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心臓・血液・排泄・婦人薬
講義 3 本・確認問題 25 問 | 本試験では「第3章 主な医薬品」(40問)の一部 | 最終更新 2026-09-24
この章で学ぶこと- 強心薬の生薬成分、高コレステロール改善成分、貧血用薬(鉄製剤)の成分と服用の注意が整理できるようになる。
- 痔の病態、外用・内用痔疾用薬の成分、泌尿器用薬とこの節の漢方処方の使い分けが整理できるようになる。
- 婦人薬の適用対象(月経前症候群・更年期障害・血の道症)、女性ホルモン成分の注意、この節の漢方処方の証が整理できるようになる。
1. 心臓や血液に作用する薬
強心薬の生薬成分、高コレステロール改善成分、貧血用薬(鉄製剤)の成分と服用の注意が整理できるようになる。
動悸は「心臓の拍動が強く若しくは速くなり、又は脈拍が乱れ、それが不快に感じられる」もの、息切れは「息をすると胸苦しさや不快感があり、意識的な呼吸運動を必要とする」ものと手引きでは説明される。気つけとは、心臓の働きの低下による一時的なめまい、立ちくらみ等の症状に対して、意識をはっきりさせたり、活力を回復させる効果のことである。強心薬は、心筋に作用してその収縮力を高めるとされる成分(強心成分)を主体として配合される。
強心成分としては、センソ、ゴオウ、ジャコウ、ロクジョウ等の生薬成分が用いられる。センソはヒキガエル科のアジアヒキガエル等の耳腺の分泌物を基原とし、微量で強い強心作用を示す。皮膚や粘膜に触れると局所麻酔作用を示すため、センソが配合された丸薬、錠剤等の内服固形製剤は口中で噛み砕くと舌等が麻痺することがあり、噛まずに服用することとされている。有効域が比較的狭い成分で、1日用量中センソ5mgを超えて含有する医薬品は劇薬に指定されており、一般用医薬品では1日用量が5mg以下となるよう定められている。通常用量においても悪心(吐きけ)、嘔吐の副作用が現れることがある。
ジャコウはシカ科のジャコウジカの雄の麝香腺分泌物を基原とし、強心作用のほか、呼吸中枢を刺激して呼吸機能を高めたり、意識をはっきりさせる等の作用があるとされる。ゴオウはウシ科のウシの胆嚢中に生じた結石を基原とし、強心作用のほか、末梢血管の拡張による血圧降下、興奮を静める等の作用があるとされる。ロクジョウはシカ科のシカの雄鹿の角化していない幼角を基原とし、強心作用のほか、強壮、血行促進等の作用があるとされる。強心成分以外では、中枢神経系の刺激作用による気つけの効果を期待してリュウノウ(主要な物質としてボルネオール)、鎮静作用等を期待してシンジュが配合される場合がある。
漢方処方製剤の苓桂朮甘湯は、体力中等度以下で、めまい、ふらつきがあり、ときにのぼせや動悸があるものの立ちくらみ、めまい、頭痛、耳鳴り、動悸、息切れ、神経症、神経過敏に適すとされる。強心作用が期待される生薬は含まれず、主に利尿作用により水毒の排出を促すことを主眼とする。構成生薬としてカンゾウを含む。強心薬は一般に、5〜6日間使用して症状の改善がみられない場合には、医療機関の受診が勧奨される。
コレステロールの産生及び代謝は主として肝臓で行われる。低密度リポタンパク質(LDL)はコレステロールを肝臓から末梢組織へ運び、高密度リポタンパク質(HDL)は末梢組織のコレステロールを取り込んで肝臓へ運ぶ。LDLが140mg/dL以上、HDLが40mg/dL未満、中性脂肪が空腹時150mg/dL以上のいずれかである状態を脂質異常症という。高コレステロール改善成分としては、腸管におけるコレステロールの吸収を抑える大豆油不けん化物(ソイステロール)、コレステロールと結合して代謝されやすいコレステロールエステルを形成し肝臓における代謝を促すリノール酸・ポリエンホスファチジルコリン、LDL等の異化排泄を促進しリポタンパクリパーゼ活性を高めてHDL産生を高めるパンテチンが用いられる。ビタミンB2(リボフラビン酪酸エステル等)はコレステロールの生合成抑制と排泄・異化促進作用等を有するとされ、摂取によって尿が黄色くなることがあるが異常ではない。ビタミンE(トコフェロール酢酸エステル)は過酸化脂質の生成を抑え、末梢血行障害の緩和等を目的として用いられる。高コレステロール改善薬は痩身効果を目的とする医薬品ではない。
貧血用薬(鉄製剤)は、鉄欠乏性貧血に対して不足している鉄分を補充することにより造血機能の回復を図る医薬品で、フマル酸第一鉄、溶性ピロリン酸第二鉄、可溶性含糖酸化鉄、クエン酸鉄アンモニウムなどが用いられる。鉄製剤を服用すると便が黒くなることがあるが、これは使用の中止を要する副作用等の異常ではない。ただし服用前から便が黒い場合は消化管内で出血している場合もあるため、服用前の便の状況との対比が必要である。鉄以外では、鉄の代謝や輸送に重要な役割を持つ銅(硫酸銅)、ビタミンB12の構成成分であるコバルト(硫酸コバルト)、エネルギー合成を促進するマンガン(硫酸マンガン)が配合される場合があり、ビタミンC は消化管内で鉄が吸収されやすい状態に保つことを目的として用いられる。
鉄分の吸収は空腹時のほうが高いとされているが、消化器系への副作用を軽減するには食後に服用することが望ましい。服用の前後30分にタンニン酸を含む飲食物(緑茶、紅茶、コーヒー、ワイン、柿等)を摂取すると、タンニン酸と反応して鉄の吸収が悪くなることがあるので、服用前後はそれらの摂取を控えることとされている。貧血の症状がみられる以前から予防的に使用することは適当でなく、2週間程度使用しても改善がみられない場合には受診を促す。
その他の循環器用薬として、末梢の血行を促してうっ血を除くコウカ、心筋の酸素利用効率を高めて収縮力を高めるユビデカレノン(別名コエンザイムQ10、15歳未満の小児向けの製品はない)、ニコチン酸が遊離して末梢の血液循環を改善するヘプロニカート・イノシトールヘキサニコチネート、毛細血管の補強・強化を期待して用いられるルチンがある。漢方処方製剤では、体力中等度以上でのぼせ気味で顔面紅潮する人の高血圧随伴症状等に適すとされる三黄瀉心湯(ダイオウを含み、使用中は瀉下薬の併用を避ける)、体力中等度以下で顔色が悪くて疲れやすい人の高血圧随伴症状に適すとされる七物降下湯(15歳未満の小児への使用は避ける)がある。
心臓や血液に作用する薬の主な成分(成分名|区分|はたらき|注意)| 成分名・処方名 | 区分 | はたらき | 注意 |
|---|
| センソ | 強心成分 | 微量で強い強心作用 | 噛まずに服用。1日用量中5mg超は劇薬。通常用量でも悪心・嘔吐 |
| ジャコウ | 強心成分 | 強心、呼吸中枢刺激、意識をはっきりさせる | ― |
| ゴオウ | 強心成分 | 強心、末梢血管拡張による血圧降下、興奮を静める | ― |
| ロクジョウ | 強心成分 | 強心、強壮、血行促進 | ― |
| リュウノウ | 強心成分以外 | 中枢神経系の刺激作用による気つけ | ― |
| シンジュ | 強心成分以外 | 鎮静作用 | ― |
| 苓桂朮甘湯 | 漢方処方製剤 | 利尿作用により水毒の排出を促す(体力中等度以下のめまい・動悸等) | 強心作用が期待される生薬は含まれない。カンゾウを含む |
| 大豆油不けん化物(ソイステロール) | 高コレステロール改善成分 | 腸管におけるコレステロールの吸収を抑える | 消化器系の副作用 |
| リノール酸・ポリエンホスファチジルコリン | 高コレステロール改善成分 | コレステロールエステルを形成し、肝臓における代謝を促す | 消化器系の副作用 |
| パンテチン | 高コレステロール改善成分 | LDL等の異化排泄を促進し、HDL産生を高める | 消化器系の副作用 |
| ビタミンB2(リボフラビン酪酸エステル等) | ビタミン成分 | コレステロールの生合成抑制と排泄・異化促進、過酸化脂質分解等 | 尿が黄色くなるが、中止を要する異常ではない |
| ビタミンE(トコフェロール酢酸エステル) | ビタミン成分 | 過酸化脂質の生成を抑え、末梢血管の血行を促進 | ― |
| フマル酸第一鉄・溶性ピロリン酸第二鉄等 | 貧血用薬(鉄分) | 不足した鉄分を補充し造血機能の回復を図る | 便が黒くなる。服用前後30分のタンニン酸を含む飲食物を控える |
| 硫酸銅 | 貧血用薬(鉄以外) | 鉄の代謝や輸送に重要な役割。ヘモグロビン産生を助ける | ― |
| 硫酸コバルト | 貧血用薬(鉄以外) | ビタミンB12の構成成分。骨髄での造血機能を高める | ― |
| 硫酸マンガン | 貧血用薬(鉄以外) | エネルギー合成を促進 | ― |
| ビタミンC(アスコルビン酸等) | 貧血用薬(ビタミン) | 消化管内で鉄が吸収されやすい状態に保つ | ― |
| コウカ | その他の循環器用薬 | 末梢の血行を促してうっ血を除く | ― |
| ユビデカレノン(コエンザイムQ10) | その他の循環器用薬 | 心筋の酸素利用効率を高めて収縮力を高める | 15歳未満の小児向けの製品はない。強心薬等との併用を避ける |
| ヘプロニカート・イノシトールヘキサニコチネート | その他の循環器用薬 | ニコチン酸が遊離し、末梢の血液循環を改善 | ― |
| ルチン | その他の循環器用薬 | 毛細血管の補強・強化 | ― |
| 三黄瀉心湯 | 漢方処方製剤 | 体力中等度以上、のぼせ気味で顔面紅潮の高血圧随伴症状・痔出血等 | ダイオウを含む。使用中は瀉下薬の併用を避ける |
| 七物降下湯 | 漢方処方製剤 | 体力中等度以下、顔色が悪く疲れやすい人の高血圧随伴症状 | 15歳未満の小児への使用は避ける |
用語
- 気つけ
- 心臓の働きの低下による一時的なめまい、立ちくらみ等の症状に対して、意識をはっきりさせたり、活力を回復させる効果のこと。リュウノウなどが中枢神経系の刺激作用によるこの効果を期待して用いられる。
- 脂質異常症
- 医療機関で測定する検査値として、LDLが140mg/dL以上、HDLが40mg/dL未満、中性脂肪が空腹時150mg/dL以上のいずれかである状態をいう。自覚症状を伴わないため、偶然又は生活習慣病を生じて指摘されることが多い。
- 鉄欠乏性貧血
- 赤血球に含まれる色素ヘモグロビンの生合成に必要な鉄分が不足して生じる貧血。貧血のうち鉄製剤で改善できるのは鉄欠乏性貧血のみで、年長乳児や幼児、月経血損失のある女性、妊婦・母乳を与える女性は鉄欠乏状態を生じやすい。
- 水毒
- 漢方の考え方で、体の水分が停滞したり偏在して、その循環が悪いことを意味する。苓桂朮甘湯は強心作用が期待される生薬を含まず、主に利尿作用により水毒の排出を促すことを主眼とする。
例題
例題:センソが配合された内服固形製剤の服用方法について、手引きではどう説明されているか。
答えと考え方 センソは皮膚や粘膜に触れると局所麻酔作用を示すため、丸薬、錠剤等の内服固形製剤は口中で噛み砕くと舌等が麻痺することがあり、噛まずに服用することとされている。1日用量中センソ5mgを超えて含有する医薬品は劇薬である点とあわせて頻出。
例題:鉄製剤の服用前後に控えるべき飲食物は何か。
答えと考え方 服用の前後30分にタンニン酸を含む飲食物(緑茶、紅茶、コーヒー、ワイン、柿等)を摂取すると、タンニン酸と反応して鉄の吸収が悪くなることがあるため、服用前後は摂取を控えることとされている。
出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅳ 心臓などの器官や血液に作用する薬
2. 排泄に関わる部位に作用する薬
痔の病態、外用・内用痔疾用薬の成分、泌尿器用薬とこの節の漢方処方の使い分けが整理できるようになる。
痔は、肛門付近の血管がうっ血し、肛門に負担がかかることによって生じる肛門の病気の総称で、主な病態として痔核、裂肛、痔瘻がある。痔核は肛門に存在する細かい血管群が部分的に拡張し、肛門内にいぼ状の腫れが生じたもので、一般に「いぼ痔」と呼ばれる。歯状線より上部の直腸粘膜にできた痔核を内痔核と呼び、直腸粘膜には知覚神経が通っていないため自覚症状が少ない。歯状線より下部の肛門の出口側にできた痔核を外痔核と呼び、排便と関係なく出血や患部の痛みを生じる。裂肛は肛門の出口からやや内側の上皮に傷が生じた状態で、一般に「切れ痔」と呼ばれる。痔瘻は肛門内部の肛門腺窩に糞便の滓が溜まって炎症・化膿を生じた状態である。
外用痔疾用薬は、坐剤、軟膏剤(注入軟膏を含む)又は外用液剤である。局所に適用されるものであるが、坐剤及び注入軟膏では成分の一部が直腸粘膜から吸収されて循環血流中に入りやすく、全身的な影響を生じることがある。局所麻酔成分(リドカイン、リドカイン塩酸塩、アミノ安息香酸エチル、ジブカイン塩酸塩、プロカイン塩酸塩等)は、周辺の知覚神経に作用して刺激の神経伝導を可逆的に遮断し、痔に伴う痛み・痒みを和らげる。リドカイン、リドカイン塩酸塩、アミノ安息香酸エチル又はジブカイン塩酸塩が配合された坐剤及び注入軟膏では、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることがある。
痒みを和らげる成分として、抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミン塩酸塩等)のほか、局所刺激成分として熱感刺激を生じさせるクロタミトン、冷感刺激を生じさせるカンフル、ハッカ油、メントール等が配合される場合がある。抗炎症成分としては、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、プレドニゾロン酢酸エステル等のステロイド性抗炎症成分が配合される場合があり、これらが配合された坐剤及び注入軟膏は、その含有量によらず長期連用を避ける必要がある。比較的緩和な抗炎症作用を示す成分としてグリチルレチン酸(グリチルリチン酸が分解されてできる成分)もある。組織修復成分としてはアラントイン、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイネート(別名アルクロキサ)が用いられる。
止血成分としては、血管収縮作用による止血効果を期待してテトラヒドロゾリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩、エフェドリン塩酸塩、ナファゾリン塩酸塩等のアドレナリン作動成分が配合されることがある。メチルエフェドリン塩酸塩が配合された坐剤及び注入軟膏は、心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能障害の診断を受けた人では症状を悪化させるおそれがあり、使用前に相談がなされるべきである。粘膜表面に不溶性の膜を形成する収斂保護止血成分として、タンニン酸、酸化亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム、卵黄油等がある。殺菌消毒成分(クロルヘキシジン塩酸塩、セチルピリジニウム塩化物等)、生薬成分のシコン(新陳代謝促進、殺菌、抗炎症)、セイヨウトチノミ(血行促進、抗炎症)も配合される場合がある。
内用痔疾用薬は生薬成分を中心に配合され、外用痔疾用薬と併せて用いると効果的である。オウゴン(シソ科のコガネバナの周皮を除いた根)とセイヨウトチノミは主に抗炎症作用を、カイカ(マメ科のエンジュの蕾)とカイカク(マメ科のエンジュの成熟果実)は主に止血効果を期待して用いられる。カルバゾクロムは毛細血管を補強、強化して出血を抑える働きがあるとされる。漢方処方製剤の乙字湯は、体力中等度以上で大便がかたく便秘傾向のあるものの痔核(いぼ痔)、切れ痔、便秘、軽度の脱肛に適すとされ、通常ダイオウを含み、まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎を生じることが知られている。芎帰膠艾湯は、体力中等度以下で冷え症で、出血傾向があり胃腸障害のないものの痔出血、貧血、月経異常・月経過多・不正出血、皮下出血に適すとされる。いずれもカンゾウを含む。
その他の泌尿器用薬では、ウワウルシ(ツツジ科のクマコケモモの葉)が、利尿作用のほか、経口摂取後に尿中に排出される分解代謝物が抗菌作用を示し、尿路の殺菌消毒効果を期待して用いられる。日本薬局方収載のウワウルシ、カゴソウ(シソ科のウツボグサの花穂)は、煎薬として残尿感、排尿に際して不快感のあるものに用いられる。利尿作用を期待して、キササゲ、サンキライ、ソウハクヒ(日本薬局方収載品は煎薬として尿量減少に用いられる)、モクツウ(アケビ科のアケビ又はミツバアケビの蔓性の茎)、ブクリョウも配合される場合がある。
泌尿器用の漢方処方製剤として、牛車腎気丸・八味地黄丸・六味丸はいずれも体力中等度以下で疲れやすい人の排尿困難、頻尿、むくみ等に適すとされる。八味地黄丸は残尿感、夜間尿、軽い尿漏れにも適すとされ、胃腸の弱い人・下痢しやすい人では使用を避け、のぼせが強く赤ら顔で体力の充実している人には不向きとされる。猪苓湯は体力に関わらず使用でき、排尿異常があり、ときに口が渇くものの排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿、むくみに適すとされる。竜胆瀉肝湯は体力中等度以上で、下腹部に熱感や痛みがあるものの排尿痛、残尿感、尿の濁り、こしけ(おりもの)、頻尿に適すとされ、カンゾウを含む。残尿感や尿量減少は膀胱炎や前立腺肥大などによっても起こることがあり、その場合は一般用医薬品によって対処することは適当でない。
痔疾用薬・泌尿器用薬の主な成分(成分名|区分|はたらき|注意)| 成分名・処方名 | 区分 | はたらき | 注意 |
|---|
| リドカイン、アミノ安息香酸エチル、ジブカイン塩酸塩等 | 局所麻酔成分(外用) | 知覚神経の伝導を可逆的に遮断し、痛み・痒みを和らげる | 坐剤・注入軟膏でまれにショック(アナフィラキシー) |
| ジフェンヒドラミン塩酸塩等 | 抗ヒスタミン成分(外用) | 痔に伴う痒みを和らげる | ― |
| クロタミトン | 局所刺激成分(外用) | 熱感刺激を生じさせ、痒みを抑える | ― |
| カンフル、ハッカ油、メントール | 局所刺激成分(外用) | 冷感刺激を生じさせ、痒みを抑える | ― |
| ヒドロコルチゾン酢酸エステル、プレドニゾロン酢酸エステル | ステロイド性抗炎症成分(外用) | 肛門部の炎症や痒みを和らげる | 坐剤・注入軟膏は含有量によらず長期連用を避ける |
| グリチルレチン酸 | 抗炎症成分(外用) | 比較的緩和な抗炎症作用(グリチルリチン酸の分解物) | ― |
| アラントイン、アルクロキサ | 組織修復成分(外用) | 肛門部の創傷の治癒を促す | ― |
| テトラヒドロゾリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩等 | アドレナリン作動成分(外用) | 血管収縮作用による止血 | メチルエフェドリン塩酸塩は心臓病・高血圧・糖尿病・甲状腺機能障害の人は相談 |
| タンニン酸、酸化亜鉛等 | 収斂保護止血成分(外用) | 粘膜表面に不溶性の膜を形成し、保護・止血 | ― |
| クロルヘキシジン塩酸塩、セチルピリジニウム塩化物等 | 殺菌消毒成分(外用) | 痔疾患に伴う局所の感染を防止 | ― |
| シコン | 生薬成分(外用) | 新陳代謝促進、殺菌、抗炎症 | ― |
| オウゴン、セイヨウトチノミ | 生薬成分(内用) | 主に抗炎症作用 | ― |
| カイカ(蕾)、カイカク(成熟果実) | 生薬成分(内用) | 主に止血効果 | ― |
| カルバゾクロム | 止血成分(内用) | 毛細血管を補強・強化して出血を抑える | ― |
| 乙字湯 | 漢方処方製剤(痔) | 体力中等度以上、大便がかたく便秘傾向のいぼ痔・切れ痔・脱肛 | ダイオウ・カンゾウを含む。まれに肝機能障害・間質性肺炎 |
| 芎帰膠艾湯 | 漢方処方製剤(痔) | 体力中等度以下・冷え症・出血傾向の痔出血、貧血、月経過多等 | カンゾウを含む。胃腸が弱く下痢しやすい人には不向き |
| ウワウルシ | 尿路消毒成分 | 利尿のほか、分解代謝物が抗菌作用を示し尿路を殺菌消毒 | ― |
| カゴソウ、キササゲ、サンキライ、ソウハクヒ、モクツウ | 利尿成分(生薬) | 利尿作用 | ― |
| 牛車腎気丸・八味地黄丸・六味丸 | 漢方処方製剤(泌尿器) | 体力中等度以下、疲れやすい人の排尿困難・頻尿・むくみ等 | のぼせが強く赤ら顔で体力充実の人には不向き(牛車腎気丸・八味地黄丸) |
| 猪苓湯 | 漢方処方製剤(泌尿器) | 体力に関わらず使用できる。排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿、むくみ | ― |
| 竜胆瀉肝湯 | 漢方処方製剤(泌尿器) | 体力中等度以上、下腹部に熱感や痛みがある排尿痛・残尿感・尿の濁り等 | カンゾウを含む |
用語
- 内痔核
- 直腸粘膜と皮膚の境目となる歯状線より上部の直腸粘膜にできた痔核。直腸粘膜には知覚神経が通っていないため自覚症状が少なく、排便時に痔核がはみ出る脱肛や出血等の症状が現れる。
- 痔瘻
- 肛門内部に存在する肛門腺窩と呼ばれる小さなくぼみに糞便の滓が溜まって炎症・化膿を生じた状態。体力低下等により抵抗力が弱まっているときに起こりやすく、進行すると肛門周囲の皮膚部分から膿が溢れ、激痛を生じる。
- 収斂保護止血成分
- 粘膜表面に不溶性の膜を形成することによる粘膜の保護・止血を目的とする成分。タンニン酸、酸化亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム、卵黄油等が外用痔疾用薬に配合される場合がある。
- 尿路消毒成分
- ウワウルシは利尿作用のほか、経口的に摂取した後、尿中に排出される分解代謝物が抗菌作用を示し、尿路の殺菌消毒効果を期待して用いられる。日本薬局方収載品は煎薬として残尿感、排尿に際して不快感のあるものに用いられる。
例題
例題:ステロイド性抗炎症成分が配合された坐剤・注入軟膏の使用上の注意は何か。
答えと考え方 手引きでは、ステロイド性抗炎症成分が配合された坐剤及び注入軟膏は、その含有量によらず長期連用を避ける必要があるとされている。「含有量が少なければ長期連用してよい」とする選択肢は誤り。
例題:猪苓湯と竜胆瀉肝湯の体力(証)の違いは何か。
答えと考え方 猪苓湯は体力に関わらず使用できるとされるのに対し、竜胆瀉肝湯は体力中等度以上で下腹部に熱感や痛みがあるものに適すとされる。泌尿器用の漢方処方では体力の条件の入れ替えが定番の出題である。
出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅴ 排泄に関わる部位に作用する薬
3. 婦人薬
婦人薬の適用対象(月経前症候群・更年期障害・血の道症)、女性ホルモン成分の注意、この節の漢方処方の証が整理できるようになる。
女性の月経は、子宮内膜が剥がれ落ち、血液(経血)と共に排出される生理現象で、月経周期は個人差があり約21日〜40日と幅がある。視床下部や下垂体で産生されるホルモンと、卵巣で産生される女性ホルモンが月経周期に関与する。加齢とともに卵巣からの女性ホルモンの分泌が減少していき、やがて月経が停止して妊娠可能な期間が終了することを閉経といい、閉経の前後には更年期(閉経周辺期)と呼ばれる移行的な時期がある。
血の道症は、臓器・組織の形態的異常がなく、抑うつや寝つきが悪くなる、神経質、集中力の低下等の精神神経症状が現れる病態で、月経、妊娠、分娩、産褥、更年期等の生理現象や、流産、人工妊娠中絶、避妊手術などを原因とする異常生理によって起こるとされ、範囲が更年期障害よりも広く、年齢的に必ずしも更年期に限らない。月経の約10〜3日前に現れ、月経開始と共に消失する腹部膨満感、頭痛、乳房痛などの身体症状や感情の不安定、抑うつなどの精神症状を主体とするものを月経前症候群という。婦人薬は、血の道症、更年期障害、月経異常及びそれらに随伴する冷え症、月経痛、腰痛、頭痛、のぼせ、肩こり、めまい、動悸、息切れ等に用いられる。
女性ホルモン成分として、人工的に合成された女性ホルモンの一種であるエチニルエストラジオールは、エストラジオールを補充するもので、膣粘膜又は外陰部に適用されるものがあり、適用部位から吸収されて循環血液中に移行する。妊娠中の女性ホルモン成分の摂取によって胎児の先天性異常の発生が報告されており、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避ける必要がある。吸収された成分の一部が乳汁中に移行することが考えられ、母乳を与える女性では使用を避けるべきである。長期連用により血栓症を生じるおそれがあり、また、乳癌や脳卒中などの発生確率が高まる可能性もあるため、継続して使用する場合には医療機関を受診するよう促すべきである。
生薬成分では、サフラン(アヤメ科のサフランの柱頭)、コウブシ(カヤツリグサ科のハマスゲの根茎)が、鎮静、鎮痛のほか、女性の滞っている月経を促す作用を期待して配合される場合がある。日本薬局方収載のサフランを煎じて服用する製品は、冷え症及び血色不良に用いられる。センキュウ(セリ科のセンキュウの根茎)、トウキ(セリ科のトウキ又はホッカイトウキの根)、ジオウ(ゴマノハグサ科のアカヤジオウ等の根)は、血行を改善し、血色不良や冷えの症状を緩和するほか、強壮、鎮静、鎮痛等の作用を期待して用いられる。このほか鎮痛・鎮痙のシャクヤク・ボタンピ、鎮静のサンソウニン・カノコソウ、抗炎症のカンゾウ、利尿のモクツウ・ブクリョウ等が配合される場合がある。
婦人薬の漢方処方製剤には、温経湯、温清飲、加味逍遙散、桂枝茯苓丸、五積散、柴胡桂枝乾姜湯、四物湯、桃核承気湯、当帰芍薬散等がある。このうち温経湯、加味逍遙散、五積散、柴胡桂枝乾姜湯、桃核承気湯は構成生薬としてカンゾウを含み、五積散はマオウを、桃核承気湯はダイオウを含む。当帰芍薬散は体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害などに適すとされる。加味逍遙散は体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものに適すとされ、まれに重篤な副作用として肝機能障害、腸間膜静脈硬化症を生じることが知られている。桂枝茯苓丸は比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものに適すとされる。
温経湯は体力中等度以下で手足がほてり唇が乾くもの、温清飲は体力中等度で皮膚はかさかさして色つやが悪くのぼせるもの、五積散は体力中等度又はやや虚弱で冷えがあるもの、柴胡桂枝乾姜湯は体力中等度以下で冷え症、貧血気味、神経過敏なもの、四物湯は体力虚弱で冷え症で皮膚が乾燥、色つやの悪い体質で胃腸障害のないもの、桃核承気湯は体力中等度以上でのぼせて便秘しがちなものに、それぞれ適すとされる。内服で用いられる婦人薬は比較的作用が穏やかで、ある程度長期間使用することによって効果が得られるとされるが、1ヶ月位使用して症状の改善がみられず、日常生活に支障を来すようであれば、医療機関を受診するなどの対応が必要である。月経以外の不規則な出血(不正出血)がある場合には、すみやかに医療機関を受診して専門医の診療を受けるなどの対応が必要である。
婦人薬の主な成分・漢方処方(成分名|区分|はたらき|注意)| 成分名・処方名 | 区分 | はたらき・適すとされる証 | 注意 |
|---|
| エチニルエストラジオール | 女性ホルモン成分 | エストラジオールを補充(膣粘膜又は外陰部に適用) | 妊婦・授乳婦は使用を避ける。長期連用で血栓症、乳癌や脳卒中の発生確率が高まる可能性 |
| サフラン、コウブシ | 生薬成分 | 鎮静、鎮痛、滞っている月経を促す | ― |
| センキュウ、トウキ、ジオウ | 生薬成分 | 血行を改善し血色不良や冷えを緩和、強壮、鎮静、鎮痛 | ― |
| 当帰芍薬散 | 漢方処方製剤 | 体力虚弱、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすいものの月経不順・更年期障害等 | 胃腸の弱い人には不向き |
| 加味逍遙散 | 漢方処方製剤 | 体力中等度以下、のぼせ感・肩こり・精神不安やいらだち、ときに便秘傾向 | カンゾウを含む。まれに肝機能障害・腸間膜静脈硬化症 |
| 桂枝茯苓丸 | 漢方処方製剤 | 比較的体力があり、下腹部痛・肩こり・のぼせて足冷えを訴えるもの | 体の虚弱な人には不向き。まれに肝機能障害 |
| 温経湯 | 漢方処方製剤 | 体力中等度以下、手足がほてり唇が乾くものの月経不順・更年期障害等 | カンゾウを含む。胃腸の弱い人には不向き |
| 温清飲 | 漢方処方製剤 | 体力中等度、皮膚はかさかさして色つやが悪くのぼせるもの | まれに肝機能障害 |
| 五積散 | 漢方処方製剤 | 体力中等度又はやや虚弱で冷えがあるものの月経痛・更年期障害・感冒等 | マオウ・カンゾウを含む |
| 柴胡桂枝乾姜湯 | 漢方処方製剤 | 体力中等度以下、冷え症・貧血気味・神経過敏で動悸、息切れがあるもの | カンゾウを含む。まれに間質性肺炎・肝機能障害 |
| 四物湯 | 漢方処方製剤 | 体力虚弱、冷え症で皮膚が乾燥し色つやが悪く胃腸障害のないもの | 体の虚弱な人、胃腸の弱い人、下痢しやすい人には不向き |
| 桃核承気湯 | 漢方処方製剤 | 体力中等度以上、のぼせて便秘しがちなものの月経不順・月経痛等 | ダイオウ・カンゾウを含む。体の虚弱な人には不向き |
用語
- 月経前症候群
- 月経の約10〜3日前に現れ、月経開始と共に消失する腹部膨満感、頭痛、乳房痛などの身体症状や感情の不安定、抑うつなどの精神症状を主体とするもの。血の道症のうち特にこの型をいう。
- 血の道症
- 臓器・組織の形態的異常がなく、抑うつや寝つきが悪くなる、神経質、集中力の低下等の精神神経症状が現れる病態。月経、妊娠、分娩、産褥、更年期等の生理現象や異常生理によって起こるとされ、範囲は更年期障害より広く、必ずしも更年期に限らない。
- 更年期障害
- 更年期に月経周期が不規則になるほか、不定愁訴として血の道症の症状に加え、冷え症、腰痛、頭痛、頭重、ほてり、のぼせ、立ちくらみ等の症状が起こる症候群。
- エチニルエストラジオール
- 人工的に合成された女性ホルモンの一種で、エストラジオールを補充するもの。妊婦又は妊娠していると思われる女性、母乳を与える女性では使用を避ける。長期連用により血栓症を生じるおそれがあり、乳癌や脳卒中などの発生確率が高まる可能性もある。
例題
例題:月経前症候群とはどのような症状か。
答えと考え方 手引きでは、月経の約10〜3日前に現れ、月経開始と共に消失する腹部膨満感、頭痛、乳房痛などの身体症状や感情の不安定、抑うつなどの精神症状を主体とするものを月経前症候群というとされている。「月経終了と共に消失」と入れ替える誤り選択肢に注意。
例題:婦人薬の漢方処方のうち「比較的体力があり」とされるのはどれか。
答えと考え方 桂枝茯苓丸である。当帰芍薬散・四物湯は体力虚弱、加味逍遙散・温経湯・柴胡桂枝乾姜湯は体力中等度以下、桃核承気湯は体力中等度以上とされており、体力(証)の対応が繰り返し問われる。
出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅵ 婦人薬
確認問題(25問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|センソ
強心薬に配合されるセンソに関する記述のうち、正しいものはどれか。
- センソが配合された丸薬、錠剤等の内服固形製剤は、口中でよく噛み砕いてから服用することとされている。
- 1日用量中センソ1mgを超えて含有する医薬品は、劇薬に指定されている。
- 微量で強い強心作用を示し、通常用量においても悪心(吐きけ)、嘔吐の副作用が現れることがある。
- シカ科のジャコウジカの雄の麝香腺分泌物を基原とする生薬である。
正解と解説
正解:C. 微量で強い強心作用を示し、通常用量においても悪心(吐きけ)、嘔吐の副作用が現れることがある。手引きでは、センソはヒキガエル科のアジアヒキガエル等の耳腺の分泌物を基原とする生薬で、微量で強い強心作用を示し、通常用量でも悪心・嘔吐の副作用が現れることがあるとされる。皮膚や粘膜に触れると局所麻酔作用を示し、内服固形製剤は口中で噛み砕くと舌等が麻痺することがあるため噛まずに服用する。劇薬指定の基準は1日用量中センソ5mg超であり、1mgではない。麝香腺分泌物を基原とするのはジャコウである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅳ 心臓などの器官や血液に作用する薬
問2|強心薬の生薬
強心薬に配合される生薬成分に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- ゴオウは、ウシ科のウシの胆嚢中に生じた結石を基原とする生薬で、強心作用のほか、末梢血管の拡張による血圧降下、興奮を静める等の作用があるとされる。
- ロクジョウは、シカ科のジャコウジカの雄の麝香腺分泌物を基原とする生薬で、強心作用のほか、呼吸中枢を刺激して呼吸機能を高める作用を期待して用いられる。
- ジャコウは、シカ科のシカの雄鹿の角化していない幼角を基原とする生薬で、強心作用を期待して用いられる。
- リュウノウは、中枢神経系の鎮静作用を期待して用いられる生薬で、リュウノウ中に存在する主要な物質としてグリチルリチン酸が配合されている場合もある強心薬の成分である。
正解と解説
正解:A. ゴオウは、ウシ科のウシの胆嚢中に生じた結石を基原とする生薬で、強心作用のほか、末梢血管の拡張による血圧降下、興奮を静める等の作用があるとされる。手引きのとおり、ゴオウはウシの胆嚢中に生じた結石を基原とし、強心作用のほか末梢血管の拡張による血圧降下、興奮を静める等の作用があるとされる。ロクジョウの基原は雄鹿の角化していない幼角、ジャコウの基原はジャコウジカの雄の麝香腺分泌物で、選択肢は基原が入れ替わっている。リュウノウは中枢神経系の刺激作用による気つけの効果を期待して用いられ、主要な物質はボルネオールである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅳ 心臓などの器官や血液に作用する薬
問3|ジャコウ
ジャコウに関する記述のうち、正しいものはどれか。
- ウシ科のウシの胆嚢中に生じた結石を基原とする生薬である。
- 強心作用が期待される生薬成分は含まれず、主に利尿作用によって水毒の排出を促すことを主眼とする生薬である。
- 皮膚や粘膜に触れると局所麻酔作用を示すため、噛まずに服用することとされている強心薬の生薬成分である。
- 強心作用のほか、呼吸中枢を刺激して呼吸機能を高めたり、意識をはっきりさせる等の作用があるとされる。
正解と解説
正解:D. 強心作用のほか、呼吸中枢を刺激して呼吸機能を高めたり、意識をはっきりさせる等の作用があるとされる。手引きでは、ジャコウはシカ科のジャコウジカの雄の麝香腺分泌物を基原とする生薬で、強心作用のほか、呼吸中枢を刺激して呼吸機能を高めたり、意識をはっきりさせる等の作用があるとされる。ウシの胆嚢中に生じた結石を基原とするのはゴオウ、局所麻酔作用を示し噛まずに服用するのはセンソ、利尿作用により水毒の排出を促すのは漢方処方製剤の苓桂朮甘湯の説明である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅳ 心臓などの器官や血液に作用する薬
問4|苓桂朮甘湯
苓桂朮甘湯に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
- 体力中等度以下で、めまい、ふらつきがあり、ときにのぼせや動悸があるものの立ちくらみ、めまい、頭痛、耳鳴り、動悸、息切れ、神経症、神経過敏に適すとされる。
- 強心作用が期待される生薬を主体として構成されている。
- 主に利尿作用により、水毒の排出を促すことを主眼とする。
- 構成生薬としてカンゾウを含む漢方処方製剤である。
正解と解説
正解:B. 強心作用が期待される生薬を主体として構成されている。手引きでは、苓桂朮甘湯には強心作用が期待される生薬は含まれず、主に利尿作用により水毒(体の水分が停滞したり偏在して、その循環が悪いこと)の排出を促すことを主眼とするとされており、「強心作用が期待される生薬を主体とする」は誤り。適すとされる証(体力中等度以下でめまい・ふらつき等)とカンゾウを含むことは手引きの記載のとおりで正しい。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅳ 心臓などの器官や血液に作用する薬
問5|コレステロール
高コレステロール改善薬の配合成分に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- パンテチンは、LDL等の異化排泄を促進し、リポタンパクリパーゼ活性を高めて、HDL産生を高める作用があるとされる。
- 大豆油不けん化物(ソイステロール)には、腸管におけるコレステロールの吸収を促す働きがあるとされ、高コレステロール改善薬に配合される。
- リノール酸は、末梢血管における血行を促進する作用を目的として配合されている。
- ビタミンEの摂取によって尿が黄色くなることがあるが、これは生理的な変化であり、使用の中止を要する副作用等の異常ではない。
正解と解説
正解:A. パンテチンは、LDL等の異化排泄を促進し、リポタンパクリパーゼ活性を高めて、HDL産生を高める作用があるとされる。手引きのとおり、パンテチンはLDL等の異化排泄を促進し、リポタンパクリパーゼ活性を高めてHDL産生を高める作用があるとされる。大豆油不けん化物(ソイステロール)は腸管におけるコレステロールの吸収を「抑える」働きがあるとされ、「促す」は誤り。リノール酸はコレステロールと結合して代謝されやすいコレステロールエステルを形成し、肝臓におけるコレステロールの代謝を促す成分である。尿が黄色くなるのはリボフラビン(ビタミンB2)の説明である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅳ 心臓などの器官や血液に作用する薬
問6|脂質異常症
血中コレステロールに関する記述のうち、誤っているものはどれか。
- 低密度リポタンパク質(LDL)は、コレステロールを肝臓から末梢組織へと運ぶリポタンパク質である。
- 医療機関で測定する検査値として、LDLが140mg/dL以上、HDLが40mg/dL未満、中性脂肪が空腹時150mg/dL以上のいずれかである状態を、脂質異常症という。
- 高密度リポタンパク質(HDL)は、コレステロールを肝臓から末梢組織へと運ぶリポタンパク質である。
- コレステロールの産生及び代謝は、主として肝臓で行われる。
正解と解説
正解:C. 高密度リポタンパク質(HDL)は、コレステロールを肝臓から末梢組織へと運ぶリポタンパク質である。手引きでは、HDLは末梢組織のコレステロールを取り込んで肝臓へと運ぶリポタンパク質とされており、「肝臓から末梢組織へ運ぶ」は誤り。肝臓から末梢組織へ運ぶのはLDLである。脂質異常症の検査値(LDL140mg/dL以上、HDL40mg/dL未満、中性脂肪空腹時150mg/dL以上のいずれか)と、コレステロールの産生・代謝が主として肝臓で行われることは手引きの記載のとおり正しい。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅳ 心臓などの器官や血液に作用する薬
問7|貧血用薬の成分
貧血用薬(鉄製剤)に配合される成分に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- 硫酸コバルトは、エネルギー合成を促進する目的で配合されている場合がある。
- 硫酸マンガンは、ビタミンB12の構成成分であるマンガンを補充し、骨髄での造血機能を高める目的で配合されている場合がある。
- ビタミンCは、ヘモグロビン産生に必要なビタミンとして配合されている場合がある。
- 銅は、ヘモグロビンの産生過程で、鉄の代謝や輸送に重要な役割を持つ。
正解と解説
正解:D. 銅は、ヘモグロビンの産生過程で、鉄の代謝や輸送に重要な役割を持つ。手引きのとおり、銅はヘモグロビンの産生過程で鉄の代謝や輸送に重要な役割を持ち、硫酸銅は補充した鉄分を利用してヘモグロビンが産生されるのを助ける目的で配合される。ビタミンB12の構成成分で造血機能を高めるのはコバルト(硫酸コバルト)、エネルギー合成を促進するのはマンガン(硫酸マンガン)で、選択肢は説明が入れ替わっている。ビタミンCは消化管内で鉄が吸収されやすい状態に保つことを目的とし、ヘモグロビン産生に必要とされるのはビタミンB6である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅳ 心臓などの器官や血液に作用する薬
問8|鉄製剤の注意
貧血用薬(鉄製剤)の服用に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- 服用の前後30分に緑茶、紅茶、コーヒーなどタンニン酸を含む飲食物を摂取すると鉄の吸収が良くなるため、服用の前後にはそれらを摂取することが望ましい。
- 服用の前後30分にタンニン酸を含む飲食物(緑茶、紅茶、コーヒー、ワイン、柿等)を摂取すると、タンニン酸と反応して鉄の吸収が悪くなることがある。
- 鉄分の吸収は、空腹時よりも食後のほうが高い。
- 貧血の症状がみられる以前から、その予防を目的として貧血用薬(鉄製剤)を継続的に使用することが適当であり、症状が現れてから使用を開始する必要はない。
正解と解説
正解:B. 服用の前後30分にタンニン酸を含む飲食物(緑茶、紅茶、コーヒー、ワイン、柿等)を摂取すると、タンニン酸と反応して鉄の吸収が悪くなることがある。手引きでは、服用の前後30分にタンニン酸を含む飲食物(緑茶、紅茶、コーヒー、ワイン、柿等)を摂取すると、タンニン酸と反応して鉄の吸収が悪くなることがあるので、服用前後はそれらの摂取を控えることとされている。吸収が良くなるのではない。鉄分の吸収は空腹時のほうが高いとされる(ただし消化器系への副作用軽減には食後服用が望ましい)。また、症状がみられる以前から予防的に使用することは適当でないとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅳ 心臓などの器官や血液に作用する薬
問9|便の黒色化
貧血用薬(鉄製剤)に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- 鉄製剤を服用すると便が黒くなることがあるが、これは使用の中止を要する副作用等の異常ではない。
- 服用後に便が黒くなった場合は、重篤な副作用のおそれがあるため、直ちに使用を中止しなければならない。
- 鉄製剤の服用前から便が黒い場合には、服用前の便の状況との対比は必要ない。
- 消化器系への副作用を軽減するには、空腹時に服用することが望ましい。
正解と解説
正解:A. 鉄製剤を服用すると便が黒くなることがあるが、これは使用の中止を要する副作用等の異常ではない。手引きでは、鉄製剤を服用すると便が黒くなることがあるが、これは使用の中止を要する副作用等の異常ではないとされており、直ちに中止しなければならないという記述は誤り。ただし、服用前から便が黒い場合は貧血の原因として消化管内で出血している場合もあるため、服用前の便の状況との対比が必要とされる。消化器系への副作用を軽減するには、空腹時ではなく食後に服用することが望ましいとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅳ 心臓などの器官や血液に作用する薬
問10|ユビデカレノン
ユビデカレノンに関する記述のうち、誤っているものはどれか。
- 肝臓や心臓などの臓器に多く存在し、エネルギー代謝に関与する酵素の働きを助ける成分で、別名コエンザイムQ10とも呼ばれる。
- 心筋の酸素利用効率を高めて収縮力を高めることによって、血液循環の改善効果を示すとされる。
- 小児において心疾患による動悸、息切れ、むくみの症状があるような場合に用いる、15歳未満の小児向けの製品がある。
- 2週間位使用して症状の改善がみられない場合には、漫然と使用を継続することは適当でない。
正解と解説
正解:C. 小児において心疾患による動悸、息切れ、むくみの症状があるような場合に用いる、15歳未満の小児向けの製品がある。手引きでは、小児において心疾患による動悸、息切れ、むくみの症状があるような場合には医師の診療を受けることが優先されるべきであり、15歳未満の小児向けの製品は「ない」とされているため、この記述は誤り。ユビデカレノンがコエンザイムQ10とも呼ばれエネルギー代謝に関与する酵素の働きを助けること、心筋の酸素利用効率を高めて収縮力を高めること、2週間位使用して改善がみられなければ漫然と継続しないことは、いずれも手引きの記載のとおり正しい。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅳ 心臓などの器官や血液に作用する薬
問11|痔の病態
痔に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- 歯状線より上部の直腸粘膜にできた痔核を、外痔核と呼ぶ。
- 内痔核は、排便と関係なく、出血や患部の痛みを生じることが特徴であるとされ、歯状線より下部にできることからいぼ痔とも呼ばれる。
- 裂肛は、肛門内部に存在する肛門腺窩と呼ばれる小さなくぼみに糞便の滓が溜まって炎症・化膿を生じた状態である。
- 痔核は、肛門に存在する細かい血管群が部分的に拡張し、肛門内にいぼ状の腫れが生じたもので、一般に「いぼ痔」と呼ばれる。
正解と解説
正解:D. 痔核は、肛門に存在する細かい血管群が部分的に拡張し、肛門内にいぼ状の腫れが生じたもので、一般に「いぼ痔」と呼ばれる。手引きのとおり、痔核は肛門の細かい血管群が部分的に拡張し、肛門内にいぼ状の腫れが生じたもので「いぼ痔」と呼ばれる。歯状線より上部の直腸粘膜にできた痔核は「内痔核」であり、直腸粘膜には知覚神経が通っていないため自覚症状が少ない。排便と関係なく出血や痛みを生じるのは歯状線より下部にできる外痔核の特徴である。肛門腺窩に糞便の滓が溜まって炎症・化膿を生じた状態は裂肛ではなく痔瘻の説明である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅴ 排泄に関わる部位に作用する薬
問12|局所麻酔成分
外用痔疾用薬に配合される局所麻酔成分に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- 局所麻酔成分は、粘膜表面のタンパク質と結合して不溶性の膜を形成することによる、粘膜の保護・止血を目的として配合される成分である。
- リドカインが配合された坐剤及び注入軟膏では、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることがある。
- 局所麻酔成分としては、クロタミトン、カンフル、メントール等が用いられる。
- 局所麻酔成分は、患部周辺の知覚神経に作用して、痛みや痒みの刺激の神経伝導を不可逆的に遮断する作用を示す。
正解と解説
正解:B. リドカインが配合された坐剤及び注入軟膏では、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることがある。手引きでは、リドカイン、リドカイン塩酸塩、アミノ安息香酸エチル又はジブカイン塩酸塩が配合された坐剤及び注入軟膏では、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることがあるとされる。局所麻酔成分は知覚神経に作用して刺激の神経伝導を「可逆的」に遮断する作用を示すもので、「不可逆的」は誤り。粘膜表面に不溶性の膜を形成するのは収斂保護止血成分、クロタミトンやカンフル、メントールは局所刺激成分である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅴ 排泄に関わる部位に作用する薬
問13|外用痔疾用薬
外用痔疾用薬の配合成分とその配合目的の対応のうち、正しいものはどれか。
- アラントイン ― 痔による肛門部の創傷の治癒を促す
- クロタミトン ― 冷感刺激を生じさせることで痒みを抑える
- タンニン酸 ― 交感神経系への刺激作用による血管収縮で止血する
- ジフェンヒドラミン塩酸塩 ― 痔疾患に伴う局所の感染を防止する
正解と解説
正解:A. アラントイン ― 痔による肛門部の創傷の治癒を促す手引きでは、アラントインはアルクロキサとともに、痔による肛門部の創傷の治癒を促す組織修復成分として用いられるとされる。クロタミトンは「熱感刺激」を生じさせる局所刺激成分で、冷感刺激を生じさせるのはカンフル、ハッカ油、メントール等である。タンニン酸は粘膜表面に不溶性の膜を形成する収斂保護止血成分で、血管収縮作用による止血はテトラヒドロゾリン塩酸塩等のアドレナリン作動成分の説明。ジフェンヒドラミン塩酸塩は痒みを和らげる抗ヒスタミン成分である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅴ 排泄に関わる部位に作用する薬
問14|外用薬の注意
外用痔疾用薬に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
- 坐剤及び注入軟膏では、成分の一部が直腸粘膜から吸収されて循環血流中に入りやすく、全身的な影響を生じることがある。
- メチルエフェドリン塩酸塩が配合された坐剤及び注入軟膏は、心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能障害の診断を受けた人では、症状を悪化させるおそれがある。
- ステロイド性抗炎症成分が配合された坐剤及び注入軟膏は、含有量が少なければ長期連用しても差し支えない。
- グリチルレチン酸は、グリチルリチン酸が分解されてできる成分であり、グリチルリチン酸と同様の抗炎症作用を示す。
正解と解説
正解:C. ステロイド性抗炎症成分が配合された坐剤及び注入軟膏は、含有量が少なければ長期連用しても差し支えない。手引きでは、ステロイド性抗炎症成分が配合された坐剤及び注入軟膏は、その含有量によらず長期連用を避ける必要があるとされており、「含有量が少なければ長期連用しても差し支えない」は誤り。坐剤・注入軟膏で成分の一部が直腸粘膜から吸収され全身的な影響を生じうること、メチルエフェドリン塩酸塩配合の坐剤・注入軟膏で心臓病等の基礎疾患のある人は症状悪化のおそれがあること、グリチルレチン酸がグリチルリチン酸の分解物で同様に作用することは、手引きの記載のとおり正しい。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅴ 排泄に関わる部位に作用する薬
問15|内用痔疾用薬
内用痔疾用薬の配合成分に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- カイカは、マメ科のエンジュの成熟果実を基原とする生薬である。
- オウゴンは、シソ科のコガネバナの周皮を除いた根を基原とする生薬で、主に止血効果を期待して用いられる。
- カルバゾクロムは、新陳代謝促進、殺菌、抗炎症等の作用を期待して用いられる。
- カイカクは、マメ科のエンジュの成熟果実を基原とする生薬で、主に止血効果を期待して用いられる。
正解と解説
正解:D. カイカクは、マメ科のエンジュの成熟果実を基原とする生薬で、主に止血効果を期待して用いられる。手引きでは、カイカはマメ科のエンジュの「蕾」、カイカクはマメ科のエンジュの「成熟果実」を基原とする生薬で、いずれも主に止血効果を期待して用いられるとされる。カイカの基原を成熟果実とする記述は誤り。オウゴンはコガネバナの周皮を除いた根を基原とするが、期待される作用は止血ではなく主に抗炎症作用である。カルバゾクロムは毛細血管を補強、強化して出血を抑える止血成分で、新陳代謝促進・殺菌・抗炎症は外用生薬のシコンの説明である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅴ 排泄に関わる部位に作用する薬
問16|痔の漢方薬
痔に用いられる漢方処方製剤に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- 乙字湯は、体力虚弱で冷え症のものの痔核(いぼ痔)、切れ痔、便秘、軽度の脱肛に適すとされ、大便がかたく便秘傾向のあるものには不向きであると考えられている。
- 芎帰膠艾湯は、体力中等度以下で冷え症で、出血傾向があり胃腸障害のないものの痔出血、貧血、月経異常・月経過多・不正出血、皮下出血に適すとされる。
- 乙字湯は、構成生薬としてカンゾウと通常ダイオウのほか、マオウを含む漢方処方製剤である。
- 乙字湯には、まれに生じる重篤な副作用は知られていない。
正解と解説
正解:B. 芎帰膠艾湯は、体力中等度以下で冷え症で、出血傾向があり胃腸障害のないものの痔出血、貧血、月経異常・月経過多・不正出血、皮下出血に適すとされる。手引きのとおり、芎帰膠艾湯は体力中等度以下で冷え症で、出血傾向があり胃腸障害のないものの痔出血、貧血、月経異常・月経過多・不正出血、皮下出血に適すとされる。乙字湯は体力虚弱ではなく「体力中等度以上」で、大便がかたく便秘傾向のあるものの痔核、切れ痔等に適すとされる。乙字湯が含むのはマオウではなくカンゾウと通常ダイオウであり、まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎を生じることが知られている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅴ 排泄に関わる部位に作用する薬
問17|泌尿器用薬
その他の泌尿器用薬に配合される生薬成分に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- ウワウルシは、ツツジ科のクマコケモモの葉を基原とする生薬で、利尿作用のほか、経口的に摂取した後、尿中に排出される分解代謝物が抗菌作用を示し、尿路の殺菌消毒効果を期待して用いられる。
- カゴソウは、クワ科のマグワの根皮を基原とする生薬で、煎薬として尿量減少に用いられる。
- モクツウは、ノウゼンカズラ科のキササゲ等の果実を基原とする生薬で、煎薬として尿量減少に用いられるほか、利尿作用を期待して配合されるものである。
- 日本薬局方収載のウワウルシは、煎薬として尿量減少に用いられるものであり、残尿感、排尿に際して不快感のあるものに用いられることはなく、尿路の殺菌消毒効果を期待して用いられることもない。
正解と解説
正解:A. ウワウルシは、ツツジ科のクマコケモモの葉を基原とする生薬で、利尿作用のほか、経口的に摂取した後、尿中に排出される分解代謝物が抗菌作用を示し、尿路の殺菌消毒効果を期待して用いられる。手引きのとおり、ウワウルシはツツジ科のクマコケモモの葉を基原とし、利尿作用のほか、尿中に排出される分解代謝物が抗菌作用を示し尿路の殺菌消毒効果を期待して用いられる。カゴソウの基原はシソ科のウツボグサの花穂で、クワ科のマグワの根皮はソウハクヒ。モクツウの基原はアケビ科のアケビ又はミツバアケビの蔓性の茎で、キササゲ等の果実はキササゲの説明。日本薬局方収載のウワウルシは煎薬として残尿感、排尿に際して不快感のあるものに用いられ、尿量減少に用いられるのはキササゲ、サンキライ、ソウハクヒである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅴ 排泄に関わる部位に作用する薬
問18|泌尿器の漢方
泌尿器用薬として用いられる漢方処方製剤に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- 竜胆瀉肝湯は、体力に関わらず使用でき、排尿異常があり、ときに口が渇くものの排尿困難等に適すとされる。
- 八味地黄丸は、のぼせが強く赤ら顔で体力の充実している人に、特に適すとされる。
- 猪苓湯は、体力に関わらず使用でき、排尿異常があり、ときに口が渇くものの排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿、むくみに適すとされる。
- 六味丸は、体力中等度以上で、下腹部に熱感や痛みがあるものの排尿痛、残尿感、尿の濁り、こしけ(おりもの)、頻尿に適すとされる。
正解と解説
正解:C. 猪苓湯は、体力に関わらず使用でき、排尿異常があり、ときに口が渇くものの排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿、むくみに適すとされる。手引きのとおり、猪苓湯は体力に関わらず使用でき、排尿異常があり、ときに口が渇くものの排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿、むくみに適すとされる。竜胆瀉肝湯は「体力中等度以上で、下腹部に熱感や痛みがあるもの」に適すとされ、体力に関わらず使用できるのではない。八味地黄丸は、のぼせが強く赤ら顔で体力の充実している人では、のぼせ、動悸等の副作用が現れやすく不向きとされる。六味丸の証は体力中等度以下で疲れやすく尿量減少又は多尿のものであり、下腹部の熱感等は竜胆瀉肝湯の説明である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅴ 排泄に関わる部位に作用する薬
問19|婦人薬の対象
婦人薬の適用対象となる体質・症状に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
- 月経周期は、個人差があり、約21日〜40日と幅がある。
- 閉経の前後には、更年期(閉経周辺期)と呼ばれる移行的な時期があり、体内の女性ホルモンの量が大きく変動することがある。
- 血の道症は、月経、妊娠、分娩、産褥、更年期等の生理現象や、流産、人工妊娠中絶、避妊手術などを原因とする異常生理によって起こるとされる。
- 月経前症候群は、月経の約10〜3日前に現れ、月経の終了と共に消失する身体症状や精神症状を主体とするものをいう。
正解と解説
正解:D. 月経前症候群は、月経の約10〜3日前に現れ、月経の終了と共に消失する身体症状や精神症状を主体とするものをいう。手引きでは、月経前症候群は月経の約10〜3日前に現れ、月経「開始」と共に消失する腹部膨満感、頭痛、乳房痛などの身体症状や感情の不安定、抑うつなどの精神症状を主体とするものとされており、「月経の終了と共に消失する」は誤り。月経周期が約21日〜40日と幅があること、閉経前後の更年期に女性ホルモン量が大きく変動すること、血の道症が生理現象や異常生理によって起こり範囲が更年期に限らないことは、手引きの記載のとおり正しい。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅵ 婦人薬
問20|女性ホルモン
婦人薬に用いられる女性ホルモン成分(エチニルエストラジオール)に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
- 人工的に合成された女性ホルモンの一種で、エストラジオールを補充するものであり、膣粘膜又は外陰部に適用されるものは適用部位から吸収されて循環血液中に移行する。
- 妊娠中の女性ホルモン成分の摂取によって胎児の先天性異常の発生は報告されていないため、妊婦又は妊娠していると思われる女性でも使用を避ける必要はない。
- 長期連用により血栓症を生じるおそれがあり、また、乳癌や脳卒中などの発生確率が高まる可能性もある。
- 吸収された成分の一部が乳汁中に移行することが考えられ、母乳を与える女性では使用を避けるべきである。
正解と解説
正解:B. 妊娠中の女性ホルモン成分の摂取によって胎児の先天性異常の発生は報告されていないため、妊婦又は妊娠していると思われる女性でも使用を避ける必要はない。手引きでは、妊娠中の女性ホルモン成分の摂取によって胎児の先天性異常の発生が「報告されており」、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避ける必要があるとされているため、この記述は誤り。エチニルエストラジオールが適用部位から吸収されて循環血液中に移行すること、長期連用により血栓症を生じるおそれや乳癌・脳卒中などの発生確率が高まる可能性があること、乳汁中への移行が考えられ母乳を与える女性では使用を避けるべきであることは、いずれも手引きの記載のとおり正しい。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅵ 婦人薬
問21|婦人薬の生薬
婦人薬に配合される生薬成分に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- サフラン、コウブシは、鎮静、鎮痛のほか、女性の滞っている月経を促す作用を期待して配合されている場合がある。
- センキュウ、トウキ、ジオウは、血行を改善する作用はなく、主に月経時の止血効果を期待して用いられる生薬である。
- トウキは、アヤメ科のサフランの柱頭を基原とする生薬で、鎮静、鎮痛作用を示す。
- サンソウニン、カノコソウは、鎮静作用ではなく、尿量を増やす利尿作用を期待して婦人薬に配合されている場合がある。
正解と解説
正解:A. サフラン、コウブシは、鎮静、鎮痛のほか、女性の滞っている月経を促す作用を期待して配合されている場合がある。手引きのとおり、サフラン(アヤメ科のサフランの柱頭を基原)とコウブシ(カヤツリグサ科のハマスゲの根茎を基原)は、鎮静、鎮痛のほか、女性の滞っている月経を促す作用を期待して配合される場合がある。センキュウ、トウキ、ジオウは血行を改善し、血色不良や冷えの症状を緩和するほか、強壮、鎮静、鎮痛等の作用を期待して用いられるもので、止血効果ではない。トウキの基原はセリ科のトウキ又はホッカイトウキの根である。サンソウニン、カノコソウは鎮静作用を期待して配合される。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅵ 婦人薬
問22|当帰芍薬散
当帰芍薬散に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- 比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害などに適すとされる。
- 体力中等度以上で、のぼせて便秘しがちなものの月経不順、月経困難症、月経痛、更年期障害、腰痛などに適すとされる。
- 構成生薬としてマオウを含み、体力中等度以下の月経不順に適すとされる。
- 体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害などに適すとされる。
正解と解説
正解:D. 体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害などに適すとされる。手引きのとおり、当帰芍薬散は体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害などに適すとされ、胃腸の弱い人では不向きとされる。「比較的体力があり」は桂枝茯苓丸、「体力中等度以上で、のぼせて便秘しがち」は桃核承気湯の証である。婦人薬の漢方処方でマオウを含むのは五積散であり、当帰芍薬散ではない。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅵ 婦人薬
問23|加味逍遙散
加味逍遙散に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- 体力虚弱で、冷え症で皮膚が乾燥、色つやの悪い体質で胃腸障害のないものに適すとされる。
- まれに重篤な副作用として、肝機能障害、腸間膜静脈硬化症を生じることが知られている。
- 構成生薬としてカンゾウを含まない。
- 胃腸の弱い人の月経不順、更年期障害に特に適すとされる。
正解と解説
正解:B. まれに重篤な副作用として、肝機能障害、腸間膜静脈硬化症を生じることが知られている。手引きのとおり、加味逍遙散はまれに重篤な副作用として肝機能障害、腸間膜静脈硬化症を生じることが知られている。適すとされる証は「体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるもの」であり、体力虚弱で皮膚が乾燥し色つやの悪い体質は四物湯の証である。加味逍遙散は温経湯、五積散、柴胡桂枝乾姜湯、桃核承気湯とともに構成生薬としてカンゾウを含む。また、胃腸の弱い人では悪心、嘔吐、胃部不快感、下痢等の副作用が現れやすく不向きとされる。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅵ 婦人薬
問24|漢方と証の対応
婦人薬として用いられる漢方処方製剤と、適すとされる体質(証)の対応のうち、正しいものはどれか。
- 桃核承気湯 ― 体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛や頭重を訴えるもの
- 温経湯 ― 体力中等度以上で、のぼせて便秘しがちで、月経不順や月経痛を訴えるもの
- 桂枝茯苓丸 ― 比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるもの
- 柴胡桂枝乾姜湯 ― 体力中等度以上で、のぼせ気味で顔面紅潮し、神経過敏で動悸や息切れがあるもの
正解と解説
正解:C. 桂枝茯苓丸 ― 比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるもの手引きのとおり、桂枝茯苓丸は比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの月経不順、更年期障害、血の道症などに適すとされる。桃核承気湯は「体力中等度以上で、のぼせて便秘しがちなもの」、温経湯は「体力中等度以下で、手足がほてり、唇が乾くもの」、柴胡桂枝乾姜湯は「体力中等度以下で、冷え症、貧血気味、神経過敏で、動悸、息切れ等があるもの」に適すとされており、いずれも対応が入れ替わっている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅵ 婦人薬
問25|構成生薬
婦人薬として用いられる漢方処方製剤に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- 桃核承気湯は構成生薬としてダイオウを含み、五積散は構成生薬としてマオウを含む。
- 温経湯、加味逍遙散は、いずれも構成生薬としてカンゾウを含まない漢方処方製剤である。
- 温清飲は、構成生薬としてマオウを含む漢方処方製剤である。
- 柴胡桂枝乾姜湯には、間質性肺炎や肝機能障害などのまれに生じる重篤な副作用は知られていない。
正解と解説
正解:A. 桃核承気湯は構成生薬としてダイオウを含み、五積散は構成生薬としてマオウを含む。手引きのとおり、桃核承気湯は構成生薬としてダイオウを含み(妊婦等における使用に留意が必要)、五積散は構成生薬としてマオウを含む。カンゾウを含むのは温経湯、加味逍遙散、五積散、柴胡桂枝乾姜湯、桃核承気湯とされており、「温経湯、加味逍遙散はカンゾウを含まない」は誤り。温清飲がマオウを含むという記載はない。柴胡桂枝乾姜湯は、まれに重篤な副作用として間質性肺炎、肝機能障害を生じることが知られているとされる。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅵ 婦人薬
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※ 出題は厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)に沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題です。医療上の助言ではありません。試験は都道府県ごとに実施され、日程・合格基準の細部は都道府県により異なります。最新の情報は各都道府県の公表をご確認ください。