仮の宿 学習室

医療情報技師 HEALTHCARE INFORMATION TECHNOLOGIST

システム開発と新技術

講義 4 本・確認問題 30 問 | 本試験では「情報処理技術系」(50問)の一部 | 最終更新 2026-09-24

この章で学ぶこと
目次
  1. システム開発のプロセスモデル
  2. 要件定義・設計とテスト
  3. プロジェクト管理
  4. 運用管理と仮想化・最近の情報技術
  5. 確認問題(30問)
  6. 演習ツール

1. システム開発のプロセスモデル

情報システムには要求分析から廃棄までのライフサイクルがある。ウォータフォール・プロトタイピング・アジャイルという代表的な開発モデルの特徴と使いどころを整理する。

情報システムのライフサイクルは、要求分析(要件定義)→外部設計→内部設計→プログラム設計→プログラミング→テスト→運用・保守→廃棄という流れで捉えられる。要求分析では利用者のニーズを整理して要件定義書にまとめ、外部設計では画面・帳票など利用者から見える部分を、内部設計ではシステム内部の処理方式やデータ構造を設計する。分析・設計にはデータフロー図(DFD)やER図などが用いられる。

ウォータフォールモデルは、これらの工程を上流から下流へ滝のように順に進め、原則として前の工程に戻らないことを前提とする開発モデルである。各工程の成果物(仕様書・設計書)を確定させてから次に進むため、進捗管理がしやすく大規模開発に向く。一方、テスト段階など後工程で要件の誤りが見つかると、手戻りのコストが非常に大きいという欠点がある。

プロトタイピングモデルは、開発の早い段階で試作品(プロトタイプ)を作って利用者に確認してもらい、要求のあいまいさや認識のずれを早期に解消する開発モデルである。利用者が要件を具体的にイメージしやすくなる。インクリメンタルモデルや反復型開発モデルは、システムを機能単位に分割し、段階的に開発・リリースを繰り返す方法である。

アジャイル開発は、短い期間の反復で動くソフトウェアを少しずつ作り上げ、仕様変更に柔軟に対応することを重視する開発の考え方である。代表的な手法にスクラムとXP(eXtreme Programming)がある。スクラムでは、スプリントと呼ばれる短い固定期間(一般に1〜4週間程度)を単位に計画・開発・振り返りを繰り返す。既存のサービスや部品を組み合わせて新しいサービスを作るマッシュアップという手法もある。

代表的な開発モデルの比較
項目ウォータフォールプロトタイピングアジャイル(スクラム等)
進め方工程を上流から順に進め後戻りしない前提早期に試作品を作り利用者の確認を得て進める短い反復(スプリント)で動くソフトを積み上げる
仕様変更への対応後工程での変更はコスト大要求のあいまいさを早期に解消変更を前提とし柔軟に対応
利用者の関与主に上流工程と受入時試作品の評価で早期から関与反復のたびに継続的に関与
向く開発要件が明確な大規模開発要件が固まりにくいシステム要件の変化が速い開発
関連キーワード仕様書、工程管理試作品(プロトタイプ)スクラム、スプリント、XP

用語

ウォータフォールモデル
要求分析から運用・保守までの工程を上流から順に進め、原則後戻りしない前提の開発モデル。進捗管理がしやすく大規模開発に向くが、後工程での仕様変更のコストが大きい。
プロトタイピングモデル
開発の早期に試作品を作って利用者に確認してもらい、要求のあいまいさや認識のずれを解消してから開発を進めるモデル。要件が固まりにくいシステムに有効。
アジャイル開発
短い反復で動くソフトウェアを少しずつ作り、仕様変更に柔軟に対応することを重視する開発の考え方。スクラムやXP(eXtreme Programming)が代表的手法。
スプリント
スクラムにおける開発の単位となる短い固定期間。スプリントごとに計画を立てて開発し、動くソフトウェアを作って振り返りを行うサイクルを繰り返す。
インクリメンタルモデル
システムを機能単位に分割し、段階的に開発・リリースを重ねていく開発モデル。早い段階から一部の機能を利用でき、反復型開発モデルと並び段階的な進め方の代表。
データフロー図(DFD)
業務やシステムにおけるデータの流れを、処理・データストア・外部実体などの記号で表す図。構造化分析の代表的な手法として要求分析や設計で使われる。

例題

例題:要件がなかなか固まらない部門システムに向く開発モデルは?
答えと考え方 試作品で認識合わせをするプロトタイピングモデルや、変更を前提とするアジャイル開発が向く。
例題:ウォータフォールの最大の弱点は?
答えと考え方 後工程(テスト段階など)で要件の誤りが見つかると、上流に戻る手戻りコストが非常に大きいこと。

出典・根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)第7章 情報システムの開発(GIO 7.1 開発のプロセス)

2. 要件定義・設計とテスト

開発の品質は、要求を正しく文書化し、設計と対応づけてテストで確かめることで確保される。工程ごとのドキュメントとテストの種類・技法を対応づけて覚える。

要求分析(要件定義)では、利用者・発注者の要求を整理し、システムが実現すべき機能や性能を要件定義書にまとめる。続く外部設計では画面仕様・帳票仕様・インターフェース仕様など利用者やほかのシステムから見える部分を、内部設計ではプログラムの構造・データベースのテーブル定義などシステム内部の実現方式を設計する。開発では要求仕様書・設計書(基本設計書・詳細設計書)・テスト仕様書/成績書・操作マニュアルなど多くのドキュメントが作成され、後の保守や監査の根拠となる。

テストは段階的に行う。単体テストはモジュール(プログラム部品)ごとに、詳細な設計どおり動くかを確認する。統合テスト(結合テスト)は複数のモジュールを組み合わせ、モジュール間のインターフェースを確認する。システムテストはシステム全体が要件を満たすかを確認する段階で、多数の同時利用を想定した負荷テストや応答時間などを確かめる性能テストも含まれる。受け入れテストは発注者・利用者側が、実際の業務で使えるかを確認して検収する最終段階のテストである。

テスト技法には、プログラムの内部構造を意識せず入力と出力の関係だけで確認するブラックボックステストと、内部のロジックや分岐の網羅を意識して確認するホワイトボックステストがあり、両者の中間的なグレーボックステストもある。プログラムを実行して確認する動的テストに対し、ソースコードや設計書をレビューなどで確認する方法は静的テストと呼ばれる。

テストの種類と目的
テスト確認する内容主な対応工程
単体テストモジュール単位で詳細設計どおり動くかプログラム設計・内部設計
統合テスト(結合テスト)モジュール間のインターフェースが正しいか内部設計・外部設計
システムテストシステム全体が要件を満たすか(性能・負荷を含む)要件定義・外部設計
受け入れテスト発注者・利用者が業務で使えるか(検収)要求分析(要件定義)

用語

要件定義書
要求分析の成果として、システムが実現すべき機能・性能・制約を発注者と開発者が合意した形でまとめた文書。以後の設計・テスト・検収の基準となる。
外部設計と内部設計
外部設計は画面・帳票・インターフェースなど利用者から見える部分の設計、内部設計はプログラム構造やデータ構造などシステム内部の実現方式の設計を指す。
単体テスト
モジュール(プログラム部品)単位で、詳細設計どおりに動作するかを確認するテスト。テスト工程の最初の段階で、主に開発者が実施する。
受け入れテスト
発注者・利用者側が、納品されたシステムを実際の業務の観点で確認し、検収の可否を判断するテスト。テスト工程の最終段階に位置づけられる。
ブラックボックステスト
プログラムの内部構造を考慮せず、入力に対する出力が仕様どおりかだけで確認するテスト技法。内部の分岐網羅を意識するホワイトボックステストと対になる。
負荷テスト
多数の同時アクセスや大量データなど高い負荷をかけ、システムが耐えられるか、性能が保たれるかを確認するテスト。システムテストの段階で行われることが多い。

例題

例題:モジュールを組み合わせたときの不具合を見つけるテストは?
答えと考え方 統合テスト(結合テスト)。モジュール間のインターフェースの誤りを確認する。
例題:入力と出力の関係だけで仕様どおりかを確認する技法は?
答えと考え方 ブラックボックステスト。内部のロジックは考慮しない。

出典・根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)第7章 情報システムの開発(SBO 7.1.3 テストの種類と手法・SBO 7.3.4 開発関連ドキュメント)

3. プロジェクト管理

開発を納期・コスト・品質の面から成功させるのがプロジェクト管理である。WBS・ガントチャート・クリティカルパスなどの手法と、リスク管理・変更管理の枠組みを学ぶ。

プロジェクト管理は、期限と目的をもつ一回限りの活動(プロジェクト)を、スコープ・タイム・コスト・品質・リスク・調達・コミュニケーションなどの観点から計画・実行・監視する活動である。知識体系としてPMBOKが広く使われ、国際規格としてISO21500「プロジェクト管理に関するガイダンス」がある。プロジェクトの目的や体制はプロジェクト憲章で定め、プロジェクトに利害関係をもつ人・組織をステークホルダと呼ぶ。

計画では、まずWBS(Work Breakdown Structure)で成果物と作業を階層的に分解し、作業の抜け漏れを防ぐ。スケジュールは、作業ごとの開始・終了を横棒で表すガントチャートで見える化する。作業の依存関係をネットワーク図で表したとき、開始から完了までの経路のうち所要日数が最長の経路をクリティカルパスと呼ぶ。クリティカルパス上の作業には余裕(フロート)がなく、その遅れがそのままプロジェクト全体の遅れになるため、重点的に管理する。

見積もりには、過去の類似プロジェクトから見積もる類推見積もり(概算法)、作業を積み上げる積算法、プログラム行数によるLOC、システムの機能量から規模を見積もるファンクションポイント法、係数モデルのCOCOMOIIなどがある。進捗とコストを出来高で統合的に管理する手法がEVM(Earned Value Management)である。

リスクマネジメントは、リスク識別→リスク分析(定性的・定量的)→リスク対応計画→リスクの監視・コントロールという流れで行う。要件や仕様の変更は変更管理の手続きに載せ、影響を評価したうえで変更管理委員会(CCB:Change Control Board)が承認の可否を判断する。無秩序な変更の受け入れは、納期遅延や品質低下を招く。

プロジェクト管理の代表的な手法
手法内容
WBS成果物・作業を階層的に分解し、作業の抜け漏れを防ぐ
ガントチャート作業ごとの日程を横棒で表しスケジュールを見える化する
クリティカルパス依存関係の中で最長の経路。遅延が全体の遅延に直結する
ファンクションポイント法機能の数と複雑さからソフトウェア規模を見積もる
EVM出来高を基準に進捗とコストを統合的に管理する
リスクマネジメントリスクの識別→分析→対応計画→監視・コントロール

用語

WBS
プロジェクトの成果物と作業を階層的に分解して構造化する手法(Work Breakdown Structure)。作業の抜け漏れを防ぎ、見積もりや担当割当ての単位を明確にする。
ガントチャート
縦に作業項目、横に時間をとり、各作業の開始・終了予定を横棒で表すスケジュール管理図。進捗の見える化に適するが、作業間の依存関係の表現は苦手。
クリティカルパス
作業の依存関係のネットワークで、開始から完了までの所要日数が最長となる経路。この経路上の作業に余裕はなく、遅れは直ちにプロジェクト全体の遅れとなる。
ファンクションポイント法
入出力や内部ファイルなどシステムの機能の数と複雑さからソフトウェアの規模を見積もる手法。プログラム行数(LOC)によらず早い段階で見積もれる。
EVM
出来高(アーンドバリュー)を基準に、進捗とコストを統合して定量的に管理する手法(Earned Value Management)。計画値・出来高・実コストを比較して差異を把握する。
変更管理委員会(CCB)
要件や仕様の変更要求について、影響を評価し承認・却下を判断する組織(Change Control Board)。無秩序な変更によるスケジュール・品質への悪影響を防ぐ。

例題

例題:クリティカルパス上の作業が1日遅れたら?
答えと考え方 経路に余裕(フロート)がないため、プロジェクト全体の完了も1日遅れる。
例題:仕様変更の要望はどう扱う?
答えと考え方 変更管理の手続きに載せ、影響を評価したうえで変更管理委員会(CCB)が承認可否を判断する。

出典・根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)第7章 情報システムの開発(GIO 7.2 プロジェクト管理)

4. 運用管理と仮想化・最近の情報技術

稼働後のシステムはITILなどの枠組みでサービスとして管理する。SLA・稼働率などの指標に加え、仮想化・クラウド、Society5.0・IoT・AIといった新しい技術の概念を押さえる。

稼働後の情報システムは、サービスマネジメントの考え方で運用管理する。ITシステム運用のベストプラクティス集がITIL(Information Technology Infrastructure Library)であり、障害管理・性能管理・資源管理・セキュリティ管理などの管理活動や、利用者窓口となるサービスデスクの運営が整理されている。提供者と利用者の間では、サービスの品質水準(稼働率や復旧時間など)をSLA(Service Level Agreement)として合意する。障害の発生時は、障害の種類の切り分けと障害回復手順に従った復旧、障害報告書による記録・再発防止を行い、要件や構成の変更は変更管理の手続きで統制する。

性能管理・信頼性の指標として、MTBF(平均故障間隔:故障から次の故障までの平均稼働時間)、MTTR(平均修理時間)、稼働率=MTBF÷(MTBF+MTTR)がある。将来の利用量増加を見込んでサーバやネットワークの容量を計画的に確保する活動がキャパシティ管理である。事業継続の観点では、バックアップ計画・復旧計画を含むBCP(事業継続計画)を整備する。

仮想化技術は、1台の物理サーバ上で複数の仮想サーバ(仮想マシン)を動かすなど、ハードウェアを論理的に分割・統合する技術である。サーバの集約により資源の利用効率が上がり、構成変更や復旧も柔軟になる。クラウドサービスは、ネットワーク経由で計算資源やソフトウェアを利用する形態で、提供範囲により、サーバ・ストレージなどの基盤を提供するIaaS、アプリケーションの実行環境まで提供するPaaS、アプリケーションそのものを提供するSaaSに大別される。アプリケーションを軽量な実行環境ごとまとめて動かすコンテナ技術も仮想化の一種として使われる。

最近の情報技術として、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させ、経済発展と社会的課題の解決を両立する社会を目指す構想がSociety5.0である。IoT(Internet of Things)は、センサーなどを備えた多様なモノがネットワークにつながり、データを収集・活用する仕組みで、機器同士が直接通信するM2Mとともに医療機器やバイタル計測にも応用が広がる。VR(仮想現実)は仮想空間への没入体験を、AR(拡張現実)は現実の風景に情報を重ねる表現を提供する。AI(人工知能)の中核技術である機械学習には、正解ラベル付きデータから学ぶ教師あり学習と、正解を与えずデータの構造を見いだす教師なし学習があり、医療分野でも画像診断支援などへの応用が進んでいる。

クラウドサービスの提供形態(IaaS/PaaS/SaaS)
形態提供される範囲利用者が用意・管理するもの
IaaSサーバ・ストレージ・ネットワークなどの基盤OS・ミドルウェア・アプリケーション
PaaS基盤に加えてアプリケーションの実行環境アプリケーションとデータ
SaaSアプリケーション(ソフトウェア)そのもの利用するデータと設定

用語

SLA
サービス提供者と利用者が、稼働率・障害復旧時間などサービス品質の水準を合意した契約・文書(Service Level Agreement)。運用管理の評価基準となる。
ITIL
ITサービスの運用管理のベストプラクティスを体系化した文書群。障害管理・変更管理・サービスデスクなど、サービスマネジメントの枠組みとして広く参照される。
稼働率
システムが正常に使えた時間の割合。MTBF(平均故障間隔)とMTTR(平均修理時間)から、稼働率=MTBF÷(MTBF+MTTR)で求められる信頼性の指標。
キャパシティ管理
将来の利用量・データ量の増加を予測し、サーバやネットワークなどの資源の容量を計画的に確保・増強していく管理活動。性能低下や容量不足を未然に防ぐ。
IaaS/PaaS/SaaS
クラウドサービスの提供形態の分類。IaaSはサーバなどの基盤、PaaSはアプリケーションの実行環境、SaaSはアプリケーションそのものをネットワーク経由で提供する。
Society5.0
サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会を目指す、日本が提唱する構想。
IoT
センサーなどを備えた多様なモノがインターネットにつながり、データを収集・活用する仕組み(Internet of Things)。機器同士が直接通信するM2Mと併せて語られる。
機械学習
データからルールやパターンをコンピュータ自身に学習させるAIの中核技術。正解付きデータで学ぶ教師あり学習と、正解を与えない教師なし学習に大別される。

例題

例題:MTBF=570時間、MTTR=30時間のシステムの稼働率は?
答えと考え方 570÷(570+30)=0.95。稼働率はMTBF÷(MTBF+MTTR)で求める。
例題:電子メールサービスをそのままネット経由で使う形態は?
答えと考え方 アプリケーションそのものの提供なのでSaaSに当たる。

出典・根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)第8章 情報システムの運用と管理(GIO 8.1)・第9章 最近の情報技術と情報サービス

確認問題(30問)

四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。

問1|開発モデル

ウォータフォールモデルの説明として適切なのはどれか。

  1. 短い期間の反復で動くソフトウェアを少しずつ作り上げ、仕様の変更に柔軟に対応する
  2. 開発の早期に試作品を作り、利用者に確認してもらいながら要求を固める
  3. 要求分析から運用・保守までの工程を上流から順に進め、原則として前の工程に戻らない
  4. 既存のサービスを組み合わせて新しいサービスを作る
正解と解説
正解:C. 要求分析から運用・保守までの工程を上流から順に進め、原則として前の工程に戻らない

ウォータフォールモデルは、工程を滝のように上流から下流へ順に進め、各工程の成果物を確定させてから次へ進む開発モデルである。短い反復で作るのはアジャイル開発、試作品で要求を固めるのはプロトタイピングモデル、既存サービスの組み合わせはマッシュアップの説明である。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.1.2(プロセスモデル)

問2|プロトタイプ

プロトタイピングモデルを採用する主な目的として適切なのはどれか。

  1. 開発の早い段階で試作品を利用者に確認してもらい、要求のあいまいさや認識のずれを解消する
  2. 作成するプログラムの行数を減らすことによって、開発にかかるコストと工数を大きく下げること
  3. テスト工程を省略することによって、開発の納期を大幅に短縮する
  4. 運用を開始した後の保守作業を不要にし、修正が発生しないようにする
正解と解説
正解:A. 開発の早い段階で試作品を利用者に確認してもらい、要求のあいまいさや認識のずれを解消する

プロトタイピングモデルは、早期に試作品(プロトタイプ)を作って利用者に触れてもらうことで、要求のあいまいさや発注者と開発者の認識のずれを早い段階で解消することを目的とする。行数の削減が目的ではなく、テストの省略や保守の不要化を実現するものでもない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.1.2(プロセスモデル:プロトタイピングモデル)

問3|アジャイル

アジャイル開発の特徴として最も適切なのはどれか。

  1. すべての要件を確定させてから、一括して設計と開発を行う
  2. 短い期間の反復で動くソフトウェアを少しずつ作り、仕様変更に柔軟に対応する
  3. 利用者は納品時の受け入れテストでのみ関与し、途中には関わらない
  4. 設計書をすべて完成させて承認を得るまでは、プログラミングを一切開始しない
正解と解説
正解:B. 短い期間の反復で動くソフトウェアを少しずつ作り、仕様変更に柔軟に対応する

アジャイル開発は、短い反復のたびに動くソフトウェアを積み上げ、仕様変更を前提に柔軟に対応する開発の考え方で、スクラムやXPが代表的手法である。要件をすべて確定してから一括開発する、ドキュメントを完成させてから着手する、利用者の関与が最後だけ、というのはウォータフォール型の進め方に近く、アジャイルの特徴ではない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.1.2(プロセスモデル:アジャイル)

問4|スプリント

スクラムにおけるスプリントの説明として適切なのはどれか。

  1. システム全体の要件を定義する、開発の最初の工程
  2. 納品の前に発注者が業務の観点で行う、最終の受け入れテストの期間
  3. 見つかったプログラムの誤りを一括して修正する期間
  4. 計画・開発・振り返りを繰り返す、開発の単位となる短い固定期間
正解と解説
正解:D. 計画・開発・振り返りを繰り返す、開発の単位となる短い固定期間

スプリントはスクラムにおける開発の単位となる短い固定期間で、期間ごとに計画を立てて開発し、動くソフトウェアを作って振り返りを行うサイクルを繰り返す。要件定義の工程や受け入れテストの期間を指す用語ではなく、誤り修正だけを行う期間でもない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.1.2(プロセスモデル:スクラム、スプリント)

問5|後戻りコスト

ウォータフォールモデルの欠点として最も適切なのはどれか。

  1. テスト段階など後工程で要件の誤りが見つかると、手戻りのコストが大きい
  2. 工程ごとに成果物が作られないため、開発全体の進捗を把握することができない
  3. 小規模な開発にしか適用できず、大規模開発には向かない
  4. 利用者の要求を文書化できず、仕様書として残せない
正解と解説
正解:A. テスト段階など後工程で要件の誤りが見つかると、手戻りのコストが大きい

ウォータフォールモデルは後戻りしない前提で進めるため、下流のテスト段階で要件や設計の誤りが発覚すると、上流に戻ってやり直す手戻りコストが非常に大きい。工程ごとに仕様書・設計書という成果物を確定させるので進捗把握はむしろ得意であり、大規模開発に向くモデルである。要求の文書化ができないわけでもない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.1.2(プロセスモデル:ウォータフォールモデル)

問6|反復型開発

システムを機能単位に分割し、段階的に開発・リリースを重ねていく開発モデルはどれか。

  1. ウォータフォールモデル
  2. 構造化分析手法
  3. インクリメンタルモデル
  4. マッシュアップ
正解と解説
正解:C. インクリメンタルモデル

インクリメンタルモデルは、システムを機能単位に分割して段階的に開発・リリースを積み重ねるモデルで、反復型開発モデルと並び早期から一部機能を利用できる利点がある。ウォータフォールは全体を一括で順に開発するモデル、構造化分析手法はDFDなどによる分析手法、マッシュアップは既存サービスの組み合わせであり、いずれも該当しない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.1.2(プロセスモデル:インクリメンタルモデル、反復型開発モデル)

問7|開発工程

情報システム開発の工程の順序として適切なのはどれか。

  1. 外部設計→要求分析→プログラミング→内部設計→テスト
  2. 要求分析→外部設計→内部設計→プログラミング→テスト
  3. 要求分析→テスト→外部設計→内部設計→プログラミング
  4. 内部設計→外部設計→要求分析→プログラミング→テスト
正解と解説
正解:B. 要求分析→外部設計→内部設計→プログラミング→テスト

開発は、利用者の要求を整理する要求分析から始まり、利用者から見える部分の外部設計、内部の実現方式の内部設計、プログラミング、テストへと進むのが基本の順序である。要求分析より先に設計を行う順序や、プログラミングの前にテストが来る順序は、成果物の依存関係からみて成り立たない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.1.1(情報システムのライフサイクル)

問8|外部設計

外部設計で行う作業として最も適切なのはどれか。

  1. プログラム内部のアルゴリズムの決定
  2. データベースの物理的な格納方式や索引の決定
  3. モジュール単体の動作確認
  4. 画面や帳票など利用者から見える部分の設計
正解と解説
正解:D. 画面や帳票など利用者から見える部分の設計

外部設計では、画面仕様・帳票仕様・他システムとのインターフェースなど、利用者や外部から見える部分を設計する。内部のアルゴリズムや物理的な格納方式の決定は内部設計・プログラム設計の作業であり、モジュール単体の動作確認は単体テストの作業である。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.1.1(情報システムのライフサイクル:外部設計・内部設計)

問9|単体テスト

単体テストの説明として適切なのはどれか。

  1. モジュール(プログラム部品)ごとに、設計どおり動作するかを確認するテスト
  2. 複数のモジュールを組み合わせて、モジュール間のインターフェースを確認するテスト
  3. 発注者が業務の観点で検収の可否を判断するテスト
  4. システム全体に高い負荷をかけて性能を確認するテスト
正解と解説
正解:A. モジュール(プログラム部品)ごとに、設計どおり動作するかを確認するテスト

単体テストは、モジュール単位で詳細な設計どおりに動作するかを確認する、テスト工程の最初の段階である。モジュールを組み合わせてインターフェースを確認するのは統合テスト(結合テスト)、発注者による検収は受け入れテスト、高負荷での性能確認は負荷テスト・性能テストの説明である。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.1.3(テストの種類と手法:単体テスト)

問10|テストの順序

テスト工程を実施する順序として適切なのはどれか。

  1. システムテスト→単体テスト→統合テスト→受け入れテスト
  2. 受け入れテスト→システムテスト→統合テスト→単体テスト
  3. 単体テスト→統合テスト→システムテスト→受け入れテスト
  4. 統合テスト→単体テスト→受け入れテスト→システムテスト
正解と解説
正解:C. 単体テスト→統合テスト→システムテスト→受け入れテスト

テストは小さい単位から積み上げる。まずモジュールごとの単体テスト、次にモジュールを組み合わせる統合テスト、システム全体を確認するシステムテスト、最後に発注者・利用者による受け入れテストの順で行う。全体の確認や検収を先に行う順序では、部品の欠陥が混在したまま上位のテストをすることになり合理的でない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.1.3(テストの種類と手法)

問11|受入テスト

受け入れテストの説明として適切なのはどれか。

  1. 開発者がモジュールの内部ロジックを確認する単体のテスト
  2. 発注者・利用者側が、実際の業務で使えるかを確認して検収の可否を判断するテスト
  3. プログラムを実行せずに、開発者がソースコードを机上でレビューして確認するテスト
  4. 開発環境でモジュール間の接続や連携を確認するテスト
正解と解説
正解:B. 発注者・利用者側が、実際の業務で使えるかを確認して検収の可否を判断するテスト

受け入れテストは、納品されるシステムを発注者・利用者側が業務の観点で確認し、検収の可否を判断する最終段階のテストである。内部ロジックの確認は開発者が行う単体テスト(ホワイトボックステスト)、実行せずに確認するのは静的テスト、モジュール間の接続確認は統合テストであり、いずれも受け入れテストの説明ではない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.1.3(テストの種類と手法:受け入れテスト)

問12|テスト技法

プログラムの内部構造を考慮せず、入力に対する出力が仕様どおりかだけを確認するテスト技法はどれか。

  1. ホワイトボックステスト
  2. 静的テスト
  3. 回帰テスト
  4. ブラックボックステスト
正解と解説
正解:D. ブラックボックステスト

ブラックボックステストは、プログラム内部を「黒い箱」とみなし、入力と出力の関係が仕様どおりかだけで確認する技法である。ホワイトボックステストは内部の分岐や経路の網羅を意識する技法、静的テストはプログラムを実行せずレビュー等で確認する方法で、回帰テストは修正の影響で他が壊れていないかを確認するテストである。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.1.3(テストの種類と手法:ブラックボックステスト)

問13|負荷テスト

外来受付の時間帯を想定し、多数の端末から同時にアクセスした状態でシステムが耐えられるかを確認するテストはどれか。

  1. 負荷テスト
  2. 単体テスト
  3. 静的テスト
  4. ホワイトボックステスト
正解と解説
正解:A. 負荷テスト

多数の同時アクセスや大量データという高い負荷をかけて、システムが耐えられるか・性能が保たれるかを確認するのは負荷テストで、応答時間などを確認する性能テストとともにシステムテスト段階で行われる。単体テストはモジュール単位の確認、静的テストは実行せずに行う確認、ホワイトボックステストは内部構造に着目する技法である。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.1.3(テストの種類と手法:負荷テスト、性能テスト)

問14|要件定義書

システム開発のドキュメントのうち、システムが実現すべき機能・性能を発注者と開発者が合意した文書はどれか。

  1. 操作マニュアル
  2. 要件定義書
  3. 単体テスト成績書
  4. ネットワーク構成図
正解と解説
正解:B. 要件定義書

要件定義書は、要求分析の成果としてシステムが実現すべき機能・性能・制約をまとめ、発注者と開発者が合意する文書で、以後の設計・テスト・検収の基準となる。操作マニュアルは利用者向けの使い方の文書、単体テスト成績書はテスト結果の記録、ネットワーク構成図は構成を示す設計系の図であり、合意の基準となる文書ではない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.3.4(開発関連ドキュメントの種類:要件定義書)

問15|WBS

WBS(Work Breakdown Structure)の説明として適切なのはどれか。

  1. 作業ごとの開始日と終了日を横棒で表した日程の図
  2. 出来高を基準として、作業の進捗とコストをあわせて管理する手法
  3. プロジェクトの成果物と作業を階層的に分解して構造化したもの
  4. リスクの発生確率と影響度を評価して対応を決める手法
正解と解説
正解:C. プロジェクトの成果物と作業を階層的に分解して構造化したもの

WBSは、プロジェクトの成果物とそれに必要な作業を階層的に分解して構造化する手法で、作業の抜け漏れを防ぎ、見積もりや担当割当ての単位を明確にする。日程を横棒で表すのはガントチャート、出来高による管理はEVM、リスクの評価はリスク分析の説明である。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.2.2(プロジェクト管理の理論と手法:WBS)

問16|ガント図

縦に作業項目、横に時間をとり、各作業の開始・終了予定を横棒で表すスケジュール管理の図はどれか。

  1. ガントチャート
  2. データフロー図
  3. E-R図
  4. ユースケース図
正解と解説
正解:A. ガントチャート

ガントチャートは、作業項目ごとの開始・終了予定を横棒で表す図で、スケジュールと進捗の見える化に広く使われる。データフロー図はデータの流れ、E-R図はエンティティ間の関係、ユースケース図はシステムと利用者のやり取りを表す図であり、日程管理のための図ではない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.2.2(プロジェクト管理の理論と手法:ガントチャート)

問17|CP計算1

あるプロジェクトの作業と所要日数は、A(3日)、B(5日)、C(4日)、D(4日)、E(6日)、F(2日)である。Bは Aの完了後、Cも Aの完了後に開始でき、Dは Bの完了後、Eは Cの完了後、Fは DとEの両方の完了後に開始できる。プロジェクト完了までの最短所要日数は何日か。

  1. 12日
  2. 13日
  3. 14日
  4. 15日
正解と解説
正解:D. 15日

経路はA→B→D→F(3+5+4+2=14日)とA→C→E→F(3+4+6+2=15日)の2つで、Fは両経路の完了を待つため、全体の最短所要日数は長いほうの15日となる。この最長経路A→C→E→Fがクリティカルパスである。14日はA→B→D→F側だけを見た値であり、12日・13日はどの経路の合計にも一致しない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.2.2(プロジェクト管理の理論と手法:クリティカルパス)

問18|CP計算2

作業A(2日)、B(4日)、C(6日)、D(3日)、E(4日)、F(1日)からなるプロジェクトがある。BとCは Aの完了後、Dは BとCの両方の完了後、Eは Cの完了後、Fは DとEの両方の完了後に開始できる。クリティカルパスの所要日数は何日か。

  1. 10日
  2. 12日
  3. 13日
  4. 14日
正解と解説
正解:C. 13日

経路はA→B→D→F(2+4+3+1=10日)、A→C→D→F(2+6+3+1=12日)、A→C→E→F(2+6+4+1=13日)の3つで、最長のA→C→E→F=13日がクリティカルパスとなる。10日・12日は他の経路の合計であり、14日はどの経路にも一致しない。クリティカルパス上の作業(A・C・E・F)の遅れは、そのまま全体の遅れになる。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.2.2(プロジェクト管理の理論と手法:クリティカルパス)

問19|FP法

入出力や内部ファイルなど、システムの機能の数と複雑さからソフトウェアの規模を見積もる手法はどれか。

  1. LOC(プログラム行数)による見積もり
  2. ファンクションポイント法
  3. デルファイ法
  4. KJ法
正解と解説
正解:B. ファンクションポイント法

ファンクションポイント法は、入出力・照会・内部ファイルなどの機能の数と複雑さを点数化してソフトウェアの規模を見積もる手法で、プログラム行数によらず開発の早い段階で見積もれる。LOCは行数に基づく別の見積もり尺度、デルファイ法は専門家への反復アンケートで意見を収束させる手法、KJ法は情報をカードで整理・グループ化する発想法である。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.2.2(プロジェクト管理の理論と手法:ファンクションポイント法)

問20|リスク管理

プロジェクトのリスクマネジメントの進め方として適切な順序はどれか。

  1. リスク識別→リスク分析→リスク対応計画→リスクの監視・コントロール
  2. リスク対応計画→リスク識別→リスク分析→リスクの監視・コントロール
  3. リスクの監視・コントロール→リスク対応計画→リスク識別→リスク分析
  4. リスク分析→リスクの監視・コントロール→リスク識別→リスク対応計画
正解と解説
正解:A. リスク識別→リスク分析→リスク対応計画→リスクの監視・コントロール

リスクマネジメントは、まずリスクを洗い出すリスク識別、次に発生確率や影響度を評価するリスク分析(定性的・定量的)、対応策を決めるリスク対応計画、実行中に状況を追うリスクの監視・コントロールの順で進める。識別より前に対応計画や監視を行う順序は、対象となるリスクが定まっておらず成り立たない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.2.2(リスクマネジメント計画、リスク識別、リスク分析、リスク対応計画、リスクの監視・コントロール)

問21|変更管理

システム開発中に発生した仕様変更の要望への対応として最も適切なのはどれか。

  1. 納期の遵守を最優先し、寄せられた変更要望はすべて断ることにする
  2. 現場からの要望であるため、影響の評価も記録も行わないまま、その場ですべて受け入れて対応する
  3. 担当プログラマの判断で、その場でプログラムを修正して対応する
  4. 変更管理の手続きに載せ、影響を評価したうえで変更管理委員会(CCB)が承認可否を判断する
正解と解説
正解:D. 変更管理の手続きに載せ、影響を評価したうえで変更管理委員会(CCB)が承認可否を判断する

仕様変更は変更管理の手続きに従い、スケジュール・コスト・品質への影響を評価したうえで、変更管理委員会(CCB)が承認・却下を判断する。無条件の受け入れは納期遅延や品質低下を招き、全件拒否は必要な変更まで失う。担当者がその場で修正する運用は構成や文書との不整合を生み、統制が失われる。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.2.1(プロジェクト管理の概要:変更管理、変更管理委員会(CCB))

問22|利害関係者

プロジェクト管理におけるステークホルダの説明として適切なのはどれか。

  1. プロジェクトの作業日程を横棒で示した図表
  2. プロジェクトに利害関係をもつ個人や組織
  3. 作業を階層的に分解した構造
  4. プロジェクトのリスクの一覧
正解と解説
正解:B. プロジェクトに利害関係をもつ個人や組織

ステークホルダは、発注者・利用者・開発者・経営層など、プロジェクトの結果に利害関係をもつ個人や組織の総称で、その期待の把握と調整はプロジェクト管理の重要な活動である。日程の図はガントチャート、階層的な作業分解はWBS、リスクの一覧はリスク登録簿に当たる。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.2.1(プロジェクト管理の概要:ステークホルダ)

問23|SLA

SLA(Service Level Agreement)の説明として適切なのはどれか。

  1. ソフトウェアの著作権を保護し、その利用の範囲や条件を定める使用許諾の契約である
  2. 開発プロジェクトの成果物と作業を階層的に分解した作業分解図
  3. ハードウェアを一定期間借りて使用するリース契約
  4. サービス提供者と利用者が、稼働率などサービス品質の水準について合意したもの
正解と解説
正解:D. サービス提供者と利用者が、稼働率などサービス品質の水準について合意したもの

SLAは、サービスの提供者と利用者の間で、稼働率・障害復旧時間・サポート時間帯などサービス品質の水準を合意する取り決めで、運用サービスの評価基準となる。著作権の保護はライセンス契約、作業分解図はWBS、機器の借用はリース契約の説明であり、いずれもSLAではない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 8.1.1(システム管理:SLA)

問24|ITIL

ITILの説明として適切なのはどれか。

  1. ITサービスの運用管理のベストプラクティスを体系化した文書群
  2. プログラミング言語の文法や記述の方法を定めた国際的な規格である
  3. データベースの表を分割するための正規化の理論
  4. 無線LANの通信方式について定めた規格
正解と解説
正解:A. ITサービスの運用管理のベストプラクティスを体系化した文書群

ITIL(Information Technology Infrastructure Library)は、ITサービスの運用管理に関するベストプラクティスを体系化した文書群で、障害管理・変更管理・サービスデスクなどサービスマネジメントの枠組みとして広く参照される。プログラミング言語の規格、正規化理論、無線LAN規格はいずれも別分野の内容である。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 8.1.1(システム管理:ITIL)

問25|稼働率

MTBFが570時間、MTTRが30時間のシステムの稼働率はどれか。

  1. 0.90
  2. 0.93
  3. 0.95
  4. 0.98
正解と解説
正解:C. 0.95

稼働率はMTBF÷(MTBF+MTTR)で求める。570÷(570+30)=570÷600=0.95となる。MTBFは故障から次の故障までの平均稼働時間、MTTRは修理に要する平均時間である。0.90や0.98は分母や分子を取り違えた場合にも一致せず、0.93も計算に合わない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 8.1.5(性能管理:MTBF、MTTR、稼働率)

問26|キャパシティ

キャパシティ管理の説明として適切なのはどれか。

  1. 障害が発生したときの連絡体制と復旧の手順を、平時からあらかじめ定めておく活動
  2. 利用者のパスワードを定期的に変更させ、強度を保つ活動
  3. 将来の利用量の増加を予測し、サーバやネットワークの容量を計画的に確保する活動
  4. ソフトウェアのライセンス数を把握し、過不足を管理する活動
正解と解説
正解:C. 将来の利用量の増加を予測し、サーバやネットワークの容量を計画的に確保する活動

キャパシティ管理は、データ量やアクセス数など将来の利用量を予測し、サーバ・ストレージ・ネットワークの容量を計画的に確保・増強して、性能低下や容量不足を未然に防ぐ管理活動である。障害時の連絡体制は障害管理・緊急時対応、パスワードの管理はユーザ管理、ライセンス数の管理はソフトウェア資源管理の内容である。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 8.1.5(性能管理:キャパシティ管理)

問27|仮想化

サーバ仮想化の説明として適切なのはどれか。

  1. 1台の物理サーバ上で複数の仮想サーバ(仮想マシン)を動作させる技術
  2. サーバを物理的に複数の部屋やデータセンタに分散して設置しておくこと
  3. サーバの筐体を小型化して設置面積を減らす技術
  4. サーバのデータをすべて紙に印刷して保管すること
正解と解説
正解:A. 1台の物理サーバ上で複数の仮想サーバ(仮想マシン)を動作させる技術

サーバ仮想化は、仮想化ソフトウェアにより1台の物理サーバ上で複数の仮想マシンを動かす技術で、サーバの集約による資源の利用効率向上や、構成変更・復旧の柔軟性が得られる。物理的な分散設置や筐体の小型化はハードウェアの話であり、紙での保管は仮想化と無関係である。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 2.1.2(仮想化技術)・第9章 最近の情報技術と情報サービス

問28|SaaS

クラウドサービスのうち、電子メールやグループウェアなどのアプリケーションそのものをネットワーク経由で提供する形態はどれか。

  1. IaaS
  2. オンプレミス
  3. SaaS
  4. PaaS
正解と解説
正解:C. SaaS

SaaS(Software as a Service)は、アプリケーションそのものをネットワーク経由でサービスとして提供する形態で、利用者はソフトウェアを導入せずに使える。IaaSはサーバなどの基盤、PaaSはアプリケーションの実行環境までを提供する形態であり、オンプレミスは自組織内に設備を持って運用する形態でクラウドの提供形態ではない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)第9章 最近の情報技術と情報サービス・SBO 3.1.4(クラウドサービス)

問29|Society5.0

Society5.0の説明として最も適切なのはどれか。

  1. 利用者が見ている現実の風景にコンピュータで作り出した情報を重ねて表示し、現実の世界を拡張して見せる技術
  2. 多数のコンピュータに計算を分担させ、全体として高い処理能力を得る方式
  3. プロジェクトマネジメントの知識を体系としてまとめた知識体系
  4. サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させ、経済発展と社会的課題の解決を両立する社会を目指す構想
正解と解説
正解:D. サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させ、経済発展と社会的課題の解決を両立する社会を目指す構想

Society5.0は、IoTなどで現実世界のデータをサイバー空間に集めて分析し、その結果を現実世界に還元するという、サイバー空間とフィジカル空間の高度な融合により経済発展と社会的課題の解決を両立する社会を目指す構想である。現実に情報を重ねる技術はAR、計算の分担は分散処理、開発管理の知識体系はPMBOKの説明である。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)第9章 最近の情報技術と情報サービス(Society5.0、IoT)

問30|機械学習

機械学習における教師あり学習の説明として適切なのはどれか。

  1. 正解を与えずに、データのグループ分けなどの構造をコンピュータ自身に見いださせる学習
  2. 講師が受講者に操作方法を教えるユーザ教育
  3. 乱数によってランダムに出力を生成する処理
  4. 正解(ラベル)付きのデータを使って、入力から正解を予測するモデルを学習させる方法
正解と解説
正解:D. 正解(ラベル)付きのデータを使って、入力から正解を予測するモデルを学習させる方法

教師あり学習は、正解ラベル付きのデータを与えて入力から正解を予測するモデルを学習させる方法で、画像の分類や数値の予測に使われる。正解を与えずデータの構造やグループを見いださせるのは教師なし学習である。人に対するユーザ教育は機械学習ではなく、乱数によるランダムな出力生成も学習とは関係がない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 4.4.1(データの収集:機械学習、教師あり学習、教師なし学習、人工知能(AI))・第9章 最近の情報技術と情報サービス

演習:この章の問題を解く

ランダム出題の演習ツールです(JavaScript が有効な場合に動きます)。上の「確認問題」はそのままでもすべて読めます。

※ 解説は学習用の情報提供です。医療上の助言ではありません。最新の試験実施要項は医療情報技師育成部会の公式発表をご確認ください。
※ 出題は日本医療情報学会 医療情報技師育成部会が公開する「医療情報技師 到達目標」(v7・GIO/SBO/キーワード)に沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題です。医療上の助言ではありません。合格基準は非公開のため、本サイトの到達度は独自の目安です。試験の実施要項は育成部会の公式発表をご確認ください。