保育士試験 CHILDCARE WORKER EXAM
社会福祉
講義 5 本・確認問題 45 問 | 社会福祉(20問) | 最終更新 2026-10-16
この章で学ぶこと- 欧米と日本の社会福祉の歴史を、年と出来事の組で整理する。
- 社会福祉法の第一種・第二種社会福祉事業、福祉事務所、専門職の決まりを理解する。
- 社会保障の柱と、生活保護の4つの原理・4つの原則・8つの扶助を覚える。
- バイステックの7原則と相談援助の展開過程、面接や記録の技術を身につける。
- 苦情解決・第三者評価・権利擁護の仕組みと、民生委員・共同募金などの地域福祉を理解する。
1. 社会福祉の理念と歴史
社会福祉は「困っている人へのめぐみ」から「すべての人の権利」へと考え方が変わってきました。イギリスなどの欧米と日本の歴史を、年と出来事の組で整理します。
社会福祉の理念
いまの日本の社会福祉の基本は、社会福祉法(しゃかいふくしほう)に書かれています。第3条は、福祉サービスは個人の尊厳の保持を旨とし、利用者が心身ともに健やかに育つこと、または、その人の能力に応じて自立した日常生活を送れるように支援する、良質で適切なものでなければならない、と定めています。第4条は、地域福祉の推進は、地域の住民が互いに人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を目指して行う、としています。
障害のある人の施策では、ノーマライゼーションという考え方が大切にされてきました。1995年(平成7年)12月に国が決めた「障害者プラン(ノーマライゼーション7か年戦略)」は、リハビリテーションとノーマライゼーションの理念をふまえ、障害のある人が地域社会の一員として暮らし続けられるよう、住まい・働く場・保健福祉サービスを整えることを掲げました。
欧米の歴史
イギリスでは1601年のエリザベス救貧法のもとで、お金や物の給付、救貧院への収容、働ける人への仕事の提供などが行われました。1834年の新救貧法は、救済を受ける人の生活水準を、自分で働いて暮らす最も低い層の労働者より低く抑える「劣等処遇の原則」と、労役場(救貧院)の中だけで貧しい人に対応する「院外非救済の原則」を徹底しました。
19世紀の終わりには、貧困を「本人の怠け」ではなく社会の問題として見る調査が行われました。ブースは1886年からロンドンで調査し、住民の約3割が貧困の状態にあることを示しました。ラウントリーは1899年にヨークで調査しました。
同じころ、学生や知識人が貧しい地区に住み込み、住民と一緒に生活改善に取り組むセツルメント運動が広がりました。1884年、バーネット夫妻がロンドンのイーストエンド(ホワイトチャペル)にトインビー・ホールを開きました。名前は、社会改良家アーノルド・トインビーにちなみます。アメリカでは1889年、ジェーン・アダムズとエレン・ゲイツ・スターがシカゴにハル・ハウスをつくりました。
社会保険は、ドイツのビスマルクのもとで始まりました。1883年の疾病保険法、1884年の労災保険法、1889年の老齢・障害保険法が、世界で最初の法律による社会保険とされます。アメリカでは世界恐慌への対応(ニューディール政策)の一つとして、1935年に社会保障法ができました。イギリスでは1942年にベヴァリッジ報告(『社会保険および関連サービス』)が出され、「ゆりかごから墓場まで」という言葉とともに、戦後の生活保障の形が示されました。
日本の歴史
日本の社会福祉のおもな出来事| 年 | 出来事 | ポイント |
|---|
| 1874年(明治7年) | 恤救規則(じゅっきゅうきそく) | 貧しい人への慈恵的(めぐみとしての)給付 |
| 1917年(大正6年) | 済世顧問制度(岡山県) | 民生委員制度のはじまり |
| 1918年(大正7年) | 方面委員制度(大阪府) | 地域の委員が生活の相談に応じる |
| 1929年(昭和4年) | 救護法 | 国の責任による公的扶助の義務を定めた |
| 1946年(昭和21年) | (旧)生活保護法 | 戦後すぐの公的扶助。救護法などは廃止 |
| 1947年(昭和22年) | 児童福祉法 | 戦災孤児などへの対応。児童委員もこのとき |
| 1949年(昭和24年) | 身体障害者福祉法 | ここまでで福祉三法 |
| 1950年(昭和25年) | (新)生活保護法 | 憲法第25条の理念にもとづく、いまの生活保護法 |
| 1951年(昭和26年) | 社会福祉事業法 | 社会福祉法人・福祉事務所の制度 |
| 1960〜1964年 | 知的障害者福祉法(当時の名称は別)・老人福祉法・母子福祉法 | 三法に加えて福祉六法 |
| 1961年(昭和36年) | 国民皆保険・皆年金 | すべての人が医療保険と年金の対象に |
| 1973年(昭和48年) | 「福祉元年」 | 老人医療費の無料化など |
| 2000年(平成12年) | 社会福祉法(題名を改正)・介護保険法の施行 | 社会福祉基礎構造改革 |
2000年の社会福祉基礎構造改革では、行政がサービスの内容や行き先を決める措置制度から、利用者がサービスを選び事業者と契約する利用制度への移行が進みました。障害のある人の福祉サービスは、2003年(平成15年)4月から「支援費制度」に移り、障害者が自らサービスを選択し、契約により利用する仕組みになりました。2000年の改正では、利用者を守るための仕組み(福祉サービス利用援助事業、苦情解決、情報提供、サービスの質の評価)と、地域福祉計画が法律に入りました。これらは5つ目の講義で学びます。
例題
例題:1929年に制定され、恤救規則に代わって、国の責任で公的扶助を行う義務を定めた法律は何か。
答えと考え方 救護法です。恤救規則(1874年)は「めぐみ」としての給付で、国の義務という考え方は弱いものでした。戦後の1946年に(旧)生活保護法ができ、救護法は廃止されました。年の順番「恤救規則→救護法→旧生活保護法→新生活保護法」をセットで覚えましょう。
用語
- 劣等処遇の原則
- 1834年の新救貧法の原則。救済を受ける人の生活を、自立している最下層の労働者より低くする
- セツルメント
- 貧しい地区に住み込み、住民とともに生活の改善に取り組む活動。トインビー・ホール(1884年)、ハル・ハウス(1889年)
- ベヴァリッジ報告
- 1942年、イギリス。「ゆりかごから墓場まで」の生活保障の体系を示した
- 福祉三法
- 生活保護法・児童福祉法・身体障害者福祉法
- 福祉六法
- 福祉三法+知的障害者福祉法・老人福祉法・母子及び父子並びに寡婦福祉法(それぞれ制定時の名称は別)
- 措置制度
- 行政が必要性を判断し、サービスの提供を決める仕組み。2000年以降、多くの分野で契約による利用制度に移った
根拠:e-Gov法令検索「社会福祉法」第3条・第4条、厚生労働省「平成24年版厚生労働白書 第1部第1章」(救貧法・新救貧法・ブースとラウントリー・ビスマルクの社会保険・社会保障法・ベヴァリッジ報告・国民皆保険・福祉元年)、同「第1部第2章」(恤救規則・救護法)、「平成23年版厚生労働白書 第1部第2章」(旧生活保護法・福祉三法・社会福祉事業法・福祉六法)、大阪府「民生委員・児童委員の活動」(済世顧問・方面委員)、Toynbee Hall「The History of Toynbee Hall」、Jane Addams Hull-House Museum「FAQ」、内閣府「障害者プラン」、厚生労働省「支援費制度の概要」、同「社会福祉基礎構造改革」。各法律の制定年はe-Gov法令検索の法令番号による(2026年10月16日確認)
2. 社会福祉の制度と実施体系
社会福祉の「しくみ」を、法律・事業の種類・行政の機関・専門職の4つに分けて見ていきます。保育所がどこに位置づけられるかも確認します。
社会福祉法は「共通の土台」
社会福祉法の第1条は、この法律が社会福祉を目的とする事業の全分野に共通する基本事項を定め、ほかの福祉の法律(児童福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法など)と合わせて、福祉サービスの利用者の利益の保護と地域福祉の推進などを図ることを目的とする、と定めています。分野ごとの法律が「個別の決まり」、社会福祉法が「共通の土台」という関係です。
第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業
社会福祉法第2条は、社会福祉事業を2つに分けています。第一種社会福祉事業は、おもに生活の場となる入所施設など、利用者への影響が大きく、強い公的な規制が必要な事業です。第60条により、第一種社会福祉事業は国、地方公共団体または社会福祉法人が経営することを原則とします。第二種社会福祉事業は、通所・在宅のサービスや相談など、比較的影響が小さい事業です。
おもな社会福祉事業の区分(社会福祉法第2条。2026年10月時点)| 区分 | 児童福祉の例 | ほかの分野の例 |
|---|
| 第一種 | 乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設 | 救護施設(生活保護法)、特別養護老人ホーム、障害者支援施設、共同募金(第113条) |
| 第二種 | 保育所、助産施設、児童厚生施設、児童家庭支援センター、放課後児童健全育成事業、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業、小規模保育事業 など | 老人デイサービス事業、障害福祉サービス事業、幼保連携型認定こども園、隣保事業、福祉サービス利用援助事業 |
「入所=第一種、通所や在宅=第二種」と大まかに覚え、例外(助産施設や保育所は第二種、共同募金は第一種)を確認しておくとよいでしょう。
社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的として、社会福祉法の定めによって設立された法人です(第22条)。
行政の機関
国では、こども・子育ての分野はこども家庭庁、高齢者・障害者・生活保護などは厚生労働省が担当しています。都道府県と市町村が、実際の相談・決定・サービスの提供を行います。
福祉事務所(福祉に関する事務所)は、社会福祉法第14条で、都道府県と市(特別区を含む)は条例で設置しなければならない、町村は設置することができる(任意)とされています。都道府県の福祉事務所は生活保護法・児童福祉法・母子及び父子並びに寡婦福祉法の事務を、市町村の福祉事務所はこれに老人福祉法・身体障害者福祉法・知的障害者福祉法を加えた「福祉六法」の事務を担当します。
福祉事務所には、所長のほか、指導監督を行う所員(査察指導員)、現業を行う所員(家庭訪問や面接をして、保護などの要否を判断し、生活指導をする)、事務を行う所員を置きます(第15条)。指導監督の所員と現業の所員は社会福祉主事でなければなりません。現業員の数の標準は第16条にあり、たとえば市では被保護世帯が240以下なら3人、そこから80世帯増すごとに1人を加えます(都道府県は390以下で6人・65世帯ごとに1人、町村は160以下で2人・80世帯ごとに1人)。
お金の面では、たとえば生活保護の保護費は、国が4分の3を負担します(生活保護法第75条)。
専門職
おもな福祉の国家資格| 資格 | 根拠の法律 | ポイント |
|---|
| 社会福祉士 | 社会福祉士及び介護福祉士法(1987年) | 福祉に関する相談に応じ、助言・指導、関係者との連絡・調整などの「相談援助」を行う。名称独占 |
| 介護福祉士 | 同上 | 介護の専門職。名称独占 |
| 精神保健福祉士 | 精神保健福祉士法(1997年) | 精神障害のある人の社会復帰などの相談援助 |
| 保育士 | 児童福祉法 | 名称独占(第18条の23)。秘密保持義務は保育士でなくなった後も続く(第18条の22) |
名称独占とは、資格のない人がその名前を名乗ってはいけない、という決まりです。たとえば社会福祉士及び介護福祉士法第48条は「社会福祉士でない者は、社会福祉士という名称を使用してはならない」と定めます。資格がないと仕事そのものができない「業務独占」(医師など)とは違います。
例題
例題:ある市の福祉事務所で、被保護世帯が400世帯ある。社会福祉法第16条の標準によると、現業を行う所員は何人か。
答えと考え方 市は240世帯以下で3人、80世帯増すごとに1人を加えます。400−240=160、160÷80=2なので、3+2=5人です。なお、これは「標準」で、実際の定数は条例で定めます。
用語
- 第一種社会福祉事業
- 入所施設など。原則として国・地方公共団体・社会福祉法人が経営する
- 第二種社会福祉事業
- 通所・在宅サービスや相談など。保育所はこちら
- 社会福祉法人
- 社会福祉事業を行うことを目的に、社会福祉法に基づいて設立された法人
- 福祉事務所
- 都道府県・市は設置義務、町村は任意。生活保護などの窓口
- 社会福祉主事
- 福祉事務所の現業員・査察指導員に必要な任用資格
- 名称独占
- 資格のない人がその名称を使うことを禁じる決まり
根拠:e-Gov法令検索「社会福祉法」第1条・第2条・第14条〜第16条・第22条・第60条・第113条、「生活保護法」第75条、「社会福祉士及び介護福祉士法」第2条・第48条、「精神保健福祉士法」第2条、「児童福祉法」第18条の22・第18条の23(2026年10月16日確認)
3. 社会保障と生活保護
社会福祉は、社会保険や公的扶助とともに「社会保障」の一部です。社会保障の全体像と、最後のセーフティネットである生活保護の原理・原則を学びます。
社会保障とは
1950年(昭和25年)、社会保障制度審議会は「社会保障制度に関する勧告」を出しました。そこでは社会保障制度を、病気・けが・出産・障害・死亡・老齢・失業・多子などの困窮の原因に対して、保険的方法または直接公の負担で経済保障の道を講じ、生活に困窮する人には国家扶助によって最低限度の生活を保障し、あわせて公衆衛生と社会福祉の向上を図るもの、と説明しました。このことから、日本の社会保障は「社会保険・公的扶助(国家扶助)・公衆衛生・社会福祉」の4つの柱で説明されることが多くあります。
社会保険
社会保険は、加入者が保険料を出し合い、病気・老齢・失業などのときに給付を受ける仕組みです。日本では1961年に国民皆保険・皆年金が実現し、すべての国民が医療保険と年金の対象になりました。
年金と介護保険の被保険者(2026年10月時点)| 制度 | 区分 | 対象 |
|---|
| 国民年金 | 第1号被保険者 | 日本に住む20歳以上60歳未満で、第2号・第3号にあたらない人(自営業者・学生など) |
| 国民年金 | 第2号被保険者 | 厚生年金保険の被保険者(会社員・公務員など) |
| 国民年金 | 第3号被保険者 | 第2号被保険者の配偶者で、おもにその収入で生計を維持している20歳以上60歳未満の人 |
| 介護保険 | 第1号被保険者 | 市町村に住所がある65歳以上の人 |
| 介護保険 | 第2号被保険者 | 市町村に住所がある40歳以上65歳未満の医療保険加入者 |
生活保護の4つの原理
生活保護法は、日本国憲法第25条の理念に基づき、生活に困窮するすべての国民に、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とします(第1条)。第1条〜第4条が「基本原理」です。
生活保護法の基本原理と原則 | 名前 | 内容 |
|---|
| 原理 | 国家責任(第1条) | 国が最低限度の生活を保障し、自立を助長する |
| 原理 | 無差別平等(第2条) | 要件を満たす限り、だれでも無差別平等に保護を受けられる |
| 原理 | 最低生活(第3条) | 保障される生活は、健康で文化的な生活水準を維持できるもの |
| 原理 | 保護の補足性(第4条) | 資産・能力などあらゆるものを活用することが要件。扶養義務者の扶養やほかの法律の扶助が優先。ただし急迫した事情があれば必要な保護を行える |
| 原則 | 申請保護(第7条) | 本人・扶養義務者・同居の親族の申請で始める。急迫した状況なら申請がなくても保護できる |
| 原則 | 基準及び程度(第8条) | 厚生労働大臣の基準で需要を測り、本人のお金や物で満たせない不足分を補う |
| 原則 | 必要即応(第9条) | 年齢・性別・健康状態など、個人や世帯の実際の必要の違いを考えて行う |
| 原則 | 世帯単位(第10条) | 世帯を単位に要否と程度を決める。難しいときは個人単位もできる |
8つの扶助
扶助は生活扶助・教育扶助・住宅扶助・医療扶助・介護扶助・出産扶助・生業扶助・葬祭扶助の8種類です(第11条)。必要に応じて1つだけ(単給)、または組み合わせて(併給)行います。医療扶助は現物給付(医療そのものを提供する)が原則です(第34条)。生活扶助は、被保護者の居宅で行うのが原則で、それが難しいときなどに救護施設などへの入所で行います(第30条)。
保護を決めて行う実施機関は、都道府県知事、市長、福祉事務所を管理する町村長です(第19条)。実際の窓口は福祉事務所です。
生活困窮者自立支援法
生活保護に至る前の段階の支援として、2013年(平成25年)に生活困窮者自立支援法ができました。「生活困窮者」とは、就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性などの事情で、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持できなくなるおそれのある人をいいます(第3条)。都道府県等は自立相談支援事業を行うものとされています(第5条)。
例題
例題:生活保護は「本人の申請で始まる」のが原則である。では、本人が倒れて急迫した状況にあり、申請できないときはどうなるか。
答えと考え方 生活保護法第7条のただし書により、要保護者が急迫した状況にあるときは、申請がなくても必要な保護を行うことができます。また、申請できるのは本人だけでなく、扶養義務者や同居の親族も含まれます。
用語
- 公的扶助
- 税金を財源に、生活に困窮する人に最低限度の生活を保障する制度。日本では生活保護
- 保護の補足性
- 資産・能力などを活用しても足りない部分を保護で補うという原理
- 単給・併給
- 扶助を1種類だけ行うか、複数を組み合わせて行うか
- 現物給付
- お金ではなく、医療などのサービスそのものを提供すること
- 被保険者
- 保険に加入し、保険料を納め、給付を受ける立場の人
根拠:社会保障制度審議会「社会保障制度に関する勧告」(1950年。厚生労働省 審議会資料に収録)、厚生労働省「平成24年版厚生労働白書 第1部第1章」(国民皆保険・皆年金)、e-Gov法令検索「国民年金法」第7条、「介護保険法」第9条、「生活保護法」第1条〜第4条・第7条〜第11条・第19条・第30条・第34条、「生活困窮者自立支援法」第3条・第5条(2026年10月16日確認)
4. 相談援助(ソーシャルワーク)
困りごとを抱えた人を支える専門的な方法が「相談援助(ソーシャルワーク)」です。定義、原則、進め方、面接や記録の道具を学びます。保育士が保護者の相談を受けるときにも役立ちます。
ソーシャルワークの定義
2014年7月、国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)と国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)は「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」を採択しました。日本語訳では、ソーシャルワークは「社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である」とされ、「社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理」が中核をなすとされています。また、ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学、地域・民族固有の知を基盤として、人々やさまざまな構造に働きかけるとしています。
日本の法律では、社会福祉士の仕事として、福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスや保健医療サービスを提供する人などとの連絡及び調整その他の援助を行うことを「相談援助」と呼んでいます(社会福祉士及び介護福祉士法第2条)。
援助技術の体系
社会福祉の専門的援助技術の分類(厚生労働省の審議会資料による)| 分類 | 技術 |
|---|
| 直接援助技術 | 個別援助技術(ケースワーク)、集団援助技術(グループワーク) |
| 間接援助技術 | 地域援助技術(コミュニティワーク)、社会福祉調査法(ソーシャルワーク・リサーチ)、社会福祉運営管理(ソーシャル・アドミニストレーション)、社会計画(ソーシャル・プランニング)、その他(ソーシャル・アクションなど) |
直接援助技術は、本人や家族・グループに直接かかわる方法です。間接援助技術は、地域・組織・制度などに働きかけて、間接的に本人を支える方法です。
バイステックの7原則
アメリカのバイステックは、援助者と利用者のよい関係(援助関係)をつくるための原則を7つにまとめました。自治体の研修資料でも、相談支援の基本として使われています。
バイステックの7原則| 原則 | 意味 |
|---|
| 個別化 | 先入観や偏見を持たず、一人ひとりを「その人」として理解する |
| 意図的な感情表出 | 利用者が感情(否定的なものも含む)を自由に表せるように働きかける |
| 統制された情緒的関与 | 援助者が自分の感情を自覚し、コントロールしたうえでかかわる |
| 受容 | 利用者を否定せず、ありのままに受け止める(よくない行動を認めるという意味ではない) |
| 非審判的態度 | 援助者が一方的に善い・悪いと裁かない |
| 自己決定 | 利用者が自分で決められるよう情報を提供し、その決定を尊重する |
| 秘密保持 | 相談で知った秘密やプライバシーを守る |
相談援助の進め方(展開過程)
相談援助は、おおむね次の順で進みます。インテーク(受理面接:主訴を聞き、支援の内容を説明し、利用の意思を確かめる)→アセスメント(事前評価:情報を集めて課題を分析する)→プランニング(目標を決め、支援計画をつくる)→インターベンション(介入:計画にそって支援する)→モニタリング(状況の確認)→エバリュエーション(事後評価)→ターミネーション(終結)。モニタリングで計画が合っていなければ、アセスメントに戻ってやり直します。
面接の技術
面接の基本は、傾聴(耳を傾けてじっくり聴く)、受容、共感(相手の立場に立って理解しようとする)です。表情やあいづちも大切です。質問には、「はい」「いいえ」など答え方が決まっている閉ざされた質問と、答え方が決まっていない開かれた質問があります。開かれた質問(「どんなことでお困りですか」)は相手が自由に話せ、閉ざされた質問(「朝ごはんは食べましたか」)は事実を短く確かめるのに向いています。
記録の道具:ジェノグラムとエコマップ
ジェノグラム(世代関係図・家族関係図)は、3世代以上の家族関係を図にしたものです。一般に女性を○、男性を□で表し、本人は二重にします。エコマップ(生態学的地図)は、本人を中心に置き、家族・関係者・社会資源(保育所、病院、民生委員など)との関係を線で結び、強い関係・弱い関係・対立関係などを線の太さや種類で表します。
例題
例題:保護者が「仕事を辞めるかどうか迷っている」と保育士に相談した。バイステックの「自己決定」の原則にそった対応はどれか。「辞めた方がいい」と助言する/判断に役立つ情報(利用できる制度など)を伝え、保護者が自分で決めるのを支える。
答えと考え方 後者です。自己決定の原則では、援助者が結論を決めるのではなく、利用者が自分で決められるように情報を提供し、その決定を尊重します。結論を押しつけると、保護者が自分の力で考える機会を奪うことにもなります。
用語
- インテーク
- 受理面接。最初の面接で主訴を聞き、支援の説明をし、利用の意思を確かめる
- アセスメント
- 事前評価。情報を集め、課題とその背景を分析する
- モニタリング
- 支援を始めた後に、計画どおり進んでいるか、状況を確かめること
- 社会資源
- 課題の解決に使える制度・機関・人・サービスなど
- エンパワメント
- 人が本来もっている力を引き出し、自分で状況を変えられるようにすること
- ソーシャル・アクション
- 制度の改善などを求めて社会に働きかける方法
根拠:社会福祉専門職団体協議会・日本社会福祉教育学校連盟「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義(日本語訳)」、e-Gov法令検索「社会福祉士及び介護福祉士法」第2条、厚生労働省 審議会資料「専門的援助技術の体系」(2008年3月)、横浜市障害者自立支援協議会「横浜版 相談支援従事者の人材育成指標」(バイステックの7原則・展開過程)、埼玉県「相談支援の基本」(7原則・傾聴・受容・共感)、労働政策研究・研修機構「資料3」(開かれた質問・閉ざされた質問)、今治市「ジェノグラムとエコマップ」、厚生労働省「個を支える地域づくり」(エコマップ)(2026年10月16日確認)
5. 利用者の保護・権利擁護と地域福祉
契約でサービスを使う時代には、利用者を守る仕組みが欠かせません。情報提供・第三者評価・苦情解決・権利擁護と、地域で支え合う地域福祉の仕組みを学びます。
情報提供と契約
社会福祉法は、社会福祉事業の経営者に、利用を希望する人への情報提供(第75条、努力義務)、利用の申込みがあったときの契約内容の説明(第76条、努力義務)を求めています。契約が成立したときは、経営者の名称、サービスの内容、利用者が支払う額などを書いた書面を遅滞なく交付しなければなりません(第77条。利用者の承諾があれば電磁的方法でもよい)。
サービスの質の評価
第78条は、経営者が自らサービスの質の評価を行うなどして、利用者の立場に立った良質で適切なサービスを提供するよう努めること、国は公正で適切な評価の実施に役立つ措置を講ずるよう努めることを定めています。児童福祉施設の基準では、保育所は業務の質の自己評価を行い改善を図らなければならず、外部の者による評価を受けて公表することは努力義務です(第36条の2)。一方、乳児院などは、外部の者による評価を定期的に受けて結果を公表することが義務です(第24条の3など)。
苦情解決の仕組み
第82条により、社会福祉事業の経営者は、利用者などからの苦情の適切な解決に努めなければなりません。国の指針(「社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決の仕組みの指針」)は、事業所の中に次の体制を置くよう示しています。
事業所の苦情解決体制(国の指針)| 役割 | 担う人・内容 |
|---|
| 苦情解決責任者 | 施設長・理事など。苦情解決の責任主体 |
| 苦情受付担当者 | 職員から任命。苦情を受け付け、内容と意向を確認・記録し、責任者と第三者委員に報告する |
| 第三者委員 | 中立性・客観性を確保するために置く。評議員(理事を除く)、監事、社会福祉士、民生委員・児童委員、弁護士など。複数が望ましい。苦情を直接受け付けることもできる |
事業所で解決しにくい苦情は、運営適正化委員会に申し出ることができます。運営適正化委員会は都道府県社会福祉協議会に置かれ(第83条)、苦情の申出を受けると、相談に応じ、助言し、事情を調査します。申出人と事業者の双方の同意があれば、解決のあっせんもできます(第85条)。利用者の処遇に不当な行為のおそれがあると認めたときは、すみやかに都道府県知事に通知しなければなりません(第86条)。保育所などの児童福祉施設も、苦情を受け付ける窓口の設置などが基準で義務づけられています(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第14条の3)。
権利擁護
日常生活自立支援事業(社会福祉法では「福祉サービス利用援助事業」)は、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者など判断能力が不十分な人が、地域で自立した生活を送れるよう、契約に基づいて福祉サービスの利用援助や、預金の出し入れなどの日常的な金銭管理を行うものです。実施主体は都道府県・指定都市の社会福祉協議会で、窓口は市町村の社会福祉協議会などです。契約を結ぶので、事業の契約内容を判断できる能力があることが必要です。
判断能力がより低下している場合は、民法の成年後見制度を使います。家庭裁判所が審判をします。
法定後見の3つの類型(民法)| 類型 | 本人の状態 | ポイント |
|---|
| 後見(第7条) | 事理を弁識する能力を欠く常況 | 請求できるのは本人、配偶者、四親等内の親族、検察官など |
| 保佐(第11条) | 事理を弁識する能力が著しく不十分 | |
| 補助(第15条) | 事理を弁識する能力が不十分 | 本人以外が請求するときは本人の同意が必要 |
判断能力があるうちに、将来の後見人と契約しておく任意後見もあります。任意後見契約は公正証書でしなければなりません(任意後見契約に関する法律第3条)。
障害者差別解消法は、事業者が障害を理由に不当な差別的取扱いをすることを禁じています。また、障害のある人から社会的障壁を取り除くよう求められたとき、負担が重すぎない範囲で合理的配慮をしなければなりません(第8条)。2024年4月1日の改正法の施行により、事業者の合理的配慮の提供も法的義務になりました。
地域福祉
地域福祉のおもな仕組み(2026年10月時点)| 仕組み | ポイント |
|---|
| 市町村地域福祉計画(第107条) | 市町村が策定に努める。住民などの意見を反映させ、内容を公表するよう努める |
| 都道府県地域福祉支援計画(第108条) | 都道府県が市町村の地域福祉を広域的に支える計画 |
| 社会福祉協議会(第109条〜) | 地域福祉の推進を図る団体。市町村社協は、事業の企画・実施、住民参加の援助などを行う |
| 共同募金(第112条・第113条) | 都道府県の区域を単位に、毎年1回、厚生労働大臣の定める期間に行う寄附の募集。国と地方公共団体には配分しない。共同募金会だけが行える第一種社会福祉事業 |
| 重層的支援体制整備事業(第106条の4) | 市町村が行うことができる。介護・障害・子ども・生活困窮の支援を一体的に行い、包括的な支援体制を整える |
| 民生委員(民生委員法) | 都道府県知事の推薦で厚生労働大臣が委嘱。給与なし、任期3年。児童委員を兼ねる(児童福祉法第16条)。主任児童委員は厚生労働大臣が児童委員の中から指名 |
民生委員は、住民の生活状態の把握、相談・助言、福祉サービスの情報提供、関係機関への協力などを行い(民生委員法第14条)、職務では個人の人格を尊重し、秘密を守ることが求められます(第15条)。
例題
例題:保育所に通う子どもの保護者が、園の対応に不満があるが、園の職員には直接言いにくいと話している。苦情解決の仕組みでは、どのような申出先があるか。
答えと考え方 園の第三者委員に直接申し出ることができます(第三者委員は苦情を直接受け付けられます)。園の中で解決が難しい場合は、都道府県社会福祉協議会に置かれた運営適正化委員会に申し出ることもできます。
用語
- 第三者委員
- 苦情解決に中立・客観的な立場で関わる、事業所外の委員
- 運営適正化委員会
- 都道府県社協に置かれ、福祉サービスの苦情解決と福祉サービス利用援助事業の適正な運営を担う
- 日常生活自立支援事業
- 判断能力が不十分な人に、契約に基づき福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理を行う
- 成年後見制度
- 判断能力が不十分な人を、家庭裁判所が選ぶ後見人などが支える制度(後見・保佐・補助と任意後見)
- 合理的配慮
- 障害のある人の求めに応じ、負担が重すぎない範囲で社会的障壁を取り除くこと
- 共同募金
- 都道府県単位で毎年1回行う寄附の募集(赤い羽根)。地域福祉のために配分する
根拠:e-Gov法令検索「社会福祉法」第75条〜第78条・第81条〜第86条・第106条の4・第107条〜第109条・第112条・第113条、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第14条の3・第24条の3・第36条の2、厚生労働省「社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決の仕組みの指針について」の一部改正(平成29年3月7日。富山県掲載)、厚生労働省「日常生活自立支援事業」、「民法」第7条・第11条・第15条、「任意後見契約に関する法律」第3条、「障害者差別解消法」第8条、内閣府「障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイト」・横浜市「事業者による合理的配慮の提供の義務化」、「民生委員法」第1条・第5条・第10条・第14条・第15条、「児童福祉法」第16条(2026年10月16日確認)
確認問題(45問)
五肢択一(「2つ選べ」などの問題は正解が複数)。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|救護法
日本の公的扶助の歴史で、1929年(昭和4年)に制定され、恤救規則に代わって国の責任による公的扶助の義務を定めた法律はどれか。
- (旧)生活保護法
- 社会福祉事業法
- 民生委員法
- 救護法
- 恤救規則
正解と解説
正解:D. 救護法1929年の救護法が、恤救規則(1874年)に代わり、国家の責任による公的扶助の義務を定めました。恤救規則は1874年の、貧しい人への慈恵的な給付を定めた規則です。(旧)生活保護法は戦後の1946年に制定され、救護法はこのとき廃止されました。社会福祉事業法は1951年の、社会福祉法人や福祉事務所を定めた法律です。民生委員法は1948年の、民生委員について定めた法律で、公的扶助の法律ではありません。
根拠:厚生労働省「平成24年版厚生労働白書 第1部第2章」、「平成23年版厚生労働白書 第1部第2章」
問2|福祉三法
「福祉三法」と呼ばれる3つの法律の組合せとして、正しいものはどれか。
- 生活保護法・児童福祉法・身体障害者福祉法
- 児童福祉法・母子福祉法・社会福祉事業法
- 児童福祉法・身体障害者福祉法・知的障害者福祉法
- 生活保護法・児童福祉法・老人福祉法
- 生活保護法・老人福祉法・母子福祉法
正解と解説
正解:A. 生活保護法・児童福祉法・身体障害者福祉法福祉三法は、戦後すぐに制定された生活保護法(旧法1946年、新法1950年)、児童福祉法(1947年)、身体障害者福祉法(1949年)です。老人福祉法(1963年)、母子福祉法(1964年)、知的障害者福祉法の元になった法律(1960年)は1960年代前半にでき、三法に加わって「福祉六法」となりました。社会福祉事業法(1951年)は、社会福祉事業全体の共通の土台を定めた法律で、三法にも六法にも数えません。
根拠:厚生労働省「平成23年版厚生労働白書 第1部第2章」、e-Gov法令検索の各法律の法令番号
問3|福祉六法
福祉三法に加わり、「福祉六法」をつくることになった法律として適切なものを2つ選びなさい。
- 社会福祉事業法(現在の社会福祉法)
- 介護保険法
- 老人福祉法
- 民生委員法
- 母子福祉法(現在の母子及び父子並びに寡婦福祉法)
正解と解説
正解:C・E(老人福祉法 / 母子福祉法(現在の母子及び父子並びに寡婦福祉法))福祉六法は、福祉三法に、1960年の法律(現在の知的障害者福祉法)、1963年の老人福祉法、1964年の母子福祉法(現在の母子及び父子並びに寡婦福祉法)を加えたものです。介護保険法は2000年に施行された社会保険の法律で、六法には入りません。社会福祉事業法は1951年にできた共通の土台の法律で、六法に数えません。民生委員法は民生委員の制度の法律で、六法に入りません。
根拠:厚生労働省「平成23年版厚生労働白書 第1部第2章」、e-Gov法令検索「老人福祉法」「母子及び父子並びに寡婦福祉法」
問4|社会福祉事業法
1951年(昭和26年)に制定され、社会福祉法人の制度や福祉事務所を設け、2000年(平成12年)に題名が改められた法律はどれか。
- 身体障害者福祉法
- 社会福祉事業法
- 社会福祉士及び介護福祉士法
- 救護法
- 生活困窮者自立支援法
正解と解説
正解:B. 社会福祉事業法社会福祉事業法(1951年)は、公的な事業と民間の事業の関係をはっきりさせ、社会福祉法人の制度や福祉事務所を設けました。2000年の社会福祉基礎構造改革で、題名が「社会福祉法」に改められました。社会福祉士及び介護福祉士法は1987年の資格の法律です。救護法は1929年の公的扶助の法律で、1946年に廃止されています。身体障害者福祉法は1949年の法律で、題名は変わっていません。生活困窮者自立支援法は2013年の法律です。
根拠:厚生労働省「平成23年版厚生労働白書 第1部第2章」、e-Gov法令検索「社会福祉法」(昭和26年法律第45号)
問5|新救貧法
1834年にイギリスで制定された新救貧法が徹底した原則で、「救済を受ける人の生活は、自立して働く最下層の労働者の生活より低くあるべきだ」とするものはどれか。
- 劣等処遇の原則
- 世帯単位の原則
- 無差別平等の原理
- 必要即応の原則
- ノーマライゼーションの理念
正解と解説
正解:A. 劣等処遇の原則新救貧法は、「劣等処遇の原則」と、労役場の中だけで貧しい人に対応する「院外非救済の原則」を徹底しました。ノーマライゼーションは、障害のある人が地域社会の一員として暮らせるようにするという、20世紀後半に広がった理念です。無差別平等・世帯単位・必要即応は、日本の生活保護法(1950年)の原理・原則で、要件を満たせばだれでも平等に保護を受けられる、世帯を単位に保護を決める、個人や世帯の実際の必要の違いを考える、という内容です。
根拠:厚生労働省「平成24年版厚生労働白書 第1部第1章」注2、e-Gov法令検索「生活保護法」第2条・第9条・第10条
問6|貧困調査
19世紀末のイギリスの貧困調査について、適切なものはどれか。
- ラウントリーの調査は、ドイツのビスマルクの社会保険をつくるために行われた。
- ブースはロンドンで、ラウントリーはヨークで、それぞれ貧困の調査を行った。
- ブースはヨークで、ラウントリーはロンドンで、それぞれ貧困の調査を行った。
- ベヴァリッジがロンドンで調査を行い、その結果をエリザベス救貧法にまとめた。
- ブースの調査では、ロンドンの住民で貧困の状態にある人はほとんどいなかった。
正解と解説
正解:B. ブースはロンドンで、ラウントリーはヨークで、それぞれ貧困の調査を行った。ブースは1886年からロンドンで調査し、住民の約3割が貧困状態にあることを示しました。ラウントリーは1899年にヨークで調査しました。都市を入れかえた選択肢は誤りです。ベヴァリッジ報告は1942年のもので、エリザベス救貧法は1601年なので時代が合いません。ブースの調査は貧困が広く存在することを示したもので、「ほとんどいなかった」は逆です。ビスマルクの社会保険(1883年の疾病保険法など)はドイツの制度で、ラウントリーの調査とは関係ありません。
根拠:厚生労働省「平成24年版厚生労働白書 第1部第1章」(注7など)
問7|セツルメント
セツルメント運動について、適切なものを2つ選びなさい。
- セツルメントは、貧しい人を地域から離れた救貧院に集めて生活させる活動である。
- ハル・ハウスは、イギリスのヨークにつくられたセツルメントである。
- 1884年、バーネット夫妻がロンドンのイーストエンドにトインビー・ホールを開いた。
- 1889年、ジェーン・アダムズらがシカゴにハル・ハウスをつくった。
- トインビー・ホールは、1942年のベヴァリッジ報告を受けて国がつくった施設である。
正解と解説
正解:C・D(1884年、バーネット夫妻がロンドンのイーストエンドにトインビー・ホールを開いた。 / 1889年、ジェーン・アダムズらがシカゴにハル・ハウスをつくった。)トインビー・ホールは1884年12月にバーネット夫妻がロンドンのホワイトチャペル(イーストエンド)に開きました。ハル・ハウスは1889年にジェーン・アダムズとエレン・ゲイツ・スターがシカゴにつくりました。トインビー・ホールは民間の活動で、ベヴァリッジ報告(1942年)よりずっと前です。ハル・ハウスはアメリカのシカゴにあり、ヨークではありません。セツルメントは、援助する人が貧しい地区に住み込んで住民と一緒に生活改善に取り組む活動で、救貧院に集める仕組みとは逆の発想です。
根拠:Toynbee Hall「The History of Toynbee Hall」、Jane Addams Hull-House Museum「FAQ」
問8|社会保険と社会保障の始まり
欧米の社会保障の歴史について、適切なものはどれか。
- ベヴァリッジ報告は、1834年の新救貧法の内容をまとめたものである。
- 世界で最初の法律による社会保険は、アメリカのニューディール政策でつくられた。
- イギリスの「ゆりかごから墓場まで」は、エリザベス救貧法のスローガンである。
- アメリカの社会保障法は、1601年に制定された。
- ドイツでは、ビスマルクのもとで1883年に疾病保険法が制定された。
正解と解説
正解:E. ドイツでは、ビスマルクのもとで1883年に疾病保険法が制定された。ビスマルクのもとで、1883年の疾病保険法、1884年の労災保険法、1889年の老齢・障害保険法が制定され、世界初の法律上の社会保険とされます。アメリカの社会保障法は1935年、世界恐慌への対応(ニューディール政策)の一つとして制定されました。ベヴァリッジ報告は1942年の報告書で、新救貧法をまとめたものではありません。「ゆりかごから墓場まで」はベヴァリッジ報告にともなうスローガンです。世界最初の社会保険はドイツで、アメリカの社会保障法より約50年早いです。
根拠:厚生労働省「平成24年版厚生労働白書 第1部第1章」
問9|福祉サービスの基本的理念
社会福祉法第3条は、福祉サービスの基本的理念として、福祉サービスは何を「旨とし」なければならないと定めているか。
- 利用者の自己責任の徹底
- 家族による扶養の優先
- 行政の措置による保護
- 個人の尊厳の保持
- 経営者の利益の確保
正解と解説
正解:D. 個人の尊厳の保持第3条は「福祉サービスは、個人の尊厳の保持を旨とし」と定め、利用者が心身ともに健やかに育つこと、または能力に応じて自立した日常生活を送れるよう支援する、良質かつ適切なものでなければならないとしています。家族による扶養の優先は、生活保護法の「保護の補足性」(第4条)に関係する考え方で、社会福祉法第3条の理念ではありません。行政の措置による保護は、2000年の改革で利用制度へ移る前の仕組みの考え方です。自己責任の徹底や経営者の利益の確保は、第3条に書かれていません。
根拠:e-Gov法令検索「社会福祉法」第3条
問10|第一種社会福祉事業
社会福祉法で第一種社会福祉事業とされているものを2つ選びなさい。
- 乳児院を経営する事業
- 児童厚生施設を経営する事業
- 児童養護施設を経営する事業
- 地域子育て支援拠点事業
- 保育所を経営する事業
正解と解説
正解:A・C(乳児院を経営する事業 / 児童養護施設を経営する事業)社会福祉法第2条第2項は、児童福祉法の乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設を経営する事業を第一種社会福祉事業としています。どれも子どもが生活する入所施設です。保育所、児童厚生施設(児童館など)、地域子育て支援拠点事業は、第2条第3項で第二種社会福祉事業とされています。
根拠:e-Gov法令検索「社会福祉法」第2条
問11|保育所の位置づけ
社会福祉法で、保育所を経営する事業はどのように位置づけられているか。
- 第一種社会福祉事業
- 国と地方公共団体だけが行える事業
- 社会福祉事業に含まれない事業
- 共同募金会だけが行える事業
- 第二種社会福祉事業
正解と解説
正解:E. 第二種社会福祉事業社会福祉法第2条第3項第2号は、児童福祉法の助産施設、保育所、児童厚生施設、児童家庭支援センターなどを経営する事業を第二種社会福祉事業としています。第一種は乳児院や児童養護施設などの入所施設です。保育所は社会福祉事業の一つなので「含まれない」は誤りです。共同募金会だけが行えるのは共同募金です(第113条)。保育所は、国や地方公共団体のほか、社会福祉法人なども経営しています。
根拠:e-Gov法令検索「社会福祉法」第2条・第113条
問12|第一種の経営主体
社会福祉法第60条で、第一種社会福祉事業を経営することが原則とされているのはだれか。
- 民生委員
- 国、地方公共団体または社会福祉法人
- 株式会社などの営利法人
- 社会福祉協議会だけ
- 都道府県だけ
正解と解説
正解:B. 国、地方公共団体または社会福祉法人第60条は「第一種社会福祉事業は、国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする」と定めています。入所施設など利用者への影響が大きい事業なので、経営主体を限っています。都道府県だけに限る規定はありません。営利法人は原則の主体に入っていません。民生委員は地域で相談に応じる人で、事業の経営主体ではありません。社会福祉協議会は地域福祉を推進する団体で、第一種の経営主体を社協だけに限る規定はありません。
根拠:e-Gov法令検索「社会福祉法」第60条
問13|福祉事務所の設置
社会福祉法の福祉事務所の設置について、正しいものはどれか。
- 国が全国の市町村に1か所ずつ設置する。
- 町村は設置しなければならず、市は設置することができる。
- 都道府県と市(特別区を含む)は設置しなければならず、町村は設置することができる。
- 都道府県だけが設置し、市町村は設置できない。
- 市町村はすべて設置しなければならず、都道府県は設置しない。
正解と解説
正解:C. 都道府県と市(特別区を含む)は設置しなければならず、町村は設置することができる。社会福祉法第14条は、都道府県と市(特別区を含む)は条例で福祉事務所を設置しなければならないとし、町村は条例で設置することができる(任意)としています。都道府県の福祉事務所は、市や福祉事務所を置く町村以外の区域を担当します。市町村が設置できないという規定も、都道府県が設置しないという規定もありません。国が設置する機関ではありません。町村と市の義務を逆にした選択肢も誤りです。
根拠:e-Gov法令検索「社会福祉法」第14条
問14|現業員の標準数(計算)
ある市の福祉事務所が担当する被保護世帯は560世帯である。社会福祉法第16条の標準(市:被保護世帯240以下で3人、80世帯を増すごとに1人を加える)によると、現業を行う所員の数は何人か。
- 5人
- 7人
- 8人
- 6人
- 9人
正解と解説
正解:B. 7人560−240=320世帯が、240世帯を超える部分です。320÷80=4なので、3人に4人を加えて7人です。5人や6人は、増える分の数え方が足りません。8人や9人は多すぎます。なお、この数は「標準」で、実際の所員の定数は条例で定めます。都道府県(390世帯以下で6人、65世帯ごとに1人)や町村(160世帯以下で2人、80世帯ごとに1人)とは標準が違うので、問題文がどれを聞いているか確かめましょう。
根拠:e-Gov法令検索「社会福祉法」第16条
問15|社会福祉士
社会福祉士について、正しいものはどれか。
- 社会福祉士は、都道府県知事の推薦により厚生労働大臣が委嘱する。
- 社会福祉士でなければ、福祉に関する相談に応じる仕事をしてはならない。
- 社会福祉士の資格は、児童福祉法に定められている。
- 社会福祉士の資格は、2000年の社会福祉法の制定と同時に創設された。
- 社会福祉士でない者は、社会福祉士という名称を使用してはならない。
正解と解説
正解:E. 社会福祉士でない者は、社会福祉士という名称を使用してはならない。社会福祉士及び介護福祉士法第48条は、社会福祉士でない者が社会福祉士という名称を使うことを禁じています(名称独占)。資格がない人が相談の仕事をすること自体は禁じられていないので、業務独占ではありません。資格の根拠は児童福祉法ではなく、1987年の社会福祉士及び介護福祉士法です(児童福祉法に定められているのは保育士)。知事の推薦で大臣が委嘱するのは民生委員です。2000年は社会福祉事業法が社会福祉法に改められた年で、社会福祉士の創設はそれより前です。
根拠:e-Gov法令検索「社会福祉士及び介護福祉士法」第2条・第48条(昭和62年法律第30号)、「民生委員法」第5条
問16|保育士の義務
児童福祉法に定められた保育士の義務について、適切なものを2つ選びなさい。
- 保育士は、正当な理由なく、業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。
- 秘密を守る義務は、保育士として働いている間だけで、辞めた後はなくなる。
- 保育士の名称は、保育所に勤めていればだれでも使ってよい。
- 保育士でない者は、保育士またはこれに紛らわしい名称を使用してはならない。
- 保育士の資格は、社会福祉士及び介護福祉士法に定められている。
正解と解説
正解:A・D(保育士は、正当な理由なく、業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。 / 保育士でない者は、保育士またはこれに紛らわしい名称を使用してはならない。)児童福祉法第18条の22は、保育士に秘密保持義務を課し、「保育士でなくなつた後においても、同様とする」と定めています。辞めた後もなくならないので、「働いている間だけ」は誤りです。第18条の23は、保育士でない者が保育士や紛らわしい名称を使うことを禁じています(名称独占)。保育所に勤めているだけでは名乗れません。保育士の資格は児童福祉法に定められていて、社会福祉士及び介護福祉士法ではありません。
根拠:e-Gov法令検索「児童福祉法」第18条の22・第18条の23
問17|社会福祉法の目的
社会福祉法第1条に書かれている、この法律の性格と目的として適切なものはどれか。
- 社会福祉を目的とする事業の全分野に共通する基本事項を定め、利用者の利益の保護と地域福祉の推進などを図る。
- 生活に困窮するすべての国民に、最低限度の生活を保障し、自立を助長する。
- 児童の福祉に限って、施設の設備と運営の基準を定める。
- 社会福祉士と介護福祉士の資格を定め、その業務の適正を図る。
- 障害を理由とする差別の解消だけを目的とする。
正解と解説
正解:A. 社会福祉を目的とする事業の全分野に共通する基本事項を定め、利用者の利益の保護と地域福祉の推進などを図る。社会福祉法第1条は、社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定め、ほかの法律と相まって、福祉サービスの利用者の利益の保護と地域福祉の推進を図るとともに、社会福祉事業の公明・適正な実施の確保などを図ることを目的としています。最低限度の生活の保障と自立の助長は、生活保護法第1条の目的です。児童福祉施設の基準は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(省令)の内容です。差別の解消は障害者差別解消法の目的です。資格を定めるのは社会福祉士及び介護福祉士法です。
根拠:e-Gov法令検索「社会福祉法」第1条、「生活保護法」第1条
問18|合理的配慮
障害者差別解消法の事業者の義務について、2026年10月時点の法律の内容として適切なものはどれか。
- 合理的配慮は行政機関だけの義務で、民間の事業者には何も求められていない。
- 障害のある人から社会的障壁の除去を求められ、負担が過重でないときは、必要かつ合理的な配慮をしなければならない。
- 事業者は、負担がどれほど重くても、求められた配慮をすべて行わなければならない。
- 合理的配慮は、障害のある人からの申出がなくても、事業者が毎年まとめて報告するものである。
- 事業者は、障害を理由とした不当な差別的取扱いをしても、合理的配慮をすれば問題はない。
正解と解説
正解:B. 障害のある人から社会的障壁の除去を求められ、負担が過重でないときは、必要かつ合理的な配慮をしなければならない。障害者差別解消法第8条第2項は、事業者は、障害のある人から社会的障壁の除去を必要とする意思の表明があり、その負担が過重でないときは、必要かつ合理的な配慮をしなければならないと定めています。2024年4月1日の改正法の施行で、事業者の合理的配慮も法的義務になりました。民間の事業者にも義務があるので、行政機関だけというのは誤りです。「負担が過重でないとき」という条件があるので、どれほど重くてもすべて、は誤りです。不当な差別的取扱いは第8条第1項で禁止されていて、配慮をすればよいわけではありません。毎年まとめて報告するという仕組みは定められていません。
根拠:e-Gov法令検索「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」第8条、内閣府「障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイト」、横浜市「事業者による合理的配慮の提供の義務化」
問19|1950年勧告
1950年(昭和25年)の社会保障制度審議会「社会保障制度に関する勧告」の社会保障制度の説明として、適切なものはどれか。
- 社会保障は家族と地域の助け合いだけで行い、国は関与しない。
- 社会保障は高齢者だけを対象とし、子どもや失業者は対象としない。
- 困窮の原因に対し、保険的方法または直接公の負担で経済保障の途を講じ、生活困窮者には国家扶助で最低限度の生活を保障する。
- 社会保障は公的扶助だけを指し、社会保険は含まない。
- 社会保障は民間の保険会社の商品を中心に組み立てる。
正解と解説
正解:C. 困窮の原因に対し、保険的方法または直接公の負担で経済保障の途を講じ、生活困窮者には国家扶助で最低限度の生活を保障する。勧告は、疾病・負傷・分娩・廃疾・死亡・老齢・失業・多子などの困窮の原因に対し、保険的方法または直接公の負担で経済保障の途を講じ、生活困窮者には国家扶助で最低限度の生活を保障し、公衆衛生と社会福祉の向上を図るもの、と説明しました。国の関与を前提とした仕組みなので、国が関与しないは誤りです。「保険的方法」(社会保険)を含むので、公的扶助だけでもありません。困窮の原因に失業や多子も入っているので、高齢者だけでもありません。民間の保険商品を中心にするという内容ではありません。
根拠:社会保障制度審議会「社会保障制度に関する勧告」(1950年。厚生労働省 審議会資料に収録)
問20|国民年金の被保険者
国民年金の被保険者について、正しいものはどれか(2026年10月時点)。
- 第1号被保険者は、日本に住む18歳以上65歳未満の人である。
- 第2号被保険者は、自営業者とその家族である。
- 第3号被保険者は、厚生年金保険の被保険者本人である。
- 第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者で、おもにその収入で生計を維持している20歳以上60歳未満の人である。
- 学生は、国民年金の被保険者にはならない。
正解と解説
正解:D. 第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者で、おもにその収入で生計を維持している20歳以上60歳未満の人である。国民年金法第7条で、第3号被保険者は第2号被保険者の配偶者で、おもに第2号被保険者の収入で生計を維持する20歳以上60歳未満の人です。第1号被保険者の年齢は20歳以上60歳未満で、18歳・65歳ではありません。第2号被保険者は厚生年金保険の被保険者(会社員・公務員など)で、自営業者は多くの場合第1号です。厚生年金保険の被保険者本人は第2号で、第3号ではありません。日本に住む20歳以上の学生は、第2号・第3号にあたらなければ第1号被保険者になります。
根拠:e-Gov法令検索「国民年金法」第7条
問21|介護保険の被保険者
介護保険の第2号被保険者として、介護保険法に定められているのはどれか。
- 市町村の区域内に住所を有する20歳以上40歳未満の者
- 市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者
- 厚生年金保険の被保険者で、年齢を問わない者
- 要介護認定を受けたすべての者
- 市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者
正解と解説
正解:E. 市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者介護保険法第9条で、第1号被保険者は市町村に住所がある65歳以上の人、第2号被保険者は市町村に住所がある40歳以上65歳未満の医療保険加入者です。65歳以上は第1号の定義です。20歳以上40歳未満は介護保険の被保険者ではありません。被保険者になるかどうかは年齢と住所などで決まり、要介護認定を受けたかどうかで決まるのではありません。厚生年金保険に入っているかどうかは介護保険の被保険者の区分と関係ありません。
根拠:e-Gov法令検索「介護保険法」第9条
問22|生活保護の基本原理
生活保護法で「基本原理」とされているものを2つ選びなさい。
- 世帯単位
- 無差別平等
- 保護の補足性
- 必要即応
- 申請保護
正解と解説
正解:B・C(無差別平等 / 保護の補足性)生活保護法の第1条〜第4条が基本原理(国家責任、無差別平等、最低生活、保護の補足性)で、第5条は、法の解釈と運用はこれらの原理に基づくとしています。申請保護(第7条)、世帯単位(第10条)、必要即応(第9条)は、第2章の「保護の原則」で、原理ではありません。原理と原則の区別はよく問われるので、「1〜4条が原理、7〜10条が原則」とセットで覚えましょう。
根拠:e-Gov法令検索「生活保護法」第1条〜第5条・第7条〜第10条
問23|申請保護の原則
生活保護法の申請保護の原則について、正しいものはどれか。
- 保護は、福祉事務所の判断だけで始め、申請という手続きはない。
- 申請は、民生委員を通さなければ受け付けられない。
- 保護の申請ができるのは要保護者本人だけで、家族は申請できない。
- 保護は、要保護者、その扶養義務者または同居の親族の申請に基づいて始めるが、急迫した状況にあるときは申請がなくても必要な保護を行うことができる。
- 急迫した状況にあっても、申請がなければ保護を行うことはできない。
正解と解説
正解:D. 保護は、要保護者、その扶養義務者または同居の親族の申請に基づいて始めるが、急迫した状況にあるときは申請がなくても必要な保護を行うことができる。第7条は、保護は要保護者、その扶養義務者またはその他の同居の親族の申請に基づいて開始するとし、ただし書で、要保護者が急迫した状況にあるときは、申請がなくても必要な保護を行うことができるとしています。扶養義務者や同居の親族も申請できるので、本人だけは誤りです。急迫時の例外があるので、申請がなければできないも誤りです。申請に基づくのが原則なので、申請の手続きがないも誤りです。民生委員を通さなければならないという規定はありません。
根拠:e-Gov法令検索「生活保護法」第7条
問24|保護の補足性
生活保護法第4条(保護の補足性)の内容として、適切なものはどれか。
- 民法の扶養義務者による扶養や、ほかの法律による扶助は、生活保護法による保護に優先して行われる。
- 働く能力がある人は、どのような場合でも生活保護を受けられない。
- 急迫した事由があっても、資産を活用し終えるまでは保護を行えない。
- 生活保護は、ほかの法律による扶助よりも先に行われる。
- 生活保護を受ける人は、持っている資産をすべて国に寄付しなければならない。
正解と解説
正解:A. 民法の扶養義務者による扶養や、ほかの法律による扶助は、生活保護法による保護に優先して行われる。第4条は、利用し得る資産・能力その他あらゆるものを最低限度の生活の維持のために活用することを保護の要件とし(第1項)、扶養義務者の扶養やほかの法律による扶助は保護に優先する(第2項)としています。資産は「活用」が求められるもので、国に寄付しなければならないという規定ではありません。ほかの法律の扶助が優先なので、生活保護が先は逆です。能力の活用は要件ですが、「どのような場合でも受けられない」という規定ではありません。第3項で、急迫した事由がある場合は必要な保護を行うことを妨げないとされています。
根拠:e-Gov法令検索「生活保護法」第4条
問25|扶助の種類
生活保護法に定められている扶助の種類として、正しいものを2つ選びなさい。
- 就職扶助
- 保育扶助
- 育児扶助
- 教育扶助
- 生業扶助
正解と解説
正解:D・E(教育扶助 / 生業扶助)第11条の扶助は、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類です。教育扶助と生業扶助はこの中にあります。保育扶助、就職扶助、育児扶助という種類はありません(「就労のために必要なもの」は生業扶助の範囲に含まれる〔第17条〕ので、名前の似た扶助と混同しないようにしましょう)。
根拠:e-Gov法令検索「生活保護法」第11条・第17条
問26|扶助の方法と実施
生活保護の方法と実施体制について、正しいものはどれか。
- 保護は、個人を単位として要否と程度を決めることが原則である。
- 医療扶助は、現物給付によって行うことが原則である。
- 保護の実施機関は国で、都道府県や市は関与しない。
- 保護費のうち国が負担するのは2分の1である。
- 生活扶助は、救護施設などに入所して行うことが原則である。
正解と解説
正解:B. 医療扶助は、現物給付によって行うことが原則である。第34条は「医療扶助は、現物給付によつて行うものとする」と定めています。生活扶助は、被保護者の居宅で行うのが原則で(第30条)、施設入所は居宅では難しい場合などです。保護は世帯を単位とするのが原則で(第10条)、個人単位はそれが難しいときの例外です。保護費の国の負担は4分の3です(第75条)。保護の実施機関は都道府県知事、市長、福祉事務所を管理する町村長です(第19条)。
根拠:e-Gov法令検索「生活保護法」第10条・第19条・第30条・第34条・第75条
問27|生活困窮者自立支援法
生活困窮者自立支援法について、正しいものはどれか。
- この法律は1950年に、生活保護法と同時に制定された。
- 「生活困窮者」とは、すでに生活保護の基準を下回っている人だけをいう。
- 都道府県等は、生活困窮者自立相談支援事業を行うものとされている。
- 自立相談支援事業は民生委員が個人で行い、行政は関わらない。
- 生活保護を受けている人だけが、この法律の支援の対象である。
正解と解説
正解:C. 都道府県等は、生活困窮者自立相談支援事業を行うものとされている。第5条は、都道府県等は生活困窮者自立相談支援事業を行うものとすると定めています(事務の委託は可能)。この法律の「生活困窮者」は、就労・心身の状況、地域社会との関係性などの事情で、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持できなくなる「おそれのある」人です(第3条)。生活保護の手前の段階を支える法律なので、生活保護受給者だけ・基準を下回った人だけ、は誤りです。法律は2013年(平成25年)に制定されたもので、1950年ではありません。事業は都道府県等の責任で行います。
根拠:e-Gov法令検索「生活困窮者自立支援法」第3条・第5条(平成25年法律第105号)
問28|グローバル定義
2014年に採択された「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(日本語訳)の内容として、適切なものはどれか。
- 社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理が、ソーシャルワークの中核をなすとしている。
- 地域・民族固有の知は、ソーシャルワークの基盤から除くとしている。
- ソーシャルワークは専門職ではなく、ボランティアによる慈善活動であるとしている。
- ソーシャルワークは、個人を社会に適応させることだけを目的とし、構造には働きかけないとしている。
- この定義は各国で変えてはならず、地域ごとに展開することは認めないとしている。
正解と解説
正解:A. 社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理が、ソーシャルワークの中核をなすとしている。グローバル定義は、ソーシャルワークを、社会変革と社会開発、社会的結束、人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問であるとし、社会正義、人権、集団的責任、多様性尊重の諸原理が中核をなすとしています。「専門職であり学問」なので、ボランティアの慈善活動とする選択肢は誤りです。人々や「さまざまな構造」に働きかけるとしているので、構造に働きかけないは誤りです。基盤には「地域・民族固有の知」が含まれます。また「この定義は、各国および世界の各地域で展開してもよい」とされています。
根拠:社会福祉専門職団体協議会・日本社会福祉教育学校連盟「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義(日本語訳)」
問29|個別化
バイステックの7原則のうち、「先入観や偏見を持たず、利用者を一人ひとり異なる、その人として理解する」ことを表すものはどれか。
- 受容
- 自己決定
- 非審判的態度
- 秘密保持
- 個別化
正解と解説
正解:E. 個別化一人ひとりを「その人」として理解し、その人に合った関わりをすることは個別化の原則です。受容は利用者をありのままに受け止めること、非審判的態度は援助者が一方的に善い・悪いと裁かないこと、自己決定は利用者が自分で決められるよう支え、その決定を尊重すること、秘密保持は相談で知った秘密を守ることで、いずれも問いの説明とは違います。
根拠:横浜市障害者自立支援協議会「横浜版 相談支援従事者の人材育成指標」、埼玉県「相談支援の基本」
問30|統制された情緒的関与
バイステックの7原則の「統制された情緒的関与」の説明として、適切なものはどれか。
- 利用者の感情表現を制限し、冷静に話すよう指導する。
- 利用者が否定的な感情も含めて自由に表現できるように働きかける。
- 援助者は感情を持たず、事務的に対応する。
- 利用者の感情に援助者も一緒に巻き込まれ、同じ気持ちで行動する。
- 援助者が自分の感情を自覚し、コントロールしたうえで利用者に関わる。
正解と解説
正解:E. 援助者が自分の感情を自覚し、コントロールしたうえで利用者に関わる。統制された情緒的関与は、援助者が自分自身の感情を自覚し、判断・コントロールしたうえで利用者に働きかけることです。利用者が感情を自由に表現できるよう働きかけるのは「意図的な感情表出」です。感情を持たずに事務的に対応することは求められていません。利用者の感情に巻き込まれるのは、感情を統制できていない状態です。利用者の感情表現を制限することは、意図的な感情表出の原則にも反します。
根拠:横浜市障害者自立支援協議会「横浜版 相談支援従事者の人材育成指標」、埼玉県「相談支援の基本」
問31|バイステックの原則
バイステックの7原則に含まれるものを2つ選びなさい。
- 自己責任
- 受容
- 一般化
- 秘密保持
- 指導の徹底
正解と解説
正解:B・D(受容 / 秘密保持)バイステックの7原則は、個別化、意図的な感情表出、統制された情緒的関与、受容、非審判的態度、自己決定、秘密保持です。受容と秘密保持はこの中にあります。自己責任は7原則にありません(似た言葉の「自己決定」と混同しないように)。指導の徹底は、利用者が自分で決めることを尊重する考え方と合いません。一般化は、一人ひとりを個別に理解する「個別化」と反対の考え方です。
根拠:横浜市障害者自立支援協議会「横浜版 相談支援従事者の人材育成指標」、埼玉県「相談支援の基本」
問32|展開過程
相談援助の展開過程を、一般的な順に並べたものとして正しいものはどれか。
- インテーク → アセスメント → プランニング → インターベンション → モニタリング → エバリュエーション → 終結
- インテーク → インターベンション → アセスメント → プランニング → モニタリング → エバリュエーション → 終結
- アセスメント → インテーク → プランニング → モニタリング → インターベンション → エバリュエーション → 終結
- プランニング → インテーク → アセスメント → インターベンション → モニタリング → 終結 → エバリュエーション
- インテーク → プランニング → アセスメント → インターベンション → エバリュエーション → モニタリング → 終結
正解と解説
正解:A. インテーク → アセスメント → プランニング → インターベンション → モニタリング → エバリュエーション → 終結最初の受理面接(インテーク)で主訴を聞き、事前評価(アセスメント)で情報を集めて課題を分析し、それに基づいて計画(プランニング)を立て、介入(インターベンション)し、状況を確認(モニタリング)し、事後評価(エバリュエーション)をして終結します。アセスメントの前にインテーク、計画の前にアセスメント、介入の後にモニタリングという順がポイントです。ほかの並びは、分析の前に計画を立てる、計画の前に介入する、評価の前に終結するなど、順序が崩れています。
根拠:横浜市障害者自立支援協議会「横浜版 相談支援従事者の人材育成指標」
問33|エコマップ
相談援助で使う図について、適切なものはどれか。
- エコマップは、援助者自身の家族関係を確認するための図である。
- ジェノグラムは、本人と病院や保育所などの社会資源との関係だけを表す図である。
- エコマップは、本人を中心に、家族・関係者・社会資源との関係を線で結び、関係の強さや対立を線の種類で表す。
- エコマップは、3世代以上の家族の続き柄だけを記号で表す図である。
- ジェノグラムでは、一般に男性を○、女性を□で表す。
正解と解説
正解:C. エコマップは、本人を中心に、家族・関係者・社会資源との関係を線で結び、関係の強さや対立を線の種類で表す。エコマップ(生態学的地図)は、本人を中心に置き、家族・関係者・社会資源との関係を線でつなぎ、強い関係・弱い関係・対立関係などを線の太さや種類で区別して表します。社会資源との関係を表すのはエコマップで、ジェノグラムではありません。3世代以上の家族関係を表すのはジェノグラム(世代関係図)です。ジェノグラムでは一般に女性を○、男性を□で表すので、逆です。どちらの図も利用者の状況を理解するためのもので、援助者自身の家族を確認する図ではありません。
根拠:今治市「ジェノグラムとエコマップ」、厚生労働省「個を支える地域づくり」
問34|間接援助技術
社会福祉の専門的援助技術のうち、間接援助技術に分類されるものを2つ選びなさい。
- 家庭訪問による個別の面接
- 個別援助技術(ケースワーク)
- 集団援助技術(グループワーク)
- 地域援助技術(コミュニティワーク)
- 社会福祉調査法(ソーシャルワーク・リサーチ)
正解と解説
正解:D・E(地域援助技術(コミュニティワーク) / 社会福祉調査法(ソーシャルワーク・リサーチ))厚生労働省の審議会資料では、直接援助技術として個別援助技術(ケースワーク)と集団援助技術(グループワーク)、間接援助技術として地域援助技術(コミュニティワーク)、社会福祉調査法、社会福祉運営管理、社会計画、ソーシャル・アクションなどを挙げています。ケースワークとグループワークは本人やグループに直接かかわるので直接援助技術です。家庭訪問による個別の面接も、本人に直接かかわる個別援助の方法です。
根拠:厚生労働省 審議会資料「専門的援助技術の体系」(2008年3月)
問35|開かれた質問
面接で援助者が「最近の様子について、どんなことでも聞かせてください」とたずねた。これはどのような質問か。
- 閉ざされた質問
- 「はい」「いいえ」で答えてもらう確認の質問
- 開かれた質問
- 2つの答えから選んでもらう質問
- 援助者の考えを伝える助言
正解と解説
正解:C. 開かれた質問答え方が決まっていない質問を「開かれた質問」といいます。相手が自分の言葉で自由に話せるので、気持ちや状況を広く知るのに向いています。「はい」「いいえ」などの答え方が決まっている質問が「閉ざされた質問」で、事実を短く確かめるのに向いています。2つの答えから選ぶ質問も答え方が決まっているので、開かれた質問ではありません。この発言は質問であり、援助者の考えを伝える助言ではありません。
根拠:労働政策研究・研修機構「資料3 やりとり記録の解析結果」
問36|自己決定の尊重
保育所で、保護者が「子どもの習い事を続けるか迷っている」と保育士に相談した。バイステックの自己決定の原則にそった対応として、最も適切なものはどれか。
- 保護者の迷いは聞かず、ほかの保護者がどうしているかだけを伝える。
- 子どもの園での様子や考えられる選択肢を伝え、保護者が自分で決められるよう話を聴く。
- 相談の内容を、保護者の了解なしにクラスの保護者会で話し合う。
- 迷っていることを責め、早く決めるように促す。
- 「やめた方がいい」と結論を伝え、そのとおりにするよう勧める。
正解と解説
正解:B. 子どもの園での様子や考えられる選択肢を伝え、保護者が自分で決められるよう話を聴く。自己決定の原則では、援助者が結論を決めるのではなく、利用者が自分で決められるよう情報を提供し、その決定を尊重します。保育士が結論を押しつけるのは、自己決定に反します。迷いを聞かずにほかの家庭の例だけを伝えるのは、個別化や受容にも反します。了解なしに保護者会で話すことは秘密保持の原則に反し、保育士の秘密保持義務(児童福祉法第18条の22)にも反します。迷っていることを責めるのは、非審判的態度や受容に反します。
根拠:埼玉県「相談支援の基本」、e-Gov法令検索「児童福祉法」第18条の22
問37|第三者委員
国の「苦情解決の仕組みの指針」で、事業所の苦情解決に中立性・客観性を確保するために置くとされているのはどれか。
- 第三者委員
- 苦情解決責任者
- 運営適正化委員会
- 苦情受付担当者
- 民生委員推薦会
正解と解説
正解:A. 第三者委員指針は、苦情解決に中立性・客観性を確保するため、第三者委員を置くとしています。評議員(理事を除く)、監事、社会福祉士、民生委員・児童委員、弁護士などが例として挙げられ、複数が望ましいとされます。苦情受付担当者は職員から任命され、苦情を受け付けて記録・報告する役です。苦情解決責任者は施設長や理事などで、解決の責任者です。運営適正化委員会は事業所の中ではなく都道府県社会福祉協議会に置かれる機関です。民生委員推薦会は民生委員を推薦する市町村の機関です。
根拠:厚生労働省「社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決の仕組みの指針について」の一部改正(平成29年3月7日。富山県掲載)、e-Gov法令検索「民生委員法」第5条
問38|運営適正化委員会
社会福祉法の運営適正化委員会について、正しいものはどれか。
- 厚生労働省に置かれ、全国の苦情を直接受け付ける唯一の窓口である。
- 家庭裁判所に置かれ、成年後見人を選ぶ。
- 都道府県社会福祉協議会に置かれ、福祉サービスに関する苦情の解決などを行う。
- 市町村ごとに置かれ、保育所の入所先を決定する。
- 各施設の中に置かれ、施設長が委員長を務める。
正解と解説
正解:C. 都道府県社会福祉協議会に置かれ、福祉サービスに関する苦情の解決などを行う。第83条は、福祉サービス利用援助事業の適正な運営の確保と、福祉サービスに関する利用者等からの苦情を適切に解決するため、都道府県社会福祉協議会に運営適正化委員会を置くとしています。市町村ごとの機関ではなく、保育所の入所先を決めることもしません。厚生労働省に置かれる機関ではなく、苦情はまず事業所でも受け付けるので「唯一の窓口」でもありません。施設の中に置くのは苦情解決責任者・苦情受付担当者・第三者委員などの体制です。成年後見人を選ぶのは家庭裁判所の審判です。
根拠:e-Gov法令検索「社会福祉法」第83条、厚生労働省「社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決の仕組みの指針について」の一部改正(平成29年3月7日。富山県掲載)
問39|苦情解決の流れ
運営適正化委員会が苦情の申出を受けたときの対応として、社会福祉法に定められているものを2つ選びなさい。
- 申出人と、サービスを提供した事業者の双方の同意を得て、苦情の解決のあっせんを行うことができる。
- 利用者の処遇に不当な行為が行われているおそれがあると認めたときは、すみやかに都道府県知事に通知しなければならない。
- 苦情の申出を受けたら、必ず事業者に罰金を科す。
- 苦情の内容にかかわらず、事情の調査は行わない。
- 事業所の第三者委員を経た苦情でなければ、受け付けてはならない。
正解と解説
正解:A・B(申出人と、サービスを提供した事業者の双方の同意を得て、苦情の解決のあっせんを行うことができる。 / 利用者の処遇に不当な行為が行われているおそれがあると認めたときは、すみやかに都道府県知事に通知しなければならない。)第85条により、運営適正化委員会は苦情の申出を受けたとき、相談に応じ、必要な助言をし、事情を調査します。申出人と事業者の双方の同意を得て、あっせんを行うこともできます。第86条により、処遇に不当な行為のおそれがあると認めたときは、すみやかに都道府県知事に通知しなければなりません。委員会が罰金を科す規定はありません。事業所の第三者委員を経なければ受け付けないという規定もありません。事情の調査は第85条で定められた対応の一つなので、調査しないは誤りです。
根拠:e-Gov法令検索「社会福祉法」第85条・第86条
問40|サービスの質の評価
福祉サービスの質の評価について、2026年10月時点の法令の内容として正しいものはどれか。
- 保育所は、外部の者による評価を毎年受けることが義務で、自己評価は求められていない。
- 社会福祉法では、経営者による自己評価は禁止されている。
- 社会福祉法では、国はサービスの質の評価に一切関わらないとしている。
- 乳児院は、外部の者による評価を受けることは求められていない。
- 保育所は、業務の質の自己評価を行って改善を図らなければならず、外部の者による評価を受けて結果を公表することは努力義務である。
正解と解説
正解:E. 保育所は、業務の質の自己評価を行って改善を図らなければならず、外部の者による評価を受けて結果を公表することは努力義務である。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第36条の2で、保育所は自己評価を行い常に改善を図らなければならず(第1項)、定期的に外部の者による評価を受けて結果を公表し改善を図るよう努めなければならない(第2項、努力義務)とされています。外部評価が毎年の義務で自己評価が不要、は逆です。乳児院は第24条の3で、定期的に外部の者による評価を受けて結果を公表することが義務です。社会福祉法第78条第2項は、国が公正・適切な評価の実施に役立つ措置を講ずるよう努めるとしています。同条第1項は、経営者が自ら質の評価を行うことなどを求めているので、禁止は誤りです。
根拠:e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第24条の3・第36条の2、「社会福祉法」第78条
問41|日常生活自立支援事業
日常生活自立支援事業について、適切なものはどれか。
- 利用料は法律で全国一律に無料と決められている。
- 家庭裁判所の審判によって始まり、本人の財産のすべてを管理する。
- 実施主体は市町村の福祉事務所で、窓口は警察署である。
- 判断能力が不十分な人に、契約に基づいて福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理を行う。
- 判断能力がまったくなく、契約の内容を理解できない人だけが利用できる。
正解と解説
正解:D. 判断能力が不十分な人に、契約に基づいて福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理を行う。日常生活自立支援事業は、認知症高齢者・知的障害者・精神障害者など判断能力が不十分な人が地域で自立した生活を送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助や、預金の払い戻しなどの日常的な金銭管理を行います。実施主体は都道府県・指定都市の社会福祉協議会で、窓口は市町村社会福祉協議会などです。家庭裁判所の審判で始まるのは成年後見制度です。契約に基づく事業なので、事業の契約内容を判断できる能力が必要で、まったく判断できない人だけが対象、は誤りです。利用料は実施主体が定め、利用者が負担します(生活保護受給世帯は無料)。
根拠:厚生労働省「日常生活自立支援事業」、e-Gov法令検索「社会福祉法」第2条・第81条
問42|成年後見制度
成年後見制度について、正しいものを2つ選びなさい。
- 保佐の対象は、事理を弁識する能力を欠く常況にある者である。
- 本人以外の者の請求で補助開始の審判をするには、本人の同意が必要である。
- 任意後見契約は、公正証書によってしなければならない。
- 任意後見契約は、口頭の約束だけで成立する。
- 後見開始の審判は、市町村長が行う。
正解と解説
正解:B・C(本人以外の者の請求で補助開始の審判をするには、本人の同意が必要である。 / 任意後見契約は、公正証書によってしなければならない。)民法第15条第2項は、本人以外の者の請求で補助開始の審判をするには本人の同意がなければならないとしています。任意後見契約に関する法律第3条は、任意後見契約は法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならないとしています。審判をするのは家庭裁判所で、市町村長ではありません。事理を弁識する能力を「欠く常況」は後見(第7条)の対象で、保佐(第11条)は「著しく不十分」な人です。任意後見契約は公正証書が必要なので、口頭だけでは成立しません。
根拠:e-Gov法令検索「民法」第7条・第11条・第15条、「任意後見契約に関する法律」第3条
問43|民生委員
民生委員について、正しいものはどれか(2026年10月時点)。
- 任期は5年で、児童委員を兼ねることはできない。
- 社会福祉士の資格がなければ民生委員になれない。
- 民生委員は、職務で知った個人の秘密を守る必要はない。
- 都道府県知事の推薦によって厚生労働大臣が委嘱し、給与は支給されず、任期は3年である。
- 市町村長が任命する常勤の公務員で、給与が支給される。
正解と解説
正解:D. 都道府県知事の推薦によって厚生労働大臣が委嘱し、給与は支給されず、任期は3年である。民生委員法第5条により、民生委員は都道府県知事の推薦によって厚生労働大臣が委嘱します(知事は市町村の民生委員推薦会が推薦した者について推薦します)。第10条により、給与は支給されず、任期は3年です。市町村長が任命する常勤の公務員ではありません。児童福祉法第16条により、民生委員は児童委員に充てられたものとされるので、兼ねることができないは誤りです。社会福祉士の資格は要件ではありません。第15条は、個人の人格を尊重し、その身上に関する秘密を守ることを求めています。
根拠:e-Gov法令検索「民生委員法」第5条・第10条・第15条、「児童福祉法」第16条
問44|地域福祉計画
社会福祉法の地域福祉計画について、正しいものはどれか。
- 市町村は市町村地域福祉計画の、都道府県は都道府県地域福祉支援計画の策定に努めるものとされている。
- 地域福祉計画は、児童福祉の分野だけを対象とする計画である。
- 地域福祉計画は、社会福祉協議会が策定しなければならない。
- 市町村地域福祉計画は、策定後に住民の意見を聴いたり公表したりしてはならない。
- 地域福祉計画は国が策定し、市町村はそれに従うだけである。
正解と解説
正解:A. 市町村は市町村地域福祉計画の、都道府県は都道府県地域福祉支援計画の策定に努めるものとされている。第107条により、市町村は地域福祉の推進に関する事項を一体的に定める市町村地域福祉計画の策定に努めるものとされ、地域住民等の意見を反映させるよう努め、内容を公表するよう努めます。第108条により、都道府県も都道府県地域福祉支援計画の策定に努めるものとされています。国が策定する計画ではありません。住民の意見を反映させ公表するよう努めるとされているので、「してはならない」は逆です。計画には高齢者・障害者・児童などの福祉に共通する事項を盛り込むので、児童福祉だけではありません。策定するのは市町村・都道府県で、社会福祉協議会ではありません。
根拠:e-Gov法令検索「社会福祉法」第107条・第108条
問45|共同募金
社会福祉法の共同募金について、正しいものはどれか。
- 集めた寄附金は、国と地方公共団体にも配分される。
- だれでも自由に「共同募金」として寄附を募ることができる。
- 共同募金を行う事業は、第二種社会福祉事業である。
- 市町村の区域を単位として、1年中いつでも行うことができる。
- 都道府県の区域を単位として、毎年1回、厚生労働大臣の定める期間内に限って行う寄附金の募集である。
正解と解説
正解:E. 都道府県の区域を単位として、毎年1回、厚生労働大臣の定める期間内に限って行う寄附金の募集である。第112条は、共同募金を、都道府県の区域を単位として、毎年1回、厚生労働大臣の定める期間内に限って、あまねく行う寄附金の募集で、区域内の地域福祉の推進を図るため、社会福祉を目的とする事業を経営する者(国と地方公共団体を除く)に配分するもの、と定めています。市町村単位・いつでも、は誤りです。国と地方公共団体は配分の対象から除かれます。第113条により、共同募金事業は共同募金会以外の者は行ってはならず、第一種社会福祉事業とされています。
根拠:e-Gov法令検索「社会福祉法」第112条・第113条
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※ 解説は学習用の情報提供です。試験の日程・出題範囲・合格基準は、必ず全国保育士養成協議会の公式発表をご確認ください。
※ 問題はすべて仮の宿 学習室のオリジナル問題で、本試験の問題ではありません。保健・栄養の内容は国のガイドラインに基づく学習用の説明で、医療上の助言ではありません。