ITパスポート IT PASSPORT
企業と法務
講義 6 本・確認問題 55 問 | 本試験では「ストラテジ系」(35問)の一部 | 最終更新 2026-09-24
この章で学ぶこと- 会社が何のために存在し、どんな形に組織を分け、どうやって人を育て、社会に対してどんな責任を負うのかが分かるようになる。
- 損益計算書と貸借対照表の読み方、損益分岐点の求め方、ROE・ROAなどの経営指標が計算できるようになる。
- QC七つ道具やABC分析、線形計画法、在庫管理の考え方を使って、業務の問題点を数字と図で見つけられるようになる。
- 著作権と産業財産権(特許・実用新案・意匠・商標)の違い、権利がいつ生まれていつまで続くかを整理して答えられるようになる。
- 不正アクセス禁止法・個人情報保護法・刑法のコンピュータ関連犯罪・サイバーセキュリティ基本法が、それぞれ何を対象にしているか区別できるようになる。
- 派遣と請負の違い、労働基準法の基本、2026年1月に施行された中小受託取引適正化法、そして標準化団体と主要な規格が区別できるようになる。
1. 企業活動と経営組織
会社が何のために存在し、どんな形に組織を分け、どうやって人を育て、社会に対してどんな責任を負うのかが分かるようになる。
企業は「人(ヒト)・物(モノ)・金(カネ)・情報」という4つの経営資源を組み合わせて、商品やサービスを生み出し、利益を上げて存続していく組織です。何のために事業を行うのかを言葉にしたものが経営理念で、そこから中長期の経営戦略、部門ごとの計画へと落とし込まれていきます。
仕事の進め方の基本形がPDCAサイクルです。Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)を繰り返し、少しずつ質を高めていきます。うまくいかなかった原因を確かめずに次の計画へ進むと改善が止まるため、CheckとActが特に重要とされます。
組織の形は、事業の性質に合わせて選びます。仕事の種類ごとに分ける職能別組織、製品や地域ごとに分けて利益責任まで持たせる事業部制組織、期間限定で人を集めるプロジェクト組織、縦横2つの指揮命令系統を持つマトリックス組織などがあります。経営層にはCEO(最高経営責任者)、CIO(最高情報責任者)、CFO(最高財務責任者)などの役割が置かれます。
人材面では、実際の仕事を通じて先輩が指導するOJTと、職場を離れて研修などで学ぶOff-JTを組み合わせて育成します。加えて、性別・年齢・国籍・障害の有無などの多様性を活かすダイバーシティマネジメント、仕事と生活の調和をめざすワークライフバランスも重視されています。
企業は利益だけでなく社会への責任も負います。これがCSR(企業の社会的責任)で、国連が採択した持続可能な開発目標SDGsへの取組みもその一つです。また、法令や社会規範を守るコンプライアンス、経営を監視して健全性を保つコーポレートガバナンス(企業統治)、そのための仕組みである内部統制も欠かせません。災害やシステム障害が起きても事業を止めない、あるいは早く復旧させるための計画がBCP(事業継続計画)で、それを策定・運用・改善していく活動全体をBCM(事業継続マネジメント)と呼びます。
代表的な組織形態の比較| 組織形態 | 分け方 | 長所 | 短所 |
|---|
| 職能別組織 | 開発・製造・営業など仕事の種類ごと | 専門性が高まり無駄が少ない | 部門間の壁ができ全体最適になりにくい |
| 事業部制組織 | 製品・地域・顧客など事業ごと | 意思決定が速く利益責任が明確 | 組織や機能が重複しコストが増えやすい |
| プロジェクト組織 | 目的達成のため期間限定で編成 | 目的に集中でき柔軟 | 期間終了後の人材の扱いが課題 |
| マトリックス組織 | 職能と事業の2軸に同時に所属 | 人材を柔軟に活用できる | 指揮命令が二重になり混乱しやすい |
| カンパニー制 | 社内を独立した会社のように扱う | 責任と権限が明確で自律的 | 全社的な連携が取りにくい |
用語
- 経営資源
- 事業を行うために必要な元手のこと。ヒト(従業員)・モノ(設備や材料)・カネ(資金)・情報(データやノウハウ)の4つに分けて考えるのが基本で、これらをどう配分するかが経営の中心課題になる。
- PDCAサイクル
- Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Act(改善)の4段階を順に回して、仕事の質を継続的に高めていく考え方。1周して終わりではなく、Actの結果を次のPlanにつなげて何度も回すことに意味がある。
- 事業部制組織
- 製品別・地域別・顧客別などに組織を分け、それぞれの事業部に売上や利益の責任まで持たせる形。意思決定が速く現場に合わせやすい反面、事業部ごとに経理や人事が重複して非効率になりやすい。
- マトリックス組織
- 職能別(技術・営業など)と事業別(製品Aなど)のように、縦と横の2つの所属を同時に持たせる組織形態。人材を柔軟に使える一方、上司が2人いるため指示が食い違うと混乱しやすい。
- CIO(最高情報責任者)
- Chief Information Officerの略で、企業の情報化戦略やIT投資の全体方針に責任を持つ経営層の役職。個々のシステムの運用担当ではなく、経営戦略と情報システムを結び付ける立場である。
- OJT
- On the Job Trainingの略で、実際の職場で仕事をしながら上司や先輩が指導する育成方法。仕事に直結した力が身につくが、指導者の力量に左右されやすく、体系的な知識は不足しがちである。
- Off-JT
- Off the Job Trainingの略で、職場を離れて集合研修やeラーニングなどで学ぶ育成方法。体系的な知識をまとめて習得できるが、学んだ内容が実務にすぐ結び付くとは限らない。
- ダイバーシティマネジメント
- 性別・年齢・国籍・障害の有無・価値観などの多様性(ダイバーシティ)を受け入れ、その違いを組織の強みとして活かす経営の考え方。人材確保や新しい発想の獲得につながるとされる。
- CSR(企業の社会的責任)
- Corporate Social Responsibilityの略。企業は利益を追うだけでなく、環境保護・人権尊重・地域貢献など社会に対する責任も果たすべきだという考え方で、取組み状況は報告書として公開されることが多い。
- SDGs(持続可能な開発目標)
- 2015年に国連で採択された、2030年までに達成をめざす国際的な目標。貧困や飢餓の解消、気候変動対策など17のゴールからなり、企業も事業を通じて貢献することが求められている。
- コーポレートガバナンス(企業統治)
- 経営者が株主や社会の利益に反した行動をとらないよう、社外取締役や監査役などが経営を監視し、健全で透明な経営を保つ仕組み。不正の防止と企業価値の向上をねらいとする。
- 内部統制
- 業務が法令やルールに従って正しく行われるよう、社内に組み込む仕組みのこと。職務分掌(担当を分ける)や承認手続き、記録の保存などによって、不正や誤りを防ぎ早期に発見する。
- BCP(事業継続計画)
- 地震・水害・大規模障害などが起きても重要な業務を止めない、あるいは目標時間内に復旧させるためにあらかじめ定めておく計画。代替拠点やバックアップ手順、連絡体制などを具体的に決めておく。
- BCM(事業継続マネジメント)
- BCPを作るだけで終わらせず、教育・訓練・点検・見直しまで含めて継続的に運用していくマネジメント活動。PDCAを回してBCPの実効性を高めていく点が特徴である。
例題
例題:新製品の売行きが計画を下回った。PDCAサイクルのどの段階で「なぜ下回ったのか」を分析するか。
答えと考え方 Check(評価)の段階。計画と実績の差とその原因を確かめるのがCheckで、そこで見つけた原因をもとに具体的な手直しを行うのがAct(改善)である。原因を確かめずに次のPlanへ進むと、同じ失敗を繰り返すことになる。
例題:新人に伝票処理を覚えさせたい。OJTとOff-JTのどちらが向いているか。
答えと考え方 OJT。実際の伝票を使って先輩が横で教えるほうが、その職場のやり方まで含めて早く身につく。一方、簿記の体系的な知識や法令の全体像を学ばせたい場合は、集合研修やeラーニングなどのOff-JTが向いている。
例題:BCPで「目標復旧時間を4時間」と定めた。これは何を意味するか。
答えと考え方 災害や障害が発生してから、その業務を4時間以内に再開できる状態に戻すという目標を意味する。この目標を満たすために、遠隔地バックアップや代替拠点、要員の招集手順などを事前に用意しておく必要がある。
出典・根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動
2. 会計と財務のきほん
損益計算書と貸借対照表の読み方、損益分岐点の求め方、ROE・ROAなどの経営指標が計算できるようになる。
会社の成績表にあたるのが財務諸表です。代表的なものが、一定期間にどれだけもうけたかを表す損益計算書(P/L)、決算日時点でどんな財産と借金があるかを表す貸借対照表(B/S)、現金の出入りを表すキャッシュフロー計算書の3つです。
損益計算書では、売上高から順に費用を差し引いて5段階の利益を計算します。売上高−売上原価=売上総利益(粗利)、そこから販売費及び一般管理費を引いて営業利益、さらに受取利息や支払利息などの本業以外の損益を加減して経常利益、特別損益を加減して税引前当期純利益、法人税等を引いて当期純利益となります。
貸借対照表は左右が必ず一致します。左側(借方)が資産、右側(貸方)が負債と純資産で、「資産=負債+純資産」が成り立ちます。資産は集めたお金をどう使っているか、負債と純資産はそのお金をどこから集めたかを表しています。
費用は、売上が変わっても金額が変わらない固定費(家賃・正社員の給与など)と、売上に比例して増える変動費(材料費・仕入原価など)に分けられます。売上高と費用がちょうど等しくなり、利益がゼロになる売上高が損益分岐点売上高です。変動費率=変動費÷売上高とすると、損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費率) で求められます。
経営の効率を測る指標には、自己資本(株主が出したお金)に対してどれだけ利益を上げたかを示すROE(自己資本利益率)=当期純利益÷自己資本×100、総資産全体に対する効率を示すROA(総資産利益率)=利益÷総資産×100 があります。安全性を見る指標としては、自己資本比率=自己資本÷総資産×100 が使われ、高いほど借金に頼らない安定した会社といえます。
損益計算書の5段階の利益と貸借対照表の構成| 区分 | 計算式または中身 | 何が分かるか |
|---|
| 売上総利益 | 売上高 − 売上原価 | 商品そのものの利幅(粗利) |
| 営業利益 | 売上総利益 − 販売費及び一般管理費 | 本業でどれだけ稼いだか |
| 経常利益 | 営業利益 ± 営業外収益・営業外費用 | 利息負担まで含めた通常の実力 |
| 税引前当期純利益 | 経常利益 ± 特別利益・特別損失 | 臨時の損益も含めた税引前のもうけ |
| 当期純利益 | 税引前当期純利益 − 法人税等 | 最終的に会社に残るもうけ |
| 貸借対照表 左側 | 資産(現金・売掛金・建物など) | 集めたお金を何に使っているか |
| 貸借対照表 右側 | 負債(借入金など)+純資産(資本金など) | お金をどこから集めたか |
用語
- 損益計算書(P/L)
- 1年間などの一定期間について、いくら売り上げ、いくら費用がかかり、結果いくらもうかったかを示す表。Profit and Loss statementの略で、会社の「もうける力」を見るために使う。
- 貸借対照表(B/S)
- 決算日という一時点で、会社がどんな資産を持ち、どれだけ借金(負債)と自分のお金(純資産)があるかを示す表。Balance Sheetの略で、左側の資産の合計と右側の負債+純資産の合計は必ず一致する。
- 売上総利益
- 売上高から売上原価(仕入や製造にかかった費用)を差し引いた利益で、粗利(あらり)とも呼ぶ。商品そのものがどれだけもうかっているかを示し、販売活動の費用はまだ引かれていない。
- 営業利益
- 売上総利益から販売費及び一般管理費(広告費、事務員の給与、家賃など)を差し引いた利益。借入金の利息など本業以外の損益は含まないため、本業でどれだけ稼いだかを最もよく表す。
- 経常利益
- 営業利益に、受取利息や支払利息など本業以外で毎期発生する損益を加減した利益。臨時的な特別損益は含まないので、会社が普段どおりの活動で毎年どれだけ稼げるかを示す。
- 固定費
- 売上が増えても減っても金額がほとんど変わらない費用。事務所の家賃、正社員の基本給、設備の減価償却費などが該当し、売上が落ちても出ていくため、損益分岐点を押し上げる原因になる。
- 変動費
- 売上や生産量に比例して増減する費用。商品の仕入原価、原材料費、販売手数料などが該当する。売上高に占める変動費の割合を変動費率と呼び、損益分岐点の計算に使う。
- 損益分岐点売上高
- 売上高と総費用がちょうど等しくなり、利益も損失もゼロになる売上高のこと。固定費÷(1−変動費率) で求められ、この金額を超えた分だけ利益が出る。低いほど不況に強い会社といえる。
- ROE(自己資本利益率)
- 当期純利益÷自己資本×100 で求める指標。株主が出したお金を使ってどれだけ効率よく利益を生んだかを示し、株主にとっての投資効率を測る代表的な指標として使われる。
- ROA(総資産利益率)
- 利益÷総資産×100 で求める指標。借入金も含めた会社の全財産をどれだけ効率よく使って利益を上げたかを示し、資産の使い方のうまさを測る。
- 自己資本比率
- 自己資本÷総資産×100 で求める指標で、財産のうち返済不要な自分のお金がどれだけの割合かを示す。高いほど借金への依存が小さく、倒産しにくい安全な財務状態と判断される。
- 減価償却
- 建物や機械のように長年使う資産の購入額を、購入した年に全額費用にせず、使用できる年数(耐用年数)に分けて毎年少しずつ費用として計上する会計処理。定額法と定率法などの方法がある。
- キャッシュフロー計算書
- 一定期間に現金がどれだけ入ってどれだけ出たかを、営業活動・投資活動・財務活動の3つに分けて示す表。利益が出ていても現金が足りずに倒産する「黒字倒産」を見抜くために使われる。
例題
例題:固定費600万円、変動費率60%のとき、損益分岐点売上高はいくらか。
答えと考え方 損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費率)=600÷(1−0.6)=600÷0.4=1,500万円。売上高1,500万円のとき変動費は900万円、固定費600万円で費用合計1,500万円となり、利益がちょうどゼロになる。
例題:売上高2,000万円、変動費800万円、固定費900万円のときの営業利益と損益分岐点売上高は。
答えと考え方 営業利益=2,000−800−900=300万円。変動費率=800÷2,000=0.4なので、損益分岐点売上高=900÷(1−0.4)=1,500万円。実際の売上高2,000万円は損益分岐点を500万円上回っており、その差に(1−0.4)を掛けた300万円が利益と一致する。
例題:当期純利益80万円、自己資本1,000万円、総資産2,500万円のときのROEと自己資本比率は。
答えと考え方 ROE=80÷1,000×100=8%。自己資本比率=1,000÷2,500×100=40%。なお当期純利益を総資産で割ったROAは 80÷2,500×100=3.2% となり、ROEのほうが高いのは借入金を使って事業規模を広げているためである。
例題:売上高5,000万円、売上原価3,500万円、販売費及び一般管理費1,000万円のとき、売上総利益と営業利益は。
答えと考え方 売上総利益=5,000−3,500=1,500万円。営業利益=1,500−1,000=500万円。ここから支払利息などを差し引くと経常利益になる。
出典・根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(会計・財務)
3. 業務分析とデータの活用
QC七つ道具やABC分析、線形計画法、在庫管理の考え方を使って、業務の問題点を数字と図で見つけられるようになる。
業務改善の第一歩は、思い込みではなくデータで現状をつかむことです。そのための代表的な道具がQC七つ道具で、パレート図・特性要因図・散布図・ヒストグラム・管理図・チェックシート・層別(またはグラフ)の7つを指します。数値データを図にして、どこに問題があるかを見えるようにするのが目的です。
パレート図は、項目を件数や金額の大きい順に棒グラフで並べ、その累積比率を折れ線で重ねた図です。「上位の少数の項目が全体の大部分を占める」というパレートの法則にもとづき、優先して手を打つべき項目を見つけるのに使います。同じ考え方を在庫や商品の管理に応用したものがABC分析で、累積比率にもとづいて重要度をA・B・Cの3ランクに分け、Aランクを重点管理します。
特性要因図は、結果(特性)を魚の頭に、原因(要因)を骨のように書き出す図で、形から魚の骨図(フィッシュボーンチャート)とも呼ばれます。原因を「人・機械・材料・方法」などの大骨に整理し、そこから小骨へ掘り下げていきます。散布図は2つの項目の関係(相関)を、ヒストグラムはデータのばらつきの分布を、管理図は時系列の変化が管理限界内に収まっているかを見るために使います。
アイディアを出す場面では、批判をしない・自由奔放・質より量・便乗歓迎(結合改善)という4つの原則を守るブレーンストーミングが使われます。出た意見をカードに書いてグループ化し、関係を整理していく方法がKJ法です。
数値を使って最適な組合せを求める手法もあります。線形計画法は、原材料や作業時間などの制約条件を1次式で表し、利益を最大にする(あるいは費用を最小にする)生産量の組合せを求める手法です。在庫管理では、在庫が決められた量(発注点)まで減ったら毎回同じ量を発注する定量発注方式と、毎月末など決まった時期に必要量を計算して発注する定期発注方式があります。定量発注方式は事務が簡単で単価の安い品目に、定期発注方式は需要変動が大きく金額の大きい品目に向いています。
QC七つ道具などの図表と使いどころ| 図表 | 形 | 何を知るために使うか |
|---|
| パレート図 | 棒グラフ+累積折れ線 | 影響の大きい項目を絞り込む |
| 特性要因図 | 魚の骨のような枝分かれ図 | 結果に対する原因を洗い出す |
| 散布図 | 2軸上の点の散らばり | 2つの項目の相関の有無を調べる |
| ヒストグラム | 区間ごとの度数の棒グラフ | データのばらつきや分布の形を見る |
| 管理図 | 時系列の折れ線+管理限界線 | 工程が安定しているか異常かを判定する |
| チェックシート | 項目別の記録用の表 | データを漏れなく簡単に集計する |
| 層別 | 条件ごとにデータを分けること | 機械別・時間帯別など違いの原因を探る |
用語
- QC七つ道具
- 品質管理(Quality Control)で使う7つの図表のこと。パレート図・特性要因図・散布図・ヒストグラム・管理図・チェックシート・層別(またはグラフ)を指し、主に数値データを図にして問題点を見つけるために使う。
- パレート図
- 項目を件数や金額の大きい順に棒グラフで並べ、その累積比率を折れ線で重ねた図。全体に大きく影響している項目が一目で分かるため、限られた時間や予算をどこに使うべきかを決める場面で使う。
- ABC分析
- 商品や在庫を売上金額などの大きい順に並べ、累積比率にもとづいてA・B・Cの3つのランクに分ける手法。金額の大きいAランクを重点的に管理し、Cランクは簡便に扱うことで管理の手間を効率化する。
- 特性要因図
- 問題という結果(特性)に対して、その原因(要因)を骨のように枝分かれさせて書き出す図。魚の骨の形に似ることから魚の骨図やフィッシュボーンチャートとも呼ばれ、原因の抜け漏れを防ぐのに役立つ。
- 散布図
- 2つの項目を縦軸と横軸にとり、データを点で打った図。点が右上がりに集まれば正の相関、右下がりなら負の相関があると判断でき、2つの項目に関係があるかどうかを調べるのに使う。
- ヒストグラム
- データをいくつかの区間に区切り、各区間に入る個数を棒の高さで表した図。データがどのあたりに集まり、どれくらいばらついているか、規格から外れていないかといった分布の様子を見るために使う。
- 管理図
- 時間の経過に沿って測定値を打点し、上下の管理限界線と一緒に見る図。点が管理限界を超えたり一方に偏ったりしたときに、工程に異常な原因が生じたと判断して手を打つために使う。
- ブレーンストーミング
- 複数人で自由にアイディアを出し合う会議手法。批判をしない、自由奔放な発言を歓迎する、質より量を重視する、他人の案に便乗して発展させる、という4原則を守ることで発想の幅を広げる。
- KJ法
- 集めた意見や事実を1件ずつカードに書き、似たものどうしをグループにまとめ、関係を図にして整理していく発想整理の手法。ばらばらの情報から新しい構造や結論を見つけ出すために使う。
- 線形計画法
- 材料や作業時間などの制約条件と、利益や費用の目的を1次式(直線の式)で表し、目的が最大または最小になる組合せを求める数学的手法。製品の最適な生産量の決定などに使われる。
- 定量発注方式
- 在庫があらかじめ決めた量(発注点)まで減った時点で、毎回決まった量を発注する在庫管理の方法。発注のタイミングは需要により変わるが手続きが簡単なため、単価が安く需要が安定した品目に向く。
- 定期発注方式
- 毎月末など決まった時期ごとに、今後必要な量を予測して発注量を計算し発注する方法。発注のたびに量を計算する手間はかかるが、需要の変動に対応しやすく、単価が高い重要な品目に向く。
- デシジョンツリー(決定木)
- 意思決定の分岐と、それぞれの場合に起こりうる結果を木の枝のように描いた図。各枝の確率と利益を掛けて期待値を計算し、どの案を選ぶのが有利かを比べるために使う。
例題
例題:クレームの内容を件数の多い順に並べ、上位3項目で全体の約8割を占めることが分かった。使った図は何か。
答えと考え方 パレート図。件数の多い順の棒グラフと累積比率の折れ線から、少数の項目が全体の大部分を占めていることが読み取れる。まず上位3項目の対策に集中すれば、少ない労力で大きな効果が期待できる。
例題:商品Aの売上が全体の50%、Bが30%、Cが10%、その他が10%だった。ABC分析ではどう扱うか。
答えと考え方 累積比率の高い順にランク分けし、AとBで累積80%を占めるため、これらをAランク相当として重点管理の対象にする。売上の小さいその他の商品はCランクとして、発注や棚卸しの手間を簡略化するという判断につながる。
例題:製品X(利益2万円)と製品Y(利益3万円)を作る。使える機械時間は合計40時間で、Xは1台2時間、Yは1台5時間かかる。この最適な生産量を求める手法は。
答えと考え方 線形計画法。目的関数を 2x+3y(最大化)、制約条件を 2x+5y≦40、x≧0、y≧0 のように1次式で表し、制約を満たす範囲の中で目的関数が最大になる点を求める。制約条件と目的がどちらも1次式である点が特徴である。
出典・根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(業務分析・データ利活用)
4. 知的財産権を守る法律
著作権と産業財産権(特許・実用新案・意匠・商標)の違い、権利がいつ生まれていつまで続くかを整理して答えられるようになる。
人が頭を使って生み出したものを保護する権利をまとめて知的財産権といいます。大きく分けると、表現そのものを守る著作権と、産業に役立つ技術やデザイン・目印を守る産業財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)があります。
著作権は、小説・音楽・絵画・写真・映画・プログラムなど、思想や感情を創作的に表現したものを保護します。大きな特徴は、作品を創作した時点で自動的に権利が発生し、登録や申請がいらない点です(無方式主義)。保護期間は原則として著作者の死後70年、法人など団体の名義で公表された著作物は公表後70年です。なお、プログラムを作るための「プログラム言語」「規約(インタフェースの取決め)」「解法(アルゴリズム)」そのものは著作権法の保護対象から除かれており、保護されるのは具体的に書かれたプログラムのほうです。
会社の従業員が仕事として作った著作物は、一定の条件(会社の発意にもとづき、職務上作成し、会社名義で公表され、契約や就業規則に別の定めがない)を満たすと、会社が著作者になります。これを職務著作(法人著作)といいます。
産業財産権はいずれも特許庁に出願し、登録されて初めて権利が発生します。特許権は自然法則を利用した高度な技術的アイディア(発明)を保護し、存続期間は出願日から20年です。実用新案権は物品の形状・構造・組合せに関する考案を保護し、実体的な審査を経ずに登録され、存続期間は出願日から10年です。意匠権は工業製品のデザインを保護し、存続期間は出願日から25年です。商標権は商品やサービスの目印となるマークや名称を保護し、存続期間は設定登録の日から10年ですが、更新登録を繰り返せば半永久的に持ち続けられます。
他人の営業秘密を盗む行為や、有名な商品表示によく似た表示を使って混同させる行為などは、不正競争防止法で規制されます。営業秘密として保護されるには、秘密として管理されていること(秘密管理性)、事業に有用な技術上または営業上の情報であること(有用性)、公然と知られていないこと(非公知性)の3つをすべて満たす必要があります。
知的財産権の比較(権利の発生・保護対象・存続期間)| 権利 | 保護の対象 | 権利の発生 | 存続期間 |
|---|
| 著作権 | 思想・感情を創作的に表現したもの(小説、音楽、写真、プログラムなど) | 創作した時点で自動的に発生(登録不要) | 原則、著作者の死後70年 |
| 著作権(法人名義) | 会社名義で公表された著作物 | 創作した時点で自動的に発生 | 公表後70年 |
| 特許権 | 自然法則を利用した高度な技術的アイディア(発明) | 特許庁への出願・審査を経て登録 | 出願日から20年 |
| 実用新案権 | 物品の形状・構造・組合せに関する考案 | 特許庁へ出願、実体審査なしで登録 | 出願日から10年 |
| 意匠権 | 工業製品のデザイン | 特許庁への出願・審査を経て登録 | 出願日から25年 |
| 商標権 | 商品・サービスの目印(マーク、名称) | 特許庁への出願・審査を経て登録 | 設定登録日から10年(更新可能) |
| 営業秘密(不正競争防止法) | 秘密管理性・有用性・非公知性を満たす情報 | 登録不要(3要件を満たす限り) | 期間の定めなし(要件を満たす間) |
用語
- 知的財産権
- 人が創り出したアイディアや表現など、形のない財産を保護する権利の総称。著作権のほか、特許権・実用新案権・意匠権・商標権といった産業財産権、営業秘密の保護などが含まれる。
- 著作権
- 小説・音楽・絵画・写真・映画・プログラムなど、思想や感情を創作的に表現した著作物を保護する権利。創作した瞬間に自動的に発生し、登録や申請、著作権表示(丸C表記)は権利の発生に必要ない。
- 無方式主義
- 著作権が、登録や届出などの手続きを一切しなくても、著作物を創作した時点で自動的に発生するという原則。日本もこの原則を採用しているため、個人が撮った写真にも創作性があれば著作権が生じる。
- 著作者人格権
- 著作者の気持ちや名誉を守る権利で、公表するかどうかを決める公表権、名前の表示方法を決める氏名表示権、無断で内容を変えられない同一性保持権からなる。他人に譲渡することができない点が特徴である。
- 職務著作(法人著作)
- 会社の発意にもとづき従業員が職務として作成し、会社名義で公表された著作物について、契約や就業規則に別の定めがなければ会社が著作者になるという扱い。この場合の保護期間は公表後70年である。
- 産業財産権
- 特許権・実用新案権・意匠権・商標権の4つの総称。いずれも特許庁に出願して登録されることで権利が発生する点が、登録不要の著作権と大きく異なる。工業所有権と呼ばれることもある。
- 特許権
- 自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの(発明)を保護する権利。出願日から20年間存続し、コンピュータを使った新しいビジネスの仕組みも、技術的な工夫があればビジネスモデル特許として認められうる。
- 実用新案権
- 物品の形状・構造・組合せに関する小さな工夫(考案)を保護する権利。中身の審査をせずに登録される無審査主義がとられており、存続期間は出願日から10年と特許権より短い。
- 意匠権
- 工業製品の形状・模様・色彩など、目で見て美しさを感じさせるデザインを保護する権利。存続期間は出願日から25年で、画面デザインや建築物の外観も保護の対象になりうる。
- 商標権
- 自社の商品やサービスを他社のものと区別するための文字・図形・記号などの目印を保護する権利。存続期間は設定登録の日から10年だが、更新登録を繰り返すことで半永久的に維持できる点が特徴である。
- 不正競争防止法
- 営業秘密の不正取得・使用、有名な商品表示と紛らわしい表示の使用、商品形態の模倣、原産地の偽装などを禁止する法律。登録がなくても保護される点で、産業財産権と役割が異なる。
- 営業秘密
- 不正競争防止法で保護される企業の秘密情報。秘密として管理されていること(秘密管理性)、事業に有用であること(有用性)、公然と知られていないこと(非公知性)の3要件をすべて満たす必要がある。
- クロスライセンス
- 複数の企業が互いに自社の特許などの実施を許諾し合う契約。相手の特許を使えるようになるため、権利侵害の争いを避けつつ、それぞれの技術を組み合わせた製品開発を進めやすくなる。
例題
例題:社員が趣味で撮った風景写真をブログに載せた。著作権の登録をしていないが権利はあるか。
答えと考え方 ある。著作権は創作した時点で自動的に発生する無方式主義がとられており、登録や丸C表示がなくても権利は生じる。したがって、この写真を無断で他人が転載すれば著作権侵害となりうる。
例題:2020年に出願し2022年に登録された特許権は、いつまで存続するか。
答えと考え方 原則として出願日から20年なので2040年まで(延長制度の適用がある場合を除く)。起算点が登録日ではなく出願日である点に注意する。なお商標権だけは設定登録の日から10年で、更新すれば半永久的に維持できる。
例題:社内の顧客名簿を、施錠したキャビネットで管理し「社外秘」と表示していた。営業秘密として保護されるか。
答えと考え方 秘密として管理されている(秘密管理性)、事業に有用(有用性)、公然とは知られていない(非公知性)の3要件を満たせば、不正競争防止法上の営業秘密として保護される。誰でも自由に閲覧できる状態だと秘密管理性を欠き、保護されない。
出典・根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(知的財産権)/著作権法・特許法・実用新案法・意匠法・商標法・不正競争防止法
5. セキュリティ関連法規と個人情報
不正アクセス禁止法・個人情報保護法・刑法のコンピュータ関連犯罪・サイバーセキュリティ基本法が、それぞれ何を対象にしているか区別できるようになる。
情報セキュリティに関する法律は、対象がそれぞれ異なります。どの行為がどの法律に当たるかを区別できることが大切です。
不正アクセス禁止法は、他人のIDとパスワードを無断で使ってネットワーク経由でコンピュータにログインする行為(なりすまし)や、セキュリティホールを突いて侵入する行為を禁止しています。さらに、他人のIDやパスワードを本人に無断で第三者に提供する行為、不正に取得・保管する行為、フィッシングのようにだまして入力させる行為も禁止されています。ネットワークを介さず、目の前のパソコンを直接操作する場合は、この法律の対象にはなりません。
個人情報保護法は、生存する個人に関する情報のうち、氏名や生年月日などで特定の個人を識別できるもの、または個人識別符号(マイナンバー、旅券番号、指紋データなど)を含むものを個人情報として、その取扱いのルールを定めています。人種・信条・社会的身分・病歴・犯罪の経歴・犯罪被害の事実など、不当な差別や偏見が生じるおそれのある情報は要配慮個人情報とされ、取得には原則として本人の同意が必要で、オプトアウトによる第三者提供もできません。個人情報を第三者に提供するときは原則として本人の同意が必要です。特定の個人を識別できないように加工し、元に戻せないようにした匿名加工情報は、一定のルールのもとで本人の同意なく第三者に提供できます。監督機関として個人情報保護委員会が置かれています。
刑法にもコンピュータに関する犯罪の規定があります。コンピュータウイルスを正当な理由なく作成・提供・取得・保管する行為は不正指令電磁的記録に関する罪(いわゆるウイルス作成罪)に当たります。データを不正に書き換えて自分の財産上の利益を得る行為は電子計算機使用詐欺罪、コンピュータやデータを壊して業務を妨害する行為は電子計算機損壊等業務妨害罪、記録を勝手に書き換える行為は電磁的記録不正作出罪に当たります。
サイバーセキュリティ基本法は、国のサイバーセキュリティ政策の基本的な考え方と、国・地方公共団体・重要社会基盤事業者などの責務を定めた法律です。個別の犯罪を処罰する法律ではなく、国全体の体制と方針を整えるための法律である点が特徴です。
セキュリティ関連法規の対象の違い| 法律 | 主な対象となる行為・事項 | ポイント |
|---|
| 不正アクセス禁止法 | 他人のIDでのなりすましログイン、ID・パスワードの無断提供、フィッシング | ネットワーク経由の行為が対象。直接操作は対象外 |
| 個人情報保護法 | 個人情報の取得・利用・保管・第三者提供のルール | 要配慮個人情報の取得には原則、本人の同意が必要 |
| 刑法(不正指令電磁的記録に関する罪) | コンピュータウイルスの作成・提供・取得・保管 | 正当な理由なく行うことが要件 |
| 刑法(電子計算機使用詐欺罪) | データの不正操作により財産上の利益を得る行為 | 財産的な利益を得た点が処罰の根拠 |
| 刑法(電子計算機損壊等業務妨害罪) | コンピュータやデータの破壊による業務妨害 | 業務が妨害されたことが要件 |
| サイバーセキュリティ基本法 | 国の基本方針、関係者の責務 | 処罰法ではなく体制整備のための法律 |
用語
- 不正アクセス禁止法
- 他人のIDやパスワードを無断で使ってネットワーク経由でコンピュータを利用する行為などを禁止する法律。IDやパスワードを本人に無断で他人に教える行為(不正アクセス助長行為)も処罰の対象になる。
- 個人情報
- 生存する個人に関する情報で、氏名や生年月日などにより特定の個人を識別できるもの、または個人識別符号を含むもの。他の情報と照合することで容易に個人を識別できるものも個人情報に含まれる。
- 個人識別符号
- それ単体で特定の個人を識別できる文字・番号・記号などで、指紋や顔の特徴を変換したデータ、マイナンバー、旅券番号、運転免許証番号などが該当する。これを含む情報は個人情報として扱われる。
- 要配慮個人情報
- 人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪被害の事実など、本人に対する不当な差別や偏見が生じるおそれのある情報。取得には原則として本人の同意が必要で、オプトアウトによる第三者提供は認められない。
- 匿名加工情報
- 特定の個人を識別できないよう個人情報を加工し、元の個人情報に復元できないようにした情報。定められた基準に従って加工し公表などの手続きを踏めば、本人の同意なく第三者に提供して分析などに活用できる。
- 仮名加工情報
- 他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないように個人情報を加工した情報。社内での分析などに使いやすくする一方、原則として第三者への提供は認められていない点が匿名加工情報と異なる。
- 個人情報保護委員会
- 個人情報の適正な取扱いを確保するために設置された国の機関。事業者に対する報告徴収・立入検査・指導・勧告・命令などを行い、個人情報保護法のガイドラインを示す役割を担う。
- オプトアウト
- 本人の求めがあれば提供を停止することなどを事前に通知・公表したうえで、本人の個別の同意を得ずに個人データを第三者へ提供する方法。要配慮個人情報や不正取得した情報には利用できない。
- 不正指令電磁的記録に関する罪
- 正当な理由なくコンピュータウイルスを作成・提供・供用・取得・保管する行為を処罰する刑法の罪。いわゆるウイルス作成罪と呼ばれ、実際に感染被害が発生していなくても成立しうる。
- 電子計算機使用詐欺罪
- コンピュータに虚偽の情報や不正な指令を与えてデータを作り、財産上不法の利益を得る行為を処罰する刑法の罪。他人のクレジットカード情報を悪用したネット決済などが典型例とされる。
- 電子計算機損壊等業務妨害罪
- 業務に使うコンピュータやデータを壊したり、虚偽の情報を与えたりして、その動作を妨げ業務を妨害する行為を処罰する刑法の罪。大量アクセスによりサーバを停止させる行為などが問題になる。
- サイバーセキュリティ基本法
- 日本のサイバーセキュリティ政策の基本理念と、国・地方公共団体・重要社会基盤事業者・教育研究機関などの責務を定めた法律。特定の行為を処罰するのではなく、国全体の体制と方針を整えることを目的とする。
例題
例題:退職した社員が、在職中に知った同僚のIDとパスワードを自宅から使って社内システムにログインした。どの法律に触れるか。
答えと考え方 不正アクセス禁止法。他人のIDとパスワードを無断で使い、ネットワーク経由でコンピュータを利用する典型的な不正アクセス行為に当たる。なお、そのIDとパスワードを別の人に無断で教えた場合も、不正アクセス助長行為として同法の対象になる。
例題:アンケートで「持病の有無」を聞きたい。個人情報保護法上、注意すべき点は。
答えと考え方 病歴は要配慮個人情報に当たるため、取得には原則として本人の同意が必要である。また要配慮個人情報はオプトアウトによる第三者提供が認められていないので、外部に提供する場合は本人の同意を個別に得る必要がある。
例題:購買履歴データを、氏名や住所を削除し個人を特定できないよう基準に従って加工したうえで、他社との共同分析に使いたい。
答えと考え方 定められた基準に従って加工し、必要な公表などの手続きを行えば匿名加工情報として扱えるため、本人の同意なく第三者に提供できる。ただし、元の個人情報に復元しようとする行為や、他の情報と照合して本人を特定する行為は禁止されている。
出典・根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(セキュリティ関連法規)/不正アクセス禁止法・個人情報保護法・刑法・サイバーセキュリティ基本法
6. 労働・取引関連法規と標準化
派遣と請負の違い、労働基準法の基本、2026年1月に施行された中小受託取引適正化法、そして標準化団体と主要な規格が区別できるようになる。
働き方に関する基本の法律が労働基準法です。労働時間の上限(原則1日8時間・週40時間)、休憩・休日、賃金の支払い方などの最低基準を定めています。法定労働時間を超えて働かせるには、労使協定(いわゆる36協定)を結んで労働基準監督署に届け出る必要があります。始業と終業の時刻を働く人自身が決められるフレックスタイム制や、実際の労働時間ではなくあらかじめ決めた時間働いたとみなす裁量労働制も定められています。
外部の人に仕事をしてもらう形には、労働者派遣と請負があります。この2つの最大の違いは指揮命令の関係です。労働者派遣では、派遣元と雇用契約を結んだ派遣労働者が、派遣先の指揮命令を受けて働きます。一方、請負では、注文者は請負業者の労働者に直接指示を出すことができず、指揮命令は請負業者が行い、請負業者は仕事の完成に対して責任を負います。契約は請負なのに実態は注文者が直接指示している状態を偽装請負といい、違法とされます。また、派遣された労働者をさらに別の会社へ派遣する二重派遣も禁止されています。
取引の公正さを守る法律もあります。従来の下請法は改正され、2026年1月1日から「中小受託取引適正化法」(略称:取適法)という名称になりました。あわせて「親事業者」は「委託事業者」、「下請事業者」は「中小受託事業者」という呼び方に改められています。改正では、受託側から協議の求めがあるのに一方的に代金を決める行為の禁止、支払手段としての手形払いの禁止、振込手数料を受託側に一方的に負担させることの制限などが加えられました。
そのほか、事業者どうしの公正な競争を守るのが独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)で、カルテルや不公正な取引方法を禁止し、公正取引委員会が運用します。製造物責任法(PL法)は、製造物の欠陥によって生命・身体・財産に被害が生じた場合、製造業者に故意や過失がなくても損害賠償責任を負わせる法律です。訪問販売や電話勧誘販売などを規制し、一定期間内であれば無条件で契約を解除できるクーリングオフを定めているのが特定商取引法です。
製品やデータの形式をそろえる取組みが標準化です。国際的な標準を作る団体にはISO(国際標準化機構)、電気・電子分野のIEC(国際電気標準会議)、通信分野のITU(国際電気通信連合)があり、日本国内の産業標準がJIS(日本産業規格)です。学会が定める規格としてIEEE(米国電気電子学会、LANのIEEE 802シリーズなど)、Webの技術仕様を策定するW3Cがあります。マネジメントシステム規格では、品質のISO 9000シリーズ、環境のISO 14000シリーズ、情報セキュリティのISO/IEC 27000シリーズが代表的です。個人情報の保護については JIS Q 15001 があり、これに適合した体制を持つ事業者に付与されるのがプライバシーマークです。
労働者派遣と請負の違い| 観点 | 労働者派遣 | 請負 |
|---|
| 雇用契約を結ぶ相手 | 派遣元事業者 | 請負事業者 |
| 作業の指揮命令をする者 | 派遣先の企業 | 請負事業者(注文者は指示できない) |
| 契約の目的 | 労働力の提供 | 仕事の完成 |
| 成果物への責任 | 負わない(労働時間に対する対価) | 負う(完成させる義務がある) |
| 根拠となる主な法律 | 労働者派遣法 | 民法(請負契約) |
| 違法となる典型例 | 二重派遣 | 偽装請負(注文者が直接指示する) |
用語
- 労働基準法
- 労働時間・休憩・休日・賃金など、働く人を守るための最低限の基準を定めた法律。原則1日8時間・週40時間を超えて働かせるには労使協定(36協定)を結び、労働基準監督署へ届け出る必要がある。
- 36協定
- 労働基準法第36条にもとづき、法定労働時間を超える時間外労働や休日労働をさせるために、会社と労働者の過半数代表などが結ぶ協定。締結したうえで労働基準監督署に届け出て初めて有効になる。
- 裁量労働制
- 仕事の進め方を働く人の裁量に任せ、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ労使で決めた時間を働いたものとみなす制度。研究開発など、成果と時間が比例しにくい業務を対象とする。
- 労働者派遣
- 派遣元と雇用契約を結んだ労働者が、派遣先の指揮命令を受けて働く形態。雇用主は派遣元だが、日々の作業指示は派遣先が出す点が特徴で、労働者派遣法によってルールが定められている。
- 請負
- 仕事を完成させることを約束し、その結果に対して報酬を受け取る契約。注文者は請負業者の労働者に直接指示を出すことができず、指揮命令は請負業者が行う。完成した成果物に対して責任を負う点が特徴である。
- 偽装請負
- 契約の形式は請負なのに、実際には注文者が相手の労働者に直接指示を出している状態。労働者派遣法などの規制を逃れる違法な行為とされ、指揮命令が誰から出ているかで判断される。
- 中小受託取引適正化法(取適法)
- 従来の下請法が改正され、2026年1月1日から用いられている法律の名称。従来の親事業者は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者と呼ばれ、代金の一方的な決定の禁止や手形払いの禁止などが加えられた。
- 独占禁止法
- 正式名称は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律。企業どうしが 価格を申し合わせるカルテルや、不公正な取引方法などを禁止して公正な競争を守る法律で、公正取引委員会が運用する。
- 製造物責任法(PL法)
- 製造物の欠陥が原因で生命・身体・財産に被害が生じたとき、被害者が製造業者の故意や過失を証明しなくても損害賠償を請求できるとした法律。欠陥の存在と損害との因果関係を示せばよい点が特徴である。
- 特定商取引法
- 訪問販売、電話勧誘販売、通信販売、連鎖販売取引などを規制し、消費者トラブルを防ぐ法律。訪問販売などでは、書面を受け取ってから一定期間内であれば無条件で契約を解除できるクーリングオフが認められている。
- 標準化
- 製品の寸法や品質、データの形式、手順などを共通のルールとしてそろえること。互換性が高まり、部品の使い回しや相互接続ができるようになるほか、品質の確保や取引の効率化にもつながる。
- ISO(国際標準化機構)
- 工業製品やマネジメントシステムなど幅広い分野の国際規格を定める機関。品質マネジメントのISO 9000シリーズ、環境マネジメントのISO 14000シリーズなどが代表的な規格である。
- JIS(日本産業規格)
- 日本国内の鉱工業品やデータ、サービスなどについて定められた国家規格。国際規格との整合が図られており、ISO/IEC 27000シリーズに対応するJIS Q 27000のように、番号を対応させた規格が多い。
- IEEE
- 米国電気電子学会のことで、電気・電子・情報分野の標準を定める学会。有線LANや無線LANの規格であるIEEE 802シリーズが広く知られており、通信機器の相互接続を支えている。
- W3C
- World Wide Web Consortiumの略で、HTMLやCSS、XMLなどWebに関する技術仕様を策定する国際的な団体。特定の企業に依存しない共通仕様を定めることで、Webの相互運用性を保っている。
- JIS Q 15001とプライバシーマーク
- JIS Q 15001は個人情報保護マネジメントシステムの要求事項を定めた日本の規格。この規格に適合した体制を整えていると審査で認められた事業者に付与される制度がプライバシーマーク(Pマーク)である。
例題
例題:自社に常駐している協力会社の社員に、自社の課長が直接作業指示を出している。契約は請負である。何が問題か。
答えと考え方 請負契約では注文者が請負業者の労働者に直接指揮命令をすることはできず、この状態は偽装請負として違法となる。直接指示を出したいのであれば、労働者派遣契約に切り替えるなど、実態に合った契約形態にする必要がある。
例題:2026年に「下請法」という名称の法律を探したが見つからない。なぜか。
答えと考え方 下請法は改正され、2026年1月1日から「中小受託取引適正化法」(略称:取適法)という名称になったため。あわせて親事業者は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者という呼称に改められ、手形払いの禁止などの規制も追加された。
例題:購入した電化製品の欠陥で火災が起き、家財が焼けた。製造業者の過失を証明しないと賠償を受けられないか。
答えと考え方 製造物責任法(PL法)により、製造業者の故意や過失を証明する必要はない。製造物に欠陥があったこと、そして被害との因果関係を示せば損害賠償を請求できる。過失を立証する負担を被害者から取り除いた点がこの法律の要点である。
例題:無線LANの規格「IEEE 802.11」を定めたのはどの団体か。
答えと考え方 IEEE(米国電気電子学会)。ISOは工業製品やマネジメントシステム全般の国際規格、W3CはHTMLやCSSなどWebの技術仕様、JISは日本の国家規格を担当しており、それぞれ役割が異なる。
出典・根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(労働関連・取引関連法規、標準化)/労働基準法・労働者派遣法・中小受託取引適正化法(2026年1月1日施行)・独占禁止法・製造物責任法・特定商取引法
確認問題(55問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|経営資源
企業の経営資源を「ヒト・モノ・カネ・情報」に分類したとき、「情報」に該当するものはどれか。
- 製品を組み立てるために工場に設置した生産設備
- 銀行から借り入れた事業運転のための資金
- 長年の取引で蓄積した顧客の購買データ
- 新たに採用して配属した営業担当者
正解と解説
正解:C. 長年の取引で蓄積した顧客の購買データ顧客の購買データは分析して意思決定に活用できる無形の資源であり「情報」に当たる。生産設備は「モノ」、借入金は「カネ」、営業担当者は「ヒト」であって、それぞれ別の経営資源に分類されるため誤りである。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動
問2|PDCA
PDCAサイクルにおいて、評価の結果を踏まえて計画ややり方を手直しする段階はどれか。
- Plan
- Do
- Check
- Act
正解と解説
正解:D. ActAct(改善)は、Check(評価)で明らかになった問題点をもとにやり方を手直しし、次の計画につなげる段階である。Planは計画の立案、Doは計画に沿った実行、Checkは計画と実績を比べて評価する段階であり、いずれも手直しそのものではない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動
問3|事業部制組織
事業部制組織の説明として、最も適切なものはどれか。
- 開発・製造・営業など仕事の種類ごとに組織を分け、専門性を高める。
- 特定の目的のために部門を越えて期間を限って人を集め、目的の達成後に解散する。
- 製品や地域などの単位で組織を分け、各事業部に利益に対する責任を持たせる。
- 職能と事業という二つの指揮命令系統に同時に所属させ、人材を柔軟に使う。
正解と解説
正解:C. 製品や地域などの単位で組織を分け、各事業部に利益に対する責任を持たせる。事業部制組織は製品別や地域別に分けた事業部が利益まで責任を負う形態で、意思決定が速い反面、機能の重複でコストが増えやすい。仕事の種類で分けるのは職能別組織、期間限定の編成はプロジェクト組織、二つの系統に属するのはマトリックス組織である。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動
問4|組織形態
従業員が職能部門と製品別部門の両方に所属し、二人の上司から指示を受けることがある組織形態はどれか。
- 職能別組織
- 事業部制組織
- カンパニー制
- マトリックス組織
正解と解説
正解:D. マトリックス組織縦(職能)と横(製品や事業)の二つの所属を同時に持たせるのがマトリックス組織で、人材を柔軟に使える一方、指示が食い違うと混乱しやすい。職能別組織と事業部制組織、カンパニー制はいずれも一人の従業員が一つの系統に属するため、二人の上司は前提とならない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動
問5|CIO
CIOの役割として最も適切なものはどれか。
- 企業経営の全体に対して最終的な責任を負う。
- 経営戦略に沿って、企業全体の情報化の方針とIT投資を統括する。
- 財務や資金調達に関する業務を統括する。
- サーバやネットワークの日々の運用作業を自ら担当し、発生した障害に対応する。
正解と解説
正解:B. 経営戦略に沿って、企業全体の情報化の方針とIT投資を統括する。CIO(最高情報責任者)は情報化戦略とIT投資に責任を持つ経営層の役職である。経営全体に責任を負うのはCEO、財務を統括するのはCFOであり、日々の運用作業は情報システム部門の担当者の仕事で、いずれもCIOの役割の説明ではない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動
問6|OJT
OJTに該当するものはどれか。
- 外部の研修施設に社員を集め、日常の業務を離れて簿記の基礎を体系的に学ばせる。
- 配属された新入社員に、上司が実際の業務を担当させながら手順を指導する。
- 社員が業務時間外に自費で通信教育を受講する。
- 資格試験に合格した社員に、受験費用を会社が補助する。
正解と解説
正解:B. 配属された新入社員に、上司が実際の業務を担当させながら手順を指導する。OJTは職場で実務を通じて上司や先輩が指導する育成方法であり、業務を担当させながらの指導が典型例である。外部の集合研修はOff-JT、自費の通信教育は自己啓発、受験費用の補助は自己啓発の支援策であって、いずれもOJTには当たらない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動
問7|BCP
BCP(事業継続計画)を策定する目的として、最も適切なものはどれか。
- 平常時の業務手順を見直して無駄を省き、生産性を高める。
- 情報システムに脆弱性がないかを定期的に検査して修正し、外部からの不正アクセスを未然に防ぐ。
- 災害や大規模障害が発生しても重要な業務を継続し、又は目標時間内に復旧できるようにする。
- 新規事業への投資額と回収期間を見積もり、投資すべきかを評価する。
正解と解説
正解:C. 災害や大規模障害が発生しても重要な業務を継続し、又は目標時間内に復旧できるようにする。BCPは、非常時にも重要業務を止めない、あるいは目標復旧時間内に再開するための計画である。平常時の生産性向上は業務改善、脆弱性検査はセキュリティ対策、投資評価は投資判断の手法であり、いずれもBCPの目的とは異なる。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動
問8|CSR
企業がCSRの一環として行う活動として、最も適切なものはどれか。
- 競合他社と販売価格をあらかじめ申し合わせておき、業界全体の利益率を確保する。
- 事業活動で排出する二酸化炭素の削減目標を公表し、その達成状況を毎年報告する。
- 決算の数字を実態より良く見せて、株価の下落を防ぐ。
- 開発した新技術を特許出願して、他社の模倣を防ぐ。
正解と解説
正解:B. 事業活動で排出する二酸化炭素の削減目標を公表し、その達成状況を毎年報告する。CSRは企業が社会や環境に対する責任を果たす取組みであり、環境負荷の削減目標の公表と報告はその代表例である。価格の申合せは独占禁止法違反、粉飾決算は違法行為、特許出願は通常の事業活動であってCSRとはいえない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動
問9|企業統治
コーポレートガバナンスを強化する取組みとして、最も適切なものはどれか。
- 従業員の残業時間を削減して人件費を抑える。
- 主力製品の生産を人件費の安い海外の工場に移す。
- 社外取締役を選任し、経営者の意思決定を社外の視点から監視できるようにする。
- 社内ネットワークの出入口にファイアウォールを設置し、不正な通信を遮断できるようにする。
正解と解説
正解:C. 社外取締役を選任し、経営者の意思決定を社外の視点から監視できるようにする。コーポレートガバナンス(企業統治)は経営を監視し健全性と透明性を保つ仕組みで、社外取締役の選任はその代表的な手段である。残業削減や生産移管はコスト管理、ファイアウォールの設置は情報セキュリティ対策であり、経営の監視という目的とは異なる。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動
問10|貸借対照表
貸借対照表において常に成り立つ関係はどれか。
- 資産=負債+純資産
- 資産=負債−純資産
- 純資産=資産+負債
- 負債=資産+純資産
正解と解説
正解:A. 資産=負債+純資産貸借対照表は左側に資産、右側に負債と純資産を記載し、左右の合計は必ず一致するため「資産=負債+純資産」が成り立つ。他の三つはこの関係の移項を誤ったもので、いずれも左右の合計が一致せず成り立たない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(会計・財務)
問11|売上総利益
売上高5,000万円、売上原価3,200万円、販売費及び一般管理費1,000万円のとき、売上総利益は何万円か。
- 800
- 3,200
- 4,000
- 1,800
正解と解説
正解:D. 1,800売上総利益=売上高−売上原価=5,000−3,200=1,800万円である。800万円はさらに販売費及び一般管理費を差し引いた営業利益、3,200万円は売上原価そのもの、4,000万円は売上高から販売費及び一般管理費だけを引いた値であり、いずれも売上総利益ではない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(会計・財務)
問12|営業利益
営業利益の説明として適切なものはどれか。
- 売上高から売上原価を差し引いた利益
- 経常利益に特別利益を加えて特別損失を差し引いた利益
- 売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた利益
- 税引前当期純利益から法人税等を差し引いた利益
正解と解説
正解:C. 売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた利益営業利益は本業でどれだけ稼いだかを表し、売上総利益から販売費及び一般管理費を引いて求める。売上高−売上原価は売上総利益、経常利益に特別損益を加減したものは税引前当期純利益、そこから法人税等を引いたものが当期純利益である。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(会計・財務)
問13|損益分岐点
固定費が800万円、変動費率が0.6であるとき、損益分岐点売上高は何万円か。
- 1,280
- 1,333
- 3,200
- 2,000
正解と解説
正解:D. 2,000損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費率)=800÷(1−0.6)=2,000万円である。売上高2,000万円のとき変動費1,200万円と固定費800万円の合計が売上高と等しくなり利益がゼロになる。1,333万円は固定費を変動費率で割った誤りであり、1,280万円では費用の合計が売上高を上回って損失が出る。3,200万円では逆に利益が出てしまい、いずれも利益がゼロにならない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(会計・財務)
問14|損益分岐点
売上高3,000万円、変動費1,200万円、固定費900万円の企業の損益分岐点売上高は何万円か。
- 900
- 2,100
- 2,250
- 1,500
正解と解説
正解:D. 1,500変動費率=1,200÷3,000=0.4なので、損益分岐点売上高=900÷(1−0.4)=1,500万円である。900万円は固定費そのもの、2,100万円は変動費と固定費の合計、2,250万円は固定費を変動費率で割った誤った計算結果であり、いずれも正しくない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(会計・財務)
問15|ROE
ROE(自己資本利益率)を求める式はどれか。
- 当期純利益÷総資産×100
- 自己資本÷総資産×100
- 当期純利益÷自己資本×100
- 売上高÷総資産×100
正解と解説
正解:C. 当期純利益÷自己資本×100ROEは株主が出した自己資本をどれだけ効率よく利益に変えたかを示す指標で、当期純利益÷自己資本×100で求める。当期純利益÷総資産はROA、自己資本÷総資産は自己資本比率、売上高÷総資産は総資産回転率であり、いずれも別の指標である。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(会計・財務)
問16|ROA
当期純利益120万円、総資産3,000万円、自己資本1,000万円の企業のROAは何%か。
- 12
- 33.3
- 0.04
- 4
正解と解説
正解:D. 4ROA=当期純利益÷総資産×100=120÷3,000×100=4%である。12%は自己資本で割ったROEの値、33.3%は自己資本÷総資産で求めた自己資本比率、0.04は100を掛け忘れた値であり、いずれもROAとして正しくない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(会計・財務)
問17|自己資本比率
自己資本比率が高い企業について言えることとして、最も適切なものはどれか。
- 他人資本である借入金の割合が大きく、支払利息の負担が重い。
- 返済義務のない資金の割合が大きく、財務の安全性が高い。
- 売上高に対する利益の割合が大きい。
- 総資産を効率よく売上高に結び付けている。
正解と解説
正解:B. 返済義務のない資金の割合が大きく、財務の安全性が高い。自己資本比率=自己資本÷総資産×100で、返済不要の自己資本が総資産に占める割合を示すため、高いほど借入への依存が小さく安全性が高い。借入割合が大きいのは自己資本比率が低い状態であり、利益率や総資産回転率は別の指標が示す内容である。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(会計・財務)
問18|減価償却
減価償却の説明として適切なものはどれか。
- 売れ残った商品の販売価格を段階的に引き下げ、在庫として処分する。
- 借入金の元本を毎年一定額ずつ分割して返済していく。
- 長期間使用する固定資産の取得額を、耐用年数にわたって分割し費用として計上する。
- 1年間の現金の入出金を、営業活動・投資活動・財務活動の三つの区分に分けて記録する。
正解と解説
正解:C. 長期間使用する固定資産の取得額を、耐用年数にわたって分割し費用として計上する。減価償却は、建物や機械のように長く使う資産の取得額を耐用年数に応じて各期の費用に配分する会計処理である。値下げ処分は在庫の処理、元本返済は資金の動き、現金の分類記録はキャッシュフロー計算書の説明であり、いずれも減価償却ではない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(会計・財務)
問19|パレート図
項目を件数の多い順に棒グラフで並べ、その累積比率を折れ線で重ねて表す図はどれか。
- パレート図
- 特性要因図
- 散布図
- 管理図
正解と解説
正解:A. パレート図パレート図は件数や金額の大きい順の棒グラフと累積比率の折れ線からなり、影響の大きい項目を絞り込むために使う。特性要因図は原因の洗い出し、散布図は二つの項目の相関、管理図は工程が安定しているかの判定に使う図であり、形も目的も異なる。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(業務分析・データ利活用)
問20|ABC分析
ABC分析の目的として最も適切なものはどれか。
- 売上金額などの大きい順に商品を三つのランクに分け、重要度に応じた管理を行う。
- 二つの項目の値を縦軸と横軸に打点し、相関があるかどうかを調べる。
- 測定値を時系列に打点し、管理限界線と見比べて工程が安定した状態にあるかどうかを判定する。
- 結果に対する原因を魚の骨のような図に大骨と小骨で分けて洗い出す。
正解と解説
正解:A. 売上金額などの大きい順に商品を三つのランクに分け、重要度に応じた管理を行う。ABC分析は、金額などの累積比率にもとづいて対象をA・B・Cにランク分けし、重要なAランクを重点管理する手法である。相関を調べるのは散布図、工程の安定性判定は管理図、原因の洗い出しは特性要因図の目的であり、いずれもABC分析ではない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(業務分析・データ利活用)
問21|特性要因図
不良の発生という結果に対して、その原因を「人・機械・材料・方法」などに分けて枝状に書き出す図はどれか。
- ヒストグラム
- 特性要因図
- パレート図
- 散布図
正解と解説
正解:B. 特性要因図特性要因図は結果(特性)と原因(要因)を魚の骨のような枝分かれで表し、原因の抜け漏れを防ぐために使う。ヒストグラムはデータの分布、パレート図は重点項目の絞り込み、散布図は二つの項目の相関を見るための図であり、原因の分類には向かない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(業務分析・データ利活用)
問22|散布図
気温とアイスクリームの売上高との間に関係があるかどうかを調べたい。最も適した図はどれか。
- 管理図
- 散布図
- チェックシート
- 特性要因図
正解と解説
正解:B. 散布図散布図は二つの項目を縦軸と横軸にとって点を打ち、右上がりなら正の相関があると判断できるため、関係の有無を調べるのに適する。管理図は工程の異常判定、チェックシートはデータの収集、特性要因図は原因の整理に使う図であり、相関の把握には適さない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(業務分析・データ利活用)
問23|管理図
管理図の説明として適切なものはどれか。
- データをいくつかの区間に区切り、区間ごとの個数を棒の高さで表す。
- 項目ごとの件数を大きい順に棒で並べ、その累積比率から重点管理の対象を決める。
- 測定値を時系列に打点し、管理限界線を超えたかどうかで工程の異常を判定する。
- 出された意見を1枚ずつカードに書き、似たものをグループ化して整理する。
正解と解説
正解:C. 測定値を時系列に打点し、管理限界線を超えたかどうかで工程の異常を判定する。管理図は時間の経過に沿って測定値を打点し、管理限界を超えたり偏ったりしたときに工程の異常と判断するために使う。区間ごとの個数を表すのはヒストグラム、累積比率で重点を決めるのはパレート図、カードでの整理はKJ法の説明である。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(業務分析・データ利活用)
問24|層別
不良品のデータを、製造した機械ごとや作業した時間帯ごとに分けて集計し、違いを調べる方法はどれか。
- 標準化
- 正規化
- 平準化
- 層別
正解と解説
正解:D. 層別層別は、データを機械別・時間帯別・作業者別などの条件に分けて比較し、違いの原因を突き止めるQC七つ道具の一つである。標準化は規格をそろえること、正規化はデータベース設計などでの重複の排除、平準化は作業量を均すことであり、いずれも別の概念である。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(業務分析・データ利活用)
問25|BS法
ブレーンストーミングの原則として適切なものはどれか。
- 実現性の低い意見はその場で除外していき、質の高い案だけを残す。
- 発言者を役職の高い順に指名して意見を述べさせる。
- あらかじめ結論を決めておき、それに沿った意見だけを集める。
- 出された意見を批判せず、他人の意見に便乗した発展も歓迎する。
正解と解説
正解:D. 出された意見を批判せず、他人の意見に便乗した発展も歓迎する。ブレーンストーミングは「批判をしない」「自由奔放」「質より量」「結合改善(便乗歓迎)」の四原則にもとづく発想法である。その場での取捨選択、役職順の指名、結論の先取りはいずれも自由な発想を妨げるため、原則に反する。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(業務分析・データ利活用)
問26|線形計画法
限られた原材料と作業時間の下で利益が最大になる製品の生産量の組合せを、1次式で表した制約条件と目的関数から求める手法はどれか。
- 回帰分析
- 線形計画法
- 待ち行列理論
- デルファイ法
正解と解説
正解:B. 線形計画法線形計画法は、制約条件と目的関数をいずれも1次式で表し、目的が最大または最小になる解を求める手法である。回帰分析は変数間の関係を式で表す統計手法、待ち行列理論は待ち時間の分析、デルファイ法は専門家の意見を繰り返し集約する予測手法であり、目的が異なる。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(業務分析・データ利活用)
問27|定量発注
定量発注方式の説明として適切なものはどれか。
- 在庫量があらかじめ決めた発注点まで減った時点で、毎回一定量を発注する。
- 毎月末など決まった時期に、在庫量と需要予測からその都度必要量を計算して発注する。
- 在庫を持たず、必要になった時点で必要な量だけを生産する。
- 前年の販売実績と同じ量を、毎年そのまま発注する。
正解と解説
正解:A. 在庫量があらかじめ決めた発注点まで減った時点で、毎回一定量を発注する。定量発注方式は在庫が発注点まで減った時点で決まった量を発注する方式で、手続きが簡単なため単価が低く需要の安定した品目に向く。決まった時期に必要量を計算するのは定期発注方式、必要時に必要量を作るのはジャストインタイム方式であり、別の考え方である。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類1:企業活動(業務分析・データ利活用)
問28|著作権の発生
日本の著作権法において、著作権が発生する時点はどれか。
- 著作物を創作した時点
- 文化庁へ登録を申請した時点
- 著作物を初めて公表した時点
- 著作権表示(丸C表示)を付けた時点
正解と解説
正解:A. 著作物を創作した時点日本は無方式主義を採っており、著作物を創作した時点で著作権が自動的に発生する。登録・公表・著作権表示はいずれも権利の発生要件ではなく、登録は権利の移転などを第三者に主張するための制度にすぎないため、いずれも誤りである。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(知的財産権)/著作権法
問29|保護期間
個人が創作し、その氏名で公表された著作物の著作権の保護期間は、原則としていつまでか。
- 著作者の死後50年
- 公表後50年
- 著作者の死後70年
- 創作後20年
正解と解説
正解:C. 著作者の死後70年個人名義の著作物の保護期間は、原則として著作者の死後70年である。死後50年は過去の規定で現在は延長されている。公表からの年数で計算するのは法人名義の著作物や映画の著作物であり、20年は特許権の存続期間であって著作権とは関係がない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(知的財産権)/著作権法
問30|法人著作の期間
会社の名義で公表された著作物の著作権の保護期間は、原則としてどれか。
- 公表後70年
- 公表後50年
- 会社の設立から70年
- 代表者の死後70年
正解と解説
正解:A. 公表後70年法人その他の団体の名義で公表された著作物の保護期間は、原則として公表後70年である。個人名義であれば著作者の死後70年で計算するが、法人には死亡がないため公表時が起算点になる。設立や代表者の死亡を起算点とする規定は存在しない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(知的財産権)/著作権法
問31|保護対象外
著作権法において、プログラムに関する著作物の保護が及ばないものはどれか。
- 具体的に記述されたソースプログラム
- プログラム言語や解法(アルゴリズム)そのもの
- ソースプログラムを変換したオブジェクトプログラム
- 業務用に開発されたアプリケーションプログラム
正解と解説
正解:B. プログラム言語や解法(アルゴリズム)そのもの著作権法は、プログラムを作成するためのプログラム言語・規約・解法そのものには保護を及ぼさないと定めている。一方、具体的に書かれたソースプログラムやそれを変換したオブジェクトプログラム、業務用アプリケーションは著作物として保護される。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(知的財産権)/著作権法
問32|職務著作
職務著作(法人著作)が成立し、会社が著作者となるための要件として適切なものはどれか。
- 従業員が会社のパソコンや設備を使い、勤務時間内に作成したこと
- 作成した著作物を特許庁へ出願し、審査を経て登録を受けること
- 会社が作成した従業員に対して、著作物の対価となる報酬を支払っていること
- 法人の発意にもとづき従業員が職務上作成し、法人の名義で公表されること
正解と解説
正解:D. 法人の発意にもとづき従業員が職務上作成し、法人の名義で公表されること職務著作は、法人の発意にもとづき従業員が職務上作成し、法人名義で公表され、契約や就業規則に別段の定めがない場合に成立する。設備の使用や報酬の支払いだけでは要件を満たさず、著作権は登録不要なので特許庁への登録も関係がない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(知的財産権)/著作権法
問33|特許権の期間
特許権の存続期間は、原則としてどれか。
- 登録日から20年
- 出願日から10年
- 登録日から25年
- 出願日から20年
正解と解説
正解:D. 出願日から20年特許権の存続期間は原則として出願日から20年である。起算点が登録日ではなく出願日である点が要点で、出願日から10年は実用新案権、25年は意匠権の存続期間であり、いずれも特許権のものではない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(知的財産権)/特許法・実用新案法・意匠法・商標法
問34|実用新案権
実用新案権の特徴として適切なものはどれか。
- 高度な発明を対象とし、厳格な実体審査を経て登録される。
- 商品やサービスの目印となる名称やマークを対象とする。
- 物品の形状や構造に関する考案を対象とし、実体審査を経ずに登録される。
- 出願や登録の手続をしなくても、著作物を創作した時点で自動的に権利が発生する。
正解と解説
正解:C. 物品の形状や構造に関する考案を対象とし、実体審査を経ずに登録される。実用新案権は物品の形状・構造・組合せに関する考案を保護し、実体審査を経ずに登録される点が特徴で、存続期間は出願日から10年である。高度な発明を審査するのは特許権、目印を守るのは商標権、自動的に発生するのは著作権であり、いずれも当てはまらない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(知的財産権)/特許法・実用新案法・意匠法・商標法
問35|意匠権
工業製品の形状や模様などのデザインを保護する権利と、その存続期間の組合せとして適切なものはどれか。
- 意匠権、出願日から25年
- 意匠権、設定登録日から10年
- 商標権、出願日から25年
- 著作権、登録日から20年
正解と解説
正解:A. 意匠権、出願日から25年デザインを保護するのは意匠権で、存続期間は出願日から25年である。設定登録日から10年で更新できるのは商標権であり、著作権はデザインではなく創作的な表現を保護し、登録も存続期間20年という定めもないため、他の組合せは誤りである。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(知的財産権)/特許法・実用新案法・意匠法・商標法
問36|商標権
商標権の存続期間に関する記述として適切なものはどれか。
- 出願日から20年であり、期間が満了した後に更新することは一切できない。
- 権利者の死後70年を経過するまで存続する。
- 一度登録すれば、更新の手続をしなくても永久に存続する。
- 設定登録の日から10年であるが、更新登録によって繰り返し延長できる。
正解と解説
正解:D. 設定登録の日から10年であるが、更新登録によって繰り返し延長できる。商標権の存続期間は設定登録の日から10年で、更新登録を繰り返せば半永久的に維持できる点が他の産業財産権と大きく異なる。出願から20年は特許権、死後70年は著作権の保護期間であり、更新しなければ商標権は消滅するため永久ではない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(知的財産権)/特許法・実用新案法・意匠法・商標法
問37|営業秘密
不正競争防止法上の営業秘密として保護されるために必要な三つの要件はどれか。
- 秘密管理性、有用性、非公知性
- 新規性、進歩性、産業上の利用可能性
- 独創性、公表性、登録性
- 有償性、継続性、排他性
正解と解説
正解:A. 秘密管理性、有用性、非公知性営業秘密は、秘密として管理され(秘密管理性)、事業に有用で(有用性)、公然と知られていない(非公知性)ことの三要件をすべて満たす必要がある。新規性・進歩性・産業上の利用可能性は特許を受けるための要件であり、他の二つはこの法律の要件ではない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(知的財産権)/不正競争防止法
問38|不正アクセス
不正アクセス禁止法で禁止されている行為はどれか。
- 自分に貸与されたIDとパスワードを使って社内システムにログインする。
- 業務上知った他人のIDとパスワードを、本人に無断で第三者に教える。
- 上司の許可を得て、会社のパソコンから私的なメールを送信する。
- 一般に公開されているWebサイトの情報を閲覧して保存する。
正解と解説
正解:B. 業務上知った他人のIDとパスワードを、本人に無断で第三者に教える。他人のIDやパスワードを本人に無断で第三者へ提供する行為は、不正アクセス助長行為として同法で禁止されている。自分に貸与されたIDでのログイン、許可を得た利用、公開情報の閲覧はいずれも不正なアクセスに当たらないため誤りである。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(セキュリティ関連法規)/不正アクセス禁止法
問39|個人情報
個人情報保護法における個人情報に該当するものはどれか。
- 個人を特定できないように集計された、年代別の来店者数
- 氏名と生年月日が記載された、生存する個人の顧客名簿
- 企業の代表電話番号と本社の所在地
- すでに死亡した歴史上の人物の経歴
正解と解説
正解:B. 氏名と生年月日が記載された、生存する個人の顧客名簿個人情報は生存する個人に関する情報で特定の個人を識別できるものをいうため、氏名と生年月日を含む顧客名簿が該当する。集計値は個人を識別できず、企業の連絡先は法人の情報、死亡した人物の情報は生存という要件を満たさないため該当しない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(セキュリティ関連法規)/個人情報保護法
問40|要配慮個人情報
個人情報保護法における要配慮個人情報に該当するものはどれか。
- 本人の勤務先の名称
- 本人の携帯電話番号
- 本人の病歴
- 本人が購入した商品の履歴
正解と解説
正解:C. 本人の病歴要配慮個人情報は、人種・信条・社会的身分・病歴・犯罪の経歴・犯罪被害の事実など、不当な差別や偏見が生じるおそれのある情報で、病歴はその代表例である。勤務先・電話番号・購買履歴は個人情報ではあるが、要配慮個人情報には当たらない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(セキュリティ関連法規)/個人情報保護法
問41|匿名加工情報
匿名加工情報に関する記述として適切なものはどれか。
- 定められた基準に従って加工し必要な手続きを行えば、本人の同意を得ずに第三者へ提供できる。
- 定められた基準に従って加工した後であっても、第三者への提供には常に本人の同意が必要である。
- 分析の必要があれば、元の個人情報に復元して利用してよい。
- 氏名の記載を削除しさえすれば、それだけで匿名加工情報として扱える。
正解と解説
正解:A. 定められた基準に従って加工し必要な手続きを行えば、本人の同意を得ずに第三者へ提供できる。匿名加工情報は特定の個人を識別できず元の個人情報に復元できないよう加工した情報で、所定の基準と公表などの手続きを守れば本人の同意なく第三者提供ができる。復元しようとする行為は禁止されており、氏名を消すだけでは加工基準を満たさない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(セキュリティ関連法規)/個人情報保護法
問42|第三者提供
個人データを第三者に提供する場合の原則として、適切なものはどれか。
- あらかじめ本人の同意を得なければならない。
- 提供先が国内の事業者であれば、本人の同意は不要である。
- 提供した後に本人へ通知すれば、本人の同意は不要である。
- 提供する項目が三つ以下であれば、本人の同意は不要である。
正解と解説
正解:A. あらかじめ本人の同意を得なければならない。個人データの第三者提供は、あらかじめ本人の同意を得ることが原則である。提供先が国内かどうか、事後の通知の有無、提供項目の数はいずれも同意を不要とする理由にならない。法令にもとづく場合など、例外は法律で個別に定められている。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(セキュリティ関連法規)/個人情報保護法
問43|ウイルス作成罪
正当な理由なくコンピュータウイルスを作成し、他人に提供する行為を処罰する法律はどれか。
- 刑法(不正指令電磁的記録に関する罪)
- 不正アクセス禁止法
- 個人情報保護法
- サイバーセキュリティ基本法
正解と解説
正解:A. 刑法(不正指令電磁的記録に関する罪)ウイルスの作成・提供・取得・保管は、刑法の不正指令電磁的記録に関する罪で処罰される。不正アクセス禁止法はなりすましログインなどネットワーク経由の行為、個人情報保護法は個人情報の取扱い、サイバーセキュリティ基本法は国の体制整備を定めた法律である。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(セキュリティ関連法規)/刑法(コンピュータ関連犯罪)
問44|電子計算機使用詐欺
刑法の電子計算機使用詐欺罪が対象とする行為はどれか。
- コンピュータに虚偽の情報や不正な指令を与えてデータを作り、財産上の利益を得る行為
- コンピュータや記録媒体を破壊して他人の業務を妨害する行為
- 他人のIDとパスワードを無断で使い、ネットワーク経由で他人のコンピュータにログインする行為
- コンピュータウイルスを正当な理由なく取得して保管する行為
正解と解説
正解:A. コンピュータに虚偽の情報や不正な指令を与えてデータを作り、財産上の利益を得る行為電子計算機使用詐欺罪は、データを不正に操作して財産上不法の利益を得る行為を処罰する。破壊による業務妨害は電子計算機損壊等業務妨害罪、無断ログインは不正アクセス禁止法違反、ウイルスの保管は不正指令電磁的記録に関する罪であり、それぞれ別の規定である。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(セキュリティ関連法規)/刑法(コンピュータ関連犯罪)
問45|サイバー基本法
サイバーセキュリティ基本法の説明として適切なものはどれか。
- 他人のIDを無断で使ったなりすましログインを禁止し、違反者を処罰することなどを定めている。
- 国のサイバーセキュリティ戦略の基本理念と、国や重要社会基盤事業者などの責務を定めている。
- 個人情報を取り扱う事業者が守るべき取得・利用・提供の義務を定めている。
- 製造物の欠陥によって生じた被害についての賠償責任を定めている。
正解と解説
正解:B. 国のサイバーセキュリティ戦略の基本理念と、国や重要社会基盤事業者などの責務を定めている。サイバーセキュリティ基本法は、国の基本理念や関係者の責務、施策の枠組みを定めた法律である。なりすましログインの禁止は不正アクセス禁止法、個人情報の取扱いは個人情報保護法、欠陥による賠償責任は製造物責任法が定めており、目的が異なる。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(セキュリティ関連法規)/サイバーセキュリティ基本法
問46|派遣と請負
労働者派遣と請負の違いに関する記述のうち、適切なものはどれか。
- 派遣先は派遣労働者に指揮命令できるが、請負では注文者が請負業者の労働者に指揮命令することはできない。
- 派遣労働者と雇用契約を結ぶのは、派遣元ではなく派遣先である。
- 請負では、注文者が請負業者の労働者に対して、作業の手順や進め方を日々直接指示することが認められている。
- 請負では、仕事を完成させる責任を請負業者ではなく注文者が負う。
正解と解説
正解:A. 派遣先は派遣労働者に指揮命令できるが、請負では注文者が請負業者の労働者に指揮命令することはできない。両者の最大の違いは指揮命令関係にあり、派遣先は派遣労働者へ直接指示できるが、請負の指揮命令は請負業者が行う。派遣労働者の雇用主は派遣元であり、注文者が直接指示すれば偽装請負となる。仕事の完成責任を負うのは請負業者である。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(労働関連法規)/労働基準法・労働者派遣法
問47|二重派遣
労働者派遣に関して法律上禁止されている行為はどれか。
- 派遣元が、送り出す派遣労働者との間で雇用契約を結ぶ。
- 派遣先が、受け入れた派遣労働者に日々の作業内容を指示する。
- 派遣元が、労働者の受入れ先となる派遣先との間で労働者派遣契約を結ぶ。
- 派遣先が受け入れた派遣労働者を、さらに別の会社へ派遣して働かせる。
正解と解説
正解:D. 派遣先が受け入れた派遣労働者を、さらに別の会社へ派遣して働かせる。受け入れた派遣労働者をさらに別の会社へ派遣する二重派遣は、雇用や安全配慮の責任の所在が不明確になるため禁止されている。派遣元と労働者の雇用契約、派遣先による作業指示、派遣元と派遣先の派遣契約は、いずれも正常な労働者派遣の形態である。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(労働関連法規)/労働基準法・労働者派遣法
問48|36協定
法定労働時間を超えて従業員に時間外労働をさせるために必要な手続きはどれか。
- 就業規則に、業務の都合で時間外労働をさせることがある旨を記載する。
- 労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出る。
- 対象となる従業員から、口頭で個別に承諾を得る。
- 割増賃金を支払う旨を雇用契約書に記載する。
正解と解説
正解:B. 労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出る。時間外労働や休日労働をさせるには、労働基準法第36条にもとづく労使協定を結び、労働基準監督署へ届け出る必要がある。就業規則への記載、本人の口頭の承諾、割増賃金の定めだけでは、法定労働時間を超える労働を適法に行わせる根拠にはならない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(労働関連法規)/労働基準法・労働者派遣法
問49|取適法
2026年1月1日施行の改正により、従来「下請法」と呼ばれていた法律の名称はどれになったか。
- 中小企業基本法
- 独占禁止法
- 消費者契約法
- 中小受託取引適正化法
正解と解説
正解:D. 中小受託取引適正化法下請法(下請代金支払遅延等防止法)は改正され、2026年1月1日から中小受託取引適正化法(略称:取適法)となった。あわせて親事業者は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者と呼ばれるようになった。他の三つはいずれも別に存在する法律である。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(取引関連法規)/中小受託取引適正化法(2026年1月1日施行、旧下請法)
問50|取適法の規制
2026年1月1日に施行された中小受託取引適正化法(取適法)で新たに加えられた規制はどれか。
- 委託事業者に適用される法人税率を引き下げる。
- 支払手段として手形で代金を支払うことを禁止する。
- 中小受託事業者に株式の公開を義務付ける。
- すべての取引記録を10年間保存することを義務付ける。
正解と解説
正解:B. 支払手段として手形で代金を支払うことを禁止する。改正では、手形による代金の支払いの禁止、受託側から協議の求めがあるのに一方的に代金を決める行為の禁止、振込手数料を一方的に負担させることの制限などが加えられた。税率や株式公開、記録の10年保存は、この法律が定める内容ではない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(取引関連法規)/中小受託取引適正化法(2026年1月1日施行、旧下請法)
問51|独占禁止法
独占禁止法が禁止している行為はどれか。
- 競合する複数の企業が話し合って、販売価格を同じ水準に取り決める。
- 原価を下回らない範囲で、自社製品の価格を競合他社より低く設定する。
- 自社で開発した新技術を特許出願して、他社の模倣を防ぐ。
- 大量に仕入れる代わりに値引きを交渉し、仕入単価を下げる。
正解と解説
正解:A. 競合する複数の企業が話し合って、販売価格を同じ水準に取り決める。複数の事業者が価格や生産量を申し合わせるカルテルは、公正な競争を妨げるため独占禁止法で禁止されている。原価を下回らない範囲の値下げ、特許出願、仕入交渉による単価引下げは、いずれも通常の競争活動であり違法とはならない。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(取引関連法規)/独占禁止法・製造物責任法・特定商取引法
問52|PL法
製造物責任法(PL法)に関する記述として適切なものはどれか。
- 製造物に欠陥があったことに加え、製造業者に故意又は過失があったことも被害者が証明しなければならない。
- 形のないソフトウェアそのものの不具合も、常にこの法律の対象となる。
- 製造物の欠陥により損害が生じた場合、製造業者の過失を証明しなくても賠償を請求できる。
- 賠償の対象は財産の被害に限られ、身体の被害は対象外である。
正解と解説
正解:C. 製造物の欠陥により損害が生じた場合、製造業者の過失を証明しなくても賠償を請求できる。PL法は、製造物の欠陥と損害との因果関係を示せば、製造業者の故意や過失を証明しなくても賠償を請求できるとした法律である。対象は製造または加工された動産で、生命・身体・財産の被害が対象となるため、他の記述はいずれも誤りである。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(取引関連法規)/独占禁止法・製造物責任法・特定商取引法
問53|クーリングオフ
訪問販売で契約した消費者が、法定の書面を受け取った日から一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度はどれか。
- リコール
- オプトアウト
- クーリングオフ
- リースバック
正解と解説
正解:C. クーリングオフクーリングオフは特定商取引法などが認める、一定期間内に無条件で契約を解除できる制度である。リコールは欠陥製品の回収や修理、オプトアウトは本人の求めにより提供を停止する方式、リースバックは売却した資産を借り受ける取引であり、いずれも別の制度である。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(取引関連法規)/独占禁止法・製造物責任法・特定商取引法
問54|標準化団体
HTMLやCSSなど、Webに関する技術仕様を策定している団体はどれか。
- IEEE
- W3C
- ISO
- JIS
正解と解説
正解:B. W3CW3C(World Wide Web Consortium)はHTMLやCSSなどWeb技術の仕様を策定する団体である。IEEEはIEEE 802シリーズなど電気電子・通信分野の規格、ISOは幅広い分野の国際規格を定める機関、JISは日本の国家規格であり、担当する領域が異なる。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(標準化関連)
問55|ISMS規格
情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の要求事項を定めた国際規格はどれか。
- ISO 9001
- ISO 14001
- ISO/IEC 27001
- JIS Q 15001
正解と解説
正解:C. ISO/IEC 27001ISO/IEC 27001は情報セキュリティマネジメントシステムの要求事項を定めた国際規格である。ISO 9001は品質、ISO 14001は環境のマネジメントシステム規格であり、JIS Q 15001は個人情報保護マネジメントシステムに関する日本の規格で、プライバシーマークの認定基準として使われる。
根拠:IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 大分類1:企業と法務 中分類2:法務(標準化関連)
演習:この章の問題を解く
ランダム出題の演習ツールです(JavaScript が有効な場合に動きます)。上の「確認問題」はそのままでもすべて読めます。
※ 解説は学習用の情報提供です。最新の出題範囲・制度は必ずIPAの公式発表をご確認ください。
※ 出題はIPA公開のシラバスVer.6.5(2026年1月1日適用)に沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題です。試験制度・実施要項はIPAの公式発表をご確認ください。