仮の宿 学習室

応用情報技術者 APPLIED IT ENGINEER

経営戦略と企業法務

講義 5 本・確認問題 50 問 | 本試験では「ストラテジ系」(20問)の一部 | 最終更新 2026-09-24

この章で学ぶこと
目次
  1. 経営戦略と競争優位
  2. マーケティングと技術戦略
  3. ビジネスインダストリと生産・在庫・品質
  4. 会計と財務を数字で読む
  5. 企業法務と標準化
  6. 確認問題(50問)
  7. 演習ツール

1. 経営戦略と競争優位

会社がどの市場でどう戦うかを決めるとき、どの分析道具をどの場面で使うのかが分かります。

経営戦略とは、限りある経営資源をどこに集中させ、どの市場で誰に対してどう勝つかを決めた筋道のことです。戦略がないと、目の前の案件に人と金が散らばり、どれも中途半端になります。応用情報では用語の暗記ではなく、「この状況ではどの分析を使うか」「その分析から何が言えるか」が問われます。だから道具ごとに、何を軸にして何を見ているのかを押さえるのが近道です。

外部と内部を同時に見る道具がSWOT分析です。自社の内部を強み(Strength)と弱み(Weakness)に、外部環境を機会(Opportunity)と脅威(Threat)に分けて整理します。強みと機会を掛け合わせて攻める、弱みと脅威が重なるところは撤退や回避を考える、というように、掛け合わせて戦略の案を出すところまでが分析の目的です。外部だけを広く見るならPEST分析で、政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)の四つの切り口からマクロ環境を洗い出します。市場と競合と自社の三者を見るなら3C分析で、顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)を突き合わせ、顧客が求めていて競合が満たせず自社が提供できる領域を探します。

業界そのものの儲けやすさを見る道具がファイブフォース分析です。業界内の既存の競合企業どうしの敵対関係を中心に、新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力の五つの力で業界構造を評価します。五つの力が強いほど利益は圧迫されます。たとえば買い手が少数の大企業に集中していれば値下げを迫られやすく、参入障壁が低ければ新しい競合が次々に現れて価格競争になります。分析の結論は「この業界に入るか」だけでなく、「どの力を弱める手を打つか」にもつながります。

自社の中を見る道具がバリューチェーン分析です。事業活動を、購買物流・製造・出荷物流・販売やマーケティング・サービスといった主活動と、全般管理・人事労務管理・技術開発・調達活動といった支援活動に分解し、どの活動でどれだけの価値とコストが生まれているかを調べます。価値を生んでいる活動には投資を厚くし、価値を生んでいない活動は外部委託や廃止を検討します。経営資源が競争優位の源泉になるかを見る枠組みがVRIO分析で、経済価値(Value)・希少性(Rarity)・模倣困難性(Inimitability)・組織(Organization)の四つの問いに順に答えていきます。四つすべてを満たす資源が、長く続く競争優位を生みます。他社がまねできず顧客価値に直結する中核的な能力をコアコンピタンスといい、そこに資源を集中し、それ以外はアウトソーシングするという判断につながります。

複数の事業を抱える会社が、どこに投資しどこから引き揚げるかを決める道具がPPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)です。縦軸に市場成長率、横軸に相対的市場占有率を取り、四つの象限に事業を置きます。成長率も占有率も高い花形は資金を生むが成長のために資金も食うので収支は均衡しがちです。成長率が下がっても占有率が高い金のなる木は、追加投資が少なくて済むため資金の供給源になります。成長率が高いのに占有率が低い問題児は、資金を投入して花形に育てるか撤退するかを決める対象です。どちらも低い負け犬は撤退や売却を検討します。基本の筋は、金のなる木で稼いだ資金を問題児に回して花形に育てる、という資金の流れを作ることです。

事業をどう広げるかを整理したのがアンゾフの成長マトリクスです。製品を既存と新規、市場を既存と新規に分けた四つの組合せで、既存製品を既存市場に売る市場浸透、既存製品を新しい市場に売る新市場開拓、新製品を既存市場に売る新製品開発、新製品を新市場に売る多角化に分かれます。右下の多角化ほど、知らない製品を知らない顧客に売ることになるのでリスクが高くなります。競争のしかたでは、価格や品質で他社と正面から戦う競争戦略のほかに、競争のない新しい市場そのものを作り出すブルーオーシャン戦略という考え方があります。

自前でそろわない資源を外から得る手段が、M&Aとアライアンスです。M&A(合併・買収)は相手の会社や事業そのものを手に入れるので、技術や顧客基盤を一気に取り込めて意思決定も一本化できますが、多額の資金が要り、企業文化の統合に失敗すると期待した効果が出ません。買収後の統合作業をPMIといいます。アライアンス(提携)は資本関係を持たない業務提携から、互いに出資し合う資本提携、共同で新会社を設立する合弁(ジョイントベンチャー)まで幅があります。手を組む相手を変えやすく投資も小さくて済む反面、相手を支配できないので主導権を握りにくく、ノウハウが流出する恐れもあります。判断は「速さと支配力が要るならM&A、身軽さとリスク分散が要るならアライアンス」と押さえます。

資源を外に出す形も整理しておきましょう。アウトソーシングは自社の業務を外部の専門事業者に委託することで、コアコンピタンス以外に人を割かずに済みます。BPOは業務プロセスをまとめて外部に委ねる形態です。シェアードサービスはグループ各社に散らばっていた経理や人事などの間接業務を一つの組織に集約する社内の取組みで、外部に出すアウトソーシングとは向きが逆である点に注意します。新しい事業や企業を育てる支援を行う組織や仕組みをインキュベーターといいます。

経営戦略の主な分析手法の使い分け(何を軸に、何を見るか)
手法見る対象軸・観点分析の結論として出るもの
SWOT分析内部と外部の両方強み・弱み・機会・脅威掛け合わせから導く戦略の候補
PEST分析外部(マクロ環境)政治・経済・社会・技術自社では変えられない前提条件
3C分析市場・競合・自社顧客・競合・自社自社が勝てる領域の絞り込み
ファイブフォース分析外部(業界構造)五つの力の強さその業界の儲けやすさと打つべき手
バリューチェーン分析内部(活動の連鎖)主活動と支援活動価値を生む活動と生まない活動
VRIO分析内部(経営資源)価値・希少性・模倣困難性・組織持続的な競争優位の源泉かどうか
PPM事業の組合せ市場成長率と相対的市場占有率事業間の資源配分と撤退の判断
成長マトリクス成長の方向製品の新旧と市場の新旧四つの成長方向とそのリスクの大小

用語

SWOT分析
自社の内部を強み・弱みに、外部環境を機会・脅威に分けて整理する手法。四つを並べて終わりではなく、強みと機会を掛け合わせるなど組合せから戦略案を導くところまでが目的。
PEST分析
政治・経済・社会・技術の四つの切り口でマクロな外部環境を洗い出す手法。自社では変えられない大きな流れをつかむために使う。
3C分析
顧客・競合・自社の三者を突き合わせて、顧客が求め、競合が満たせず、自社が提供できる領域を探す手法。
ファイブフォース分析
既存競合との敵対関係、新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力の五つの力で業界の構造と収益性を評価する手法。五つの力が強いほど業界の利益は圧迫される。
バリューチェーン分析
事業活動を主活動(購買物流・製造・出荷物流・販売やマーケティング・サービス)と支援活動(全般管理・人事労務管理・技術開発・調達活動)に分解し、どの活動が価値を生んでいるかを調べる手法。
VRIO分析
経営資源が競争優位の源泉になるかを、経済価値・希少性・模倣困難性・組織の四つの問いで評価する枠組み。四つすべてを満たす資源が持続的な競争優位を生む。
コアコンピタンス
他社がまねしにくく、顧客に価値をもたらし、複数の事業に応用できる自社の中核的な能力。ここに資源を集中し、それ以外は外部に委ねるという判断の基準になる。
PPM
プロダクトポートフォリオマネジメント。市場成長率と相対的市場占有率の二軸で事業を花形・金のなる木・問題児・負け犬に分類し、資源配分を決める手法。金のなる木で得た資金を問題児に投じて花形に育てるのが基本の流れ。
金のなる木
市場成長率は低いが相対的市場占有率が高い事業。追加投資が少なくて済むため資金の供給源になり、その資金を成長分野に回す。
問題児
市場成長率は高いが相対的市場占有率が低い事業。資金を投じて花形に育てるか、見込みがなければ撤退するかを判断する対象。
成長マトリクス
アンゾフの成長マトリクス。製品と市場をそれぞれ既存と新規に分け、市場浸透・新市場開拓・新製品開発・多角化の四つの成長方向に整理したもの。多角化がもっともリスクが高い。
ブルーオーシャン戦略
既存市場での価格や品質の争いを避け、競争のない新しい市場空間そのものを作り出す戦略。既存の激しい競争市場はレッドオーシャンと呼ばれる。
M&A
合併と買収。他社や他社の事業を取得して経営資源を一気に手に入れる手段。速さと支配力を得られるが多額の資金を要し、買収後の統合作業(PMI)に失敗すると効果が出ない。
アライアンス
企業どうしの提携。資本関係を持たない業務提携、互いに出資する資本提携、共同出資で新会社を作る合弁(ジョイントベンチャー)などがある。投資が小さく身軽だが相手を支配できない。
シェアードサービス
グループ各社に重複していた経理・人事などの間接業務を一つの組織に集約する社内の取組み。業務を外部に出すアウトソーシングとは向きが逆である。
BPO
ビジネスプロセスアウトソーシング。個々の作業ではなく、業務プロセスをまとまりごと外部の専門事業者に委ねる形態。

例題

例題:市場成長率は低いが相対的市場占有率が高い事業がある。PPMではどこに分類され、その事業に対して取るべき基本の方針は何か。
答えと考え方 金のなる木に分類される。市場が伸びていないので大きな追加投資は要らず、高い占有率のおかげで安定して資金を生む。したがって設備や販促への投資は維持水準に抑え、そこで得た資金を問題児や花形など成長分野に回すのが基本の方針になる。占有率が高いからといって成熟市場に大きく再投資しても、市場そのものが伸びない以上、投じた分の回収は見込みにくい。
例題:部品を供給してくれる会社が一社しかなく、その会社が価格を決めている。ファイブフォースのどの力が強い状態か。この力を弱めるにはどうすればよいか。
答えと考え方 売り手(供給業者)の交渉力が強い状態である。弱める手としては、代替となる供給元を新たに開拓して調達先を複数にする、部品を自社で内製できるようにする、規格品に設計変更して調達先を選べるようにする、といった方法がある。いずれも「その一社でなければ困る」という状態を崩すことがねらいで、値下げ交渉そのものより構造を変えるほうが効く。
例題:自社にない生産技術を短期間で確実に手に入れたい。相手企業の買収と、資本関係を持たない業務提携のどちらを選ぶべきか。判断の観点を述べよ。
答えと考え方 速さと確実な支配力を最優先するなら買収を選ぶ。技術と人材、設備をまとめて取り込め、意思決定も一本化できるからである。ただし多額の資金が必要で、買収後の統合(PMI)で企業文化や業務の食い違いを解消できないと期待した効果は出ない。技術がまだ実用の見込みが不確かで投資を抑えたい、あるいは複数の相手と並行して試したいのであれば、身軽で解消もしやすい業務提携が向く。その代わり相手を支配できないため主導権を握りにくく、自社ノウハウの流出にも備えが要る。

出典・根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

2. マーケティングと技術戦略

誰に何をいくらでどう届けるかを決める枠組みと、新しい技術が世の中に広がるまでの道筋が分かります。

マーケティングは「売り込む技術」ではなく、売れる仕組みを作る活動です。まず市場を似た者どうしのかたまりに分けるセグメンテーション(市場細分化)を行います。分ける軸には、年齢や性別や所得といった人口統計的な軸、地域といった地理的な軸、価値観やライフスタイルといった心理的な軸、購買頻度や利用場面といった行動的な軸があります。次に、分けたかたまりのうちどこを狙うかを決めるターゲティングを行い、最後に、狙った顧客の頭の中で自社の製品をどんな位置づけに置くかを決めるポジショニングを行います。この三段階の頭文字を取ってSTPと呼びます。順番が大事で、狙いを決めないまま製品や価格を考えると、誰にも刺さらないものができます。

狙いが決まったら、売り手側の打ち手を四つに整理します。これがマーケティングミックスの4Pで、製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・販売促進(Promotion)です。四つはばらばらに決めるのではなく、狙った顧客像と矛盾しないようにそろえます。高級路線の製品を安売り店で投げ売りすれば、製品の位置づけそのものが壊れます。この4Pを買い手の側から言い換えたものが4Cで、顧客価値(Customer Value)・顧客が負担する費用(Cost)・利便性(Convenience)・コミュニケーション(Communication)に対応します。4Pが「自社が何をするか」の並びであるのに対し、4Cは「顧客にとって何であるか」の並びであるところが違いです。

製品には売れ行きの一生があります。製品ライフサイクルは、導入期・成長期・成熟期・衰退期の四つに分かれます。導入期は認知が低く売上も利益も小さいので、認知を広げる投資が中心になります。成長期は需要が急に伸び、競合も次々に参入するので、生産能力と流通網を広げて占有率を取りにいきます。成熟期は需要の伸びが止まり、製品の違いが小さくなって価格競争になりやすいので、差別化と費用の抑制が課題になります。衰退期は需要が縮むので、撤退の時期を見極めます。PPMの市場成長率の軸と重ねて考えると、成長期の製品は問題児か花形、成熟期の製品は金のなる木に当たりやすいという対応が見えます。

価格の決め方にもいくつかの型があります。原価に一定の利幅を乗せるコストプラス法(原価加算法)は計算が簡単ですが、顧客がその値段で買うかは考慮されていません。競合の価格に合わせる方法もあります。新製品を出すときの二つの代表的な戦略が、上澄み吸収価格戦略(スキミングプライシング)と市場浸透価格戦略(ペネトレーションプライシング)です。スキミングは最初に高い価格を付けて、高くても欲しい層から開発費を早く回収する戦略で、模倣されにくい技術がある場合に向きます。ペネトレーションは最初から低い価格を付けて一気に占有率を取り、量産による原価低減で後から利益を得る戦略で、後発の参入を防ぎたい場合や規模の効果が効く製品に向きます。このほか、複数の製品をまとめて割安に売る抱き合わせ価格や、需要に応じて価格を動かすダイナミックプライシングも押さえておきます。

ブランドは、顧客が「これなら安心だ」と思う記憶の集まりです。ブランドが強いと、同じ品質でも高い価格が受け入れられ、新製品も受け入れられやすくなります。企業名をそのまま製品に使うのがコーポレートブランド、製品ごとに別の名前を付けるのが個別ブランドです。顧客一人が取引期間全体で自社にもたらす利益の総額をライフタイムバリュー(LTV)といい、いま一回の売上ではなく長い付き合いで見るという発想です。顧客との関係を情報システムで支えるのがCRMで、購買履歴や問合せ履歴を一元管理して、顧客ごとに合った対応を行います。

技術の側に目を移します。イノベーションには、既存の製品や工程を少しずつ良くする漸進的なものと、これまでの延長にない新しい価値を生む破壊的なものがあります。既存の優良企業が、既存顧客の声に忠実に高機能化を進めた結果、性能は低いが安くて手軽な破壊的技術に足元を崩される現象をイノベーションのジレンマといいます。新しい製品の分類では、製品そのものを新しくするプロダクトイノベーションと、作り方や届け方を新しくするプロセスイノベーションを区別します。

新技術が普及していく順番を説明したのが、イノベータ理論です。採用の早い順に、イノベータ(革新者)、アーリーアダプタ(初期採用者)、アーリーマジョリティ(前期追随者)、レイトマジョリティ(後期追随者)、ラガード(遅滞者)の五つに分かれます。ここで問題になるのが、アーリーアダプタとアーリーマジョリティの間にある深い溝で、これをキャズムといいます。新しさそのものに価値を感じる層と、確実に役立つ実績があってはじめて動く層とでは、買う理由が違うためです。キャズムを越えるには、性能を訴えるだけでなく、特定の用途に絞った完成した解決策として提示し、導入事例や保守体制といった安心材料をそろえる必要があります。

技術そのものの伸びしろを見る図が技術のSカーブです。横軸に投じた開発資源や時間、縦軸に技術の性能を取ると、初期は伸びが鈍く、途中で急に伸び、やがて物理的な限界に近づいて頭打ちになるS字を描きます。頭打ちの手前で次の技術のSカーブに乗り換えることが技術戦略の要点で、いまの技術が最も儲かっている時期に次の投資を決める必要があるため判断が難しくなります。研究開発を自社に閉じずに、他社や大学、顧客の知恵と技術を取り込んで進める考え方がオープンイノベーションです。自前主義(クローズドイノベーション)に比べて開発の速度と選択肢が増える一方、知的財産の扱いと成果の配分をあらかじめ契約で決めておかないと後で争いになります。技術を経営の観点から管理し、事業に結び付ける取組み全体を技術経営(MOT)といい、いつどの技術を実用化するかを時間軸に並べた計画書を技術ロードマップといいます。

研究開発の成果が事業になるまでには、いくつもの関門があります。基礎研究から製品開発に移る手前の関門を魔の川、開発から事業化に移る手前の関門を死の谷、事業化した後に既存企業との競争を勝ち抜いて市場に定着するまでの関門をダーウィンの海と呼びます。どこで止まっているのかを見分けると、必要な手当てが資金なのか、技術なのか、販路なのかが分かります。

製品ライフサイクルの各段階と打つべき手
段階売上の動き競合の数主な課題
導入期小さく伸びが鈍い少ない認知の獲得。広告と試用の機会づくりに投資する
成長期急激に伸びる急に増える生産能力と流通網の拡大。市場占有率を取りにいく
成熟期伸びが止まる多いまま差別化と原価低減。価格競争に巻き込まれない工夫
衰退期縮小する撤退が始まる撤退時期の見極めと、残存者としての利益確保

用語

セグメンテーション
市場細分化。市場を似た性質の顧客のかたまりに分けること。人口統計的・地理的・心理的・行動的な軸で分ける。
ターゲティング
細分化した市場のうち、どのかたまりを狙うかを決めること。セグメンテーションの次、ポジショニングの前に行う。
ポジショニング
狙った顧客の頭の中で、自社の製品を競合と比べてどんな位置づけに置くかを決めること。
4P
マーケティングミックスを売り手の視点で整理したもの。製品・価格・流通・販売促進の四つ。四つが狙った顧客像と矛盾しないようそろえることが大切。
4C
4Pを買い手の視点で言い換えたもの。顧客価値・顧客が負担する費用・利便性・コミュニケーションの四つ。
製品ライフサイクル
製品の売上と利益の推移を導入期・成長期・成熟期・衰退期の四段階でとらえる考え方。段階ごとに打つべき手が変わる。
スキミングプライシング
上澄み吸収価格戦略。新製品に高い価格を付け、価格が高くても買う層から開発費を早期に回収する戦略。模倣されにくい技術がある場合に向く。
ペネトレーションプライシング
市場浸透価格戦略。新製品に低い価格を付けて短期間で市場占有率を確保し、量産による原価低減で後から利益を得る戦略。後発の参入を抑えたい場合に向く。
ライフタイムバリュー
LTV。一人の顧客が取引を続ける期間全体で自社にもたらす利益の総額。一回の売上ではなく長期の関係で顧客を評価する指標。
イノベーションのジレンマ
優良企業が既存顧客の要求に忠実に高機能化を進めた結果、性能は劣るが安くて手軽な破壊的技術に市場を奪われる現象。
プロセスイノベーション
製品そのものではなく、生産方法や供給の仕組みを革新して原価や納期を大きく改善すること。製品自体を新しくするのはプロダクトイノベーション。
キャズム
新技術の普及過程で、アーリーアダプタとアーリーマジョリティの間にある深い溝。買う理由が異なるため、実績と完成した解決策を示さないと越えられない。
イノベータ理論
新製品の採用者を早い順にイノベータ・アーリーアダプタ・アーリーマジョリティ・レイトマジョリティ・ラガードの五つに分類する考え方。
技術のSカーブ
投じた資源や時間に対する技術の性能の伸びが、初期は緩やか、中期は急速、後期は頭打ちとなるS字を描くこと。頭打ちの手前で次の技術に乗り換える判断が要る。
オープンイノベーション
自社に閉じず、他社・大学・顧客など外部の知識と技術を取り込んで研究開発を進める考え方。知的財産の扱いと成果の配分を契約で定めておく必要がある。
技術経営
MOT。技術を経営資源としてとらえ、研究開発への投資や技術の獲得・供与を事業戦略と結び付けて管理する取組み。
死の谷
研究開発の成果が製品開発の段階から事業化の段階へ移るときに立ちはだかる資金や体制の壁。基礎研究から製品開発への壁は魔の川、事業化後に市場で生き残るまでの壁はダーウィンの海。

例題

例題:模倣が難しい独自の測定技術を用いた新製品を発売する。開発費を早く回収したい場合、スキミングとペネトレーションのどちらを選ぶか。
答えと考え方 スキミングプライシング(上澄み吸収価格戦略)を選ぶ。模倣が難しいため、当面は競合が同等品を出せず、高い価格を維持できる見込みがある。価格が高くても価値を認める層から先に売り、開発費を早期に回収してから段階的に価格を下げていく。逆に、模倣が容易で後発がすぐ現れる製品なら、低価格で一気に占有率を取るペネトレーションのほうが合理的である。
例題:新しい業務用機器が、新しもの好きの企業には売れているのに、その先の一般的な企業層に広がらない。何が起きているか。越えるには何が要るか。
答えと考え方 キャズムに直面している。アーリーアダプタは新しさや先行者利益を買うが、アーリーマジョリティは失敗しない確実さを買うため、同じ売り方では通用しない。越えるには、用途を一つに絞って「この業務ならこれで解決する」という完成した形にまとめ、同業種の導入事例、保守や教育の体制、他システムとの接続実績といった安心材料を示すことが要る。機能の数や性能値を訴え続けても溝は埋まらない。
例題:自社の主力技術の性能向上が、開発費を増やしてもほとんど進まなくなった。技術のSカーブではどの位置か。取るべき行動は何か。
答えと考え方 Sカーブの上端、性能が限界に近づいて頭打ちになった位置にある。ここで同じ技術に投資を続けても、費やした額に見合う性能向上は得られない。次の原理に基づく新しい技術のSカーブへ乗り換える準備、すなわち代替技術の探索や外部からの技術獲得、オープンイノベーションによる共同開発に資源を振り向けるべきである。難しいのは、この判断が必要になる時期は既存技術がまだ最も収益を上げている時期と重なる点である。

出典・根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

3. ビジネスインダストリと生産・在庫・品質

ITが産業の現場でどう使われているかと、ものを作る・持つ・良くするための定番の手法が分かります。

インターネットを使った商取引の形をe-ビジネスといいます。取引の相手による分類が基本で、企業どうしの取引がBtoB、企業と消費者の取引がBtoC、消費者どうしの取引がCtoCです。企業と行政の取引はBtoG、社内向けはBtoEと表します。企業間で受発注や請求のデータを、取り決めた形式でやり取りする仕組みがEDIです。EDIでは、通信手順・データの形式(フォーマット)・業務の運用の取り決め・取引の基本契約という四つの階層で規約を決めておく必要があります。決済の面では、電子マネーやコード決済といった電子決済システム、暗号技術を使ったデジタル通貨が広がっています。

実店舗では品ぞろえの都合で置けなかった、あまり売れない商品を大量に並べても、その売上の合計が全体で無視できない大きさになる現象をロングテールといいます。在庫や陳列の費用が小さいネット販売だからこそ成り立つ考え方で、売れ筋だけを追う品ぞろえとは逆の発想です。売れ筋の一部が売上の大半を占めるという傾向を示すパレートの法則と対になる考え方として押さえると整理しやすくなります。遊休資産や個人の時間・技能を、必要な人に一時的に貸し出す仕組みをシェアリングエコノミーといい、自動車や住居、駐車場、家事や配送の労働力などが対象になります。所有から利用への転換であり、貸し手と借り手の相互評価によって信頼を担保する点が特徴です。移動のさまざまな手段を一つのサービスとしてまとめ、検索から予約、決済までを一括で扱う考え方をMaaSといいます。

IoTは、機器や設備にセンサと通信機能を持たせ、収集したデータを分析して現場を改善する仕組みです。工場に適用して設備の稼働状況や品質データを収集し、生産の最適化や故障の予知に生かすものをスマートファクトリー、農業に適用して土壌や気象、生育の状況を測って施肥や灌水を制御するものをスマート農業といいます。現実の設備や工程をデータで写し取り、計算機の中に同じ振る舞いをする模型を作って試すことをデジタルツインといいます。電力網に通信と制御を組み込んで需給を調整する仕組みがスマートグリッドです。

ものを作る現場の管理に移ります。MRP(資材所要量計画)は、生産計画と、製品がどの部品から組み立てられるかを示す部品構成表(BOM)、そして現在の在庫をもとに、いつ何をいくつ作るか、いくつ買うかを計算する方法です。まず製品の生産数に部品構成表の員数を掛けて総所要量を求め、そこから手持在庫と発注済みの分を差し引いて正味所要量を出し、調達期間を考えて発注の時期を決めます。ここで注意するのは、在庫を差し引くのは各部品の段階であって、製品の生産数から先に引いてはいけないという点です。

JIT(ジャストインタイム)は、必要なものを必要なときに必要な量だけ作るという考え方で、作りすぎの無駄と在庫を減らすことをねらいます。これを現場で回す道具がかんばんです。かんばんは後工程が前工程に「これだけ使ったので、その分だけ作ってほしい」と伝える指示票で、後工程が前工程へ引き取りに行く後工程引取り方式によって、生産の指示が下流から上流へさかのぼって伝わります。上流が需要の予測に基づいて押し出すMRPのやり方(押出し方式)とは、指示の向きが逆になります。JITは在庫が薄いので、供給が止まると生産全体が止まりやすいという弱点も併せて理解しておきます。生産方式では、工程を一列に並べて流す少品種大量向けのライン生産方式と、一人または少人数が組立を一通り担当する多品種少量向けのセル生産方式を対比して押さえます。受注してから作るのが受注生産、需要を見込んで作りだめするのが見込生産です。

在庫は、多すぎれば保管費と陳腐化の損失を生み、少なすぎれば品切れを起こします。そのつり合いを取るのが在庫管理です。定量発注方式は、在庫量があらかじめ決めた発注点まで減ったら、決まった量を発注する方式です。発注点は、調達期間中に使う見込みの量に、需要の変動に備える安全在庫を足して求めます。定期発注方式は、あらかじめ決めた一定の間隔で、そのつど必要量を計算して発注する方式で、需要の変動が大きい品目や重要な品目に向きます。発注の回数を増やすと1回あたりの発注量が減って在庫維持費用は下がりますが、発注に伴う費用の合計は増えます。この二つの合計が最も小さくなる発注量が経済的発注量(EOQ)で、1年間の需要量と1回あたりの発注費用の積を2倍し、それを1個あたりの年間在庫維持費用で割った値の平方根として求めます。品目を金額の大きい順に並べ、累計の割合でA・B・Cの三群に分けて管理の力の入れ方を変える手法がABC分析で、その並べ方に使う図がパレート図です。

品質の管理でよく出るのがQC七つ道具です。パレート図は、不良の件数などを項目別に棒グラフにして大きい順に並べ、累積の折れ線を重ねた図で、どの項目を先に手当てすれば効果が大きいかが分かります。特性要因図は、結果である特性を右端に置き、その原因を人・機械・材料・方法などの大きな骨から小骨へ枝分かれさせて描く魚の骨の形の図で、原因の候補を漏れなく洗い出すために使います。散布図は二つの量の対応する組を点で打った図で、相関の有無と向きを見ます。ヒストグラムは測定値を区間に分けて度数を柱で表した図で、ばらつきの形と規格からの外れ方を見ます。管理図は、時間の経過に沿って測定値を打点し、中心線と上方管理限界線・下方管理限界線を引いた図で、工程が安定した状態にあるかどうかを判定します。点が管理限界線の外に出た場合や、中心線の片側に連続して並ぶ(連が現れる)場合は、偶然ではない原因が働いていると判断します。このほか、層別、チェックシート、グラフが含まれます。言語データを整理する新QC七つ道具には、親和図法、連関図法、系統図法、マトリックス図法、アローダイアグラム法、PDPC法、マトリックスデータ解析法があります。

全社的に品質を作り込む活動をTQMといい、検査で不良を見つけるのではなく、工程で品質を作り込むという考え方が中心にあります。抜取検査は一部を調べて全体の合否を判定する方法で、費用は安く済みますが、良い品質のロットを不合格にしてしまう生産者危険と、悪い品質のロットを合格にしてしまう消費者危険が避けられません。全数検査は見落としを減らせますが費用と時間がかかり、破壊を伴う検査には使えません。

定量発注方式と定期発注方式の比較
観点定量発注方式定期発注方式
発注のきっかけ在庫が発注点まで減ったときあらかじめ決めた期日ごと
1回の発注量毎回同じ量そのつど需要予測から計算した量
向く品目需要が安定した、単価の低い品目(ABC分析のB・C群)需要の変動が大きい、単価の高い重要品目(A群)
在庫の水準安全在庫を持てば比較的少なく抑えられる調達期間に発注間隔を加えた期間分の在庫が要る
管理の手間在庫量の監視だけでよく手間が小さい期日ごとに需要予測と計算が要り手間が大きい

用語

EDI
企業間で受発注や請求のデータを、取り決めた形式で交換する仕組み。通信手順・データ形式・業務運用・取引基本契約の四階層で規約を定める。
ロングテール
個々の販売数は少ない商品でも、品ぞろえを大量にそろえるとその売上の合計が全体で無視できない大きさになる現象。在庫と陳列の費用が小さいネット販売で成り立つ。
シェアリングエコノミー
個人や企業が持つ遊休資産や技能を、必要とする人に一時的に貸し出す仕組み。所有から利用への転換であり、相互評価によって信頼を担保する。
MaaS
鉄道・バス・タクシー・自転車などさまざまな移動手段を一つのサービスとして統合し、検索から予約、決済までを一括で扱う考え方。
スマートファクトリー
工場の設備にセンサと通信機能を持たせ、稼働状況や品質のデータを収集・分析して生産の最適化や故障の予知に生かす仕組み。
デジタルツイン
現実の設備や工程をデータで写し取り、計算機の中に同じ振る舞いをする模型を作って、実物を動かさずに試験や予測を行う手法。
MRP
資材所要量計画。生産計画と部品構成表と在庫から、部品ごとの総所要量と正味所要量、発注時期を算出する方法。在庫は各部品の段階で差し引く。
部品構成表
BOM。製品がどの部品から何個ずつ構成されるかを階層で表した表。MRPの計算の土台になる。
かんばん方式
後工程が使った分だけを前工程に引き取りに行き、その情報をかんばんという指示票で伝える方式。生産指示が下流から上流へ伝わる引取り方式であり、押出し方式とは向きが逆。
セル生産方式
一人または少人数の作業者が、製品の組立をほぼ一通り担当する方式。段取りの変更がしやすく多品種少量生産に向く。工程を一列に並べて流すのはライン生産方式。
定量発注方式
在庫量があらかじめ定めた発注点まで減った時点で、決まった量を発注する方式。発注点は調達期間中の推定使用量に安全在庫を加えて求める。
定期発注方式
あらかじめ定めた一定の間隔で、そのつど必要量を計算して発注する方式。需要の変動が大きい品目や重要度の高い品目に向く。
経済的発注量
EOQ。発注に伴う費用と在庫維持費用の合計が最小になる1回あたりの発注量。年間需要量と1回あたり発注費用の積を2倍し、1個あたり年間在庫維持費用で割った値の平方根で求める。
パレート図
項目別の件数や金額を大きい順に棒で並べ、累積比率の折れ線を重ねた図。どの項目を先に手当てすれば効果が大きいかを判断でき、ABC分析の土台になる。
特性要因図
結果である特性を右端に置き、原因を人・機械・材料・方法などの大骨から小骨へ枝分かれさせて描く魚の骨の形の図。原因の候補を漏れなく洗い出すために使う。
管理図
時間の経過に沿って測定値を打点し、中心線と上下の管理限界線を引いて工程の安定を判定する図。限界線の外に出た点や、中心線の片側に連続して並ぶ点は偶然でない原因の存在を示す。
生産者危険
抜取検査で、本来は合格とすべき良いロットを誤って不合格としてしまう危険。逆に、悪いロットを誤って合格としてしまう危険が消費者危険。

例題

例題:ある部品は1日あたり平均25個を消費し、発注してから納入されるまでに8日かかる。安全在庫を60個とするとき、定量発注方式の発注点はいくつか。
答えと考え方 発注点は、調達期間中に消費する見込みの量に安全在庫を加えて求める。調達期間中の消費量は25個かける8日で200個、これに安全在庫60個を加えて260個となる。安全在庫を足し忘れて200個としたり、消費量を掛けずに納入までの日数だけで判断したりする誤りが多い。安全在庫は、需要が予測より増えたり納入が遅れたりしたときの緩衝であり、発注点に必ず含める。
例題:年間需要量が2,000個、1回あたりの発注費用が250円、1個あたりの年間在庫維持費用が4円のとき、経済的発注量はいくつか。
答えと考え方 年間需要量と1回あたり発注費用の積を2倍すると、2かける2,000かける250で1,000,000。これを1個あたり年間在庫維持費用の4で割ると250,000。その平方根は500なので、経済的発注量は500個である。年間の発注回数は2,000を500で割って4回になる。発注量を増やすと発注回数が減って発注費用の合計は下がるが、平均在庫が増えて在庫維持費用が上がる。この二つの合計が最小になる点が経済的発注量である。
例題:製品Xを1個作るのに部品Aが2個、部品Aを1個作るのに部品Bが3個必要である。製品Xを80個生産するとき、部品Bの手持在庫が100個あるなら、部品Bの正味所要量はいくつか。
答えと考え方 部品Bの総所要量は、80個かける2個かける3個で480個である。ここから手持在庫100個を差し引いて、正味所要量は380個となる。誤りやすいのは、製品Xの生産数80個から在庫100個を先に差し引いてしまう計算で、在庫があるのは部品Bであって製品Xではないから、差し引くのは総所要量を求めた後の部品Bの段階である。
例題:工程の管理図で、すべての点が管理限界線の内側にあるが、直近の9点が続けて中心線の上側に並んでいる。安定した状態といえるか。
答えと考え方 いえない。管理限界線の外に出た点がなくても、中心線の片側に点が連続して並ぶ(連が現れる)、一定の向きに上がり続ける、といった規則的な並びが見られる場合は、偶然のばらつきでは説明できない原因が工程に働いていると判断する。原料の切替えや工具の摩耗、測定器のずれなどを疑い、原因を調べて手を打つ。管理図は限界線の内外だけでなく、点の並び方も見る道具である。

出典・根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

4. 会計と財務を数字で読む

損益分岐点、減価償却、財務諸表、キャッシュフロー、棚卸資産の評価を、手で計算できるようになります。

会計には二つの顔があります。株主や取引先など社外の人に会社の状態を報告するための財務会計と、社内の判断のために原価や採算を計算する管理会計です。財務会計は会計基準に従って形式が決まっていますが、管理会計は社内で使いやすい形にしてかまいません。損益分岐点や原価計算は主に管理会計の領域です。

費用は、売上に比例して増える変動費と、売上に関係なく一定額かかる固定費に分けられます。材料費や外注加工費、販売手数料は変動費、賃借料や正社員の人件費、減価償却費は固定費です。売上高から変動費を引いた金額を限界利益といい、限界利益を売上高で割った値が限界利益率です。限界利益率は「売上が1円増えたとき、そのうち何円が固定費の回収と利益に回るか」を示します。変動費を売上高で割った変動費率と限界利益率は足すと1になります。利益は、限界利益から固定費を引いたものです。

利益がちょうど0になる売上高が損益分岐点売上高です。限界利益が固定費と等しくなる点なので、固定費を限界利益率で割って求めます。固定費を変動費率で割る誤りが非常に多いので注意します。目標とする利益を上乗せしたいときは、固定費に目標利益を足したものを限界利益率で割ります。現在の売上高が損益分岐点からどれだけ離れているかを示すのが安全余裕率で、売上高から損益分岐点売上高を引き、それを売上高で割って求めます。この値が大きいほど、売上が落ちても赤字になりにくい体質だといえます。固定費を下げるか、変動費率を下げる(限界利益率を上げる)と、損益分岐点は下がります。

長く使う設備の購入額を、使う年数にわたって費用に配分する手続が減価償却です。定額法は、取得価額を耐用年数で割った同じ額を毎年費用にします。定率法は、まだ償却していない残り(未償却残高、つまり期首の帳簿価額)に一定の償却率を掛けるので、初期の償却費が大きく、年を追うごとに小さくなります。定額法の償却率を2倍した率を使う方式を200パーセント定率法といい、耐用年数が5年なら定額法の償却率0.2の2倍で0.4になります。早く費用にしたい、あるいは技術の陳腐化が速い資産では定率法が選ばれます。無形固定資産であるソフトウェアは、原則として定額法で償却します。

会社の状態を示す代表的な書類が財務諸表です。貸借対照表は、ある一時点の財政状態を表し、左側に資産、右側に負債と純資産を並べます。資産の合計は負債と純資産の合計に必ず一致します。損益計算書は、一定期間の経営成績を表し、売上高から売上原価を引いた売上総利益、そこから販売費及び一般管理費を引いた営業利益、営業外の収益と費用を加減した経常利益、特別損益を加減した税引前当期純利益、法人税等を引いた当期純利益、という順に段階的に利益を示します。どの段階の利益かを取り違えないことが大切で、たとえば支払利息は営業外費用なので、営業利益からは引かれていません。

代表的な財務指標も押さえます。自己資本比率は自己資本を総資産で割った値で、高いほど借入に頼らない安定した財務であることを示します。ROE(自己資本利益率)は当期純利益を自己資本で割った値で、株主が出した資金がどれだけ利益を生んだかを表します。ROA(総資産利益率)は利益を総資産で割った値で、資産全体の使い方の効率を表します。流動比率は流動資産を流動負債で割った値で、短期の支払能力を見ます。ROEは、借入を増やして自己資本を薄くしても数値が上がるので、自己資本比率と併せて見る必要があります。

利益が出ていても現金がなければ会社は止まります。そこで現金の動きだけを追うのがキャッシュフロー計算書で、営業活動・投資活動・財務活動の三つの区分に分かれます。営業活動によるキャッシュフローは本業で稼いだ現金で、商品の販売や仕入、人件費の支払、法人税等の支払が入ります。投資活動によるキャッシュフローは設備や有価証券の取得と売却で、成長のために投資していれば通常はマイナスになります。財務活動によるキャッシュフローは借入れと返済、増資、配当の支払です。営業活動の区分を求める間接法では、税引前当期純利益から出発し、現金の動かない費用である減価償却費を足し戻し、売上債権や棚卸資産の増加は現金が減るので引き、仕入債務の増加は現金が出ていないので足し、最後に法人税等の支払額を引きます。営業活動によるキャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローの合計をフリーキャッシュフローといい、自由に使える現金の目安になります。

同じ品物を違う値段で仕入れたとき、期末に残った在庫をいくらと評価するかで、売上原価も利益も変わります。先入先出法は、先に仕入れたものから先に払い出したとみなす方法で、期末の在庫は後から仕入れた新しい単価で評価されます。値上がりが続く局面では期末在庫の金額が大きくなり、その分だけ売上原価が小さくなって利益は大きく出ます。移動平均法は、仕入のたびにそれまでの在庫金額と新しい仕入金額を合計し、数量の合計で割って平均単価を計算し直す方法で、その後の払出しはこの平均単価で行います。総平均法は、期間全体の仕入をまとめて一度だけ平均する方法なので、期中に単価が分からず期末にならないと計算できません。個別法は、品物ごとに実際の仕入単価をひも付ける方法で、宝石や不動産のように一つ一つが区別できるものに使います。

その他、リースとレンタルの違いも問われます。リースはリース会社が利用者の指定した物件を購入して長期間貸すもので、中途解約が原則できず、保守は利用者の負担になることが多い形態です。レンタルはレンタル会社が持っている汎用の在庫を短期間貸すもので、中途解約がしやすく保守もレンタル会社が行います。長期に確実に使うならリース、期間が読めないならレンタル、というのが基本の判断になります。

キャッシュフロー計算書の三区分と主な内訳
区分主な内訳増減の見方
営業活動商品の販売による収入、仕入や人件費の支出、法人税等の支払額本業で現金を稼げているか。継続してマイナスなら危険
投資活動設備や有価証券の取得による支出、売却による収入成長への投資が続く企業では通常マイナスになる
財務活動借入れによる収入、返済による支出、増資、配当金の支払資金を調達しているか返済しているかが分かる

用語

限界利益
売上高から変動費を引いた金額。売上高で割った値が限界利益率で、売上が1円増えたときに固定費の回収と利益に回る割合を示す。変動費率と限界利益率の和は1になる。
損益分岐点売上高
利益がちょうど0になる売上高。固定費を限界利益率で割って求める。固定費を変動費率で割るのは誤り。
安全余裕率
売上高から損益分岐点売上高を引き、売上高で割った値。売上がどれだけ落ちても赤字にならないかの余裕を示す。
定額法
取得価額を耐用年数で割った同額を毎年の減価償却費とする方法。ソフトウェアなど無形固定資産は原則としてこの方法による。
定率法
期首の未償却残高に一定の償却率を掛けて減価償却費を求める方法。初期の償却費が大きく、年を追うごとに小さくなる。定額法の償却率を2倍した率を使うものを200パーセント定率法という。
貸借対照表
ある一時点の財政状態を、資産と、負債および純資産で表した書類。資産の合計は負債と純資産の合計に一致する。
損益計算書
一定期間の経営成績を表す書類。売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益の順に段階的に利益を示す。支払利息は営業外費用なので営業利益より下の段階で差し引かれる。
ROE
自己資本利益率。当期純利益を自己資本で割った値。株主の資金がどれだけ利益を生んだかを示すが、借入を増やして自己資本を薄くしても上がるため自己資本比率と併せて見る。
ROA
総資産利益率。利益を総資産で割った値。調達の方法にかかわらず、資産全体をどれだけ効率よく使って利益を生んだかを示す。
営業活動によるキャッシュフロー
キャッシュフロー計算書の三区分の一つで、本業で稼いだ現金の増減を示す。法人税等の支払額もここに含まれる。
投資活動によるキャッシュフロー
設備や有価証券などの取得と売却による現金の増減を示す区分。成長のために投資している企業では通常マイナスになる。
財務活動によるキャッシュフロー
借入れと返済、株式の発行、配当金の支払など、資金の調達と返済による現金の増減を示す区分。
間接法
営業活動によるキャッシュフローを、税引前当期純利益に減価償却費などの非資金費用を加え、売上債権・棚卸資産・仕入債務の増減を調整して求める方法。
フリーキャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローの合計。借入の返済や配当、新たな投資に自由に充てられる現金の目安。
先入先出法
先に仕入れたものから先に払い出したとみなす棚卸資産の評価方法。期末在庫は新しい単価で評価されるため、値上がり局面では利益が大きく出る。
移動平均法
仕入のたびに在庫金額の合計を数量の合計で割って平均単価を計算し直し、その単価で払い出す方法。期中いつでも在庫単価が分かる。
総平均法
一定期間の仕入をまとめて一度だけ平均単価を計算する方法。計算は簡単だが、期末にならないと単価が確定しない。

例題

例題:売上高2,500万円、変動費1,000万円、固定費900万円の事業がある。限界利益率と損益分岐点売上高、現在の利益を求めよ。
答えと考え方 限界利益は2,500から1,000を引いて1,500万円、限界利益率は1,500を2,500で割って0.6である。損益分岐点売上高は固定費900万円を限界利益率0.6で割って1,500万円。現在の利益は限界利益1,500万円から固定費900万円を引いて600万円である。よくある誤りは、固定費を変動費率0.4で割って2,250万円としてしまうもの。割るのは限界利益率であることを、限界利益が固定費と等しくなる点が損益分岐点だという意味から確認しておく。
例題:取得価額800万円、耐用年数8年の設備を200パーセント定率法で償却する。1年目と2年目の減価償却費はいくらか。定額法だといくらか。
答えと考え方 定額法の償却率は1を8で割って0.125、その2倍が0.25である。1年目は期首帳簿価額800万円に0.25を掛けて200万円。期末の帳簿価額は600万円になる。2年目は600万円に0.25を掛けて150万円である。定額法なら800万円を8年で割って毎年100万円ずつ、金額は毎年同じになる。定率法は初期に大きく費用計上できるので、早期に投資を回収したい場合や陳腐化の速い資産で選ばれる。
例題:月初在庫100個(単価400円)、その後200個を単価550円で仕入れ、150個を払い出し、さらに150個を単価600円で仕入れた。移動平均法による月末の在庫金額と平均単価を求めよ。
答えと考え方 最初の仕入後は、金額が100かける400の40,000円に200かける550の110,000円を足して150,000円、数量は300個なので平均単価は500円。150個の払出しで金額は75,000円、数量は150個になる。次の仕入で金額は75,000円に150かける600の90,000円を足して165,000円、数量は300個なので平均単価は550円である。月末の在庫金額は165,000円となる。仕入のたびに単価を計算し直すのが移動平均法で、期末に一度だけ平均するのは総平均法である。
例題:税引前当期純利益1,200、減価償却費400、売上債権の増加180、棚卸資産の減少60、仕入債務の減少150、法人税等の支払額320のとき、間接法による営業活動によるキャッシュフローはいくらか。
答えと考え方 1,200に、現金の出ていない費用である減価償却費400を足して1,600。売上債権が180増えたのは売っても現金を受け取っていないということなので引いて1,420。棚卸資産が60減ったのは在庫が現金化されたということなので足して1,480。仕入債務が150減ったのは支払いを済ませたということなので引いて1,330。最後に法人税等の支払額320を引いて1,010となる。増減の向きは「現金が増えたか減ったか」で毎回確かめると取り違えない。

出典・根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類9:企業と法務

5. 企業法務と標準化

知的財産権の保護期間、請負と派遣の分かれ目、取引と個人情報のルールを、条文の根拠つきで整理します。

知的財産権は大きく、著作権と産業財産権に分かれます。著作権は、思想または感情を創作的に表現したものに対して、創作した時点で自動的に発生します。登録も出願も要らないのが最大の特徴で、この点が出願と審査を要する産業財産権と決定的に違います。著作物の例示は著作権法第10条第1項にあり、第9号にプログラムの著作物が挙げられています。ただし同条第3項により、プログラムを作るために用いるプログラム言語、規約、解法(アルゴリズム)には著作権法の保護は及びません。表現を守るのであって、アイディアや手順そのものを独占させる制度ではないからです。

保護期間も条文で押さえます。著作権法第51条により、著作権は創作の時に始まり、著作者の死後70年を経過するまで存続します。著作権法第53条により、法人その他の団体が著作の名義を有する著作物は公表後70年(創作後70年以内に公表されなかったときは創作後70年)、著作権法第54条により、映画の著作物も公表後70年です。会社の中で作った著作物が誰のものになるかは著作権法第15条の職務著作の規定によります。第1項では、法人等の発意に基づいて業務従事者が職務上作成し、法人等が自己の名義で公表する著作物は、契約や勤務規則に別段の定めがなければ法人等が著作者になります。第2項ではプログラムの著作物が扱われ、こちらは公表の名義を要件としていません。つまり社内利用のプログラムでも、他の要件を満たせば会社が著作者になります。なお著作者人格権は、著作権法第59条により著作者の一身に専属し、譲渡できません。著作権(財産権)を譲渡しても、公表権・氏名表示権・同一性保持権といった人格権は著作者に残るという点が重要です。

産業財産権は特許庁への出願と登録が必要で、四つあります。特許権は自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものである発明を保護し、特許法第67条により存続期間は特許出願の日から20年で終了します(一定の場合の延長登録の制度があります)。実用新案権は物品の形状、構造または組合せに係る考案を保護し、実用新案法第15条により実用新案登録出願の日から10年です。実体審査を行わずに登録される点も特許との違いです。意匠権は物品などのデザインを保護し、意匠法第21条により意匠登録出願の日から25年です。商標権は商品やサービスの目印であるマークや名称を保護し、商標法第19条により設定の登録の日から10年ですが、同条第2項により更新登録の申請によって何度でも更新できます。半永久的に持ち続けられるのは商標権だけである点が、よく問われます。起算日にも注意が必要で、特許・実用新案・意匠は出願の日から、商標は設定登録の日から数えます。

営業秘密は不正競争防止法で守られます。不正競争防止法第2条第6項は、営業秘密を「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」と定義しています。ここから、秘密管理性・有用性・非公知性という三つの要件が導かれます。三つのうちどれか一つでも欠ければ営業秘密として保護されません。とくに秘密管理性は、社内でアクセス制限や秘密表示など、秘密として扱っていることが客観的に分かる管理をしていたかが問われます。同法は、他人の著名な商品等表示の無断使用や、他人の商品形態の模倣なども不正競争として規制しています。

労働に関する法令に移ります。労働基準法第32条は、休憩時間を除いて1週間について40時間、1日について8時間を超えて労働させてはならないと定めています。これを超えて時間外労働や休日労働をさせるには、労働基準法第36条により、事業場の過半数労働組合または過半数代表者との書面による協定(いわゆる36協定)を結び、行政官庁に届け出る必要があります。裁量労働制には二種類あり、労働基準法第38条の3の専門業務型は、業務の遂行方法を労働者の裁量に委ねる必要がある一定の業務について労使協定で定める方式、労働基準法第38条の4の企画業務型は、事業の運営に関する企画・立案・調査・分析の業務について、労使委員会の委員の5分の4以上の多数による決議と行政官庁への届出による方式です。いずれも協定や決議で定めた時間だけ労働したものとみなす制度で、労働時間の管理をしなくてよいという制度ではありません。

外部の力を使うときの契約の形も重要です。労働者派遣法第2条第1号は、労働者派遣を「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」と定義しています。つまり派遣では、雇用主は派遣元、指揮命令をするのは派遣先という分離が起こります。これに対し請負は、仕事の完成を目的とする契約で、注文者は請負人の労働者に直接の指揮命令をしてはいけません。この線引きの基準が、厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」、いわゆる37号告示(昭和61年労働省告示第37号)です。告示は、請負として認められるには、自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用すること、すなわち業務の遂行方法や評価に関する指示、始業終業時刻や休憩・休日の管理、服務規律や配置の決定を自ら行うことと、業務を自己の業務として注文者から独立して処理すること、すなわち資金を自らの責任で調達し支弁すること、事業主としての法律上の責任を負うこと、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと、を求めています。契約書の題名が「請負」でも、実態として注文者が作業員に直接指示をしていれば偽装請負となり、労働者派遣を業として行っているものと判断されます。

取引の適正化では、下請法の改称が大きな変更点です。従来の下請代金支払遅延等防止法(下請法)は、2026年1月1日に施行された改正により、法律の名称が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」となり、中小受託取引適正化法(取適法)と呼ばれるようになりました。用語も変わり、親事業者は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者、下請代金は製造委託等代金と呼びます。改正では、資本金による区分に加えて従業員数の基準(製造委託等では300人以下、役務提供委託等では100人以下)が追加され、発荷主が運送事業者に委託する物品の運送が対象に加わりました。支払手段としての手形払は禁止され、中小受託事業者から価格の協議を求められたのに応じない、あるいは必要な説明をしないまま一方的に代金を決める行為も禁止されました。競争そのものを守る法律が独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)で、第3条が私的独占と不当な取引制限(カルテルや入札談合)を禁じ、第19条が不公正な取引方法を禁じています。どちらも公正取引委員会が所管します。

個人情報の取扱いは個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)が定めます。同法第2条第1項は個人情報を、生存する個人に関する情報で特定の個人を識別できるもの、または個人識別符号が含まれるものと定義しています。他の情報と容易に照合でき、それによって個人を識別できるものも含まれる点に注意します。同条第3項の要配慮個人情報は、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴などを含む個人情報で、取得には原則として本人の同意が要ります。同法第26条は、個人データの漏えい等で個人の権利利益を害するおそれが大きいものが生じたときは個人情報保護委員会に報告し、本人にも通知しなければならないと定めています。国税関係の帳簿書類を電子データで保存する要件を定めるのが電子帳簿保存法で、保存の区分は電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存の三つです。このうち電子取引でやり取りしたデータの保存は、令和6年1月1日から電子データのままで行うことが必要とされています。

最後に標準化です。JISは日本産業規格で、2019年7月1日施行の産業標準化法により、それまでの工業標準化法と日本工業規格から名称が変わり、標準化の対象がデータやサービスなどにも広がりました。ISOは国際標準化機構で、品質マネジメントシステムのISO 9000シリーズ、環境マネジメントシステムのISO 14000シリーズなどを定めています。IEEEは電気電子技術者の学会で、無線LANのIEEE 802.11などの通信規格で知られます。個人情報保護マネジメントシステムの要求事項を定めた国内規格がJIS Q 15001で、プライバシーマーク制度の基準になっています。デファクトスタンダードは、公的機関が定めたわけではないが市場で広く使われた結果として事実上の標準になったものを指します。

知的財産権の保護対象・発生・存続期間(条文の根拠つき)
権利保護の対象権利の発生存続期間と根拠
著作権思想または感情の創作的な表現創作の時に自動的に発生著作者の死後70年(著作権法第51条)。団体名義は公表後70年(第53条)
特許権自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの出願・審査を経て設定登録出願の日から20年(特許法第67条)
実用新案権物品の形状・構造・組合せに係る考案出願して登録(実体審査なし)出願の日から10年(実用新案法第15条)
意匠権物品などのデザイン出願・審査を経て設定登録出願の日から25年(意匠法第21条)
商標権商品やサービスの目印となる文字・図形など出願・審査を経て設定登録設定登録の日から10年、更新可(商標法第19条)

用語

著作権
思想または感情を創作的に表現した著作物を保護する権利。創作の時点で自動的に発生し、出願や登録を要しない。プログラムは著作物だが、プログラム言語・規約・解法には保護が及ばない(著作権法第10条第3項)。
職務著作
法人等の発意に基づき業務従事者が職務上作成した著作物の著作者を法人等とする制度(著作権法第15条)。プログラムの著作物については、法人名義での公表は要件になっていない。
著作者人格権
公表権・氏名表示権・同一性保持権からなる権利。著作権法第59条により著作者の一身に専属し、譲渡できない。財産権としての著作権を譲渡しても著作者に残る。
特許権
自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものである発明を保護する権利。特許法第67条により存続期間は特許出願の日から20年で終了する。
実用新案権
物品の形状、構造または組合せに係る考案を保護する権利。実用新案法第15条により出願の日から10年。実体審査を経ずに登録される点も特許との違い。
意匠権
物品などのデザインを保護する権利。意匠法第21条により意匠登録出願の日から25年で終了する。
商標権
商品やサービスの目印を保護する権利。商標法第19条により設定の登録の日から10年だが、更新登録の申請により何度でも更新できるため実質的に半永久的に維持できる。
営業秘密
不正競争防止法第2条第6項が定める、秘密として管理され、事業活動に有用で、公然と知られていない技術上または営業上の情報。秘密管理性・有用性・非公知性の三要件すべてが要る。
36協定
労働基準法第36条に基づき、時間外労働または休日労働をさせるために、過半数労働組合または過半数代表者と書面で結び行政官庁に届け出る労使協定。
専門業務型裁量労働制
労働基準法第38条の3に基づき、遂行方法を労働者の裁量に委ねる必要がある一定の業務について、労使協定で定めた時間だけ労働したものとみなす制度。企画業務型は第38条の4で、労使委員会の5分の4以上の決議による。
労働者派遣
労働者派遣法第2条第1号の定義により、自己の雇用する労働者を、その雇用関係の下で、他人の指揮命令を受けて労働に従事させること。雇用主は派遣元、指揮命令は派遣先という分離が生じる。
37号告示
厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)。労働力を自ら直接利用し、業務を注文者から独立して処理していなければ請負とは認められない。
中小受託取引適正化法
2026年1月1日施行の改正により下請法から改称された法律で、取適法とも呼ばれる。親事業者は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者と呼び、従業員数基準の追加、運送委託の対象化、手形払の禁止、協議に応じない一方的な代金決定の禁止などが加わった。
独占禁止法
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律。第3条が私的独占と不当な取引制限(カルテル・入札談合)を、第19条が不公正な取引方法を禁じる。公正取引委員会が所管する。
要配慮個人情報
個人情報保護法第2条第3項が定める、人種・信条・社会的身分・病歴・犯罪の経歴などを含む個人情報。取得には原則として本人の同意が必要。
電子帳簿保存法
国税関係帳簿書類を電子データで保存するための要件を定めた法律。保存区分は電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存の三つで、電子取引データは令和6年1月1日から電子のまま保存することが必要。
JIS
日本産業規格。2019年7月1日施行の産業標準化法により、工業標準化法および日本工業規格から名称が変わり、標準化の対象がデータやサービスにも広がった。
デファクトスタンダード
公的な標準化機関が定めたものではないが、市場で広く使われた結果として事実上の標準となった規格や製品。

例題

例題:社員が業務で作成し社内だけで使っているプログラムがある。会社が著作者になるか。会社の名義で公表していないことは問題になるか。
答えと考え方 著作権法第15条第2項により、法人等の発意に基づいて業務従事者が職務上作成したプログラムの著作物は、契約や勤務規則に別段の定めがなければ法人等が著作者になる。第1項の一般の著作物と違い、プログラムについては「法人等が自己の著作の名義の下に公表する」ことが要件になっていないため、社内利用にとどまり公表していなくても会社が著作者となる。ただし業務従事者であること、職務上の作成であること、別段の定めがないことは必要である。
例題:開発した新しい部品の構造を、できるだけ長く独占的に使いたい。特許権と実用新案権と商標権のうち、期間の面ではどれが有利か。
答えと考え方 部品の構造そのものを守るなら、期間は特許権が出願の日から20年(特許法第67条)、実用新案権が出願の日から10年(実用新案法第15条)なので特許権が長い。商標権は設定登録の日から10年だが更新登録の申請で何度でも更新でき(商標法第19条)、期間だけを見れば半永久的に維持できる。ただし商標権が守るのは商品やサービスの目印であって部品の構造ではないので、目的が構造の独占なら商標では代替できない。守りたい対象と期間は分けて考える必要がある。
例題:契約書は業務委託(請負)だが、発注者の担当者が委託先の作業員に毎日の作業手順と残業を直接指示している。法的にどう評価されるか。
答えと考え方 37号告示の基準に照らすと、請負とは認められない。請負であるためには、受託者が自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用していること、すなわち業務の遂行方法の指示、始業終業時刻や休憩・休日の管理、配置の決定などを自ら行っていることが必要だが、この事例では発注者が直接指示している。実態として労働者派遣に当たり、いわゆる偽装請負となる。契約書の題名ではなく実態で判断されるため、是正するには、指示は受託者の責任者を通す、作業の進め方と要員配置は受託者が決める、といった運用に改める必要がある。
例題:取引先から「値上げの協議には応じない。この単価で受けるかどうかだけ答えてほしい」と言われた。2026年1月1日施行の改正後のルールではどう扱われるか。
答えと考え方 中小受託取引適正化法(取適法。改正前の下請法)では、中小受託事業者から価格の協議を求められたのに応じない、または必要な説明を行わないまま一方的に代金を決める行為が禁止された。したがってこの申入れは禁止行為に当たり得る。あわせて、支払手段としての手形払の禁止、資本金基準に加えた従業員数基準の追加、発荷主から運送事業者への物品運送委託の対象化も改正で加わっている。名称も、親事業者は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者に変わった。

出典・根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類9:企業と法務

確認問題(50問)

四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。

問1|SWOT分析

SWOT分析における「機会」に分類されるものはどれか。

  1. 自社だけが保有する特許によって競合が同等品を作れないこと
  2. 主要な顧客業界で法改正があり、自社製品の需要が拡大しそうなこと
  3. 熟練技術者の高齢化が進み、技能の継承ができていないこと
  4. 原材料の国際価格が高騰し、調達費用が上がり続けていること
正解と解説
正解:B. 主要な顧客業界で法改正があり、自社製品の需要が拡大しそうなこと

SWOT分析は、内部環境を強み(S)と弱み(W)に、外部環境を機会(O)と脅威(T)に分けて整理する。法改正による需要拡大は自社では動かせない外部の追い風なので機会である。自社だけの特許は内部の強み、技能継承ができていないのは内部の弱み、原材料価格の高騰は外部の逆風なので脅威に当たる。内部か外部か、追い風か逆風かの二軸で機械的に振り分けるとよい。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問2|5フォース

ある部品メーカの製品は、顧客が大手3社に集中しており、値下げ要求を断ると発注を他社に切り替えられてしまう。ファイブフォース分析では、どの力が強い状態と評価されるか。

  1. 新規参入の脅威
  2. 代替品の脅威
  3. 買い手の交渉力
  4. 売り手の交渉力
正解と解説
正解:C. 買い手の交渉力

買い手(顧客)が少数に集中し、供給元を容易に切り替えられる状況では、買い手の交渉力が強くなり、価格を押し下げられて収益が圧迫される。売り手の交渉力は自社に部品や材料を供給する側の力、新規参入の脅威は新しい競合が業界に入ってくる可能性、代替品の脅威は別の手段で同じ用途を満たされる可能性を指し、いずれもこの事例で強いと評価される力ではない。この力を弱めるには、顧客層を広げて依存を下げる、切替えの費用が高くなる独自機能を持つ、といった構造の変更が有効である。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問3|価値連鎖

バリューチェーン分析において、支援活動に分類されるものはどれか。

  1. 技術開発
  2. 出荷物流
  3. 販売とマーケティング
  4. 購買物流
正解と解説
正解:A. 技術開発

バリューチェーンでは、事業活動を主活動と支援活動に分ける。主活動は購買物流・製造・出荷物流・販売とマーケティング・サービスの五つで、製品が顧客に届くまでの流れそのものを担う。支援活動は全般管理・人事労務管理・技術開発・調達活動の四つで、主活動を横断的に支える。技術開発は支援活動に含まれ、残りの三つはいずれも主活動である。どの活動が価値を生み、どこにコストがかかっているかを見て、投資先と外部委託先を判断するために使う。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問4|PPM

PPMにおいて、市場成長率が低く相対的市場占有率が高い事業に対する基本的な方針として、最も適切なものはどれか。

  1. 占有率をさらに高めるため、生産設備と広告に大規模な追加投資を行う
  2. 追加投資を抑えて資金を回収し、その資金を成長分野の事業に振り向ける
  3. 占有率が低い競合を買収して、市場そのものを拡大させる
  4. 市場が成熟しており見込みがないので、直ちに売却または撤退する
正解と解説
正解:B. 追加投資を抑えて資金を回収し、その資金を成長分野の事業に振り向ける

市場成長率が低く相対的市場占有率が高い事業は金のなる木に当たる。市場が伸びていないため大きな追加投資は回収できず、一方で高い占有率のおかげで安定した資金を生む。したがって投資は維持水準にとどめ、生み出した資金を問題児や花形といった成長分野へ回すのが基本の方針である。直ちに撤退すべきなのは成長率も占有率も低い負け犬、大規模な追加投資の対象になり得るのは成長率が高い問題児や花形である。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問5|VRIO

VRIO分析で、ある経営資源が「経済価値があり、希少であり、模倣が困難である」と評価されたが、それを活用する組織の仕組みが整っていないと判断された。この資源の評価として適切なものはどれか。

  1. 三つを満たしているので、すでに持続的な競争優位が実現している
  2. 潜在的な競争優位の源泉ではあるが、組織が整うまで優位は実現しない
  3. 組織は評価項目ではないので、判断に影響しない
  4. 模倣困難性を満たしているため、組織の整備は不要である
正解と解説
正解:B. 潜在的な競争優位の源泉ではあるが、組織が整うまで優位は実現しない

VRIO分析は経済価値・希少性・模倣困難性・組織の四つを順に問う枠組みで、四つすべてを満たしてはじめて持続的な競争優位が実現すると考える。前の三つを満たしていても、その資源を生かす体制や制度、業務プロセスが整っていなければ、優位は潜在的なものにとどまり成果には結び付かない。組織は正式な評価項目であり、模倣困難性が満たされていることは組織整備を不要にする理由にはならない。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問6|成長戦略

アンゾフの成長マトリクスにおいて、既存の製品を、これまで取引のなかった海外市場に投入する戦略はどれか。

  1. 多角化
  2. 新製品開発
  3. 新市場開拓
  4. 市場浸透
正解と解説
正解:C. 新市場開拓

成長マトリクスは製品と市場をそれぞれ既存と新規に分けた四つの組合せである。既存製品を新規市場に投入するのは新市場開拓に当たる。市場浸透は既存製品を既存市場でさらに売り込む戦略、新製品開発は新しい製品を既存市場に投入する戦略、多角化は新製品を新市場に投入する戦略で、製品も顧客も未知であるためもっともリスクが高い。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問7|提携判断

新技術の実用性がまだ不確かで投資額を抑えたいが、その技術を持つ複数の企業と並行して取り組みたい。買収と業務提携のどちらを選ぶかの判断として、最も適切なものはどれか。

  1. 買収を選ぶ。投資額は業務提携より小さく、解消も容易だから
  2. 業務提携を選ぶ。投資が小さく解消もしやすいが、相手を支配できずノウハウ流出への備えが要る
  3. 業務提携を選ぶ。相手企業の意思決定を自社が統制できるので、主導権を握りやすいから
  4. 買収を選ぶ。技術と人材を確実に取り込め、統合後の混乱も生じないから
正解と解説
正解:B. 業務提携を選ぶ。投資が小さく解消もしやすいが、相手を支配できずノウハウ流出への備えが要る

実用性が不確かで、複数の相手と並行して試したい局面では、投資が小さく解消も容易な業務提携が適する。ただし資本関係がないため相手を支配できず、主導権を握りにくいうえ自社ノウハウの流出にも備えが要る。買収は技術・人材・設備をまとめて取り込め意思決定も一本化できるが、多額の資金を要し、買収後の統合作業(PMI)でつまずけば効果は出ないため、この状況には合わない。業務提携で相手の意思決定を統制できるという記述も誤りである。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問8|3C分析

3C分析で扱う三つの要素の組合せとして、適切なものはどれか。

  1. 強み、弱み、機会
  2. 政治、経済、社会
  3. 顧客、競合、自社
  4. 費用、利便性、対話
正解と解説
正解:C. 顧客、競合、自社

3C分析は顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の三者を突き合わせ、顧客が求めていて競合が満たせず自社が提供できる領域を探す手法である。政治・経済・社会はPEST分析の切り口の一部、費用や利便性や対話は4Cの要素、強み・弱み・機会はSWOT分析の区分であり、いずれも3Cではない。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問9|間接業務

グループ各社に重複していた経理業務と人事業務を、新設した一つの社内組織に集約した。この取組みを表す用語はどれか。

  1. シェアードサービス
  2. フランチャイズチェーン
  3. BPO
  4. インキュベーション
正解と解説
正解:A. シェアードサービス

グループ内に分散していた間接業務を一つの組織に集約するのはシェアードサービスである。BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)は業務プロセスを外部の専門事業者に委ねる形態で、業務が社外に出る点が逆向きである。インキュベーションは新しい事業や起業を育てる支援、フランチャイズチェーンは本部が加盟店に商標や運営方法の使用を認めて対価を得る形態であり、いずれも間接業務の社内集約を指す語ではない。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問10|STP

マーケティングにおけるSTPの手順として、適切なものはどれか。

  1. セグメンテーションで市場を分け、次にポジショニングを決め、最後にターゲティングで狙う層を選ぶ
  2. ポジショニングで自社の位置づけを決め、次にターゲティングで狙う層を選び、最後にセグメンテーションで市場を分ける
  3. ターゲティングで狙う層を選び、次にセグメンテーションで市場を分け、最後にポジショニングを決める
  4. セグメンテーションで市場を分け、次にターゲティングで狙う層を選び、最後にポジショニングを決める
正解と解説
正解:D. セグメンテーションで市場を分け、次にターゲティングで狙う層を選び、最後にポジショニングを決める

STPは、市場を似た顧客のかたまりに分けるセグメンテーション、そのうちどこを狙うかを決めるターゲティング、狙った顧客の頭の中で自社製品をどう位置づけるかを決めるポジショニングの順に行う。分けなければ選べず、選ばなければ位置づけを決められないという依存関係があるため、この順序が変わることはない。狙いを定めないまま製品や価格を決めると誰にも刺さらないものになる。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問11|4C

マーケティングミックスの4Pのうち「価格」に対応する、4Cの要素はどれか。

  1. 顧客との対話
  2. 顧客が負担する費用
  3. 顧客にとっての価値
  4. 入手の利便性
正解と解説
正解:B. 顧客が負担する費用

4Cは4Pを買い手の視点で言い換えたもので、製品は顧客にとっての価値、価格は顧客が負担する費用、流通は入手の利便性、販売促進は顧客との対話に対応する。4Pが売り手として何をするかの並びであるのに対し、4Cは顧客にとってそれが何であるかの並びである点が違いである。価格に対応するのは、購入代金だけでなく手間や時間まで含めて顧客が支払う総コストである。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問12|PLC

製品ライフサイクルの成熟期に見られる特徴として、最も適切なものはどれか。

  1. 需要が縮小し、撤退の時期を見極めることが課題になる
  2. 需要の伸びが止まり、製品の差が小さくなって価格競争になりやすい
  3. 認知度が低く売上は小さいので、広告投資が費用の大半を占める
  4. 需要が急激に伸び、参入企業が相次いで生産能力の拡大が課題になる
正解と解説
正解:B. 需要の伸びが止まり、製品の差が小さくなって価格競争になりやすい

成熟期は市場全体の需要の伸びが止まり、各社の製品の違いが小さくなるため価格競争に陥りやすい。ここでは差別化と原価低減が課題になる。認知度が低く広告投資が中心なのは導入期、需要が急伸して生産能力の拡大が課題になるのは成長期、需要が縮小して撤退時期の見極めが課題になるのは衰退期である。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問13|価格戦略

新製品は、部品を組み合わせれば競合が短期間で同等品を出せる構造である。規模の経済が働き、量産すれば単位あたり原価が大きく下がる。この場合に適した価格戦略とその理由はどれか。

  1. 市場浸透価格戦略。低価格にすれば競合も追随できないほど品質が高いと評価されるから
  2. 上澄み吸収価格戦略。高い価格で開発費を早く回収し、競合が現れる前に撤退できるから
  3. 市場浸透価格戦略。低価格で早期に占有率を取り、量産による原価低減で後から利益を確保できるから
  4. 上澄み吸収価格戦略。模倣が容易な製品ほど高価格で希少性を演出できるから
正解と解説
正解:C. 市場浸透価格戦略。低価格で早期に占有率を取り、量産による原価低減で後から利益を確保できるから

模倣が容易で、しかも規模の経済が働く製品では、市場浸透価格戦略(ペネトレーションプライシング)が適する。低い価格で短期間に市場占有率を確保すれば、後発の参入余地を狭められ、量産によって単位原価が下がるので後から利益を確保できるからである。上澄み吸収価格戦略(スキミングプライシング)は、模倣されにくい技術があり高くても買う層が存在する場合に、開発費を早期に回収するための戦略であり、模倣が容易な本問の状況には合わない。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問14|LTV

ライフタイムバリュー(LTV)の説明として、適切なものはどれか。

  1. 顧客一人あたりの1回の購入金額の平均
  2. 製品が市場に投入されてから撤退するまでの期間の長さ
  3. 一人の顧客が取引を続ける期間全体を通じて自社にもたらす利益の総額
  4. システムの導入から廃棄までに要する費用の総額
正解と解説
正解:C. 一人の顧客が取引を続ける期間全体を通じて自社にもたらす利益の総額

ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)は、一人の顧客が取引を継続する期間全体で自社にもたらす利益の総額を表す指標である。1回の売上ではなく長期の関係で顧客を評価するため、獲得費用をかけてでも継続してもらう施策の判断根拠になる。製品が投入されてから撤退するまでの期間は製品ライフサイクル、導入から廃棄までの費用総額はTCO、1回あたりの購入金額の平均は客単価であり、いずれもLTVではない。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問15|キャズム

新技術を用いた製品が、革新的なものを好む一部の企業には採用されたものの、その先の一般的な企業層に広がらない。キャズムを越えるための施策として、最も適切なものはどれか。

  1. 価格を大幅に引き下げ、革新性を好む層にもう一度買い直してもらう
  2. 機能の数を増やし、あらゆる業種の要望に応えられる汎用製品に作り替える
  3. 最先端の性能値を強調する広告を増やし、技術的な先進性をさらに訴求する
  4. 対象とする用途を一つに絞り、導入事例や保守体制を含む完成した解決策として提示する
正解と解説
正解:D. 対象とする用途を一つに絞り、導入事例や保守体制を含む完成した解決策として提示する

キャズムは、新しさに価値を認めるアーリーアダプタと、失敗しない確実さを求めるアーリーマジョリティの間にある溝である。後者は性能値や先進性ではなく、自分と同じ業務で確かに機能した実績と、導入後に困らない体制を評価する。したがって用途を絞り込み、同業種の導入事例、保守や教育、他システムとの接続まで含めた完成した解決策として示すのが有効である。先進性の訴求を強めても購買理由が違うため溝は埋まらず、汎用化して機能を増やす対応も、かえって「自分の課題に効くのか」が伝わらなくなる。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問16|Sカーブ

技術のSカーブに関する記述として、適切なものはどれか。

  1. 技術の性能は投入した資源に常に比例して向上するので、投資を続ける限り優位を保てる
  2. 初期は性能の伸びが緩やかで、中期に急速に伸び、後期は限界に近づいて頭打ちになる
  3. 性能が頭打ちになった時点で市場から撤退するのが唯一の合理的な選択である
  4. 新技術は既存技術より常に高い性能から出発するため、乗り換えの判断は容易である
正解と解説
正解:B. 初期は性能の伸びが緩やかで、中期に急速に伸び、後期は限界に近づいて頭打ちになる

技術のSカーブは、投じた資源や時間に対する性能の伸びが、初期は緩やか、中期は急速、後期は物理的限界に近づいて頭打ちとなるS字を描くことを表す。頭打ちの手前で次の原理に基づく技術のSカーブへ乗り換えることが技術戦略の要点であり、市場からの撤退が唯一の選択肢というわけではない。また新技術は登場時点では既存技術より性能が低いことが多く、しかも既存技術が最も収益を上げている時期に乗り換えの決断を迫られるため、判断は容易ではない。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問17|技術戦略

オープンイノベーションを進めるうえで、あらかじめ取り決めておくべき事項として、最も重要なものはどれか。

  1. 参加する研究者の勤務時間を全社で統一すること
  2. 外部組織との連絡を電子メールだけに限定すること
  3. 自社の研究開発費を毎年同額に固定すること
  4. 共同で生み出した知的財産の帰属と、成果の配分の方法
正解と解説
正解:D. 共同で生み出した知的財産の帰属と、成果の配分の方法

オープンイノベーションは、他社・大学・顧客など外部の知識と技術を取り込んで研究開発を進める考え方で、開発の速度と選択肢を増やせる。一方、複数の主体が関与するため、生み出した知的財産が誰に帰属するのか、事業化したときの成果をどう配分するのかをあらかじめ契約で定めておかないと、後から深刻な争いになる。勤務時間の統一や連絡手段の限定、研究開発費の固定は本質的な論点ではない。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問18|ロングテール

ロングテールの説明として、適切なものはどれか。

  1. 在庫を持たず、注文を受けてから製造元が直接顧客へ発送する形態
  2. 売れ筋の上位2割の商品が、売上全体の8割を占めるという経験則
  3. 販売数の少ない多数の商品の売上を合計すると、全体で無視できない大きさになる現象
  4. 商品の販売価格を需要の変動に合わせて刻々と変化させる仕組み
正解と解説
正解:C. 販売数の少ない多数の商品の売上を合計すると、全体で無視できない大きさになる現象

ロングテールは、一つ一つの販売数は少ない多数の商品でも、品ぞろえを大量にそろえればその売上の合計が全体で無視できない大きさになる現象で、在庫と陳列の費用が小さいネット販売で成り立つ。上位2割が売上の8割を占めるという経験則はパレートの法則で、ロングテールと対になる考え方である。需要に応じて価格を動かすのはダイナミックプライシング、注文を受けてから製造元が直送するのはドロップシッピングである。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問19|EDI

EDIで取り決めておく規約の階層のうち、伝送手順や回線の種類など、データを送受信する手段に関する取決めはどれか。

  1. 業務運用規約
  2. 取引基本規約
  3. 情報伝達規約
  4. 情報表現規約
正解と解説
正解:C. 情報伝達規約

EDIでは四つの階層で規約を定める。情報伝達規約は通信手順や回線など、データを送受信する手段に関する取決めである。情報表現規約はデータの形式やコード体系に関する取決め、業務運用規約は送受信の時刻や障害時の対応など運用に関する取決め、取引基本規約はEDIによる取引を法的に有効なものとするための企業間の基本契約である。層の名前と中身の対応をそろえて覚える。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問20|MaaS

MaaSの説明として、適切なものはどれか。

  1. 電力網に通信と制御の仕組みを組み込み、地域全体の電力の需給を細かく調整する仕組み
  2. 鉄道やバスなど複数の移動手段を一つのサービスとして統合し、検索から予約、決済までを一括で扱う考え方
  3. 現実の設備や工程を計算機の中に写し取り、実物を動かさずに条件を変えて試験する手法
  4. 工場の設備にセンサを付け、稼働状況を継続的に収集して故障の兆候を捉え、設備が実際に止まる前に手を打つ仕組み
正解と解説
正解:B. 鉄道やバスなど複数の移動手段を一つのサービスとして統合し、検索から予約、決済までを一括で扱う考え方

MaaSは、複数の移動手段を利用者から見て一つのサービスに統合し、経路の検索から予約、決済までを一括して行えるようにする考え方である。工場の設備にセンサを付けて稼働状況を収集する仕組みはスマートファクトリー、電力網の需給を通信と制御で調整するのはスマートグリッド、現実の対象を計算機の中に写し取って試験するのはデジタルツインであり、いずれもMaaSではない。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問21|MRP

製品Pを1個組み立てるのに部品Qが3個必要で、部品Qを1個作るのに部品Rが2個必要である。製品Pを50個生産する計画で、部品Rの手持在庫が40個あるとき、部品Rの正味所要量は何個か。

  1. 150個
  2. 260個
  3. 300個
  4. 60個
正解と解説
正解:B. 260個

部品Rの総所要量は、製品Pの生産数50個に員数3個と2個を掛けて300個である。ここから部品Rの手持在庫40個を差し引き、正味所要量は260個となる。300個は在庫を差し引き忘れた値、60個は製品Pの生産数50個から在庫40個を先に引いた10個に3と2を掛けた誤りで、在庫があるのは部品Rであって製品Pではないから、差引きは総所要量を求めた後の部品Rの段階で行う。150個は部品Qの総所要量であり、部品Rの数量ではない。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問22|かんばん

かんばん方式における生産指示の伝わり方として、適切なものはどれか。

  1. 後工程が使用した分を前工程へ引き取りに行き、その情報が下流から上流へさかのぼって伝わる
  2. 各工程が独自の判断で、余力のある限り部品を作り置きする
  3. 受注のたびに営業部門が各工程へ個別に電話で指示を出す
  4. 需要予測に基づき、最上流の工程がすべての工程へ生産量を一斉に指示する
正解と解説
正解:A. 後工程が使用した分を前工程へ引き取りに行き、その情報が下流から上流へさかのぼって伝わる

かんばん方式はJIT(ジャストインタイム)を現場で回す道具で、後工程が使った分だけを前工程へ引き取りに行き、かんばんという指示票によって生産の指示が下流から上流へさかのぼって伝わる。これを後工程引取り方式(引張り方式)という。需要予測に基づいて上流から生産量を押し出すのはMRPに代表される押出し方式であり、指示の向きが逆になる。余力のある限り作り置きするのは作りすぎの無駄で、JITが最も避けようとする状態である。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問23|生産方式

多品種少量生産で、製品の仕様変更や生産量の増減に柔軟に対応したい。適した生産方式はどれか。

  1. セル生産方式
  2. 装置産業型の連続生産方式
  3. 見込生産による大量生産方式
  4. ライン生産方式
正解と解説
正解:A. セル生産方式

セル生産方式は、一人または少人数の作業者が製品の組立をほぼ一通り担当する方式で、作業台の並べ替えや担当の増減で対応できるため、多品種少量生産や仕様変更、生産量の変動に強い。ライン生産方式は工程を一列に並べて流す方式で、少品種大量生産の効率は高いが段取り替えに時間がかかる。連続生産方式や見込みによる大量生産も、品種の切替えには向かない。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問24|発注点

ある部品の1日あたりの平均消費量は40個、発注してから納入されるまでの調達期間は6日である。安全在庫を90個とするとき、定量発注方式における発注点は何個か。

  1. 240個
  2. 330個
  3. 780個
  4. 130個
正解と解説
正解:B. 330個

発注点は、調達期間中に消費する見込みの量に安全在庫を加えて求める。40個に6日を掛けて240個、これに安全在庫90個を加えて330個となる。240個は安全在庫を足し忘れた値、130個は1日あたり消費量と安全在庫を単に足した誤り、780個は消費量に安全在庫を加えてから調達期間を掛けてしまい、安全在庫まで6日分重ねた誤りである。安全在庫は需要の増加や納入遅れに備える緩衝であり、発注点に必ず含める。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問25|EOQ

ある品目の年間需要量は3,600個、1回あたりの発注費用は400円、1個あたりの年間在庫維持費用は8円である。経済的発注量(EOQ)は何個か。

  1. 3,600個
  2. 60個
  3. 300個
  4. 600個
正解と解説
正解:D. 600個

経済的発注量は、年間需要量と1回あたり発注費用の積を2倍し、1個あたり年間在庫維持費用で割った値の平方根である。2かける3,600かける400は2,880,000、これを8で割ると360,000、その平方根は600なので600個となる。年間の発注回数は3,600を600で割って6回である。300個は2倍するところを誤って2で割った場合の値、60個は年間需要量3,600の平方根だけを取った誤り、3,600個は年間需要量をそのまま1回の発注量とした誤りである。発注量を増やすと発注費用の合計は減るが在庫維持費用が増えるため、両者の合計が最小になる点を求める。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問26|管理図

工程の管理図で、すべての点が上下の管理限界線の内側にあるが、直近の9点が続けて中心線の上側に並んでいる。この工程の状態の判断として、適切なものはどれか。

  1. 限界線の幅が広すぎるので、直ちに限界線を狭めて再判定する
  2. 限界線の内側なので、工程は安定した状態にあると判断してよい
  3. 点が並んでいるのは測定の丸め誤差なので、無視してよい
  4. 中心線の片側への連続は偶然でない原因の存在を示すので、原因を調査する
正解と解説
正解:D. 中心線の片側への連続は偶然でない原因の存在を示すので、原因を調査する

管理図は、点が管理限界線の外に出ていないかだけでなく、点の並び方も見る道具である。中心線の片側に多数の点が連続して現れる(連が現れる)、一定の向きに上がり続ける、といった規則的な並びは、偶然のばらつきでは説明できない原因が工程に働いていることを示す。工具の摩耗、原材料ロットの切替え、測定器のずれなどを疑って調査するのが正しい対応で、安定しているとみなしたり、限界線の幅を先に変えたりするのは誤りである。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類8:経営戦略

問27|限界利益

売上高が5,000万円、変動費が2,000万円のとき、限界利益率は何パーセントか。

  1. 60パーセント
  2. 40パーセント
  3. 67パーセント
  4. 250パーセント
正解と解説
正解:A. 60パーセント

限界利益は売上高から変動費を引いた金額なので、5,000万円から2,000万円を引いて3,000万円。限界利益率はこれを売上高で割った値で、3,000を5,000で割って0.6、すなわち60パーセントである。40パーセントは変動費を売上高で割った変動費率であり、限界利益率と変動費率は足すと100パーセントになる。67パーセントは変動費を限界利益で割った値、250パーセントは売上高を変動費で割った値であり、いずれも限界利益率ではない。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類9:企業と法務

問28|損益分岐点

売上高4,000万円、変動費2,400万円、固定費1,200万円の事業がある。損益分岐点売上高は幾らか。

  1. 3,000万円
  2. 3,600万円
  3. 2,000万円
  4. 2,800万円
正解と解説
正解:A. 3,000万円

限界利益率は、売上高4,000万円から変動費2,400万円を引いた1,600万円を4,000万円で割って0.4である。損益分岐点売上高は固定費を限界利益率で割るので、1,200万円を0.4で割って3,000万円となる。2,000万円は固定費を変動費率0.6で割ってしまった誤り、3,600万円は固定費と変動費を単純に足した値、2,800万円は売上高から固定費を引いた値であり、いずれも損益分岐点ではない。なお現在の利益は1,600万円から1,200万円を引いて400万円である。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類9:企業と法務

問29|目標利益

固定費が1,800万円、限界利益率が0.4の事業で、600万円の利益を確保するために必要な売上高は幾らか。

  1. 3,000万円
  2. 4,000万円
  3. 4,500万円
  4. 6,000万円
正解と解説
正解:D. 6,000万円

必要な限界利益は、固定費1,800万円に目標利益600万円を足した2,400万円である。これを限界利益率0.4で割って、必要な売上高は6,000万円となる。4,500万円は目標利益を足し忘れて固定費だけを0.4で割った損益分岐点売上高、4,000万円は固定費と目標利益の合計を限界利益率ではなく変動費率0.6で割った誤り、3,000万円は固定費だけを変動費率0.6で割った誤りである。目標利益は固定費と同じ扱いで回収すべき金額として上乗せする、と覚えるとよい。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類9:企業と法務

問30|安全余裕率

実際の売上高が5,000万円、損益分岐点売上高が3,500万円のとき、安全余裕率は何パーセントか。

  1. 70パーセント
  2. 143パーセント
  3. 30パーセント
  4. 43パーセント
正解と解説
正解:C. 30パーセント

安全余裕率は、実際の売上高から損益分岐点売上高を引き、それを実際の売上高で割って求める。5,000万円から3,500万円を引いて1,500万円、これを5,000万円で割って0.3、すなわち30パーセントである。売上が現在より30パーセント落ちるところまでは赤字にならないという意味になる。70パーセントは損益分岐点売上高を実際の売上高で割った損益分岐点比率、143パーセントはその逆数、43パーセントは差額を損益分岐点売上高で割った誤りである。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類9:企業と法務

問31|定額法

取得価額600万円、耐用年数5年、残存価額を0とする設備を定額法で償却するとき、1年目の減価償却費は幾らか。

  1. 120万円
  2. 150万円
  3. 240万円
  4. 100万円
正解と解説
正解:A. 120万円

定額法は取得価額を耐用年数で割った同額を毎年の減価償却費とするので、600万円を5年で割って120万円となる。毎年同じ120万円が計上され、5年で全額が費用になる。240万円は定額法の償却率0.2を2倍した200パーセント定率法の1年目の値であって定額法の値ではない。150万円は耐用年数を4年、100万円は6年と取り違えた誤りである。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類9:企業と法務

問32|定率法

取得価額500万円、耐用年数5年の設備を200パーセント定率法で償却する。2年目の減価償却費は幾らか。

  1. 72万円
  2. 100万円
  3. 120万円
  4. 200万円
正解と解説
正解:C. 120万円

耐用年数5年の定額法の償却率は1を5で割って0.2、その2倍の0.4が200パーセント定率法の償却率である。1年目は取得価額500万円に0.4を掛けて200万円、期末の帳簿価額は300万円になる。2年目はこの300万円に0.4を掛けて120万円となる。200万円は1年目の値、72万円は3年目の値、100万円は定額法での毎年の値である。定率法は期首の未償却残高に償却率を掛けるので、毎年の額が減っていく。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類9:企業と法務

問33|段階利益

損益計算書において、借入金の支払利息が差し引かれるのはどの段階か。

  1. 経常利益を求める段階
  2. 当期純利益を求める段階のうち、特別損失として
  3. 売上総利益を求める段階
  4. 営業利益を求める段階
正解と解説
正解:A. 経常利益を求める段階

支払利息は本業以外の財務活動から生じる費用なので営業外費用に分類され、営業利益に営業外収益を加え営業外費用を差し引いて経常利益を求める段階で差し引かれる。売上総利益は売上高から売上原価を引いた段階、営業利益はそこから販売費及び一般管理費を引いた段階なので、支払利息はまだ引かれていない。特別損失は災害損失や固定資産売却損など臨時に発生するもので、毎期発生する支払利息は該当しない。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類9:企業と法務

問34|CF区分

キャッシュフロー計算書において、財務活動によるキャッシュフローの区分に計上されるものはどれか。

  1. 商品の販売による現金収入
  2. 製造設備の取得による支出
  3. 法人税等の支払額
  4. 銀行からの長期借入れによる収入
正解と解説
正解:D. 銀行からの長期借入れによる収入

キャッシュフロー計算書は営業活動・投資活動・財務活動の三区分からなる。銀行からの長期借入れによる収入は資金の調達なので財務活動の区分である。商品の販売による現金収入と法人税等の支払額は本業に伴う現金の動きなので営業活動、製造設備の取得による支出は投資活動の区分に入る。法人税等の支払額を財務活動と誤りやすいが、営業活動の区分に含まれる点に注意する。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類9:企業と法務

問35|営業CF

税引前当期純利益800、減価償却費300、売上債権の増加250、棚卸資産の減少120、仕入債務の減少90、法人税等の支払額240であるとき、間接法による営業活動によるキャッシュフローは幾らか。

  1. 640
  2. 880
  3. 1,140
  4. 40
正解と解説
正解:A. 640

税引前当期純利益800に、現金の出ていない費用である減価償却費300を足して1,100。売上債権が250増えたのは売っても現金を受け取っていないので引いて850。棚卸資産が120減ったのは在庫が現金化されたので足して970。仕入債務が90減ったのは支払いを済ませたので引いて880。最後に法人税等の支払額240を引いて640となる。880は法人税等の支払額を引き忘れた値、1,140は売上債権の増加を誤って足した値、40は減価償却費を誤って差し引いた値である。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類9:企業と法務

問36|先入先出

月初在庫が100個(単価200円)、当月に200個を単価230円、300個を単価260円で仕入れ、400個を販売した。先入先出法による月末の棚卸資産の金額は幾らか。

  1. 43,000円
  2. 48,000円
  3. 52,000円
  4. 92,000円
正解と解説
正解:C. 52,000円

仕入と月初在庫の合計は600個、うち400個を販売したので月末在庫は200個である。先入先出法では先に仕入れたものから払い出したとみなすので、月末に残るのは最後に仕入れた単価260円の300個のうち200個であり、200個かける260円で52,000円となる。43,000円は後に仕入れたものから払い出したとみなす後入先出法の値、48,000円は総平均単価240円で評価した値、92,000円は先入先出法による売上原価であって月末在庫の金額ではない。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類9:企業と法務

問37|移動平均

月初在庫が200個(単価150円)、その後300個を単価200円で仕入れ、400個を払い出し、さらに100個を単価240円で仕入れた。移動平均法による月末の在庫単価は幾らか。

  1. 210円
  2. 220円
  3. 180円
  4. 190円
正解と解説
正解:A. 210円

最初の仕入の後、在庫金額は200かける150の30,000円に300かける200の60,000円を足して90,000円、数量は500個なので平均単価は180円になる。400個を単価180円で払い出すと、残りは100個で18,000円。次に100かける240の24,000円を仕入れると、金額は42,000円、数量は200個なので平均単価は210円である。180円は払出し時点の単価、190円は期間全体で一度だけ平均する総平均法の単価、220円は直前の仕入単価200円と最後の仕入単価240円を単純平均した誤りである。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類9:企業と法務

問38|ROE

総資産5,000万円、自己資本2,000万円、当期純利益240万円の企業のROEは何パーセントか。

  1. 40パーセント
  2. 4.8パーセント
  3. 8パーセント
  4. 12パーセント
正解と解説
正解:D. 12パーセント

ROE(自己資本利益率)は当期純利益を自己資本で割った値なので、240万円を2,000万円で割って0.12、すなわち12パーセントである。4.8パーセントは当期純利益を総資産で割ったROA(総資産利益率)、8パーセントは当期純利益を他人資本3,000万円で割った値、40パーセントは自己資本を総資産で割った自己資本比率であり、いずれもROEではない。ROEは借入を増やして自己資本を薄くしても上がるため、自己資本比率と併せて見る必要がある。

根拠:IPA「応用情報技術者試験(レベル3)」シラバス Ver.7.2 大分類9:企業と法務

問39|著作権発生

著作権の発生に関する記述として、適切なものはどれか。

  1. 著作権表示の記号を付した時点で発生する
  2. 著作物を創作した時点で発生し、登録や出願を必要としない
  3. 文化庁に登録した時点で発生する
  4. 著作物を公表した時点で発生する
正解と解説
正解:B. 著作物を創作した時点で発生し、登録や出願を必要としない

著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生し、登録も出願も要件ではない。この無方式主義が、出願と審査を経て設定登録される特許権・実用新案権・意匠権・商標権との決定的な違いである。公表や著作権表示の記号を付すことも発生の要件ではない。なお文化庁の登録制度は存在するが、これは第三者への対抗要件などのための制度であって、権利を発生させるものではない。

根拠:著作権法 第51条

問40|職務著作

会社の従業員が職務上作成し、社内でだけ使用しているプログラムがある。契約や勤務規則に著作者に関する別段の定めはない。このプログラムの著作者に関する記述として、適切なものはどれか。

  1. 会社と従業員の共同著作物となり、著作者は両者である
  2. 会社の名義で公表していないので、著作者は作成した従業員である
  3. プログラムの著作物については法人名義での公表は要件ではないので、著作者は会社である
  4. 社内使用にとどまる場合は著作物とならないので、著作者は存在しない
正解と解説
正解:C. プログラムの著作物については法人名義での公表は要件ではないので、著作者は会社である

著作権法第15条第1項は、法人等の発意に基づき業務従事者が職務上作成する著作物で、法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者を法人等とする。ところが同条第2項のプログラムの著作物については、この「自己の著作の名義の下に公表する」という要件が置かれていない。したがって社内使用にとどまり公表していなくても、他の要件を満たせば会社が著作者になる。プログラムは著作権法第10条第1項第9号に著作物として例示されており、社内使用でも著作物であることに変わりはない。

根拠:著作権法 第15条

問41|人格権

著作権(財産権)のすべてを譲渡する契約を締結した。譲渡後の権利関係に関する記述として、適切なものはどれか。

  1. 著作者人格権は財産権と一体のものなので、譲渡と同時に消滅する
  2. 著作者人格権は財産権に付随するものなので、譲渡と同時に当然に譲受人へ移転する
  3. 著作者人格権は著作者の一身に専属するので譲渡できず、著作者に残る
  4. 著作者人格権は原則として譲渡できないが、契約書に明記すれば譲渡できる
正解と解説
正解:C. 著作者人格権は著作者の一身に専属するので譲渡できず、著作者に残る

著作権法第59条は、著作者人格権は著作者の一身に専属し、譲渡することができないと定めている。したがって財産権としての著作権をすべて譲渡しても、公表権・氏名表示権・同一性保持権といった著作者人格権は著作者のもとに残る。契約書に書けば譲渡できるという性質のものでもなく、譲渡によって消滅するものでもない。実務では、著作者人格権を行使しない旨の特約を結ぶ方法が取られることが多い。

根拠:著作権法 第59条

問42|存続期間

産業財産権の存続期間に関する記述のうち、適切なものはどれか。

  1. 特許権は設定登録の日から20年で、更新することができる
  2. 実用新案権は出願の日から20年で、特許権と同じ長さである
  3. 意匠権は出願の日から10年で、産業財産権の中で最も短い
  4. 商標権は設定登録の日から10年だが、更新登録の申請により何度でも更新できる
正解と解説
正解:D. 商標権は設定登録の日から10年だが、更新登録の申請により何度でも更新できる

商標法第19条は、商標権の存続期間を設定の登録の日から10年とし、第2項で更新登録の申請により更新できると定めている。更新に回数の制限はないため、実質的に半永久的に維持できるのは商標権だけである。特許権は特許法第67条により特許出願の日から20年で、起算日は出願の日であって設定登録の日ではない。実用新案権は実用新案法第15条により出願の日から10年、意匠権は意匠法第21条により出願の日から25年である。起算日が出願の日か設定登録の日かは、権利ごとに確認しておく必要がある。

根拠:商標法 第19条

問43|営業秘密

不正競争防止法上の営業秘密として保護されるために必要な要件の組合せはどれか。

  1. 新規性、進歩性、産業上の利用可能性
  2. 創作性、固定性、公表性
  3. 独創性、希少性、模倣困難性
  4. 秘密管理性、有用性、非公知性
正解と解説
正解:D. 秘密管理性、有用性、非公知性

不正競争防止法第2条第6項は営業秘密を、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報であって、公然と知られていないものと定義している。ここから秘密管理性・有用性・非公知性の三要件が導かれ、一つでも欠ければ保護されない。新規性・進歩性・産業上の利用可能性は特許の要件、創作性は著作物の要件に関する語、独創性や模倣困難性はVRIO分析などで使う経営学の用語であり、営業秘密の要件ではない。とくに秘密管理性は、アクセス制限や秘密表示など秘密として扱っていることが客観的に分かる管理をしていたかで判断される。

根拠:不正競争防止法 第2条第6項

問44|36協定

法定労働時間を超えて労働者に時間外労働をさせるために必要な手続として、適切なものはどれか。

  1. 対象となる労働者から個別に同意書を取得し、社内で保管すること
  2. 事業場の過半数労働組合または過半数代表者と書面による協定を結び、行政官庁に届け出ること
  3. 労使委員会の委員の5分の4以上の多数による決議を行い、社内に掲示すること
  4. 就業規則に時間外労働を行う旨を記載し、労働者に周知すること
正解と解説
正解:B. 事業場の過半数労働組合または過半数代表者と書面による協定を結び、行政官庁に届け出ること

労働基準法第32条は、休憩時間を除き1週間について40時間、1日について8時間を超えて労働させてはならないと定める。これを超えて時間外労働や休日労働をさせるには、労働基準法第36条により、事業場の過半数で組織する労働組合、それがない場合は労働者の過半数を代表する者と書面による協定(いわゆる36協定)を結び、行政官庁に届け出る必要がある。就業規則への記載や個別の同意だけでは足りない。労使委員会の5分の4以上の決議は、労働基準法第38条の4の企画業務型裁量労働制の手続であって、時間外労働のための手続ではない。

根拠:労働基準法 第36条

問45|偽装請負

契約書の名称は業務委託(請負)契約だが、発注者の社員が受託者の作業員に対して、日々の作業手順と残業の要否を直接指示している。この状態の評価として、適切なものはどれか。

  1. 37号告示の基準に照らし、労働力を自ら直接利用しているとはいえないので請負とは認められず、労働者派遣に該当する
  2. 作業場所が発注者の事業所であれば、指示の有無にかかわらず請負として認められる
  3. 契約書が請負である以上、請負として扱われる
  4. 受託者が発注者の指示に同意していれば、請負として問題はない
正解と解説
正解:A. 37号告示の基準に照らし、労働力を自ら直接利用しているとはいえないので請負とは認められず、労働者派遣に該当する

請負と労働者派遣の区分は、厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号、いわゆる37号告示)によって、契約の名称ではなく実態で判断される。請負と認められるには、受託者が自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用していること、すなわち業務の遂行方法の指示、始業終業時刻や休憩・休日の管理、配置の決定などを自ら行っていることが必要である。発注者が作業員へ直接指示している本問はこれを満たさず、いわゆる偽装請負となり、実態は労働者派遣と評価される。当事者の同意や作業場所によって結論が変わるものではない。

根拠:厚生労働省 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)

問46|取適法

2026年1月1日に施行された改正により下請法から改称された中小受託取引適正化法(取適法)に関する記述として、適切なものはどれか。

  1. 改称に伴う用語の変更はなく、親事業者と下請事業者という呼称がそのまま用いられる
  2. 運送の委託は引き続き対象外であり、製造委託と役務提供委託だけが対象である
  3. 従来の資本金による区分は廃止され、従業員数の基準だけで対象を判断することになった
  4. 資本金による区分に加えて従業員数の基準が設けられ、支払手段としての手形払が禁止された
正解と解説
正解:D. 資本金による区分に加えて従業員数の基準が設けられ、支払手段としての手形払が禁止された

2026年1月1日施行の改正により、下請代金支払遅延等防止法は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」となり、中小受託取引適正化法(取適法)と呼ばれるようになった。従来の資本金による区分は残したうえで従業員数の基準(製造委託等は300人以下、役務提供委託等は100人以下)が追加され、支払手段としての手形払が禁止された。あわせて発荷主から運送事業者への物品の運送委託が対象に加わり、価格協議の求めに応じないまま一方的に代金を決める行為も禁止された。呼称も、親事業者は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者、下請代金は製造委託等代金に改められている。

根拠:公正取引委員会 中小受託取引適正化法(2026年1月1日施行)

問47|独占禁止法

複数の同業者が事前に集まって受注予定者と入札価格を決め、そのとおりに入札した。独占禁止法上、この行為はどれに該当するか。

  1. 不公正な取引方法
  2. 不正競争行為
  3. 不当な取引制限
  4. 私的独占
正解と解説
正解:C. 不当な取引制限

事業者が他の事業者と共同して対価を決定したり、取引の相手方を制限したりして相互に事業活動を拘束し、一定の取引分野における競争を実質的に制限する行為は、独占禁止法第2条第6項にいう不当な取引制限であり、入札談合やカルテルがこれに当たる。同法第3条が私的独占とともにこれを禁じている。私的独占は他の事業者の事業活動を排除または支配して競争を制限する行為、不公正な取引方法は同法第19条が禁じる別の類型である。不正競争行為は不正競争防止法上の概念で、独占禁止法の類型ではない。

根拠:独占禁止法 第3条

問48|個人情報

個人情報保護法における要配慮個人情報に該当するものはどれか。

  1. 応募者の病歴に関する情報
  2. 取引先担当者の名刺に記載された役職
  3. 従業員の社員番号と所属部署
  4. 顧客の氏名と携帯電話番号
正解と解説
正解:A. 応募者の病歴に関する情報

個人情報保護法第2条第3項は、要配慮個人情報を、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実など、不当な差別や偏見その他の不利益が生じないよう取扱いに特に配慮を要する記述等が含まれる個人情報と定めている。病歴はこれに該当し、取得には原則として本人の同意が必要になる。社員番号と所属部署、氏名と携帯電話番号、名刺の役職は個人情報ではあるが、要配慮個人情報には当たらない。

根拠:個人情報保護法 第2条第3項

問49|電帳法

電子帳簿保存法における保存の区分に関する記述として、適切なものはどれか。

  1. 紙で受け取った書類をスキャナで読み取って保存することは認められておらず、受け取った紙のまま保存しなければならない
  2. 区分は電子帳簿等保存とスキャナ保存の二つで、電子取引でやり取りしたデータは紙に出力して保存する
  3. すべての国税関係帳簿書類について、電子データで保存することが一律に義務付けられている
  4. 電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存の三区分があり、電子取引のデータは電子のまま保存する必要がある
正解と解説
正解:D. 電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存の三区分があり、電子取引のデータは電子のまま保存する必要がある

電子帳簿保存法の保存区分は、会計ソフトなどで作成した帳簿書類をそのまま電子で保存する電子帳簿等保存、紙で受け取った書類を読み取って保存するスキャナ保存、電子的にやり取りした取引情報を保存する電子取引データ保存の三つである。このうち電子取引データについては、令和6年1月1日から電子データのまま保存することが必要とされ、紙に出力して保存する方法は原則として認められない。一方、電子帳簿等保存とスキャナ保存は要件を満たせば選べる制度であり、すべての帳簿書類の電子保存が一律に義務付けられているわけではない。

根拠:国税庁 電子帳簿等保存制度(電子帳簿保存法)

問50|標準化

JISに関する記述として、適切なものはどれか。

  1. 日本産業規格のことで、2019年施行の産業標準化法により対象がデータやサービスにも広がった
  2. 電気電子技術者の学会が定める規格で、無線LANの規格などが代表例である
  3. 特定の企業の製品が市場で広く使われた結果、事実上の標準となったものを指す
  4. 国際標準化機構が定める国際規格であり、加盟国は国内法として直ちに適用する義務を負う
正解と解説
正解:A. 日本産業規格のことで、2019年施行の産業標準化法により対象がデータやサービスにも広がった

JISは日本産業規格であり、2019年7月1日施行の産業標準化法によって、それまでの工業標準化法および日本工業規格から名称が変わるとともに、標準化の対象がデータやサービスなどにも拡大された。国際標準化機構が定めるのはISO規格で、加盟国に国内法としての直ちの適用義務を課すものではない。電気電子技術者の学会が定めるのはIEEE規格で、IEEE 802.11などの通信規格が代表例である。市場で広く使われた結果として事実上の標準となったものはデファクトスタンダードである。

根拠:経済産業省 産業標準化法(日本産業規格)

演習:この章の問題を解く

ランダム出題の演習ツールです(JavaScript が有効な場合に動きます)。上の「確認問題」はそのままでもすべて読めます。

※ 解説は学習用の情報提供です。最新の出題範囲・制度は必ずIPAの公式発表をご確認ください。
※ 出題はIPA公開のシラバスに沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題です。計算問題はすべて機械検算ずみ。試験制度・実施要項はIPAの公式発表をご確認ください(2027年度春ごろに新試験制度へ移行予定)。