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保育士試験 CHILDCARE WORKER EXAM

社会的養護

講義 3 本・確認問題 25 問 | 教育原理(10問)・社会的養護(10問) | 最終更新 2026-10-16

この章で学ぶこと
目次
  1. 社会的養護の意義と原理
  2. 施設養護と家庭養護(里親・ファミリーホーム・養子縁組)
  3. 自立支援と支援計画
  4. 確認問題(25問)
  5. 演習ツール

1. 社会的養護の意義と原理

社会的養護とは何か、どんな考え方(理念・原理)で行うのかを、児童福祉法の条文と国の指針で整理します。

保育士試験の「社会的養護」は50点(10問・30分)の科目です。同じ日に行う「教育原理」と両方とも6割以上で、はじめて2科目とも合格になります。本ラボは2026年10月時点の法令・指針で書いています。試験は毎年4月1日時点で施行されている法令などが基準なので、受験する回の基準日も確かめてください。

社会的養護とは

社会的養護とは、保護者のいない子どもや、保護者に育てさせることが適当でない子ども(虐待を受けている子どもなど)を、公的な責任で社会的に保護・養育し、あわせて養育に大きな困難を抱える家庭を支援することです。担い手は、児童養護施設などの施設と、里親などの家庭に分かれます。

2つの基本理念と6つの原理

2012年(平成24年)3月に国が示した「社会的養護施設運営指針」と「里親及びファミリーホーム養育指針」は、共通の基本理念として「子どもの最善の利益のために」と「すべての子どもを社会全体で育む」を掲げています。そのうえで、支援の考え方を次の6つの原理にまとめています。

社会的養護の原理(6つ)
原理ポイント
家庭的養護と個別化安心して頼れる大人のもとで、一人ひとりに合わせて育てる
発達の保障と自立支援愛着と信頼関係を土台に、生活体験を通して自立する力を育てる
回復をめざした支援虐待や親との分離で受けた心の傷に、専門的なケアで向き合う
家族との連携・協働親がいる場合は親と協働し、親を支えながら子どもを支える
継続的支援と連携アプローチ入所からアフターケアまで、関係機関が連携して一貫した支援を行う
ライフサイクルを見通した支援退所後も長く関わり、虐待や貧困の世代間連鎖を断つことをめざす

家庭養育優先の原則(児童福祉法第3条の2)

2016年(平成28年)の児童福祉法改正で、第3条の2に「家庭養育優先」の考え方が書かれました。順番は次の3段階です。①まず保護者を支援し、子どもが家庭で健やかに育つようにする。②家庭での養育が難しい・適当でない場合は、家庭における養育環境と同様の養育環境(養子縁組、里親、ファミリーホームなど)で継続的に育つようにする。③それも適当でない場合は、できる限り良好な家庭的環境(小規模で地域に分散した施設など)で育つようにする。

措置のしくみと親の同意

里親への委託や施設への入所は、都道府県(実際には児童相談所)がとる「措置」です(児童福祉法第27条第1項第3号)。この措置は、親権者などが反対しているときは原則としてとれません(第27条第4項)。ただし、保護者の虐待などで子どもの福祉が著しく害される場合は、家庭裁判所の承認を得て措置をとれます(第28条第1項)。この場合の措置の期間は2年を超えられず、更新にも家庭裁判所の承認が必要です(第28条第2項)。

子どもの声と権利を守るしくみ

2024年4月からは、措置をとる・解除する・変更するとき、一時保護を行う・解除するときなどに、子どもの年齢や発達に応じて意見や意向をあらかじめ聴く「意見聴取等措置」が義務になりました(第33条の3の3)。緊急のときは、措置のあと速やかに行います。

また、施設職員や里親などによる虐待は「被措置児童等虐待」と呼ばれ、身体的暴行・わいせつ行為・著しい怠慢(ネグレクト)・心理的虐待の4つが定められています(第33条の10)。見つけた人には通告の義務があり、子ども本人も届け出ることができます(第33条の12)。施設長・里親などは、子どもの監護や教育に必要な措置をとれますが、体罰は禁止です(第47条第3項)。親権者がいない子どもについては、施設に入所中なら施設長が、里親などに委託中なら児童相談所長が親権を行います(第47条第1項・第2項)。

用語

措置
都道府県が行政の判断で、里親委託や施設入所などを決めること。
家庭養育優先原則
家庭→家庭と同様の環境→良好な家庭的環境の順で考える原則(児童福祉法第3条の2)。
意見聴取等措置
措置や一時保護の前に、子どもの意見・意向を聴くしくみ(2024年4月施行)。
被措置児童等虐待
施設職員・里親などが、預かっている子どもに行う虐待。

例題

例題:父親から虐待を受けている子どもについて、親権者の父親が施設入所に反対している。都道府県は入所の措置をとれるか。
答えと考え方 とれる場合がある。原則として親権者の意に反する措置はとれないが、虐待などで子どもの福祉が著しく害される場合は、家庭裁判所の承認を得て措置をとれる(児童福祉法第28条)。期間は2年までで、更新にも承認が要る。

根拠:厚生労働省「児童養護施設運営ハンドブック」(平成26年3月。平成24年3月の「社会的養護施設運営指針」の解説書)、厚生労働省「社会的養護の指針、第三者評価基準等の策定」(平成24年3月29日 雇児発0329第1号)、e-Gov法令検索「児童福祉法」(第3条の2・第27条・第28条・第33条の3の3・第33条の10・第33条の12・第47条)、厚生労働省「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」、全国保育士養成協議会「試験日程・科目」(2026-10-16確認)

2. 施設養護と家庭養護(里親・ファミリーホーム・養子縁組)

社会的養護を担う施設の種類と、里親・ファミリーホーム・特別養子縁組のしくみを、条文の数字とともに確かめます。

社会的養護の場は、大きく施設養護(施設で育てる)と家庭養護(里親やファミリーホームのように、家庭の中で子どもを預かって育てる)に分かれます。国の整理(2012年)では、施設でも小規模なグループで家庭に近い生活をめざす取り組みを「家庭的養護」と呼び、家庭養護と区別しています。ただし、両方を合わせて「家庭的養護の推進」ということもあり、6つの原理の「家庭的養護と個別化」はこの広い意味で使われています。

主な施設(児童福祉法)

社会的養護に関わる主な児童福祉施設
施設(条文)対象と役割
乳児院(第37条)乳児を入院させて養育。保健上や安定した生活環境のため特に必要なら幼児も対象。退院した者への相談・援助も行う
児童養護施設(第41条)保護者のない児童、虐待されている児童など。原則として乳児は除くが、特に必要なら乳児も対象。退所した者への自立のための援助も行う
児童心理治療施設(第43条の2)家庭や学校での人間関係など環境上の理由で社会生活への適応が難しくなった児童。短期間の入所または通所で、心理治療と生活指導
児童自立支援施設(第44条)不良行為をした・するおそれのある児童、生活指導が必要な児童。入所または通所
母子生活支援施設(第38条)配偶者のない女子(またはこれに準ずる事情の女子)とその子。保護と自立のための生活支援
里親支援センター(第44条の3)里親・里親に育てられる子ども・里親希望者への支援。2024年4月から児童福祉施設に

施設に入所中の子どもや里親に委託中の子どもは、施設長や里親が、学校教育法の保護者に準じて就学させなければなりません(第48条)。

里親の種類と人数

児童福祉法第6条の4は、里親を養育里親・養子縁組里親・親族里親の3つに分けています。養育里親と養子縁組里親は、都道府県の研修を修了し、名簿に登録されている必要があります。親族里親は、子どもの父母以外の親族です。専門里親は、養育里親のうち、①虐待などで心身に有害な影響を受けた児童、②非行のある(非行に結び付くおそれのある)児童、③身体障害・知的障害・精神障害がある児童のうち、知事が特に支援が必要と認めた子どもを育てる人です(児童福祉法施行規則第1条の36)。

数字で覚える里親・ファミリーホーム
項目内容根拠
同時に育てる子ども(里親)委託児童は4人まで、実子などを含め合計6人まで里親最低基準 第17条
専門里親の委託児童同時に2人まで同 第17条第2項
専門里親の養育期間2年まで(知事が必要と認めれば更新可)同 第18条
ファミリーホームの定員委託児童5人または6人施行規則 第1条の19

ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)は、養育の経験が豊かな人などが自分の住居で子どもを育てる事業で、法律上は里親とは別のものです(第6条の3第8項)。

特別養子縁組

特別養子縁組は、養親となる人の請求により家庭裁判所が成立させ、子と実方の血族との親族関係が終わる縁組です(民法第817条の2)。請求の時点で15歳に達した子は原則として養子になれず、成立までに18歳に達した場合も同じです。15歳以上の子が養子になるには本人の同意が必要です(民法第817条の5)。

新しい社会的養育ビジョン(2017年)

国の検討会は2017年8月、里親委託率(里親等への委託の割合)の目標として、3歳未満は概ね5年以内に75%以上、それ以外の就学前の子どもは概ね7年以内に75%以上、学童期以降は概ね10年以内に50%以上を示しました。施設は小規模化(最大6人)・地域分散化を進めるとしています。委託率の最新の数字は、こども家庭庁の資料で確かめてください。

用語

家庭養護
里親・ファミリーホームなど、家庭の中で子どもを育てる形。
専門里親
特に支援が必要な子どもを育てる養育里親。委託は2人まで・2年まで。
ファミリーホーム
養育者の住居で5〜6人の子どもを育てる事業。
特別養子縁組
家庭裁判所が成立させ、実親側との親族関係が終わる養子縁組。

例題

例題:実子が3人いる養育里親の家庭に、委託児童を何人まで同時に迎えられるか。
答えと考え方 3人。委託児童は4人までだが、委託児童と実子などの合計は6人までなので、6−3=3人が上限になる(里親が行う養育に関する最低基準 第17条)。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」「児童福祉法施行規則」「里親が行う養育に関する最低基準」「民法」(児童福祉法第6条の3・第6条の4・第7条・第37条・第38条・第41条・第43条の2・第44条・第44条の3・第48条、施行規則第1条の19・第1条の33・第1条の36、最低基準第17条・第18条、民法第817条の2・第817条の5)、厚生労働省「児童養護施設運営ハンドブック」(平成26年3月。平成24年3月の「社会的養護施設運営指針」の解説書)、新たな社会的養育の在り方に関する検討会「新しい社会的養育ビジョン」(平成29年8月2日)、厚生労働省「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」(2026-10-16確認)

3. 自立支援と支援計画

子ども一人ひとりの自立支援計画のつくり方と、退所後の生活を支える制度(措置延長・自立援助ホーム・アフターケア)を学びます。

社会的養護の目的は、子どもが安心して育ち、やがて自立した生活を送れるようにすることです。そのために、入所・委託の前から退所後まで、計画にもとづいて切れ目なく支えます。

自立支援計画

児童養護施設の長は、入所している子ども一人ひとりについて自立支援計画を立てなければなりません。そのとき、子どもの意見や意向、子どもと家庭の状況などを考え合わせ、年齢や発達に応じて意見を聴く工夫をします(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第45条の2)。里親の場合は、児童相談所長があらかじめ作成した自立支援計画に従って育てます(里親が行う養育に関する最低基準 第10条)。

計画づくりの流れは、①アセスメント(子どもと家庭の情報を集め、課題と強みを見立てる)、②計画の策定(児童相談所の援助方針と打ち合わせ、目標と支援内容を決める)、③実施と記録、④評価と見直し、という循環です。国の解説書は「アセスメント機能の強化、自立支援計画の積極的活用、適切な記録方法」を社会的養護の基盤として挙げています。記録は職員の間で支援をつなぐ道具なので、個人情報の保護と守秘義務も大切です。

施設で支援する専門職

児童養護施設には、児童指導員・保育士・嘱託医・個別対応職員・家庭支援専門相談員(家族との関係調整などを担う)・栄養士・調理員などを置きます(同基準 第42条)。乳児がいる施設には看護師を置きます。心理療法が必要な子ども10人以上に心理療法を行う場合は心理療法担当職員を置きます。入所児童が40人以下の施設は栄養士を、調理を全部委託する施設は調理員を置かないことができます。

18歳以降も支えるしくみ

退所前後の主な支援
しくみ内容根拠
措置延長里親委託・ファミリーホーム委託、児童養護施設などへの入所を、満20歳に達するまで続けられる児童福祉法 第31条第2項
児童自立生活援助事業(自立援助ホームなど)措置を解除された人などに、共同生活を営む住居などで、相談・日常生活の援助・生活指導・就業の支援を行う。2024年4月から、20歳以上でも知事が必要と認めれば対象(年齢による一律の制限を緩和)同 第6条の3第1項
社会的養護自立支援拠点事業措置を解除された人などが交流できる場所を開き、情報提供・相談・助言と関係機関との連絡調整を行う(2024年4月から)同 第6条の3第16項
アフターケア乳児院・児童養護施設などは、退所した人への相談などの援助も目的とする同 第37条・第41条など

家族との関係については、親子の再統合が必要な子どもと保護者に、虐待の防止に役立つ情報提供・相談・助言などを行う「親子再統合支援事業」も2024年4月から法律に位置づけられました(第6条の3第15項)。措置に関する子どもの意見や意向を、子どもの福祉に詳しい人が聴き取り、児童相談所などとの調整を支える「意見表明等支援事業」もあります(同第17項)。

支援の質を確かめる

児童養護施設・乳児院・児童心理治療施設・児童自立支援施設・母子生活支援施設は、3か年度に1回以上第三者評価を受けて結果を公表し、毎年度自己評価を行います(平成30年3月30日の国の通知)。

用語

自立支援計画
子ども一人ひとりの支援の目標と内容をまとめた計画。施設では施設長が策定。
アセスメント
子どもと家庭の状況を集め、支援に必要なことを見立てること。
措置延長
18歳を過ぎても、満20歳まで委託や入所を続けること。
アフターケア
退所・委託解除のあとに続ける相談や援助。
第三者評価
外部の評価機関が施設の支援の質を評価するしくみ。

例題

例題:児童養護施設で暮らす高校3年生のAさんは、卒業後に専門学校へ進むが、生活にまだ不安がある。18歳になったら必ず退所しなければならないか。
答えと考え方 必ずではない。都道府県は満20歳に達するまで在所を続けさせることができる(措置延長、児童福祉法第31条第2項)。退所後も、自立援助ホームなどの児童自立生活援助事業や、施設のアフターケア、社会的養護自立支援拠点事業を利用できる。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」「里親が行う養育に関する最低基準」「児童福祉法」(基準第42条・第45条の2、最低基準第10条、児童福祉法第6条の3・第31条・第37条・第41条)、厚生労働省「児童養護施設運営ハンドブック」(平成26年3月。平成24年3月の「社会的養護施設運営指針」の解説書)、厚生労働省「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」、厚生労働省「社会的養護関係施設における第三者評価及び自己評価の実施について」(平成30年3月30日 子発0330第8号・社援発0330第42号)(2026-10-16確認)

確認問題(25問)

五肢択一(「2つ選べ」などの問題は正解が複数)。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。

問1|社会的養護の基本理念

国の「社会的養護施設運営指針」などが示す、社会的養護の2つの基本理念の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 保護者の意向を最優先に/施設での集団生活を基本とする
  2. 家族の自己責任を原則に/地域の相互扶助で補う
  3. 子どもの最善の利益のために/すべての子どもを社会全体で育む
  4. 子どもの最善の利益のために/家庭の自助努力を原則とする
  5. 措置の効率化をめざす/施設の大規模化を進める
正解と解説
正解:C. 子どもの最善の利益のために/すべての子どもを社会全体で育む

基本理念は「子どもの最善の利益のために」と「すべての子どもを社会全体で育む」の2つです。社会的養護は公的な責任で行うものなので、保護者の意向の最優先、家族の自己責任、家庭の自助努力を原則とする考え方は理念と合いません。施設での集団生活を基本とすることや、施設の大規模化も、家庭的な養育と小規模化をめざす国の方向と逆です。

根拠:厚生労働省「児童養護施設運営ハンドブック」(平成26年3月。平成24年3月の「社会的養護施設運営指針」の解説書)

問2|社会的養護の原理

国の指針が示す「社会的養護の原理」(6つ)に含まれないものを1つ選びなさい。

  1. 保護者からの完全な分離と断絶
  2. 家庭的養護と個別化
  3. 回復をめざした支援
  4. 継続的支援と連携アプローチ
  5. ライフサイクルを見通した支援
正解と解説
正解:A. 保護者からの完全な分離と断絶

6つの原理は「家庭的養護と個別化」「発達の保障と自立支援」「回復をめざした支援」「家族との連携・協働」「継続的支援と連携アプローチ」「ライフサイクルを見通した支援」です。原理には「家族との連携・協働」があり、親がいる場合は親と協働し、親を支えながら支援するとされています。そのため「保護者からの完全な分離と断絶」は原理ではなく、考え方として逆です。ほかの4つはすべて原理に含まれます。

根拠:厚生労働省「児童養護施設運営ハンドブック」(平成26年3月。平成24年3月の「社会的養護施設運営指針」の解説書)

問3|原理の内容

「児童相談所・施設・里親・学校など複数の担い手が連携し、担い手が変わるときは丁寧に引き継いで、支援の一貫性を保つ」という考え方に最も近い社会的養護の原理を1つ選びなさい。

  1. 家庭的養護と個別化
  2. 発達の保障と自立支援
  3. 回復をめざした支援
  4. 家族との連携・協働
  5. 継続的支援と連携アプローチ
正解と解説
正解:E. 継続的支援と連携アプローチ

関係機関や担い手が連携し、引き継ぎで支援の一貫性・継続性を確保するのは「継続的支援と連携アプローチ」です。「家庭的養護と個別化」は家庭に近い環境で一人ひとりに合わせて育てること、「発達の保障と自立支援」は愛着や生活体験を通して自立の力を育てること、「回復をめざした支援」は虐待や分離による心の傷への専門的ケア、「家族との連携・協働」は親と協働し親を支えることで、いずれも問題文の中心ではありません。

根拠:厚生労働省「児童養護施設運営ハンドブック」(平成26年3月。平成24年3月の「社会的養護施設運営指針」の解説書)

問4|家庭養育優先の原則

児童福祉法第3条の2が定める、国・地方公共団体が子どもの養育について考える順番として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. できる限り良好な家庭的環境 → 家庭と同様の養育環境 → 保護者を支援して家庭で育つようにする
  2. 保護者を支援して家庭で育つようにする → 家庭と同様の養育環境 → できる限り良好な家庭的環境
  3. 家庭と同様の養育環境 → 保護者を支援して家庭で育つようにする → できる限り良好な家庭的環境
  4. 保護者を支援して家庭で育つようにする → できる限り良好な家庭的環境 → 家庭と同様の養育環境
  5. できる限り良好な家庭的環境 → 保護者を支援して家庭で育つようにする → 家庭と同様の養育環境
正解と解説
正解:B. 保護者を支援して家庭で育つようにする → 家庭と同様の養育環境 → できる限り良好な家庭的環境

第3条の2は、まず保護者を支援して子どもが家庭で健やかに育つようにし、家庭での養育が難しい・適当でない場合は「家庭における養育環境と同様の養育環境」(養子縁組・里親など)で、それも適当でない場合は「できる限り良好な家庭的環境」(小規模な施設など)で育つようにする、という順番です。施設的な環境を先にする順番や、家庭と同様の環境より家庭的環境を先にする順番は、条文と逆です。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第3条の2)、新たな社会的養育の在り方に関する検討会「新しい社会的養育ビジョン」(平成29年8月2日)

問5|措置と親権者の同意

児童福祉法の措置(里親委託・施設入所など)について、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 親権者が施設入所に反対していても、都道府県は家庭裁判所の承認なしに入所させることができる。
  2. 虐待で子どもの福祉が著しく害され、親権者が反対する場合は、家庭裁判所の承認を得て措置をとれる。
  3. 里親への委託は、児童福祉法第27条第1項第3号の措置には含まれない。
  4. 家庭裁判所の承認を得てとった入所などの措置の期間は、始めた日から2年を超えることができない。
  5. 措置を解除するときは、子どもの意見や意向を確かめる必要はない。
正解と解説
正解:B・D(虐待で子どもの福祉が著しく害され、親権者が反対する場合は、家庭裁判所の承認を得て措置をとれる。 / 家庭裁判所の承認を得てとった入所などの措置の期間は、始めた日から2年を超えることができない。)

第27条第4項により、入所などの措置は親権者が反対しているときは原則としてとれません。しかし第28条第1項により、虐待などで子どもの福祉が著しく害される場合は、家庭裁判所の承認を得てとることができます。その期間は2年を超えられず、更新にも家庭裁判所の承認が必要です(第28条第2項)。家庭裁判所の承認なしに入所させられるとする選択肢は誤りです。里親への委託は第27条第1項第3号の措置そのものなので、含まれないとするのも誤りです。措置の解除のときも、子どもの意見・意向を聴く意見聴取等措置が必要です(第33条の3の3)。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第27条・第28条・第33条の3の3)

問6|意見聴取等措置

2024年4月に施行された「意見聴取等措置」(児童福祉法第33条の3の3)について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 子どもが小学校に入る前の年齢であれば、意見聴取等措置はとらなくてよいと定められている。
  2. 意見聴取等措置は、措置をとってから1年後に行うことが原則とされている。
  3. 緊急の場合でも、意見聴取が終わるまでは措置をとることができない。
  4. 一時保護を行うときや一時保護を解除するときも、意見聴取等措置の対象となる。
  5. 意見聴取等措置をとる義務は、里親だけに課されている。
正解と解説
正解:D. 一時保護を行うときや一時保護を解除するときも、意見聴取等措置の対象となる。

意見聴取等措置の対象には、入所などの措置をとる・解除する・変更するときのほか、一時保護を行う・解除するときも含まれます。年齢で一律に除外するのではなく、子どもの年齢や発達の状況に応じた方法で行います。原則は措置の前に「あらかじめ」行うもので、1年後ではありません。生命や心身の安全のため緊急を要するときは、先に措置をとり、その後速やかに行います。義務を負うのは都道府県知事・児童相談所長などで、里親だけではありません。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第33条の3の3)、厚生労働省「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」

問7|被措置児童等虐待

被措置児童等虐待(児童福祉法第33条の10・第33条の12)について、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 里親やその同居人が委託児童に行う行為も、被措置児童等虐待に含まれる。
  2. 被措置児童等虐待は、身体的暴行とわいせつ行為の2種類に限られている。
  3. 虐待を受けたと思われる児童を見つけた人には、速やかな通告の義務がある。
  4. 施設職員が虐待を通告すると、守秘義務違反として必ず処分される。
  5. 虐待を受けた子ども本人は、自分で届け出ることはできない。
正解と解説
正解:A・C(里親やその同居人が委託児童に行う行為も、被措置児童等虐待に含まれる。 / 虐待を受けたと思われる児童を見つけた人には、速やかな通告の義務がある。)

被措置児童等虐待をする「施設職員等」には、施設の職員だけでなく、里親とその同居人、ファミリーホームの養育者なども含まれます。見つけた人には速やかな通告の義務があります。行為は、身体的暴行・わいせつ行為・著しい怠慢(ネグレクト)・著しい心理的外傷を与える言動の4種類で、2種類に限られません。守秘義務の規定は通告を妨げるものと解釈してはならず、通告を理由に解雇などの不利益な扱いを受けません。子ども本人も届け出ることができます。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第33条の10・第33条の12)

問8|親権を行う者

親権を行う者も未成年後見人もいない子どもが、里親に委託されている。この子どもについて、親権を行う者がいるようになるまで親権を行うのは誰か。最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 委託を受けている里親
  2. 子どもが住む市町村の長
  3. 児童相談所長
  4. 家庭裁判所の裁判官
  5. 里親支援センターの長
正解と解説
正解:C. 児童相談所長

里親やファミリーホームに委託中で、親権を行う者も未成年後見人もいない子どもについては、児童相談所長が親権を行います(第47条第2項)。施設に入所中の子どもの場合は、施設長が親権を行います(第47条第1項)。里親自身は、監護・教育に必要な措置はとれますが(第47条第3項)、親権を行う者ではありません。市町村長、家庭裁判所の裁判官、里親支援センターの長が親権を行うという定めはありません。なお、養子縁組の承諾をするには都道府県知事の許可が必要です。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第47条)

問9|児童養護施設

児童養護施設(児童福祉法第41条)について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 保護者のない児童や虐待されている児童などを養護し、退所者の自立も援助する。
  2. 原則として乳児を入所させて養育し、幼児以上は特に必要な場合に限って入所させる。
  3. 不良行為をなし又はなすおそれのある児童を主な対象とし、保護者のもとからの通所は認められない。
  4. 配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子と、その者が監護すべき児童を入所させる。
  5. 入所は満15歳に達するまでで、それ以降に在所を続けることはできない。
正解と解説
正解:A. 保護者のない児童や虐待されている児童などを養護し、退所者の自立も援助する。

児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童など環境上養護を要する児童を入所させて養護し、退所した者への相談その他の自立のための援助も行う施設です。原則として乳児は除かれ、特に必要な場合に乳児も入所できます。乳児を中心に養育するのは乳児院です。不良行為などの児童を対象とするのは児童自立支援施設で、こちらは通所もできます。配偶者のない女子とその子を対象とするのは母子生活支援施設です。在所は満20歳に達するまで延長できるので(第31条第2項)、15歳までとするのは誤りです。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第31条・第37条・第38条・第41条・第44条)

問10|乳児院

乳児院(児童福祉法第37条)について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 退院した者への相談その他の援助は、乳児院の目的には含まれていない。
  2. 対象は満1歳未満の乳児に限られ、どのような理由があっても幼児は入院できない。
  3. 保護者のもとから日中だけ通わせる通所での養育が中心の施設である。
  4. 障害のある乳児だけを対象として、治療と訓練を行う施設である。
  5. 乳児を入院させて養育し、特に必要な場合は幼児も対象とすることができる。
正解と解説
正解:E. 乳児を入院させて養育し、特に必要な場合は幼児も対象とすることができる。

乳児院は乳児を入院させて養育する施設で、保健上、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には幼児も含みます。退院した者への相談その他の援助も目的に含まれるので、含まれないとするのは誤りです。幼児も特に必要なら対象になるので、例外がないとするのも誤りです。入院させて養育する施設なので通所中心ではなく、障害のある乳児だけを対象とする施設でもありません。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第37条)

問11|施設の目的(組合せ)

次のア〜エの記述の正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。<br>ア 児童心理治療施設は、環境上の理由で社会生活への適応が困難となった児童を、短期間入所させ又は通わせて、心理治療と生活指導を行う。<br>イ 児童自立支援施設は入所のみの施設で、保護者のもとから通わせることはできない。<br>ウ 母子生活支援施設は、配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子とその監護すべき児童を入所させ、保護と自立のための生活支援を行う。<br>エ 里親支援センターは、2024年4月から児童福祉法上の児童福祉施設に位置づけられた。

  1. ア○ イ○ ウ○ エ×
  2. ア○ イ× ウ○ エ○
  3. ア× イ× ウ○ エ○
  4. ア○ イ× ウ× エ○
  5. ア× イ○ ウ× エ×
正解と解説
正解:B. ア○ イ× ウ○ エ○

アは正しい(第43条の2)。イは誤りで、児童自立支援施設は入所させるほか、保護者のもとから通わせることもできます(第44条)。ウは正しい(第38条)。エは正しく、令和4年の法改正で里親支援センターが児童福祉施設に加わり、2024年4月に施行されました(第7条・第44条の3)。よって「ア○ イ× ウ○ エ○」です。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第7条・第38条・第43条の2・第44条・第44条の3)、厚生労働省「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」

問12|里親の種類

里親制度について、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 親族里親には、子どもの父母も含まれ、父母も里親として登録される。
  2. 養子縁組里親は、都道府県の研修を受けなくても名簿に登録できる。
  3. 児童福祉法第6条の4は、里親を養育里親・養子縁組里親・親族里親の3つに分けて定めている。
  4. 養育里親は、名簿への登録がなくても都道府県知事の判断だけで委託を受けられる。
  5. 専門里親は、特に支援が必要な児童を養育する養育里親の一類型として、施行規則に定めがある。
正解と解説
正解:C・E(児童福祉法第6条の4は、里親を養育里親・養子縁組里親・親族里親の3つに分けて定めている。 / 専門里親は、特に支援が必要な児童を養育する養育里親の一類型として、施行規則に定めがある。)

第6条の4は里親を養育里親・養子縁組里親・親族里親の3つに分けています。専門里親は法律上の4つ目の区分ではなく、施行規則第1条の36で定められた養育里親の一類型です。親族里親は子どもの「父母以外」の親族なので、父母は含まれません。養育里親と養子縁組里親は、都道府県の研修を修了し、それぞれの名簿に登録されている必要があります。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」「児童福祉法施行規則」(児童福祉法第6条の4、施行規則第1条の36)

問13|専門里親

専門里親について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 専門里親は養育里親とは別の、児童福祉法上の4つ目の里親の区分である。
  2. 専門里親が同時に養育できる委託児童は、4人までとされている。
  3. 専門里親による委託児童の養育には、期間の上限が定められていない。
  4. 虐待・非行・障害などにより、知事が特に支援が必要と認めた児童を養育する。
  5. 専門里親の対象となる児童は、非行のある児童だけに限られている。
正解と解説
正解:D. 虐待・非行・障害などにより、知事が特に支援が必要と認めた児童を養育する。

専門里親が育てるのは、①虐待などで心身に有害な影響を受けた児童、②非行のある又は非行に結び付くおそれのある行動をする児童、③身体障害・知的障害・精神障害がある児童のうち、知事が特に支援が必要と認めた児童です(施行規則第1条の36)。対象は非行のある児童だけではありません。専門里親は養育里親の一類型で、別の区分ではありません。同時に養育できる委託児童は2人まで(最低基準第17条第2項)、養育期間は2年まで(知事が必要と認めれば更新可。第18条)です。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法施行規則」「里親が行う養育に関する最低基準」(施行規則第1条の36、最低基準第17条・第18条)

問14|里親が育てる人数

里親が行う養育に関する最低基準が定める、里親(専門里親を除く)が同時に養育できる人数として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 委託児童は2人まで、委託児童と実子などの合計は4人まで
  2. 委託児童は6人まで、委託児童と実子などの合計は8人まで
  3. 委託児童は4人まで、委託児童と実子などの合計は6人まで
  4. 委託児童は5人まで、委託児童と実子などの合計は6人まで
  5. 委託児童の人数に上限はなく、合計が6人までであればよい
正解と解説
正解:C. 委託児童は4人まで、委託児童と実子などの合計は6人まで

最低基準第17条第1項は、里親が同時に養育する委託児童と委託児童以外の児童の合計を6人まで、そのうち委託児童を4人までとしています(児童福祉法施行規則第1条の33も、養育里親の人数を4人としています)。2人までは専門里親の委託児童の上限です。5〜6人はファミリーホームの定員で、里親の数字ではありません。委託児童の人数にも上限があります。

根拠:e-Gov法令検索「里親が行う養育に関する最低基準」「児童福祉法施行規則」(最低基準第17条、施行規則第1条の19・第1条の33)

問15|ファミリーホーム

ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 養育者の住居で子どもを育てる事業で、委託児童の定員は5人または6人である。
  2. 養育者の住居で行う事業で、委託児童の定員は2人までとされている。
  3. 児童福祉法では、ファミリーホームは里親の一種として定義されている。
  4. 児童福祉法第7条で、児童福祉施設の一つとして列挙されている。
  5. 定員10人以上の建物で、交代制の職員が集団で養育する事業である。
正解と解説
正解:A. 養育者の住居で子どもを育てる事業で、委託児童の定員は5人または6人である。

ファミリーホームは、養育に相当の経験がある人などの住居で要保護児童を養育する事業です(第6条の3第8項)。定員は5人または6人です(施行規則第1条の19)。条文は「里親を除く」としており、里親とは別のものです。第7条の児童福祉施設の一覧には入っておらず、「事業」として定められています。養育者の住居で行う家庭養護なので、大人数を交代制で育てる形ではありません。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」「児童福祉法施行規則」(児童福祉法第6条の3第8項・第7条、施行規則第1条の19)

問16|特別養子縁組

特別養子縁組(民法)について、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 養親となる者の請求により、家庭裁判所が成立させる。
  2. 請求の時点で18歳未満であれば、どの子どもでも養子となることができる。
  3. 市町村長に届け出るだけで成立する。
  4. 成立すると、養子と実方の血族との親族関係は終了する。
  5. 15歳以上の子どもが養子となる場合でも、本人の同意は必要ない。
正解と解説
正解:A・D(養親となる者の請求により、家庭裁判所が成立させる。 / 成立すると、養子と実方の血族との親族関係は終了する。)

特別養子縁組は、養親となる者の請求により家庭裁判所が成立させる、実方の血族との親族関係が終了する縁組です(民法第817条の2)。届出だけで成立するものではありません。請求の時点で15歳に達している子どもは原則として養子になれず(例外あり)、成立までに18歳に達した場合もなれません(第817条の5第1項・第2項)。15歳以上の子どもが養子になるには本人の同意が必要です(同第3項)。

根拠:e-Gov法令検索「民法」(第817条の2・第817条の5)

問17|新しい社会的養育ビジョン

「新しい社会的養育ビジョン」(2017年8月)が示した、3歳未満の子どもの里親委託率の目標として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 概ね7年以内に50%以上
  2. 概ね10年以内に75%以上
  3. 概ね3年以内に100%
  4. 概ね5年以内に50%以上
  5. 概ね5年以内に75%以上
正解と解説
正解:E. 概ね5年以内に75%以上

ビジョンは、3歳未満は概ね5年以内に、それ以外の就学前の子どもは概ね7年以内に里親委託率75%以上、学童期以降は概ね10年以内に50%以上を実現するとしました(平成29年度から改革に着手)。7年は3歳以上の就学前、10年・50%は学童期以降の目標で、3歳未満の目標ではありません。100%や5年以内50%という目標は示されていません。

根拠:新たな社会的養育の在り方に関する検討会「新しい社会的養育ビジョン」(平成29年8月2日)

問18|家庭と同様の養育環境

「新しい社会的養育ビジョン」で、児童福祉法第3条の2の「できる限り良好な家庭的環境」に当たるとされているものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 特別養子縁組で迎えられた家庭
  2. 小規模化・地域分散化を進めた施設
  3. 養育里親として登録された家庭
  4. 養育者の住居で行うファミリーホーム
  5. 父母以外の親族による親族里親の家庭
正解と解説
正解:B. 小規模化・地域分散化を進めた施設

ビジョンは、家庭では養育が難しい子どもが入所する施設を「できる限り良好な家庭的環境」と位置づけ、小規模化(最大6人)・地域分散化を進めるとしています。特別養子縁組、養育里親、親族里親、ファミリーホームは、家庭の中で育てる「家庭と同様の養育環境」の側に当たり、第3条の2ではこちらが施設より優先されます。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第3条の2)、新たな社会的養育の在り方に関する検討会「新しい社会的養育ビジョン」(平成29年8月2日)

問19|自立支援計画

自立支援計画について、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 里親は自分で作った計画に従えばよく、児童相談所の自立支援計画とは関係がない。
  2. 児童養護施設では、施設の長が入所児童一人ひとりについて自立支援計画を策定しなければならない。
  3. 自立支援計画は入所のときに一度作れば、その後に見直す必要はない。
  4. 子どもの意見は、18歳に近づくまでは計画づくりに取り入れないこととされている。
  5. 児童養護施設の自立支援計画は、児童の意見や意向、児童と家庭の状況などを勘案して策定する。
正解と解説
正解:B・E(児童養護施設では、施設の長が入所児童一人ひとりについて自立支援計画を策定しなければならない。 / 児童養護施設の自立支援計画は、児童の意見や意向、児童と家庭の状況などを勘案して策定する。)

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第45条の2は、児童養護施設の長が、児童の意見・意向、児童や家庭の状況などを勘案して、入所児童ごとに自立支援計画を策定することを定めています。年齢や発達に応じて意見を聴く工夫も求められるので、18歳近くまで子どもの意見を取り入れないとするのは誤りです。里親は、児童相談所長があらかじめ作成した自立支援計画に従って養育します(里親最低基準第10条)。計画はアセスメントと評価にもとづいて見直していくもので、一度作れば終わりではありません。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」「里親が行う養育に関する最低基準」(基準第45条の2、最低基準第10条)、厚生労働省「児童養護施設運営ハンドブック」(平成26年3月。平成24年3月の「社会的養護施設運営指針」の解説書)

問20|児童自立生活援助事業

児童自立生活援助事業(児童福祉法第6条の3第1項。いわゆる自立援助ホームなど)について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 対象は、義務教育を終えていない小学生に限られている。
  2. 20歳以上の人は、どのような事情があっても対象にならない。
  3. 里親の家庭で、乳児を養育することを目的とする事業である。
  4. 措置解除者等に、共同生活の住居などで相談・生活指導・就業の支援などを行う。
  5. 施設に入所中の子どもに、心理療法を行うことを目的とする事業である。
正解と解説
正解:D. 措置解除者等に、共同生活の住居などで相談・生活指導・就業の支援などを行う。

児童自立生活援助事業は、義務教育を終えた児童などのうち措置を解除された人などに、共同生活を営む住居などで、相談、日常生活上の援助、生活指導、就業の支援などを行う事業です。小学生は対象ではありません。2024年4月施行の改正で年齢による一律の制限が緩和され、20歳以上でも、高校生や大学生であるなどやむを得ない事情で都道府県知事が必要と認めた人は対象になります。乳児の養育や、入所中の子どもへの心理療法を目的とする事業ではありません。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第6条の3第1項)、厚生労働省「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」

問21|措置延長

児童福祉法第31条第2項で、里親に委託された児童や児童養護施設に入所した児童について、都道府県が委託・在所を続けさせることができるのはいつまでか。最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 満18歳に達するまでで、延長はできない
  2. 満19歳に達するまで
  3. 満20歳に達するまで
  4. 満25歳に達するまで
  5. 年齢の上限なく、本人が望む限り
正解と解説
正解:C. 満20歳に達するまで

第31条第2項により、都道府県は、里親・ファミリーホームに委託された児童や、児童養護施設・障害児入所施設(福祉型)・児童心理治療施設・児童自立支援施設に入所した児童について、満20歳に達するまで委託や在所を続けさせることができます(措置延長)。18歳で必ず終わるわけではなく、19歳・25歳・上限なしという定めでもありません。20歳以降は、児童自立生活援助事業など別のしくみで支えます。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第31条)

問22|社会的養護自立支援拠点事業

2024年4月に法律に位置づけられた「社会的養護自立支援拠点事業」(児童福祉法第6条の3第16項)の内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 措置を解除された人などが交流できる場所を開き、情報提供・相談・助言や関係機関との連絡調整を行う。
  2. 措置に関する入所中の子どもの意見を聴き取り、児童相談所などとの調整を支援する。
  3. 里親の登録の可否を審査し、里親名簿を作成・管理する。
  4. 虐待をした保護者だけを対象に、施設内でカウンセリングを行う。
  5. 施設を退所した人の家賃を、年齢にかかわらず全額給付する。
正解と解説
正解:A. 措置を解除された人などが交流できる場所を開き、情報提供・相談・助言や関係機関との連絡調整を行う。

社会的養護自立支援拠点事業は、措置解除者等やこれに類する人が相互に交流を行う場所を開設し、情報の提供・相談・助言を行うとともに、関係機関との連絡調整などを行う事業です。子どもの意見を聴き取り調整を支えるのは「意見表明等支援事業」(第17項)です。里親名簿の登録は都道府県の役割で、この事業の内容ではありません。親子の再統合のための支援は「親子再統合支援事業」(第15項)ですが、保護者だけへの施設内カウンセリングとは定められていません。家賃の全額給付という定めもありません。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第6条の3第15項〜第17項)、厚生労働省「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」

問23|第三者評価

平成30年3月30日の国の通知による、児童養護施設などの社会的養護関係施設の評価の実施方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 第三者評価は10年に1回受ければよく、自己評価は求められていない。
  2. 第三者評価を受けるかどうかは施設の任意で、結果は公表しない。
  3. 第三者評価を毎月受け、自己評価は行わない。
  4. 自己評価だけを3年に1回行い、第三者評価は受けない。
  5. 第三者評価を3か年度ごとに1回以上受けて結果を公表し、自己評価は毎年度行う。
正解と解説
正解:E. 第三者評価を3か年度ごとに1回以上受けて結果を公表し、自己評価は毎年度行う。

通知は、児童養護施設・乳児院・児童心理治療施設・児童自立支援施設・母子生活支援施設に、3か年度ごとに1回以上第三者評価を受けて結果を公表すること、第三者評価基準の項目に沿って毎年度自己評価を行うことを求めています。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第45条の3も、児童養護施設に自己評価と定期的な外部評価・結果の公表を求めています。10年に1回、任意、毎月、自己評価だけ、はいずれも誤りです。

根拠:厚生労働省「社会的養護関係施設における第三者評価及び自己評価の実施について」(平成30年3月30日 子発0330第8号・社援発0330第42号)、e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(第45条の3)

問24|児童養護施設の職員

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準が定める児童養護施設の職員について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 心理療法担当職員は、入所児童の状況にかかわらず、すべての施設に置かなければならない。
  2. 児童指導員・保育士などとともに、個別対応職員と家庭支援専門相談員を置かなければならない。
  3. 看護師は、乳児が入所していなくても、すべての施設に置かなければならない。
  4. 保育士を置く必要はなく、児童指導員だけを置けばよい。
  5. 栄養士は、入所児童の人数にかかわらず、必ず置かなければならない。
正解と解説
正解:B. 児童指導員・保育士などとともに、個別対応職員と家庭支援専門相談員を置かなければならない。

基準第42条は、児童養護施設に児童指導員、嘱託医、保育士、個別対応職員、家庭支援専門相談員、栄養士、調理員などを置くこと、乳児が入所している施設には看護師を置くことを定めています。心理療法担当職員は、心理療法が必要な児童10人以上に心理療法を行う場合に置きます。保育士は置かなければなりません。栄養士は、入所児童40人以下の施設では置かないことができます。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(第42条)

問25|就学と施設長の責務

施設に入所中・里親に委託中の子どもについて、児童福祉法の定めとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 入所中の児童を就学させる義務は親権者だけにあり、施設の長には義務がない。
  2. 里親に委託された児童は、学校に通わせなくてもよいとされている。
  3. 退所した者への相談などの援助は児童相談所だけが行い、施設は関わらない。
  4. 施設の長や里親は、保護者に準じて、預かっている児童を就学させなければならない。
  5. 施設の長は、監護・教育のために必要であれば体罰を加えることができる。
正解と解説
正解:D. 施設の長や里親は、保護者に準じて、預かっている児童を就学させなければならない。

第48条は、児童養護施設・障害児入所施設・児童心理治療施設・児童自立支援施設の長、ファミリーホームの養育者、里親に、学校教育法の保護者に準じて入所中・受託中の児童を就学させる義務を定めています。よって親権者だけの義務とするもの、里親委託児は通わせなくてよいとするものは誤りです。児童養護施設は、退所した者への相談その他の自立のための援助も目的としています(第41条)。施設長などは監護・教育に必要な措置をとれますが、体罰は禁止されています(第47条第3項)。

根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」(第41条・第47条・第48条)

演習:この章の問題を解く

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※ 解説は学習用の情報提供です。試験の日程・出題範囲・合格基準は、必ず全国保育士養成協議会の公式発表をご確認ください。
※ 問題はすべて仮の宿 学習室のオリジナル問題で、本試験の問題ではありません。保健・栄養の内容は国のガイドラインに基づく学習用の説明で、医療上の助言ではありません。