医療情報技師 HEALTHCARE INFORMATION TECHNOLOGIST
医療情報の特性と情報化
講義 3 本・確認問題 25 問 | 本試験では「医療情報システム系」(60問)の一部 | 最終更新 2026-09-24
この章で学ぶこと- 医療の情報化の意義・目的・変遷・課題と、データヘルス改革や医療DXなど行政の施策を学ぶ。
- 医療情報の種類、診療情報の特徴(多層性・連続性・機微性・保存の法的条件)、一次利用と二次利用、EHRとPHRを学ぶ。
- 個人情報とプライバシー、医療情報を扱う者の倫理と責務、診療記録を電子化する意義と課題を学ぶ。
1. 医療分野の情報化と行政の施策
医療の情報化の意義・目的・変遷・課題と、データヘルス改革や医療DXなど行政の施策を学ぶ。
医療分野の情報化は、医療安全の向上、医療の質の向上、患者サービスの向上、日常業務の効果・効率の向上、医療機関における収益の向上や業務の継続を目的として進められてきた。さらに、医療・福祉・健康・介護等の機関の連携、個人の健康管理、全国規模の医療データベースの構築とその利活用へと目的が広がっている。
わが国では1970年代に診療報酬請求を担う医事会計システムが導入され、1980年代に医師の指示を各部門に伝達するオーダエントリシステムが普及し始めた。1999年に旧厚生省の通知「診療録等の電子媒体による保存について」により、真正性・見読性・保存性の3条件(電子保存の三原則)を満たせば診療録の電子保存が認められ、電子カルテシステムが普及していった。
情報化の課題には、システム間の相互運用性や標準化の不足といった技術的課題、システム障害時の代替運用や入力負担などの運用の課題、医療情報に詳しい人材の不足・育成といった人的課題がある。
行政の施策として、厚生労働省はデータヘルス改革を進め、健康・医療・介護のデータ利活用基盤の整備やPHRの推進を図ってきた。政府は医療DX推進本部を設け、「医療DX令和ビジョン2030」では全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化等、診療報酬改定DXが3本柱とされた。マイナンバーカードによるオンライン資格確認は2023年4月から保険医療機関・薬局に原則義務化され、電子処方箋の運用も2023年に始まった。レセプト情報等を集めたNDBのような全国規模のデータベースも医療政策の立案・検証に利活用されている。
医療の情報化の主な変遷| 年代 | 主な出来事 |
|---|
| 1970年代 | 医事会計システムの導入が始まる |
| 1980年代 | オーダエントリシステムの普及が始まる |
| 1999年 | 通知により診療録等の電子保存が認められる(真正性・見読性・保存性) |
| 2000年代以降 | 電子カルテの普及、地域医療連携、データヘルス改革 |
| 2020年代 | オンライン資格確認の原則義務化(2023年4月)、電子処方箋、医療DXの推進 |
用語
- 医事会計システム
- 診療報酬の計算や請求書・レセプトの作成を担うシステム。わが国の病院情報システムの中で最も早く、1970年代から導入が進んだ。
- 電子保存の三原則
- 診療録等を電子的に保存する際に求められる真正性・見読性・保存性の3条件。1999年の通知で、この条件を満たせば診療録の電子保存が認められた。
- データヘルス改革
- 厚生労働省が推進する、健康・医療・介護分野のデータ利活用に関する改革。データ利活用基盤の整備、PHRの推進、医療情報の標準化などに取り組む。
- 医療DX
- 医療分野のデジタルトランスフォーメーション。「医療DX令和ビジョン2030」では全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化等、診療報酬改定DXが3本柱とされている。
- オンライン資格確認
- マイナンバーカード等を用いて、患者の医療保険の資格情報をオンラインで確認する仕組み。2023年4月から保険医療機関・薬局に導入が原則義務化された。
- 電子処方箋
- 処方箋を電子的に発行・運用する仕組み。複数の医療機関・薬局の処方・調剤情報をふまえた重複投薬や併用禁忌のチェックに活用できる。2023年1月に運用が開始された。
- NDB
- レセプト情報・特定健診等情報データベース。全国のレセプト情報や特定健診等の情報を国が収集したもので、医療政策の立案・検証や研究に利活用される。
例題
例題:わが国の病院情報システムはどのような順で発展してきたか。
答えと考え方 医事会計システム(1970年代)→オーダエントリシステム(1980年代)→電子カルテシステム(1999年の電子保存容認以降)の順に発展した。
出典・根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.1.1〜1.1.5(医療分野の情報化の意義・目的・変遷・課題・行政の施策)
2. 医療情報の種類と特性・利用
医療情報の種類、診療情報の特徴(多層性・連続性・機微性・保存の法的条件)、一次利用と二次利用、EHRとPHRを学ぶ。
医療情報には、機能的情報・形態的情報・病因的情報・症候的情報などの生体情報、患者の訴えなどの主観的情報と検査値などの客観的情報、診断・治療・予後の判断のための情報がある。また、医療施設に関する情報、地域レベル・国レベルの情報、体系化された知識まで多様なレベルの情報が含まれる。
診療情報は、コード情報・数値情報・音情報・テキスト情報・概念情報・図形情報・波形情報・画像情報など多様な形態をとる。その特徴として、事実の記録に所見や診断などの解釈が積み重なる内容の多層性、時間を追って蓄積される内容の連続性、他人に知られたくない度合いが高い高い機微性がある。また保存には法的条件があり、診療録は医師法により5年間、診療に関する諸記録は医療法(施行規則)により2年間の保存が求められる。
医療情報の利用は、診療目的の利用や診断書など医療行為の公的書類作成のための利用である一次利用と、病院経営管理のための利用、医療政策の立案・検証、医学研究、医学教育などへの社会的利用である二次利用に分けられる。
電子的な健康記録として、医療機関等の枠を越えて個人の診療・健康情報を共有・活用するEHR(電子健康記録)と、個人が自らの健康・医療情報を管理・活用するPHR(個人健康記録)がある。
医療情報の一次利用と二次利用| 区分 | 内容 | 例 |
|---|
| 一次利用 | 診療目的の利用 | 診察時の検査結果参照、処方監査のための薬歴参照 |
| 一次利用 | 医療行為の公的書類作成 | 診断書・処方箋などの作成 |
| 二次利用 | 病院経営管理のための利用 | 経営分析、業務分析 |
| 二次利用 | 社会的利用 | 医療政策の立案・検証、医学研究、医学教育 |
用語
- 主観的情報
- 痛みや倦怠感の訴えなど、患者本人の感じ方に基づく情報。検査値や画像など測定により得られる客観的情報と対比される。
- 内容の多層性
- 診療情報が、検査値などの事実の記録の上に、所見・診断などの解釈が層をなして構成されるという特徴。
- 内容の連続性
- 診療情報が一時点で完結せず、経過とともに時間を追って継続的に記録・蓄積されるという特徴。
- 高い機微性
- 診療情報は病歴など他人に知られたくない度合いが高く、漏えいした場合に本人が受ける不利益が大きいという特徴。取り扱いには特に慎重さが求められる。
- 一次利用
- 医療情報を本来の目的である診療のために利用すること。診療のための参照のほか、診断書など医療行為の公的書類作成のための利用も含まれる。
- 二次利用
- 医療情報を診療以外の目的に利用すること。病院経営管理、医療政策の立案・検証、医学研究、医学教育などへの利用が該当する。
- EHR
- Electronic Health Record(電子健康記録)。医療機関等の枠を越えて、個人の診療情報・健康情報を共有・活用する仕組みや記録を指す。
- PHR
- Personal Health Record(個人健康記録)。個人が自らの健康・医療情報を収集・管理し、健康管理などに活用する仕組みや記録を指す。
例題
例題:診療録の保存期間は法律で何年と定められているか。
答えと考え方 医師法により5年間の保存が義務づけられている。なお診療に関する諸記録は医療法(施行規則)により2年間とされる。
出典・根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.2.1〜1.2.3(医療情報の種類・診療情報の特徴・一次利用と二次利用), SBO 1.3.1〜1.3.2(EHR・PHR)
3. 医療情報の倫理と診療記録の電子化
個人情報とプライバシー、医療情報を扱う者の倫理と責務、診療記録を電子化する意義と課題を学ぶ。
個人情報は、氏名や生年月日など特定の個人を識別できる情報を指す。プライバシーは、私生活をみだりに公開されない権利であり、今日では自己の情報の流れを自らコントロールする権利(自己情報コントロール権)としても捉えられる。両者は重なるが同じ概念ではない。
医療情報倫理の基礎には、自律尊重・善行・無危害・正義という倫理の基本原則がある。医療情報の利用者には、業務上必要な範囲に限って患者情報にアクセスし、知り得た情報を漏らさない守秘義務がある。診療で得た情報を研究などに二次利用する際は、原則として本人の同意を得るか、匿名化などの適切な措置を講じる必要がある。
医療情報担当者(システムの運用・管理にあたる者)は、管理者権限により多くの情報に触れうる立場にあるため、特に高い倫理が求められる。権限を業務目的以外に使わないこと、知り得た情報の守秘義務を退職後も含めて守ることなどが責務とされ、倫理綱領も定められている。
診療記録の電子化には、検索・集計が容易になる、複数の部署から同時に参照できる、保管スペースを削減できる、診療支援やデータの利活用につながるといった意義がある。一方で、導入・更新の費用負担、なりすましや改ざんへの対策、システム障害時の診療継続手順の整備、記載のコピー&ペーストによる記録の質の低下といった課題もある。
診療記録の電子化の意義と課題| 区分 | 内容 |
|---|
| 意義 | 記録の検索・集計が容易になる |
| 意義 | 複数の部署・職種から同時に参照できる |
| 意義 | 保管スペースの削減、診療支援・データ利活用につながる |
| 課題 | 導入・更新の費用負担が大きい |
| 課題 | なりすまし・改ざんへの対策、障害時の診療継続手順が必要 |
| 課題 | コピー&ペーストなどによる記録の質の低下が起こりうる |
用語
- 個人情報
- 生存する個人に関する情報で、氏名や生年月日などにより特定の個人を識別できるもの。医療分野では診療情報の多くが該当し、慎重な取り扱いが求められる。
- プライバシー
- 私生活をみだりに公開されない権利。今日では、自己に関する情報の流れを自らコントロールする権利(自己情報コントロール権)として捉える考え方が広まっている。
- 倫理の基本原則
- 自律尊重・善行・無危害・正義の4原則。医療倫理の基礎であり、医療情報の取り扱いにおいても患者の自己決定の尊重や不利益の防止などの指針となる。
- 守秘義務
- 業務上知り得た秘密を漏らしてはならない義務。医療情報を扱う者すべてに求められ、職を離れた後も継続する。
- 二次利用の同意
- 診療目的で得た医療情報を研究・教育などに利用する場合、原則として本人の同意を得るか、匿名化などの適切な措置を講じるという倫理的な取り扱いの原則。
- 医療情報担当者の倫理綱領
- 医療情報システムの運用・管理にあたる担当者に求められる倫理を示した綱領。権限の目的外利用の禁止や守秘義務など、担当者の責務を定めている。
例題
例題:システム管理者が管理者権限で興味本位に知人の診療記録を閲覧することは許されるか。
答えと考え方 許されない。権限は業務目的の範囲でのみ用い、業務上必要のない診療情報の閲覧は医療情報担当者の倫理・責務に反する。
出典・根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.4.1〜1.4.4(個人情報・プライバシー、医療情報倫理、利用者・担当者の倫理と責務), SBO 1.1.3・1.2.2(診療記録の電子化の変遷・特性)
確認問題(25問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|情報化の目的
医療分野の情報化の目的・期待される効果として適切でないのはどれか。
- 医療安全の向上と医療事故の防止
- 医療の質と患者サービスの向上
- 日常業務の効果・効率の向上と職員の負担軽減
- 診断に対する医師の責任をシステムに移すこと
正解と解説
正解:D. 診断に対する医師の責任をシステムに移すこと医療の情報化は医療安全の向上、医療の質・患者サービスの向上、業務の効率化、機関連携やデータ利活用などを目的とする。情報システムは診療を支援するものであり、診断の責任は依然として医師にあるため、責任をシステムに移すことは目的ではない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.1.2(医療の情報化の目的と期待される効果)
問2|HISの変遷
わが国の病院情報システムの発展の順序として正しいのはどれか。
- 医事会計システム → オーダエントリシステム → 電子カルテシステム
- オーダエントリシステム → 医事会計システム → 電子カルテシステム
- 電子カルテシステム → 医事会計システム → オーダエントリシステム
- 医事会計システム → 電子カルテシステム → オーダエントリシステム
正解と解説
正解:A. 医事会計システム → オーダエントリシステム → 電子カルテシステム1970年代に診療報酬請求を担う医事会計システムが導入され、1980年代にオーダエントリシステムが普及し、1999年に診療録の電子保存が認められて以降に電子カルテシステムが普及した。この順序が正しく、他の並びは歴史的経緯と合わない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.1.3(医療の情報化の変遷・病院情報システムの歴史)
問3|電子保存通知
1999年の通知により診療録等の電子保存に求められた3つの条件はどれか。
- 機密性・完全性・可用性
- 真正性・見読性・保存性
- 正確性・網羅性・追跡性
- 真正性・機密性・可用性
正解と解説
正解:B. 真正性・見読性・保存性1999年の旧厚生省通知「診療録等の電子媒体による保存について」では、真正性・見読性・保存性の3条件(電子保存の三原則)を満たすことを条件に診療録等の電子保存が認められた。機密性・完全性・可用性は情報セキュリティの3要素であり、この通知の3条件ではない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.1.3(診療記録の電子化の変遷)
問4|情報化の課題
医療の情報化の課題のうち「人的課題」に該当するのはどれか。
- システム間で情報を交換する相互運用性の不足
- システム障害が起きたときの代替運用の整備
- 医療情報に詳しい人材の不足と育成
- システムの導入費用と保守費用の負担
正解と解説
正解:C. 医療情報に詳しい人材の不足と育成医療情報を理解してシステムの企画・運用を担える人材の不足と育成は人的課題である。相互運用性の不足は技術的課題、障害時の代替運用の整備は運用の課題、費用負担は運用・経営面の課題であり、人的課題には該当しない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.1.4(医療の情報化の技術的・運用・人的課題)
問5|データヘルス
データヘルス改革の説明として適切なのはどれか。
- 市町村が独自に予算を組んで行う、地域にある医療機関の建物や医療機器を新しく整備するための事業である
- 厚生労働省が推進する、健康・医療・介護分野のデータ利活用基盤の整備やPHRの推進などの取り組みである
- 民間の保険会社が加入者の健康状態に応じた保険商品を開発するための枠組みである
- 医薬品の製造工程の品質を管理するために定められた基準である
正解と解説
正解:B. 厚生労働省が推進する、健康・医療・介護分野のデータ利活用基盤の整備やPHRの推進などの取り組みであるデータヘルス改革は、厚生労働省が推進する健康・医療・介護分野のデータ利活用に関する改革で、データ利活用基盤の整備やPHRの推進などに取り組むものである。建物整備事業や民間保険の枠組み、医薬品製造の基準ではない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.1.5(医療分野の情報化に関する行政の施策)
問6|医療DXの柱
「医療DX令和ビジョン2030」の3本柱に含まれないのはどれか。
- 全国医療情報プラットフォームの創設
- 電子カルテ情報の標準化等
- 診療報酬改定DX
- 医師免許の電子化
正解と解説
正解:D. 医師免許の電子化医療DX令和ビジョン2030の3本柱は、全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化等、診療報酬改定DXである。医師免許の電子化は3本柱に含まれない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.1.5(医療分野の情報化に関する行政の施策)/医療DX令和ビジョン2030
問7|資格確認
オンライン資格確認の説明として適切なのはどれか。
- マイナンバーカード等を用いて患者の医療保険の資格情報をオンラインで確認する仕組みである
- 医師や看護師の免許の有効性を、オンラインで確認する仕組みである
- 地域の医療機関で入院可能な空床の有無を、オンラインで確認する仕組みである
- 医療機器の保守点検を行う技術者の資格を確認する仕組みである
正解と解説
正解:A. マイナンバーカード等を用いて患者の医療保険の資格情報をオンラインで確認する仕組みであるオンライン資格確認は、マイナンバーカード(または健康保険証の記号番号等)により患者の医療保険の資格情報をその場でオンライン確認する仕組みで、2023年4月から保険医療機関・薬局に導入が原則義務化された。医師免許や空床、機器保守の確認の仕組みではない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.1.5(医療分野の情報化に関する行政の施策)
問8|電子処方箋
電子処方箋の仕組みについて適切なのはどれか。
- 紙で発行した処方箋をスキャンして画像化し、院内のサーバにまとめて保存し、後から参照できるようにする仕組み
- 医薬品の製造販売を国が審査して承認するための仕組みである
- 処方箋を電子的に発行・運用し、複数施設の処方・調剤情報をふまえた重複投薬等のチェックに活用できる仕組みである
- 患者が自分で必要な処方薬を選び、薬局に注文して受け取る仕組みである
正解と解説
正解:C. 処方箋を電子的に発行・運用し、複数施設の処方・調剤情報をふまえた重複投薬等のチェックに活用できる仕組みである電子処方箋は処方箋を電子的に発行・運用する仕組みで、複数の医療機関・薬局にまたがる処方・調剤情報を参照した重複投薬や併用禁忌のチェックに活用できる。紙処方箋のスキャン保存や医薬品の承認制度、患者が薬を注文する仕組みではない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.1.5(医療分野の情報化に関する行政の施策)
問9|NDB
NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)の説明として適切なのはどれか。
- 個人が自分の健診結果や服薬の記録を管理するためのPHRサービスである
- 一つの病院の中に構築された、経営分析のためのデータウェアハウスである
- 全国のがんの症例だけを対象として登録し、罹患や生存の状況を把握するために国が整備したデータベースである
- 全国のレセプト情報や特定健診等の情報を国が収集し、医療政策の立案・検証などに利活用されるデータベースである
正解と解説
正解:D. 全国のレセプト情報や特定健診等の情報を国が収集し、医療政策の立案・検証などに利活用されるデータベースであるNDBは全国のレセプト情報・特定健診等情報を国が収集したデータベースで、医療政策の立案・検証や研究に利活用される全国規模の医療データベースの代表例である。個人向けPHRや単一病院のDWHではなく、がん症例の登録は全国がん登録が担う。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.1.2(全国規模の医療データベースの構築とその利活用)
問10|主観的情報
医療情報のうち主観的情報に該当するのはどれか。
- 血液検査の測定値
- X線画像
- 患者が訴える痛み
- 体温の測定値
正解と解説
正解:C. 患者が訴える痛み主観的情報は患者本人の感じ方に基づく情報であり、痛みや倦怠感の訴えが該当する。血液検査値・X線画像・体温は測定や撮影によって得られる客観的情報である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.2.1(医療情報の種類・主観的情報と客観的情報)
問11|波形情報
診療情報のうち波形情報に該当するのはどれか。
- 心電図
- CT画像
- 病名コード
- 診療録の記載文
正解と解説
正解:A. 心電図心電図は時間とともに変化する電気信号を波形として記録したもので、波形情報に該当する。CT画像は画像情報、病名コードはコード情報、診療録の記載文はテキスト情報である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.2.2(診療情報の特徴・波形情報などの形態)
問12|高い機微性
診療情報の特徴である「高い機微性」の説明として適切なのはどれか。
- 画像などを含むため情報量が多く、保存に大容量の記憶装置が必要になることをいう
- 他人に知られたくない度合いが高く、漏えい時に本人が受ける不利益が大きいことをいう
- 診療の経過にそって情報が継続的に蓄積されていくことをいう
- 情報が数値・文章・画像など多様な形態をとることをいう
正解と解説
正解:B. 他人に知られたくない度合いが高く、漏えい時に本人が受ける不利益が大きいことをいう機微性とは、その情報が他人に知られたくない性質の強さを指す。診療情報は病歴など機微性が高く、漏えい時の本人の不利益が大きいため慎重な取り扱いが必要である。継続的な蓄積は連続性、多様な形態は情報形態の多様性の説明で、情報量の多さは機微性とは別の話である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.2.2(診療情報の特徴・高い機微性)
問13|内容の多層性
診療情報の「内容の多層性」の説明として適切なのはどれか。
- 診療の経過にそって記録が継続的に蓄積され、長い期間にわたって積み重なっていくこと
- 他人に知られたくない度合いが高く、慎重な扱いを要すること
- 法律によって記録の保存期間が定められていること
- 検査値などの事実の記録の上に、所見や診断などの解釈が層をなして構成されること
正解と解説
正解:D. 検査値などの事実の記録の上に、所見や診断などの解釈が層をなして構成されること内容の多層性とは、診療情報が測定データなどの事実の記録の上に、所見・診断といった解釈が積み重なった層構造をもつことをいう。継続的な蓄積は内容の連続性、知られたくない度合いは高い機微性、保存期間の定めは保存の法的条件の説明である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.2.2(診療情報の特徴・内容の多層性)
問14|診療録の保存
医師法に基づく診療録の保存期間はどれか。
- 1年
- 2年
- 3年
- 5年
正解と解説
正解:D. 5年診療録は医師法により5年間の保存が義務づけられている。なお、診療に関する諸記録(検査所見記録・エックス線写真など)は医療法(施行規則)により2年間の保存とされており、両者を混同しないよう注意する。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.2.2(診療情報の特徴・保存の法的条件)/医師法
問15|一次利用
医療情報の一次利用に該当するのはどれか。
- 症例をまとめて発表するための医学研究への利用
- 国や自治体が行う医療政策の立案への利用
- 診療のために患者の検査結果を参照すること
- 病院の経営分析や原価計算への利用
正解と解説
正解:C. 診療のために患者の検査結果を参照すること一次利用は診療目的の利用と医療行為の公的書類作成のための利用を指し、診療のための検査結果の参照はその典型である。医学研究・医療政策の立案・病院経営分析への利用はいずれも二次利用に該当する。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.2.3(医療情報の一次利用と二次利用)
問16|二次利用
医療情報の二次利用に該当するのはどれか。
- 診察の場で過去の検査結果や画像を参照すること
- 処方監査のために患者の薬歴を参照すること
- 退院時の診断書を作成すること
- 医学教育のために症例情報を利用すること
正解と解説
正解:D. 医学教育のために症例情報を利用すること二次利用は診療以外の目的への利用で、医学教育のための症例利用はその一例である。診察時の検査結果参照や処方監査のための薬歴参照は診療目的の一次利用であり、診断書の作成も医療行為の公的書類作成のための利用として一次利用に含まれる。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.2.3(医療情報の一次利用と二次利用)
問17|EHR
EHR(Electronic Health Record)の説明として適切なのはどれか。
- 医療機関等の枠を越えて個人の診療・健康情報を共有・活用する電子健康記録である
- 病院内の医事会計の業務だけを電子化して保存した記録である
- 院内で使用する医療機器について、保守点検や修理を行った履歴を記録したものである
- 職員の勤務時間や休暇の取得状況を記録したものである
正解と解説
正解:A. 医療機関等の枠を越えて個人の診療・健康情報を共有・活用する電子健康記録であるEHRは施設の枠を越えて個人の診療情報・健康情報を共有・活用する電子健康記録を指し、地域や生涯にわたる情報共有を目指すものである。医事会計の電子化や機器保守履歴、勤務記録はEHRではない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.3.1(電子健康記録 EHR)
問18|PHR
PHR(Personal Health Record)の説明として適切なのはどれか。
- 医療機関が院内でのみ利用する、患者ごとの診療記録である
- 個人が自らの健康・医療情報を収集・管理し、健康管理などに活用する仕組みである
- 国が医療政策の立案や評価のために、全国の医療機関から収集する統計データである
- 製薬企業が治験のために収集し管理するデータである
正解と解説
正解:B. 個人が自らの健康・医療情報を収集・管理し、健康管理などに活用する仕組みであるPHRは個人健康記録であり、本人が自らの健診結果・服薬・体重などの健康・医療情報を収集・管理して健康管理に活用する仕組みを指す。院内限定の診療記録、国の統計データ、治験データの管理はPHRの説明ではない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.3.2(個人健康記録 PHR)
問19|プライバシー
プライバシーの説明として適切なのはどれか。
- 私生活をみだりに公開されない権利であり、自己の情報をコントロールする権利としても捉えられる
- 氏名や生年月日、住所などのように、特定の個人を識別することができる情報そのものである
- 医療機関が保有する収支や人員などの経営情報のことである
- 情報システムを利用する際に与えられる利用権限のことである
正解と解説
正解:A. 私生活をみだりに公開されない権利であり、自己の情報をコントロールする権利としても捉えられるプライバシーは私生活をみだりに公開されない権利で、今日では自己情報コントロール権として捉える考え方が広まっている。特定の個人を識別できる情報は個人情報の定義であり、プライバシーという権利概念とは区別される。経営情報や利用権限は無関係である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.4.1(個人情報・プライバシーとは)
問20|倫理の4原則
医療倫理の基本原則に含まれないのはどれか。
- 自律尊重
- 善行
- 効率性
- 正義
正解と解説
正解:C. 効率性医療倫理の基本原則は自律尊重・善行・無危害・正義の4原則であり、医療情報の取り扱いにおいても指針となる。効率性は業務運営上は重要だが、倫理の基本原則には含まれない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.4.2(医療情報倫理・倫理の基本原則)
問21|二次利用同意
診療目的で得た患者情報を研究に利用する際の倫理的な取り扱いとして適切なのはどれか。
- 診療で得た情報であるため、研究には自由に利用してよい
- 原則として本人の同意を得るか、匿名化などの適切な措置を講じる
- 院内の職員であれば、誰でも研究の目的で自由に閲覧してよいとする
- 研究に利用する場合、同意は口頭でも文書でも一切不要である
正解と解説
正解:B. 原則として本人の同意を得るか、匿名化などの適切な措置を講じる診療目的で取得した情報を研究に二次利用する場合は、原則として本人の同意を得るか、匿名化などの適切な措置を講じることが倫理的に求められる。目的外利用を無条件に認めたり、職員なら誰でも閲覧できるとしたりする取り扱いは不適切である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.4.2〜1.4.3(医療情報倫理・医療情報利用者の倫理と責務)
問22|利用者の倫理
医療情報利用者の行動として適切なのはどれか。
- 業務上必要な範囲に限って患者情報にアクセスする
- 担当外の有名人の診療記録を興味本位で閲覧する
- 業務で知った患者の話をSNSに匿名で投稿する
- 同僚に自分のIDとパスワードを貸して入力してもらう
正解と解説
正解:A. 業務上必要な範囲に限って患者情報にアクセスする医療情報の利用者は業務上必要な範囲に限って患者情報にアクセスすべきである。担当外の記録の興味本位の閲覧やSNSへの投稿は守秘義務・倫理に反し、ID・パスワードの貸与は本人確認と責任の所在を損なう行為であり、いずれも不適切である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.4.3(医療情報利用者の倫理と責務)
問23|担当者の責務
医療情報担当者(システム管理者)の責務として適切でないのはどれか。
- 管理者権限は業務上の目的の範囲でのみ使用する
- 業務上知り得た患者の情報について、退職後も守秘義務を守る
- 管理者権限があるので興味のある患者の診療記録を自由に閲覧してよい
- システムの安全で安定した運用・管理に努める
正解と解説
正解:C. 管理者権限があるので興味のある患者の診療記録を自由に閲覧してよい医療情報担当者は管理者権限で多くの情報に触れうるため特に高い倫理が求められ、権限は業務目的の範囲でのみ用いる。興味本位の診療記録の閲覧は責務に反する。権限の適正使用、退職後も続く守秘義務、安全な運用・管理はいずれも担当者の責務として適切である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.4.4(医療情報担当者の倫理と責務・倫理綱領)
問24|電子化の意義
診療記録を電子化する意義として適切なのはどれか。
- 記録の検索・集計が容易になり、複数の部署から同時に参照できる
- 記録の改ざんが物理的に不可能になり、対策が不要になる
- 入力の誤りが発生しなくなり、確認が不要になる
- システムに障害が起きた場合でも、紙と同様に必ず参照できる
正解と解説
正解:A. 記録の検索・集計が容易になり、複数の部署から同時に参照できる電子化により記録の検索・集計が容易になり、複数の部署・職種からの同時参照や保管スペースの削減が可能になる。一方、改ざんや入力誤りがなくなるわけではなく対策が必要で、システム障害時には参照できなくなるおそれがあるため代替運用の準備が求められる。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.1.3・1.2.2(診療記録の電子化の意義)
問25|電子化の課題
診療記録の電子化に伴う課題として適切でないのはどれか。
- システム障害時に診療を継続する手順の整備が必要になる
- 紙のカルテよりも記録の保管スペースが大幅に増える
- 記載のコピー&ペーストによる記録の質の低下が起こりうる
- システムの導入・更新の費用負担が大きい
正解と解説
正解:B. 紙のカルテよりも記録の保管スペースが大幅に増える電子化では紙の保管スペースはむしろ削減されるため、保管スペースの増大は課題として誤りである。障害時の診療継続手順の整備、コピー&ペーストによる記録の質の低下、導入・更新費用の負担は、いずれも電子化に伴う実際の課題である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 1.1.4・1.1.3(医療の情報化の課題・診療記録の電子化)
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※ 解説は学習用の情報提供です。医療上の助言ではありません。最新の試験実施要項は医療情報技師育成部会の公式発表をご確認ください。
※ 出題は日本医療情報学会 医療情報技師育成部会が公開する「医療情報技師 到達目標」(v7・GIO/SBO/キーワード)に沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題です。医療上の助言ではありません。合格基準は非公開のため、本サイトの到達度は独自の目安です。試験の実施要項は育成部会の公式発表をご確認ください。