幼稚園教員 KINDERGARTEN TEACHER
「幼稚園教育の実践」論述の準備
講義 3 本・確認問題 10 問 | 指導と運営・論述 | 最終更新 2026-10-16
この章で学ぶこと- 「幼稚園教育の実践」は論述式で、指導案(週案・日案)の作成などが問われることを知る。
- 長期の指導計画(年・学期・月)と短期の指導計画(週・日)の関係を説明できる。
- ねらい・内容・環境の構成・援助・評価という指導案の骨組みを、要領の文言と結び付けて書ける。
- 教師の役割、評価、行事、情報機器、10の姿など、論述の根拠になる要領の考え方を言える。
1. 「幼稚園教育の実践」の科目と指導計画の考え方
認定試験の論述科目で何が求められるかを確かめ、その土台となる長期・短期の指導計画の考え方を要領の言葉で整理します。
幼稚園教員資格認定試験(保育士として働いた経験のある人が幼稚園教諭二種免許状をめざす試験)には、択一式の2科目のほかに「幼稚園教育の実践」という論述式の科目があります。この講義では、まずこの科目で何が求められるのかを確かめ、その土台になる「指導計画」の考え方を幼稚園教育要領(以下、要領)の文言で整理します。
「幼稚園教育の実践」はどんな科目か
文部科学省が2019年に示した資料では、この科目は論述式・大問2問・90分で、内容は「幼稚園教育要領、幼稚園教育要領解説、文部科学省作成の幼稚園教育指導資料等及び、共通課題を基にした指導案(週案、日案)の作成に関する内容」とされています。2026年6月の文部科学省資料でも、この科目は論述式で2問と示されています。試験時間や出題の細かい形は年度で変わることがあるので、受験する年の受験案内(教職員支援機構)で必ず確かめてください(2026年10月時点の情報)。
幼稚園教員資格認定試験の科目(2019年の文部科学省資料による)| 科目 | 形式 | 主な内容 |
|---|
| 教科及び教職に関する科目(Ⅰ) | 択一式 15問・50分 | 教育原理、教育法規、教育心理、特別支援教育など |
| 教科及び教職に関する科目(Ⅱ) | 択一式 15問・50分 | 保育内容の指導法、教育課程、教育方法、幼児理解、教育相談など |
| 幼稚園教育の実践に関する科目 | 論述式 大問2問・90分 | 要領・要領解説・指導資料と、共通課題を基にした指導案(週案・日案)の作成 |
論述はこのサイトの演習では再現できません。そこでこの章では、論述で必ず使う指導案の型と、答案に書くべき要領のキーワードを知識として確かめます。
指導計画とは何か
要領は第1章第4で、幼稚園教育を「幼児が自ら意欲をもって環境と関わることによりつくり出される具体的な活動を通して、その目標の達成を図るもの」と述べます。そのうえで、各幼稚園は教育課程(入園から修了までの教育の全体計画)に基づき、「調和のとれた組織的,発展的な指導計画を作成し,幼児の活動に沿った柔軟な指導を行わなければならない」としています。つまり指導計画は、教育課程を実際の毎日の保育に落とし込むための計画で、しかも計画どおりに進めることより、幼児の活動に沿って柔軟に変えることが前提です。
長期の指導計画と短期の指導計画
要領は、指導計画を2つの層で作るよう求めています。
指導計画の2つの層(要領 第1章第4の3(1))| 種類 | 期間の例 | 要領が示す特徴 |
|---|
| 長期の指導計画 | 年、学期、月(年間指導計画、期案、月案など) | 長期的に発達を見通す |
| 短期の指導計画 | 週、日(週案、日案) | 長期の計画との関連を保ちながら、より具体的な幼児の生活に即して作る。幼児の生活のリズムに配慮し、意識や興味の連続性のある活動が幼稚園生活の自然な流れの中に組み込まれるようにする |
試験で書くのは短期の指導計画(週案・日案)ですが、「前の週からの幼児の姿」「月のねらいとのつながり」を意識すると、長期と短期の関連を示す答案になります。
保育所保育指針との共通点・違い
保育所保育指針も、「長期的な指導計画」と「短期的な指導計画」を作るよう求めており、考え方は共通です。違いとして、保育所保育指針は3歳未満児について「一人一人の子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して、個別的な計画を作成すること」と定め、午睡や長時間の保育への配慮も指導計画に含めます。保育士として働いた経験がある人は、幼稚園の指導計画では「教育課程に係る教育時間(1日4時間が標準)」の中の活動を中心に書く点を意識するとよいでしょう。保育士の側から学ぶ場合は保育士ラボも参考になります。
用語
- 教育課程
- 入園から修了までの教育の内容を、各幼稚園が組織的・計画的に組み立てた全体計画。
- 指導計画
- 教育課程に基づき、具体的なねらい・内容・環境・援助を示した実践のための計画。長期と短期がある。
- 週案・日案
- 1週間、1日を単位とする短期の指導計画。認定試験の論述で作成が求められる。
- 柔軟な指導
- 計画にしばられず、幼児の活動の実際に沿って指導を変えていくこと。要領が指導計画の前提として求める。
例題
例題:要領で、年・学期・月などにわたる指導計画と、週・日などの指導計画は、それぞれ何と呼ばれていますか。
答えと考え方 年・学期・月は「長期の指導計画」、週・日は「短期の指導計画」です。短期の計画は長期の計画との関連を保ちながら、より具体的な幼児の生活に即して作ります。
根拠:文部科学省「教員資格認定試験制度の改善について」(教員養成部会 参考資料、2019年7月)、文部科学省 資料3-4「教員資格認定試験」(2026年6月)、幼稚園教育要領(平成29年文部科学省告示第62号) 第1章第3・第4、保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号) 第1章3(2)
2. 指導案(週案・日案)の型と各欄の書き方
指導案に決まった様式はありませんが、要領の「指導計画の作成上の基本的事項」に沿った共通の骨組みがあります。各欄に何を書くかを学びます。
指導案(週案・日案)には、法令で決まった様式はありません。要領も様式は定めておらず、各幼稚園や養成校がそれぞれの書式を使っています。ただし、どの書式にも共通する「骨組み」があり、それは要領 第1章第4の2「指導計画の作成上の基本的事項」の順番と対応しています。この講義では、その骨組みと各欄の書き方を学びます。
要領が示す指導計画の作成の流れ
要領は、指導計画の作成に当たって「具体的なねらい及び内容を明確に設定し,適切な環境を構成することなどにより活動が選択・展開されるようにする」と述べ、次の3つを挙げます。
ア 具体的なねらい及び内容の設定:幼稚園生活における幼児の発達の過程を見通し、幼児の生活の連続性、季節の変化などを考慮して、幼児の興味や関心、発達の実情などに応じて設定する。
イ 環境の構成:具体的なねらいを達成するために適切なものとなるように構成し、幼児が自らその環境に関わることで様々な活動を展開しつつ必要な体験を得られるようにする。幼児の生活する姿や発想を大切にする。
ウ 活動の展開と援助:幼児の活動は生活の流れの中で様々に変化することに留意し、幼児が望ましい方向に向かって自ら活動を展開していくことができるよう必要な援助をする。
さらに「その際,幼児の実態及び幼児を取り巻く状況の変化などに即して指導の過程についての評価を適切に行い,常に指導計画の改善を図る」とあります。つまり、幼児の姿を捉える → ねらい・内容 → 環境の構成 → 活動の展開と援助 → 評価・改善 → 次の計画という循環が指導計画の基本です。
指導計画の循環(要領 第1章第4の2をもとに作成)日案の欄と書き方
日案によくある欄と、要領との対応| 欄 | 書く内容 | 要領の根拠 |
|---|
| 幼児の姿 | 前日・前週までの遊びや興味、友達との関わりなど、実際に見られた姿 | 幼児の興味や関心、発達の実情に応じて設定する |
| ねらい | この日に育ってほしい心情・意欲・態度を、幼児の姿として書く(例「〜を楽しむ」「〜に気付く」) | ねらいは資質・能力を「幼児の生活する姿から捉えたもの」(第2章) |
| 内容 | ねらいを達成するために幼児が経験する事柄 | 内容は「ねらいを達成するために指導する事項」(第2章) |
| 環境の構成 | 場の配置、用具・素材の種類と量、時間の確保など | 具体的なねらいを達成するために適切なものとなるように構成 |
| 予想される幼児の活動 | 幼児がどう動き、どんな姿を見せそうか(複数の可能性) | 幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき環境を構成(第1章第1) |
| 教師の援助・留意点 | 教師の関わり方、安全への配慮、個別に配慮する幼児への関わり | 望ましい方向に自ら活動を展開できるよう必要な援助 |
| 評価の観点 | ねらいに照らして、何を見て振り返るか | 指導の過程についての評価を行い、指導計画を改善 |
書くときのコツは、主語をそろえることです。「ねらい」「内容」「予想される幼児の活動」は幼児が主語、「環境の構成」「教師の援助」は教師が主語です。「〜させる」という書き方は、教師が一方的に活動を決めている印象を与えるため、要領の「幼児の主体的な活動」と合わない書き方になりがちです。
例:5歳児・秋の日案の一部(オリジナル)
幼児の姿:園庭で落ち葉を集め、色や形を比べる幼児が増えている。
ねらい:秋の自然に触れ、色や形の違いに気付いたり、それを遊びに取り入れたりすることを楽しむ(領域「環境」内容(3)「季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く」、内容(4)「自然などの身近な事象に関心をもち,取り入れて遊ぶ」に対応)。
環境の構成:落ち葉を分けて入れられる容器、虫眼鏡、図鑑を置く場所を用意する。
教師の援助:幼児の発見に共感し、友達同士で見つけたことを伝え合えるよう橋渡しをする。
用語
- ねらい
- 幼稚園教育で育みたい資質・能力を、幼児の生活する姿から捉えたもの。
- 内容
- ねらいを達成するために指導する事項。
- 環境の構成
- ねらいの達成に向け、人・もの・場・時間などを計画的に整えること。
- 援助
- 幼児が自ら活動を展開できるよう、教師が行う関わり。
- 評価の観点
- ねらいに照らして、指導と幼児の育ちを振り返るための視点。
例題
例題:日案の「ねらい」に「落ち葉を集めさせ、色ごとに分けさせる」と書きました。どこを直すとよいですか。
答えと考え方 「させる」は教師主語の活動指示で、ねらいとしては不十分です。ねらいは幼児の姿から捉えたものなので、「秋の自然に触れ、色や形の違いに気付くことを楽しむ」のように、育ってほしい心情・意欲・態度を幼児を主語にして書きます。具体的な手立ては「環境の構成」「教師の援助」の欄に書きます。
根拠:幼稚園教育要領(平成29年文部科学省告示第62号) 第1章第1・第4の2、第2章(前文・領域「環境」)、文部科学省「幼稚園教育要領解説」(平成30年2月)(第1章第4節の構成)
3. 論述の観点:答案に使う要領のキーワード
環境・遊び・教師の役割・評価・10の姿・特別な配慮など、論述の理由づけに使える要領の言葉を場面ごとに整理します。
論述では、指導案を書くだけでなく、「なぜその環境や援助にしたのか」を要領の考え方で説明できることが大切です。この講義では、答案の根拠として使える要領のキーワードを、場面ごとに整理します。言葉は要領のとおりに覚えましょう。
観点1 幼稚園教育の基本
要領 第1章第1は、幼稚園教育は「環境を通して行うもの」であることを基本とし、次の3つを重視するとしています。(1) 幼児の主体的な活動を促し、幼児期にふさわしい生活が展開されるようにする。(2) 幼児の自発的な活動としての遊びは重要な学習であり、遊びを通しての指導を中心として第2章のねらいが総合的に達成されるようにする。(3) 幼児一人一人の特性に応じ、発達の課題に即した指導を行う。どんな課題でも、この3点のどれにつながるかを示すと、答案の軸がぶれません。
観点2 教師の役割
要領 第1章第4の3(7)は、幼児の主体的な活動を促すには教師が多様な関わりをもつことが重要だとし、教師は「理解者,共同作業者など様々な役割」を果たすよう求めています。また(8)では、活動が個人・グループ・学級全体など多様に展開されることから、幼稚園全体の教師による協力体制を作るよう述べています。「教師が見守る」とだけ書くのではなく、どの場面でどんな役割を果たすかを具体的に書きましょう。
観点3 指導計画の留意事項(よく使うもの)
要領 第1章第4の3の主な留意事項| 項目 | 要領の考え方 |
|---|
| 体験のつながり | 心を動かされる体験が次の活動を生み出すことを考慮し、一つ一つの体験が相互に結び付くようにする。主体的・対話的で深い学びが実現するようにする |
| 言語活動 | 言語に関する能力の発達と思考力等の発達の関連を踏まえ、言語環境を整え、言語活動の充実を図る |
| 見通しと振り返り | 次の活動への期待や意欲をもてるよう、教師や他の幼児と共に見通しをもったり、振り返ったりする工夫をする |
| 行事 | 生活に変化や潤いを与え、幼児が主体的に楽しく活動できるようにする。教育的価値を十分検討して精選し、幼児の負担にならないようにする |
| 情報機器 | 幼児期は直接的な体験が重要。視聴覚教材やコンピュータは、幼稚園生活では得難い体験を補完するなど、体験との関連を考慮して使う |
観点4 評価
要領 第1章第4の4は、評価について、指導の過程を振り返りながら幼児の理解を進め、一人一人のよさや可能性などを把握し、指導の改善に生かすとしています。そして「他の幼児との比較や一定の基準に対する達成度についての評定によって捉えるものではない」と明記しています。また、評価の妥当性や信頼性を高める工夫をし、次年度や小学校等に適切に引き継ぐよう求めています。
観点5 「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」と小学校との接続
10の姿(健康な心と体、自立心、協同性など)は、ねらい及び内容に基づく活動全体を通して資質・能力が育まれている幼児の「幼稚園修了時の具体的な姿」であり、「教師が指導を行う際に考慮するもの」です。一人一人に順番に教え込む項目や、評定のための基準として扱うものではありません。小学校との接続では、小学校の教師との意見交換や合同の研究の機会を設け、10の姿を共有するなどして連携を図ります。
観点6 特別な配慮と家庭・地域
障害のある幼児などには、集団の中で生活することを通して全体的な発達を促すことに配慮し、個別の教育支援計画と個別の指導計画を作成・活用するよう努めます(第1章第5)。日本語の習得に困難のある幼児には、安心して自己を発揮できるよう配慮します。家庭との連携では、保護者との情報交換の機会や、保護者と幼児との活動の機会を設けることなどを通じて、保護者の幼児期の教育に関する理解が深まるよう配慮します(第1章第6)。
答案の組み立て(学習のコツ)
(1) 課題の幼児の姿を読み取り、どの領域・ねらいに関わるかを示す → (2) ねらいと内容を幼児を主語に書く → (3) 環境の構成と教師の援助を、上の観点の言葉で理由づける → (4) 評価の観点と、次の計画への生かし方を書く、という順にすると、指導計画の循環に沿った答案になります。これは試験の公式な採点基準ではなく、要領の構成に沿った書き方の一例です。
用語
- 遊びを通しての指導
- 遊びを重要な学習と捉え、それを中心にねらいを総合的に達成する、幼稚園教育の基本的な方法。
- 理解者・共同作業者
- 要領が挙げる教師の役割の例。幼児の思いを受け止め、ときに一緒に活動する。
- 個別の指導計画
- 障害のある幼児などの実態を的確に把握し、一人一人の指導内容・方法を示す計画。
- 個別の教育支援計画
- 家庭・地域・医療・福祉・保健等の関係機関と連携し、長期的な視点で支援を行うための計画。
例題
例題:運動会の練習が長くなり、幼児が疲れている様子が見られます。要領のどの考え方を使って指導を見直すとよいですか。
答えと考え方 行事の指導の留意事項です。行事は幼児が主体的に楽しく活動できるようにし、教育的価値を十分検討して精選し、幼児の負担にならないようにすると要領は述べています。練習の量や進め方を見直し、日々の遊びの中で楽しめる形を取り入れるなどの改善が考えられます。
根拠:幼稚園教育要領(平成29年文部科学省告示第62号) 第1章第1・第2・第3の5・第4の3と4・第5・第6
確認問題(10問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|実践科目の形式
2019年の文部科学省資料で示された、幼稚園教員資格認定試験の「幼稚園教育の実践に関する科目」の形式として正しいものはどれか。
- 択一式で15問、試験時間は50分
- 論述式で大問2問、試験時間は90分
- ピアノと歌唱の実技、1人10分程度
- 個人面接と集団討論、計60分程度
正解と解説
問2|長期と短期の指導計画
幼稚園教育要領で「短期の指導計画」として示されている期間の組合せはどれか。
- 年・学期
- 学期・月
- 週・日
- 月・週
正解と解説
正解:C. 週・日要領は、年・学期・月などにわたる長期の指導計画と、これとの関連を保ちながらより具体的な幼児の生活に即した週・日などの短期の指導計画を作成するとしています。「年・学期」「学期・月」は長期の指導計画の期間です。「月・週」は長期の月と短期の週を混ぜた組合せで、要領の区分と合いません。
根拠:幼稚園教育要領(平成29年文部科学省告示第62号) 第1章第4の3(1)
問3|具体的なねらい及び内容の設定
幼稚園教育要領が示す、指導計画における具体的なねらい及び内容の設定の仕方として正しいものはどれか。
- 発達の過程を見通し、生活の連続性や季節の変化などを考慮して、幼児の興味や関心に応じて設定する
- 小学校の教科の単元の順序に合わせ、修了までに全員が同じ内容を終えられるよう設定する
- 地域の他の幼稚園の平均的な進度を調べ、それより遅れないよう学級全体で一律に設定する
- 年間の行事の日程を最優先し、行事の練習に必要な活動から逆算して毎日の内容を設定する
正解と解説
正解:A. 発達の過程を見通し、生活の連続性や季節の変化などを考慮して、幼児の興味や関心に応じて設定する要領は、具体的なねらい及び内容を、幼稚園生活における幼児の発達の過程を見通し、幼児の生活の連続性、季節の変化などを考慮して、幼児の興味や関心、発達の実情などに応じて設定するとしています。小学校の教科の単元順に合わせる考え方は、遊びを通しての総合的な指導という幼稚園教育の基本と合いません。他園の平均的な進度に合わせて一律に決める考え方は、一人一人の発達の実情に応じるという要領の考え方に反します。行事を最優先して逆算する考え方は、行事を精選し幼児の負担にならないようにするという留意事項とも合いません。
根拠:幼稚園教育要領(平成29年文部科学省告示第62号) 第1章第1・第4の2(2)ア・第4の3(5)
問4|幼児理解に基づいた評価
幼稚園教育要領が示す「幼児理解に基づいた評価」の考え方として正しいものはどれか。
- 学級の中での順位が分かるよう、幼児同士を比べて評価する
- 「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の達成度を段階で評定する
- 評価の内容は園内だけで扱い、小学校には引き継がないようにする
- 指導の過程を振り返り、一人一人のよさや可能性を把握して指導の改善に生かす
正解と解説
正解:D. 指導の過程を振り返り、一人一人のよさや可能性を把握して指導の改善に生かす要領は、指導の過程を振り返りながら幼児の理解を進め、一人一人のよさや可能性などを把握し、指導の改善に生かすとしています。そのうえで、他の幼児との比較や一定の基準に対する達成度についての評定によって捉えるものではないと明記しているため、順位づけや達成度の段階評定は誤りです。また、評価の内容は次年度又は小学校等に適切に引き継がれるようにするとしているので、引き継がないとする考え方も誤りです。
根拠:幼稚園教育要領(平成29年文部科学省告示第62号) 第1章第4の4
問5|教師の役割
幼稚園教育要領は、幼児の主体的な活動を促すために、教師が「( )など様々な役割を果たし」と述べている。空欄に入る語句として正しいものはどれか。
- 指示者,管理者
- 理解者,共同作業者
- 審判,採点者
- 監督者,評価者
正解と解説
正解:B. 理解者,共同作業者要領 第1章第4の3(7)は、教師が多様な関わりをもつことが重要であることを踏まえ、教師は「理解者,共同作業者など様々な役割を果たし」、活動の場面に応じて適切な指導を行うとしています。「指示者,管理者」「監督者,評価者」は、教師が一方的に活動を決めたり管理したりする立場を表し、幼児の主体的な活動を促すという趣旨と合いません。「審判,採点者」も要領にはなく、評定によって捉えないという評価の考え方とも合いません。
根拠:幼稚園教育要領(平成29年文部科学省告示第62号) 第1章第4の3(7)
問6|行事の指導
幼稚園教育要領が示す行事の指導の留意事項として正しいものはどれか。
- 教育的価値を十分検討して適切なものを精選し、幼児の負担にならないようにする
- 保護者の期待に応えるため、行事の数はできるだけ増やし毎月必ず実施する
- 行事の成果を見せることを優先し、当日までの練習時間を十分に確保する
- 行事は教育課程外の活動として扱い、指導計画には位置付けないようにする
正解と解説
正解:A. 教育的価値を十分検討して適切なものを精選し、幼児の負担にならないようにする要領は、行事の指導に当たっては、幼稚園生活の自然の流れの中で生活に変化や潤いを与え、幼児が主体的に楽しく活動できるようにし、それぞれの行事の教育的価値を十分検討し、適切なものを精選し、幼児の負担にならないようにするとしています。行事の数を増やす考え方や、見せるための練習を優先する考え方は、精選と負担への配慮に反します。また、要領は行事の指導を指導計画の作成上の留意事項として示しているので、指導計画に位置付けないとする考え方も誤りです。
根拠:幼稚園教育要領(平成29年文部科学省告示第62号) 第1章第4の3(5)
問7|情報機器の活用
幼稚園教育要領が示す、視聴覚教材やコンピュータなど情報機器の活用についての考え方として正しいものはどれか。
- 幼児期は情報機器の操作の習得が最も重要なので、毎日一定時間使うようにする
- 情報機器は幼児の発達に合わないため、幼稚園では一切使わないようにする
- 実物に触れる体験の代わりとして、自然や生き物は映像で学ぶことを基本にする
- 直接的な体験の重要性を踏まえ、幼稚園生活では得難い体験を補完するなどして使う
正解と解説
正解:D. 直接的な体験の重要性を踏まえ、幼稚園生活では得難い体験を補完するなどして使う要領は、幼児期は直接的な体験が重要であることを踏まえ、視聴覚教材やコンピュータなど情報機器を活用する際には、幼稚園生活では得難い体験を補完するなど、幼児の体験との関連を考慮するとしています。操作の習得を最重要とする考え方や、実物の体験を映像に置き換える考え方は、直接的な体験を重視する趣旨に反します。一方、要領は活用する際の考え方を示しており、一切使わないとは定めていません。
根拠:幼稚園教育要領(平成29年文部科学省告示第62号) 第1章第4の3(6)
問8|指導計画の作成の流れ
幼稚園教育要領の「指導計画の作成上の基本的事項」に沿って、指導計画の作成と展開の流れを並べたものとして最も適切なものはどれか。
- 環境の構成 → 幼児の活動の展開と援助 → 具体的なねらい及び内容の設定 → 評価と改善
- 活動の展開と援助 → 評価と改善 → 環境の構成 → 具体的なねらい及び内容の設定
- 具体的なねらい及び内容の設定 → 環境の構成 → 活動の展開と援助 → 評価と改善
- 評価と改善 → 具体的なねらい及び内容の設定 → 活動の展開と援助 → 環境の構成
正解と解説
正解:C. 具体的なねらい及び内容の設定 → 環境の構成 → 活動の展開と援助 → 評価と改善要領は、具体的なねらい及び内容を明確に設定し(ア)、それを達成するために適切な環境を構成し(イ)、幼児が自ら活動を展開できるよう必要な援助をし(ウ)、その際に指導の過程についての評価を行って常に指導計画の改善を図るとしています。環境の構成から始める並びは、環境が「具体的なねらいを達成するために」構成されるという要領の考え方と順序が逆です。活動の展開から始める並びや、環境の構成を最後に置く並びも、ねらいに基づいて環境を整え、その中で活動が展開されるという要領の流れと合いません。
根拠:幼稚園教育要領(平成29年文部科学省告示第62号) 第1章第4の2(2)
問9|保育所保育指針の指導計画
保育所保育指針が示す指導計画の作成についての記述として正しいものはどれか。
- 3歳未満児については、一人一人の生育歴や心身の発達、活動の実態等に即して個別的な計画を作成する
- 保育所では長期的な指導計画は作成せず、日々の短期的な指導計画だけを作成する
- 午睡は生活のリズムを整えるため、全員の睡眠時間を一律にそろえるよう計画する
- 3歳以上児については個別的な計画だけを作成し、協同的な活動は計画に含めない
正解と解説
正解:A. 3歳未満児については、一人一人の生育歴や心身の発達、活動の実態等に即して個別的な計画を作成する保育所保育指針は、3歳未満児について、一人一人の子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して個別的な計画を作成することとしています。指針は長期的な指導計画と短期的な指導計画の両方を作成するとしているので、長期的な計画を作らないとする記述は誤りです。午睡については、睡眠時間は発達の状況や個人によって差があるので一律とならないよう配慮するとしています。3歳以上児については、個の成長と子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮するとしているので、協同的な活動を含めないとする記述も誤りです。
根拠:保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号) 第1章3(2)
問10|10の姿の扱い
指導計画を作成する際の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の扱いとして、幼稚園教育要領に沿うものはどれか。
- 5歳児の修了時に全員が到達すべき基準とし、一人一人の達成を判定する
- 活動全体を通して資質・能力が育まれている修了時の具体的な姿として、指導の際に考慮する
- 3歳児の入園時から10項目を一つずつ順番に取り上げ、教科のように教える
- 小学校1年生の学習内容の一覧として扱い、幼稚園で先に教えておくようにする
正解と解説
正解:B. 活動全体を通して資質・能力が育まれている修了時の具体的な姿として、指導の際に考慮する要領は、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を、第2章のねらい及び内容に基づく活動全体を通して資質・能力が育まれている幼児の幼稚園修了時の具体的な姿であり、教師が指導を行う際に考慮するものとしています。全員の到達を判定する扱いは、他の幼児との比較や一定の基準に対する達成度についての評定によって捉えないという評価の考え方に反します。項目を順番に教科のように教える扱いは、活動全体を通して育むという趣旨や遊びを通しての総合的な指導と合いません。小学校との接続では10の姿を小学校の教師と共有するとされていますが、小学校の学習内容を先取りして教えるものではありません。
根拠:幼稚園教育要領(平成29年文部科学省告示第62号) 第1章第1・第2の3・第3の5・第4の4
演習:この章の問題を解く
ランダム出題の演習ツールです(JavaScript が有効な場合に動きます)。上の「確認問題」はそのままでもすべて読めます。
※ 解説は学習用の情報提供です。認定試験・採用選考の受験資格や実施方法は、必ず文部科学省・受験する自治体の公式発表をご確認ください。
※ 問題はすべて仮の宿 学習室のオリジナル問題で、本試験の問題ではありません。幼稚園教育要領は平成29年告示のもの(2026年10月時点)です。