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保育士試験 CHILDCARE WORKER EXAM

子ども家庭福祉

講義 5 本・確認問題 45 問 | 子ども家庭福祉(20問) | 最終更新 2026-10-16

この章で学ぶこと
目次
  1. 子どもの権利と子ども家庭福祉の理念
  2. 児童福祉法とこども基本法
  3. 実施体系:こども家庭庁・児童相談所・市町村
  4. 児童虐待の防止
  5. 子ども家庭支援のしくみ
  6. 確認問題(45問)
  7. 演習ツール

1. 子どもの権利と子ども家庭福祉の理念

子ども家庭福祉の土台は「子どもは権利をもつ一人の人である」という考え方です。国際的な歩みと、児童の権利に関する条約の原則を整理します。

子ども家庭福祉は、子どもと、その子どもを育てる家庭の生活を、法律・制度・専門職の支援で支える仕組みです。保育士試験では、この分野の土台として「子どもの権利」がくり返し問われます。この講義の内容は、2026年10月時点の公的資料にもとづきます。

国際的な歩み

子どもの権利を国際社会で文書にした最初の大きな動きは、1924年に国際連盟が採択した「ジュネーブ宣言」です。第二次世界大戦のあと、1959年11月20日に国際連合(国連)総会が「児童の権利に関する宣言」を採択しました。宣言は大切な考え方を示しますが、国に守る義務を課す「条約」ではありません。

そこで1978年、ポーランドが条約の草案を国連人権委員会に出しました。翌1979年は「国際児童年」で、この年に草案を検討する作業部会がつくられました。そして1989年11月20日、第44回国連総会で児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)が全会一致で採択され、1990年に発効しました。日本は1994年4月22日に批准し、同年5月22日に日本について効力が生じました。締約国は196か国・地域です(2025年3月現在、こども家庭庁)。

子どもの権利の国際的な歩み(外務省・こども家庭庁の資料から)
年できごと
1924年ジュネーブ宣言(国際連盟が採択)
1959年児童の権利に関する宣言(国連総会が採択)
1978年ポーランドが条約の草案を国連人権委員会に提出
1979年国際児童年。草案を検討する作業部会を設置
1989年児童の権利に関する条約を国連総会が全会一致で採択(1990年発効)
1994年日本が批准(4月22日)、日本について効力発生(5月22日)

条約の4つの原則

条約は「児童」を18歳未満の人と定めます(第1条)。条約全体を貫く考え方として、次の4つが「一般原則」とよばれます。こども家庭庁の資料では、こども基本法第3条の基本理念の第1号〜第4号が、この4つに対応すると説明されています。

児童の権利に関する条約の4つの原則
原則条約の条文こども基本法第3条
差別の禁止第2条第1号
生命、生存及び発達に対する権利第6条第2号
児童の最善の利益(の考慮)第3条第4号
意見表明の権利(意見の尊重)第12条第3号

第3条1は、子どもに関わる措置を、公的・私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局、立法機関のどれが行う場合でも、子どもの最善の利益が主として考慮される、と定めます。第12条1は、自分の意見をまとめる力のある子どもが、自分に関わることについて自由に意見を表す権利をもち、その意見は年齢と成熟度に応じて相応に考慮される、と定めます。「子どもの言うとおりにする」という意味ではなく、「聴いて、きちんと考えに入れる」という意味です。

保育でよく出る条文

第9条は、子どもが父母の意思に反して父母から引き離されないことを定めます。ただし、虐待や放置のように、司法の審査のもとで子どもの最善の利益のために必要と決められた場合は例外です。第18条は、養育について父母が共同の責任を負い、第一義的な責任は父母(または法定保護者)にあるとします。第19条は虐待・放置・搾取からの保護、第23条は障害のある子どもの尊厳と社会参加、第31条は休息・余暇・遊びと文化・芸術活動への参加の権利です。

条約には2つの選択議定書(武力紛争における児童の関与、児童の売買・児童買春・児童ポルノ)があり、日本はどちらも締結しています(2004年・2005年)。締約国は国連の「児童の権利委員会」に定期的に報告し、審査を受けます。

日本の児童憲章

日本では、1951年(昭和26年)5月5日に「児童憲章制定会議」が児童憲章を定めました。法律ではありませんが、社会全体の約束として、総則で「児童は、人として尊ばれる。」「児童は、社会の一員として重んぜられる。」「児童は、よい環境の中で育てられる。」とうたっています。

用語

児童の権利に関する条約
1989年に国連総会が採択した条約。子どもの権利条約ともいう。18歳未満を児童とする。
批准
国が条約に正式に従うと決める手続き。日本は1994年に批准した。
最善の利益
子どもに関わる決定で、その子にとって何が一番よいかを主に考えること(条約第3条)。
意見表明権
自分に関わることについて自由に意見を表す権利。年齢と成熟度に応じて考慮される(条約第12条)。
選択議定書
条約に追加される別の取り決め。締結するかどうかは国ごとに選ぶ。

例題

例題:児童の権利に関する条約の4つの原則のうち、「意見表明の権利」は条約の第何条にあたるか。
答えと考え方 第12条です。差別の禁止は第2条、最善の利益は第3条、生命・生存・発達の権利は第6条です。条文番号は「2・3・6・12」とまとめて覚えると整理しやすくなります。

根拠:こども家庭庁「児童の権利に関する条約」、こども家庭庁「児童の権利に関する条約 全文」、外務省「児童の権利条約」、外務省「作成および採択の経緯」、こども家庭庁「こども基本法の概要」、文部科学省「児童憲章」(いずれも2026年10月確認)

2. 児童福祉法とこども基本法

子ども家庭福祉の中心となる2つの法律、児童福祉法とこども基本法の理念・定義・しくみを確認します。

この講義は2026年10月時点の法令で書いています。本試験は、その年の4月1日以前に施行された法令などをもとに出題されます。

児童福祉法の理念

児童福祉法は1947年(昭和22年)に制定された、子ども家庭福祉の基本となる法律です。2016年(平成28年)の改正で理念が明確にされ、第1条は「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」となりました。子どもが権利の主体であることを、法律の最初に書いています。

第2条第1項は、全て国民が、子どもの年齢と発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育つよう努めなければならない、と定めます。第2項は「児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負う。」、第3項は国と地方公共団体が保護者とともに育成の責任を負うとします。

第3条の2は、国・地方公共団体が、まず家庭での養育を支援すること、家庭での養育が難しい・適当でない場合は、家庭と同様の養育環境(里親など)で継続的に育てられるようにすること、それも適当でなければ、できる限り良好な家庭的環境で育てられるようにすることを定めます(家庭養育優先の原則)。

年齢の区分(第4条)

児童福祉法第4条の定義
用語定義
児童満18歳に満たない者
乳児満1歳に満たない者
幼児満1歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
少年小学校就学の始期から、満18歳に達するまでの者

児童福祉施設(第7条)

第7条は児童福祉施設を13種類あげます。助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター、里親支援センターです。幼稚園は学校教育法の「学校」、児童相談所は行政機関なので、児童福祉施設には入りません。

保育士の規定

保育士は、登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識と技術をもって、児童の保育と、児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者です(第18条の4)。名称を使えるのは保育士だけ(名称独占)です。保育士は信用を傷つける行為をしてはならず(第18条の21)、正当な理由なく業務で知った秘密を漏らしてはならず、これは保育士でなくなった後も同じです(第18条の22)。

こども基本法

こども基本法は2022年(令和4年)6月に成立し、2023年(令和5年)4月1日に施行されました。日本国憲法と児童の権利に関する条約の精神にのっとり、こども施策を社会全体で総合的に進めるための基本法です。この法律の「こども」は「心身の発達の過程にある者」で、年齢で区切っていません(第2条)。

基本理念(第3条)は6つです。①個人として尊重され差別されない、②福祉の権利が等しく保障され教育の機会が等しく与えられる、③自分に直接関係することに意見を表し社会活動に参画する機会がある、④意見が尊重され最善の利益が優先して考慮される、⑤家庭での養育が基本で父母などが第一義的責任をもち、難しい場合は家庭に近い環境が確保される、⑥家庭や子育てに夢をもち子育ての喜びを感じられる社会をつくる、です。

政府はこども大綱を定めなければなりません(第9条)。こども大綱は、それまでの少子化社会対策・子ども・若者育成支援・子どもの貧困対策の3つの大綱を一つにまとめたもので、最初の大綱は2023年12月22日に閣議決定されました。都道府県こども計画・市町村こども計画は努力義務です(第10条)。国と地方公共団体は、施策にこどもや子育て当事者の意見を反映させる措置をとります(第11条)。こども家庭庁には、内閣総理大臣を会長とするこども政策推進会議が置かれます(第17条・第18条)。

用語

第一義的責任
ほかの誰よりも先に負う、最も基本的な責任。子育てでは保護者が負う。
家庭養育優先の原則
家庭での養育を支え、難しい場合は里親など家庭と同様の環境を優先する考え方(児童福祉法第3条の2)。
名称独占
資格をもつ人だけがその名称を使えること。保育士は名称独占の資格。
こども大綱
こども基本法第9条にもとづき、政府が定めるこども施策の基本方針。
こども政策推進会議
こども家庭庁に置かれ、内閣総理大臣が会長となる会議。こども大綱の案をつくる。

例題

例題:児童福祉法で、5歳の子どもは「乳児」「幼児」「少年」のどれにあたるか。小学1年生はどうか。
答えと考え方 5歳(小学校入学前)は「幼児」です。小学1年生は小学校就学の始期を過ぎているので「少年」です。いずれも18歳未満なので「児童」でもあります。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)、厚生労働省「児童福祉法等の一部を改正する法律(平成28年法律第63号)の概要」、こども基本法(e-Gov法令検索)、こども家庭庁「こども基本法の概要」(いずれも2026年10月確認)

3. 実施体系:こども家庭庁・児童相談所・市町村

子ども家庭福祉は、国・都道府県・市町村と、地域の人々がそれぞれの役割を分けて担います。どの機関が何をするかを整理します。

国:こども家庭庁

こども家庭庁は、こども家庭庁設置法により、内閣府の外局として置かれた国の行政機関で、2023年(令和5年)4月1日に発足しました。内部は長官官房・成育局・支援局の「1官房2局」です。成育局は母子保健、保育所・認定こども園などを、支援局は児童虐待防止、社会的養護、こどもの貧困対策、ひとり親家庭支援、障害児支援などを担当します。保育所保育指針と幼保連携型認定こども園教育・保育要領は、成育局が文部科学省とともに策定します。いじめ・不登校対策は文部科学省などと連携して進めます。

都道府県:児童相談所

児童福祉法第12条により、都道府県は児童相談所を設置しなければなりません。指定都市や、政令で定める市・特別区(児童相談所設置市)も児童相談所を置いています。全国の児童相談所は240か所です(2025年4月1日現在、こども家庭庁)。児童相談所の主な仕事は、市町村への援助、相談、一時保護、措置(在宅指導、児童福祉施設への入所、里親委託など)です。

児童相談所が受ける相談の種類(こども家庭庁「児童相談所の概要」)
相談の種類主な内容
養護相談養育困難、虐待、養子縁組など
保健相談未熟児、疾患など
障害相談肢体不自由、知的障害、自閉症など
非行相談ぐ犯行為、触法行為など
育成相談しつけ、不登校、進学適性など

職員には児童福祉司、児童心理司、医師、保健師などがいます。一時保護は、児童相談所長または都道府県知事が行い、期間は開始から2か月を超えてはならないとされます。必要なら続けられますが、親権者などの意に反して続けるときは、そのたびに家庭裁判所の承認が必要です(第33条)。さらに2022年の改正で「一時保護時の司法審査」が導入され、2025年(令和7年)6月1日から、親権者などの同意がない場合などに、裁判官に一時保護状を請求するしくみが始まりました。

虐待などで子どもの福祉が著しく害されるとき、親権者の意に反して施設入所などの措置をとるには家庭裁判所の承認が必要で、その期間は2年以内(承認を得て更新できる)です(第28条)。児童相談所長は、家庭裁判所に親権喪失・親権停止(2年以内)などの審判を請求できます(第33条の7、民法第834条の2)。

市町村と地域

市町村は、子どもと家庭に一番身近な窓口です。2022年改正により、2024年(令和6年)4月から、市町村はこども家庭センターの設置に努めることになりました。こども家庭センターは、母子保健と児童福祉の相談支援を一体的に行い、支援が必要な子どもや妊産婦などにサポートプランをつくります。2025年5月1日時点で、全国1,741市区町村のうち1,240(71.2%)が設置しています。

地方公共団体は、要保護児童対策地域協議会を置くように努めます(第25条の2)。関係機関が要保護児童・要支援児童・特定妊婦の情報を交換し、支援を協議する場で、事務をまとめる「要保護児童対策調整機関」を1つ指定します。

地域では児童委員が活動します。市町村の区域に置かれ、民生委員が児童委員を兼ねます。厚生労働大臣は、児童委員の中から主任児童委員を指名します(第16条)。

用語

外局
府や省の中に置かれ、特定の仕事を受け持つ独立性の高い機関。こども家庭庁は内閣府の外局。
一時保護
子どもの安全確保や状況把握のため、児童相談所が子どもを一時的に保護すること。原則2か月以内。
要保護児童
保護者のない児童、または保護者に監護させることが不適当と認められる児童(児童福祉法第6条の3第8項)。
特定妊婦
出産後の養育について、出産前から支援が特に必要と認められる妊婦。
主任児童委員
児童福祉を専門に担当する児童委員。厚生労働大臣が児童委員の中から指名する。

例題

例題:親権者が反対している中で一時保護を2か月を超えて続けたい。児童相談所は何が必要か。
答えと考え方 そのたびに家庭裁判所の承認が必要です(児童福祉法第33条)。都道府県議会や警察の許可ではありません。施設入所措置(第28条)でも、親権者の意に反するときは家庭裁判所の承認が必要です。

根拠:こども家庭庁設置法(e-Gov法令検索)、こども家庭庁「こども家庭庁組織体制の概要」、児童福祉法(e-Gov法令検索)、こども家庭庁「児童相談所の概要」、こども家庭庁支援局長通知(令和7年5月30日 こ支虐第210号、一時保護時の司法審査)、厚生労働省「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」、こども家庭庁「こども家庭センターの設置状況について」(令和7年8月1日)、民法(e-Gov法令検索)(いずれも2026年10月確認)

4. 児童虐待の防止

児童虐待の定義、通告の義務、体罰の禁止、最新の統計を確認します。保育士は虐待を早く見つけやすい立場にいます。

児童虐待防止法の定義

児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)は2000年(平成12年)に制定されました。第2条は、保護者(親権を行う者、未成年後見人など、児童を現に監護する者)が、その監護する児童(18歳未満)に行う次の4つを「児童虐待」と定めます。

児童虐待の4つの類型(児童虐待防止法第2条)
類型法律の内容(要約)
身体的虐待身体に外傷が生じる、または生じるおそれのある暴行
性的虐待児童にわいせつな行為をする、またはさせる
ネグレクト著しい減食、長時間の放置など、保護者としての監護を著しく怠る(同居人による虐待の放置を含む)
心理的虐待著しい暴言、著しく拒絶的な対応、児童がいる家庭での配偶者に対する暴力(いわゆる面前DV)など、著しい心理的外傷を与える言動

早期発見と通告

学校、児童福祉施設、病院などの団体と、学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、助産師、看護師、弁護士、警察官などは、虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、早期発見に努めなければなりません(第5条)。

第6条は、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、市町村、都道府県の設置する福祉事務所、児童相談所(または児童委員を介してこれらの機関)に通告しなければならない、と定めます。虐待だという確証は要りません。この通告は、守秘義務に関する法律の規定によって妨げられません。保育士の秘密保持義務があっても、通告してよい(通告しなければならない)ということです。

全国共通の児童相談所虐待対応ダイヤル「189」にかけると、近くの児童相談所につながります。通話料は無料(2019年12月から)で、匿名でも通告・相談でき、通告した人と内容の秘密は守られます。

虐待のおそれがあるとき、都道府県知事は、保護者への出頭要求(第8条の2)、職員による立入調査(第9条)を行えます。保護者が正当な理由なく拒むときは、裁判官の許可状を得て臨検・捜索ができます(第9条の3)。

体罰の禁止

2019年の法改正で、親権を行う者(親権者)が児童のしつけに際して体罰を加えてはならないことが法律に書かれ、2020年(令和2年)4月に施行されました(児童虐待防止法第14条)。さらに民法が改正され、2022年(令和4年)12月16日から、親の懲戒権の規定が削除され、子の人格を尊重する義務と、体罰など子の心身の健全な発達に有害な言動の禁止が明記されました。

厚生労働省の検討会の報告書(2020年2月)は、身体に何らかの苦痛や不快感を意図的にもたらす罰は、しつけのためでも、どんなに軽いものでも体罰にあたるとしています。例として、注意を聞かないので頬をたたく、罰として長時間正座させる、宿題をしなかったので夕食を与えない、などがあげられています。一方、道に飛び出しそうな子どもの手をつかむなど、子どもを守るための行為や、他の子への暴力を止める行為は体罰にあたりません。

統計(令和6年度)

児童相談所における児童虐待相談対応件数(令和6年度、こども家庭庁)
内容件数割合
心理的虐待133,024件59.5%
身体的虐待52,535件23.5%
ネグレクト35,612件15.9%
性的虐待2,520件1.1%
合計223,691件前年度比 0.8%減

相談経路は「警察等」が115,644件(51.7%)で最も多くなっています。数字は毎年変わるので、「心理的虐待が最も多い」「警察等からの相談が最も多い」という傾向をつかんでおきましょう。こども家庭庁は毎年11月に「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン」を行っています。

用語

ネグレクト
育児放棄・監護放棄。食事を与えない、長時間放置するなど、保護者としての監護を著しく怠ること。
面前DV
子どもの前で配偶者などに暴力をふるうこと。児童虐待防止法では心理的虐待にあたる。
通告
虐待を受けたと思われる子どもを、市町村・福祉事務所・児童相談所に知らせること。確証は不要。
臨検
裁判官の許可状を得て、住居などに強制的に立ち入ること。
懲戒権
民法にあった、親が子をこらしめる権利の規定。2022年12月に削除された。

例題

例題:保育士が、登園した子どもの腕に不自然なあざを見つけた。保護者は「転んだ」と言うが、虐待の確証はない。法律上の考え方として正しいのはどれか。
答えと考え方 虐待を受けたと「思われる」段階で、速やかに市町村や児童相談所などに通告します(児童虐待防止法第6条)。確証を待つ必要はなく、保育士の秘密保持義務も通告をさまたげません。園内で情報を共有し、組織として対応することも大切です。

根拠:児童虐待の防止等に関する法律(e-Gov法令検索)、こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル『189』について」、こども家庭庁「体罰等によらない子育てのために」、厚生労働省検討会「体罰等によらない子育てのために」(令和2年2月)、法務省「民法等の一部を改正する法律について」、こども家庭庁「令和6年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数」、こども家庭庁 児童虐待防止推進特設サイト「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン」(いずれも2026年10月確認)

5. 子ども家庭支援のしくみ

虐待を予防し、すべての子育て家庭を支えるための事業・手当・サービスを整理します。保育所は地域の子育て支援の拠点の一つです。

子ども家庭福祉は、困りごとが起きてから対応するだけでなく、すべての家庭を支えて問題を予防することを重視します。児童福祉法第6条の3は、市町村などが行う子育て支援事業を定めています。名称と内容を対応させて覚えましょう(2026年10月時点)。

主な子育て支援事業(児童福祉法第6条の3)
事業内容(要約)
乳児家庭全戸訪問事業原則としてすべての乳児のいる家庭を訪問し、情報提供や、親子の心身・養育環境の把握、相談・助言を行う
養育支援訪問事業要支援児童や特定妊婦など、養育の支援が特に必要な家庭を訪問し、相談・指導・助言を行う
地域子育て支援拠点事業乳幼児と保護者が交流する場を開き、子育ての相談・情報提供・助言を行う
子育て短期支援事業保護者の病気などで家庭での養育が一時的に難しい子どもを、児童養護施設などに入所させたり里親に委託したりして保護・支援する
一時預かり事業家庭での保育が一時的に難しい乳幼児を、保育所などで一時的に預かる
子育て援助活動支援事業援助を受けたい人と援助をしたい人の連絡・調整や講習を行う。援助は一時預かり(宿泊を含む)や外出時の移動支援
放課後児童健全育成事業保護者が労働などで昼間家庭にいない小学生に、放課後、児童厚生施設などで遊びと生活の場を提供する

乳児家庭全戸訪問事業のガイドラインでは、対象は原則として生後4か月を迎えるまでの乳児のいるすべての家庭です。訪問者は保健師・助産師・看護師のほか、保育士、母子保健推進員、愛育班員、児童委員、子育て経験者なども登用できます。目的は子育ての孤立化を防ぐことです。

2022年の児童福祉法改正で、2024年4月から子育て世帯訪問支援事業(家事・育児の支援)、児童育成支援拠点事業(家や学校以外の居場所)、親子関係形成支援事業(親子の関わり方を学ぶ)が新しく加わりました。

母子保健

母子保健法第12条により、市町村は、満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児(1歳6か月児健診)と、満3歳を超え満4歳に達しない幼児(3歳児健診)に健康診査を行わなければなりません。こうした健診や訪問は、発達の確認だけでなく、支援の必要な家庭に早く気づく機会にもなります。

経済的な支援:児童手当

児童手当は2024年(令和6年)10月分から拡充されました。支給対象は高校生年代まで(18歳到達後の最初の年度末まで)に広がり、所得制限がなくなり、第3子以降は月額3万円になりました。3歳未満の第1子・第2子は月額1万5千円、3歳から高校生年代の第1子・第2子は月額1万円です。支払いは年6回(偶数月)です。

障害のある子どもへの支援

児童福祉法の障害児通所支援は、児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援の4つです。放課後等デイサービスは、学校(幼稚園と大学を除く)に通う障害児に、授業の終わったあとや休業日に、生活能力の向上のための支援や社会との交流の促進を行います。施設に入所して支援を受ける場合は、障害児入所施設を利用します。

ひとり親家庭とヤングケアラー

母子生活支援施設(児童福祉法第38条)は、配偶者のない女子またはこれに準ずる事情にある女子と、その監護すべき児童を入所させて保護し、自立の促進のために生活を支援する児童福祉施設です。退所した人への相談・援助も行います。

2024年(令和6年)6月の法改正で、子ども・若者育成支援推進法に、ヤングケアラーが「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」として明記され、国・地方公共団体などが支援に努めることになりました。18歳以上の若者も対象に含まれます。

用語

乳児家庭全戸訪問事業
生後4か月までの乳児のいるすべての家庭を訪問する事業。子育ての孤立化を防ぐ。
養育支援訪問事業
養育の支援が特に必要な家庭(要支援児童・特定妊婦など)を訪問して支える事業。
放課後等デイサービス
学校に通う障害児に、放課後や休業日に支援を行う障害児通所支援。
保育所等訪問支援
専門職が保育所などを訪れ、障害児が集団生活に適応できるよう支援する障害児通所支援。
ヤングケアラー
家族の介護などの日常生活上の世話を過度に行っている子ども・若者。

例題

例題:生後2か月の赤ちゃんがいる家庭に、市町村から「赤ちゃん訪問」の連絡があった。この家庭に特に問題は見つかっていない。これはどの事業か。
答えと考え方 乳児家庭全戸訪問事業です。問題の有無にかかわらず、原則として生後4か月までの乳児のいるすべての家庭が対象です。支援が特に必要な家庭を対象にする養育支援訪問事業とは区別します。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)、こども家庭庁掲載「乳児家庭全戸訪問事業ガイドライン」、厚生労働省「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」、母子保健法(e-Gov法令検索)、こども家庭庁「児童手当の拡充(事業の概要・スキーム)」、こども家庭庁「ヤングケアラー支援の強化に係る法改正の経緯・施行について」(いずれも2026年10月確認)

確認問題(45問)

五肢択一(「2つ選べ」などの問題は正解が複数)。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。

問1|条約の採択と批准

児童の権利に関する条約について、国連総会で採択された年と、日本が批准した年の組合せとして、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 採択 1959年 ― 批准 1979年
  2. 採択 1989年 ― 批准 1994年
  3. 採択 1989年 ― 批准 1990年
  4. 採択 1979年 ― 批准 1994年
  5. 採択 1924年 ― 批准 1989年
正解と解説
正解:B. 採択 1989年 ― 批准 1994年

条約は1989年11月20日に国連総会で採択され、日本は1994年4月22日に批准しました。1959年は国連の「児童の権利に関する宣言」、1979年は国際児童年、1990年は条約が国際的に発効した年、1924年は国際連盟のジュネーブ宣言の年です。

根拠:こども家庭庁「児童の権利に関する条約」、外務省「作成および採択の経緯」

問2|4つの原則と条文

児童の権利に関する条約の一般原則と、その条文の組合せとして、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 差別の禁止 ― 第12条
  2. 意見表明の権利 ― 第6条
  3. 生命、生存及び発達に対する権利 ― 第2条
  4. 児童の最善の利益 ― 第3条
  5. 児童の最善の利益 ― 第31条
正解と解説
正解:D. 児童の最善の利益 ― 第3条

一般原則は、差別の禁止(第2条)、児童の最善の利益(第3条)、生命・生存・発達の権利(第6条)、意見表明の権利(第12条)です。第31条は休息・余暇・遊びの権利で、一般原則の条文ではありません。ほかの選択肢は条文番号を入れ替えた誤りです。

根拠:こども家庭庁「こども基本法の概要」、こども家庭庁「児童の権利に関する条約 全文」

問3|条約の内容

児童の権利に関する条約の内容として、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 18歳未満の者を「児童」と定めている。
  2. 児童を父母から分離することは、どのような場合も認めていない。
  3. 児童の休息・余暇・遊びの権利を定めている。
  4. 児童の養育の第一義的な責任は国にあるとしている。
  5. 意見表明の権利は、12歳以上の児童に限って認めている。
正解と解説
正解:A・C(18歳未満の者を「児童」と定めている。 / 児童の休息・余暇・遊びの権利を定めている。)

第1条は18歳未満を児童とし、第31条は休息・余暇・遊びの権利を定めます。第9条は、虐待や放置などで司法の審査のもとで必要と決められた場合の分離を例外として認めています。第18条は養育の第一義的責任を父母(または法定保護者)としています。第12条は年齢で区切らず、意見を形成できる児童に意見表明の権利を認め、年齢と成熟度に応じて考慮するとしています。

根拠:こども家庭庁「児童の権利に関する条約 全文」、外務省「児童の権利条約」

問4|国際的な歩みの順序

子どもの権利に関する国際的なできごとを古い順に並べたものとして、正しいものを一つ選びなさい。

  1. ジュネーブ宣言 → 児童の権利に関する宣言 → 国際児童年 → 児童の権利に関する条約
  2. 児童の権利に関する宣言 → ジュネーブ宣言 → 国際児童年 → 児童の権利に関する条約
  3. ジュネーブ宣言 → 国際児童年 → 児童の権利に関する宣言 → 児童の権利に関する条約
  4. 国際児童年 → ジュネーブ宣言 → 児童の権利に関する条約 → 児童の権利に関する宣言
  5. ジュネーブ宣言 → 児童の権利に関する条約 → 国際児童年 → 児童の権利に関する宣言
正解と解説
正解:A. ジュネーブ宣言 → 児童の権利に関する宣言 → 国際児童年 → 児童の権利に関する条約

ジュネーブ宣言(1924年、国際連盟)、児童の権利に関する宣言(1959年、国連総会)、国際児童年(1979年)、児童の権利に関する条約(1989年)の順です。条約の草案は1978年にポーランドが提出し、国際児童年に作業部会がつくられたため、国際児童年は条約より前です。

根拠:外務省「作成および採択の経緯」

問5|児童憲章

児童憲章について、適切なものを一つ選びなさい。

  1. 1947年に児童福祉法と同時に国会で議決された法律である。
  2. 1959年に国連総会で採択され、日本も署名した国際文書である。
  3. 1951年5月5日に児童憲章制定会議が定め、「児童は、人として尊ばれる。」とうたっている。
  4. こども基本法の施行にあわせて、2023年に制定された。
  5. 総則で「児童は、家庭の財産として守られる。」とうたっている。
正解と解説
正解:C. 1951年5月5日に児童憲章制定会議が定め、「児童は、人として尊ばれる。」とうたっている。

児童憲章は1951年(昭和26年)5月5日に児童憲章制定会議が定めたもので、法律ではありません。総則は「児童は、人として尊ばれる。」「児童は、社会の一員として重んぜられる。」「児童は、よい環境の中で育てられる。」の3つです。1959年に国連総会で採択されたのは「児童の権利に関する宣言」です。

根拠:文部科学省「児童憲章」

問6|選択議定書

児童の権利に関する条約の選択議定書について、適切なものを一つ選びなさい。

  1. 選択議定書は1989年に条約と同時に採択された。
  2. 日本は選択議定書をまだ一つも締結していない。
  3. 選択議定書により、条約上の「児童」の年齢は20歳未満に引き上げられた。
  4. 選択議定書は児童憲章の付属文書である。
  5. 武力紛争における児童の関与と、児童の売買等に関する2つの選択議定書があり、日本はどちらも締結している。
正解と解説
正解:E. 武力紛争における児童の関与と、児童の売買等に関する2つの選択議定書があり、日本はどちらも締結している。

外務省によると、選択議定書は「武力紛争における児童の関与」と「児童の売買、児童買春及び児童ポルノ」の2つで、どちらも2000年に採択され、日本は2004年・2005年に締結しました。条約と同時の採択ではなく、児童の年齢(18歳未満)も変えていません。児童憲章は日本の憲章で、条約とは別のものです。

根拠:外務省「児童の権利条約」

問7|最善の利益(第3条)

児童の権利に関する条約第3条1は、児童に関する措置で「児童の最善の利益」が主として考慮されるとしている。その対象として、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 社会福祉施設、裁判所、行政当局、立法機関のいずれが行う措置も対象になる。
  2. 裁判所が行う判断だけが対象になる。
  3. 家庭の中で保護者が行う決定だけが対象になる。
  4. 行政当局が行う措置だけが対象になり、立法機関は除かれる。
  5. 児童が意見を述べた事項だけが対象になる。
正解と解説
正解:A. 社会福祉施設、裁判所、行政当局、立法機関のいずれが行う措置も対象になる。

第3条1は、公的・私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局、立法機関のどれが行う措置でも、児童の最善の利益が主として考慮されるとしています。特定の機関に限るものではありません。児童が意見を述べたかどうかに関係なく考慮されます(意見表明は第12条の別の権利)。

根拠:こども家庭庁「児童の権利に関する条約 全文」

問8|基本法と条約原則

こども家庭庁の資料で、こども基本法第3条の基本理念のうち児童の権利に関する条約の一般原則に対応するとされているものを、次から2つ選びなさい。

  1. 家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境を整備すること
  2. 父母その他の保護者が子育てについて第一義的責任を有すること
  3. 自己に直接関係する事項に関して意見を表明し、社会活動に参画する機会が確保されること
  4. 意見が尊重され、最善の利益が優先して考慮されること
  5. こども大綱を毎年改定し、国会の承認を得ること
正解と解説
正解:C・D(自己に直接関係する事項に関して意見を表明し、社会活動に参画する機会が確保されること / 意見が尊重され、最善の利益が優先して考慮されること)

こども家庭庁の資料では、第3条第1号(差別の禁止)、第2号(生命・生存・発達)、第3号(意見表明)、第4号(最善の利益)が条約の4原則に対応するとされています。選択肢では第3号と第4号が該当します。第6号(子育ての喜び)と第5号(保護者の第一義的責任)は4原則の対応には入っていません。こども大綱を毎年改定して国会の承認を得るという規定はありません。

根拠:こども家庭庁「こども基本法の概要」

問9|意見表明と保育

児童の権利に関する条約第12条の考え方に最も合う保育士の対応として、適切なものを一つ選びなさい。

  1. 3歳未満の子どもは意見をもたないので、保育の内容について思いを聴く必要はない。
  2. 子どもの意見はどんな内容でも、そのとおりに実行しなければならない。
  3. 子どもの年齢や発達に応じて思いを聴き、その意見を相応に考慮して活動を決める。
  4. 保護者の同意がある場合に限って、子どもの意見を聴く。
  5. 子どもの意見は、文字で書いて提出されたものだけを受け付ける。
正解と解説
正解:C. 子どもの年齢や発達に応じて思いを聴き、その意見を相応に考慮して活動を決める。

第12条1は、意見を形成できる子どもが自由に意見を表す権利をもち、その意見は年齢と成熟度に応じて相応に考慮されるとしています。年齢で一律に除外したり、保護者の同意や書面を条件にしたりはしません。一方で「相応に考慮する」ことであり、必ずそのとおりにするという意味ではありません。

根拠:こども家庭庁「児童の権利に関する条約 全文」

問10|幼児の定義

児童福祉法における「幼児」の定義として、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 満1歳に満たない者
  2. 満1歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
  3. 満3歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
  4. 満1歳から、満6歳に達するまでの者
  5. 小学校就学の始期から、満18歳に達するまでの者
正解と解説
正解:B. 満1歳から、小学校就学の始期に達するまでの者

児童福祉法第4条では、乳児は満1歳に満たない者、幼児は満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者、少年は小学校就学の始期から満18歳に達するまでの者です。満3歳からとするのは誤りで、終わりは「満6歳」ではなく「小学校就学の始期」です。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第4条)

問11|児童の定義

児童福祉法における「児童」の定義として、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 満20歳に満たない者
  2. 満15歳に満たない者
  3. 中学校を修了するまでの者
  4. 満18歳に満たない者
  5. 満18歳に達した日以後の最初の3月31日までの者
正解と解説
正解:D. 満18歳に満たない者

児童福祉法第4条は、児童を「満十八歳に満たない者」と定めています。児童の権利に関する条約の18歳未満とも一致します。「18歳到達後の最初の年度末まで」は、2024年10月以降の児童手当の支給対象の考え方で、児童福祉法の児童の定義ではありません。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第4条)、こども家庭庁「児童手当の拡充(事業の概要・スキーム)」

問12|児童福祉施設

児童福祉法第7条に定める児童福祉施設に含まれるものを、次から2つ選びなさい。

  1. 幼稚園
  2. 児童家庭支援センター
  3. 児童相談所
  4. 地域子育て支援拠点
  5. 里親支援センター
正解と解説
正解:B・E(児童家庭支援センター / 里親支援センター)

第7条の児童福祉施設は13種類で、児童家庭支援センターと里親支援センターが含まれます。幼稚園は学校教育法の学校、児童相談所は都道府県などの行政機関です。地域子育て支援拠点は第6条の3の「地域子育て支援拠点事業」という事業で、第7条の施設ではありません。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第6条の3・第7条)

問13|第一義的責任

児童福祉法第2条で、児童を心身ともに健やかに育成することについて「第一義的責任」を負うとされているのはだれか。正しいものを一つ選びなさい。

  1. 児童の保護者
  2. 国
  3. 地方公共団体
  4. 児童相談所
  5. 保育所
正解と解説
正解:A. 児童の保護者

第2条第2項は「児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負う。」と定めます。第3項は、国と地方公共団体が保護者とともに育成の責任を負うとしていますが、「第一義的」とはしていません。児童相談所や保育所は支援する機関です。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第2条)

問14|保育士の義務

児童福祉法の保育士に関する規定として、適切なものを一つ選びなさい。

  1. 保育士の資格がない者は、保育所で子どもの世話をすることが一切できない(業務独占)。
  2. 保育士の信用を傷つける行為をしないことは、努力義務にとどまる。
  3. 秘密保持の義務は、保育所に勤務している間だけ課される。
  4. 保育士の業務は児童の保育に限られ、保護者への保育に関する指導は含まれない。
  5. 業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない義務は、保育士でなくなった後も続く。
正解と解説
正解:E. 業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない義務は、保育士でなくなった後も続く。

第18条の22は秘密保持を定め、「保育士でなくなつた後においても、同様とする」としています。保育士は「保育士の名称を用いて」業務を行う名称独占の資格で、業務独占ではありません。信用失墜行為は「してはならない」と禁止されています(第18条の21)。第18条の4は、児童の保護者に対する保育に関する指導も保育士の業務としています。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第18条の4・第18条の21・第18条の22)

問15|こども基本法の「こども」

こども基本法における「こども」の定義として、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 満18歳に満たない者
  2. 満20歳に満たない者
  3. 心身の発達の過程にある者
  4. 小学校就学の始期に達するまでの者
  5. おおむね30歳未満の者
正解と解説
正解:C. 心身の発達の過程にある者

こども基本法第2条は「こども」を「心身の発達の過程にある者」と定め、年齢で区切っていません。18歳未満は児童福祉法や条約の「児童」の定義です。おおむね30歳未満は、ヤングケアラー支援の対象の説明などで使われる目安で、こども基本法の定義ではありません。

根拠:こども基本法(e-Gov法令検索)、こども家庭庁「こども基本法の概要」

問16|こども基本法のしくみ

こども基本法について、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 2023年4月1日に施行された。
  2. 市町村こども計画の策定は、すべての市町村の義務である。
  3. こども基本法の施行にともない、児童福祉法は廃止された。
  4. こども政策推進会議はこども家庭庁に置かれ、会長は内閣総理大臣である。
  5. こども大綱は、都道府県知事がそれぞれ定める。
正解と解説
正解:A・D(2023年4月1日に施行された。 / こども政策推進会議はこども家庭庁に置かれ、会長は内閣総理大臣である。)

こども基本法は2023年(令和5年)4月1日に施行され、こども政策推進会議はこども家庭庁に置かれ、会長は内閣総理大臣です(第17条・第18条)。都道府県こども計画・市町村こども計画は努力義務です(第10条)。児童福祉法は廃止されておらず、両方の法律が使われています。こども大綱は政府が定めます(第9条)。

根拠:こども基本法(e-Gov法令検索)、こども家庭庁「こども基本法の概要」

問17|こども大綱

こども大綱について、適切なものを一つ選びなさい。

  1. 文部科学大臣が定め、学校教育の内容を決めるものである。
  2. それまでの少子化社会対策、子ども・若者育成支援、子どもの貧困対策の3つの大綱を一つにまとめたものである。
  3. 法律の根拠がなく、こども家庭庁が自由に作成する指針である。
  4. 障害者基本計画と高齢社会対策大綱を一つにまとめたものである。
  5. 都道府県議会の議決を経て、5年ごとに定められる。
正解と解説
正解:B. それまでの少子化社会対策、子ども・若者育成支援、子どもの貧困対策の3つの大綱を一つにまとめたものである。

こども大綱はこども基本法第9条にもとづき政府が定めるもので、少子化社会対策・子ども・若者育成支援・子どもの貧困対策の3つの大綱を一元化しました。法律の根拠があり、内閣総理大臣が閣議の決定を求めて定めます。文部科学大臣や都道府県議会が定めるものではありません。

根拠:こども家庭庁「こども基本法の概要」、こども基本法(e-Gov法令検索)

問18|家庭養育優先

児童福祉法第3条の2の考え方として、適切なものを一つ選びなさい。

  1. 家庭での養育が適当でない場合は、家庭と同様の養育環境で継続的に養育されるよう措置を講じる。
  2. 家庭での養育が困難な場合は、まず大規模な施設での養育を優先する。
  3. 家庭での養育が困難な場合は、直ちに児童養護施設に入所させなければならない。
  4. 親族以外の者が子どもを養育することは認めない。
  5. 家庭での養育が困難な場合は、国が直接子どもを養育する。
正解と解説
正解:A. 家庭での養育が適当でない場合は、家庭と同様の養育環境で継続的に養育されるよう措置を講じる。

第3条の2は、国・地方公共団体がまず家庭での養育を支援し、家庭での養育が適当でない場合は里親などの「家庭と同様の養育環境」で継続的に養育されるように、それも適当でない場合は「できる限り良好な家庭的環境」で養育されるようにすると定めます(家庭養育優先の原則)。大規模施設の優先や、直ちに施設入所という順序ではありません。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第3条の2)、厚生労働省「児童福祉法等の一部を改正する法律(平成28年法律第63号)の概要」

問19|こども家庭庁

こども家庭庁について、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 厚生労働省の内部部局として置かれている。
  2. 文部科学省の外局として置かれている。
  3. 2022年4月1日に発足した。
  4. 内閣府の外局として置かれ、2023年4月1日に発足した。
  5. 法務省の外局として置かれ、児童虐待の事件を捜査する。
正解と解説
正解:D. 内閣府の外局として置かれ、2023年4月1日に発足した。

こども家庭庁設置法第2条は、内閣府設置法にもとづき内閣府の外局としてこども家庭庁を置くと定めています。発足は2023年(令和5年)4月1日です。厚生労働省や文部科学省の組織ではありません。犯罪の捜査は警察の仕事です。

根拠:こども家庭庁設置法(e-Gov法令検索)、こども家庭庁「こども家庭庁組織体制の概要」

問20|児童相談所の設置

児童福祉法第12条で、児童相談所を設置しなければならないとされているものとして、正しいものを一つ選びなさい。

  1. すべての市町村
  2. 国
  3. 都道府県
  4. 社会福祉協議会
  5. 保健所
正解と解説
正解:C. 都道府県

第12条は「都道府県は、児童相談所を設置しなければならない」と定めます。指定都市や、政令で定める市・特別区(児童相談所設置市)も児童相談所を置いていますが、すべての市町村に義務があるわけではありません。市町村は身近な相談窓口として、こども家庭センターの設置に努めます。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第12条)、こども家庭庁「児童相談所の概要」

問21|児童相談所の業務

児童相談所の業務や相談について、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 保育所の利用(入所)を決定する。
  2. 虐待に関する相談は、「養護相談」に含まれる。
  3. 児童手当の支給を決定する。
  4. 必要に応じて子どもの一時保護を行う。
  5. 母子健康手帳を交付する。
正解と解説
正解:B・D(虐待に関する相談は、「養護相談」に含まれる。 / 必要に応じて子どもの一時保護を行う。)

こども家庭庁の「児童相談所の概要」では、養護相談に虐待の相談が含まれ、主な業務に一時保護があります。保育所の利用の手続、児童手当の支給、母子健康手帳の交付は、市町村が行う仕事です。

根拠:こども家庭庁「児童相談所の概要」

問22|一時保護の期間

児童福祉法第33条の一時保護について、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 期間は開始から1か月を超えてはならず、延長はできない。
  2. 期間は開始から6か月までで、延長には都道府県議会の議決が必要である。
  3. 期間の上限はなく、児童相談所長が自由に決められる。
  4. 期間は2か月までで、延長には子どもが通う保育所の同意が必要である。
  5. 期間は開始から2か月を超えてはならず、親権者等の意に反して続けるときは、そのたびに家庭裁判所の承認が必要である。
正解と解説
正解:E. 期間は開始から2か月を超えてはならず、親権者等の意に反して続けるときは、そのたびに家庭裁判所の承認が必要である。

第33条は、一時保護の期間を開始から2か月を超えてはならないとし、必要なときは引き続き行えるとしています。親権者等の意に反して続ける場合は、延長のたびに家庭裁判所の承認を得ます。都道府県議会や保育所の同意は要件ではありません。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第33条)

問23|一時保護の司法審査

2022年の児童福祉法改正で導入され、2025年6月1日に施行された「一時保護時の司法審査」の説明として、適切なものを一つ選びなさい。

  1. 親権者等の同意がない場合などに、児童相談所が裁判官に一時保護状を請求するしくみである。
  2. 警察署長の許可がなければ一時保護を始められないしくみである。
  3. 都道府県議会が一時保護の開始を承認するしくみである。
  4. 一時保護の開始には、必ず子ども本人の書面による同意が必要になるしくみである。
  5. 家庭裁判所調査官が、児童相談所に代わって一時保護を行うしくみである。
正解と解説
正解:A. 親権者等の同意がない場合などに、児童相談所が裁判官に一時保護状を請求するしくみである。

一時保護時の司法審査は、令和4年改正児童福祉法で導入され、2025年(令和7年)6月1日に施行されました。親権者等の同意がある場合などを除き、裁判官に一時保護状を請求します(児童福祉法第33条)。警察署長の許可、議会の承認、子どもの書面同意を条件とするものではなく、一時保護を行うのは引き続き児童相談所長などです。

根拠:こども家庭庁支援局長通知(令和7年5月30日 こ支虐第210号、一時保護時の司法審査)、児童福祉法(e-Gov法令検索)(第33条)、厚生労働省「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」

問24|施設入所措置と家庭裁判所

虐待などにより子どもの福祉が著しく害される場合に、親権者の意に反して児童養護施設への入所措置をとるとき(児童福祉法第28条)について、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 家庭裁判所の承認は不要で、児童相談所長の判断だけで期間の制限なく入所させられる。
  2. 家庭裁判所の承認を得て措置をとり、その期間は2年以内(承認を得て更新可)である。
  3. 市町村長の承認を得て措置をとり、期間は1年以内である。
  4. 親権者の同意がない限り、入所措置はとれない。
  5. 家庭裁判所の承認を得れば、期間の上限なく入所させられる。
正解と解説
正解:B. 家庭裁判所の承認を得て措置をとり、その期間は2年以内(承認を得て更新可)である。

第28条では、親権者等の意に反する入所措置は家庭裁判所の承認を得てとります。措置の期間は開始から2年以内で、続ける必要があるときは家庭裁判所の承認を得て更新できます。親権者の同意がなくても、この手続で措置をとれます。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第28条)

問25|児童委員

児童委員と主任児童委員について、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 児童委員は児童相談所の職員で、児童福祉司の資格が必要である。
  2. 主任児童委員は、都道府県知事が保育士の中から任命する。
  3. 児童委員は都道府県ごとに1人だけ置かれる。
  4. 民生委員は児童委員を兼ね、主任児童委員は厚生労働大臣が児童委員の中から指名する。
  5. 児童委員は民生委員とは別に選ばれ、民生委員との兼務は禁止されている。
正解と解説
正解:D. 民生委員は児童委員を兼ね、主任児童委員は厚生労働大臣が児童委員の中から指名する。

児童福祉法第16条により、児童委員は市町村の区域に置かれ、民生委員は児童委員を兼ねます(みなされます)。主任児童委員は、厚生労働大臣が児童委員の中から指名します。児童委員は児童相談所の職員ではなく、地域のボランティアとして活動します。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第16条)

問26|要保護児童対策地域協議会

要保護児童対策地域協議会(児童福祉法第25条の2)について、適切なものを2つ選びなさい。

  1. すべての市町村に設置が義務づけられており、置かないと罰則がある。
  2. 構成員は児童相談所の職員に限られる。
  3. 対象は18歳以上の若者に限られる。
  4. 協議の対象には、要保護児童・要支援児童のほか特定妊婦も含まれる。
  5. 協議会を置いた地方公共団体の長は、構成機関から要保護児童対策調整機関を1つ指定する。
正解と解説
正解:D・E(協議の対象には、要保護児童・要支援児童のほか特定妊婦も含まれる。 / 協議会を置いた地方公共団体の長は、構成機関から要保護児童対策調整機関を1つ指定する。)

第25条の2は、地方公共団体が協議会を置くよう努めると定め(努力義務)、対象を要保護児童・要支援児童・特定妊婦としています。構成機関の中から要保護児童対策調整機関を1つ指定します。構成員は関係機関・関係団体・児童福祉の職務に従事する人などで、児童相談所の職員に限りません。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第25条の2)

問27|こども家庭センター

こども家庭センターについて、適切なものを一つ選びなさい。

  1. 都道府県に設置が義務づけられ、一時保護を行う。
  2. 児童相談所の名称を変更したものである。
  3. 2024年4月から市町村が設置に努めることとされ、母子保健と児童福祉の相談支援を一体的に行う。
  4. 2016年の児童福祉法改正で、すべての市町村に設置が義務づけられた。
  5. 国が直接運営し、全国に1か所だけ置かれる。
正解と解説
正解:C. 2024年4月から市町村が設置に努めることとされ、母子保健と児童福祉の相談支援を一体的に行う。

2022年の児童福祉法改正により、2024年(令和6年)4月から市町村はこども家庭センターの設置に努めることになりました(第10条の2)。母子保健と児童福祉を一体的に運営し、支援が必要な子どもや妊産婦などにサポートプランをつくります。2025年5月1日時点で1,240市区町村(71.2%)が設置しています。一時保護は児童相談所の仕事です。

根拠:こども家庭庁「こども家庭センターの設置状況について」(令和7年8月1日)、児童福祉法(e-Gov法令検索)(第10条の2)、厚生労働省「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」

問28|虐待の定義の主体

児童虐待の防止等に関する法律の「児童虐待」の定義について、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するもの)が、その監護する児童に行う行為と定められている。
  2. 児童に関わるすべての大人が行う行為と定められ、保護者に限らない。
  3. 保育所の職員が行う行為だけを対象としている。
  4. 20歳未満の者に対する行為を対象としている。
  5. 身体的虐待と性的虐待の2つの類型だけが定められている。
正解と解説
正解:A. 保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するもの)が、その監護する児童に行う行為と定められている。

第2条は、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するもの)がその監護する児童(18歳未満)に行う行為を児童虐待とし、身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待の4つを定めています。保護者以外の同居人による行為を保護者が放置することは、ネグレクトに含まれます。

根拠:児童虐待の防止等に関する法律(e-Gov法令検索)(第2条)

問29|面前DV

子どもが同居する家庭で、父が子どもの目の前で母に暴力をふるっている。児童虐待の防止等に関する法律では、子どもに対するどの類型の虐待にあたるか。正しいものを一つ選びなさい。

  1. 身体的虐待
  2. ネグレクト
  3. 性的虐待
  4. 子どもへの暴力ではないので、虐待にはあたらない
  5. 心理的虐待
正解と解説
正解:E. 心理的虐待

第2条第4号は、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力を、児童に著しい心理的外傷を与える言動として心理的虐待に含めています(いわゆる面前DV)。子どもの体に直接暴力がなくても虐待にあたります。

根拠:児童虐待の防止等に関する法律(e-Gov法令検索)(第2条第4号)

問30|ネグレクトの例

児童虐待の防止等に関する法律でネグレクト(監護を著しく怠ること)にあたる例として、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 心身の正常な発達を妨げるような著しい減食
  2. 幼い子どもを長時間家に置いたまま放置すること
  3. 子どもにわいせつな行為をさせること
  4. 子どもに著しい暴言をくり返すこと
  5. 子どもの体に外傷が生じるおそれのある暴行
正解と解説
正解:A・B(心身の正常な発達を妨げるような著しい減食 / 幼い子どもを長時間家に置いたまま放置すること)

第2条第3号は、心身の正常な発達を妨げるような著しい減食や長時間の放置など、監護を著しく怠ることをあげています。わいせつな行為をさせることは性的虐待(第2号)、著しい暴言は心理的虐待(第4号)、外傷が生じるおそれのある暴行は身体的虐待(第1号)です。

根拠:児童虐待の防止等に関する法律(e-Gov法令検索)(第2条)

問31|通告の義務

児童虐待の防止等に関する法律第6条の通告について、適切なものを一つ選びなさい。

  1. 虐待であるという確証を得てから通告しなければならない。
  2. 虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、虐待の確証がなくても速やかに通告しなければならない。
  3. 通告は、保護者の同意を得てから行わなければならない。
  4. 通告の義務は医師や保育士などの専門職だけにあり、一般の住民にはない。
  5. 保育士は秘密保持義務があるので、通告よりも秘密を守ることが優先される。
正解と解説
正解:B. 虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、虐待の確証がなくても速やかに通告しなければならない。

第6条は、児童虐待を受けた「と思われる」児童を発見した者に、速やかな通告を義務づけています。発見した者すべてが対象で、確証や保護者の同意は要りません。また、守秘義務に関する法律の規定は、通告をさまたげるものと解釈してはならないとされています。

根拠:児童虐待の防止等に関する法律(e-Gov法令検索)(第6条)

問32|通告先

児童虐待の防止等に関する法律第6条で定める通告先として、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 警察署だけ
  2. 家庭裁判所だけ
  3. 市町村、都道府県の設置する福祉事務所、児童相談所(児童委員を介して通告することもできる)
  4. 子どもが通う保育所の施設長
  5. 法務局の人権擁護委員だけ
正解と解説
正解:C. 市町村、都道府県の設置する福祉事務所、児童相談所(児童委員を介して通告することもできる)

第6条の通告先は、市町村、都道府県の設置する福祉事務所、児童相談所で、児童委員を介してこれらに通告することもできます。保育所の中で施設長に報告することは大切ですが、それは法律上の通告先ではありません。

根拠:児童虐待の防止等に関する法律(e-Gov法令検索)(第6条)

問33|体罰禁止の年

親権者による体罰の禁止と、民法の懲戒権の規定の削除について、施行された時期の組合せとして正しいものを一つ選びなさい。

  1. 体罰の禁止 2000年11月 ― 懲戒権の削除 2016年6月
  2. 体罰の禁止 2022年12月 ― 懲戒権の削除 2020年4月
  3. 体罰の禁止 2023年4月 ― 懲戒権の削除 2023年4月
  4. 体罰の禁止(児童虐待防止法)2020年4月 ― 懲戒権の削除(民法)2022年12月
  5. 体罰の禁止 2020年4月 ― 懲戒権は現在も民法に残っている
正解と解説
正解:D. 体罰の禁止(児童虐待防止法)2020年4月 ― 懲戒権の削除(民法)2022年12月

2019年の改正で、親権者がしつけに際して体罰を加えてはならないことが児童虐待防止法に定められ、2020年(令和2年)4月に施行されました。民法の懲戒権の規定は、2022年(令和4年)12月16日施行の改正で削除され、子の人格の尊重と体罰などの禁止が明記されました。

根拠:こども家庭庁「体罰等によらない子育てのために」、法務省「民法等の一部を改正する法律について」

問34|体罰の考え方

厚生労働省の検討会報告書「体罰等によらない子育てのために」(2020年2月)の考え方として、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 宿題をしなかった罰として夕食を与えないことは、身体に触れないので体罰にあたらない。
  2. 言葉で3回注意しても聞かない場合は、頬を軽くたたいてもよい。
  3. 身体に苦痛や不快感を意図的にもたらす罰は、どんなに軽いものでも体罰にあたる。
  4. 体罰が許されないのは親権者だけで、親権者以外の大人には当てはまらない。
  5. 道に飛び出しそうな子どもの手をつかむことは、子どもを守る行為であり体罰にあたらない。
正解と解説
正解:C・E(身体に苦痛や不快感を意図的にもたらす罰は、どんなに軽いものでも体罰にあたる。 / 道に飛び出しそうな子どもの手をつかむことは、子どもを守る行為であり体罰にあたらない。)

報告書は、身体に何らかの苦痛や不快感を意図的にもたらす罰は、しつけのためでもどんなに軽くても体罰にあたるとし、夕食を与えない、注意を聞かないので頬をたたく、を体罰の例としてあげています。体罰は親以外を含め全ての人に許されません。一方、道に飛び出しそうな子の手をつかむなど、子どもを保護するための行為は体罰にあたらないとしています。

根拠:厚生労働省検討会「体罰等によらない子育てのために」(令和2年2月)

問35|虐待相談の統計

こども家庭庁が公表した令和6年度の児童相談所における児童虐待相談対応件数について、適切なものを一つ選びなさい。

  1. 内容別では心理的虐待が最も多く約6割を占め、相談経路では警察等が最も多い。
  2. 内容別では身体的虐待が最も多く、全体の半数を超える。
  3. 内容別ではネグレクトが最も多く、性的虐待が2番目に多い。
  4. 相談経路では学校が最も多く、全体の半数を超える。
  5. 総数は前年度の約2倍に増えた。
正解と解説
正解:A. 内容別では心理的虐待が最も多く約6割を占め、相談経路では警察等が最も多い。

令和6年度の総数は223,691件(前年度比0.8%減)で、心理的虐待133,024件(59.5%)、身体的虐待52,535件(23.5%)、ネグレクト35,612件(15.9%)、性的虐待2,520件(1.1%)です。相談経路は警察等が115,644件(51.7%)で最多です。数値は毎年変わるので、傾向をつかみましょう。

根拠:こども家庭庁「令和6年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数」

問36|189

児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について、適切なものを一つ選びなさい。

  1. かけると警察の110番につながる。
  2. 通話料は通告した人が負担する。
  3. かけると近くの児童相談所につながり、通話料は無料で、匿名でも通告・相談できる。
  4. 通告するときは、必ず名前と住所を伝えなければならない。
  5. 保育所などの施設職員だけが利用できる専用の番号である。
正解と解説
正解:C. かけると近くの児童相談所につながり、通話料は無料で、匿名でも通告・相談できる。

こども家庭庁によると、「189」にかけると近くの児童相談所につながります。通話料は2019年12月から無料で、匿名での通告・相談もでき、通告した人と内容の秘密は守られます。だれでも利用できる全国共通の番号です(一部のIP電話からはつながりません)。

根拠:こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル『189』について」

問37|乳児家庭全戸訪問事業

乳児家庭全戸訪問事業について、ガイドラインに照らして適切なものを一つ選びなさい。

  1. 1歳6か月児健診を受けていない家庭だけを対象とする。
  2. 原則として、生後4か月を迎えるまでの乳児のいるすべての家庭を対象とする。
  3. 要保護児童のいる家庭だけを対象とする。
  4. 児童相談所の児童福祉司が実施する事業である。
  5. 訪問者は保健師に限られ、保育士や児童委員は訪問できない。
正解と解説
正解:B. 原則として、生後4か月を迎えるまでの乳児のいるすべての家庭を対象とする。

ガイドラインでは、原則として生後4か月を迎えるまでの全ての乳児のいる家庭が対象で、子育ての孤立化を防ぐことが目的です。市町村の事業で、訪問者は保健師・助産師・看護師のほか、保育士、母子保健推進員、愛育班員、児童委員、子育て経験者なども登用できます。

根拠:こども家庭庁掲載「乳児家庭全戸訪問事業ガイドライン」、児童福祉法(e-Gov法令検索)(第6条の3第4項)

問38|養育支援訪問事業

児童福祉法の養育支援訪問事業の対象として、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 生後4か月までの乳児のいるすべての家庭
  2. 放課後に保護者が家庭にいない小学生のいる家庭
  3. 保護者の病気で一時的に養育が難しくなった子ども(施設に短期入所させる)
  4. 障害のある子どもが通う保育所
  5. 要支援児童や特定妊婦など、養育の支援が特に必要と認められる家庭
正解と解説
正解:E. 要支援児童や特定妊婦など、養育の支援が特に必要と認められる家庭

第6条の3第5項の養育支援訪問事業は、要支援児童、保護者に監護させることが不適当な児童とその保護者、特定妊婦(要支援児童等)の居宅を訪問して、養育の相談・指導・助言を行います。すべての乳児家庭を対象とするのは乳児家庭全戸訪問事業、放課後の小学生は放課後児童健全育成事業、短期入所は子育て短期支援事業、保育所への訪問は保育所等訪問支援です。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第6条の3)

問39|子育て援助活動支援事業

児童福祉法の子育て援助活動支援事業の内容として、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 保護者の病気などで養育が一時的に難しい子どもを、児童養護施設に短期間入所させる。
  2. 乳幼児と保護者が交流する場所を開設し、子育ての相談に応じる。
  3. 要保護児童の情報を関係機関で交換し、支援を協議する。
  4. 援助を受けたい人と援助を行いたい人との連絡・調整や講習を行い、子どもの一時預かりや外出時の移動支援につなげる。
  5. 病気の子どもを病院や保育所で一時的に保育する。
正解と解説
正解:D. 援助を受けたい人と援助を行いたい人との連絡・調整や講習を行い、子どもの一時預かりや外出時の移動支援につなげる。

第6条の3第14項の子育て援助活動支援事業は、援助を受けたい人と援助を行いたい個人との連絡・調整や講習を行う事業で、援助の内容は一時預かり(宿泊を含む)と外出時の移動支援です。短期入所は子育て短期支援事業、交流の場は地域子育て支援拠点事業、情報交換は要保護児童対策地域協議会、病気の子の保育は病児保育事業です。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第6条の3)

問40|子育て短期支援事業

保護者が入院することになり、家庭で子どもを育てることが一時的に難しくなった。児童養護施設などに子どもを短期間入所させて保護・支援する事業として、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 子育て短期支援事業
  2. 乳児家庭全戸訪問事業
  3. 地域子育て支援拠点事業
  4. 放課後児童健全育成事業
  5. 親子関係形成支援事業
正解と解説
正解:A. 子育て短期支援事業

第6条の3第3項の子育て短期支援事業は、保護者の疾病などで家庭での養育が一時的に困難になった児童を、児童養護施設などに入所させたり里親などに委託したりして、必要な保護・支援を行う事業です。ほかの事業は、全戸訪問、交流の場、放課後の生活の場、親子の関わり方の学びをそれぞれ目的としています。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第6条の3)、厚生労働省「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」

問41|放課後児童健全育成事業

放課後児童健全育成事業(児童福祉法第6条の3第2項)の対象として、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 中学校に在学する生徒だけ
  2. 学校に就学している障害児だけ
  3. 小学校に就学している児童で、保護者が労働などにより昼間家庭にいないもの
  4. 小学校就学前の幼児で、保育所に入所していないもの
  5. 18歳以上で大学に在学する者
正解と解説
正解:C. 小学校に就学している児童で、保護者が労働などにより昼間家庭にいないもの

放課後児童健全育成事業は、小学校に就学している児童で保護者が労働などで昼間家庭にいないものに、授業の終了後、児童厚生施設などで適切な遊びと生活の場を与える事業です。学校に通う障害児への放課後の支援は、障害児通所支援の放課後等デイサービスです。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第6条の3・第6条の2の2)

問42|障害児通所支援

児童福祉法の障害児通所支援に含まれるものを、次から2つ選びなさい。

  1. 障害児入所施設
  2. 放課後等デイサービス
  3. 児童自立支援施設
  4. 一時預かり事業
  5. 保育所等訪問支援
正解と解説
正解:B・E(放課後等デイサービス / 保育所等訪問支援)

第6条の2の2の障害児通所支援は、児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援の4つです。障害児入所施設と児童自立支援施設は第7条の児童福祉施設(入所型)、一時預かり事業は第6条の3の子育て支援事業です。

根拠:児童福祉法(e-Gov法令検索)(第6条の2の2・第7条)

問43|乳幼児健診

母子保健法第12条で、市町村が健康診査を行わなければならないとされている幼児の組合せとして、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 満1歳に達しない乳児と、満5歳を超え満6歳に達しない幼児
  2. 満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児と、満3歳を超え満4歳に達しない幼児
  3. 満2歳を超え満3歳に達しない幼児だけ
  4. 満3歳を超え満4歳に達しない幼児だけ
  5. 小学校就学の始期に達したすべての児童
正解と解説
正解:B. 満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児と、満3歳を超え満4歳に達しない幼児

母子保健法第12条は、市町村に、満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児(1歳6か月児健診)と、満3歳を超え満4歳に達しない幼児(3歳児健診)の健康診査を義務づけています。

根拠:母子保健法(e-Gov法令検索)(第12条)

問44|児童手当の拡充

2024年10月分から拡充された児童手当について、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 支給対象は中学校修了までのままで、所得制限も残っている。
  2. 第1子から一律に月額3万円となった。
  3. 支給は年1回、まとめて行われるようになった。
  4. 支給対象が高校生年代までに広がり、所得制限がなくなり、第3子以降は月額3万円となった。
  5. 高校生年代は対象になったが、3歳未満は対象外になった。
正解と解説
正解:D. 支給対象が高校生年代までに広がり、所得制限がなくなり、第3子以降は月額3万円となった。

こども家庭庁の資料では、拡充後(令和6年10月分以降)は、高校生年代まで(18歳到達後の最初の年度末まで)が対象で、所得制限がなく、第3子以降は月額3万円です。第1子・第2子は3歳未満が月額1万5千円、3歳から高校生年代が月額1万円で、支払いは年6回(偶数月)です。

根拠:こども家庭庁「児童手当の拡充(事業の概要・スキーム)」

問45|ヤングケアラー

ヤングケアラーの法律上の位置づけについて、正しいものを一つ選びなさい。

  1. 児童福祉法に定義され、対象は18歳未満に限られる。
  2. 介護保険法に定義され、介護保険のサービスで支援する。
  3. どの法律にも記載がなく、自治体の独自の呼び方にとどまる。
  4. こども基本法第2条で「こども」の一種として定義されている。
  5. 2024年の改正で、子ども・若者育成支援推進法に「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」として明記された。
正解と解説
正解:E. 2024年の改正で、子ども・若者育成支援推進法に「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」として明記された。

こども家庭庁によると、2024年(令和6年)6月の子ども・子育て支援法等の改正により、子ども・若者育成支援推進法に、ヤングケアラーが「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」として明記され、国・地方公共団体などが支援に努めることになりました。18歳以上の若者も対象に含まれます。

根拠:こども家庭庁「ヤングケアラー支援の強化に係る法改正の経緯・施行について」

演習:この章の問題を解く

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※ 解説は学習用の情報提供です。試験の日程・出題範囲・合格基準は、必ず全国保育士養成協議会の公式発表をご確認ください。
※ 問題はすべて仮の宿 学習室のオリジナル問題で、本試験の問題ではありません。保健・栄養の内容は国のガイドラインに基づく学習用の説明で、医療上の助言ではありません。