仮の宿 学習室

医療情報技師 HEALTHCARE INFORMATION TECHNOLOGIST

情報セキュリティ

講義 3 本・確認問題 30 問 | 本試験では「情報処理技術系」(50問)の一部 | 最終更新 2026-09-24

この章で学ぶこと
目次
  1. 情報セキュリティの基礎と脅威
  2. 暗号技術と電子署名・PKI
  3. 認証・アクセス制御・ネットワークセキュリティ
  4. 確認問題(30問)
  5. 演習ツール

1. 情報セキュリティの基礎と脅威

患者情報を扱う医療情報システムでは、情報資産を脅威から守る情報セキュリティの考え方が土台になる。3要素+αとリスクマネジメント、代表的な攻撃手法を押さえる。

情報セキュリティは、情報資産を脅威から守り、安全に利用し続けるための取り組みである。中核となるのが機密性(Confidentiality:許可された者だけが情報にアクセスできること)、完全性(Integrity:情報が改ざん・破壊されず正確であること)、可用性(Availability:必要なときに情報やシステムを使えること)の3要素で、頭文字からCIAと呼ばれる。これに真正性(利用者や情報が本物であること)、責任追跡性(誰が何をしたか追跡できること)、否認防止(行為を後から否定できないこと)、信頼性(システムが意図どおり動くこと)を加えた要素で語られる。

リスクマネジメントでは、リスクアセスメント(リスク分析・リスク評価)で情報資産・脅威・脆弱性を洗い出し、リスク対応として回避・低減(最適化)・移転・保有(受容)のいずれかを選ぶ。対策は技術的セキュリティ・物理的セキュリティ・人的組織的セキュリティに分けて考え、組織全体では情報セキュリティポリシーを定めISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)として運用する。

脅威の代表がマルウェア(不正プログラムの総称)である。ウイルスは自己伝染機能・潜伏機能・発病機能をもち、ワームは単独で自己増殖する。ボットは攻撃者の指令で動き踏み台にされ、キーロガーは入力を盗み、バックドアは侵入用の裏口を作る。ランサムウェアはデータを暗号化して身代金を要求するマルウェアで、病院が標的となり電子カルテが長期間停止した事例が国内外で報告されている。対策の基本はワクチンソフトとウイルス定義ファイルの更新、セキュリティパッチの適用、そしてバックアップである。バックアップは「コピーを3つ、2種類の媒体で、1つはオフサイト(ネットワークから切り離した場所)に」という3-2-1ルールが広く知られ、オフラインの世代を残すことがランサムウェア対策として重要とされる。

攻撃手法としては、特定組織を狙い業務を装ったメールなどで侵入する標的型攻撃、金融機関などをかたる偽サイトへ誘導して情報を盗むフィッシング、大量の通信でサービスを妨害するDoS攻撃・DDoS攻撃(多数の踏み台から一斉に行う)、人の心理の隙を突くソーシャルエンジニアリング、パスワードクラック、セキュリティホールを突く不正アクセスなどがある。

代表的な脅威と基本的な対策
脅威概要基本的な対策
ランサムウェアデータを暗号化し身代金を要求オフラインを含むバックアップ(3-2-1)、パッチ適用
標的型攻撃特定組織を狙い業務を装うメール等で侵入不審メールの教育、ワクチンソフト、多層防御
フィッシング偽サイトへ誘導しID・パスワード等を詐取URL確認の教育、ワンタイムパスワード等の認証強化
DoS/DDoS攻撃大量通信でサービスを妨害ファイアウォール等でのフィルタリング、負荷分散
ソーシャルエンジニアリング人の心理の隙を突き情報を詐取利用規程の整備と利用者教育

用語

機密性・完全性・可用性
情報セキュリティの3要素。許可された者だけがアクセスできること、情報が改ざんされず正確であること、必要なときに利用できることを指し、CIAと総称される。
リスク対応
リスクアセスメントの結果に基づき、リスクの回避・低減(最適化)・移転・保有(受容)から対応を選ぶこと。保険による移転や対策強化による低減などがある。
ランサムウェア
感染した端末やサーバのデータを暗号化し、復号と引き換えに身代金を要求するマルウェア。医療機関が被害を受け診療停止に至った事例があり、オフラインのバックアップ確保が重要とされる。
標的型攻撃
不特定多数ではなく特定の組織を狙い、業務連絡を装ったメールの添付ファイルなどでマルウェアに感染させて侵入する攻撃。
DDoS攻撃
多数の踏み台(ボットに感染した機器など)から一斉に大量の通信を送り付け、サーバやネットワークを過負荷にしてサービスを妨害する攻撃。
ソーシャルエンジニアリング
技術ではなく人の心理や行動の隙を突いてパスワードなどの情報を盗む手口。なりすましの電話や肩越しの盗み見などが典型。

例題

例題:電子カルテのデータが暗号化され身代金を要求された。損なわれた要素は?
答えと考え方 必要なときに利用できない状態なので、まず可用性が損なわれている(内容が書き換えられれば完全性も損なわれる)。
例題:リスクに保険をかけるのはリスク対応のどれ?
答えと考え方 損失負担を第三者に移すので「リスクの移転」に当たる。

出典・根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)第6章 情報セキュリティ(GIO 6.1)

2. 暗号技術と電子署名・PKI

暗号は機密性を、ハッシュと電子署名は完全性・真正性・否認防止を支える。共通鍵と公開鍵の違い、鍵の使い分け、PKIとTLSの仕組みを整理する。

暗号化技術は、平文を暗号化アルゴリズムと鍵(キー)で暗号文に変換し、盗聴されても内容を読めなくする技術である。復号には対応する鍵が必要になる。共通鍵暗号方式は暗号化と復号に同じ鍵を使う方式で、処理が高速な一方、通信相手ごとに鍵を安全に渡す必要がある(鍵配送問題)。n人が相互に通信するにはn(n-1)/2個の鍵が必要になる。代表的なアルゴリズムはDES・3DES・AESである。

公開鍵暗号方式は、対になる公開鍵と秘密鍵(私有鍵)を使う方式で、代表がRSAである。機密性の確保が目的の場合、送信者は「受信者の公開鍵」で暗号化し、受信者だけが持つ「受信者の秘密鍵」で復号する。公開鍵は公開してよいので鍵配送問題が解決するが、処理は共通鍵暗号より遅い。そこで実際の通信では、データ本体は高速な共通鍵暗号で暗号化し、その共通鍵の受け渡しにだけ公開鍵暗号を使うハイブリッド方式が用いられる。WebのHTTPSを支えるSSL/TLSがその代表である。

ハッシュ関数は、任意の長さのデータから固定長のメッセージダイジェスト(ハッシュ値)を作る一方向性の関数で、元のデータに戻すことは実質的にできず、同じハッシュ値を持つ別データを作ることも困難である。MD5やSHA-1などが知られる。送受信でハッシュ値を比べれば改ざんを検出できる。

デジタル署名(電子署名)は、文書のハッシュ値を「送信者の秘密鍵」で処理して署名を作り、受信者が「送信者の公開鍵」で検証する仕組みである。署名が検証できれば、文書が改ざんされていないこと(完全性)と、秘密鍵を持つ本人が作成したこと(真正性・否認防止)が確認できる。暗号化とは鍵の使う向きが逆になる点に注意する。電子署名法により一定の電子署名は手書き署名や押印と同等に扱われ、作成時刻の証明にはタイムスタンプを併用する。

公開鍵が本当に本人のものかを保証する仕組みが公開鍵基盤(PKI)である。認証局(CA)が本人確認のうえ公開鍵証明書を発行し、証明書の信頼の連鎖(認証パス)はルート証明書にさかのぼって検証される。政府認証基盤(GPKI)のほか、保健医療福祉分野には医師などの国家資格を確認できるHPKI(保健医療福祉分野の公開鍵基盤)がある。WebサーバにはSSLサーバ用証明書が使われる。

共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式の比較
項目共通鍵暗号方式公開鍵暗号方式
使う鍵暗号化と復号に同じ鍵(秘密に共有)対になる公開鍵と秘密鍵
鍵の配送相手に安全に渡す必要がある(鍵配送問題)公開鍵は公開してよく配送問題がない
処理速度高速低速
n人相互通信の鍵数n(n-1)/2個鍵ペアn組(2n個)
代表アルゴリズムAES、DES、3DESRSA
主な用途データ本体の暗号化共通鍵の受け渡し、デジタル署名

用語

共通鍵暗号方式
暗号化と復号に同じ鍵を使う方式。高速だが、鍵を通信相手と安全に共有する鍵配送問題があり、n人の相互通信にはn(n-1)/2個の鍵が必要。代表はAES・DES・3DES。
公開鍵暗号方式
対になる公開鍵と秘密鍵を使う方式。機密性の確保では受信者の公開鍵で暗号化し受信者の秘密鍵で復号する。鍵配送問題を解決するが処理は遅い。代表はRSA。
ハッシュ関数
任意長のデータから固定長のハッシュ値(メッセージダイジェスト)を生成する一方向性の関数。元データへの復元は実質不可能で、改ざん検出に用いる。MD5、SHA-1など。
デジタル署名
文書のハッシュ値を送信者の秘密鍵で処理して作る署名。送信者の公開鍵で検証でき、改ざんの検出と作成者の確認(否認防止)ができる。機密性は保証しない。
認証局(CA)
公開鍵基盤(PKI)で、申請者の本人確認を行い公開鍵証明書を発行・失効管理する機関。証明書の信頼はルート証明書までの認証パスで検証される。
HPKI
保健医療福祉分野の公開鍵基盤。医師・薬剤師などの国家資格や管理者資格を電子証明書で証明でき、電子処方箋の署名などに用いられる。
SSL/TLS
Web通信などを保護するセキュアプロトコル。サーバ証明書で通信相手を確認し、公開鍵暗号で共通鍵を共有して以後の通信を共通鍵暗号で保護する。HTTPSで利用される。

例題

例題:AさんがBさんにだけ読める文書を公開鍵暗号で送るとき使う鍵は?
答えと考え方 Bさん(受信者)の公開鍵で暗号化する。復号できるのはBさんの秘密鍵を持つBさんだけ。
例題:デジタル署名の検証に使う鍵は?
答えと考え方 送信者の公開鍵。署名の作成は送信者の秘密鍵で行うため、向きが暗号化と逆になる。

出典・根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)第6章 情報セキュリティ(GIO 6.2 暗号化技術・完全性・真正性・PKI)

3. 認証・アクセス制御・ネットワークセキュリティ

利用者が本人であることの確認(認証)、権限の管理(アクセス制御)、境界と通信路の防御(ファイアウォール・IDS/IPS・VPN)までを一続きで理解する。

ユーザ認証の基本はユーザIDとパスワードによるパスワード認証だが、盗聴や漏えいに弱い。ワンタイムパスワード認証は一度しか使えないパスワードを用い、チャレンジ/レスポンス認証はサーバから送られたチャレンジ(乱数)にパスワードを組み合わせた応答を返すことで、パスワードそのものを送らずに認証し、盗聴された値の再利用を防ぐ。ほかにICカード認証、ネットワーク認証方式のケルベロス認証、指紋・静脈・虹彩など身体的特徴を使う生体認証がある。生体認証は忘失や紛失の心配がない一方、本人を誤って拒否したり他人を誤って受け入れたりする誤りが避けられない。

認証の要素は、知識(パスワード)・所持(ICカード等)・生体(指紋等)に大別され、異なる要素を2つ以上組み合わせる認証を多要素認証と呼ぶ。同じ要素の二重化(パスワード2つ)は多要素にならない。また、1回の認証で連携する複数のシステムを利用できる仕組みがシングルサインオン(SSO)で、利便性が高まる一方、認証情報が破られたときの影響範囲は広がるため認証基盤の保護が重要になる。

アクセス制御では、ユーザ登録・権限付与のルールを定め、職務上必要な範囲に限ってアクセス権を与える(最小権限)。誰がいつ何にアクセスしたかは監査ログ(アクセスログ)として記録し、不正の抑止と事後の追跡に使う。

ネットワークの境界防御の中心がファイアウォールで、あらかじめ定めたルールに基づき通過するパケットをフィルタリングする。外部に公開するWebサーバやメールサーバは、内部ネットワークと分離した緩衝地帯であるDMZに置く。侵入検知システム(IDS)は不正な通信を検知して管理者に通知し、侵入防止システム(IPS)は検知に加えて通信の遮断まで自動で行う。リモートアクセスの認証にはRADIUSサーバなどの認証サーバが使われる。

拠点間や外出先からの通信路の保護にはVPNを使う。インターネットなどの公衆網上に暗号化と認証によって仮想的な専用線を作る技術で、IPsec-VPNやSSL-VPNがある。無線LANではWPA2などの暗号化規格やIEEE802.1Xによる認証を用いる。エンドポイント(端末・サーバ)側では、ワクチンソフトとウイルス定義ファイルの更新に加え、OSやアプリケーションのセキュリティホールを修正するセキュリティパッチを速やかに適用する運用が基本となる。

ネットワークセキュリティ技術の役割
技術役割
ファイアウォールルールに基づき通過するパケットをフィルタリングし境界を防御
DMZ外部公開サーバを置く緩衝地帯。内部ネットワークと分離
IDS(侵入検知システム)不正な通信・侵入の兆候を検知して通知
IPS(侵入防止システム)検知に加えて通信の遮断など防御まで自動実行
VPN公衆網上に暗号化で仮想的な専用線を構築し通信路を保護
RADIUSサーバリモートアクセスなどの認証を一元的に行う認証サーバ

用語

多要素認証
知識(パスワード)・所持(ICカード)・生体(指紋など)のうち異なる要素を2つ以上組み合わせて行う認証。1つの要素が破られても不正ログインを防ぎやすい。
生体認証
指紋・静脈・虹彩・顔など身体的特徴で本人確認する認証。忘失・紛失の心配がないが、本人拒否や他人受入の誤りをゼロにはできない。
シングルサインオン
1回の認証で連携する複数のシステムやサービスを利用できる仕組み。利便性が高い一方、認証基盤が破られたときの影響が大きく、その保護が重要。
DMZ
ファイアウォールで外部・内部の両ネットワークから分離した緩衝地帯。Webサーバなど外部公開サーバを置き、侵入されても内部に直接届かないようにする。
IDS/IPS
ネットワークやホストへの不正侵入を検知するのがIDS、検知に加えて通信遮断などの防御まで自動で行うのがIPS。ファイアウォールを補完する。
VPN
公衆網上に暗号化と認証で仮想的な専用線を構築する技術。IPsec-VPNやSSL-VPNがあり、拠点間接続やリモートアクセスの通信路を保護する。
セキュリティパッチ
ソフトウェアのセキュリティホール(脆弱性)を修正するための更新プログラム。攻撃はパッチ未適用の脆弱性を突くことが多く、速やかな適用が基本対策となる。

例題

例題:ICカードとパスワードの併用は多要素認証か?
答えと考え方 所持と知識という異なる要素の組み合わせなので多要素認証に当たる。
例題:外部公開のWebサーバはどこに置く?
答えと考え方 内部ネットワークではなく、ファイアウォールで分離されたDMZに置く。

出典・根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)第6章 情報セキュリティ(GIO 6.2)・第8章 GIO 8.2(アクセス管理・認証手法)

確認問題(30問)

四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。

問1|3要素

情報セキュリティの3要素の組み合わせとして正しいのはどれか。

  1. 機密性・完全性・信頼性
  2. 機密性・完全性・可用性
  3. 機密性・真正性・可用性
  4. 完全性・可用性・責任追跡性
正解と解説
正解:B. 機密性・完全性・可用性

情報セキュリティの3要素は機密性(Confidentiality)・完全性(Integrity)・可用性(Availability)で、CIAと呼ばれる。真正性・責任追跡性・信頼性・否認防止は3要素に追加して考慮される要素であり、3要素そのものには含まれない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.1.2(情報セキュリティの要素)

問2|完全性

情報セキュリティにおける完全性(Integrity)の説明として適切なのはどれか。

  1. 許可された者だけが情報にアクセスできる状態が保たれていること
  2. 必要なときに情報やシステムを利用できること
  3. 情報が改ざん・破壊されず正確な状態に保たれていること
  4. 利用者や情報の発信元が本物であること
正解と解説
正解:C. 情報が改ざん・破壊されず正確な状態に保たれていること

完全性は、情報が改ざん・消去・破壊されず正確かつ完全な状態に保たれている性質である。許可された者だけがアクセスできることは機密性、必要なときに利用できることは可用性、本物であることは真正性の説明であり、いずれも完全性とは異なる。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.1.2(情報セキュリティの要素)

問3|可用性対策

情報システムの可用性を高める対策として最も適切なのはどれか。

  1. サーバの二重化やバックアップにより障害時も業務を継続できるようにする
  2. 通信データを暗号化して、第三者に内容を読み取られないようにする
  3. ハッシュ値を比較して、データが改ざんされていないことを確認できるようにする
  4. デジタル署名により、文書の作成者が本人であることを確認する
正解と解説
正解:A. サーバの二重化やバックアップにより障害時も業務を継続できるようにする

可用性は必要なときにシステムを利用できる性質で、二重化・冗長化やバックアップなどの耐障害設計で高める。暗号化は機密性、ハッシュ値による改ざん検出は完全性、デジタル署名は真正性・否認防止のための対策であり、可用性を直接高めるものではない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.4(可用性の確保)

問4|否認防止

情報セキュリティにおける否認防止(Non-Repudiation)の説明として適切なのはどれか。

  1. システムが意図したとおりに一貫して動作し、期待した結果が常に確実に得られること
  2. 誰がいつどの情報にアクセスしたかを記録から追跡できること
  3. 許可された者だけが情報を参照でき、第三者には知られないこと
  4. ある行為を行った者が、後からその行為を行っていないと主張できないようにすること
正解と解説
正解:D. ある行為を行った者が、後からその行為を行っていないと主張できないようにすること

否認防止は、送信や承認などの行為を行った本人が後から「していない」と否定できないようにする性質で、デジタル署名などで実現する。一貫した動作は信頼性、アクセスの追跡は責任追跡性、許可された者だけの利用は機密性の説明である。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.1.2(情報セキュリティの要素)

問5|リスク対応

情報セキュリティのリスク対応のうち、サイバー保険に加入して損失の負担を第三者に移すことに該当するのはどれか。

  1. リスクの回避
  2. リスクの移転
  3. リスクの低減
  4. リスクの保有
正解と解説
正解:B. リスクの移転

保険への加入は、リスクが顕在化したときの損失負担を保険会社という第三者に移すので「リスクの移転」に該当する。回避はリスクの原因となる活動自体をやめること、低減は対策によって発生可能性や影響を小さくすること、保有(受容)は対策せずリスクを受け入れることである。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.1.3(リスクマネジメント)

問6|ランサムウェア

ランサムウェアの説明として適切なのはどれか。

  1. データを暗号化するなどして利用できなくし、復旧と引き換えに身代金を要求するマルウェア
  2. 利用者のキーボード入力をひそかに記録し、パスワードなどを盗み取って外部に送るプログラム
  3. 感染した機器に攻撃者が再侵入するための裏口を仕掛けるプログラム
  4. 文書ファイルのマクロ機能を悪用し、ファイルを開いたときに感染するウイルス
正解と解説
正解:A. データを暗号化するなどして利用できなくし、復旧と引き換えに身代金を要求するマルウェア

ランサムウェアは、データの暗号化などでシステムを使えなくし、復旧と引き換えに身代金(ransom)を要求するマルウェアで、医療機関でも電子カルテが停止する被害が報告されている。キーボード入力を盗むのはキーロガー、裏口を仕掛けるのはバックドア、マクロ機能を悪用するのはマクロウイルスである。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.7(コンピュータウイルスならびにマルウェアへの対策)

問7|標的型攻撃

標的型攻撃の特徴として最も適切なのはどれか。

  1. 不特定多数の宛先に同じ内容の迷惑メールを大量に送り付ける
  2. 多数の踏み台となる機器から一斉に大量の通信を送り付け、対象のサービスを停止に追い込む
  3. 特定の組織を狙い、業務連絡を装ったメールなどで受信者をだましてマルウェアに感染させる
  4. Webサイトの改ざんによって、そこを閲覧した者全員を無差別に感染させる
正解と解説
正解:C. 特定の組織を狙い、業務連絡を装ったメールなどで受信者をだましてマルウェアに感染させる

標的型攻撃は、特定の組織や個人を狙って、取引先や業務連絡を装った巧妙なメールなどで添付ファイルを開かせ、マルウェアに感染させて侵入する攻撃である。不特定多数への大量送信は迷惑メール、多数の踏み台からの一斉攻撃はDDoS攻撃の説明であり、無差別な感染は標的型の「特定の相手を狙う」性質と異なる。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.8(不正侵入・攻撃への対策)

問8|フィッシング

フィッシングの説明として適切なのはどれか。

  1. 大量の通信を送り付けてサーバを過負荷にし、正規の利用者にサービスを提供できない状態にする攻撃
  2. ネットワーク上を流れるパケットを傍受して内容を盗み見る行為
  3. プログラムの脆弱性を突いて管理者権限を奪い、不正に侵入する攻撃
  4. 金融機関などをかたる偽の電子メールやWebサイトに誘導し、IDやパスワードなどを盗み取る手口
正解と解説
正解:D. 金融機関などをかたる偽の電子メールやWebサイトに誘導し、IDやパスワードなどを盗み取る手口

フィッシングは、実在の金融機関やサービスをかたったメールで偽サイトへ誘導し、ID・パスワード・カード番号などを入力させて盗む手口である。大量通信による過負荷はDoS攻撃、パケットの盗聴はスニッフィング(盗聴)、脆弱性を突いた権限奪取は不正アクセスの説明である。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.8(不正侵入・攻撃への対策)

問9|DDoS攻撃

DDoS攻撃がDoS攻撃と異なる点として最も適切なのはどれか。

  1. 攻撃対象のデータを暗号化して復旧と引き換えに身代金を要求する点
  2. 踏み台にした多数の機器から分散して一斉に攻撃を行う点
  3. 利用者を偽サイトに誘導して情報を盗む点
  4. 1台の計算機から脆弱性を突いて侵入する点
正解と解説
正解:B. 踏み台にした多数の機器から分散して一斉に攻撃を行う点

DDoS(分散型サービス妨害)攻撃は、ボットに感染させた多数の機器を踏み台とし、分散した発信元から一斉に大量の通信を送る点がDoS攻撃と異なる。発信元が多数のため遮断が難しい。暗号化と身代金要求はランサムウェア、偽サイトへの誘導はフィッシングの説明で、1台からの侵入はDDoSの特徴ではない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.8(不正侵入・攻撃への対策)

問10|バックアップ

ランサムウェア対策としてのバックアップの考え方(3-2-1ルール)の説明として最も適切なのはどれか。

  1. バックアップは3日ごとに取得し、2世代を1年間保存する
  2. 3人の担当者が2種類のパスワードを用いて、1台のサーバでまとめて管理する
  3. コピーを3つ持ち、2種類の媒体に保存し、うち1つはオフサイトに保管する
  4. 3台のサーバを2系統の電源と1台のUPSで保護する
正解と解説
正解:C. コピーを3つ持ち、2種類の媒体に保存し、うち1つはオフサイトに保管する

3-2-1ルールは、データのコピーを3つ(原本+2つ)持ち、2種類の異なる媒体に保存し、うち1つは遠隔地などオフサイトに保管するという考え方である。ネットワークから切り離した複製を残すことで、ランサムウェアがバックアップまで暗号化する事態に備えられる。他の選択肢は取得間隔や電源構成の話であり、このルールの内容ではない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.4(可用性の確保:バックアップ)・SBO 6.2.7(マルウェアへの対策)

問11|共通鍵暗号

共通鍵暗号方式の特徴として適切なのはどれか。

  1. 暗号化と復号に同じ鍵を使い、通信相手ごとに鍵を安全に共有する必要がある
  2. 暗号化に公開鍵、復号に秘密鍵を使う鍵ペアの方式である
  3. 公開鍵証明書によって鍵の持ち主が本人であることを保証する
  4. 処理速度は公開鍵暗号方式よりも遅く、大量のデータの暗号化には向いていない
正解と解説
正解:A. 暗号化と復号に同じ鍵を使い、通信相手ごとに鍵を安全に共有する必要がある

共通鍵暗号方式は暗号化と復号に同じ鍵を使うため、鍵を通信相手と安全に共有する必要がある(鍵配送問題)。公開鍵と秘密鍵のペアを使うのは公開鍵暗号方式、公開鍵証明書はPKIの仕組みである。処理速度は共通鍵暗号のほうが高速で、遅いという記述は逆である。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.1(暗号化技術)

問12|RSA

公開鍵暗号方式の代表的なアルゴリズムはどれか。

  1. AES
  2. DES
  3. 3DES
  4. RSA
正解と解説
正解:D. RSA

RSAは大きな数の素因数分解の困難さを利用した公開鍵暗号方式の代表的なアルゴリズムで、暗号化とデジタル署名の両方に使われる。AES・DES・3DESはいずれも暗号化と復号に同じ鍵を使う共通鍵暗号方式のアルゴリズムである。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.1(暗号化技術)

問13|公開鍵の向き

AさんがBさんに、内容を他人に読まれないように公開鍵暗号方式で文書を送る。Aさんが暗号化に使う鍵はどれか。

  1. Aさんの公開鍵
  2. Aさんの秘密鍵
  3. Bさんの公開鍵
  4. Bさんの秘密鍵
正解と解説
正解:C. Bさんの公開鍵

機密性の確保が目的の場合、受信者だけが復号できるように「受信者(Bさん)の公開鍵」で暗号化する。復号できるのは対になるBさんの秘密鍵を持つBさんだけである。Aさんの秘密鍵で処理するのはデジタル署名の場合であり、Bさんの秘密鍵はBさん以外が持っていてはならない鍵なので暗号化には使えない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.1(暗号化技術)

問14|復号の鍵

公開鍵暗号方式で機密性を確保して送られてきた暗号文を、受信者Bさんが復号するときに使う鍵はどれか。

  1. 送信者の公開鍵
  2. Bさんの秘密鍵
  3. 送信者の秘密鍵
  4. Bさんの公開鍵
正解と解説
正解:B. Bさんの秘密鍵

暗号文は受信者Bさんの公開鍵で暗号化されているので、復号には対になる「Bさんの秘密鍵」を使う。秘密鍵はBさんだけが保持するため、他人は復号できない。送信者の公開鍵はデジタル署名の検証に使う鍵であり、Bさんの公開鍵で暗号化したものをBさんの公開鍵で復号することはできない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.1(暗号化技術)

問15|署名の鍵

デジタル署名を作成するときに用いる鍵はどれか。

  1. 送信者(作成者)の秘密鍵
  2. 送信者(作成者)の公開鍵
  3. 受信者の公開鍵
  4. 受信者の秘密鍵
正解と解説
正解:A. 送信者(作成者)の秘密鍵

デジタル署名は、文書のハッシュ値を「送信者の秘密鍵」で処理して作成し、受信者は「送信者の公開鍵」で検証する。秘密鍵は本人しか持たないため、検証できれば本人が作成したことが確認できる。受信者の公開鍵は機密性確保のための暗号化に使う鍵であり、署名とは向きが逆になる点に注意する。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.3(完全性の確保)・SBO 6.2.5(真正性の確保)

問16|署名の効果

デジタル署名によって確認・実現できることの組み合わせとして適切なのはどれか。

  1. 通信の盗聴の防止と可用性の確保
  2. 通信の高速化とデータの圧縮
  3. なりすましの防止と通信内容の盗聴の防止
  4. 改ざんの検出と作成者の確認(否認防止)
正解と解説
正解:D. 改ざんの検出と作成者の確認(否認防止)

デジタル署名は、ハッシュ値の比較による改ざんの検出(完全性)と、送信者の秘密鍵でしか作れないことによる作成者の確認(真正性・否認防止)を実現する。文書そのものを暗号化するわけではないため盗聴の防止(機密性)は保証されず、可用性や通信の高速化とも関係がない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.3(完全性の確保)・SBO 6.2.5(真正性の確保)

問17|ハッシュ関数

ハッシュ関数の性質として適切なのはどれか。

  1. ハッシュ値から計算により元のデータを復元することができる
  2. 任意の長さのデータから固定長のハッシュ値を生成し、元のデータへの復元は実質的にできない
  3. 入力するデータが同じであっても、実行するたびに毎回異なるハッシュ値が得られる性質をもつ
  4. ハッシュ値の長さは元のデータの長さに比例して長くなる
正解と解説
正解:B. 任意の長さのデータから固定長のハッシュ値を生成し、元のデータへの復元は実質的にできない

ハッシュ関数は任意長のデータから固定長のメッセージダイジェスト(ハッシュ値)を生成する一方向性の関数で、ハッシュ値から元データを復元することは実質的にできない。同じ入力からは常に同じハッシュ値が得られ(だからこそ改ざん検出に使える)、ハッシュ値の長さはアルゴリズムごとに固定で、元データの長さに比例しない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.1(暗号化技術:ハッシュ関数)・SBO 6.2.3(完全性の確保)

問18|ハイブリッド暗号

SSL/TLSなどで用いられるハイブリッド暗号方式の説明として適切なのはどれか。

  1. データ本体の暗号化は高速な共通鍵暗号で行い、その共通鍵の受け渡しに公開鍵暗号を使う
  2. データ本体の暗号化は公開鍵暗号で行い、その公開鍵の受け渡しに共通鍵暗号を使う方式である
  3. すべての通信を2種類の共通鍵で二重に暗号化する
  4. 公開鍵と秘密鍵を通信のたびに交換して使い回す
正解と解説
正解:A. データ本体の暗号化は高速な共通鍵暗号で行い、その共通鍵の受け渡しに公開鍵暗号を使う

ハイブリッド方式は両方式の長所を組み合わせたもので、大量のデータ本体は高速な共通鍵暗号で暗号化し、鍵配送問題のある共通鍵の共有にだけ公開鍵暗号を使う。逆の組み合わせでは低速な公開鍵暗号で本体を処理することになり不合理である。二重の共通鍵暗号化や鍵ペアの使い回しはハイブリッド方式の説明ではない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.1(暗号化技術)・SBO 6.2.10(SSL/TLS)

問19|認証局

公開鍵基盤(PKI)における認証局(CA)の役割として適切なのはどれか。

  1. 通信データを暗号化して安全に送信する
  2. 利用者のパスワードを一元的に管理し、認証の可否を判定する
  3. 本人確認のうえで公開鍵証明書を発行し、失効を管理する
  4. ネットワークへの不正な侵入を検知して自動的に遮断する
正解と解説
正解:C. 本人確認のうえで公開鍵証明書を発行し、失効を管理する

認証局(CA)は、申請者の本人確認を行ったうえで公開鍵と持ち主の対応を保証する公開鍵証明書(電子証明書)を発行し、失効の管理も行う。これにより公開鍵のなりすましを防ぐ。データの暗号化は利用者側の処理、パスワードの一元管理は認証サーバ、不正侵入の検知・遮断はIDS/IPSの役割である。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.6(公開鍵基盤(PKI))

問20|HPKI

HPKI(保健医療福祉分野の公開鍵基盤)の説明として適切なのはどれか。

  1. 政府職員の身分を証明する政府認証基盤である
  2. Webサイトの実在性を証明するためのSSLサーバ用証明書を発行する公開鍵基盤である
  3. 無線LANの暗号化方式の一つである
  4. 医師・薬剤師などの国家資格や管理者の資格を電子証明書で証明できる公開鍵基盤である
正解と解説
正解:D. 医師・薬剤師などの国家資格や管理者の資格を電子証明書で証明できる公開鍵基盤である

HPKIは保健医療福祉分野の公開鍵基盤で、医師・薬剤師などの国家資格や施設管理者の資格を電子証明書で証明でき、電子署名などに用いられる。政府認証基盤はGPKIであり、SSLサーバ用証明書はWebサーバの証明に使う別の仕組み、無線LANの暗号化方式はWPA2などでいずれもHPKIの説明ではない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.6(公開鍵基盤(PKI):HPKI)

問21|TLS

WebブラウザとWebサーバ間の通信をSSL/TLSで保護するプロトコルはどれか。

  1. HTTPS
  2. SMTP
  3. DHCP
  4. FTP
正解と解説
正解:A. HTTPS

HTTPSは、HTTPによるWeb通信をSSL/TLSで暗号化して保護するプロトコルで、サーバ証明書による通信相手の確認と通信内容の暗号化を行う。SMTPはメール送信、DHCPはIPアドレスの自動割当て、FTPはファイル転送のプロトコルであり、いずれもWeb通信の保護を目的としたものではない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.10(セキュアな情報通信を確保する技術:HTTPS、SSL/TLS)

問22|多要素認証

多要素認証に該当するものはどれか。

  1. 2種類のパスワードを続けて入力させる
  2. 異なる2つのシステムに同じパスワードでログインする
  3. ICカードとパスワードを組み合わせて認証する
  4. 秘密の質問を2問答えさせる
正解と解説
正解:C. ICカードとパスワードを組み合わせて認証する

多要素認証は、知識(パスワード)・所持(ICカード等)・生体(指紋等)のうち異なる要素を2つ以上組み合わせる認証で、ICカード(所持)とパスワード(知識)の併用が該当する。パスワード2種類や秘密の質問2問はいずれも知識という同じ要素の繰り返しであり、多要素にはならない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.2(代表的なユーザ認証技術)

問23|生体認証

生体認証の特徴として適切なのはどれか。

  1. パスワードのように忘れる心配はないが、本人拒否や他人受入の誤りをゼロにはできない
  2. 認証に使う情報を紛失した場合は再発行を受ければよい
  3. 判定は常に正確で、本人拒否や他人受入の誤りは発生しない
  4. ICカードと同様に、他人へ貸し出して代理で認証を受けてもらうことができる仕組みである
正解と解説
正解:A. パスワードのように忘れる心配はないが、本人拒否や他人受入の誤りをゼロにはできない

生体認証は指紋・静脈・虹彩など身体的特徴を使うため忘失や紛失の心配がない一方、本人を誤って拒否する誤りと他人を誤って受け入れる誤りを完全になくすことはできない。身体的特徴はパスワードのように再発行できず、他人への貸与もできないため、他の選択肢は生体認証の特徴として誤っている。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.2(代表的なユーザ認証技術:生体認証)

問24|OTP

盗聴されたパスワードの再利用による不正ログインを防ぐのに有効な認証方式はどれか。

  1. 固定パスワードを暗号化せずに送る認証
  2. 利用者IDだけによる認証
  3. パスワードを平文のままICカードに保存する認証
  4. ワンタイムパスワード認証
正解と解説
正解:D. ワンタイムパスワード認証

ワンタイムパスワード認証は一度しか使えない使い捨てのパスワードを用いるため、通信を盗聴されても同じ値での再ログインができない。チャレンジ/レスポンス認証も同様の効果を持つ。固定パスワードの平文送信やIDのみの認証は盗聴・推測に弱く、平文でのカード保存は漏えい時にそのまま悪用される。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.2(代表的なユーザ認証技術:ワンタイムパスワード認証)

問25|SSO

シングルサインオン(SSO)の説明として適切なのはどれか。

  1. 1回の認証で連携する複数のシステムやサービスを利用できる仕組み
  2. 1つのシステムに同時にログインできる利用者を1人に制限する仕組み
  3. パスワードを毎回変更させる仕組み
  4. 1台の端末を複数の利用者で共用する仕組み
正解と解説
正解:A. 1回の認証で連携する複数のシステムやサービスを利用できる仕組み

シングルサインオンは、一度の認証で連携する複数のシステムを追加の認証なしに利用できる仕組みで、利便性が高まりパスワード管理の負担も減る。一方、認証情報が破られると影響範囲が広がるため認証基盤の保護が重要になる。同時ログインの制限、パスワードの定期変更、端末の共用はいずれもSSOの説明ではない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 8.2.3(認証手法の管理:シングルサインオン)

問26|アクセス制御

情報システムのアクセス権限管理の考え方として最も適切なのはどれか。

  1. 管理を簡単にするため、全職員に一律で管理者権限を付与する
  2. 職務上必要な範囲に限って権限を付与し、アクセスの記録を監査ログとして残す
  3. 退職者や異動者のアカウントは削除せずに、そのまま利用できる状態で残しておく
  4. 監査ログは記憶容量を節約するため取得も保存も行わない
正解と解説
正解:B. 職務上必要な範囲に限って権限を付与し、アクセスの記録を監査ログとして残す

アクセス制御の基本は、職務上必要な範囲に限って権限を与える最小権限の考え方と、監査ログによるアクセス記録の保存である。ログは不正の抑止と事後の追跡に不可欠となる。全員への管理者権限付与や退職者アカウントの放置は不正アクセスの温床になり、監査ログを取得しない運用は責任追跡性を損なう。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 8.2.2(アクセス管理)・SBO 6.2.9(アクセス制御)

問27|DMZ

外部に公開するWebサーバの設置場所として最も適切なのはどれか。

  1. 電子カルテサーバと同じ内部ネットワーク
  2. ファイアウォールを介さずにインターネットへ直接接続された外部の区画
  3. ファイアウォールにより内部・外部ネットワークから分離されたDMZ
  4. 利用者の端末と同じセグメント
正解と解説
正解:C. ファイアウォールにより内部・外部ネットワークから分離されたDMZ

外部公開サーバは、ファイアウォールで外部・内部の両方から分離された緩衝地帯であるDMZに置く。公開サーバが攻撃を受けて侵入されても、内部ネットワークへ直接到達させないためである。内部ネットワークや端末セグメントへの設置は侵入時の被害を内部に広げ、ファイアウォールなしの直結は無防備になる。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.9(ファイアウォールとフィルタリング技術:DMZ)

問28|IDSとIPS

侵入検知システム(IDS)と侵入防止システム(IPS)の違いとして適切なのはどれか。

  1. IDSは不正な通信を遮断し、IPSは検知と通知のみを行う
  2. IDSは無線LAN専用の装置であり、IPSは有線LAN専用の装置として使い分けるものである
  3. IDSはウイルスの駆除を行い、IPSは通信の暗号化を行う
  4. IDSは不正な通信の検知・通知までを行い、IPSは検知に加えて遮断などの防御まで自動で行う
正解と解説
正解:D. IDSは不正な通信の検知・通知までを行い、IPSは検知に加えて遮断などの防御まで自動で行う

IDSは不正侵入の兆候となる通信を検知して管理者に通知するまでを行い、IPSは検知に加えて該当通信の遮断などの防御動作まで自動で行う。役割が逆だとする選択肢は誤りで、有線・無線の別による区分でもない。ウイルス駆除はワクチンソフト、暗号化は暗号化技術の役割であり、IDS/IPSの機能ではない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.9(侵入検知システム(IDS)・侵入防止システム(IPS))

問29|VPN

インターネットなどの公衆網上に、暗号化と認証によって仮想的な専用線を構築する技術はどれか。

  1. VPN
  2. DNS
  3. NTP
  4. DHCP
正解と解説
正解:A. VPN

VPNは、公衆網上に暗号化と認証によって仮想的な専用線を作る技術で、IPsec-VPNやSSL-VPNがあり、拠点間接続やリモートアクセスの通信路の保護に使われる。DNSはドメイン名とIPアドレスの対応付け、NTPは時刻同期、DHCPはIPアドレスの自動割当てのプロトコルで、通信路を保護する技術ではない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.10(セキュアな情報通信を確保する技術:VPN)

問30|パッチ適用

公表されたOSのセキュリティホール(脆弱性)を悪用する攻撃への対策として最も直接的なのはどれか。

  1. データのバックアップを毎日取得する
  2. 提供元が配布するセキュリティパッチを速やかに適用する
  3. パスワードの文字数を増やす
  4. ディスプレイにのぞき見を防止するフィルタを取り付ける
正解と解説
正解:B. 提供元が配布するセキュリティパッチを速やかに適用する

セキュリティホールを突く攻撃への直接の対策は、提供元が配布する修正プログラム(セキュリティパッチ)を速やかに適用して脆弱性自体をなくすことである。攻撃の多くはパッチ未適用の既知の脆弱性を悪用する。バックアップは被害後の復旧、パスワード強化は認証、のぞき見防止は物理的対策であり、脆弱性の解消にはならない。

根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(情報処理技術系)v7(2025年7月26日更新)SBO 6.2.8(不正侵入・攻撃への対策:セキュリティホール、セキュリティパッチ)

演習:この章の問題を解く

ランダム出題の演習ツールです(JavaScript が有効な場合に動きます)。上の「確認問題」はそのままでもすべて読めます。

※ 解説は学習用の情報提供です。医療上の助言ではありません。最新の試験実施要項は医療情報技師育成部会の公式発表をご確認ください。
※ 出題は日本医療情報学会 医療情報技師育成部会が公開する「医療情報技師 到達目標」(v7・GIO/SBO/キーワード)に沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題です。医療上の助言ではありません。合格基準は非公開のため、本サイトの到達度は独自の目安です。試験の実施要項は育成部会の公式発表をご確認ください。