日商簿記3級 BOOKKEEPING GRADE 3
売掛金・買掛金と電子記録債権・債務
講義 3 本・確認問題 12 問 | 日々の取引(諸取引の処理) | 最終更新 2026-10-16
この章で学ぶこと- 掛け取引で生まれる売掛金・買掛金の仕訳と、得意先・仕入先ごとに残高を管理する売掛金元帳・買掛金元帳の関係を理解します。
- 電子記録債権・電子記録債務の発生記録と決済の仕訳を、売った側と買った側の両方から書けるようにします。
- 貸倒れが起きたときの処理(債権が生じた時期による違い)と、決算での差額補充法による貸倒引当金の設定を学びます。
- 前期以前に貸倒れ処理した債権を回収したときの償却債権取立益を押さえます。
- 営業外電子記録債権・債務や電子記録債権の譲渡・割引は2級の範囲であることを確かめます。
1. 売掛金・買掛金と売掛金元帳・買掛金元帳
掛け取引で生まれる売掛金・買掛金の仕訳と、取引先ごとに残高を管理する補助元帳を学びます。
商品を売ったとき、代金をその場で受け取らず、あとで受け取る約束をすることがあります。これを「掛け」で売る、といいます。掛けで売ったときに生まれる「あとで代金を受け取る権利」が売掛金です。売掛金は、将来お金が入ってくる権利なので資産です。反対に、商品を掛けで買ったときに生まれる「あとで代金を支払う義務」が買掛金で、これは負債です。
資産は増えたら借方(左)、減ったら貸方(右)に書きます。負債はその逆で、増えたら貸方、減ったら借方です。この決まりに当てはめると、売掛金と買掛金の仕訳は次のようになります(商品売買は三分法で、消費税は考えません)。
売掛金・買掛金の主な仕訳| 取引 | 借方 | 貸方 |
|---|
| 商品 ¥100,000 を掛けで売った | 売掛金 100,000 | 売上 100,000 |
| 売掛金 ¥100,000 が普通預金に振り込まれた | 普通預金 100,000 | 売掛金 100,000 |
| 商品 ¥60,000 を掛けで仕入れた | 仕入 60,000 | 買掛金 60,000 |
| 買掛金 ¥60,000 を普通預金から支払った | 買掛金 60,000 | 普通預金 60,000 |
売掛金元帳・買掛金元帳
総勘定元帳の売掛金勘定を見れば、売掛金が全部でいくらあるかは分かります。しかし、取引先が何社もあると、「どの得意先に、いくら残っているか」は分かりません。そこで、得意先ごとに口座を作って記録する帳簿が売掛金元帳(得意先元帳ともいいます)です。仕入先ごとに買掛金を記録する帳簿は買掛金元帳(仕入先元帳)です。どちらも、主要簿(仕訳帳と総勘定元帳)の記録を詳しく補う補助簿のうち、口座の形をした補助元帳です。
売掛金元帳では、口座の名前に得意先の名前(例:「東京商店」)を使います。これを人名勘定といいます。勘定科目表でも、売掛金・買掛金の許容科目として「〇〇商店」が示されています。問題文で人名勘定を使うよう指示されたときは、「売掛金」の代わりに「東京商店」のように書きます。
大切なのは、同じ取引を総勘定元帳の売掛金勘定と、売掛金元帳の得意先の口座の両方に記入することです。そのため、売掛金元帳の各口座の残高を合計すると、売掛金勘定の残高と一致します。売掛金勘定は、得意先ごとの明細をまとめて管理する勘定なので、統制勘定と呼ばれます。一致しないときは、どこかで記入漏れや金額の誤りがあると分かります。
売掛金を減らす取引は、代金の回収だけではありません。品違いなどで商品が返品されたときは売上を取り消すので、(借)売上/(貸)売掛金 となり、売掛金が減ります。次の講義で学ぶ電子記録債権の発生記録をしたときも、売掛金は電子記録債権に変わるので減ります。売掛金元帳に記入するときは、これらの減少も忘れずに得意先の口座の貸方に書きます。
売掛金元帳(東京商店)の記入例| 日付 | 摘要 | 借方 | 貸方 | 残高 |
|---|
| 4/1 | 前月繰越 | 80,000 | | 80,000 |
| 4/8 | 売上 | 150,000 | | 230,000 |
| 4/10 | 返品 | | 10,000 | 220,000 |
| 4/25 | 普通預金で回収 | | 120,000 | 100,000 |
なお、クレジットカードやキャッシュレス決済で売ったときの債権は、得意先ではなく決済会社に対する債権なので、売掛金と区別して「クレジット売掛金」で処理します(商品売買の章で学びます)。
例題
例題:得意先は東京商店と大阪商店の2つだけです。月末の売掛金元帳の残高は、東京商店 ¥100,000、大阪商店 ¥65,000 でした。総勘定元帳の売掛金勘定の月末残高はいくらになるはずですか。
答えと考え方 ¥165,000。売掛金勘定は統制勘定で、売掛金元帳の各口座の残高の合計(100,000+65,000)と一致します。もし売掛金勘定が別の金額なら、記入の誤りを探します。
用語
- 売掛金
- 商品を掛けで売ったときの、あとで代金を受け取る権利(資産)。
- 買掛金
- 商品を掛けで買ったときの、あとで代金を支払う義務(負債)。
- 売掛金元帳
- 得意先ごとに売掛金の増減と残高を記録する補助元帳。得意先元帳ともいう。
- 人名勘定
- 得意先や仕入先の名前を口座名にした勘定。
- 統制勘定
- 補助元帳の明細をまとめる総勘定元帳の勘定。売掛金勘定や買掛金勘定のこと。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 3 ア・イ、第一 4 イ/商業簿記標準・許容勘定科目表(2〜3級)2027年度適用(3級:売掛金・買掛金、許容科目〇〇商店)
2. 電子記録債権・電子記録債務の発生と消滅
手形にかわって大切になった電子記録債権・債務について、発生記録と決済の仕訳を、売った側・買った側の両方から確認します。
2027年4月1日以降の試験から、紙の手形・小切手は3級の出題範囲からなくなります(2026年7月31日公表の2027年度適用区分表による)。かわりに大切になるのが電子記録債権と電子記録債務です。日本商工会議所の説明書では、電子記録債権・債務は売掛金や買掛金が形を変えたものと考えられるため、出題区分表の「売掛金および買掛金ならびに電子記録債権等」の項目にまとめられた、とされています。
電子記録債権とは
電子記録債権法では、電子記録債権を「その発生又は譲渡についてこの法律の規定による電子記録を要件とする金銭債権」と定めています。つまり、紙の証書ではなく、電子債権記録機関(同法にもとづき主務大臣の指定を受け、記録原簿に電子記録を行う株式会社。同法第2条第2項・第3条)の記録によって成り立つ、お金を受け取る権利です。電子記録債権は発生記録をすることで生まれます(同法第15条)。会社は取引銀行などを通じて、この記録を請求します。
たとえば、得意先に対して売掛金があるとき、得意先の承諾を得て電子記録債権の発生記録を行うと、売掛金は電子記録債権(資産)に変わります。得意先の側から見ると、買掛金が電子記録債務(負債)に変わります。支払期日が来て代金が口座間で決済されると、電子記録債権・債務はなくなります。
電子記録債権・債務の仕訳(金額 ¥200,000 の例)| 場面 | 債権者(売った側) | 債務者(買った側) |
|---|
| 発生記録をした | (借)電子記録債権 200,000/(貸)売掛金 200,000 | (借)買掛金 200,000/(貸)電子記録債務 200,000 |
| 支払期日に口座で決済された | (借)普通預金 200,000/(貸)電子記録債権 200,000 | (借)電子記録債務 200,000/(貸)当座預金 200,000 |
ポイントは2つです。1つ目は、発生記録をしたとき売上や仕入は増えないことです。売上・仕入は掛けで売買したときにすでに記録しています。発生記録は、売掛金・買掛金という「形」を電子記録債権・債務に変えるだけです。2つ目は、決済のときは電子記録債権・債務を減らすことです。売掛金・買掛金はすでに減っているので、決済のときに売掛金・買掛金を減らすのは誤りです。
入金・出金の口座は問題文に従います。説明書では、小切手がなくなっても、電子記録債務の支払いに当座預金口座が金融機関から求められることがある、と説明されています。
3級で扱わないこと
2027年度の区分表の3級の欄にあるのは「電子記録債権、電子記録債務」です。次のものは2級の範囲なので、このラボでは扱いません。
電子記録債権に関する出題範囲(2027年度適用)| 内容 | 級 |
|---|
| 売掛金・買掛金から生じる電子記録債権・債務の発生と決済 | 3級 |
| 営業外電子記録債権・営業外電子記録債務(固定資産の売買などから生じるもの) | 2級 |
| 電子記録債権の譲渡、割引 | 2級 |
| 電子記録債権が期日に決済されなかった場合の処理 | 出題範囲に示されていない |
2027年3月31日までに受験する人へ 2026年度の試験は、2022年度版の出題区分表(2026年度の試験まで適用)で出題されます。旧版の範囲には受取手形・支払手形など手形の処理が含まれるので、受験日に合わせて公式の区分表を確かめてください。
例題
例題:当社は、仕入先の横浜商店に対する買掛金 ¥90,000 について、取引銀行を通じて電子記録債務の発生記録を行いました。仕訳を答えなさい。
答えと考え方 (借)買掛金 90,000/(貸)電子記録債務 90,000。支払う義務が「買掛金」から「電子記録債務」に変わるだけなので、負債の買掛金を借方で減らし、負債の電子記録債務を貸方で増やします。仕入は増えません。
用語
- 電子記録債権
- 電子債権記録機関への電子記録によって発生・譲渡する金銭債権。簿記では資産の勘定。
- 電子記録債務
- 電子記録債権に対応して支払う義務。簿記では負債の勘定。
- 発生記録
- 電子記録債権を発生させるための記録。
- 電子債権記録機関
- 電子記録債権法にもとづき主務大臣の指定を受け、記録原簿に電子記録を行う株式会社。
- 決済
- 支払期日に代金が支払われ、債権・債務がなくなること。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 3 エ/日本商工会議所「改定項目等の説明書(紙媒体の手形・小切手の廃止、リース会計基準の適用)」確定版(2026年7月31日)(第二 3 の改定内容)/商業簿記標準・許容勘定科目表(2〜3級)2027年度適用(3級:電子記録債権・電子記録債務。営業外電子記録債権・債務は2級)/電子記録債権法(平成19年法律第102号、e-Gov法令検索) 第2条・第3条・第15条/日本商工会議所「2027年度適用の商工会議所簿記検定試験出題区分表等(確定版)」
3. 貸倒れと貸倒引当金・償却債権取立益
債権が回収できなくなったときの処理と、決算で貸倒れに備える差額補充法、あとで回収できたときの処理を学びます。
売掛金や電子記録債権は、得意先が倒産すると回収できなくなることがあります。回収できなくなることを貸倒れといいます。3級では、貸倒れの処理と、将来の貸倒れに備える貸倒引当金(実績法)を学びます。
決算での貸倒引当金の設定(差額補充法)
決算では、期末の売掛金と電子記録債権の残高のうち、次の期に回収できなくなりそうな金額を見積もります。3級では、過去の貸倒れの実績などから決めた設定率(例:2%)を問題文で示し、「期末残高×設定率」で見積額を計算します。
差額補充法では、見積額と、決算前に残っている貸倒引当金の残高との差額だけを計上します。
差額補充法の仕訳| 場合 | 仕訳 |
|---|
| 見積額 > 引当金の残高 | (借)貸倒引当金繰入/(貸)貸倒引当金(差額) |
| 見積額 < 引当金の残高 | (借)貸倒引当金/(貸)貸倒引当金戻入(差額) |
| 見積額 = 引当金の残高 | 仕訳なし |
貸倒引当金は、売掛金などから差し引く性質の勘定(評価勘定)なので、増えたら貸方に書きます。貸倒引当金繰入は費用、貸倒引当金戻入は収益です。
貸倒れが起きたとき
貸倒れが起きたら、回収できない売掛金などを貸方で減らします。借方の科目は、その債権がいつ生じたかで変わります。
貸倒れの仕訳(売掛金 ¥50,000 が貸倒れ、引当金の残高 ¥30,000 の場合)| 債権が生じた時期 | 仕訳 |
|---|
| 前期以前(前期末に引当金を設定した対象) | (借)貸倒引当金 30,000、貸倒損失 20,000/(貸)売掛金 50,000 |
| 当期(引当金を設定していない) | (借)貸倒損失 50,000/(貸)売掛金 50,000 |
前期以前の債権には備えとして引当金を設定してあるので、まず貸倒引当金を取り崩し、足りない部分を貸倒損失(費用)にします。当期に生じた債権は、前期末の引当金の対象ではないので、全額を貸倒損失にします。
償却債権取立益
前期以前に貸倒れとして処理した債権を、あとで回収できることがあります。その債権はもう帳簿から消えているので、売掛金を減らすことはできません。回収した金額は償却債権取立益(収益)として、(借)現金など/(貸)償却債権取立益 と仕訳します。区分表の「収益と費用」の項目にも、貸倒損失と償却債権取立益が示されています。
例題
例題:期末の売掛金 ¥500,000、電子記録債権 ¥300,000 に対して、2%の貸倒引当金を差額補充法で設定します。貸倒引当金の残高は ¥6,000 です。決算整理の仕訳を答えなさい。
答えと考え方 見積額は(500,000+300,000)×2%=16,000円。残高 6,000円との差額 10,000円を繰り入れます。(借)貸倒引当金繰入 10,000/(貸)貸倒引当金 10,000。
用語
- 貸倒れ
- 得意先の倒産などで、売掛金などが回収できなくなること。
- 貸倒引当金
- 将来の貸倒れに備えて見積もった金額。売掛金などから差し引く評価勘定。
- 差額補充法
- 見積額と引当金の残高との差額だけを繰り入れ(または戻し入れ)る方法。
- 貸倒損失
- 引当金で足りない貸倒れや、当期に生じた債権の貸倒れを処理する費用。
- 償却債権取立益
- 前期以前に貸倒れ処理した債権を回収したときの収益。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 5 ア(貸倒引当金(実績法))、第二 18(貸倒損失・償却債権取立益)、第三 3(貸倒見積り)/商業簿記標準・許容勘定科目表(2〜3級)2027年度適用(3級:貸倒引当金、貸倒引当金繰入、貸倒引当金戻入、貸倒損失、償却債権取立益)
確認問題(12問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|電子記録債権の発生(債権者)
〔仕訳〕得意先の福岡商店に対する売掛金 ¥250,000 について、同店の承諾を得て、取引銀行を通じて電子記録債権の発生記録を行った。正しい仕訳はどれか。
- (借)当座預金 250,000/(貸)売掛金 250,000
- (借)売掛金 250,000/(貸)電子記録債権 250,000
- (借)電子記録債権 250,000/(貸)売掛金 250,000
- (借)電子記録債権 250,000/(貸)売上 250,000
正解と解説
問2|電子記録債務の発生(債務者)
〔仕訳〕仕入先の横浜商店に対する買掛金 ¥180,000 の支払いのため、取引銀行を通じて電子記録債務の発生記録を行った。正しい仕訳はどれか。
- (借)買掛金 180,000/(貸)電子記録債務 180,000
- (借)電子記録債務 180,000/(貸)買掛金 180,000
- (借)仕入 180,000/(貸)電子記録債務 180,000
- (借)買掛金 180,000/(貸)当座預金 180,000
正解と解説
問3|電子記録債務の決済
〔仕訳〕前月に発生記録を行った電子記録債務 ¥180,000 の支払期日が到来し、当座預金口座から支払われた。正しい仕訳はどれか。
- (借)買掛金 180,000/(貸)当座預金 180,000
- (借)当座預金 180,000/(貸)電子記録債務 180,000
- (借)電子記録債権 180,000/(貸)当座預金 180,000
- (借)電子記録債務 180,000/(貸)当座預金 180,000
正解と解説
問4|当期に生じた売掛金の貸倒れ
〔仕訳〕当期に商品を販売して生じた得意先の売掛金 ¥40,000 が、得意先の倒産により回収できなくなった。貸倒引当金の残高は ¥30,000 ある。正しい仕訳はどれか。
- (借)貸倒引当金 30,000、貸倒損失 10,000/(貸)売掛金 40,000
- (借)貸倒損失 40,000/(貸)売掛金 40,000
- (借)貸倒引当金 40,000/(貸)売掛金 40,000
- (借)貸倒引当金繰入 40,000/(貸)売掛金 40,000
正解と解説
正解:B. (借)貸倒損失 40,000/(貸)売掛金 40,000当期に生じた売掛金は、前期末に設定した貸倒引当金の対象ではないので、全額を貸倒損失(費用)にします。引当金 ¥30,000 を取り崩して残りを貸倒損失にする仕訳は、前期以前の債権の場合の処理です。引当金を ¥40,000 取り崩す仕訳は、債権の時期を誤り、残高も超えています。貸倒引当金繰入は決算で引当金を設定するときの科目で、貸倒れの処理には使いません。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 5 ア、第二 18
問5|前期の売掛金の貸倒れ
〔仕訳〕前期に商品を販売して生じた売掛金 ¥90,000 が、得意先の倒産により回収できなくなった。貸倒引当金の残高は ¥60,000 ある。正しい仕訳はどれか。
- (借)貸倒損失 90,000/(貸)売掛金 90,000
- (借)貸倒引当金 90,000/(貸)売掛金 90,000
- (借)貸倒引当金 60,000、貸倒引当金繰入 30,000/(貸)売掛金 90,000
- (借)貸倒引当金 60,000、貸倒損失 30,000/(貸)売掛金 90,000
正解と解説
正解:D. (借)貸倒引当金 60,000、貸倒損失 30,000/(貸)売掛金 90,000前期に生じた売掛金には前期末に引当金を設定しているので、まず貸倒引当金 ¥60,000 を取り崩し、足りない ¥30,000 を貸倒損失にします。全額を貸倒損失にする仕訳は、引当金を使っていません。引当金を ¥90,000 取り崩す仕訳は、残高 ¥60,000 を超えています。不足分を貸倒引当金繰入にする仕訳は、繰入が決算で引当金を設定するときの科目なので誤りです。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 5 ア、第二 18
問6|償却債権取立益
〔仕訳〕前期に貸倒れとして処理した売掛金 ¥50,000 のうち、¥20,000 を現金で回収した。正しい仕訳はどれか。
- (借)現金 20,000/(貸)償却債権取立益 20,000
- (借)現金 20,000/(貸)売掛金 20,000
- (借)現金 20,000/(貸)貸倒引当金 20,000
- (借)現金 20,000/(貸)貸倒引当金戻入 20,000
正解と解説
正解:A. (借)現金 20,000/(貸)償却債権取立益 20,000前期に貸倒れ処理した売掛金は帳簿から消えているので、回収額は償却債権取立益(収益)にします。売掛金を減らす仕訳は、もう残っていない売掛金を減らすことになり誤りです。貸倒引当金を増やす仕訳は、回収を将来の備えと取り違えています。貸倒引当金戻入は、決算で見積額が引当金の残高より少ないときに使う科目です。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 18(償却債権取立益)
問7|貸倒引当金の設定(差額補充法)
〔仕訳〕決算において、売掛金の期末残高 ¥600,000 と電子記録債権の期末残高 ¥400,000 に対して、2%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。貸倒引当金の残高は ¥8,000 である。正しい仕訳はどれか。
- (借)貸倒引当金繰入 20,000/(貸)貸倒引当金 20,000
- (借)貸倒引当金 12,000/(貸)貸倒引当金繰入 12,000
- (借)貸倒引当金繰入 12,000/(貸)貸倒引当金 12,000
- (借)貸倒引当金繰入 4,000/(貸)貸倒引当金 4,000
正解と解説
正解:C. (借)貸倒引当金繰入 12,000/(貸)貸倒引当金 12,000見積額は(600,000+400,000)×2%=¥20,000。残高 ¥8,000 との差額 ¥12,000 を繰り入れます。¥20,000 を繰り入れる仕訳は、残高を差し引いていません。貸倒引当金を借方にする仕訳は貸借が逆です。¥4,000 は、売掛金だけ(600,000×2%=12,000)で見積もった誤りで、電子記録債権も設定の対象です。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 5 ア、第三 3(貸倒見積り)
問8|戻入の計算
〔計算〕決算において、売掛金の期末残高 ¥450,000 と電子記録債権の期末残高 ¥150,000 に対して、2%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。貸倒引当金の残高は ¥15,000 である。決算整理で計上する科目と金額の組み合わせとして正しいものはどれか。
- 貸倒引当金繰入 ¥3,000
- 貸倒引当金戻入 ¥3,000
- 貸倒引当金戻入 ¥6,000
- 貸倒引当金繰入 ¥12,000
正解と解説
正解:B. 貸倒引当金戻入 ¥3,000見積額は(450,000+150,000)×2%=¥12,000。残高 ¥15,000 のほうが ¥3,000 多いので、(借)貸倒引当金 3,000/(貸)貸倒引当金戻入 3,000 とし、収益の貸倒引当金戻入 ¥3,000 を計上します。繰入 ¥3,000 は、残高が多すぎるのに繰り入れる誤りです。戻入 ¥6,000 は、売掛金だけ(450,000×2%=9,000)で見積もった誤りです。繰入 ¥12,000 は、残高を考えずに見積額をそのまま計上した誤りです。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 5 ア、第三 3(貸倒見積り)
問9|期中の貸倒れと決算の繰入額
〔計算〕期首の貸倒引当金の残高は ¥25,000 であった。期中に、前期に生じた売掛金 ¥18,000 が貸倒れとなり、貸倒引当金を取り崩して処理した。期末の売掛金 ¥700,000 と電子記録債権 ¥300,000 に対して、3%の貸倒引当金を差額補充法で設定するとき、貸倒引当金繰入の金額はいくらか。
- ¥5,000
- ¥14,000
- ¥30,000
- ¥23,000
正解と解説
正解:D. ¥23,000期中の取り崩しで、決算前の残高は 25,000-18,000=¥7,000。見積額は(700,000+300,000)×3%=¥30,000 なので、繰入額は 30,000-7,000=¥23,000。¥5,000 は、期中の取り崩しを忘れて期首の残高 ¥25,000 を差し引いた誤りです。¥14,000 は、売掛金だけ(700,000×3%=21,000)で見積もった誤りです。¥30,000 は、残高を差し引かずに見積額をそのまま計上した誤りです。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 5 ア、第三 3(貸倒見積り)
問10|売掛金元帳と売掛金勘定
〔計算〕得意先は東京商店と大阪商店の2つだけである。当月の売掛金に関する取引は次のとおり。東京商店:前月繰越 ¥120,000、掛け売上 ¥300,000、品違いによる返品 ¥10,000、普通預金での回収 ¥250,000。大阪商店:前月繰越 ¥80,000、掛け売上 ¥200,000、同店の承諾を得て電子記録債権の発生記録 ¥150,000、普通預金での回収 ¥60,000。月末の売掛金勘定の残高はいくらか。
- ¥230,000
- ¥240,000
- ¥380,000
- ¥390,000
正解と解説
正解:A. ¥230,000東京商店は 120,000+300,000-10,000-250,000=¥160,000、大阪商店は 80,000+200,000-150,000-60,000=¥70,000。売掛金勘定(統制勘定)の残高は2つの合計で ¥230,000 です。¥240,000 は返品で売掛金が減ることを忘れた誤りです。¥380,000 は電子記録債権の発生記録で売掛金が減ることを忘れた誤りです。¥390,000 は返品と発生記録の両方を忘れた誤りです。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 3 イ・エ、第二 7 エ(返品)
問11|売掛金元帳の役割
〔読み取り〕売掛金元帳(得意先元帳)についての説明として、正しいものはどれか。
- 総勘定元帳の一部であり、売掛金勘定のかわりに使う帳簿である
- 各得意先の口座の残高の合計は、売掛金勘定の残高と一致する
- 売掛金が増えた取引だけを記入し、減った取引は記入しない
- 各得意先の口座の残高は、その得意先から受け取った現金の合計を表す
正解と解説
正解:B. 各得意先の口座の残高の合計は、売掛金勘定の残高と一致する売掛金元帳には、売掛金勘定と同じ取引を得意先ごとに記入するので、各口座の残高の合計は売掛金勘定(統制勘定)の残高と一致します。売掛金元帳は総勘定元帳を補う補助元帳で、売掛金勘定のかわりにはなりません。回収・返品など売掛金が減った取引も貸方に記入します。口座の残高は、まだ回収していない売掛金の額で、受け取った現金の合計ではありません。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 3 イ、第一 4 イ
問12|貸倒引当金勘定の読み取り
〔読み取り〕ある会社の当期の貸倒引当金勘定には、次の記入がある。借方:9/10 売掛金 ¥14,000、3/31 次期繰越 ¥26,000。貸方:4/1 前期繰越 ¥20,000、3/31 貸倒引当金繰入(金額は空欄)。この勘定の読み取りとして正しいものはどれか。
- 9/10は当期に生じた売掛金の貸倒れの記入で、繰入額は ¥6,000
- 9/10は貸倒引当金を新しく設定した記入で、繰入額は ¥26,000
- 9/10は前期以前の売掛金の貸倒れに引当金を充てた記入で、繰入額は ¥20,000
- 9/10は償却済みの債権を回収した記入で、繰入額は ¥40,000
正解と解説
正解:C. 9/10は前期以前の売掛金の貸倒れに引当金を充てた記入で、繰入額は ¥20,000借方の「売掛金 ¥14,000」は、前期以前の売掛金が貸倒れ、貸倒引当金を取り崩した記入です。決算前の残高は 20,000-14,000=¥6,000、期末の残高(次期繰越)が ¥26,000 なので、繰入額は 26,000-6,000=¥20,000 です。当期に生じた売掛金の貸倒れは貸倒損失で処理するので、引当金には記入されません(¥6,000 は取り崩しを無視した差額)。引当金の設定は貸方に記入するので、借方の9/10は設定ではありません(¥26,000 は期末残高そのもの)。償却済み債権の回収は償却債権取立益で処理し、引当金には記入しません(¥40,000 は取り崩しを足してしまった誤り)。
根拠:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2027年度適用) 第二 5 ア、第三 3(貸倒見積り)
演習:この章の問題を解く
ランダム出題の演習ツールです(JavaScript が有効な場合に動きます)。上の「確認問題」はそのままでもすべて読めます。
※ 解説は学習用の情報提供です。出題範囲・配点・試験の実施方法は、必ず日本商工会議所の公式発表をご確認ください。
※ 問題はすべて日本商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表」(2027年度適用)に沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題で、本試験の問題ではありません。