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胃腸の薬

講義 3 本・確認問題 25 問 | 本試験では「第3章 主な医薬品」(40問)の一部 | 最終更新 2026-09-24

この章で学ぶこと
目次
  1. 胃の薬(制酸薬・健胃薬・消化薬)
  2. 腸の薬(整腸薬・止瀉薬・瀉下薬)と浣腸薬・駆虫薬
  3. 胃腸鎮痛鎮痙薬と胃腸の漢方処方製剤
  4. 確認問題(25問)
  5. 演習ツール

1. 胃の薬(制酸薬・健胃薬・消化薬)

制酸・健胃・消化・胃粘膜保護修復・消泡・胃液分泌抑制の各成分が、それぞれ何を狙って配合されるかを区別できるようになります。

胃の働きに異常が生じると、胃液の分泌量の増減や食道への逆流が起こったり、胃液による消化作用から胃自体を保護する働きや胃の運動が低下して、胸やけや胃の不快感、消化不良、胃もたれ、食欲不振等の症状として現れる。胃の働きに異常がなくても、食べすぎたときのように胃内容物の量に対して処理する働きが追いつかないことで腹部に不調を感じる場合もある。吐きけや嘔吐は延髄にある嘔吐中枢の働きによって起こり、消化管での刺激が副交感神経系を通じて嘔吐中枢を刺激する経路も知られている。

手引きでは、制酸薬は胃液の分泌亢進による胃酸過多や、それに伴う胸やけ、腹部の不快感、吐きけ等の症状を緩和することを目的とする医薬品、健胃薬は弱った胃の働きを高めること(健胃)を目的とする医薬品、消化薬は炭水化物・脂質・タンパク質等の分解に働く酵素を補う等により胃や腸の内容物の消化を助けることを目的とする医薬品とされている。健胃薬に配合される生薬成分は独特の味や香りを有し、唾液や胃液の分泌を促して胃の働きを活発にする作用があるとされる。

一般用医薬品には、制酸・胃粘膜保護・健胃・消化・整腸・鎮痛鎮痙・消泡等それぞれの作用を目的とする成分を組み合わせたいわゆる総合胃腸薬もある。制酸と健胃のように相反する作用を期待するものが配合されている場合もあるが、胃腸の状態によりそれら成分に対する反応が異なり、総じて効果がもたらされると考えられている。ただし、消化不良、胃痛、胸やけなど症状がはっきりしている場合は、症状に合った成分のみが配合された製品が選択されることが望ましいとされている。

制酸成分は、中和反応によって胃酸の働きを弱めることを目的とし、炭酸水素ナトリウム(重曹)、乾燥水酸化アルミニウムゲルやジヒドロキシアルミニウムモノアセテート等のアルミニウムを含む成分、ケイ酸マグネシウム・酸化マグネシウム・炭酸マグネシウム等のマグネシウムを含む成分、合成ヒドロタルサイト・メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等の両方を含む成分、沈降炭酸カルシウム・リン酸水素カルシウム等のカルシウムを含む成分がある。メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、胃酸の中和作用のほか、胃粘膜にゼラチン状の皮膜を形成して保護する作用もあるとされる。生薬のボレイも、含まれる炭酸カルシウムによる作用を期待して用いられる。

制酸成分を主体とする胃腸薬は、酸度の高い食品と一緒に使用すると中和作用が低下することが考えられるため、炭酸飲料等での服用は適当でないとされている。アルミニウムを含む成分は、透析療法を受けている人が長期間服用してアルミニウム脳症・アルミニウム骨症を引き起こしたとの報告があり、透析療法を受けている人では使用を避け、透析治療を受けていない人でも長期連用は避ける必要がある。腎臓病の診断を受けた人では無機塩類の排泄が遅れたり体内に貯留しやすくなるため、使用前に医師又は薬剤師に相談がなされるべきとされている。制酸成分はかぜ薬や解熱鎮痛薬等にも配合されていることが多く、併用により高カルシウム血症・高マグネシウム血症等を生じるおそれがある。

健胃成分は、味覚や嗅覚を刺激して反射的な唾液や胃液の分泌を促すもので、オウバク・オウレン・センブリ・ゲンチアナ・リュウタンは苦味、ケイヒやコウボク・ショウキョウ・チョウジ・チンピ・ソウジュツ・ビャクジュツ等は香り(芳香性健胃生薬)による健胃作用を期待して用いられる。ユウタンは苦味による健胃作用のほか消化補助成分として配合される場合もある。これら生薬成分が配合された健胃薬は、散剤をオブラートで包む等、味や香りを遮蔽する方法で服用されると効果が期待できない。味覚や嗅覚への刺激以外の作用による健胃成分としては、乾燥酵母(栄養素の補給)とカルニチン塩化物がある。

消化成分は、ジアスターゼ、プロザイム、ニューラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ又はその複合酵素(ビオジアスターゼ、タカヂアスターゼ)等が酵素を補う目的で配合される。胆汁末や動物胆(ユウタンを含む)、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸は胆汁の分泌を促す作用(利胆作用)があるとされ、消化を助ける効果を期待して用いられる。これらは肝臓の働きを高める作用もあるとされるが、肝臓病の診断を受けた人ではかえって症状を悪化させるおそれがあり、使用前に相談がなされるべきとされている。

胃粘膜保護・修復成分には、アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)、アルジオキサ、スクラルファート、ゲファルナート、ソファルコン、テプレノン、セトラキサート塩酸塩、トロキシピド、銅クロロフィリンカリウム、銅クロロフィリンナトリウム、メチルメチオニンスルホニウムクロライド等がある。生薬のアカメガシワも胃粘膜保護作用を期待して用いられる。アルジオキサ(アラントインと水酸化アルミニウムの複合体)とスクラルファートはアルミニウムを含む成分であるため、透析を受けている人では使用を避ける必要がある。ソファルコン、テプレノンはまれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることがある。セトラキサート塩酸塩は体内で代謝されてトラネキサム酸を生じることから、血栓のある人・血栓を起こすおそれのある人では相談がなされるべきとされている。

そのほか、胃粘膜の炎症を和らげる抗炎症成分としてグリチルリチン酸二カリウム等やカンゾウ、消泡成分として気泡の分離を促すジメチルポリシロキサン(別名ジメチコン)、胃液分泌抑制成分としてアセチルコリンの働きを抑えるロートエキスやピレンゼピン塩酸塩が配合される場合がある。ピレンゼピン塩酸塩は消化管の運動にはほとんど影響を与えずに胃液の分泌を抑えるとされるが、抗コリン作用により排尿困難・動悸・目のかすみを生じることがあり、排尿困難の症状がある人や緑内障の診断を受けた人では相談が必要で、使用後は乗物又は機械類の運転操作を避ける必要がある。

受診勧奨として手引きでは、一般用医薬品の胃薬は基本的に一時的な胃の不調に伴う諸症状を緩和する目的で使用されるものであり、慢性的に胸やけや胃部不快感、胃部膨満感等の症状が現れる場合、又は医薬品をやめると症状がぶり返して医薬品が手放せないような場合には、食道裂孔ヘルニア、胃・十二指腸潰瘍、胃ポリープ等を生じている可能性も考えられ、医療機関を受診するなどの対応が必要であるとされている。嘔吐に発熱や下痢、めまいや興奮を伴う場合等も同様で、特に乳幼児や高齢者で嘔吐が激しい場合には医師の診療を受けることが優先されるべきとされている。

胃の薬の服用方法について手引きでは、消化を助け、胃もたれを改善し、胃をすっきりさせる効果を主とする製剤は食後服用のものが多く、空腹時や就寝時の胸やけ、ストレスによる胃酸の出すぎなどを抑える効果を主とする製剤は食間や就寝前の服用のものが多いとされている。どちらの効果も有する製剤では食後又は食間の服用指示のものが多い。また、医療機関で処方された医療用医薬品を服用している場合は、副作用による胃の不快感を防止するために胃の薬も処方されている場合があるので、販売時には胃の薬が処方されていないか必ず確認する必要があるとされている。

胃の薬の主な配合成分(手引き 第3章Ⅲ-1)
成分名分類はたらき注意
炭酸水素ナトリウム(重曹)制酸中和反応で胃酸の働きを弱める腎臓病では無機塩類の排泄が遅れるため相談
乾燥水酸化アルミニウムゲル等制酸(アルミニウム)中和反応で胃酸の働きを弱める透析療法を受けている人は使用を避ける。長期連用も避ける
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム制酸(Al+Mg)中和作用のほか胃粘膜にゼラチン状の皮膜を形成して保護透析療法を受けている人は使用を避ける
沈降炭酸カルシウム/ボレイ制酸(カルシウム)中和反応で胃酸の働きを弱める(ボレイは含まれる炭酸カルシウムによる)併用で高カルシウム血症のおそれ。便秘に注意
オウバク、オウレン、センブリ、ゲンチアナ、リュウタン健胃(苦味)苦味で反射的に唾液・胃液の分泌を促すオブラート等で味を遮蔽すると効果が期待できない
ケイヒ、コウボク、ショウキョウ、チョウジ、チンピ健胃(香り)香りで反射的に唾液・胃液の分泌を促す同上(香りを遮蔽しない)
ユウタン健胃(苦味)苦味による健胃作用。消化補助成分として配合される場合もある動物胆(ウシ等由来)も同様の作用
乾燥酵母健胃(その他)胃腸の働きに必要な栄養素を補給して胃の働きを高める味覚・嗅覚への刺激によらない
カルニチン塩化物健胃(その他)胃液分泌を促す、胃の運動を高める、胃壁の循環血流を増す等胃腸薬や滋養強壮保健薬に用いられる
ジアスターゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ビオジアスターゼ消化炭水化物・脂質・タンパク質・繊維質等の分解に働く酵素を補う-
ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸、胆汁末、動物胆消化(利胆)胆汁の分泌を促し消化を助ける肝臓病の診断を受けた人は悪化のおそれがあり相談
アルジオキサ、スクラルファート胃粘膜保護・修復胃粘膜を覆って保護し、荒れた胃粘膜の修復を促すアルミニウムを含むため透析を受けている人は使用を避ける
ソファルコン、テプレノン胃粘膜保護・修復胃粘液の分泌を促す等まれに肝機能障害。肝臓病の人は相談
セトラキサート塩酸塩胃粘膜保護・修復胃粘膜の保護・修復代謝されトラネキサム酸を生じる。血栓のある人等は相談
ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)消泡消化管内容物中に発生した気泡の分離を促す-
ロートエキス、ピレンゼピン塩酸塩胃液分泌抑制アセチルコリンの働きを抑え、過剰な胃液の分泌を抑える胃腸鎮痛鎮痙薬・乗物酔い防止薬との併用を避ける。運転操作を避ける

用語

制酸
中和反応によって胃酸の働きを弱めること。手引きでは、胃液の分泌亢進による胃酸過多や、それに伴う胸やけ、腹部の不快感、吐きけ等の症状を緩和することを目的とするとされている。
健胃
弱った胃の働きを高めること。配合される生薬成分は独特の味や香りを有し、味覚や嗅覚を刺激して反射的な唾液や胃液の分泌を促し、胃の働きを活発にする作用があるとされる。
利胆作用
胆汁の分泌を促す作用。胆汁末や動物胆、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸にあるとされ、消化を助ける効果を期待して用いられる。肝臓の働きを高める作用もあるとされる。
アルミニウム脳症
体内でアルミニウムが過剰に存在する場合に、脳にアルミニウムが蓄積することで発生する脳症。アルミニウムが脳の組織に付着して脳神経系の伝達を妨げ、言語障害等を引き起こすとされる。
消泡
消化管内容物中に発生した気泡の分離を促すこと。気泡の体積の増加によって消化管が刺激され腹部の膨満感として知覚されるため、消泡により気体の吸収・排出が容易となる。
食道裂孔ヘルニア
胃の一部が横隔膜の上に飛び出して、胃液が食道に逆流しやすくなる状態。慢性的な胸やけ等が続く場合に可能性が考えられ、医療機関の受診が必要とされる。

例題

例題:メタケイ酸アルミン酸マグネシウムには、制酸作用のほかにどのような作用があるとされているか。
答えと考え方 胃粘膜にゼラチン状の皮膜を形成して保護する作用。制酸成分でありながら胃粘膜保護にも働く点が問われやすい。
例題:生薬成分が配合された健胃薬を、散剤としてオブラートに包んで服用するのは適当か。
答えと考え方 適当でない。健胃生薬は味や香りで反射的に唾液や胃液の分泌を促すため、味や香りを遮蔽すると効果が期待できないとされている。
例題:セトラキサート塩酸塩について、相談することとされているのはどのような人か。
答えと考え方 血栓のある人、血栓を起こすおそれのある人。体内で代謝されてトラネキサム酸を生じ、生じた血栓が分解されにくくなることが考えられるためとされている。

出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 1 胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)

2. 腸の薬(整腸薬・止瀉薬・瀉下薬)と浣腸薬・駆虫薬

整腸・止瀉・瀉下の各成分の作用機序と、浣腸薬・駆虫薬の使い方の注意を整理します。

腸における消化、栄養成分や水分の吸収が正常に行われなかったり、腸管がその内容物を送り出す運動に異常が生じると、便秘や軟便、下痢といった症状が現れる。水分の吸収は大半が小腸で行われ、大腸では腸内容物が糞便となる過程で適切な水分量に調整がなされる。腸の働きは自律神経系により制御されており、異常を生じる要因は腸自体やその内容物によるものだけでなく、腸以外の病気等が自律神経系を介して腸の働きに異常を生じさせる場合もある。

手引きでは、整腸薬は腸の調子や便通を整える(整腸)、腹部膨満感、軟便、便秘に用いられることを目的とする医薬品、止瀉薬は下痢、食あたり、吐き下し、水あたり、下り腹、軟便等に用いられることを目的とする医薬品、瀉下薬(下剤)は便秘症状及び便秘に伴う諸症状の緩和、又は腸内容物の排除に用いられることを目的とする医薬品とされている。

整腸成分としては、腸内細菌のバランスを整えることを目的にビフィズス菌、アシドフィルス菌、ラクトミン、乳酸菌、酪酸菌等の生菌成分が用いられる。ケツメイシ、ゲンノショウコ、アセンヤク等の生薬成分も整腸作用を期待して配合される場合がある。トリメブチンマレイン酸塩は、消化管(胃及び腸)の平滑筋に直接作用して消化管の運動を調整する作用(消化管運動が低下しているときは亢進的に、亢進しているときは抑制的に働く)があるとされる。まれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることがあり、肝臓病の診断を受けた人では相談がなされるべきとされている。

止瀉成分のうち収斂成分は、腸粘膜のタンパク質と結合して不溶性の膜を形成し、腸粘膜をひきしめることにより腸粘膜を保護する。次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス等のビスマスを含む成分、タンニン酸アルブミン、生薬のゴバイシ・オウバク・オウレン等がある。ビスマスを含む成分は収斂作用のほか腸内で発生した有毒物質を分解する作用も持つとされ、オウバク・オウレンは収斂作用のほか抗菌作用・抗炎症作用も期待して用いられる。収斂成分を主体とする止瀉薬は、細菌性の下痢や食中毒のときに使用して腸の運動を鎮めるとかえって状態を悪化させるおそれがあり、急性の激しい下痢又は腹痛・腹部膨満・吐きけ等の症状を伴う人では安易な使用を避けることが望ましいとされている。

ビスマスを含む成分は、海外において長期連用した場合に精神神経症状(不安、記憶力減退、注意力低下、頭痛等)が現れたとの報告があり、1週間以上継続して使用しないこととされている。アルコールと一緒に摂取されると循環血液中への移行が高まって精神神経症状を生じるおそれがあり、服用時は飲酒を避ける必要がある。胃潰瘍や十二指腸潰瘍の診断を受けた人では相談が必要とされ、循環血液中に移行したビスマスは血液-胎盤関門を通過することが知られており、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避けるべきとされている。タンニン酸アルブミンに含まれるアルブミンは牛乳のタンパク質(カゼイン)から精製された成分であるため、牛乳にアレルギーがある人では使用を避ける必要がある。

ロペラミド塩酸塩が配合された止瀉薬は、食べすぎ・飲みすぎによる下痢、寝冷えによる下痢の症状に用いられることを目的としており、食あたりや水あたりによる下痢については適用対象でない。本成分を含む一般用医薬品では15歳未満の小児には適用がない。使用は短期間にとどめ、2〜3日間使用しても症状の改善がみられない場合には医師の診療を受けるなどの対応が必要である。腸管の運動を低下させる作用を示すため胃腸鎮痛鎮痙薬との併用は避ける必要があり、便秘を避けなければならない肛門疾患がある人では使用を避けるべきとされている。中枢神経系を抑制する作用もありめまいや眠気が現れることがあるため運転操作を避け、服用時は飲酒しないこととされている。乳汁中に移行することが知られており、母乳を与える女性では使用を避けるか使用期間中の授乳を避けるべきとされている。

腸内殺菌成分としては、ベルベリン塩化物、タンニン酸ベルベリン、アクリノール等が細菌感染による下痢の症状を鎮めることを目的として用いられる。ベルベリンは生薬のオウバクやオウレンの中に存在する物質のひとつで、抗菌作用のほか抗炎症作用も併せ持つとされる。タンニン酸ベルベリンは、タンニン酸(収斂作用)とベルベリン(抗菌作用)の化合物であり、消化管内でタンニン酸とベルベリンに分かれてそれぞれ止瀉に働くことを期待して用いられる。下痢の予防で服用したり症状が治まったのに漫然と服用したりすると、腸内細菌のバランスを崩し腸内環境を悪化させることもある。吸着成分としては、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、天然ケイ酸アルミニウム、ヒドロキシナフトエ酸アルミニウム等が、腸管内の異常発酵等によって生じた有害な物質を吸着させる目的で用いられる。木クレオソートは、過剰な腸管の(蠕動)運動を正常化し、あわせて水分や電解質の分泌も抑える止瀉作用がある。

瀉下成分のうち小腸刺激性瀉下成分であるヒマシ油は、小腸でリパーゼの働きによって生じる分解物が小腸を刺激することで瀉下作用をもたらすと考えられている。急激で強い瀉下作用(峻下作用)を示すため、激しい腹痛又は悪心・嘔吐の症状がある人、妊婦又は妊娠していると思われる女性、3歳未満の乳幼児では使用を避けることとされている。防虫剤や殺鼠剤を誤って飲み込んだ場合のような脂溶性の物質による中毒には使用を避ける必要がある。乳汁中に移行して乳児に下痢を引き起こすおそれがあり、母乳を与える女性では使用を避けるか使用期間中の授乳を避ける必要がある。

大腸刺激性瀉下成分としては、センナ、センノシド、ダイオウ、ビサコジル、ピコスルファートナトリウム等が用いられ、アロエ、ジュウヤク、ケンゴシ等の生薬成分もある。センノシドは胃や小腸で消化されないが、大腸に生息する腸内細菌によって分解され、分解生成物が大腸を刺激して瀉下作用をもたらすと考えられている。ビサコジルは大腸のうち特に結腸や直腸の粘膜を刺激して排便を促すとされ、結腸での水分の吸収を抑えて糞便のかさを増大させる働きもあるとされる。腸溶性製剤の場合、胃内でビサコジルが溶け出すおそれがあるため、服用前後1時間以内は制酸成分を含む胃腸薬の服用や牛乳の摂取を避けることとされている。ピコスルファートナトリウムは胃や小腸では分解されないが、大腸の腸内細菌によって分解されて大腸への刺激作用を示すようになる。刺激性瀉下成分が配合された瀉下薬は一般に流産・早産を誘発するおそれがあり、特にセンナ及びセンノシドが配合された瀉下薬は妊婦では使用を避けるべきとされている。

無機塩類として酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム等は、腸内容物の浸透圧を高めることで糞便中の水分量を増し、また大腸を刺激して排便を促す。腎臓病の診断を受けた人では高マグネシウム血症を生じるおそれがあり相談が必要とされる。硫酸ナトリウムは血液中の電解質のバランスが損なわれ心臓の負担が増加し心臓病を悪化させるおそれがあるため、心臓病の診断を受けた人では相談が必要とされる。膨潤性瀉下成分のカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、プランタゴ・オバタの種子又は種皮は、腸管内で水分を吸収して糞便のかさを増やし柔らかくする作用を目的とし、使用と併せて十分な水分摂取が重要とされる。ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)は腸内容物に水分が浸透しやすくする作用があり、マルツエキスは主成分の麦芽糖が腸内細菌によって分解して生じるガスによって便通を促すとされ、主に乳幼児の便秘に用いられる。

浣腸薬は、便秘の場合に排便を促すことを目的として直腸内に適用される医薬品で、注入剤と坐剤がある。繰り返し使用すると直腸の感受性の低下(いわゆる慣れ)が生じて効果が弱くなるため連用しないこととされ、便秘以外のときに直腸内容物の排除を目的として用いることは適当でない。直腸の急激な動きに刺激されて流産・早産を誘発するおそれがあるため、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避けるべきとされている。注入剤にはグリセリンやソルビトールが用いられ、浸透圧の差によって腸管壁から水分を取り込んで直腸粘膜を刺激する。グリセリンが配合された浣腸薬では排便時に血圧低下を生じて立ちくらみが現れるとの報告があり、高齢者又は心臓病の診断を受けた人では相談が必要とされ、痔出血の症状がある人では溶血や腎不全のおそれがあるため相談が必要とされる。坐剤にはビサコジルのほか炭酸水素ナトリウム等が用いられ、炭酸水素ナトリウムは直腸内で徐々に分解して炭酸ガスの微細な気泡を発生することで直腸を刺激する。

駆虫薬は腸管内の寄生虫を駆除するために用いられ、一般用医薬品の駆虫薬が対象とする寄生虫は回虫と蟯虫である。腸管内に生息する虫体にのみ作用し、虫卵や腸管内以外に潜伏した幼虫には駆虫作用が及ばないため、再度駆虫を必要とする場合には1ヵ月以上間隔を置いてから使用することとされている。一度に多く服用しても駆虫効果が高まることはなく、複数の駆虫薬を併用しても効果が高まることはない。空腹時に使用することとされているものが多く、ヒマシ油を使用すると腸管内で駆虫成分が吸収されやすくなり副作用を生じる危険性が高まるため、ヒマシ油との併用は避ける必要がある。駆虫成分は、サントニン(回虫の自発運動を抑える)、カイニン酸(回虫に痙攣を起こさせる)、ピペラジンリン酸塩(アセチルコリン伝達を妨げて回虫及び蟯虫の運動筋を麻痺させる)、パモ酸ピルビニウム(蟯虫の呼吸や栄養分の代謝を抑えて殺虫作用を示す)がある。

腸の薬・浣腸薬・駆虫薬の主な配合成分(手引き 第3章Ⅲ-2、Ⅲ-4)
成分名分類はたらき注意
ビフィズス菌、アシドフィルス菌、ラクトミン、乳酸菌、酪酸菌整腸(生菌)腸内細菌のバランスを整える腸内殺菌成分配合の止瀉薬と併用すると働きが弱められる
トリメブチンマレイン酸塩整腸消化管の平滑筋に直接作用し、運動が低下時は亢進的に、亢進時は抑制的に働くまれに肝機能障害。肝臓病の人は相談
次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス止瀉(収斂)腸粘膜をひきしめて保護。腸内の有毒物質を分解する作用も1週間以上継続して使用しない/服用時は飲酒を避ける/妊婦は使用を避ける
タンニン酸アルブミン止瀉(収斂)腸粘膜のタンパク質と結合し不溶性の膜を形成牛乳アレルギーの人は使用を避ける。まれにショック
ロペラミド塩酸塩止瀉腸管の運動を低下させる。水分・電解質の分泌も抑える食あたり・水あたりは適用外。15歳未満は適用なし。授乳・運転・飲酒を避ける
ベルベリン塩化物、タンニン酸ベルベリン、アクリノール止瀉(腸内殺菌)細菌感染による下痢の症状を鎮める予防目的や漫然とした服用は腸内環境を悪化させる
天然ケイ酸アルミニウム、沈降炭酸カルシウム、カオリン、薬用炭止瀉(吸着)腸管内の異常発酵等で生じた有害物質を吸着アルミニウムを含む成分は透析を受けている人は避ける
木クレオソート止瀉(生薬)過剰な腸管の蠕動運動を正常化し、水分・電解質の分泌も抑える医薬品に使えるのは木材原料の木クレオソート
ヒマシ油瀉下(小腸刺激性)小腸でリパーゼが生じた分解物が小腸を刺激妊婦・3歳未満・激しい腹痛や悪心嘔吐のある人は避ける。授乳回避。駆虫薬と併用しない
センナ、センノシド、ダイオウ瀉下(大腸刺激性)腸内細菌が分解した生成物が大腸を刺激妊婦は避ける(センナ・センノシド)。授乳を避ける
ビサコジル瀉下(大腸刺激性)結腸・直腸の粘膜を刺激。結腸での水分吸収を抑える腸溶性製剤は服用前後1時間以内の制酸成分・牛乳を避ける
ピコスルファートナトリウム瀉下(大腸刺激性)大腸の腸内細菌に分解されて大腸を刺激刺激性瀉下薬は連用で効果が弱くなる。頓服で使用
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム瀉下(無機塩類)腸内容物の浸透圧を高め糞便中の水分量を増す腎臓病の人は高マグネシウム血症のおそれがあり相談
硫酸ナトリウム瀉下(無機塩類)同上心臓病の人は悪化のおそれがあり相談
カルメロースナトリウム、プランタゴ・オバタ瀉下(膨潤性)水分を吸収して糞便のかさを増やし柔らかくする十分な水分摂取が重要
ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)瀉下腸内容物に水分が浸透しやすくする-
マルツエキス瀉下麦芽糖が腸内細菌に分解されて生じるガスで便通を促す作用は比較的穏やか。水分不足による便秘には効果が期待できない
グリセリン、ソルビトール浣腸(注入剤)浸透圧の差で腸管壁から水分を取り込み直腸粘膜を刺激高齢者・心臓病・痔出血の人は相談。妊婦は避ける。連用しない
炭酸水素ナトリウム浣腸(坐剤)直腸内で分解して炭酸ガスの微細な気泡を発生し直腸を刺激まれに重篤な副作用としてショック
サントニン駆虫回虫の自発運動を抑える肝臓病の人は相談。一時的に物が黄色く見える、耳鳴り、口渇
カイニン酸(マクリ)駆虫回虫に痙攣を起こさせる-
ピペラジンリン酸塩駆虫アセチルコリン伝達を妨げ回虫・蟯虫の運動筋を麻痺させる痙攣・貧血・著しい栄養障害・肝臓病・腎臓病の人は相談
パモ酸ピルビニウム駆虫蟯虫の呼吸や栄養分の代謝を抑えて殺虫作用尿や糞便が赤く着色。ヒマシ油・脂質の多い食事・飲酒を避ける

用語

収斂
腸粘膜のタンパク質と結合して不溶性の膜を形成し、腸粘膜をひきしめること。手引きでは、これにより腸粘膜を保護することを目的として収斂成分が配合されるとされている。
峻下作用
急激で強い瀉下作用のこと。ヒマシ油が示すとされ、激しい腹痛又は悪心・嘔吐の症状がある人、妊婦、3歳未満の乳幼児では使用を避けることとされている。
腸溶性製剤
胃内で分解されて効果が低下したり胃粘膜に無用な刺激をもたらすのを避けるため、腸内で溶けるようにコーティング等された製品。ビサコジル内服薬に多い。
しぶり腹
残便感があり、繰り返し腹痛を伴い便意を催すもの。手引きでは、体力中等度以下で腹部膨満感のあるもののしぶり腹、腹痛、下痢、便秘に桂枝加芍薬湯が適すとされると記されている。
高マグネシウム血症
血液中のマグネシウム濃度が異常に高くなり、脱力感、低血圧、呼吸障害などが現れる状態。重症の場合には心停止が起こることもあるとされる。
過敏性腸症候群
腸管の組織自体に形態的な異常はないにもかかわらず、腸が正常に機能せず、腹痛や下痢・便秘などを生じる病気。下痢と便秘が繰り返し現れ、症状が長引く場合は受診が必要とされる。

例題

例題:ロペラミド塩酸塩が配合された止瀉薬は、食あたりや水あたりによる下痢に用いてよいか。
答えと考え方 適用対象でない。手引きでは食べすぎ・飲みすぎによる下痢、寝冷えによる下痢を目的とし、発熱を伴う下痢や血便のある場合等は本剤の適用対象でない可能性があるとされている。
例題:ビサコジルの腸溶性製剤で、服用前後1時間以内に避けることとされているものは何か。
答えと考え方 制酸成分を含む胃腸薬の服用と牛乳の摂取。胃内でビサコジルが溶け出すおそれがあるためとされている。
例題:駆虫薬とヒマシ油を併用してはいけないのはなぜか。
答えと考え方 ヒマシ油を使用すると腸管内で駆虫成分が吸収されやすくなり、全身性の副作用を生じる危険性が高まるためとされている。

出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 2 腸の薬(整腸薬、止瀉薬、瀉下薬)/4 その他の消化器官用薬

3. 胃腸鎮痛鎮痙薬と胃腸の漢方処方製剤

抗コリン成分・パパベリン・局所麻酔成分の違いと、胃腸に用いる漢方処方製剤の適する体質を押さえます。

急な胃腸の痛みは、主として胃腸の過剰な動き(痙攣)によって生じる。消化管の運動は副交感神経系の刺激によって亢進し、副交感神経系は胃液分泌の亢進にも働く。そのため、副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンと受容体の反応を妨げることでその働きを抑える成分(抗コリン成分)が、胃痛、腹痛、さしこみ(疝痛、癪)を鎮めること(鎮痛鎮痙)のほか、胃酸過多や胸やけに対する効果も期待して用いられる。

胃腸鎮痛鎮痙薬に配合される抗コリン成分としては、メチルベナクチジウム臭化物、ブチルスコポラミン臭化物、メチルオクタトロピン臭化物、ジサイクロミン塩酸塩、オキシフェンサイクリミン塩酸塩、チキジウム臭化物等がある。抗コリン作用を示すアルカロイドを豊富に含む生薬成分として、ロートエキスが用いられることも多い。

これらの成分が副交感神経系の働きを抑える作用は消化管に限定されないため、散瞳による目のかすみや異常な眩しさ、顔のほてり、頭痛、眠気、口渇、便秘、排尿困難等の副作用が現れることがある。重大な事故につながるおそれがあるため、抗コリン成分が配合された医薬品を使用した後は乗物又は機械類の運転操作を避ける必要がある。また、排尿困難の症状がある人、心臓病又は緑内障の診断を受けた人では症状の悪化を招くおそれがあり、使用前に医師又は薬剤師に相談がなされるべきとされている。高齢者では排尿困難や緑内障の基礎疾患を持つ場合が多く、一般的に口渇や便秘の副作用が現れやすいため、慎重な使用が重要とされている。

ブチルスコポラミン臭化物については、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることが知られている。ロートエキスについては、吸収された成分の一部が母乳中に移行して乳児の脈が速くなる(頻脈)おそれがあるため、母乳を与える女性では使用を避けるか使用期間中の授乳を避ける必要があり、ロートエキスにより母乳が出にくくなることがある。メチルオクタトロピン臭化物についても、吸収された成分の一部が母乳中に移行することが知られている。

パパベリン塩酸塩は、消化管の平滑筋に直接働いて胃腸の痙攣を鎮める作用を示すとされる。抗コリン成分と異なり胃液分泌を抑える作用は見出されない。また、抗コリン成分と異なり自律神経系を介した作用ではないが、眼圧を上昇させる作用を示すことが知られており、緑内障の診断を受けた人では症状の悪化を招くおそれがあるため相談がなされるべきとされている。

局所麻酔成分としては、消化管の粘膜及び平滑筋に対する麻酔作用による鎮痛鎮痙の効果を期待して、アミノ安息香酸エチル、オキセサゼインが配合されている場合がある。いずれも痛みが感じにくくなることで重大な消化器疾患や状態の悪化等を見過ごすおそれがあり、長期間にわたって漫然と使用することは避けることとされている。アミノ安息香酸エチルはメトヘモグロビン血症を起こすおそれがあるため6歳未満の小児への使用は避ける必要がある。オキセサゼインは局所麻酔作用のほか胃液分泌を抑える作用もあるとされ、胃腸鎮痛鎮痙薬と制酸薬の両方の目的で使用される。精神神経系の副作用として頭痛、眠気、めまい、脱力感が現れることがあり、妊娠中や小児における安全性は確立されておらず、妊婦又は妊娠していると思われる女性、15歳未満の小児では使用を避けることとされている。鎮痛鎮痙作用を期待する生薬成分としてはエンゴサク、シャクヤク等がある。

相互作用として、胃腸鎮痛鎮痙薬に配合されている成分は胃腸以外に対する作用も示すものがほとんどであり、複数の胃腸鎮痛鎮痙薬が併用された場合、泌尿器系や循環器系、精神神経系などに対する副作用が現れやすくなるため、胃腸鎮痛鎮痙薬を使用している間は他の胃腸鎮痛鎮痙薬の使用を避けることとされている。抗コリン成分はかぜ薬、乗物酔い防止薬、鼻炎用内服薬等にも配合されている場合があり、抗コリン作用を有する成分を含有する医薬品どうしが併用されると抗コリン作用が増強され、排尿困難、目のかすみや異常な眩しさ、頭痛、眠気、口渇、便秘等の副作用が現れやすくなる。

受診勧奨として手引きでは、痛みが次第に強くなる、痛みが周期的に現れる、嘔吐や発熱を伴う、下痢や血便・血尿を伴う、原因不明の痛みが30分以上続く等の場合には、基本的に医療機関を受診するなどの対応が必要であるとされている。医師の診療を受けるまでの当座の対処として一般用医薬品が使用されると、痛みの発生部位が不明確となり原因の特定を困難にすることがあるので、原因不明の腹痛に安易に胃腸鎮痛鎮痙薬を使用することは好ましくないとされている。腹部の痛みは必ずしも胃腸に生じたものとは限らず、月経困難症、胆嚢炎、胆管炎、胆石症、急性膵炎などのように胃腸以外の臓器に起因する場合があり、血尿を伴って側腹部に痛みが生じた時は腎臓や尿路の病気が疑われる。下痢に伴う腹痛については基本的に下痢への対処が優先され、胃腸鎮痛鎮痙薬の適用となる症状でない。

胃の不調を改善する目的で用いられる漢方処方製剤としては、安中散、人参湯(理中丸)、平胃散、六君子湯等があり、いずれも構成生薬としてカンゾウを含む。安中散は体力中等度以下で、腹部は力がなくて、胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけや、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、吐きけ、嘔吐などを伴うものの神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱に適すとされる。人参湯(理中丸)は体力虚弱で、疲れやすくて手足などが冷えやすいものの胃腸虚弱、下痢、嘔吐、胃痛、腹痛、急・慢性胃炎に適すとされ、下痢又は嘔吐に用いる場合には1週間位使用しても症状の改善がみられないときはいったん使用を中止して専門家に相談がなされるべきとされている。平胃散は体力中等度以上で、胃がもたれて消化が悪く、ときに吐きけ、食後に腹が鳴って下痢の傾向のあるものの食べすぎによる胃のもたれ、急・慢性胃炎、消化不良、食欲不振に適すとされ、急性胃炎に用いる場合には5〜6回使用しても改善がみられないときは中止して相談するとされている。六君子湯は体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐に適すとされ、まれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることが知られている。

腸の不調を改善する目的で用いられる漢方処方製剤としては、桂枝加芍薬湯、大黄甘草湯、大黄牡丹皮湯、麻子仁丸等がある。このうち桂枝加芍薬湯及び大黄甘草湯は構成生薬としてカンゾウを含み、大黄甘草湯、大黄牡丹皮湯及び麻子仁丸は構成生薬としてダイオウを含む。桂枝加芍薬湯は体力中等度以下で、腹部膨満感のあるもののしぶり腹、腹痛、下痢、便秘に適すとされ、1週間位服用して改善がみられない場合は中止して相談するとされている。大黄甘草湯は体力に関わらず使用でき便秘等の症状の緩和に適すとされるが、体の虚弱な人、胃腸が弱く下痢しやすい人では激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすく不向きとされる。大黄牡丹皮湯は体力中等度以上で、下腹部痛があって、便秘しがちなものの月経不順、月経困難、月経痛、便秘、痔疾に適すとされる。麻子仁丸は体力中等度以下で、ときに便が硬く塊状なものの便秘等の症状の緩和に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では不向きとされる。ダイオウを含む漢方処方製剤を使用している間は、他の瀉下薬の使用を避ける必要があるとされている。

胃腸鎮痛鎮痙薬の成分と胃腸の漢方処方製剤(手引き 第3章Ⅲ-1、Ⅲ-2、Ⅲ-3)
成分名・処方名分類はたらき・適すとされる体質注意
ブチルスコポラミン臭化物抗コリン成分アセチルコリンと受容体の反応を妨げ胃腸の痙攣を鎮めるまれにショック(アナフィラキシー)。運転操作を避ける
メチルベナクチジウム臭化物、ジサイクロミン塩酸塩、チキジウム臭化物、オキシフェンサイクリミン塩酸塩抗コリン成分同上。胃酸過多や胸やけへの効果も期待される排尿困難・心臓病・緑内障の人は相談。高齢者は慎重に
メチルオクタトロピン臭化物抗コリン成分同上吸収された成分の一部が母乳中に移行する
ロートエキス抗コリン成分(生薬)抗コリン作用を示すアルカロイドを豊富に含む母乳中に移行し乳児が頻脈になるおそれ。母乳が出にくくなることがある
パパベリン塩酸塩鎮痙消化管の平滑筋に直接働いて痙攣を鎮める。胃液分泌を抑える作用はない眼圧を上昇させる。緑内障の人は相談
アミノ安息香酸エチル局所麻酔成分消化管の粘膜・平滑筋への麻酔作用で鎮痛鎮痙メトヘモグロビン血症のおそれ。6歳未満は使用を避ける
オキセサゼイン局所麻酔成分局所麻酔作用のほか胃液分泌を抑える作用もある妊婦・15歳未満は使用を避ける。頭痛、眠気、めまい、脱力感
エンゴサク、シャクヤク鎮痛鎮痙(生薬)鎮痛鎮痙作用を期待して配合される-
安中散漢方(胃)体力中等度以下で腹部は力がなく胃痛・腹痛があるものの神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱カンゾウを含む
人参湯(理中丸)漢方(胃)体力虚弱で疲れやすく手足などが冷えやすいものの胃腸虚弱、下痢、嘔吐、胃痛、腹痛、急・慢性胃炎カンゾウを含む。下痢・嘔吐では1週間位で改善なければ中止し相談
平胃散漢方(胃)体力中等度以上で胃がもたれて消化が悪いものの食べすぎによる胃のもたれ、急・慢性胃炎、消化不良、食欲不振カンゾウを含む。急性胃炎では5〜6回で改善なければ中止し相談
六君子湯漢方(胃)体力中等度以下で胃腸が弱く食欲がなくみぞおちがつかえるものの胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良カンゾウを含む。まれに肝機能障害
桂枝加芍薬湯漢方(腸)体力中等度以下で腹部膨満感のあるもののしぶり腹、腹痛、下痢、便秘カンゾウを含む。1週間位で改善なければ中止し相談
大黄甘草湯漢方(腸)体力に関わらず使用できる。便秘、便秘に伴う頭重、のぼせ等の緩和カンゾウ・ダイオウを含む。虚弱な人・下痢しやすい人は不向き。他の瀉下薬を避ける
大黄牡丹皮湯漢方(腸)体力中等度以上で下腹部痛があって便秘しがちなものの月経不順、月経困難、月経痛、便秘、痔疾ダイオウを含む。虚弱な人・下痢しやすい人は不向き。他の瀉下薬を避ける
麻子仁丸漢方(腸)体力中等度以下でときに便が硬く塊状なものの便秘等の緩和ダイオウを含む。下痢しやすい人は不向き。他の瀉下薬を避ける

用語

鎮痙
胃腸の過剰な動き(痙攣)を鎮めること。抗コリン成分はアセチルコリンと受容体の反応を妨げることで、パパベリン塩酸塩は平滑筋に直接働くことで鎮痙作用を示すとされる。
疝痛
発作性の間欠的な痛みのこと。手引きでは、抗コリン成分が胃痛、腹痛、さしこみ(疝痛、癪)を鎮めること(鎮痛鎮痙)のほか、胃酸過多や胸やけに対する効果も期待して用いられるとされている。
メトヘモグロビン血症
赤血球中のヘモグロビンの一部がメトヘモグロビンに変化して酸素運搬能力が低下し、貧血症状を呈する病気。アミノ安息香酸エチルで起こるおそれがあり、6歳未満には使用を避ける。
急性腹症
腸管の狭窄、閉塞、腹腔内器官の炎症等。腹痛が著しい場合や便秘に伴って吐きけや嘔吐が現れた場合に可能性があり、安易に瀉下薬・浣腸薬を使用せず受診が必要とされる。
反復性臍疝痛
小児で内臓に異常がないにもかかわらず、へその周りに激しい痛みが繰り返し現れるもの。精神的なストレスによる自律神経系の乱れが主な原因と考えられている。
アルカロイド
主に植物由来のアルカリ性化合物の総称(一部、中性や弱酸性を示すものもある)。手引きでは、抗コリン作用を示すアルカロイドを豊富に含む生薬成分としてロートエキスが用いられることも多いとされている。

例題

例題:パパベリン塩酸塩と抗コリン成分の違いを2点挙げよ。
答えと考え方 パパベリン塩酸塩は消化管の平滑筋に直接働く(自律神経系を介した作用ではない)点と、胃液分泌を抑える作用が見出されない点。ただし眼圧を上昇させるため緑内障の人は相談が必要とされる。
例題:アミノ安息香酸エチルを6歳未満の小児に使用しないこととされているのはなぜか。
答えと考え方 メトヘモグロビン血症を起こすおそれがあるためとされている。
例題:手引きが胃腸鎮痛鎮痙薬について受診勧奨を求めているのはどのような場合か。
答えと考え方 痛みが次第に強くなる、痛みが周期的に現れる、嘔吐や発熱を伴う、下痢や血便・血尿を伴う、原因不明の痛みが30分以上続く等の場合。

出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 3 胃腸鎮痛鎮痙薬(漢方処方製剤はⅢ-1、Ⅲ-2)

確認問題(25問)

四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。

問1|制酸成分

胃の薬に配合される制酸成分に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、胃酸の中和作用のほか、胃粘膜にゼラチン状の皮膜を形成して保護する作用もあるとされる。
  2. 制酸成分を主体とする胃腸薬は、炭酸飲料等の酸度の高い食品と一緒に使用すると、胃酸に対する中和作用がいっそう高まり、効果が強くなる。
  3. ボレイは、それに含まれる炭酸マグネシウムによる中和作用を期待して用いられる生薬成分であり、制酸成分として胃の薬に配合される。
  4. 制酸成分は、胃液の分泌そのものを止めることによって胃酸過多の症状を緩和する成分である。
正解と解説
正解:A. メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、胃酸の中和作用のほか、胃粘膜にゼラチン状の皮膜を形成して保護する作用もあるとされる。

手引きでは、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは胃酸の中和作用のほか、胃粘膜にゼラチン状の皮膜を形成して保護する作用もあるとされている。酸度の高い食品と一緒に使用すると中和作用は「低下」するため炭酸飲料等での服用は適当でない。ボレイは含まれる「炭酸カルシウム」による作用を期待して用いられる。制酸成分は中和反応によって胃酸の働きを弱めるもので、分泌を止めるものではない。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 1 胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)

問2|制酸の注意

制酸成分の使用上の注意及び相互作用に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. アルミニウムを含む成分は、透析治療を受けていない人であれば長期連用しても差し支えないとされている。
  2. 腎臓病の診断を受けた人では、ナトリウムやマグネシウム等の無機塩類の排泄が速まって体内に貯留しにくくなるため、通常より多い量が必要となる。
  3. カルシウムやアルミニウムを含む成分は瀉下薬に配合される成分でもあるため、これらを含む胃腸薬では下痢の症状が現れないか注意する必要がある。
  4. 制酸成分はかぜ薬や解熱鎮痛薬等にも配合されていることが多く、併用によって高カルシウム血症、高マグネシウム血症等を生じるおそれがある。
正解と解説
正解:D. 制酸成分はかぜ薬や解熱鎮痛薬等にも配合されていることが多く、併用によって高カルシウム血症、高マグネシウム血症等を生じるおそれがある。

手引きでは、制酸成分は他の医薬品(かぜ薬、解熱鎮痛薬等)にも配合されていることが多く、併用によって制酸作用が強くなりすぎるほか、高カルシウム血症、高マグネシウム血症等を生じるおそれがあるとされている。アルミニウムを含む成分は透析治療を受けていない人でも長期連用は避ける。腎臓病では無機塩類の排泄が「遅れ」体内に貯留しやすくなるため相談が必要。カルシウム・アルミニウムを含む成分は「止瀉薬」に配合される成分でもあり、注意すべきは便秘である。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 1 胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)

問3|健胃生薬

健胃成分として配合される生薬に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. オウバク、オウレンは、いずれも苦味による健胃作用を期待して用いられる。
  2. ケイヒは、苦味による健胃作用を期待して用いられる生薬である。
  3. ゲンチアナ、リュウタンは、いずれも苦味による健胃作用を期待して用いられる。
  4. ユウタンは、苦味による健胃作用を期待して用いられるほか、消化補助成分として配合される場合もある。
正解と解説
正解:B. ケイヒは、苦味による健胃作用を期待して用いられる生薬である。

手引きでは、ケイヒは「香り」による健胃作用を期待して用いられる生薬とされており、苦味によるものではないため誤り。オウバク・オウレン・ゲンチアナ・リュウタンはいずれも苦味による健胃作用を期待して用いられ、ユウタンは苦味による健胃作用のほか消化補助成分として配合される場合もあるとされている。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 1 胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)

問4|健胃成分

味覚や嗅覚に対する刺激以外の作用による健胃成分及び健胃薬の服用に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. カルニチン塩化物は生体内に存在する有機酸の一種であり、胃液分泌を促す、胃の運動を高める、胃壁の循環血流を増す等の作用があるとされる。
  2. 乾燥酵母は、味覚を刺激して反射的に唾液や胃液の分泌を促すことにより、胃の働きを高める健胃成分である。
  3. 生薬成分が配合された健胃薬は、散剤をオブラートで包んで味や香りを遮蔽して服用することで、効果がいっそう高まる。
  4. コウボク、ショウキョウ、チョウジ、チンピは、いずれも苦味による健胃作用を期待して用いられる生薬成分である。
正解と解説
正解:A. カルニチン塩化物は生体内に存在する有機酸の一種であり、胃液分泌を促す、胃の運動を高める、胃壁の循環血流を増す等の作用があるとされる。

手引きでは、カルニチン塩化物は生体内に存在する有機酸の一種で、その働きは必ずしも明らかにされていないが、胃液分泌を促す、胃の運動を高める、胃壁の循環血流を増す等の作用があるとされている。乾燥酵母は味覚・嗅覚への刺激によるものではなく、栄養素を補給して胃の働きを高めるものとされる。生薬成分配合の健胃薬は味や香りを遮蔽すると効果が期待できない。コウボク等は「香り」による健胃作用を期待する芳香性健胃生薬である。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 1 胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)

問5|消化成分

胃の薬に配合される消化成分に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. ジアスターゼ、リパーゼ、セルラーゼ等は、胆汁の分泌を促す作用を期待して配合される。
  2. タカヂアスターゼは、消化管内容物中に発生した気泡の分離を促すことを目的として配合される。
  3. ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸は、胆汁の分泌を促す作用(利胆作用)があるとされ、消化を助ける効果を期待して用いられる。
  4. 胆汁末や動物胆は肝臓の働きを高める作用があるとされ、肝臓病の診断を受けた人に対しても症状を悪化させることなく優先的に用いられる。
正解と解説
正解:C. ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸は、胆汁の分泌を促す作用(利胆作用)があるとされ、消化を助ける効果を期待して用いられる。

手引きでは、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸、胆汁末、動物胆は胆汁の分泌を促す作用(利胆作用)があるとされ、消化を助ける効果を期待して用いられるとされている。ジアスターゼ、リパーゼ、セルラーゼ等は炭水化物・脂質・繊維質等の分解に働く酵素を補う成分で、タカヂアスターゼはその複合酵素であり、気泡の分離を促すのはジメチルポリシロキサンである。利胆成分は肝臓病の診断を受けた人ではかえって症状を悪化させるおそれがあり、相談が必要とされている。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 1 胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)

問6|胃粘膜保護

胃粘膜保護・修復成分に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. アルジオキサは、アラントインと水酸化アルミニウムの複合体であり、アルミニウムを含む成分として知られている。
  2. ソファルコン、テプレノンについては、まれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることがあるため、注意が必要。
  3. セトラキサート塩酸塩は、体内で代謝されてトラネキサム酸を生じる。
  4. スクラルファートはマグネシウムを含む成分であるため、心臓病の診断を受けた人では使用を避ける必要がある。
正解と解説
正解:D. スクラルファートはマグネシウムを含む成分であるため、心臓病の診断を受けた人では使用を避ける必要がある。

手引きでは、スクラルファートはアルジオキサとともに「アルミニウム」を含む成分であり、透析を受けている人では使用を避け、透析治療を受けていない人でも長期連用は避ける必要があるとされている。マグネシウムを含む成分ではなく、避けるべきなのは心臓病ではなく透析を受けている人であるため誤り。他の3つはいずれも手引きの記述どおりである。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 1 胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)

問7|保護成分注意

胃粘膜保護・修復成分の使用上の注意に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. テプレノンについては、その他の副作用として腹部膨満感、吐きけ、腹痛、頭痛、皮下出血、便秘、下痢、口渇が現れることがある。
  2. セトラキサート塩酸塩は、体内で代謝されて生じた物質に血栓を溶けやすくする作用があるため、血栓のある人に積極的に用いられる。
  3. アルジオキサは、腎臓病の診断を受けた人であっても体内に貯留しにくいため、相談することなく使用することができる。
  4. アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)は、まれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることが知られている胃粘膜保護・修復成分である。
正解と解説
正解:A. テプレノンについては、その他の副作用として腹部膨満感、吐きけ、腹痛、頭痛、皮下出血、便秘、下痢、口渇が現れることがある。

手引きでは、テプレノンについてその他の副作用として腹部膨満感、吐きけ、腹痛、頭痛、皮下出血、便秘、下痢、口渇が現れることがあるとされている。セトラキサート塩酸塩は代謝されてトラネキサム酸を生じ、生じた血栓が「分解されにくくなる」ことが考えられるため血栓のある人は相談が必要。アルジオキサはアルミニウムを含み、腎臓病では体内に貯留しやすいため相談が必要。まれに肝機能障害を生じるとされているのはソファルコン、テプレノンである。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 1 胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)

問8|胃液分泌抑制

消泡成分及び胃液分泌抑制成分に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. ジメチルポリシロキサン(別名ジメチコン)は、消化管内容物中に発生した気泡の分離を促すことを目的として配合される消泡成分である。
  2. ピレンゼピン塩酸塩は、消化管の運動にはほとんど影響を与えずに胃液の分泌を抑える作用を示すとされ、胃腸薬に配合される成分である。
  3. ピレンゼピン塩酸塩は抗コリン作用を示さないため、排尿困難の症状がある人や緑内障の診断を受けた人でも支障なく使用できる。
  4. ロートエキスやピレンゼピン塩酸塩を含有する胃腸薬では、胃腸鎮痛鎮痙薬、乗物酔い防止薬との併用を避ける必要がある。
正解と解説
正解:C. ピレンゼピン塩酸塩は抗コリン作用を示さないため、排尿困難の症状がある人や緑内障の診断を受けた人でも支障なく使用できる。

手引きでは、ピレンゼピン塩酸塩は消化管以外では一般的な抗コリン作用のため、排尿困難、動悸、目のかすみの副作用を生じることがあり、排尿困難の症状がある人、緑内障の診断を受けた人では症状の悪化を招くおそれがあるため相談がなされるべきとされている。したがって「支障なく使用できる」は誤り。他の3つは手引きの記述どおりで、これらの成分を含有する胃腸薬では胃腸鎮痛鎮痙薬、乗物酔い防止薬との併用を避ける必要があるとされている。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 1 胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)

問9|整腸成分

腸の薬に配合される整腸成分に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. トリメブチンマレイン酸塩は、消化管の平滑筋に直接作用して、消化管運動が低下しているときは亢進的に、運動が亢進しているときは抑制的に働くとされる。
  2. ビフィズス菌、ラクトミン等の生菌成分は、腸管内で発生した有害な物質を吸着させて排出することを目的として配合される成分である。
  3. ケツメイシ、ゲンノショウコは、大腸を刺激して排便を促す瀉下作用を期待して配合される生薬成分である。
  4. アセンヤクは、腸内細菌によって分解されて大腸への刺激作用を示すようになる瀉下目的の成分である。
正解と解説
正解:A. トリメブチンマレイン酸塩は、消化管の平滑筋に直接作用して、消化管運動が低下しているときは亢進的に、運動が亢進しているときは抑制的に働くとされる。

手引きでは、トリメブチンマレイン酸塩は消化管(胃及び腸)の平滑筋に直接作用して消化管の運動を調整する作用があり、運動が低下しているときは亢進的に、亢進しているときは抑制的に働くとされている。生菌成分は腸内細菌のバランスを整えることを目的とし、吸着作用を目的とするものではない。ケツメイシ、ゲンノショウコ、アセンヤクはいずれも整腸作用を期待して配合される生薬成分であり、瀉下や大腸刺激を目的とするものではない。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 2 腸の薬(整腸薬、止瀉薬、瀉下薬)

問10|収斂成分

止瀉薬に配合される収斂成分に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 収斂成分を主体とする止瀉薬は、細菌性の下痢や食中毒が疑われる場合に積極的に使用することが望ましいとされている。
  2. ビスマスを含む成分は、腸粘膜のタンパク質と結合して不溶性の膜を形成する収斂作用のほか、腸内で発生した有毒物質を分解する作用も持つ。
  3. タンニン酸アルブミンに含まれるアルブミンは、牛乳に含まれるタンパク質(カゼイン)から精製された成分で、収斂作用を示す。
  4. オウバク、オウレンは、収斂作用のほか、抗菌作用、抗炎症作用も期待して用いられる。
正解と解説
正解:A. 収斂成分を主体とする止瀉薬は、細菌性の下痢や食中毒が疑われる場合に積極的に使用することが望ましいとされている。

手引きでは、収斂成分を主体とする止瀉薬は細菌性の下痢や食中毒のときに使用して腸の運動を鎮めるとかえって状態を悪化させるおそれがあり、急性の激しい下痢又は腹痛・腹部膨満・吐きけ等の症状を伴う人では安易な使用を避けることが望ましいとされているため、1が誤り。他の3つは手引きの記述どおりで、タンニン酸アルブミンは牛乳にアレルギーがある人では使用を避ける必要がある。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 2 腸の薬(整腸薬、止瀉薬、瀉下薬)

問11|ビスマス注意

次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス等のビスマスを含む成分の使用上の注意に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. アルコールと一緒に摂取されると循環血液中への移行が低下するため、服用時の飲酒は特に差し支えないこととされている。
  2. 循環血液中に移行したビスマスは血液-胎盤関門を通過することがないため、妊婦であっても使用できる。
  3. 海外において長期連用した場合に精神神経症状が現れたとの報告があり、1週間以上継続して使用しないこととされている。
  4. 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の診断を受けた人では、損傷した粘膜からのビスマスの吸収が低下するため、安全に使用することができる。
正解と解説
正解:C. 海外において長期連用した場合に精神神経症状が現れたとの報告があり、1週間以上継続して使用しないこととされている。

手引きでは、ビスマスを含む成分について、海外で長期連用した場合に精神神経症状(不安、記憶力減退、注意力低下、頭痛等)が現れたとの報告があり、1週間以上継続して使用しないこととされている。アルコールと一緒に摂取されると循環血液中への移行が「高まって」精神神経症状を生じるおそれがあり飲酒を避ける必要がある。血液-胎盤関門を「通過する」ことが知られており妊婦では使用を避けるべきとされ、胃潰瘍等では損傷した粘膜から吸収が「高まる」おそれがあり相談が必要とされている。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 2 腸の薬(整腸薬、止瀉薬、瀉下薬)

問12|ロペラミド

ロペラミド塩酸塩に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 食べすぎ・飲みすぎによる下痢、寝冷えによる下痢の症状に用いられることを目的としており、食あたりや水あたりによる下痢については適用対象でない。
  2. 腸管の運動を低下させる作用を示し、胃腸鎮痛鎮痙薬との併用は避ける必要がある。
  3. 吸収された成分の一部が乳汁中に移行することが知られており、母乳を与える女性では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避けるべきとされている。
  4. 中枢神経系を興奮させる作用があるため、副作用として不眠が現れることがあり、就寝前の服用は避けることとされている。
正解と解説
正解:D. 中枢神経系を興奮させる作用があるため、副作用として不眠が現れることがあり、就寝前の服用は避けることとされている。

手引きでは、ロペラミド塩酸塩は中枢神経系を「抑制」する作用もあり、副作用としてめまいや眠気が現れることがあるため、乗物又は機械類の運転操作を避ける必要があるとされている。したがって4が誤り。ほかに、効き目が強すぎて便秘が現れることがあり、便秘を避けなければならない肛門疾患がある人では使用を避けるべきとされ、一般用医薬品では15歳未満の小児には適用がない。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 2 腸の薬(整腸薬、止瀉薬、瀉下薬)

問13|腸内殺菌

止瀉薬に配合される腸内殺菌成分に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 腸内殺菌成分は、下痢の予防のためにあらかじめ服用しておくことが望ましいとされている。
  2. ベルベリンは、生薬のオウバクやオウレンの中に存在する物質のひとつであり、抗菌作用のほか、抗炎症作用も併せ持つとされる。
  3. アクリノールは、腸管内の異常発酵等によって生じた有害な物質を吸着させることを目的として用いられる吸着成分である。
  4. タンニン酸ベルベリンは、消化管内で分解されることなく、そのままの形で腸粘膜をひきしめる収斂作用のみを示す成分である。
正解と解説
正解:B. ベルベリンは、生薬のオウバクやオウレンの中に存在する物質のひとつであり、抗菌作用のほか、抗炎症作用も併せ持つとされる。

手引きでは、ベルベリンはオウバクやオウレンの中に存在する物質のひとつで、抗菌作用のほか抗炎症作用も併せ持つとされている。腸内殺菌成分は下痢の予防で服用したり症状が治まったのに漫然と服用したりすると腸内細菌のバランスを崩すため、症状がある間のみの服用にとどめるべきとされる。アクリノールは腸内殺菌成分であり吸着成分ではない。タンニン酸ベルベリンは消化管内でタンニン酸とベルベリンに分かれ、それぞれ止瀉に働くことを期待して用いられる。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 2 腸の薬(整腸薬、止瀉薬、瀉下薬)

問14|吸着成分

止瀉薬に配合される吸着成分及び生薬成分に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 天然ケイ酸アルミニウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム等は、腸管内の異常発酵等によって生じた有害な物質を吸着させることを目的として配合される。
  2. 木クレオソートは、腸内細菌によって分解されて大腸を刺激することにより、瀉下作用をもたらす。
  3. カオリンや薬用炭も、有害な物質を吸着する作用を期待して用いられる。
  4. 木クレオソートは、歯に使用の場合、局所麻酔作用もあるとされる。
正解と解説
正解:B. 木クレオソートは、腸内細菌によって分解されて大腸を刺激することにより、瀉下作用をもたらす。

手引きでは、木クレオソートは過剰な腸管の(蠕動)運動を正常化し、あわせて水分や電解質の分泌も抑える「止瀉」作用があるとされており、大腸を刺激して瀉下作用をもたらす成分ではないため2が誤り。吸着成分としては天然ケイ酸アルミニウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、ヒドロキシナフトエ酸アルミニウム等があり、カオリンや薬用炭も同様の作用を期待して用いられる。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 2 腸の薬(整腸薬、止瀉薬、瀉下薬)

問15|ヒマシ油

ヒマシ油に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 小腸でリパーゼの働きによって生じる分解物が、小腸を刺激することで瀉下作用をもたらすと考えられている。
  2. 作用が穏やかであるため、3歳未満の乳幼児や妊婦にも広く用いられる。
  3. 防虫剤や殺鼠剤を誤って飲み込んだ場合のような脂溶性の物質による中毒に対して、第一に用いられる。
  4. 吸収された成分は乳汁中に移行しないため、母乳を与える女性であっても制限なく使用することができる。
正解と解説
正解:A. 小腸でリパーゼの働きによって生じる分解物が、小腸を刺激することで瀉下作用をもたらすと考えられている。

手引きでは、ヒマシ油は小腸でリパーゼの働きによって生じる分解物が小腸を刺激することで瀉下作用をもたらすと考えられている。急激で強い瀉下作用(峻下作用)を示すため、激しい腹痛又は悪心・嘔吐の症状がある人、妊婦、3歳未満の乳幼児では使用を避ける。脂溶性の物質による中毒では、ナフタレンやリン等がヒマシ油に溶け出して中毒症状を増悪させるおそれがあるため使用を避ける必要がある。乳汁中に移行して乳児に下痢を引き起こすおそれがあり、授乳を避ける必要があるとされている。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 2 腸の薬(整腸薬、止瀉薬、瀉下薬)

問16|大腸刺激性

大腸刺激性瀉下成分に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. センノシドは、胃や小腸で消化されないが、大腸に生息する腸内細菌によって分解され、分解生成物が大腸を刺激して瀉下作用をもたらすと考えられている。
  2. ビサコジルは、大腸のうち特に結腸や直腸の粘膜を刺激して排便を促すと考えられており、結腸での水分の吸収を抑えて糞便のかさを増大させる働きもあるとされる。
  3. ビサコジルの腸溶性製剤では、服用前後1時間以内は制酸成分を含む胃腸薬の服用や牛乳の摂取を避けることとされている。
  4. ピコスルファートナトリウムは、胃や小腸で速やかに分解され、小腸を直接刺激することによって瀉下作用を示す。
正解と解説
正解:D. ピコスルファートナトリウムは、胃や小腸で速やかに分解され、小腸を直接刺激することによって瀉下作用を示す。

手引きでは、ピコスルファートナトリウムは胃や小腸では分解されないが、大腸に生息する腸内細菌によって分解されて大腸への刺激作用を示すようになるとされているため、4が誤り。センノシドも同様に大腸の腸内細菌によって分解される。ビサコジルは結腸や直腸の粘膜を刺激し、腸溶性製剤では胃内で溶け出すおそれがあるため服用前後1時間以内の制酸成分や牛乳を避けることとされている。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 2 腸の薬(整腸薬、止瀉薬、瀉下薬)

問17|無機塩類

瀉下成分に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 硫酸ナトリウムについては、腎臓病の診断を受けた人で無機塩類の排泄が遅れて高マグネシウム血症を生じるおそれがあるため、使用する前にその適否につき相談がなされるべき。
  2. カルメロースナトリウムは、腸管内で水分を吸収して腸内容物に浸透し、糞便のかさを増やすとともに糞便を柔らかくすることによる瀉下作用を目的として用いられる。
  3. マルツエキスは、大腸を直接刺激して排便を促すため、乳幼児への使用は避けることとされている。
  4. ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)は、腸内容物の浸透圧を高めることにより、糞便中の水分量を増して大腸を刺激し、排便を促す。
正解と解説
正解:B. カルメロースナトリウムは、腸管内で水分を吸収して腸内容物に浸透し、糞便のかさを増やすとともに糞便を柔らかくすることによる瀉下作用を目的として用いられる。

手引きでは、カルメロースナトリウム等の膨潤性瀉下成分は腸管内で水分を吸収して糞便のかさを増やし柔らかくする作用を目的とし、使用と併せて十分な水分摂取が重要とされている。硫酸ナトリウムは血液中の電解質バランスが損なわれ心臓の負担が増加するため「心臓病」の人が相談対象で、高マグネシウム血症はマグネシウムを含む成分の注意である。マルツエキスは麦芽糖が腸内細菌に分解されて生じるガスで便通を促し、主に乳幼児の便秘に用いられる。DSSは腸内容物に水分が浸透しやすくする作用による。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 2 腸の薬(整腸薬、止瀉薬、瀉下薬)

問18|浣腸薬

浣腸薬に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 繰り返し使用すると直腸の感受性が高まって効果が強くなりすぎるため、連用を避けることとされている。
  2. 浣腸薬が直腸の急激な動きに刺激されて流産・早産を誘発するおそれはないため、妊婦又は妊娠していると思われる女性であっても、安全に使用することができるものである。
  3. グリセリンが配合された浣腸薬では、排便時に血圧低下を生じて立ちくらみの症状が現れるとの報告があり、高齢者又は心臓病の診断を受けた人では相談がなされるべきとされている。
  4. 注入剤では、薬液を注入した後すぐに排便を試みることにより、薬液が腸内に行き渡って十分な効果が得られる。
正解と解説
正解:C. グリセリンが配合された浣腸薬では、排便時に血圧低下を生じて立ちくらみの症状が現れるとの報告があり、高齢者又は心臓病の診断を受けた人では相談がなされるべきとされている。

手引きでは、グリセリンが配合された浣腸薬について排便時に血圧低下を生じて立ちくらみの症状が現れるとの報告があり、体力の衰えている高齢者や心臓に基礎疾患がある人で特に現れやすいため相談がなされるべきとされている。繰り返し使用すると直腸の感受性の「低下」(いわゆる慣れ)が生じて効果が弱くなる。妊婦では流産・早産を誘発するおそれがあり使用を避けるべきとされる。注入後すぐに排便を試みると薬液のみが排出され効果が十分得られないため、便意が強まるまでしばらく我慢するとされている。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 4 その他の消化器官用薬

問19|駆虫薬

駆虫薬及び駆虫成分に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 一般用医薬品の駆虫薬が対象とする寄生虫は、回虫と蟯虫である。
  2. ピペラジンリン酸塩は、アセチルコリン伝達を妨げて、回虫及び蟯虫の運動筋を麻痺させる作用を示す。
  3. パモ酸ピルビニウムは、蟯虫の呼吸や栄養分の代謝を抑えて殺虫作用を示すとされ、尿や糞便が赤く着色することがある。
  4. 複数の駆虫薬を併用すると駆虫効果が高まるため、組み合わせて使用することが推奨されている。
正解と解説
正解:D. 複数の駆虫薬を併用すると駆虫効果が高まるため、組み合わせて使用することが推奨されている。

手引きでは、複数の駆虫薬を併用しても駆虫効果が高まることはなく、副作用が現れやすくなり、組合せによってはかえって駆虫作用が減弱することもあるとされているため4が誤り。駆虫成分としてはほかにサントニン(回虫の自発運動を抑える。肝臓病の人は相談)、カイニン酸(回虫に痙攣を起こさせる)があり、駆除した虫体の排出を促す目的でもヒマシ油との併用は避ける必要があるとされている。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 4 その他の消化器官用薬

問20|抗コリン成分

胃腸鎮痛鎮痙薬に配合される抗コリン成分に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンと受容体の反応を促してその働きを高めることにより、胃痛、腹痛、さしこみといった胃腸の平滑筋の痙攣を鎮める作用を示す。
  2. 副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンと受容体の反応を妨げることでその働きを抑え、胃痛、腹痛、さしこみを鎮めるほか、胃酸過多や胸やけに対する効果も期待して用いられる。
  3. 配合される成分としては、パパベリン塩酸塩、アミノ安息香酸エチル、オキセサゼイン等の局所麻酔成分がある。
  4. 副交感神経系の働きを抑える作用は消化管に限定されているため、散瞳による目のかすみや異常なまぶしさ、口渇、便秘といった消化管以外の副作用が現れることはないものと考えられている。
正解と解説
正解:B. 副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンと受容体の反応を妨げることでその働きを抑え、胃痛、腹痛、さしこみを鎮めるほか、胃酸過多や胸やけに対する効果も期待して用いられる。

手引きでは、抗コリン成分は副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンと受容体の反応を妨げることでその働きを抑え、胃痛、腹痛、さしこみ(疝痛、癪)を鎮めること(鎮痛鎮痙)のほか、胃酸過多や胸やけに対する効果も期待して用いられるとされている。働きを「高める」のではない。パパベリン塩酸塩は平滑筋に直接働く成分、アミノ安息香酸エチルとオキセサゼインは局所麻酔成分であり抗コリン成分ではない。作用は消化管に限定されないため散瞳や口渇等の副作用が現れる。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 3 胃腸鎮痛鎮痙薬

問21|抗コリン注意

抗コリン成分の副作用及び使用上の注意に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 散瞳による目のかすみや異常な眩しさ、顔のほてり、頭痛、眠気、口渇、便秘、排尿困難等の副作用が現れることがある。
  2. 高齢者では排尿困難や緑内障の基礎疾患を持つ場合が多く、また一般的に口渇や便秘の副作用が現れやすいため、慎重な使用がなされることが重要である。
  3. ロートエキスについては、吸収された成分の一部が母乳中に移行して乳児の脈が遅くなるおそれがあるため、母乳を与える女性では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避ける必要がある。
  4. 抗コリン作用を有する成分を含有する医薬品どうしが併用された場合、抗コリン作用が増強され、排尿困難、目のかすみ、異常な眩しさ、頭痛、眠気、口渇、便秘等の副作用が現れやすくなる。
正解と解説
正解:C. ロートエキスについては、吸収された成分の一部が母乳中に移行して乳児の脈が遅くなるおそれがあるため、母乳を与える女性では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避ける必要がある。

手引きでは、ロートエキスについて吸収された成分の一部が母乳中に移行して乳児の脈が「速くなる(頻脈)」おそれがあるとされており、「遅くなる」は誤り。なお、ロートエキスにより母乳が出にくくなることがあるともされている。他の3つは手引きの記述どおりで、排尿困難の症状がある人、心臓病又は緑内障の診断を受けた人では症状の悪化を招くおそれがあり相談がなされるべきとされている。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 3 胃腸鎮痛鎮痙薬

問22|局所麻酔成分

パパベリン塩酸塩及び局所麻酔成分に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. パパベリン塩酸塩は、消化管の平滑筋に直接働いて胃腸の痙攣を鎮める作用を示すとされ、抗コリン成分と異なり胃液分泌を抑える作用は見出されない。
  2. パパベリン塩酸塩は眼圧を低下させる作用を示すため、緑内障の診断を受けた人に適しているとされる。
  3. アミノ安息香酸エチルは、乳幼児でメトヘモグロビン血症を起こすおそれがあるため、15歳未満の小児への使用は避ける必要がある。
  4. オキセサゼインは局所麻酔作用のみを示し、胃液分泌を抑える作用は見出されていない。
正解と解説
正解:A. パパベリン塩酸塩は、消化管の平滑筋に直接働いて胃腸の痙攣を鎮める作用を示すとされ、抗コリン成分と異なり胃液分泌を抑える作用は見出されない。

手引きでは、パパベリン塩酸塩は消化管の平滑筋に直接働いて胃腸の痙攣を鎮める作用を示すとされ、抗コリン成分と異なり胃液分泌を抑える作用は見出されないとされている。一方で眼圧を「上昇」させる作用が知られており、緑内障の人は相談が必要。アミノ安息香酸エチルはメトヘモグロビン血症のおそれから「6歳未満」の小児への使用を避ける。オキセサゼインは局所麻酔作用のほか胃液分泌を抑える作用もあるとされ、妊婦や15歳未満の小児では使用を避けることとされている。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 3 胃腸鎮痛鎮痙薬

問23|腹痛の受診

胃腸鎮痛鎮痙薬の相互作用及び受診勧奨に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 胃腸鎮痛鎮痙薬を使用している間は、他の胃腸鎮痛鎮痙薬の使用を避けることとされている。
  2. 痛みが次第に強くなる、痛みが周期的に現れる、嘔吐や発熱を伴う、原因不明の痛みが30分以上続く等の場合には、基本的に医療機関を受診するなどの対応が必要である。
  3. 下痢に伴う腹痛については、下痢への対処よりも胃腸鎮痛鎮痙薬による鎮痛が優先されるべきとされている。
  4. 血尿を伴って側腹部に痛みが生じた時は腎臓や尿路の病気が疑われ、胃腸鎮痛鎮痙薬を使用することは適当でない。
正解と解説
正解:C. 下痢に伴う腹痛については、下痢への対処よりも胃腸鎮痛鎮痙薬による鎮痛が優先されるべきとされている。

手引きでは、下痢に伴う腹痛については基本的に「下痢への対処が優先」され、胃腸鎮痛鎮痙薬の適用となる症状でないとされているため3が誤り。腹部の痛みは必ずしも胃腸に生じたものとは限らず、月経困難症、胆嚢炎、胆管炎、胆石症、急性膵炎などが原因となる場合もあり、原因不明の腹痛に安易に胃腸鎮痛鎮痙薬を使用することは好ましくないとされている。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 3 胃腸鎮痛鎮痙薬

問24|胃の漢方

胃の不調を改善する目的で用いられる漢方処方製剤に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 安中散は、体力中等度以下で、腹部は力がなくて、胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけや、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、吐きけ、嘔吐などを伴うものの神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱に適すとされる。
  2. 人参湯(理中丸)は、体力虚弱で、疲れやすくて手足などが冷えやすいものの胃腸虚弱、下痢、嘔吐、胃痛、腹痛、急・慢性胃炎に適すとされる。
  3. 六君子湯は、まれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることが知られている。
  4. 平胃散は体力虚弱なものに適すとされ、構成生薬としてカンゾウを含まない。
正解と解説
正解:D. 平胃散は体力虚弱なものに適すとされ、構成生薬としてカンゾウを含まない。

手引きでは、平胃散は「体力中等度以上」で、胃がもたれて消化が悪く、ときに吐きけ、食後に腹が鳴って下痢の傾向のあるものの食べすぎによる胃のもたれ、急・慢性胃炎、消化不良、食欲不振に適すとされ、安中散・人参湯・平胃散・六君子湯はいずれも構成生薬としてカンゾウを含むとされているため4が誤り。なお平胃散を急性胃炎に用いる場合は、5〜6回使用しても改善がみられないときはいったん使用を中止して専門家に相談がなされるべきとされている。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 1 胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)漢方処方製剤

問25|腸の漢方

腸の不調を改善する目的で用いられる漢方処方製剤に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 桂枝加芍薬湯は、体力中等度以上で下腹部痛があって便秘しがちなものの月経不順、月経困難、便秘、痔疾に適すとされるが、体の虚弱な人や胃腸が弱く下痢しやすい人には不向きである。
  2. 大黄甘草湯は体力に関わらず使用でき、便秘、便秘に伴う頭重、のぼせ等の症状の緩和に適すとされるが、体の虚弱な人や胃腸が弱く下痢しやすい人では激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすく不向きとされる。
  3. 麻子仁丸は構成生薬としてカンゾウを含みダイオウは含まないため、他の瀉下薬との併用を避ける必要はない。
  4. 大黄牡丹皮湯を使用している間であっても、効果を高めるために他の瀉下薬を併用することが望ましいとされる。
正解と解説
正解:B. 大黄甘草湯は体力に関わらず使用でき、便秘、便秘に伴う頭重、のぼせ等の症状の緩和に適すとされるが、体の虚弱な人や胃腸が弱く下痢しやすい人では激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすく不向きとされる。

手引きでは、大黄甘草湯は体力に関わらず使用でき便秘等の症状の緩和に適すとされるが、体の虚弱な人、胃腸が弱く下痢しやすい人では不向きとされ、使用している間は他の瀉下薬の使用を避ける必要があるとされている。1の記述は大黄牡丹皮湯のもので、桂枝加芍薬湯は体力中等度以下で腹部膨満感のあるもののしぶり腹、腹痛、下痢、便秘に適すとされる。麻子仁丸は構成生薬としてダイオウを含む。大黄牡丹皮湯も使用中は他の瀉下薬の使用を避ける必要がある。

根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 2 腸の薬(整腸薬、止瀉薬、瀉下薬)漢方処方製剤

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ランダム出題の演習ツールです(JavaScript が有効な場合に動きます)。上の「確認問題」はそのままでもすべて読めます。

※ 解説は学習用の情報提供です。最新の出題範囲・制度は必ず公式発表をご確認ください。
※ 出題は厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)に沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題です。医療上の助言ではありません。試験は都道府県ごとに実施され、日程・合格基準の細部は都道府県により異なります。最新の情報は各都道府県の公表をご確認ください。