機会・脅威
  2. 品質・コスト・納期・安全
  3. 財務・法務・人事・広報
  4. 財務・顧客・業務プロセス・学習と成長
正解と解説
正解:D. 財務・顧客・業務プロセス・学習と成長

バランススコアカードは、財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の四つの視点から目標と指標を設定し、業績を偏りなく評価する手法である。強み・弱み・機会・脅威はSWOT分析の視点、品質・コスト・納期は生産管理で重視される要素であり、財務・法務・人事・広報は単なる部門の並びで、いずれもBSCの視点ではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営管理システム)

問23|TQM

TQM(総合的品質管理)の説明として、適切なものはどれか。

  1. 品質管理を製造部門だけの活動とせず、全社的な取組みとして継続的に改善していく経営手法
  2. 出荷前に製品を全数検査して不良品を取り除き、市場への流出を防ぐ検査作業
  3. 品質保証部門だけが品質基準を定め、製造や営業などの他部門に順守を求める制度
  4. 品質マネジメントシステムの国際規格について、第三者機関の審査を受けて認証を取得すること
正解と解説
正解:A. 品質管理を製造部門だけの活動とせず、全社的な取組みとして継続的に改善していく経営手法

TQMは品質を製造部門だけの責任とせず、営業や事務も含めた全社的な活動として継続的に改善していく経営手法である。全数検査は品質を確認する作業の一つにすぎず、品質保証部門だけが基準を定める体制はむしろTQMの考え方に反する。国際規格の認証取得は品質マネジメントシステムの第三者証明であり、TQMそのものではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類3:経営戦略マネジメント(経営管理システム)

問24|イノベーション

プロセスイノベーションの例として、適切なものはどれか。

  1. これまでにない新しい機能をもつ製品を開発して発売した
  2. 製造工程を根本的に見直し、生産性を大幅に高めた
  3. 新しい素材を用いた製品を市場に投入した
  4. 製品の外観デザインを一新して販売した
正解と解説
正解:B. 製造工程を根本的に見直し、生産性を大幅に高めた

プロセスイノベーションは、製造工程や業務の進め方を変えて生産性や品質を大きく高める革新である。新しい機能をもつ製品の開発、新素材を用いた製品の投入、外観デザインの刷新はいずれも製品そのものの価値を変えるプロダクトイノベーションに当たる。「作るモノ」を変えるか「作り方」を変えるかで区別する。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類4:技術戦略マネジメント(技術開発戦略の立案)

問25|死の谷

技術開発において、開発の成果を事業化する段階で資金や人材の不足によって直面する障壁を表す言葉はどれか。

  1. 魔の川
  2. キャズム
  3. 死の谷
  4. ダーウィンの海
正解と解説
正解:C. 死の谷

技術が事業になるまでには三つの壁があり、開発から事業化へ進む段階の壁を死の谷という。魔の川は基礎研究から製品化のための開発へ進む段階の壁、ダーウィンの海は事業化した後に競合との競争を勝ち抜いて産業として定着するまでの壁である。キャズムは新製品が初期市場から主流市場へ普及する際の溝であり、普及過程の概念である。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類4:技術戦略マネジメント(技術開発戦略の立案)

問26|キャズム

キャズムの説明として、適切なものはどれか。

  1. 特許を出願してから登録されるまでの空白期間のこと
  2. 基礎研究の成果が製品化のための開発段階へ進めずに止まってしまう障壁のこと
  3. 事業化した製品が市場で他社との激しい競争にさらされ、生き残りを迫られる状況のこと
  4. 新製品が初期市場から本格的な普及期へ移る際に存在する、越えるべき深い溝のこと
正解と解説
正解:D. 新製品が初期市場から本格的な普及期へ移る際に存在する、越えるべき深い溝のこと

キャズムは、新しもの好きの層が中心の初期市場から、一般の消費者が中心の主流市場へ製品が広がるときに立ちはだかる深い溝を指す。研究から開発への障壁は魔の川、事業化後の競争はダーウィンの海であり、いずれも技術が事業になる過程の壁ではあるがキャズムとは別の概念である。特許の審査期間とは無関係である。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類4:技術戦略マネジメント(技術開発戦略の立案)

問27|技術ロードマップ

技術ロードマップの説明として、適切なものはどれか。

  1. 時間軸に沿って、技術開発の目標や到達すべき時期を図示した計画
  2. 社内の技術者が保有するスキルと習熟度を職種ごとに一覧にまとめた表
  3. 製品の製造工程を順番に示した作業手順書
  4. 出願済みの特許を国別に整理した一覧表
正解と解説
正解:A. 時間軸に沿って、技術開発の目標や到達すべき時期を図示した計画

技術ロードマップは、どの技術をいつまでにどの水準まで開発するかを時間軸に沿って図示した計画で、関係者が開発の見通しを共有するために使う。技術者のスキル一覧はスキル管理、作業手順書は製造の指示文書、特許の一覧は知的財産の管理資料であり、いずれも将来の技術開発の道筋を示すものではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類4:技術戦略マネジメント(技術開発戦略の立案)

問28|APIエコノミー

APIエコノミーの説明として、適切なものはどれか。

  1. APIの開発や運用にかかった費用を、利用回数に応じて利用者から回収するための会計手法
  2. 自社サービスの機能をAPIとして外部に公開し、他社のサービスと連携して新たな価値を生み出す経済圏
  3. 社内システム間でやり取りするデータの項目名や形式を統一し、連携にかかる開発の手間を減らすための社内規約
  4. プログラムの実行速度を同じ条件で測定し、製品間で性能を比較するための指標
正解と解説
正解:B. 自社サービスの機能をAPIとして外部に公開し、他社のサービスと連携して新たな価値を生み出す経済圏

APIエコノミーは、企業が自社サービスの機能をAPIとして公開し、他社がそれを組み合わせて新しいサービスを生み出すことで広がる経済圏を指す。地図や決済の機能を組み込んだサービスが典型例である。費用の回収方法や社内のデータ形式の統一、実行速度の指標は、いずれも企業間の機能連携による価値創出という考え方とは関係がない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類4:技術戦略マネジメント(技術開発戦略の立案)

問29|リーンスタートアップ

リーンスタートアップの考え方として、適切なものはどれか。

  1. 綿密な事業計画を長い時間をかけて作り込み、完成した製品を一度にまとめて市場へ投入する
  2. 大量生産によって製品1個当たりの原価を下げてから市場に参入する
  3. 最小限の機能をもつ試作品を短期間で作って顧客の反応を確かめ、改善や方向転換を繰り返す
  4. 競合他社の売れている製品を分析し、同等の製品を安く提供する
正解と解説
正解:C. 最小限の機能をもつ試作品を短期間で作って顧客の反応を確かめ、改善や方向転換を繰り返す

リーンスタートアップは、最小限の機能をもつ試作品を早く世に出して顧客の反応から学び、改善または方向転換を繰り返す事業開発の進め方で、作り込みすぎによる無駄を避けられる。完成品を一度に投入する進め方はこれと正反対であり、量産による原価低減や他社製品の模倣は、仮説検証を繰り返すという考え方とは異なる。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類4:技術戦略マネジメント(技術開発戦略の立案)

問30|電子商取引

個人が出品した中古品を別の個人が購入するフリマアプリでの取引は、電子商取引の分類のどれに当たるか。

  1. BtoB
  2. BtoC
  3. CtoC
  4. BtoE
正解と解説
正解:C. CtoC

電子商取引は取引する当事者の組合せで分類する。個人(Consumer)どうしの取引なのでCtoCである。BtoBは企業どうし、BtoCは企業から消費者への販売、BtoEは企業から自社の従業員(Employee)への提供を指す。フリマアプリの運営会社は取引の場を提供しているだけで、売買の当事者は個人である。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類5:ビジネスインダストリ(e-ビジネス)

問31|ロングテール

ロングテールの説明として、適切なものはどれか。

  1. 販売機会の少ない多品種の商品の売上を合計すると、全体の売上に大きく貢献する現象
  2. 売れ筋商品だけを絞り込んで店頭に並べ、在庫と陳列棚にかかるコストを圧縮する手法
  3. 需要の増減に応じて商品の価格を細かく変動させ、収益を最大化する仕組み
  4. 購入者が知人を紹介し、その知人が購入すると双方に特典が与えられる販売手法
正解と解説
正解:A. 販売機会の少ない多品種の商品の売上を合計すると、全体の売上に大きく貢献する現象

ロングテールは、めったに売れない商品でも品揃えを増やしてその売上を合計すると全体の売上に大きく寄与するという現象で、陳列棚の制約が小さいネット販売で顕著になる。売れ筋に絞る手法はこれと逆の考え方であり、需要に応じた価格変動はダイナミックプライシング、紹介による特典は紹介制度であって別の概念である。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類5:ビジネスインダストリ(e-ビジネス)

問32|アフィリエイト

アフィリエイトの説明として、適切なものはどれか。

  1. 検索結果の上位に自社サイトが表示されるよう、Webページの構成や見出し、キーワードの選び方を最適化すること
  2. 利用者の閲覧履歴や興味関心を基に、一人ひとりに表示する広告を出し分けること
  3. 会員が別の会員を紹介し、その人が入会すると双方に割引が適用される制度
  4. Webサイトに掲載した広告を経由して商品が購入されたとき、そのサイトの運営者に報酬が支払われる仕組み
正解と解説
正解:D. Webサイトに掲載した広告を経由して商品が購入されたとき、そのサイトの運営者に報酬が支払われる仕組み

アフィリエイトは成果報酬型の広告で、掲載サイト経由で購入や申込みが成立したときにサイト運営者へ報酬が支払われる。検索結果での上位表示を狙う取組みはSEO、閲覧履歴に基づく広告の出し分けはターゲティング広告、会員紹介による割引は紹介制度であり、いずれも成果に応じた広告報酬の仕組みではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類5:ビジネスインダストリ(e-ビジネス)

問33|オムニチャネル

オムニチャネルの説明として、適切なものはどれか。

  1. 複数の通信回線を1本にまとめて束ねることで、1回線では出せない実効通信速度を得る技術のこと
  2. 実店舗・ネット通販・アプリなど複数の販売経路を統合し、どこからでも同じように購入や受取ができるようにすること
  3. 同じ種類の商品を品質や仕様の違いによって複数の価格帯に分け、購買力の異なる幅広い客層に向けて売り分けていくこと
  4. 複数の企業が倉庫や配送網を共同で運営し、物流にかかるコストを分担して下げること
正解と解説
正解:B. 実店舗・ネット通販・アプリなど複数の販売経路を統合し、どこからでも同じように購入や受取ができるようにすること

オムニチャネルは、実店舗・ネット通販・アプリなどの販売経路と在庫や顧客情報を統合し、ネットで注文して店舗で受け取るなど、経路の違いを意識せずに買えるようにする取組みである。通信回線の束ね方は通信技術、価格帯の分割は価格戦略、共同物流は企業間の協業であり、いずれも販売経路の統合を指す言葉ではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類5:ビジネスインダストリ(e-ビジネス)

問34|シェアリング

シェアリングエコノミーの例として、適切なものはどれか。

  1. 企業が売れ残った自社製品を、期間を限って大量に値引き販売する
  2. 個人が保有する住宅の空き部屋を、インターネット上の場を通じて旅行者に有料で貸し出す
  3. 複数の企業が合併して一つの会社になり、重複する部門や経営資源をまとめて事業を拡大する
  4. 従業員が毎月の給与から積み立て、持株会を通じて自社の株式を保有する
正解と解説
正解:B. 個人が保有する住宅の空き部屋を、インターネット上の場を通じて旅行者に有料で貸し出す

シェアリングエコノミーは、個人が持つ住宅・自動車・技能などの使っていない資産を、インターネット上の仲介の場を通じて他の人と貸し借り・共有する仕組みであり、空き部屋の貸出しが典型例である。値引き販売は販売促進、合併はM&A、持株会は従業員の財産形成制度であり、遊休資産の共有とは関係がない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類5:ビジネスインダストリ(e-ビジネス)

問35|クラファン

クラウドファンディングの説明として、適切なものはどれか。

  1. 複数のサーバに処理を分散させて負荷を平準化する技術
  2. クラウドサービスの利用料を使った分だけ支払う課金方式
  3. インターネットを通じて不特定多数の人から少額ずつ資金を集める仕組み
  4. 中小企業などが金融機関から低い金利で長期の融資を受けられるようにする公的な制度
正解と解説
正解:C. インターネットを通じて不特定多数の人から少額ずつ資金を集める仕組み

クラウドファンディングは、インターネット上で計画を公開し、賛同する不特定多数の人から少額ずつ資金を集める仕組みで、支援者に製品を提供する購入型、寄付型、金銭的な見返りのある投資型などがある。名称は「群衆(crowd)」に由来し、クラウドサービス(cloud)とは別の語である。負荷分散や従量課金、公的融資制度とは関係がない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類5:ビジネスインダストリ(e-ビジネス)

問36|フィンテック

フィンテックの事例として、適切なものはどれか。

  1. スマートフォンのアプリでコード決済や送金を行うサービス
  2. 工場の生産ラインを機械やコンピュータで自動制御する仕組み
  3. 社内文書を電子化して保管する仕組み
  4. 農作物の生育状況をセンサで監視する仕組み
正解と解説
正解:A. スマートフォンのアプリでコード決済や送金を行うサービス

フィンテックは金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、ITを活用した新しい金融サービスを指す。コード決済や送金アプリ、自動家計簿、AIによる資産運用助言などが該当する。生産ラインの自動制御はFA、文書の電子化は文書管理、生育監視はスマート農業であり、いずれも金融サービスではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類5:ビジネスインダストリ(e-ビジネス)

問37|かんばん方式

かんばん方式(ジャストインタイム生産方式)の目的として、適切なものはどれか。

  1. 一人の作業者が製品を最初から最後まで組み立てられるようにする
  2. 生産計画と部品表から必要な資材の量を計算する
  3. 設計図面をコンピュータ上で作成する
  4. 必要なものを必要なときに必要なだけ生産し、中間在庫を削減する
正解と解説
正解:D. 必要なものを必要なときに必要なだけ生産し、中間在庫を削減する

かんばん方式は、後工程が使った分だけ前工程が作るように「かんばん」で指示することで、必要なものを必要なときに必要なだけ生産し、中間在庫と作りすぎの無駄を減らす方式である。一人または少人数で組み立てるのはセル生産方式、資材の所要量を計算するのはMRP、図面の作成はCADであり、いずれも別の仕組みである。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類5:ビジネスインダストリ(エンジニアリングシステム)

問38|BYOD

BYODの説明として、適切なものはどれか。

  1. 従業員が個人で所有する情報端末を業務に使用すること
  2. 会社が従業員に業務用の端末を貸与すること
  3. 自宅など会社以外の場所で働くこと
  4. 業務データを社外へ持ち出すことを一律に禁止する規則のこと
正解と解説
正解:A. 従業員が個人で所有する情報端末を業務に使用すること

BYODは Bring Your Own Device の略で、従業員の私物のパソコンやスマートフォンを業務に使うことをいう。端末費用を抑えられる一方、紛失や私的利用による情報漏えいの危険があるため利用規程と技術的対策が必要になる。会社からの端末貸与は逆の形態、会社以外の場所で働くことはテレワークであり、持出禁止規則はセキュリティ規程の一つである。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類5:ビジネスインダストリ(ワークスタイルと環境変化)

問39|自動運転

自動運転のレベル分けにおいて、限定された条件下でシステムが全ての運転操作を行うが、システムから要請があった場合には運転者が操作を引き継がなければならない段階はどれか。

  1. レベル1
  2. レベル2
  3. レベル3
  4. レベル4
正解と解説
正解:C. レベル3

レベル3は条件付運転自動化と呼ばれ、限定条件下でシステムが全ての運転操作を担うが、システムの要請には運転者が応じる必要がある。レベル1はアクセルやハンドルなど単一の操作を支援する段階、レベル2は複数の操作を組み合わせて支援する段階で、いずれも運転の主体は人である。レベル4は限定条件下で運転者の対応も不要となる段階である。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類5:ビジネスインダストリ(民生機器・産業機器、IoTを利用したシステム)

問40|RPA

RPAの適用例として、適切なものはどれか。

  1. 工場の生産ラインに溶接や塗装を行う産業用ロボットを導入し、人手で行っていた物理的な作業を自動化する
  2. 人型ロボットが受付に立ち、音声で来客に応対して担当者の席まで案内する
  3. 複数のシステムからデータを転記し照合する定型的な事務作業を、ソフトウェアのロボットに自動実行させる
  4. 過去の販売データや気象データをAIが分析し、来月の商品ごとの需要量を予測する
正解と解説
正解:C. 複数のシステムからデータを転記し照合する定型的な事務作業を、ソフトウェアのロボットに自動実行させる

RPAはソフトウェアのロボットが画面操作などを代行する仕組みで、複数システム間の転記や照合のように手順が決まった事務作業の自動化に向く。溶接ロボットや案内ロボットは物理的な機械であり、RPAが対象とする事務処理の自動化ではない。データからの需要予測はAIによる分析であり、定型作業の代行とは目的が異なる。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類5:ビジネスインダストリ(e-ビジネスの応用)

問41|デジタルツイン

デジタルツインの説明として、適切なものはどれか。

  1. 同じ内容のデータを離れた二か所に複製して保管し、機器の故障や災害に備えること
  2. 二人一組になり、一方が入力し他方が確認しながら一つのプログラムを開発する手法のこと
  3. 本番環境と同一構成の予備システムを常時稼働させておき、障害が起きたら即座に切り替えて運転を続ける方式のこと
  4. 現実の設備や製品の状態をセンサで取得し、仮想空間上に再現してシミュレーションに利用する技術のこと
正解と解説
正解:D. 現実の設備や製品の状態をセンサで取得し、仮想空間上に再現してシミュレーションに利用する技術のこと

デジタルツインは、現実の設備や製品の状態をセンサで集めて仮想空間上に「双子」を作り、実物を止めずに故障予測や工程改善の試行ができるようにする技術である。データの二重化はバックアップ、二人一組の開発はペアプログラミング、予備システムの常時稼働はホットスタンバイであり、いずれも現実の再現による模擬実験とは異なる。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略 中分類5:ビジネスインダストリ(e-ビジネスの応用、IoTを利用したシステム)

問42|ディープフェイク

生成AIの悪用例である「ディープフェイク」の説明として、適切なものはどれか。

  1. AIを用いて、実在の人物が話していない映像や音声を本物のように作り出したもの
  2. AIの学習に使うデータを回転や反転などで加工し、見かけ上のデータ量を水増しする手法
  3. AIの出力内容を公開前に人が検証し、誤りがあれば修正する運用上の作業工程
  4. AIが学習に使ったデータの一部をそのまま記憶し、出力に含めてしまう現象
正解と解説
正解:A. AIを用いて、実在の人物が話していない映像や音声を本物のように作り出したもの

ディープフェイクは、生成AIによって実在の人物が話していない映像や音声を本物のように作り出したもので、なりすまし詐欺や偽情報の拡散に悪用される危険がある。学習データの水増しはデータ拡張、出力の人による検証は運用上の対策、学習データをそのまま出力してしまうのは記憶や過学習に関する別の問題であり、いずれも偽の映像・音声の生成を指す言葉ではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略(AI活用:生成AIの活用と留意点、AI倫理)

問43|生成AI

生成AI(ジェネレーティブAI)の説明として、適切なものはどれか。

  1. あらかじめ人手で用意した回答文の中から、質問に一致するものを検索して返す仕組み
  2. 大量のデータを学習し、利用者の指示に応じて文章や画像などを新たに作り出すAI
  3. データを暗号化して安全に保管する仕組み
  4. 決まった手順の事務作業を代行するソフトウェアのロボット
正解と解説
正解:B. 大量のデータを学習し、利用者の指示に応じて文章や画像などを新たに作り出すAI

生成AIは大量のデータから学習した内容を基に、利用者の指示に応じて文章・画像・音声・プログラムなどを新しく作り出すAIである。用意された回答を探して返すだけの仕組みは従来の検索やFAQシステム、データの暗号化はセキュリティ技術、定型事務の代行はRPAであり、いずれも新しい内容を生成するものではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略(AI活用:生成AIの活用と留意点)

問44|ハルシネーション

生成AIが、事実に基づかない内容をもっともらしい文章として出力してしまう現象を何というか。

  1. ディープフェイク
  2. オーバーフィッティング
  3. ハルシネーション
  4. フィルタバブル
正解と解説
正解:C. ハルシネーション

生成AIが事実でない内容をもっともらしく出力する現象をハルシネーション(幻覚)という。存在しない出典や数値を作ることがあるため、出力は人が裏取りしてから使う。ディープフェイクはAIで作った偽の映像や音声、オーバーフィッティング(過学習)は学習データに適合しすぎて未知のデータに弱くなること、フィルタバブルは自分好みの情報ばかりに囲まれる状態であり、いずれも別の現象である。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略(AI活用:生成AIの活用と留意点)

問45|プロンプト

プロンプトエンジニアリングの説明として、適切なものはどれか。

  1. 生成AIの内部で使われる学習アルゴリズムやモデル構造そのものを設計すること
  2. 生成AIを動かすサーバの性能を増強して応答を速くすること
  3. 生成AIの利用料金が安くなるよう提供事業者と交渉すること
  4. 生成AIから望む出力を得られるように、指示文の与え方を工夫すること
正解と解説
正解:D. 生成AIから望む出力を得られるように、指示文の与え方を工夫すること

プロンプトエンジニアリングは、役割・条件・出力形式・例などを具体的に示すなど、生成AIへの指示文の与え方を工夫して目的に近い出力を得る取組みである。AIそのものを作り替えるのではなく使い方を工夫する点が特徴で、学習アルゴリズムの設計は開発側の作業、サーバ増強は基盤の話、料金交渉は調達の話であり、いずれも該当しない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略(AI活用:生成AIの活用と留意点)

問46|生成AIの注意

社外の事業者が提供する生成AIサービスを業務で利用する際の注意点として、適切なものはどれか。

  1. 未公開の顧客情報や社外秘の資料を入力すると、情報漏えいにつながるおそれがある
  2. 出力された文章は常に正確なので、確認せずにそのまま公開してよい
  3. 入力した内容が学習に使われることは決してないので、機密情報も自由に入力してよい
  4. 生成物の権利は必ず利用者に帰属するので、利用規約を確認する必要はない
正解と解説
正解:A. 未公開の顧客情報や社外秘の資料を入力すると、情報漏えいにつながるおそれがある

社外のサービスに入力した情報は事業者側に送信・保存されることがあり、社外秘情報や個人情報の漏えいにつながるおそれがあるため、入力してよい情報の範囲を社内規程で定める必要がある。生成AIの出力は事実と異なる場合があり確認が必須で、入力内容の取扱いや生成物の権利はサービスごとに利用規約で定められるため、確認は欠かせない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略(AI活用:生成AIの活用と留意点)

問47|AIと権利

生成AIが出力した画像を自社の広告に利用する場合の対応として、最も適切なものはどれか。

  1. AIが作り出したものなので、第三者の著作権や商標権について確認する必要はない
  2. 出典を明記しさえすれば、どのような画像でも自由に利用できる
  3. 利用するサービスの利用規約は読まなくてよい
  4. 既存の著作物に似ていないかなど、第三者の権利を侵害しないかを人が確認する
正解と解説
正解:D. 既存の著作物に似ていないかなど、第三者の権利を侵害しないかを人が確認する

生成AIの出力が既存の著作物と似てしまうことがあり、そのまま公開すると著作権や商標権などを侵害するおそれがあるため、公開前に人が類似性と権利関係を確認する必要がある。AIが作ったからといって権利の確認が免除されることはなく、出典の明記だけで自由に使えるわけでもない。生成物の扱いは利用規約にも定められており、確認は必要である。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略(AI活用:生成AIの活用と留意点)

問48|AI社会原則

「人間中心のAI社会原則」などで示されている、AIを利活用する際の考え方として適切なものはどれか。

  1. AIの判断に人が過度に依存せず、最終的な判断と責任は人が担えるようにする
  2. AIの判断は常に正しいので、人による確認は省略してよい
  3. 学習データの偏りは結果に影響しないので考慮しなくてよい
  4. AIをどのような目的でどう利用しているかは、利用者にも社会にも説明する必要がない
正解と解説
正解:A. AIの判断に人が過度に依存せず、最終的な判断と責任は人が担えるようにする

「人間中心のAI社会原則」は、人間の尊厳の尊重や公平性・説明責任・透明性の確保などを掲げており、AIに任せきりにせず最終的な判断と責任を人が担えるようにすることが要点である。AIの判断が常に正しいとは限らず、学習データの偏りは結果の偏りを生む。利用の透明性や説明責任も原則で求められており、説明不要とする考え方は誤りである。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略(AI活用:AI利活用の原則と指針)/内閣府「人間中心のAI社会原則」

問49|AIの利用形態

自社でAIモデルを開発せず、クラウド事業者が提供する生成AIの機能をAPI経由で利用する形態の利点として、適切なものはどれか。

  1. 学習済みモデルの内部構造やパラメータを、利用者側の判断で自由に書き換えて作り替えられる
  2. インターネット回線が遮断された状態でも、自社内の設備だけで常に利用し続けられる
  3. 利用量や利用回数にかかわらず、費用が一切発生せず無償で使い続けられる
  4. 大規模な学習環境や専門人材を自社で用意しなくても、短期間でAIを業務に活用できる
正解と解説
正解:D. 大規模な学習環境や専門人材を自社で用意しなくても、短期間でAIを業務に活用できる

クラウド事業者のAI機能を利用する形態は、大量の学習データ・計算資源・専門人材を自社で用意せずに短期間で導入できる点が利点である。一方でモデルの内部を自由に改変することは通常できず、通信が前提なので回線が使えなければ利用できない。料金も利用量に応じて発生するのが一般的であり、無償とは限らない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略(AI活用:AIサービスのオファリング)

問50|AIと公平性

採用選考の書類審査にAIを利用する場合に、企業が注意すべき点として適切なものはどれか。

  1. 過去の判定結果を検証する必要はない
  2. 学習データに偏りがあると、特定の属性の応募者に不利な判定が生じるおそれがある
  3. AIが下した判定は説明できなくても差し支えない
  4. 書類審査にAIを利用しているという事実は、応募者にも社外にも一切知らせてはならない
正解と解説
正解:B. 学習データに偏りがあると、特定の属性の応募者に不利な判定が生じるおそれがある

AIは過去のデータを学習するため、そのデータに偏りがあると特定の性別や年齢の応募者に不利な判定を繰り返すおそれがある。人の権利に影響する用途では、学習データと判定結果を継続的に検証し、判断の根拠を説明できるようにし、最終判断は人が行うことが求められる。利用の事実を隠すことは透明性の観点から適切ではない。

根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類2:経営戦略(AI活用:AI利活用の原則と指針、AI倫理)

演習:この章の問題を解く

ランダム出題の演習ツールです(JavaScript が有効な場合に動きます)。上の「確認問題」はそのままでもすべて読めます。

※ 解説は学習用の情報提供です。最新の出題範囲・制度は必ずIPAの公式発表をご確認ください。
※ 出題はIPA公開のシラバスVer.6.5(2026年1月1日適用)に沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題です。試験制度・実施要項はIPAの公式発表をご確認ください。