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精神神経・呼吸器の薬
講義 3 本・確認問題 30 問 | 本試験では「第3章 主な医薬品」(40問)の一部 | 最終更新 2026-09-24
この章で学ぶこと- かぜ薬にどの区分の成分が何のために入っているか、解熱鎮痛成分ごとの性質と年齢・妊娠に関わる注意を区別できるようになります。
- 睡眠改善薬の抗ヒスタミン成分、鎮静成分、カフェイン、乗物酔い防止薬の各成分、小児の疳の生薬について、はたらきと年齢の注意を整理します。
- 鎮咳成分・気管支拡張成分・去痰成分・殺菌消毒成分の区別と、コデイン類やカンゾウ・ヨウ素系成分に関する注意をまとめて押さえます。
1. かぜ薬と解熱鎮痛薬
かぜ薬にどの区分の成分が何のために入っているか、解熱鎮痛成分ごとの性質と年齢・妊娠に関わる注意を区別できるようになります。
手引きでは、「かぜ」(感冒)の症状は、くしゃみ、鼻汁・鼻閉(鼻づまり)、咽喉痛、咳、痰等の呼吸器症状と、発熱、頭痛、関節痛、全身倦怠感等の全身症状が組み合わさって現れるとされている。かぜは単一の疾患ではなく、医学的にはかぜ症候群といい、主にウイルスが鼻や喉などに感染して起こる上気道の急性炎症の総称で、通常は数日〜1週間程度で自然寛解し、予後は良好である。かぜの約8割はウイルスの感染が原因であるが、それ以外に細菌の感染や、まれに冷気や乾燥、アレルギーのような非感染性の要因による場合もある。原因となるウイルスは200種類を超えるといわれている。急激な発熱を伴う場合や、症状が4日以上続くとき、又は症状が重篤なときは、かぜではない可能性が高いとされている。インフルエンザ(流行性感冒)は、かぜと同様にウイルスの呼吸器感染によるものであるが、感染力が強く、また、重症化しやすいため、かぜとは区別して扱われる。
かぜ薬(総合感冒薬)は、かぜの諸症状の緩和を目的として使用される医薬品の総称である。手引きでは、かぜ薬はウイルスの増殖を抑えたり、ウイルスを体内から除去するものではなく、諸症状の緩和を図る対症療法薬であるとされている。また、かぜであるからといって必ずしもかぜ薬を選択するのが最適とは限らず、発熱、咳、鼻水など症状がはっきりしている場合には、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、鼻炎を緩和させる薬などを選択することが望ましいとされている。存在しない症状に対する不要な成分が配合されていると、無意味に副作用のリスクを高めることとなる。
かぜ薬の配合成分は、目的ごとに区分して覚えるのが近道である。発熱を鎮め痛みを和らげる解熱鎮痛成分(アスピリン、サリチルアミド、エテンザミド、アセトアミノフェン、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリン等)、くしゃみや鼻汁を抑える抗ヒスタミン成分(クロルフェニラミンマレイン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、メキタジン、クレマスチンフマル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩等)と抗コリン成分(ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド)、鼻粘膜の充血を和らげ気管・気管支を拡げるアドレナリン作動成分(メチルエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリンサッカリン塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、生薬のマオウ)、咳を抑える鎮咳成分(コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、ノスカピン、チペピジンヒベンズ酸塩、クロペラスチン塩酸塩等)、痰の切れを良くする去痰成分(グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、ブロムヘキシン塩酸塩、エチルシステイン塩酸塩等)がある。アドレナリン作動成分もコデイン類も依存性があることに留意が必要とされ、コデインリン酸塩水和物とジヒドロコデインリン酸塩は12才未満の小児には使用禁忌となっている。
炎症による腫れを和らげる抗炎症成分としては、トラネキサム酸とグリチルリチン酸二カリウムが挙げられている。トラネキサム酸は体内での起炎物質の産生を抑制することで炎症の発生を抑え、腫れを和らげるが、凝固した血液を溶解されにくくする働きもあるため、血栓のある人(脳血栓、心筋梗塞、血栓性静脈炎等)や血栓を起こすおそれのある人に使用する場合は、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談するなどの対応が必要とされている。グリチルリチン酸二カリウムの作用本体であるグリチルリチン酸は、化学構造がステロイド性抗炎症成分に類似していることから抗炎症作用を示すと考えられているが、大量に摂取すると偽アルドステロン症を生じるおそれがある。むくみ、心臓病、腎臓病又は高血圧のある人や高齢者では偽アルドステロン症を生じるリスクが高いため、それらの人に1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上の製品を使用する場合は相談が必要とされ、どのような人が対象であっても1日最大服用量が40mg以上となる製品は長期連用を避ける。なお、医薬品ではグリチルリチン酸としての1日摂取量が200mgを超えないよう用量が定められている。
解熱鎮痛薬の働きの中心にはプロスタグランジンがある。プロスタグランジンはホルモンに似た働きをする物質で、痛みが脳へ伝わる際にそのシグナルを増幅し、脳の下部にある温熱中枢に作用して体温を通常よりも高く維持するように調節するほか、炎症の発生にも関与する。解熱に関しては、中枢神経系におけるプロスタグランジンの産生抑制作用のほか、腎臓における水分の再吸収を促して循環血流量を増し、発汗を促進する作用も寄与している。この循環血流量の増加は心臓の負担を増大させ、末梢におけるプロスタグランジンの産生抑制は腎血流量を減少させる。また、プロスタグランジンの胃酸分泌調節作用や胃腸粘膜保護作用が妨げられると、胃酸分泌が増加するとともに胃壁の血流量が低下して胃粘膜障害を起こしやすくなるため、なるべく空腹時を避けて服用することとなっている場合が多い。心臓病、腎臓病、肝臓病又は胃・十二指腸潰瘍のある人では、使用する前にその適否につき相談することが望ましいとされている。
個々の解熱鎮痛成分では、年齢や妊娠に関する注意が繰り返し問われる。アスピリン(別名アセチルサリチル酸)、サザピリン、サリチル酸ナトリウムは、ライ症候群の発生が示唆されていることから、15歳未満の小児に対してはいかなる場合も一般用医薬品として使用してはならない。エテンザミド及びサリチルアミドについては、水痘(水疱瘡)又はインフルエンザにかかっている15歳未満の小児に対して使用を避ける必要がある。アスピリンには血液を凝固しにくくさせる作用もあるため、出産予定日12週間以内の使用を避ける。イブプロフェンも、一般用医薬品においては15歳未満の小児に対しいかなる場合も使用してはならず、出産予定日12週以内の妊婦は服用しないこととされている。アセトアミノフェンは主として中枢作用によって解熱・鎮痛をもたらすため、末梢における抗炎症作用は期待できず、その分ほかの解熱鎮痛成分のような胃腸障害は少ないが、食後の服用が推奨されている。イソプロピルアンチピリンは解熱・鎮痛作用が比較的強い一方で抗炎症作用は弱く、現在では一般用医薬品で唯一のピリン系解熱鎮痛成分である。
生薬成分が解熱又は鎮痛をもたらす仕組みは、化学的に合成された成分とは異なるものと考えられており、アスピリン等の使用を避けなければならない場合にも使用できるとされている。ジリュウはフトミミズ科の生薬で、そのエキスを製剤化した製品は「感冒時の解熱」が効能・効果となっている。シャクヤクはボタン科のシャクヤクの根を基原とし、鎮痛鎮痙作用、鎮静作用を示す。ボウイはツヅラフジ科のオオツヅラフジの蔓性の茎及び根茎を基原とし、鎮痛、尿量増加(利尿)等の作用を期待して用いられる。このほか、骨格筋の緊張をもたらす脊髄反射を抑制するメトカルバモールは「筋肉のこり」を和らげる目的で用いられ、鎮静作用があるため服用後は乗物又は機械類の運転操作をしないこととされている。
この節の漢方処方製剤としては、かぜ薬に配合される、又は単独でかぜの症状緩和に用いられるものとして葛根湯、麻黄湯、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、小青竜湯、桂枝湯、香蘇散、半夏厚朴湯、麦門冬湯が挙げられている。これらのうち半夏厚朴湯を除くいずれもカンゾウを含み、麻黄湯のほか葛根湯と小青竜湯にはマオウを含む。葛根湯は体力中等度以上のものの感冒の初期(汗をかいていないもの)等に、麻黄湯は体力充実してかぜのひきはじめで寒気がして発熱・頭痛があるものに、桂枝湯は体力虚弱で汗が出るもののかぜの初期に、香蘇散は体力虚弱で神経過敏で気分がすぐれず胃腸の弱いもののかぜの初期・血の道症に適すとされる。小柴胡湯は、インターフェロン製剤で治療を受けている人では間質性肺炎の副作用が現れるおそれが高まるため使用を避ける必要がある。鎮痛の目的で用いられる漢方処方製剤には芍薬甘草湯、桂枝加朮附湯、桂枝加苓朮附湯、薏苡仁湯、麻杏薏甘湯、疎経活血湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、呉茱萸湯、釣藤散があり、呉茱萸湯以外はカンゾウを含む。芍薬甘草湯は症状があるときのみの服用にとどめ連用を避けることとされ、心臓病の診断を受けた人では使用を避ける必要がある。
受診勧奨の場面も頻出である。かぜ薬について手引きは、一定期間又は一定回数使用して症状の改善がみられない場合は、漫然と使用を継続せず医療機関を受診するよう促すべきであるとし、高熱、黄色や緑色に濁った膿性の鼻汁・痰、喉(扁桃)の激しい痛みや腫れ、呼吸困難を伴う激しい咳といった症状がみられる場合や、慢性の呼吸器疾患、心臓病、糖尿病等の基礎疾患がある人の場合は、初めから医療機関での診療を受けることが望ましいとしている。小児のかぜでは急性中耳炎を併発しやすく、2歳未満の乳幼児には医師の診断を受けさせることを優先し、止むを得ない場合にのみ服用させることとされている。解熱鎮痛薬については、発熱が1週間以上続いている場合等は受診が必要とされ、通常、体温が38℃以下であればひきつけや著しい体力消耗等のおそれはなく、平熱になるまで解熱鎮痛薬を用いる必要はないとされている。頭痛が頻繁に出現して24時間以上続く場合や一般用医薬品を使用しても痛みを抑えられない場合は、自己治療で対処できる範囲を超えていると判断され、症状が現れないうちに予防的に使用することは適切でない。また、かぜ薬・解熱鎮痛薬の服用期間中は飲酒を避けることとされている。
かぜ薬・解熱鎮痛薬の主な配合成分(成分名・分類・はたらき・注意)| 成分名 | 分類 | はたらき | 注意 |
|---|
| アスピリン(アセチルサリチル酸) | サリチル酸系解熱鎮痛成分 | 解熱・鎮痛・抗炎症 | 15歳未満の小児にはいかなる場合も使用しない。他の解熱鎮痛成分より胃腸障害を起こしやすい。出産予定日12週間以内は使用を避ける |
| エテンザミド/サリチルアミド | サリチル酸系解熱鎮痛成分 | エテンザミドは痛みが神経を伝わるのを抑える働きが強い | 水痘(水疱瘡)又はインフルエンザにかかっている15歳未満の小児には使用を避ける |
| アセトアミノフェン | 解熱鎮痛成分 | 主として中枢作用で解熱・鎮痛。末梢の抗炎症作用は期待できない | 胃腸障害は少ないが食後の服用が推奨。定められた用量を超えた使用や日頃から酒類をよく摂取する人で重篤な副作用が起こりやすい |
| イブプロフェン | 解熱鎮痛成分 | 解熱・鎮痛のほか抗炎症作用も示す | 15歳未満の小児にはいかなる場合も使用しない。胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病の既往歴がある人は再発のおそれ。出産予定日12週以内の妊婦は服用しない |
| イソプロピルアンチピリン | ピリン系解熱鎮痛成分 | 解熱・鎮痛は比較的強いが抗炎症作用は弱い | 一般用医薬品で唯一のピリン系。ピリン疹等のアレルギー症状を起こしたことがある人は使用しない |
| ジリュウ | 生薬(解熱) | フトミミズ科の生薬。エキス製剤は「感冒時の解熱」が効能・効果 | 生薬成分の解熱の仕組みは合成成分と異なると考えられている |
| シャクヤク/ボタンピ | 生薬(鎮痛) | 鎮痛鎮痙作用、鎮静作用を示し内臓の痛みにも用いられる | — |
| ボウイ | 生薬(鎮痛) | 鎮痛、尿量増加(利尿)等の作用 | 日本薬局方収載のボウイは煎薬として筋肉痛、神経痛、関節痛に用いられる |
| トラネキサム酸 | 抗炎症成分 | 体内での起炎物質の産生を抑制し炎症・腫れを抑える | 凝固した血液を溶解されにくくするため、血栓のある人・血栓を起こすおそれのある人は相談 |
| グリチルリチン酸二カリウム | 抗炎症成分 | ステロイド性抗炎症成分に類似した化学構造による抗炎症作用 | 1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上の製品は長期連用を避ける。偽アルドステロン症に留意 |
| メチルエフェドリン塩酸塩/マオウ | アドレナリン作動成分・生薬 | 鼻粘膜の充血を和らげ、気管・気管支を拡げる | 依存性がある |
| クロルフェニラミンマレイン酸塩等 | 抗ヒスタミン成分 | くしゃみや鼻汁を抑える | 眠気や口渇が現れることがある |
| ベラドンナ総アルカロイド/ヨウ化イソプロパミド | 抗コリン成分 | 抗コリン作用で鼻汁分泌やくしゃみを抑える | 排尿困難が現れることがある |
| ケイ酸アルミニウム/酸化マグネシウム等 | 制酸成分 | 解熱鎮痛成分による胃腸障害の軽減 | 胃腸薬のように胃腸症状に対する薬効を標榜することは認められていない |
| メトカルバモール | 骨格筋弛緩成分 | 骨格筋の緊張をもたらす脊髄反射を抑制し「筋肉のこり」を和らげる | 眠気、めまい、ふらつき。服用後は乗物又は機械類の運転操作をしない |
用語
- 対症療法薬
- 病気の原因そのものを取り除くのではなく、現れている症状を和らげることを目的とする薬。手引きでは、かぜ薬はウイルスの増殖を抑えたり除去したりするものではなく、諸症状の緩和を図る対症療法薬であるとされている。
- プロスタグランジン
- ホルモンに似た働きをする物質で、病気や外傷があるときに活発に産生される。痛みのシグナルを増幅し、温熱中枢に作用して体温を高く維持するよう調節するほか、炎症の発生や胃酸分泌調節・胃腸粘膜保護にも関与するとされる。
- ライ症候群
- 主として小児が水痘やインフルエンザ等のウイルス性疾患に罹っているときに、激しい嘔吐や意識障害、痙攣等の急性脳症の症状を呈する症候群。発生はまれだが死亡率が高く、サリチル酸系解熱鎮痛成分で特に留意される。
- 偽アルドステロン症
- グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸、カンゾウ等で生じることがある重篤な副作用。むくみ、心臓病、腎臓病又は高血圧のある人や高齢者では生じるリスクが高いとされる。
- ACE処方
- アセトアミノフェン、カフェイン、エテンザミドの組合せを、それぞれの頭文字から呼んだもの。エテンザミドは痛みが神経を伝わっていくのを抑える働きが強く、作用の仕組みの違いによる相乗効果が期待される。
- アスピリン喘息
- 解熱鎮痛成分によって生じることがある喘息。手引きでは、アスピリン特有の副作用ではなく、他の解熱鎮痛成分でも生じる可能性があるとされている。
例題
例題:アスピリンとイブプロフェンに共通する、小児に関する注意は何か。
答えと考え方 手引きでは、いずれも一般用医薬品において15歳未満の小児に対してはいかなる場合も使用してはならないとされている。アスピリンはライ症候群の発生が示唆されていることが理由として挙げられている。なお、エテンザミド・サリチルアミドは「水痘又はインフルエンザにかかっている15歳未満の小児」に限って使用を避けるとされており、条件が異なる。
例題:アセトアミノフェンが他の解熱鎮痛成分と大きく異なる点は何か。
答えと考え方 主として中枢作用によって解熱・鎮痛をもたらすため、末梢における抗炎症作用は期待できない点である。その分、他の解熱鎮痛成分のような胃腸障害は少なく空腹時に服用できる製品もあるが、食後の服用が推奨されている。
例題:かぜ薬に配合される漢方処方製剤のうち、カンゾウを含まないものはどれか。
答えと考え方 半夏厚朴湯である。手引きでは、かぜ薬に配合される漢方処方成分等として挙げられた葛根湯、麻黄湯、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、小青竜湯、桂枝湯、香蘇散、半夏厚朴湯、麦門冬湯のうち、半夏厚朴湯を除くいずれもが構成生薬としてカンゾウを含むとされている。
出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 1 かぜ薬/2 解熱鎮痛薬
2. 眠気を促す薬・防ぐ薬・鎮暈薬・小児の疳
睡眠改善薬の抗ヒスタミン成分、鎮静成分、カフェイン、乗物酔い防止薬の各成分、小児の疳の生薬について、はたらきと年齢の注意を整理します。
催眠鎮静薬は、寝つきが悪い、眠りが浅い、いらいら感、緊張感、精神興奮、精神不安といった症状が生じたときに睡眠を促したり、精神の昂ぶりを鎮めたりすることを目的に使用される医薬品である。手引きでは、生体内情報伝達物質であるヒスタミンは脳の下部にある睡眠・覚醒に関与する部位で神経細胞の刺激を介して覚醒の維持や調節を行う働きを担っており、脳内におけるヒスタミン刺激が低下すると眠気を促すとされている。ジフェンヒドラミン塩酸塩は、抗ヒスタミン成分の中でも特にそのような中枢作用が強い。
抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬は、睡眠改善薬として一時的な睡眠障害(寝つきが悪い、眠りが浅い)の緩和に用いられるものであり、慢性的に不眠症状がある人や、医療機関において不眠症の診断を受けている人を対象とするものではない。妊娠中にしばしば生じる睡眠障害はホルモンのバランスや体型の変化等が原因であり睡眠改善薬の適用対象ではないため、妊婦又は妊娠していると思われる女性には使用を避ける。小児及び若年者では抗ヒスタミン成分により眠気とは反対の神経過敏や中枢興奮などが現れることがあり、特に15歳未満の小児ではそうした副作用が起きやすいため、抗ヒスタミン成分を含有する睡眠改善薬の使用は避ける。睡眠改善薬では、目が覚めたあとも注意力の低下や寝ぼけ様症状、判断力の低下等の一時的な意識障害、めまい、倦怠感を起こすことがあるので、翌日まで眠気やだるさを感じるときには、それらの症状が消失するまで自動車の運転等、危険を伴う機械の操作は避ける。
鎮静成分であるブロモバレリル尿素とアリルイソプロピルアセチル尿素は、いずれも脳の興奮を抑え、痛覚を鈍くする作用がある。少量でも眠気を催しやすく、それにより重大な事故を招くおそれがあるため、これらの成分が配合された医薬品を使用した後は、乗物や危険を伴う機械類の運転操作は避ける必要がある。また、反復して摂取すると依存を生じることが知られており、本来の目的から逸脱した使用(乱用)がなされることがあることに留意が必要とされる。ブロモバレリル尿素は胎児に障害を引き起こす可能性があるため、妊婦又は妊娠していると思われる女性は使用を避けるべきである。鎮静作用を期待する生薬成分としては、チョウトウコウ(アカネ科のカギカズラ等の通例とげ)、サンソウニン(クロウメモドキ科のサネブトナツメの種子)、カノコソウ(別名キッソウコン、オミナエシ科のカノコソウの根及び根茎)、チャボトケイソウ(別名パッシフローラ、南米原産のトケイソウ科の植物)、ホップ(アサ科のホップの成熟した球果状の果穂)があり、生薬成分のみからなる鎮静薬であっても、複数の鎮静薬の併用や長期連用は避けるべきとされている。神経質、精神不安、不眠等の改善を目的とした漢方処方製剤には酸棗仁湯、加味帰脾湯、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯があり、柴胡加竜骨牡蛎湯以外はいずれもカンゾウを含む。酸棗仁湯は1週間位服用して症状の改善がみられない場合には、漫然と服用を継続せず医療機関を受診するなどの対応が必要とされる。
眠気防止薬は、眠気や倦怠感を除去することを目的とした医薬品であり、主な有効成分としてカフェイン(無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン等を含む)が配合されている。カフェインは脳に軽い興奮状態を引き起こし、一時的に眠気や倦怠感を抑える効果があるが、脳が過剰に興奮すると副作用として振戦(震え)、めまい、不安、不眠、頭痛等を生じることがある。眠気防止に関連しない作用として、腎臓におけるナトリウムイオン(同時に水分)の再吸収抑制があり、尿量の増加(利尿)をもたらす。安全使用の観点から留意すべき作用に胃液分泌亢進作用があり、副作用として胃腸障害(食欲不振、悪心・嘔吐)が現れることがあるため、胃酸過多の人や胃潰瘍のある人は服用を避ける。また、心筋を興奮させる作用もあり副作用として動悸が現れることがあるため、心臓病のある人は服用を避ける。カフェインには作用は弱いながら反復摂取により依存を形成する性質があるため、「短期間の服用にとどめ、連用しないこと」という注意喚起がなされている。
カフェインの量に関する数値も押さえておきたい。手引きでは、眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量はカフェインとして200mg、1日摂取量はカフェインとして500mgが上限とされている。カフェインは他の医薬品(かぜ薬、解熱鎮痛薬、乗物酔い防止薬、滋養強壮保健薬等)や医薬部外品、食品(お茶、コーヒー等)にも含まれているため、それらが眠気防止薬と同時に摂取されるとカフェインが過量となり、中枢神経系や循環器系等への作用が強く現れるおそれがある。吸収されて循環血液中に移行したカフェインの一部は血液-胎盤関門を通過して胎児に到達することが知られており、また摂取されたカフェインの一部は乳汁中に移行する。乳児は肝臓が未発達なためカフェインの代謝により多くの時間を要し、授乳期間中はカフェインの総摂取量が継続して多くならないよう留意する。成長期の小児の発育には睡眠が重要であることから小児用の眠気防止薬はなく、15歳未満の小児に使用されることがないよう注意が必要とされている。かぜ薬やアレルギー用薬などを使用したことによる眠気を抑えるために眠気防止薬を使用するのは適切ではない。
鎮暈薬(乗物酔い防止薬)は、乗物酔い(動揺病)によるめまい、吐きけ、頭痛を防止し、緩和することを目的とする医薬品である。抗めまい成分のジフェニドール塩酸塩は、内耳にある前庭と脳を結ぶ神経(前庭神経)の調節作用のほか、内耳への血流を改善する作用を示し、日本においては専ら抗めまい成分として用いられている。抗ヒスタミン成分は延髄にある嘔吐中枢への刺激や内耳の前庭における自律神経反射を抑える作用を示す。ジメンヒドリナートはジフェンヒドラミンテオクル酸塩の一般名で、専ら乗物酔い防止薬に配合される抗ヒスタミン成分である。メクリジン塩酸塩は他の抗ヒスタミン成分と比べて作用が現れるのが遅く持続時間が長い。抗コリン成分のスコポラミン臭化水素酸塩水和物は、消化管からよく吸収され他の抗コリン成分と比べて脳内に移行しやすいとされるが、肝臓で速やかに代謝されてしまうため、抗ヒスタミン成分等と比べて作用の持続時間は短い。このほか、鎮静成分(ブロモバレリル尿素等)、キサンチン系成分(カフェイン、ジプロフィリン)、局所麻酔成分(アミノ安息香酸エチル)が配合されることがある。
鎮暈薬では年齢に関わる注意が集中する。プロメタジン塩酸塩等のプロメタジンを含む成分については、外国において乳児突然死症候群や乳児睡眠時無呼吸発作のような致命的な呼吸抑制を生じたとの報告があるため、15歳未満の小児では使用を避ける必要がある。アミノ安息香酸エチルが配合されている場合には、6歳未満への使用は避ける必要がある。また、3歳未満では乗物酔いが起こることはほとんどないとされ、乗物酔い防止薬に3歳未満の乳幼児向けの製品はない。抗めまい成分、抗ヒスタミン成分、抗コリン成分及び鎮静成分にはいずれも眠気を促す作用があり、抗コリン成分では散瞳による目のかすみや異常なまぶしさを引き起こすことがあるため、乗物の運転操作をするときは乗物酔い防止薬の使用を控える必要がある。乗物酔い防止薬には主として吐きけを抑えることを目的とした成分も配合されるが、つわりに伴う吐きけへの対処として使用することは適当でないとされている。乗物酔いに伴う一時的な症状としてでなく、日常においてめまいが度々生じる場合には、基本的に医療機関を受診するなどの対応が必要である。
小児鎮静薬は、小児の夜泣き、ひきつけ、疳の虫等の症状を鎮めるほか、小児における虚弱体質、消化不良などの改善を目的とする医薬品(生薬製剤・漢方処方製剤)である。配合生薬としては、緊張や興奮を鎮め血液の循環を促す作用等を期待して用いられるゴオウ、ジャコウ、ウシ科のサイカレイヨウ(高鼻レイヨウ)等の角を基原とし緊張や興奮を鎮める作用等を期待して用いられるレイヨウカク、ジンチョウゲ科の材を基原とし鎮静、健胃、強壮などの作用を期待して用いられるジンコウのほか、リュウノウ、動物胆、チョウジ、サフラン、ニンジン、カンゾウ等が挙げられている。漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合にあっても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこととなっている。小児の疳を適応症とする主な漢方処方製剤としては柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、小建中湯があり、柴胡加竜骨牡蛎湯以外はいずれもカンゾウを含む。夜泣きに用いる場合、1週間位服用しても症状の改善がみられないときは、いったん服用を中止して専門家に相談する等の対応が必要である。手引きでは、購入者等が「作用が穏やかで小さな子供に使っても副作用が無い」などといった安易な考えで使用することを避けるよう情報提供に努める必要があるとされ、小児鎮静薬を保護者側の安眠等を図ることを優先して使用することは適当でないとされている。
眠気を促す薬・防ぐ薬・鎮暈薬・小児鎮静薬の主な成分(成分名・分類・はたらき・注意)| 成分名 | 分類 | はたらき | 注意 |
|---|
| ジフェンヒドラミン塩酸塩 | 抗ヒスタミン成分(睡眠改善薬) | 脳内のヒスタミン刺激を低下させ眠気を促す。中枢作用が特に強い | 15歳未満の小児、妊婦は使用を避ける。翌日まで眠気やだるさが残るときは運転等を避ける |
| ブロモバレリル尿素 | 鎮静成分 | 脳の興奮を抑え、痛覚を鈍くする | 依存性。妊婦は使用を避ける。使用後は乗物・危険を伴う機械類の運転操作を避ける |
| アリルイソプロピルアセチル尿素 | 鎮静成分 | 脳の興奮を抑え、痛覚を鈍くする | 依存性。使用後は乗物・危険を伴う機械類の運転操作を避ける |
| チョウトウコウ | 生薬(鎮静) | アカネ科のカギカズラ等の通例とげ。神経の興奮・緊張緩和 | 生薬のみの鎮静薬でも併用や長期連用は避ける |
| サンソウニン | 生薬(鎮静) | クロウメモドキ科のサネブトナツメの種子 | 同上 |
| カノコソウ(別名キッソウコン) | 生薬(鎮静) | オミナエシ科のカノコソウの根及び根茎 | 食品(ハーブ等)として流通するものとの併用でリスクが高まることがある |
| チャボトケイソウ(別名パッシフローラ) | 生薬(鎮静) | 南米原産のトケイソウ科の植物。開花期における茎及び葉が薬用部位 | 同上 |
| ホップ | 生薬(鎮静) | アサ科のホップの成熟した球果状の果穂 | 同上 |
| カフェイン(無水カフェイン等) | キサンチン系(眠気防止) | 脳に軽い興奮状態を起こし一時的に眠気・倦怠感を抑える。利尿作用もある | 1回200mg・1日500mgが上限。胃酸過多や胃潰瘍のある人、心臓病のある人は服用を避ける。連用しない。15歳未満の小児に使用しない |
| ジフェニドール塩酸塩 | 抗めまい成分 | 前庭神経の調節作用、内耳への血流改善 | 排尿困難の人や緑内障の診断を受けた人は相談が望ましい。散瞳による異常な眩しさ、口渇等 |
| ジメンヒドリナート | 抗ヒスタミン成分(鎮暈薬) | 嘔吐中枢への刺激や内耳の前庭における自律神経反射を抑える | ジフェンヒドラミンテオクル酸塩の一般名。眠気を促す作用があるため乗物の運転操作をするときは使用を控える |
| メクリジン塩酸塩 | 抗ヒスタミン成分(鎮暈薬) | 他の抗ヒスタミン成分と比べ作用が現れるのが遅く持続時間が長い | 専ら乗物酔い防止薬に配合される |
| プロメタジン塩酸塩 | 抗ヒスタミン成分(鎮暈薬) | 乗物酔いによるめまい・吐きけ等を抑える | 外国で致命的な呼吸抑制の報告があり、15歳未満の小児では使用を避ける |
| スコポラミン臭化水素酸塩水和物 | 抗コリン成分 | 中枢に作用して自律神経系の混乱を軽減、末梢では消化管の緊張を低下 | 脳内に移行しやすいが肝臓で速やかに代謝され持続時間は短い。散瞳による目のかすみ・異常なまぶしさ |
| ジプロフィリン | キサンチン系成分 | 脳に軽い興奮を起こさせ平衡感覚の混乱によるめまいを軽減 | カフェインが配合されていても他成分による眠気が解消されるわけではない |
| アミノ安息香酸エチル | 局所麻酔成分 | 胃粘膜への麻酔作用によって嘔吐刺激を和らげる | 6歳未満への使用は避ける |
| ゴオウ/ジャコウ | 生薬(小児の疳) | 緊張や興奮を鎮め、血液の循環を促す作用等 | 「小さな子供に使っても副作用が無い」という安易な考えでの使用は避ける |
| レイヨウカク | 生薬(小児の疳) | ウシ科のサイカレイヨウ(高鼻レイヨウ)等の角。緊張や興奮を鎮める | 同上 |
| ジンコウ | 生薬(小児の疳) | ジンチョウゲ科のジンコウ等の材。鎮静、健胃、強壮などの作用 | 同上 |
| カンゾウ | 生薬(小児の疳では主に健胃) | 小児の疳の生薬製剤では主として健胃作用を期待し配合量は比較的少ない | グリチルリチン酸の総量が継続して多くならないよう注意。乳幼児では体重当たりの摂取量が多くなることがある |
用語
- 睡眠改善薬
- 抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬のこと。一時的な睡眠障害(寝つきが悪い、眠りが浅い)の緩和に用いられ、慢性的に不眠症状がある人や不眠症の診断を受けている人を対象とするものではないとされている。
- ジフェニドール塩酸塩
- 抗めまい成分。内耳にある前庭と脳を結ぶ神経(前庭神経)の調節作用のほか、内耳への血流を改善する作用を示す。排尿困難の症状がある人や緑内障の診断を受けた人では症状を悪化させるおそれがあり、相談が望ましいとされる。
- ジメンヒドリナート
- ジフェンヒドラミンテオクル酸塩の一般名で、専ら乗物酔い防止薬に配合される抗ヒスタミン成分。嘔吐中枢への刺激や内耳の前庭における自律神経反射を抑える作用を示す。
- キサンチン系成分
- カフェイン(無水カフェイン、クエン酸カフェイン等を含む)やジプロフィリン等の総称。鎮暈薬では脳に軽い興奮を起こさせて平衡感覚の混乱によるめまいを軽減させる目的で配合される。
- 疳の虫
- 小児に現れる夜泣き、ひきつけ等とあわせて挙げられる症状。手引きでは、身体的な問題がなく生じるこれらの症状は成長に伴って自然に治まるのが通常であり、発達段階の一時的な症状と保護者が達観することも重要とされている。
- 動揺病
- 乗物酔いのこと。乗物酔い防止薬は、動揺病によるめまい、吐きけ、頭痛を防止し、緩和することを目的とする医薬品とされている。
例題
例題:眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量と1日摂取量の上限はいくらか。
答えと考え方 手引きでは、1回摂取量はカフェインとして200mg、1日摂取量はカフェインとして500mgが上限とされている。カフェインはかぜ薬や解熱鎮痛薬、乗物酔い防止薬、食品にも含まれるため、同時に摂取されると過量となるおそれがある。
例題:乗物酔い防止薬で年齢の下限が示されている成分と数値を挙げよ。
答えと考え方 プロメタジン塩酸塩等のプロメタジンを含む成分は15歳未満の小児では使用を避ける必要があり、アミノ安息香酸エチルが配合されている場合は6歳未満への使用は避ける必要がある。また、3歳未満では乗物酔いが起こることはほとんどないとされ、3歳未満の乳幼児向けの製品はない。
例題:小児の疳を適応症とする漢方処方製剤の、年齢に関する共通の注意は何か。
答えと考え方 手引きでは、漢方処方製剤は用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合にあっても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこととなっているとされている。
出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 3 眠気を促す薬/4 眠気を防ぐ薬/5 鎮暈薬(乗物酔い防止薬)/6 小児の疳を適応症とする生薬製剤・漢方処方製剤
3. 鎮咳去痰薬と口腔咽喉薬・うがい薬
鎮咳成分・気管支拡張成分・去痰成分・殺菌消毒成分の区別と、コデイン類やカンゾウ・ヨウ素系成分に関する注意をまとめて押さえます。
手引きでは、咳は気管や気管支に何らかの異変が起こったときに、その刺激が中枢神経系に伝わり、延髄にある咳嗽中枢の働きによって引き起こされる反応であるとされている。したがって咳はむやみに抑え込むべきではないが、長く続く咳は体力の消耗や睡眠不足をまねくなどの悪影響もある。気道粘膜からの粘液に、気道に入り込んだ異物や粘膜上皮細胞の残骸などが混じって痰となり、痰が気道粘膜上に滞留すると呼吸の妨げとなるため、反射的に咳が生じて痰を排除しようとする。鎮咳去痰薬は、咳を鎮める、痰の切れを良くする、また、喘息症状を和らげることを目的とする医薬品の総称であり、錠剤、カプセル剤、顆粒剤等のほか、口腔咽喉薬の目的を兼ねたトローチ剤やドロップ剤がある。
中枢神経系に作用して咳を抑える鎮咳成分のうち、コデインリン酸塩水和物とジヒドロコデインリン酸塩は、その作用本体であるコデイン、ジヒドロコデインがモルヒネと同じ基本構造を持ち、依存性がある成分であり、麻薬性鎮咳成分とも呼ばれる。長期連用や大量摂取によって倦怠感や虚脱感、多幸感等が現れることがあり、薬物依存につながるおそれがある。これに対してノスカピン、ノスカピン塩酸塩水和物、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、チペピジンヒベンズ酸塩、チペピジンクエン酸塩、ジメモルファンリン酸塩、クロペラスチン塩酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩等は非麻薬性鎮咳成分とも呼ばれる。フェノールフタリン酸デキストロメトルファンは主にトローチ剤・ドロップ剤に配合される鎮咳成分である。中枢性の鎮咳作用を示す生薬成分としてハンゲ(サトイモ科のカラスビシャクのコルク層を除いた塊茎)が配合されている場合もある。
コデイン類の注意は頻出である。コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩は、妊娠中に摂取された場合、吸収された成分の一部が血液-胎盤関門を通過して胎児へ移行することが知られており、分娩時服用により新生児に呼吸抑制が現れたとの報告がある。また、母乳移行により乳児でモルヒネ中毒が生じたとの報告があり、授乳中の人は服用しないか、授乳を避ける必要がある。そのほか、胃腸の運動を低下させる作用も示し、副作用として便秘が現れることがある。小児の呼吸抑制発生リスクを可能な限り低減する観点から、原則、コデイン類を含む本剤を12歳未満の小児等に使用しないよう注意喚起を行うこと等の予防的な措置がとられ、切換え後には12歳未満の小児への使用を禁忌とする使用上の注意の改訂を再度実施することとされた。
気管支を拡げる成分としては、メチルエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリンサッカリン塩、トリメトキノール塩酸塩水和物、メトキシフェナミン塩酸塩等のアドレナリン作動成分があり、交感神経系を刺激して気管支を拡張させる作用を示す。同様の作用を示す生薬成分としてマオウ(マオウ科の植物の地上茎)があり、気管支拡張のほか発汗促進、利尿等の作用も期待される。アドレナリン作動成分及びマオウは、交感神経系への刺激作用によって心臓血管系や肝臓でのエネルギー代謝等にも影響が生じることが考えられ、心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能亢進症の診断を受けた人では症状を悪化させるおそれがあるため、使用する前に相談がなされるべきである。メチルエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリンサッカリン塩、マオウは中枢神経系に対する作用が他の成分に比べ強いとされ、依存性がある。一方、ジプロフィリン等のキサンチン系成分は、自律神経系を介さずに気管支の平滑筋に直接作用して弛緩させることで気管支を拡張させる。キサンチン系成分は中枢神経系を興奮させる作用も示し、甲状腺機能障害又はてんかんの診断を受けた人では症状の悪化を招くおそれがあり相談が必要とされ、心臓刺激作用により副作用として動悸が現れることがある。
去痰成分は、作用の仕組みごとに分けて覚えるとよい。気道粘膜からの粘液の分泌を促進する作用を示すものにグアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、クレゾールスルホン酸カリウム等、痰の中の粘性タンパク質を溶解・低分子化して粘性を減少させるものにエチルシステイン塩酸塩、メチルシステイン塩酸塩、カルボシステイン等がある。カルボシステインは粘液成分の含量比を調整し痰の切れを良くする作用も持つ。ブロムヘキシン塩酸塩は、分泌促進作用・溶解低分子化作用・線毛運動促進作用を示す。なお、抗ヒスタミン成分は気道粘膜での粘液分泌を抑制することで痰が出にくくなることがあるため、痰の切れを良くしたい場合は併用に注意する必要があるとされている。
気道の炎症を和らげる抗炎症成分としてはトラネキサム酸、グリチルリチン酸二カリウム等があり、グリチルリチン酸を含む生薬成分としてカンゾウ(マメ科の植物の根及びストロンで、ときには周皮を除いたもの)が用いられることもある。カンゾウについては、グリチルリチン酸による抗炎症作用のほか、気道粘膜からの粘液分泌を促す等の作用も期待される。カンゾウを大量に摂取するとグリチルリチン酸の大量摂取につながり偽アルドステロン症を起こすおそれがあるため、むくみ、心臓病、腎臓病又は高血圧のある人や高齢者に1日最大服用量がカンゾウ(原生薬換算)として1g以上の製品を使用する場合は相談が必要とされ、どのような人が対象であっても1日最大服用量が1g以上となる製品は長期連用を避ける。甘草湯は構成生薬がカンゾウのみからなる漢方処方製剤で、体力に関わらず使用でき、激しい咳、咽喉痛、口内炎、しわがれ声に用いられるが、短期間の服用に止め連用しないこととされており、5〜6回使用しても咳や喉の痛みが鎮まらない場合には、いったん使用を中止し医師の診療を受けるなどの対応が必要である。
鎮咳去痰薬に配合される生薬成分は基原と作用の対応が問われる。キョウニン(バラ科のホンアンズ、アンズ等の種子)は体内で分解されて生じた代謝物の一部が延髄の呼吸中枢、咳嗽中枢を鎮静させる作用を示すとされる。ナンテンジツ(メギ科のシロミナンテン又はナンテンの果実)は知覚神経・末梢運動神経に作用して咳止めに効果があるとされる。ゴミシ(マツブサ科のチョウセンゴミシの果実)は鎮咳作用を期待して用いられる。去痰作用を期待して用いられるのはシャゼンソウ(オオバコ科のオオバコの花期の全草)、オウヒ(バラ科のヤマザクラ又はカスミザクラの樹皮)、セネガ(ヒメハギ科のセネガ又はヒロハセネガの根)、オンジ(ヒメハギ科のイトヒメハギの根及び根皮)、セキサン(ヒガンバナ科のヒガンバナ鱗茎、エキスは別名を白色濃厚セキサノールという)である。キキョウ(キキョウ科のキキョウの根)は痰又は痰を伴う咳に用いられ、バクモンドウ(ユリ科のジャノヒゲの根の膨大部)は鎮咳、去痰、滋養強壮等の作用を期待して用いられる。セネガ・オンジは摂取により糖尿病の検査値に影響を生じることがあり、1日最大配合量がセネガ原生薬として1.2g以上、又はオンジとして1g以上を含有する製品では、使用上の注意において成分及び分量に関連する注意として記載されている。咳止めや痰を出しやすくする漢方処方製剤には甘草湯のほか半夏厚朴湯、柴朴湯、麦門冬湯、五虎湯、麻杏甘石湯、神秘湯があり、半夏厚朴湯を除くいずれもカンゾウを含み、五虎湯・麻杏甘石湯・神秘湯はマオウを含む。
口腔咽喉薬は、口腔内又は咽頭部の粘膜に局所的に作用して炎症による痛み、腫れ等の症状の緩和を主たる目的とするもので、鎮咳成分や気管支拡張成分、去痰成分は配合されていない。含嗽薬(うがい薬)は、口腔及び咽頭の殺菌・消毒・洗浄、口臭の除去等を目的として、用時水に希釈又は溶解してうがいに用いる外用液剤である。トローチ剤やドロップ剤は口中に含み、噛まずにゆっくり溶かすようにして使用されることが重要で、噛み砕いて飲み込んでしまうと効果は期待できない。噴射式の液剤では、息を吸いながら噴射すると気管支や肺に入ってしまうおそれがあるため、軽く息を吐きながら噴射することが望ましい。含嗽薬は調製した濃度が濃すぎても薄すぎても効果が十分得られず、一般的に薬液を10〜20mL程度口に含み、顔を上向きにして咽頭の奥まで薬液が行き渡るようにガラガラを繰り返してから吐き出し、それを数回繰り返すのが効果的なうがいの仕方とされる。含嗽薬の使用後すぐに食事を摂ると、殺菌消毒効果が薄れやすい。
口腔咽喉薬・含嗽薬の配合成分としては、抗炎症成分のグリチルリチン酸二カリウム、トラネキサム酸のほか、炎症を生じた粘膜組織の修復を促すアズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)、殺菌消毒成分のセチルピリジニウム塩化物、デカリニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、ポビドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩、チモール等が用いられる。ヨウ素系殺菌消毒成分又はクロルヘキシジングルコン酸塩若しくはクロルヘキシジン塩酸塩が配合されたものでは、まれにショック(アナフィラキシー)のような全身性の重篤な副作用を生じることがあり、これらの成分に対するアレルギーの既往歴がある人では使用を避ける必要がある。ヨウ素系殺菌消毒成分が口腔内に使用される場合、結果的にヨウ素の摂取につながり、甲状腺におけるホルモン産生に影響を及ぼす可能性があるため、バセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患の診断を受けた人では相談がなされるべきである。ポビドンヨードが配合された含嗽薬では、その使用によって銀を含有する歯科材料が変色することがある。また、ヨウ素はレモン汁やお茶などに含まれるビタミンC等の成分と反応すると脱色を生じて殺菌作用が失われるため、そうした食品を摂取した直後の使用や混合は避けることが望ましい。クロルヘキシジングルコン酸塩が配合された含嗽薬については、口腔内に傷やひどいただれのある人では強い刺激を生じるおそれがあるため使用を避ける必要がある。局所保護成分としてグリセリンが配合される場合があり、生薬成分では咽頭粘膜をひきしめる(収斂)作用のラタニア(クラメリア科)、収斂作用のほか抗菌作用も期待されるミルラ(カンラン科のミルラノキ等の樹脂)が挙げられている。喉の痛み等を鎮めることを目的とする漢方処方製剤には桔梗湯、駆風解毒散・駆風解毒湯、白虎加人参湯、響声破笛丸があり、いずれも構成生薬としてカンゾウを含む。
受診勧奨も繰り返し問われる。鎮咳去痰薬に解熱成分は配合されておらず発熱を鎮める効果は期待できないため、発熱を伴うときは呼吸器に細菌やウイルス等の感染を生じている可能性がある。咳がひどく痰に線状の血が混じることがある、又は黄色や緑色の膿性の痰を伴うような場合には早めに医療機関を受診することが望ましい。痰を伴わない乾いた咳が続く場合には間質性肺炎等の初期症状である可能性があり、その原因が医薬品の副作用によることもある。咳や痰、息切れ等の症状が長期間にわたっている場合には慢性気管支炎や肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)の可能性があり、喫煙に伴う症状のため鎮咳去痰薬を漫然と長期間にわたって使用することは適当でない。喘息については、一時的に症状を抑えることができたとしてもしばらくすると発作が繰り返し現れ、喘息発作が重積すると生命に関わる呼吸困難につながることもあるため、早期に医療機関での診療を受けるなどの対応が必要である。口腔咽喉薬・含嗽薬では、飲食物を飲み込むときに激しい痛みを感じるような場合には扁桃蜂巣炎や扁桃膿瘍などを生じている可能性もあり、また喉を酷使したりしていないにもかかわらず症状が数週間以上続く場合には喉頭癌等の重大な疾患が原因となっている可能性もあるとされている。
鎮咳去痰薬・口腔咽喉薬・含嗽薬の主な成分(成分名・分類・はたらき・注意)| 成分名 | 分類 | はたらき | 注意 |
|---|
| コデインリン酸塩水和物/ジヒドロコデインリン酸塩 | 麻薬性鎮咳成分 | 延髄の咳嗽中枢に作用して咳を抑える | 依存性。原則12歳未満の小児等には使用しない。便秘。授乳中は服用しないか授乳を避ける |
| デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物 | 非麻薬性鎮咳成分 | 咳嗽中枢に作用して咳を抑える | フェノールフタリン酸デキストロメトルファンは主にトローチ剤・ドロップ剤に配合される |
| ノスカピン/チペピジンヒベンズ酸塩/クロペラスチン塩酸塩 | 非麻薬性鎮咳成分 | 咳嗽中枢に作用して咳を抑える | — |
| ハンゲ | 生薬(鎮咳) | サトイモ科のカラスビシャクのコルク層を除いた塊茎。中枢性の鎮咳作用 | — |
| メチルエフェドリン塩酸塩/メトキシフェナミン塩酸塩等 | アドレナリン作動成分(気管支拡張) | 交感神経系を刺激して気管支を拡張させる | 心臓病・高血圧・糖尿病・甲状腺機能亢進症の診断を受けた人は相談。メチルエフェドリンは依存性がある |
| マオウ | 生薬(気管支拡張) | マオウ科の植物の地上茎。気管支拡張のほか発汗促進、利尿 | 依存性。上記と同じ基礎疾患のある人は相談。高齢者は慎重に使用 |
| ジプロフィリン等 | キサンチン系成分 | 自律神経系を介さず気管支の平滑筋に直接作用して弛緩させる | 甲状腺機能障害又はてんかんの診断を受けた人は相談。心臓刺激作用により動悸 |
| グアイフェネシン/グアヤコールスルホン酸カリウム等 | 去痰成分 | 気道粘膜からの粘液の分泌を促進する | — |
| エチルシステイン塩酸塩/カルボシステイン等 | 去痰成分 | 痰の中の粘性タンパク質を溶解・低分子化。カルボシステインは粘液成分の含量比も調整 | — |
| ブロムヘキシン塩酸塩 | 去痰成分 | 分泌促進・溶解低分子化・線毛運動促進の作用を示す | — |
| カンゾウ | 生薬(抗炎症) | グリチルリチン酸による抗炎症作用のほか、気道粘膜からの粘液分泌を促す | 1日最大服用量が原生薬換算1g以上の製品は長期連用を避ける。偽アルドステロン症に留意 |
| キョウニン | 生薬(鎮咳) | バラ科のホンアンズ、アンズ等の種子。代謝物が延髄の呼吸中枢、咳嗽中枢を鎮静 | — |
| ナンテンジツ | 生薬(鎮咳) | メギ科のシロミナンテン等の果実。知覚神経・末梢運動神経に作用して咳止め | — |
| ゴミシ | 生薬(鎮咳) | マツブサ科のチョウセンゴミシの果実。鎮咳作用 | — |
| シャゼンソウ | 生薬(去痰) | オオバコ科のオオバコの花期の全草。去痰作用 | 日本薬局方収載のものは煎薬として咳に対して用いられる |
| オウヒ | 生薬(去痰) | バラ科のヤマザクラ又はカスミザクラの樹皮。去痰作用 | — |
| キキョウ | 生薬(去痰) | キキョウ科のキキョウの根。痰又は痰を伴う咳に用いられる | — |
| セネガ/オンジ | 生薬(去痰) | ヒメハギ科の植物を基原とする生薬。去痰作用 | 糖尿病の検査値に影響を生じることがあり、セネガ原生薬1.2g以上又はオンジ1g以上を含有する製品では注意が記載される |
| セキサン | 生薬(去痰) | ヒガンバナ科のヒガンバナ鱗茎。エキスは別名を白色濃厚セキサノールという | — |
| バクモンドウ | 生薬(鎮咳去痰) | ユリ科のジャノヒゲの根の膨大部。鎮咳、去痰、滋養強壮等 | — |
| セチルピリジニウム塩化物等 | 殺菌消毒成分 | 口腔内及び咽頭部において局所的に細菌等を死滅させ増殖を抑える | 噛み砕いて飲み込むと殺菌消毒作用は期待できない |
| ポビドンヨード/ヨウ化カリウム/ヨウ素 | ヨウ素系殺菌消毒成分 | 口腔内や喉の殺菌・消毒 | 甲状腺疾患の診断を受けた人は相談。ビタミンCと反応して脱色し殺菌作用が失われる。銀を含有する歯科材料が変色することがある |
| クロルヘキシジングルコン酸塩 | 殺菌消毒成分 | 口腔内や喉の殺菌・消毒 | 口腔内に傷やひどいただれのある人は使用を避ける。まれにショック(アナフィラキシー) |
| アズレンスルホン酸ナトリウム | 抗炎症成分(組織修復) | 炎症を生じた粘膜組織の修復を促す | — |
| グリセリン | 局所保護成分 | 喉の粘膜を刺激から保護する | 複方ヨード・グリセリンはヨウ化カリウム等を加えたもので喉の患部に塗布して用いる |
| ラタニア | 生薬(口腔咽喉薬) | クラメリア科の根。咽頭粘膜をひきしめる(収斂)作用 | — |
| ミルラ | 生薬(口腔咽喉薬) | カンラン科のミルラノキ等の樹脂。収斂作用のほか抗菌作用 | — |
用語
- 咳嗽中枢
- 延髄にある、咳を引き起こす中枢。気管や気管支の異変による刺激が中枢神経系に伝わり、この咳嗽中枢の働きによって咳という反応が引き起こされるとされている。
- 麻薬性鎮咳成分
- コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩のこと。作用本体のコデイン、ジヒドロコデインがモルヒネと同じ基本構造を持ち依存性がある。原則12歳未満の小児等には使用しないこととされている。
- 非麻薬性鎮咳成分
- ノスカピン、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、チペピジンヒベンズ酸塩、ジメモルファンリン酸塩、クロペラスチン塩酸塩等の呼称。咳嗽中枢に作用して咳を抑えるが、麻薬性鎮咳成分と区別される。
- 白色濃厚セキサノール
- セキサン(ヒガンバナ科のヒガンバナ鱗茎を基原とする生薬)のエキスの別名。セキサンは去痰作用を期待して鎮咳去痰薬に配合される生薬成分で、手引きでは基原と作用、この別名があわせて示されている。
- 含嗽薬
- うがい薬のこと。口腔及び咽頭の殺菌・消毒・洗浄、口臭の除去等を目的として、用時水に希釈又は溶解してうがいに用いる、又は患部に塗布した後に水でうがいする外用液剤とされている。
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 慢性気管支炎や肺気腫などを含む疾患。咳や痰、息切れ等の症状が長期間にわたっている場合に可能性が挙げられ、喫煙がリスク要因の一つとして指摘されている。
例題
例題:去痰成分の作用の仕組みを3つに分けて説明せよ。
答えと考え方 手引きでは、気道粘膜からの粘液の分泌を促進するもの(グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、クレゾールスルホン酸カリウム等)、痰の中の粘性タンパク質を溶解・低分子化して粘性を減少させるもの(エチルシステイン塩酸塩、メチルシステイン塩酸塩、カルボシステイン等)、粘液成分の含量比を調整し痰の切れを良くするもの(カルボシステイン)に分けられ、さらにブロムヘキシン塩酸塩は分泌促進・溶解低分子化・線毛運動促進の作用を示すとされている。
例題:カンゾウについて、長期連用を避けるとされる1日最大服用量はいくらか。
答えと考え方 1日最大服用量がカンゾウ(原生薬換算)として1g以上となる製品は、どのような人が対象であっても長期連用を避けるとされている。かぜ薬の項でのグリチルリチン酸としての40mg以上という値と混同しないよう区別して覚えたい。
例題:含嗽薬の効果的な使い方として手引きに示されている内容は何か。
答えと考え方 一般的に、薬液を10〜20mL程度口に含み、顔を上向きにして咽頭の奥まで薬液が行き渡るようにガラガラを繰り返してから吐き出し、それを数回繰り返すのが効果的なうがいの仕方とされる。調製した濃度が濃すぎても薄すぎても効果が十分得られず、使用後すぐに食事を摂ると殺菌消毒効果が薄れやすいとされている。
出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅱ 呼吸器官に作用する薬 1 咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)/2 口腔咽喉薬、うがい薬(含嗽薬)
確認問題(30問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|かぜの基本
かぜ及びかぜ薬に関する記述として、正しいものはどれか。
- かぜの約8割はウイルスの感染が原因であるが、それ以外に細菌の感染や、まれに冷気や乾燥、アレルギーのような非感染性の要因による場合もある。
- かぜ薬は、ウイルスの増殖を抑えたり、ウイルスを体内から除去したりする作用を有する医薬品である。
- インフルエンザ(流行性感冒)は、かぜと同様にウイルスの呼吸器感染によるものであるため、かぜと区別せずに扱われる。
- 急激な発熱を伴う場合や、症状が4日以上続くときは、かぜである可能性が高いとされている。
正解と解説
正解:A. かぜの約8割はウイルスの感染が原因であるが、それ以外に細菌の感染や、まれに冷気や乾燥、アレルギーのような非感染性の要因による場合もある。手引きでは、かぜの約8割はウイルスの感染が原因であるが、それ以外に細菌の感染や、まれに冷気や乾燥、アレルギーのような非感染性の要因による場合もあるとされている。かぜ薬はウイルスの増殖を抑えたり除去したりするものではなく諸症状の緩和を図る対症療法薬である。インフルエンザは感染力が強く重症化しやすいため、かぜとは区別して扱われる。急激な発熱を伴う場合や症状が4日以上続くとき、又は症状が重篤なときは、かぜ「ではない」可能性が高いとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 1 かぜ薬
問2|かぜ薬成分
かぜ薬に配合される成分とその分類に関する記述として、誤っているものはどれか。
- トラネキサム酸は、体内での起炎物質の産生を抑制することで炎症の発生を抑え、腫れを和らげる抗炎症成分である。
- グアイフェネシンは、痰の切れを良くすることを目的として配合される去痰成分である。
- メチルエフェドリン塩酸塩は、くしゃみや鼻汁を抑えることを目的として配合される抗ヒスタミン成分である。
- ベラドンナ総アルカロイドは、抗コリン作用によって鼻汁分泌やくしゃみを抑えることを目的として配合される。
正解と解説
正解:C. メチルエフェドリン塩酸塩は、くしゃみや鼻汁を抑えることを目的として配合される抗ヒスタミン成分である。メチルエフェドリン塩酸塩は、鼻粘膜の充血を和らげ、気管・気管支を拡げることを目的として配合されるアドレナリン作動成分であり、抗ヒスタミン成分ではない。抗ヒスタミン成分にはクロルフェニラミンマレイン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、メキタジン等がある。トラネキサム酸の作用、グアイフェネシンが去痰成分であること、ベラドンナ総アルカロイドが抗コリン作用で鼻汁分泌やくしゃみを抑えることは、いずれも手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 1 かぜ薬
問3|グリチルリチン
かぜ薬に配合されるグリチルリチン酸二カリウムに関する記述として、正しいものはどれか。
- グリチルリチン酸二カリウムの作用本体であるグリチルリチン酸は、化学構造がビタミン様物質に類似している。
- どのような人が対象であっても、1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上となる製品は長期連用を避けることとされている。
- 医薬品では、グリチルリチン酸としての1日摂取量が40mgを超えないよう用量が定められている。
- グリチルリチン酸を大量に摂取すると、無菌性髄膜炎を生じるおそれがある。
正解と解説
正解:B. どのような人が対象であっても、1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上となる製品は長期連用を避けることとされている。手引きでは、どのような人が対象であっても1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上となる製品は長期連用を避けるとされている。グリチルリチン酸の化学構造が類似しているのはステロイド性抗炎症成分である。医薬品ではグリチルリチン酸としての1日摂取量が200mgを超えないよう用量が定められている。大量摂取で生じるおそれがあるのは偽アルドステロン症であり、無菌性髄膜炎はイブプロフェンで生じることがある副作用である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 1 かぜ薬
問4|かぜの漢方
かぜの症状の緩和に用いられる漢方処方製剤に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 葛根湯は、体力中等度以上のものの感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛等に適すとされる。
- 桂枝湯は、体力虚弱で、汗が出るもののかぜの初期に適すとされる。
- 半夏厚朴湯は、構成生薬としてカンゾウを含む。
- 麻黄湯のほか、葛根湯と小青竜湯には、構成生薬としてマオウを含む。
正解と解説
正解:C. 半夏厚朴湯は、構成生薬としてカンゾウを含む。手引きでは、かぜ薬に配合される漢方処方成分等として挙げられた9処方のうち、半夏厚朴湯を「除く」いずれもが構成生薬としてカンゾウを含むとされており、半夏厚朴湯はカンゾウを含まない。葛根湯と桂枝湯のしばり(証)の記述、およびマオウを含むのが麻黄湯のほか葛根湯と小青竜湯であることは、いずれも手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 1 かぜ薬
問5|小柴胡湯
小柴胡湯に関する記述として、正しいものはどれか。
- 小柴胡湯は、麻黄湯や葛根湯、小青竜湯と同様に、構成生薬としてマオウを含む漢方処方製剤である。
- 小柴胡湯は、インターフェロン製剤で治療を受けている人では、間質性肺炎の副作用が現れるおそれが高まるため、使用を避ける必要があるとされている。
- 小柴胡湯は、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)に特に適するとされ、体力が充実している人には不向きであるとされている漢方処方製剤である。
- 小柴胡湯の重篤な副作用として知られているのは、うっ血性心不全や心室頻拍であり、まれに間質性肺炎や肝機能障害が生じることはない。
正解と解説
正解:B. 小柴胡湯は、インターフェロン製剤で治療を受けている人では、間質性肺炎の副作用が現れるおそれが高まるため、使用を避ける必要があるとされている。手引きでは、小柴胡湯についてインターフェロン製剤で治療を受けている人では間質性肺炎の副作用が現れるおそれが高まるため使用を避ける必要があるとされ、肝臓病の診断を受けた人では相談が必要とされている。マオウを含むのは麻黄湯、葛根湯、小青竜湯である。小柴胡湯は体の虚弱な人には「不向き」とされる。うっ血性心不全や心室頻拍が知られているのは芍薬甘草湯であり、小柴胡湯でまれに生じる重篤な副作用は間質性肺炎、肝機能障害である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 1 かぜ薬
問6|解熱の仕組み
解熱鎮痛成分の作用に関する記述として、誤っているものはどれか。
- プロスタグランジンは、体温を通常よりも高く維持するように調節するほか、炎症の発生にも関与する。
- 解熱に関しては、腎臓における水分の再吸収を促して循環血流量を増し、発汗を促進する作用も寄与している。
- 末梢におけるプロスタグランジンの産生抑制は腎血流量を増加させるため、腎機能に障害があってもその症状が悪化するおそれはない。
- プロスタグランジンの胃酸分泌調節作用や胃腸粘膜保護作用が妨げられると、胃酸分泌が増加するとともに胃壁の血流量が低下して、胃粘膜障害を起こしやすくなる。
正解と解説
正解:C. 末梢におけるプロスタグランジンの産生抑制は腎血流量を増加させるため、腎機能に障害があってもその症状が悪化するおそれはない。手引きでは、末梢におけるプロスタグランジンの産生抑制は腎血流量を「減少」させるため、腎機能に障害があるとその症状を悪化させる可能性があるとされている。プロスタグランジンが体温を高く維持するよう調節し炎症にも関与すること、解熱に腎臓での水分再吸収促進による循環血流量増加と発汗促進が寄与すること、胃粘膜障害を起こしやすくなることは、いずれも手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 2 解熱鎮痛薬
問7|アスピリン
サリチル酸系解熱鎮痛成分に関する記述として、正しいものはどれか。
- アスピリンは、他の解熱鎮痛成分に比較して胃腸障害を起こしにくいとされている成分である。
- エテンザミド及びサリチルアミドについては、水痘(水疱瘡)又はインフルエンザにかかっている15歳未満の小児に対しては使用を避ける必要がある。
- アスピリン(アスピリンアルミニウムを含む)は、一般用医薬品においても、15歳未満の小児であれば用量を減らすことで使用することができる。
- アスピリンは、出産予定日4週間以内の妊婦については使用を避けることとされている。
正解と解説
正解:B. エテンザミド及びサリチルアミドについては、水痘(水疱瘡)又はインフルエンザにかかっている15歳未満の小児に対しては使用を避ける必要がある。手引きでは、エテンザミド及びサリチルアミドについては水痘(水疱瘡)又はインフルエンザにかかっている15歳未満の小児に対して使用を避ける必要があるとされている。アスピリンは他の解熱鎮痛成分に比較して胃腸障害を起こし「やすい」。アスピリン(アスピリンアルミニウムを含む)、サザピリン及びサリチル酸ナトリウムは、ライ症候群の発生が示唆されていることから15歳未満の小児にはいかなる場合も一般用医薬品として使用してはならない。アスピリンが避けるのは出産予定日「12週間」以内の使用である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 2 解熱鎮痛薬
問8|アセトアミノフェン
アセトアミノフェンに関する記述として、正しいものはどれか。
- 主として中枢作用によって解熱・鎮痛をもたらすため、末梢における抗炎症作用は期待できない。
- 他の解熱鎮痛成分に比べて胃腸障害を起こしやすいため、いかなる場合も空腹時の服用は認められていない。
- 一般用医薬品においては、15歳未満の小児に対してはいかなる場合も使用してはならないこととされている。
- 内服薬としてのみ用いられ、坐薬として用いられる製品はない。
正解と解説
正解:A. 主として中枢作用によって解熱・鎮痛をもたらすため、末梢における抗炎症作用は期待できない。手引きでは、アセトアミノフェンは主として中枢作用によって解熱・鎮痛をもたらすため末梢における抗炎症作用は期待できないとされている。その分、他の解熱鎮痛成分のような胃腸障害は少なく空腹時に服用できる製品もあるが、食後の服用が推奨されている。15歳未満の小児にいかなる場合も使用してはならないとされているのはアスピリン等やイブプロフェンである。専ら小児の解熱に用いる製品としてアセトアミノフェンが配合された坐薬もある。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 2 解熱鎮痛薬
問9|イブプロフェン
イブプロフェンに関する記述として、誤っているものはどれか。
- 一般用医薬品においては、ライ症候群の発生が示唆されていることから、15歳未満の小児に対してはいかなる場合も使用してはならないこととされている。
- 胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎又はクローン病といった消化管に広範に炎症を生じる疾患の既往歴がある人では、症状の悪化やそれら疾患の再発を招くおそれがある。
- 出産予定日12週以内の妊婦については、服用しないこととされている。
- まれに重篤な副作用として無菌性髄膜炎を生じることがあるが、全身性エリテマトーデス又は混合性結合組織病のある人ではむしろ生じにくいとされている。
正解と解説
正解:D. まれに重篤な副作用として無菌性髄膜炎を生じることがあるが、全身性エリテマトーデス又は混合性結合組織病のある人ではむしろ生じにくいとされている。手引きでは、イブプロフェンは全身性エリテマトーデス又は混合性結合組織病のある人において無菌性髄膜炎を生じ「やすい」ため、使用する前にその適否につき医師又は薬剤師に相談するなどの対応が必要とされている。15歳未満の小児にいかなる場合も使用してはならないこと、消化管に広範に炎症を生じる疾患の既往歴がある人で再発を招くおそれがあること、出産予定日12週以内の妊婦は服用しないこととされていることは、いずれも手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 2 解熱鎮痛薬
問10|受診勧奨
かぜ薬・解熱鎮痛薬の受診勧奨等に関する記述として、正しいものはどれか。
- 通常、体温が38℃以下であればひきつけや著しい体力消耗等のおそれはなく、平熱になるまで解熱鎮痛薬を用いる必要はないとされている。
- 解熱鎮痛薬は、症状が現れないうちに予防的に使用することが望ましいとされている。
- 発熱が1週間以上続いているような場合であっても、かぜ以外の感染症やその他の重大な病気が原因となっている可能性を考える必要はない。
- かぜ薬は、2歳未満の乳幼児に対しては、医師の診断を受けさせるよりも先に服用させることとされている。
正解と解説
正解:A. 通常、体温が38℃以下であればひきつけや著しい体力消耗等のおそれはなく、平熱になるまで解熱鎮痛薬を用いる必要はないとされている。手引きでは、通常、体温が38℃以下であればひきつけや著しい体力消耗等のおそれはなく、平熱になるまで解熱鎮痛薬を用いる必要はないとされている。解熱鎮痛薬は症状が軽いうちに服用すると効果的だが、症状が現れないうちに予防的に使用することは適切でない。発熱が1週間以上続いている場合は、かぜ以外の感染症やその他の重大な病気が原因となっている可能性がある。かぜ薬について2歳未満の乳幼児には、医師の診断を受けさせることを優先し、止むを得ない場合にのみ服用させることとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 1 かぜ薬/2 解熱鎮痛薬
問11|睡眠改善薬
眠気を促す薬(催眠鎮静薬)に配合される抗ヒスタミン成分に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ヒスタミンは、脳の下部にある睡眠・覚醒に関与する部位で神経細胞の刺激を介して、覚醒の維持や調節を行う働きを担っている。
- ジフェンヒドラミン塩酸塩は、抗ヒスタミン成分の中でも特に中枢作用が強い。
- 抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬は、医療機関において不眠症の診断を受けている人を対象として用いられる。
- 妊娠中にしばしば生じる睡眠障害は、睡眠改善薬の適用対象ではない。
正解と解説
正解:C. 抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬は、医療機関において不眠症の診断を受けている人を対象として用いられる。手引きでは、抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬は睡眠改善薬として一時的な睡眠障害(寝つきが悪い、眠りが浅い)の緩和に用いられるものであり、慢性的に不眠症状がある人や、医療機関において不眠症の診断を受けている人を対象とするものではないとされている。ヒスタミンが覚醒の維持や調節を担うこと、ジフェンヒドラミン塩酸塩の中枢作用が特に強いこと、妊娠中の睡眠障害が適用対象でないことは、いずれも手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 3 眠気を促す薬
問12|鎮静成分
催眠鎮静薬の使用上の注意に関する記述として、正しいものはどれか。
- ブロモバレリル尿素は、脳の興奮を抑える作用を示すが、反復して摂取しても依存を生じることはない成分である。
- 小児及び若年者では抗ヒスタミン成分により眠気とは反対の神経過敏や中枢興奮などが現れることがあり、特に15歳未満の小児では、抗ヒスタミン成分を含有する睡眠改善薬の使用は避ける。
- アリルイソプロピルアセチル尿素は、脳の興奮を高め、痛覚を鋭敏にする作用があるため、少量の使用にとどめる必要がある。
- ブロモバレリル尿素は胎児への影響が否定されているため、妊婦又は妊娠していると思われる女性であっても、催眠鎮静薬として使用することを避ける必要はない。
正解と解説
正解:B. 小児及び若年者では抗ヒスタミン成分により眠気とは反対の神経過敏や中枢興奮などが現れることがあり、特に15歳未満の小児では、抗ヒスタミン成分を含有する睡眠改善薬の使用は避ける。手引きでは、小児及び若年者では抗ヒスタミン成分により眠気とは反対の神経過敏や中枢興奮などが現れることがあり、特に15歳未満の小児ではそうした副作用が起きやすいため睡眠改善薬の使用は避けるとされている。ブロモバレリル尿素とアリルイソプロピルアセチル尿素は、いずれも脳の興奮を「抑え」、痛覚を「鈍く」する作用があり、反復摂取により依存を生じることが知られている。ブロモバレリル尿素は胎児に障害を引き起こす可能性があるため、妊婦等は使用を避けるべきとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 3 眠気を促す薬
問13|鎮静生薬
鎮静作用を期待して催眠鎮静薬に配合される生薬成分に関する記述として、誤っているものはどれか。
- チョウトウコウは、アカネ科のカギカズラ等の通例とげを基原とする生薬である。
- サンソウニンは、クロウメモドキ科のサネブトナツメの種子を基原とする生薬である。
- カノコソウは、別名をパッシフローラといい、南米原産のトケイソウ科の植物である。
- 生薬成分のみからなる鎮静薬であっても、複数の鎮静薬の併用や長期連用は避けるべきとされている。
正解と解説
正解:C. カノコソウは、別名をパッシフローラといい、南米原産のトケイソウ科の植物である。手引きでは、カノコソウは別名を「キッソウコン」といい、オミナエシ科のカノコソウの根及び根茎を基原とする生薬とされている。別名をパッシフローラといい南米原産のトケイソウ科の植物であるのはチャボトケイソウである。チョウトウコウとサンソウニンの基原、および生薬のみからなる鎮静薬でも併用や長期連用を避けるべきであることは、いずれも手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 3 眠気を促す薬
問14|不眠の漢方
神経質、精神不安、不眠等の症状の改善を目的とした漢方処方製剤に関する記述として、正しいものはどれか。
- 酸棗仁湯は、1週間位服用して症状の改善がみられない場合には、漫然と服用を継続せず、医療機関を受診するなどの対応が必要とされている。
- 柴胡加竜骨牡蛎湯は、構成生薬としてカンゾウを含む。
- 抑肝散は、心不全を引き起こす可能性はないとされている。
- 桂枝加竜骨牡蛎湯は、体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴うものに適すとされる。
正解と解説
正解:A. 酸棗仁湯は、1週間位服用して症状の改善がみられない場合には、漫然と服用を継続せず、医療機関を受診するなどの対応が必要とされている。手引きでは、酸棗仁湯について1週間位服用して症状の改善がみられない場合は漫然と服用を継続せず医療機関を受診するなどの対応が必要とされている。この節の漢方処方製剤のうち柴胡加竜骨牡蛎湯「以外」がカンゾウを含み、柴胡加竜骨牡蛎湯はダイオウを含む。抑肝散は心不全を引き起こす可能性があるとされている。体力中等度以上で動悸、不眠、便秘などを伴うものに適すとされるのは柴胡加竜骨牡蛎湯であり、桂枝加竜骨牡蛎湯は体力中等度以下で疲れやすく神経過敏で興奮しやすいものに適すとされる。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 3 眠気を促す薬
問15|カフェイン作用
眠気防止薬に配合されるカフェインの作用に関する記述として、誤っているものはどれか。
- カフェインには腎臓におけるナトリウムイオン(同時に水分)の再吸収抑制があり、尿量の増加(利尿)をもたらす。
- カフェインには心筋を抑制する作用があり、副作用として徐脈が現れることがある。
- カフェインには胃液分泌亢進作用があり、副作用として食欲不振、悪心・嘔吐等の胃腸障害が現れることがある。
- カフェインには、作用は弱いながら反復摂取により依存を形成するという性質がある。
正解と解説
正解:B. カフェインには心筋を抑制する作用があり、副作用として徐脈が現れることがある。手引きでは、カフェインには心筋を「興奮」させる作用があり、副作用として動悸が現れることがあるため、心臓病のある人は服用を避けるとされている。ナトリウムイオンの再吸収抑制による利尿作用、胃液分泌亢進作用による胃腸障害(このため胃酸過多の人や胃潰瘍のある人は服用を避ける)、反復摂取による依存形成の性質は、いずれも手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 4 眠気を防ぐ薬
問16|カフェイン量
眠気防止薬におけるカフェインの摂取量等に関する記述として、正しいものはどれか。
- 眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量はカフェインとして200mg、1日摂取量はカフェインとして500mgが上限とされている。
- 眠気防止薬におけるカフェインの1日摂取量は、カフェインとして200mgが上限とされている。
- カフェインには胃液分泌亢進作用があるものの、胃酸過多の人や胃潰瘍のある人であっても、眠気防止薬の服用を避ける必要はない。
- 摂取されたカフェインは乳汁中に移行しないため、授乳期間中の女性が大量に摂取した場合であっても、乳児への影響を考慮する必要はない。
正解と解説
正解:A. 眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量はカフェインとして200mg、1日摂取量はカフェインとして500mgが上限とされている。手引きでは、眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量はカフェインとして200mg、1日摂取量はカフェインとして500mgが上限とされている。胃液分泌亢進作用があるため胃酸過多の人や胃潰瘍のある人は服用を避けるとされている。摂取されたカフェインの一部は乳汁中に移行し、乳児は肝臓が未発達で代謝により多くの時間を要するため、授乳期間中は総摂取量が継続して多くならないよう留意するとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 4 眠気を防ぐ薬
問17|眠気防止薬
眠気防止薬の使用に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 成長期の小児の発育には睡眠が重要であることから小児用の眠気防止薬はなく、15歳未満の小児に使用されることがないよう注意が必要である。
- かぜ薬やアレルギー用薬などを使用したことによる眠気を抑えるために眠気防止薬を使用するのは適切ではない。
- 十分な睡眠をとっていても、眠気防止薬の使用では抑えられない眠気や倦怠感が続くような場合には、医療機関を受診するなどの対応が必要である。
- 細菌やウイルスなどに感染したときに生じる眠気は生体防御とは無関係であるため、眠気防止薬で抑えても差し支えない。
正解と解説
正解:D. 細菌やウイルスなどに感染したときに生じる眠気は生体防御とは無関係であるため、眠気防止薬で抑えても差し支えない。手引きでは、細菌やウイルスなどに感染したときに生じる眠気は発熱と同様、生体防御の重要な一端を担っている病態生理的反応であり、そのようなときに眠気防止薬で睡眠を妨げると病気の治癒を遅らせるおそれがあるとされている。小児用の眠気防止薬はなく15歳未満の小児に使用されないよう注意すること、他の医薬品による眠気を抑える目的での使用が適切でないこと、抑えられない眠気や倦怠感が続く場合の受診勧奨は、いずれも手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 4 眠気を防ぐ薬
問18|乗物酔い成分
乗物酔い防止薬に配合される成分に関する記述として、正しいものはどれか。
- ジメンヒドリナートは、専ら乗物酔い防止薬に配合される抗コリン成分の一般名である。
- ジフェニドール塩酸塩は、内耳にある前庭と脳を結ぶ神経(前庭神経)の調節作用のほか、内耳への血流を改善する作用を示す。
- メクリジン塩酸塩は、他の抗ヒスタミン成分と比べて作用が現れるのが速く、持続時間が短いことを特徴とする抗ヒスタミン成分である。
- スコポラミン臭化水素酸塩水和物は肝臓での代謝が遅いため、他の抗ヒスタミン成分等と比べて作用の持続時間が長い。
正解と解説
正解:B. ジフェニドール塩酸塩は、内耳にある前庭と脳を結ぶ神経(前庭神経)の調節作用のほか、内耳への血流を改善する作用を示す。手引きでは、ジフェニドール塩酸塩は内耳にある前庭と脳を結ぶ神経(前庭神経)の調節作用のほか、内耳への血流を改善する作用を示すとされている。ジメンヒドリナートはジフェンヒドラミンテオクル酸塩の一般名で、専ら乗物酔い防止薬に配合される「抗ヒスタミン成分」である。メクリジン塩酸塩は作用が現れるのが「遅く」持続時間が「長い」。スコポラミン臭化水素酸塩水和物は肝臓で速やかに代謝されるため、抗ヒスタミン成分等と比べて作用の持続時間は「短い」。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 5 鎮暈薬(乗物酔い防止薬)
問19|鎮暈薬の注意
乗物酔い防止薬の使用上の注意に関する記述として、誤っているものはどれか。
- プロメタジン塩酸塩等のプロメタジンを含む成分については、外国において致命的な呼吸抑制を生じたとの報告があるため、15歳未満の小児では使用を避ける必要がある。
- アミノ安息香酸エチルが配合されている場合には、6歳未満への使用は避ける必要がある。
- 3歳未満では乗物酔いが起こることはほとんどないとされ、乗物酔い防止薬に3歳未満の乳幼児向けの製品はない。
- 乗物酔い防止薬には主として吐きけを抑えることを目的とした成分も配合されるため、つわりに伴う吐きけへの対処として使用することが適当とされている。
正解と解説
正解:D. 乗物酔い防止薬には主として吐きけを抑えることを目的とした成分も配合されるため、つわりに伴う吐きけへの対処として使用することが適当とされている。手引きでは、乗物酔い防止薬には主として吐きけを抑えることを目的とした成分も配合されるが、つわりに伴う吐きけへの対処として使用することは「適当でない」とされている。プロメタジンを含む成分は乳児突然死症候群等の報告から15歳未満の小児では使用を避けること、アミノ安息香酸エチルは6歳未満への使用を避けること、3歳未満では乗物酔いが起こることはほとんどなく3歳未満向けの製品はないことは、いずれも手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 5 鎮暈薬(乗物酔い防止薬)
問20|小児の疳
小児の疳を適応症とする生薬製剤・漢方処方製剤に関する記述として、正しいものはどれか。
- レイヨウカクは、ウシ科のサイカレイヨウ(高鼻レイヨウ)等の角を基原とする生薬で、緊張や興奮を鎮める作用等を期待して用いられる。
- ジンコウは、ジンチョウゲ科のジンコウ等の材を基原とする生薬で、瀉下作用を期待して用いられる。
- 漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合には、生後3ヶ月未満の乳児であっても使用することができる。
- 小児鎮静薬は、保護者側の安眠等を図ることを優先して使用することが推奨されている。
正解と解説
正解:A. レイヨウカクは、ウシ科のサイカレイヨウ(高鼻レイヨウ)等の角を基原とする生薬で、緊張や興奮を鎮める作用等を期待して用いられる。手引きでは、レイヨウカクはウシ科のサイカレイヨウ(高鼻レイヨウ)等の角を基原とする生薬で、緊張や興奮を鎮める作用等を期待して用いられるとされている。ジンコウは鎮静、健胃、強壮などの作用を期待して用いられる。漢方処方製剤は、適用年齢の下限が設けられていない場合にあっても生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこととなっている。小児鎮静薬を保護者側の安眠等を図ることを優先して使用することは適当でないとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅰ 精神神経に作用する薬 6 小児の疳を適応症とする生薬製剤・漢方処方製剤
問21|鎮咳成分
鎮咳去痰薬に配合される鎮咳成分に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 咳は、気管や気管支に何らかの異変が起こったときに、その刺激が中枢神経系に伝わり、延髄にある咳嗽中枢の働きによって引き起こされる反応である。
- コデインリン酸塩水和物及びジヒドロコデインリン酸塩は、麻薬性鎮咳成分とも呼ばれる。
- デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物は、麻薬性鎮咳成分に分類される。
- ハンゲは、サトイモ科のカラスビシャクのコルク層を除いた塊茎を基原とする生薬で、中枢性の鎮咳作用を示す。
正解と解説
正解:C. デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物は、麻薬性鎮咳成分に分類される。手引きでは、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物はノスカピンやチペピジンヒベンズ酸塩等とともに「非麻薬性鎮咳成分」とも呼ばれるとされている。麻薬性鎮咳成分と呼ばれるのは、作用本体がモルヒネと同じ基本構造を持つコデインリン酸塩水和物とジヒドロコデインリン酸塩である。咳嗽中枢が延髄にあること、ハンゲの基原と中枢性の鎮咳作用は、いずれも手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅱ 呼吸器官に作用する薬 1 咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)
問22|コデイン類
コデインリン酸塩水和物及びジヒドロコデインリン酸塩に関する記述として、正しいものはどれか。
- 胃腸の運動を亢進させる作用を示し、副作用として下痢が現れることがある。
- 小児の呼吸抑制発生リスクを低減する観点から、原則、これらを含む医薬品を12歳未満の小児等に使用しないよう注意喚起を行うこととされた。
- 妊娠中に摂取された場合であっても、吸収された成分の一部が血液-胎盤関門を通過して胎児へ移行することはない。
- 母乳中に移行することはないため、授乳中の人であっても問題なく服用することができる。
正解と解説
正解:B. 小児の呼吸抑制発生リスクを低減する観点から、原則、これらを含む医薬品を12歳未満の小児等に使用しないよう注意喚起を行うこととされた。手引きでは、コデイン類による小児の呼吸抑制発生リスクを可能な限り低減する観点から、原則、本剤を12歳未満の小児等に使用しないよう注意喚起を行うこと等の予防的な措置がとられたとされている。コデイン類は胃腸の運動を「低下」させる作用を示し、副作用として便秘が現れることがある。妊娠中に摂取された場合、吸収された成分の一部は血液-胎盤関門を通過して胎児へ移行することが知られている。母乳移行により乳児でモルヒネ中毒が生じたとの報告があり、授乳中の人は服用しないか授乳を避ける必要がある。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅱ 呼吸器官に作用する薬 1 咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)
問23|気管支拡張
鎮咳去痰薬に配合される気管支拡張成分に関する記述として、誤っているものはどれか。
- メチルエフェドリン塩酸塩等のアドレナリン作動成分は、交感神経系を刺激して気管支を拡張させる作用を示す。
- マオウは、マオウ科の植物の地上茎を基原とする生薬で、気管支拡張のほか、発汗促進、利尿等の作用も期待される。
- ジプロフィリン等のキサンチン系成分は、自律神経系を介して気管支の平滑筋を弛緩させることで気管支を拡張させる。
- アドレナリン作動成分及びマオウについては、心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能亢進症の診断を受けた人では、使用する前にその適否につき医師又は薬剤師に相談がなされるべきである。
正解と解説
正解:C. ジプロフィリン等のキサンチン系成分は、自律神経系を介して気管支の平滑筋を弛緩させることで気管支を拡張させる。手引きでは、ジプロフィリン等のキサンチン系成分は「自律神経系を介さずに」気管支の平滑筋に直接作用して弛緩させ、気管支を拡張させる成分とされている。なお、キサンチン系成分は甲状腺機能障害又はてんかんの診断を受けた人では相談が必要とされる。アドレナリン作動成分が交感神経系を刺激して気管支を拡張させること、マオウの基原と作用、心臓病等の基礎疾患がある人での相談は、いずれも手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅱ 呼吸器官に作用する薬 1 咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)
問24|去痰成分
鎮咳去痰薬に配合される去痰成分に関する記述として、正しいものはどれか。
- グアイフェネシンは、痰の中の粘性タンパク質を溶解・低分子化して粘性を減少させる作用を示す。
- カルボシステインは、粘液成分の含量比を調整し、痰の切れを良くする作用を示す。
- ブロムヘキシン塩酸塩は、気道粘膜からの粘液の分泌を抑制する作用のみを示す。
- エチルシステイン塩酸塩は、気道粘膜の線毛運動を抑制することで痰の切れを良くする。
正解と解説
正解:B. カルボシステインは、粘液成分の含量比を調整し、痰の切れを良くする作用を示す。手引きでは、カルボシステインは粘液成分の含量比を調整し痰の切れを良くするものとして挙げられている(痰の中の粘性タンパク質を溶解・低分子化する作用も示す)。グアイフェネシンは気道粘膜からの粘液の「分泌を促進」する作用を示す。ブロムヘキシン塩酸塩は分泌促進作用・溶解低分子化作用・線毛運動促進作用を示す。エチルシステイン塩酸塩は痰の中の粘性タンパク質を溶解・低分子化して粘性を減少させるものである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅱ 呼吸器官に作用する薬 1 咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)
問25|カンゾウ
鎮咳去痰薬に用いられるカンゾウに関する記述として、正しいものはどれか。
- カンゾウは、マメ科の植物の根及びストロンを基原とする生薬で、グリチルリチン酸による抗炎症作用のほか、気道粘膜からの粘液分泌を促す等の作用も期待される。
- 1日最大服用量がカンゾウ(原生薬換算)として10g以上となる製品については、偽アルドステロン症を生じるおそれがあるため長期連用を避けることとされている。
- 甘草湯は、構成生薬としてカンゾウとマオウの2種類からなる漢方処方製剤である。
- カンゾウは医薬品にのみ用いられる生薬であり、甘味料として一般食品等に用いられることはないため、グリチルリチン酸の総量に注意を促す必要もない。
正解と解説
正解:A. カンゾウは、マメ科の植物の根及びストロンを基原とする生薬で、グリチルリチン酸による抗炎症作用のほか、気道粘膜からの粘液分泌を促す等の作用も期待される。手引きでは、カンゾウはマメ科の植物の根及びストロン(ときには周皮を除いたもの)を基原とする生薬で、グリチルリチン酸による抗炎症作用のほか気道粘膜からの粘液分泌を促す等の作用も期待されるとされている。長期連用を避けるとされるのは1日最大服用量がカンゾウ(原生薬換算)として「1g」以上となる製品である。甘草湯は構成生薬がカンゾウ「のみ」からなる漢方処方製剤である。カンゾウは甘味料として一般食品等にも広く用いられるため、グリチルリチン酸の総量に注意を促すことが重要とされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅱ 呼吸器官に作用する薬 1 咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)
問26|鎮咳去痰生薬
鎮咳去痰薬に配合される生薬成分に関する記述として、誤っているものはどれか。
- キョウニンは、バラ科のホンアンズ、アンズ等の種子を基原とする生薬で、体内で分解されて生じた代謝物の一部が延髄の呼吸中枢、咳嗽中枢を鎮静させる作用を示すとされる。
- セキサンは、ヒガンバナ科のヒガンバナ鱗茎を基原とする生薬で、去痰作用を期待して用いられる。
- バクモンドウは、ユリ科のジャノヒゲの根の膨大部を基原とする生薬で、鎮咳、去痰、滋養強壮等の作用を期待して用いられる。
- ナンテンジツは、オオバコ科のオオバコの花期の全草を基原とする生薬で、去痰作用を期待して用いられる。
正解と解説
正解:D. ナンテンジツは、オオバコ科のオオバコの花期の全草を基原とする生薬で、去痰作用を期待して用いられる。手引きでは、ナンテンジツはメギ科のシロミナンテン(シロナンテン)又はナンテンの果実を基原とする生薬で、知覚神経・末梢運動神経に作用して咳止めに効果があるとされている。オオバコ科のオオバコの花期の全草を基原とし去痰作用を期待して用いられるのはシャゼンソウである。キョウニン、セキサン、バクモンドウの基原と作用は、いずれも手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅱ 呼吸器官に作用する薬 1 咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)
問27|セネガ・オンジ
セネガ及びオンジに関する記述として、正しいものはどれか。
- セネガ及びオンジは、いずれもヒメハギ科の植物を基原とする生薬で、去痰作用を期待して用いられる。
- これらの生薬成分の摂取により、血圧の検査値に影響を生じることがある。
- 1日最大配合量がセネガ原生薬として10g以上を含有する製品では、成分及び分量に関連する注意として記載されている。
- オンジは、キキョウ科の植物の根を基原とする生薬である。
正解と解説
正解:A. セネガ及びオンジは、いずれもヒメハギ科の植物を基原とする生薬で、去痰作用を期待して用いられる。手引きでは、セネガはヒメハギ科のセネガ又はヒロハセネガの根、オンジはヒメハギ科のイトヒメハギの根及び根皮を基原とする生薬で、いずれも去痰作用を期待して用いられるとされている。これらの摂取により影響を生じるのは「糖尿病」の検査値であり、糖尿病が改善したと誤認されるおそれがある。注意が記載されるのは1日最大配合量がセネガ原生薬として「1.2g」以上、又はオンジとして1g以上を含有する製品である。キキョウ科のキキョウの根を基原とする生薬はキキョウである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅱ 呼吸器官に作用する薬 1 咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)
問28|咳の受診勧奨
鎮咳去痰薬の受診勧奨等に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 鎮咳去痰薬に解熱成分は配合されておらず、発熱を鎮める効果は期待できない。
- 痰を伴わない乾いた咳が続く場合には、間質性肺炎等の初期症状である可能性がある。
- 咳や痰、息切れ等の症状が長期間にわたっている場合には、慢性気管支炎や肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)の可能性がある。
- 喘息発作が繰り返し現れる場合には、一般用医薬品の鎮咳去痰薬を継続して使用することが望ましい。
正解と解説
正解:D. 喘息発作が繰り返し現れる場合には、一般用医薬品の鎮咳去痰薬を継続して使用することが望ましい。手引きでは、喘息について気管支粘膜の炎症が慢性化していると鎮咳去痰薬で一時的に症状を抑えることができたとしてもしばらくすると発作が繰り返し現れ、喘息発作が重積すると生命に関わる呼吸困難につながることもあるため、一般用医薬品で対処を図るのでなく早期に医療機関での診療を受けるなどの対応が必要とされている。鎮咳去痰薬に解熱成分が配合されていないこと、乾いた咳が続く場合の間質性肺炎の可能性、長期にわたる咳・痰・息切れとCOPDの関係は、いずれも手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅱ 呼吸器官に作用する薬 1 咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)
問29|うがい薬
口腔咽喉薬・含嗽薬(うがい薬)の使い方に関する記述として、正しいものはどれか。
- トローチ剤やドロップ剤は、口の中で舐めてゆっくり溶かすのではなく、噛み砕いて飲み込むことによって有効成分が速やかに吸収され、効果が高まる。
- 噴射式の液剤では、薬液が咽頭の奥まで行き渡るように、息を大きく吸い込みながら噴射することが望ましい。
- 含嗽薬は、調製した薬液の濃度が濃いほど効果が高くなるため、水で希釈せずに使用するのがよい。
- 含嗽薬は、一般的に薬液を10〜20mL程度口に含み、顔を上向きにして咽頭の奥まで薬液が行き渡るようにガラガラを繰り返してから吐き出し、それを数回繰り返すのが効果的とされる。
正解と解説
正解:D. 含嗽薬は、一般的に薬液を10〜20mL程度口に含み、顔を上向きにして咽頭の奥まで薬液が行き渡るようにガラガラを繰り返してから吐き出し、それを数回繰り返すのが効果的とされる。手引きでは、含嗽薬の効果的なうがいの仕方として、薬液を10〜20mL程度口に含み、顔を上向きにして咽頭の奥まで薬液が行き渡るようにガラガラを繰り返してから吐き出し、それを数回繰り返すのが効果的とされている。トローチ剤やドロップ剤は噛まずにゆっくり溶かすことが重要で、噛み砕いて飲み込むと効果は期待できない。噴射式の液剤は、気管支や肺に入るおそれがあるため軽く息を吐きながら噴射することが望ましい。含嗽薬は調製した濃度が濃すぎても薄すぎても効果が十分得られない。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅱ 呼吸器官に作用する薬 2 口腔咽喉薬、うがい薬(含嗽薬)
問30|殺菌消毒成分
口腔咽喉薬・含嗽薬に配合される殺菌消毒成分に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ヨウ素系殺菌消毒成分が口腔内に使用される場合、結果的にヨウ素の摂取につながり、甲状腺におけるホルモン産生に影響を及ぼす可能性がある。
- ポビドンヨードが配合された含嗽薬では、その使用によって銀を含有する歯科材料(義歯等)が変色することがある。
- クロルヘキシジングルコン酸塩が配合された含嗽薬は、口腔内に傷やひどいただれのある人でも刺激が少なく、使用しやすいとされている。
- ヨウ素は、レモン汁やお茶などに含まれるビタミンC等の成分と反応すると脱色を生じて殺菌作用が失われる。
正解と解説
正解:C. クロルヘキシジングルコン酸塩が配合された含嗽薬は、口腔内に傷やひどいただれのある人でも刺激が少なく、使用しやすいとされている。手引きでは、クロルヘキシジングルコン酸塩が配合された含嗽薬については、口腔内に傷やひどいただれのある人では強い刺激を生じるおそれがあるため使用を避ける必要があるとされている。ヨウ素系殺菌消毒成分による甲状腺のホルモン産生への影響(甲状腺疾患の診断を受けた人は相談)、ポビドンヨードによる銀含有歯科材料の変色、ビタミンCとの反応による脱色と殺菌作用の消失は、いずれも手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第3章 Ⅱ 呼吸器官に作用する薬 2 口腔咽喉薬、うがい薬(含嗽薬)
演習:この章の問題を解く
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※ 解説は学習用の情報提供です。最新の出題範囲・制度は必ず公式発表をご確認ください。
※ 出題は厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)に沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題です。医療上の助言ではありません。試験は都道府県ごとに実施され、日程・合格基準の細部は都道府県により異なります。最新の情報は各都道府県の公表をご確認ください。