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薬の働きと主な副作用
講義 5 本・確認問題 40 問 | 本試験では「第2章 人体と医薬品」(20問)の一部 | 最終更新 2026-09-24
この章で学ぶこと- 内服薬・坐剤・外用薬それぞれの吸収経路と、肝初回通過効果・血漿タンパク質との結合・腎排泄という薬物動態の基本を押さえます。
- 錠剤・口腔内崩壊錠・チュアブル錠・散剤・液剤・カプセル剤と、軟膏剤・クリーム剤など外用剤形の特徴と正しい使い方を区別できるようになります。
- ショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群と中毒性表皮壊死融解症、肝機能障害、偽アルドステロン症、抵抗力の低下について、初期症状と数値を正確に押さえます。
- 精神神経障害・無菌性髄膜炎と、消化器系(消化性潰瘍・イレウス様症状)、呼吸器系(間質性肺炎・喘息)の副作用の初期症状を押さえます。
- うっ血性心不全・不整脈、排尿困難・尿閉、眼圧上昇(急性緑内障発作)、接触皮膚炎・光線過敏症・薬疹の初期症状と注意点を押さえます。
1. 薬の吸収と代謝・排泄
内服薬・坐剤・外用薬それぞれの吸収経路と、肝初回通過効果・血漿タンパク質との結合・腎排泄という薬物動態の基本を押さえます。
手引きでは、医薬品の作用には、有効成分が消化管などから吸収されて循環血液中に移行し、全身を巡って薬効をもたらす全身作用と、特定の狭い身体部位において薬効をもたらす局所作用とがあるとされている。内服した医薬品が全身作用を現すまでには、消化管からの吸収、代謝と作用部位への分布という過程を経るためある程度の時間が必要であるのに対し、局所作用は医薬品の適用部位が作用部位である場合が多いため、反応は比較的速やかに現れる。内服薬は全身作用を示すものが多いが、膨潤性下剤や生菌製剤等のように有効成分が消化管内で作用するものもあり、その場合に現れる作用は局所作用である。また、局所作用を目的とする医薬品で全身性の副作用が生じたり、逆に全身作用を目的とする医薬品で局所的な副作用が生じることもある。
内服薬のほとんどは、有効成分が消化管から吸収されて循環血液中に移行し、全身作用を現す。錠剤、カプセル剤等の固形剤は、消化管で吸収される前に消化管内で崩壊して有効成分が溶け出さなければならないが、腸溶性製剤のような特殊なものを除き、胃で有効成分が溶出するものが大部分である。有効成分は主に小腸で吸収される。一般に消化管からの吸収は、濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散していく現象であり、吸収量や吸収速度は消化管内容物や他の医薬品の作用によって影響を受けるとされている。
坐剤は、肛門から挿入して直腸内で溶解させ、薄い直腸内壁の粘膜から有効成分を吸収させるものである。直腸の粘膜下には静脈が豊富に分布して通っており、有効成分は容易に循環血液中に入るため、内服の場合よりも全身作用が速やかに現れるとされている。抗狭心症薬のニトログリセリン(舌下錠、スプレー)や禁煙補助薬のニコチン(咀嚼剤)のように、口腔粘膜から吸収されて全身作用を現すものもある。これらの部位を通っている静脈血は肝臓を経由せずに心臓に至るため、吸収された成分は初めに肝臓で代謝を受けることなく全身に分布する。鼻腔粘膜に適用する点鼻薬も、一般用医薬品はいずれも局所作用を目的とするが、鼻腔粘膜の下には毛細血管が豊富なため成分が循環血液中に移行しやすく、全身性の副作用を生じることがある。点眼薬は鼻涙管を通って鼻粘膜から吸収されることがあるため、場合によっては点眼する際に目頭の鼻涙管の部分を押さえ、有効成分が鼻に流れるのを防ぐ必要がある。含嗽薬(うがい薬)は多くが唾液や粘液によって食道へ流れてしまうため咽頭粘膜からの吸収による全身的な副作用は少ないが、アレルギー反応は微量の抗原でも生じるため、点眼薬や含嗽薬でもショック(アナフィラキシー)等を生じることがある。皮膚に適用する医薬品は、通常、皮膚表面から循環血液中へ移行する量は比較的少ないが、血液中に移行した有効成分は肝臓で代謝を受ける前に全身に分布するため、適用部位の面積(使用量)や使用回数などによっては全身作用が現れることがある。
経口投与後、消化管で吸収された有効成分は、消化管の毛細血管から血液中へ移行し、その血液は全身循環に入る前に門脈という血管を経由して肝臓を通過する。このため吸収された有効成分は、まず肝臓に存在する酵素の働きにより代謝を受け、全身循環に移行する有効成分の量は消化管で吸収された量よりも肝臓で代謝を受けた分だけ少なくなる。これを肝初回通過効果(first-pass effect)という。肝機能が低下した人では医薬品を代謝する能力が低いため、正常な人に比べて全身循環に到達する有効成分の量がより多くなり、効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりするとされている。
循環血液中に移行した有効成分は、主として肝細胞の薬物代謝酵素によって代謝を受ける。多くの有効成分は血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成しており、複合体を形成している有効成分の分子は薬物代謝酵素の作用で代謝されず、トランスポーターによって輸送されることもないため、代謝や分布が制限され、血中濃度の低下は徐々に起こる。循環血液中の有効成分の多くは、未変化体又は代謝物の形で腎臓から尿中に排泄される。腎機能が低下した人では有効成分の尿中への排泄が遅れて血中濃度が下がりにくく、効き目が過剰に現れたり副作用を生じやすくなったりする。複合体は腎臓で濾過されないため、有効成分が長く循環血液中に留まり、作用が持続する原因となるとされている。
医薬品が摂取された後、有効成分の血中濃度は吸収されるにつれて上昇し、最小有効濃度(閾値)を超えたときに薬効が現れる。血中濃度はある時点でピーク(最高血中濃度)に達し、その後は代謝・排泄の速度が吸収・分布の速度を上回るため低下していき、最小有効濃度を下回ると薬効は消失する。一度に大量に摂取したり十分な間隔をあけずに追加摂取して血中濃度を高くしても、ある濃度以上になるとより強い薬効は得られなくなり薬効は頭打ちとなるが、有害な作用(副作用や毒性)は現れやすくなる。全身作用を目的とする医薬品の多くは、血中濃度が最小有効濃度と毒性が現れる濃度域(危険域、中毒域)の間の範囲(有効域、治療域)に維持されるよう、使用量及び使用間隔が定められている。
吸収・代謝・排泄の要点(適用経路と動態)| 区分 | 要点 | 注意 |
|---|
| 内服薬(消化管吸収) | 主に小腸で吸収。濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散。大部分は胃で溶出(腸溶性製剤は例外) | 吸収量・速度は消化管内容物や他の医薬品の影響を受ける |
| 坐剤 | 直腸内で溶解し、直腸粘膜から吸収。内服より全身作用が速やか | 肝臓を経由せず全身に分布。粘膜に障害があるときは使用を避ける |
| 点鼻薬 | 一般用医薬品はすべて局所作用目的 | 鼻腔粘膜下の毛細血管から循環血液中に移行しやすく全身性の副作用も |
| 点眼薬 | 鼻涙管を通って鼻粘膜から吸収されることがある | 目頭の鼻涙管の部分を押さえて鼻に流れるのを防ぐ |
| 皮膚(塗り薬・貼り薬) | 循環血液中へ移行する量は比較的少ない | 使用量・回数によっては全身作用が現れることがある |
| 肝初回通過効果 | 門脈経由で肝臓を通過し代謝され、全身循環に移行する量が減る | 肝機能低下者では効き目過剰・副作用が生じやすい |
| 腎排泄 | 未変化体又は代謝物の形で腎臓から尿中へ排泄 | 腎機能低下者では排泄が遅れ血中濃度が下がりにくい |
用語
- 肝初回通過効果
- 消化管で吸収された有効成分が門脈を経由して肝臓を通過する際にまず代謝を受け、全身循環に移行する量が吸収された量より少なくなること。first-pass effect ともいう。
- 血漿タンパク質との複合体
- 多くの有効成分は血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成する。複合体は薬物代謝酵素で代謝されず、腎臓で濾過もされないため、血中濃度の低下が徐々になり作用が持続する原因となる。
- 最小有効濃度
- 生体の反応としての薬効が現れる血中濃度の閾値。血中濃度がこれを超えたときに薬効が現れ、下回ると薬効は消失する。
- 徐放性製剤
- 服用後の作用を持続させるため、有効成分がゆっくりと溶出するように作られた内服薬。
例題
例題:坐剤の全身作用は内服の場合より速やかに現れるとされているのはなぜか。
答えと考え方 直腸の粘膜下には静脈が豊富に分布しており、有効成分が容易に循環血液中に入るため。さらにこの静脈血は肝臓を経由せずに心臓に至るので、初めに肝臓で代謝を受けることなく全身に分布する。
出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
2. 剤形ごとの違いと適切な使用方法
錠剤・口腔内崩壊錠・チュアブル錠・散剤・液剤・カプセル剤と、軟膏剤・クリーム剤など外用剤形の特徴と正しい使い方を区別できるようになります。
医薬品がどのような形状で使用されるかは、その医薬品の使用目的と有効成分の性状とに合わせて決められる。こうした医薬品の形状のことを剤形という。有効成分を消化管から吸収させ全身に分布させる剤形としては、錠剤(内服)、口腔用錠剤、カプセル剤、散剤・顆粒剤、経口液剤・シロップ剤等があり、患部局所に直接適用する剤形としては、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤、貼付剤、スプレー剤等がある。外用の剤形の多くは有効成分が同じであっても配合されている添加剤等に違いがあり、剤形によっては症状を悪化させてしまう場合もあるため、患部の状態に応じて適切な剤形が選択されなければならないとされている。
錠剤(内服)は、内服用医薬品の剤形として最も広く用いられている。一定の形状に成型された固形製剤であるため、飛散させずに服用できる点や、有効成分の苦味や刺激性を口中で感じることなく服用できる点が特徴である一方、高齢者や乳幼児等では飲み込みにくいことがある。服用するときは適切な量の水(又はぬるま湯)とともに飲み込まなければならず、水が少なかったり水なしで服用すると、錠剤が喉や食道に張り付いて、薬効が現れないのみならず喉や食道の粘膜を傷めるおそれがある。錠剤(内服)は胃や腸で崩壊し有効成分が溶出することが薬効発現の前提となるため、例外的な場合を除いて口中で噛み砕いて服用してはならない。特に腸内での溶解を目的として表面をコーティングした腸溶錠の場合等は、厳に慎まなければならない。
水なしで服用できる錠剤として、口腔内崩壊錠とチュアブル錠がある。口腔内崩壊錠は、口の中の唾液で速やかに溶ける工夫がなされているため水なしで服用でき、固形物を飲み込むことが困難な高齢者や乳幼児、水分摂取が制限されている場合でも、口の中で溶かした後に唾液と一緒に容易に飲み込むことができる。チュアブル錠は、口の中で舐めたり噛み砕いたりして服用する剤形であり、水なしでも服用できる。口腔用錠剤には、トローチ剤・ドロップ剤と舌下錠がある。トローチ剤・ドロップ剤は薬効を期待する部位が口の中や喉であるものが多く、飲み込まずに口の中で舐めて徐々に溶かして使用する。舌下錠は有効成分を舌下で溶解させ、口腔粘膜から吸収させる。
散剤は粉末状、顆粒剤は小さな粒状にしたものである。錠剤を飲み込むことが困難な人には錠剤より服用しやすいが、口の中に広がって歯(入れ歯を含む)の間に挟まったり、苦味や渋味を強く感じる場合がある。服用するときは飛散を防ぐため、あらかじめ少量の水(又はぬるま湯)を口に含んだ上で服用したり、何回かに分けて少しずつ服用するなどの工夫をするとよく、口中に残ったときはさらに水などを口に含み口腔内をすすぐようにして飲み込む。顆粒剤は粒の表面がコーティングされているものもあるので、噛み砕かずに水などで飲み込む。経口液剤は液状の内服用剤形で、固形製剤よりも飲み込みやすく、既に有効成分が液中に溶けたり分散したりしているため、服用後比較的速やかに消化管から吸収される。血中濃度が上昇しやすいため、習慣性や依存性がある成分が配合されているものでは本来の目的と異なる不適正な使用がなされることがある。経口液剤は苦味やにおいが強く感じられることがあるので、小児に用いる医薬品では白糖等の糖類を混ぜたシロップ剤とすることが多い。カプセル剤はカプセル内に散剤や顆粒剤、液剤等を充填した剤形で、特徴は錠剤とほぼ同様であるが、カプセルの原材料として広く用いられるゼラチンはブタなどのタンパク質を主成分としているため、ゼラチンに対してアレルギーを持つ人は使用を避けるなどの注意が必要である。また水なしで服用するとゼラチンが喉や食道に貼り付くことがあるため、必ず適切な量の水(又はぬるま湯)とともに服用する。
外用局所に適用する剤形のうち、軟膏剤とクリーム剤は基剤の違いにより大別され、いずれも有効成分が適用部位に留まりやすいという特徴がある。一般的には、軟膏剤は油性の基剤で皮膚への刺激が弱く、適用部位を水から遮断したい場合等に用い、患部が乾燥していてもじゅくじゅくと浸潤していても使用できる。クリーム剤は油性基剤に水分を加えたもので、患部を水で洗い流したい場合等に用いられるが、皮膚への刺激が強いため傷等への使用は避ける必要があるとされている。外用液剤は外用の液状製剤で、軟膏剤やクリーム剤に比べて患部が乾きやすいという特徴があり、適用部位に直接的な刺激感等を与える場合がある。貼付剤は皮膚に貼り付けて用いる剤形でテープ剤及びパップ剤があり、適用部位に有効成分が一定時間留まるため薬効の持続が期待できる反面、適用部位にかぶれなどを起こす場合もある。スプレー剤は有効成分を霧状にする等して局所に吹き付ける剤形で、手指等では塗りにくい部位や、広範囲に適用する場合に適している。
主な剤形の特徴と使い方| 剤形 | 特徴 | 注意・使い方 |
|---|
| 錠剤(内服) | 飛散せず、苦味・刺激性を感じずに服用できる | 適切な量の水とともに服用。噛み砕かない(腸溶錠は特に厳禁) |
| 口腔内崩壊錠 | 唾液で速やかに溶け、水なしで服用できる | 高齢者・乳幼児や水分摂取が制限されている場合にも適する |
| チュアブル錠 | 舐めたり噛み砕いたりして服用 | 水なしでも服用できる |
| トローチ剤・ドロップ剤 | 薬効を期待する部位が口の中や喉 | 飲み込まずに口の中で舐めて徐々に溶かす |
| 散剤・顆粒剤 | 錠剤が飲み込みにくい人にも服用しやすい | 顆粒剤は表面コーティングのものがあり噛み砕かない |
| 経口液剤・シロップ剤 | 服用後、比較的速やかに吸収される | 習慣性・依存性のある成分では不適正使用に注意。小児にはシロップ剤 |
| カプセル剤 | 特徴は錠剤とほぼ同様 | ゼラチンアレルギーの人は使用を避ける。必ず水とともに服用 |
| 軟膏剤 | 油性基剤。皮膚への刺激が弱い | 水から遮断したい場合等。乾燥した患部にも浸潤した患部にも使用可 |
| クリーム剤 | 油性基剤に水分を加えたもの | 水で洗い流したい場合等。刺激が強く傷等への使用は避ける |
| 外用液剤 | 患部が乾きやすい | 直接的な刺激感等を与える場合がある |
| 貼付剤(テープ剤・パップ剤) | 有効成分が一定時間留まり薬効の持続が期待できる | 適用部位にかぶれなどを起こす場合がある |
| スプレー剤 | 霧状にして局所に吹き付ける | 塗りにくい部位や広範囲への適用に適する |
用語
- 口腔内崩壊錠
- 口の中の唾液で速やかに溶ける工夫がなされた錠剤。水なしで服用でき、固形物を飲み込むことが困難な高齢者や乳幼児、水分摂取が制限されている場合でも服用しやすい。
- チュアブル錠
- 口の中で舐めたり噛み砕いたりして服用する剤形。水なしでも服用できる。
- 腸溶錠
- 腸内での溶解を目的として錠剤表面をコーティングしたもの。口中で噛み砕いて服用することは厳に慎まなければならない。
- シロップ剤
- 経口液剤は苦味やにおいが強く感じられることがあるため、小児に用いる医薬品で白糖等の糖類を混ぜたもの。
例題
例題:軟膏剤とクリーム剤はどのように使い分けるとされているか。
答えと考え方 軟膏剤は油性の基剤で皮膚への刺激が弱く、適用部位を水から遮断したい場合等に用い、患部が乾燥していても浸潤していても使用できる。クリーム剤は油性基剤に水分を加えたもので患部を水で洗い流したい場合等に用いるが、皮膚への刺激が強いため傷等への使用は避ける。
出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
3. 全身に現れる副作用
ショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群と中毒性表皮壊死融解症、肝機能障害、偽アルドステロン症、抵抗力の低下について、初期症状と数値を正確に押さえます。
ショック(アナフィラキシー)は、生体異物に対する即時型のアレルギー反応の一種である。医薬品の場合、以前にその医薬品によって蕁麻疹等のアレルギーを起こしたことがある人で起きる可能性が高い。一般に、顔や上半身の紅潮・熱感、皮膚の痒み、蕁麻疹、口唇や舌・手足のしびれ感、むくみ(浮腫)、吐きけ、顔面蒼白、手足の冷感、冷や汗、息苦しさ・胸苦しさなど、複数の症状が現れる。一旦発症すると病態は急速に悪化することが多く、適切な対応が遅れるとチアノーゼや呼吸困難等を生じ、死に至ることがある。発症後の進行が非常に速やかな(通常、2時間以内に急変する)ことが特徴であり、直ちに救急救命処置が可能な医療機関を受診する必要がある。
皮膚粘膜眼症候群は、38℃以上の高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる病態で、最初に報告をした二人の医師の名前にちなんでスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)とも呼ばれる。発生頻度は人口100万人当たり年間1〜6人と報告されている。発症機序の詳細は不明であり、発症の可能性がある医薬品の種類も多いため、発症の予測は極めて困難である。
中毒性表皮壊死融解症(TEN)は、38℃以上の高熱を伴って広範囲の皮膚に発赤が生じ、全身の10%以上に火傷様の水疱、皮膚の剥離、びらん等が認められ、かつ、口唇の発赤・びらん、眼の充血等の症状を伴う病態で、最初に報告をした医師の名前にちなんでライエル症候群とも呼ばれる。皮膚粘膜眼症候群と関連のある病態と考えられており、症例の多くが皮膚粘膜眼症候群の進展型とみられる。発生頻度は人口100万人当たり年間0.4〜1.2人と報告されている。いずれも一旦発症すると多臓器障害の合併症等により致命的な転帰をたどることがあり、皮膚症状が軽快した後も眼や呼吸器等に障害が残ることがある重篤な疾患である。38℃以上の高熱、目の充血・目やに・まぶたの腫れ・目が開けづらい、口唇の違和感・口唇や陰部のただれ、排尿・排便時の痛み、喉の痛み、広範囲の皮膚の発赤等の症状が持続したり急激に悪化したりする場合には、原因と考えられる医薬品の使用を中止して直ちに皮膚科の専門医を受診する必要がある。特に、両眼に現れる急性結膜炎は、皮膚や粘膜の変化とほぼ同時期又は半日〜1日程度先行して生じることが知られており、前兆である可能性を疑うことが重要である。両症候群とも、原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多いが、1ヶ月以上経ってから起こることもある。
医薬品により生じる肝機能障害は、有効成分又はその代謝物の直接的肝毒性が原因で起きる中毒性のものと、有効成分に対する抗原抗体反応が原因で起きるアレルギー性のものに大別される。軽度の場合は自覚症状がなく、健康診断等の血液検査(肝機能検査値の悪化)で初めて判明することが多い。主な症状に、全身の倦怠感、黄疸のほか、発熱、発疹、皮膚の掻痒感、吐きけ等がある。黄疸とは、ビリルビン(黄色色素)が胆汁中へ排出されず血液中に滞留することにより生じる、皮膚や白眼が黄色くなる病態であり、過剰となった血液中のビリルビンが尿中に排出されることにより尿の色が濃くなることもある。漫然と原因医薬品を使用し続けると、不可逆的な病変(肝不全)を生じ、死に至ることもある。
偽アルドステロン症は、体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われることによって生じる病態である。副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加していないにもかかわらずこのような状態となることから、偽アルドステロン症と呼ばれている。主な症状に、手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、こむら返り、倦怠感、手足のしびれ、頭痛、むくみ(浮腫)、喉の渇き、吐きけ・嘔吐等があり、病態が進行すると筋力低下、起立不能、歩行困難、痙攣等を生じる。低身長、低体重など体表面積が小さい者や高齢者で生じやすく、原因医薬品の長期服用後に初めて発症する場合もある。また、複数の医薬品や、医薬品と食品との間の相互作用によって起きることがある。初期症状に不審を感じつつも重症化させてしまう例が多い。
医薬品の使用が原因で血液中の白血球(好中球)が減少し、細菌やウイルスの感染に対する抵抗力が弱くなって、突然の高熱、悪寒、喉の痛み、口内炎、倦怠感等の症状を呈することがある。進行すると重症の細菌感染を繰り返し、致命的となることもある。ステロイド性抗炎症薬や抗癌薬などが、そのような易感染性をもたらすことが知られている。初期においてはかぜ等の症状と見分けることが難しいため、原因医薬品の使用を漫然と継続して悪化させる場合がある。このほか、医薬品の使用が原因で血液中の血小板が減少し、鼻血、歯ぐきからの出血、手足の青あざ(紫斑)や口腔粘膜の血腫等の内出血、経血が止まりにくい(月経過多)等の症状が現れることがある。
全身に現れる副作用のまとめ| 副作用名 | 初期症状・特徴 | 注意 |
|---|
| ショック(アナフィラキシー) | 紅潮・熱感、痒み、蕁麻疹、しびれ感、むくみ、吐きけ、顔面蒼白、冷や汗、息苦しさ等が複数現れる | 通常2時間以内に急変。直ちに救急救命処置が可能な医療機関へ |
| 皮膚粘膜眼症候群(SJS) | 38℃以上の高熱+発疹・発赤、火傷様の水疱が全身の皮膚・口・眼等の粘膜に出現 | 頻度は100万人当たり年間1〜6人。使用開始後2週間以内が多いが1ヶ月以上後もある |
| 中毒性表皮壊死融解症(TEN) | 38℃以上の高熱+全身の10%以上に火傷様の水疱・皮膚の剥離・びらん等 | 頻度は100万人当たり年間0.4〜1.2人。多くがSJSの進展型。両眼の急性結膜炎が先行することも |
| 肝機能障害 | 全身の倦怠感、黄疸、発熱、発疹、皮膚の掻痒感、吐きけ等。軽度では自覚症状がないことが多い | 漫然と使用を続けると肝不全に至ることも。中毒性とアレルギー性に大別 |
| 偽アルドステロン症 | 手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、こむら返り、倦怠感、むくみ、喉の渇き等 | 体表面積が小さい者や高齢者で生じやすい。長期服用後に初めて発症することも |
| 病気等に対する抵抗力の低下 | 白血球(好中球)減少により突然の高熱、悪寒、喉の痛み、口内炎、倦怠感等 | 初期はかぜと見分けにくい。ステロイド性抗炎症薬等が易感染性をもたらす |
| 血小板減少 | 鼻血、歯ぐきからの出血、紫斑や口腔粘膜の血腫等の内出血、月経過多等 | 脳内出血等への進行予防のため気付いたら直ちに使用を中止し早期に受診 |
用語
- ショック(アナフィラキシー)
- 生体異物に対する即時型のアレルギー反応の一種。発症後の進行が非常に速やかで、通常2時間以内に急変することが特徴。
- 皮膚粘膜眼症候群(SJS)
- 38℃以上の高熱を伴って発疹・発赤、火傷様の水疱等が短時間のうちに全身の皮膚・口・眼等の粘膜に現れる病態。発生頻度は人口100万人当たり年間1〜6人。
- 中毒性表皮壊死融解症(TEN)
- 38℃以上の高熱を伴い、全身の10%以上に火傷様の水疱・皮膚の剥離・びらん等が認められる病態。ライエル症候群とも呼ばれ、発生頻度は人口100万人当たり年間0.4〜1.2人。
- 黄疸
- ビリルビン(黄色色素)が胆汁中へ排出されず血液中に滞留することにより生じる、皮膚や白眼が黄色くなる病態。
- 偽アルドステロン症
- アルドステロン分泌が増加していないにもかかわらず、体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われる病態。
例題
例題:皮膚粘膜眼症候群と中毒性表皮壊死融解症の発生頻度はそれぞれどのように報告されているか。
答えと考え方 皮膚粘膜眼症候群(SJS)は人口100万人当たり年間1〜6人、中毒性表皮壊死融解症(TEN)は人口100万人当たり年間0.4〜1.2人と報告されている。いずれも発症機序の詳細は不明で、発症の予測は困難とされている。
出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
4. 精神神経系と体の局所の副作用(その1)
精神神経障害・無菌性髄膜炎と、消化器系(消化性潰瘍・イレウス様症状)、呼吸器系(間質性肺炎・喘息)の副作用の初期症状を押さえます。
医薬品の副作用によって中枢神経系が影響を受け、物事に集中できない、落ち着きがなくなる等のほか、不眠、不安、震え(振戦)、興奮、眠気、うつ等の精神神経症状を生じることがある。眠気は比較的軽視されがちであるが、乗物や危険な機械類の運転操作中に眠気を生じると重大な事故につながる可能性が高いので、眠気を催すことが知られている医薬品を使用した後は、そのような作業に従事しないよう十分注意することが必要である。精神神経症状は、医薬品の大量服用や長期連用、乳幼児への適用外の使用等の不適正な使用がなされた場合に限らず、通常の用法・用量でも発生することがあるとされている。
無菌性髄膜炎は、髄膜炎のうち髄液に細菌が検出されないものをいう。大部分はウイルスが原因と考えられているが、マイコプラズマ感染症やライム病、医薬品の副作用等によって生じることもある。医薬品の副作用が原因の場合、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、関節リウマチ等の基礎疾患がある人で発症リスクが高い。多くの場合発症は急性で、首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、発熱、吐きけ・嘔吐、意識混濁等の症状が現れる。早期に原因医薬品の使用を中止すれば速やかに回復し、予後は比較的良好であることがほとんどであるが、重篤な中枢神経系の後遺症が残った例も報告されている。また、過去に軽度の症状を経験した人が再度同じ医薬品を使用することにより再発し、急激に症状が進行する場合がある。
消化性潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜組織が傷害されて、粘膜組織の一部が粘膜筋板を超えて欠損する状態であり、医薬品の副作用により生じることも多い。胃のもたれ、食欲低下、胸やけ、吐きけ、胃痛、空腹時にみぞおちが痛くなる、消化管出血に伴って糞便が黒くなるなどの症状が現れる。自覚症状が乏しい場合もあり、貧血症状(動悸や息切れ等)の検査時や突然の吐血・下血によって発見されることもある。
イレウスとは腸内容物の通過が阻害された状態をいう。腸管自体は閉塞していなくても、医薬品の作用によって腸管運動が麻痺して腸内容物の通過が妨げられると、激しい腹痛やガス排出(おなら)の停止、嘔吐、腹部膨満感を伴う著しい便秘が現れる(イレウス様症状)。腹痛などの症状のために水分や食物の摂取が抑制され、嘔吐がない場合でも脱水状態となることがある。悪化すると、腸内容物の逆流による嘔吐が原因で脱水症状を呈したり、腸内細菌の異常増殖によって全身状態の衰弱が急激に進行する可能性がある。小児や高齢者のほか、普段から便秘傾向のある人は発症のリスクが高い。また、下痢治癒後の便秘を放置して症状を悪化させてしまうことがある。
間質性肺炎は、通常の肺炎が気管支又は肺胞が細菌に感染して炎症を生じたものであるのに対し、肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織(間質)が炎症を起こしたものである。発症すると肺胞と毛細血管の間のガス交換効率が低下して血液に酸素を十分取り込むことができず、体内は低酸素状態となる。そのため、息切れ・息苦しさ等の呼吸困難、空咳(痰の出ない咳)、発熱等の症状を呈する。一般的に、医薬品の使用開始から1〜2週間程度で起きることが多い。息切れは初期には登坂等の運動時に感じられるが、病態が進行すると平地歩行や家事等の軽労作時にも意識されるようになる。必ずしも発熱は伴わない。これらの症状はかぜや気管支炎の症状と区別が難しいこともあり、細心の注意を払って鑑別が行われている。症状が一過性に現れ自然と回復することもあるが、悪化すると肺線維症(肺が線維化を起こして硬くなる状態)に移行することがある。
喘息は、原因となる医薬品(アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症成分を含む解熱鎮痛薬など)の使用後、短時間(1時間以内)のうちに鼻水・鼻づまりが現れ、続いて咳、喘鳴(息をするとき喉がゼーゼー又はヒューヒュー鳴る)及び呼吸困難を生じる。これらの症状は時間とともに悪化し、顔面の紅潮や目の充血、吐きけ、腹痛、下痢等を伴うこともある。内服薬のほか、坐薬や外用薬でも誘発されることがある。合併症を起こさない限り、原因となった医薬品の有効成分が体内から消失すれば症状は寛解する。軽症例は半日程度で回復するが、重症例は24時間以上持続し、窒息による意識消失から死に至る危険もある。通年性(非アレルギー性)の鼻炎や慢性副鼻腔炎(蓄膿症)、鼻茸(鼻ポリープ)、嗅覚異常等、鼻の疾患を合併している人や、成人になってから喘息を発症した人、季節に関係なく喘息発作が起こる人等で発症しやすい。特に、これまでに医薬品(内服薬に限らない)で喘息発作を起こしたことがある人は重症化しやすいので、同種の医薬品の使用を避ける必要がある。
精神神経系・消化器系・呼吸器系の副作用のまとめ| 副作用名 | 初期症状・特徴 | 注意 |
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| 精神神経障害 | 集中できない、落ち着きがなくなる、不眠、不安、震え(振戦)、興奮、眠気、うつ等 | 通常の用法・用量でも発生することがある。眠気を催す医薬品の使用後は運転操作をしない |
| 無菌性髄膜炎 | 急性の発症が多く、首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、発熱、吐きけ・嘔吐、意識混濁等 | 全身性エリテマトーデス等の基礎疾患がある人でリスク高。再使用で再発し急激に進行することも |
| 消化性潰瘍 | 胃のもたれ、食欲低下、胸やけ、胃痛、空腹時のみぞおちの痛み、糞便が黒くなる等 | 自覚症状が乏しく、貧血症状の検査や突然の吐血・下血で発見されることもある |
| イレウス様症状 | 激しい腹痛、ガス排出の停止、嘔吐、腹部膨満感を伴う著しい便秘 | 小児・高齢者・便秘傾向のある人でリスク高。嘔吐がなくても脱水となることがある |
| 間質性肺炎 | 息切れ・息苦しさ、空咳(痰の出ない咳)、発熱等。使用開始から1〜2週間程度で起きることが多い | かぜや気管支炎と区別が難しい。必ずしも発熱は伴わない。悪化で肺線維症に移行することも |
| 喘息 | 使用後1時間以内に鼻水・鼻づまり、続いて咳・喘鳴・呼吸困難 | 坐薬や外用薬でも誘発。重症例は24時間以上持続し窒息の危険。鼻疾患合併者等で発症しやすい |
用語
- 無菌性髄膜炎
- 髄膜炎のうち髄液に細菌が検出されないもの。医薬品の副作用が原因の場合、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、関節リウマチ等の基礎疾患がある人で発症リスクが高い。
- イレウス様症状
- 腸管自体は閉塞していなくても、医薬品の作用で腸管運動が麻痺して腸内容物の通過が妨げられた状態。激しい腹痛、ガス排出の停止、嘔吐、腹部膨満感を伴う著しい便秘が現れる。
- 間質性肺炎
- 肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織(間質)が炎症を起こしたもの。ガス交換効率が低下し、息切れ・空咳・発熱等を呈する。
- 肺線維症
- 肺が線維化を起こして硬くなる状態。間質性肺炎が悪化すると移行することがある。
例題
例題:間質性肺炎の副作用に気付くうえで、かぜとの関係で注意すべき点は何か。
答えと考え方 息切れ・息苦しさ、空咳、発熱等の症状はかぜや気管支炎の症状と区別が難しいことがある。医薬品の使用開始から1〜2週間程度で起きることが多く、必ずしも発熱は伴わないとされている点を押さえておく。
出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
5. 体の局所に現れる副作用(その2)
うっ血性心不全・不整脈、排尿困難・尿閉、眼圧上昇(急性緑内障発作)、接触皮膚炎・光線過敏症・薬疹の初期症状と注意点を押さえます。
うっ血性心不全とは、全身が必要とする量の血液を心臓から送り出すことができなくなり、肺に血液が貯留して、種々の症状を示す疾患である。息切れ、疲れやすい、足のむくみ、急な体重の増加、咳とピンク色の痰などを認めた場合は、うっ血性心不全の可能性を疑い、早期に医師の診療を受ける必要がある。心不全の既往がある人は、薬剤による心不全を起こしやすい。不整脈とは、心筋の自動性や興奮伝導の異常が原因で心臓の拍動リズムが乱れる病態で、めまい、立ちくらみ、全身のだるさ(疲労感)、動悸、息切れ、胸部の不快感、脈の欠落等の症状が現れる。不整脈の種類によっては失神(意識消失)することもあり、そのような場合は生死に関わる危険な不整脈を起こしている可能性があるので、自動体外式除細動器(AED)の使用を考慮するとともに、直ちに救急救命処置が可能な医療機関を受診する必要がある。不整脈は代謝機能の低下によって発症リスクが高まることがあるので、腎機能や肝機能の低下、併用薬との相互作用等に留意すべきであり、特に高齢者においてそのような配慮が重要である。
医薬品の使用が原因となって腎障害を生じることがある。尿量の減少、ほとんど尿が出ない、逆に一時的に尿が増える、むくみ(浮腫)、倦怠感、発疹、吐きけ・嘔吐、発熱、尿が濁る・赤みを帯びる(血尿)等の症状が現れたときは、原因と考えられる医薬品の使用を中止して速やかに医師の診療を受ける必要がある。また、副交感神経系の機能を抑制する作用がある成分が配合された医薬品を使用すると、膀胱の排尿筋の収縮が抑制され、尿が出にくい、尿が少ししか出ない、残尿感がある等の症状を生じることがある。これが進行すると、尿意があるのに尿が全く出なくなったり(尿閉)、下腹部が膨満して激しい痛みを感じるようになる。これらの症状は前立腺肥大等の基礎疾患がない人でも現れることが知られており、男性に限らず女性においても報告されている。多くの場合、原因となる医薬品の使用を中止することにより症状は速やかに改善するが、医療機関における処置を必要とする場合もある。このほか、尿の回数増加(頻尿)、排尿時の疼痛、残尿感等の膀胱炎様症状が現れることもある。
眼球内の角膜と水晶体の間を満たしている眼房水が排出されにくくなると、眼圧が上昇して視覚障害を生じることがある。例えば、抗コリン作用がある成分が配合された医薬品によって眼圧が上昇し(急性緑内障発作)、眼痛や眼の充血に加え、急激な視力低下を来すことがある。特に眼房水の出口である隅角が狭くなっている閉塞隅角緑内障がある人では厳重な注意が必要である。眼圧の上昇に伴って、頭痛や吐きけ・嘔吐等の症状が現れることもある。高眼圧を長時間放置すると、視神経が損傷して不可逆的な視覚障害(視野欠損や失明)に至るおそれがあり、速やかに眼科専門医の診療を受ける必要がある。また、医薬品によっては瞳の拡大(散瞳)による異常な眩しさや目のかすみ等の副作用が現れることがあり、そのような症状が乗物や機械類の運転操作中に現れると重大な事故につながるおそれがあるので、散瞳を生じる可能性のある成分が配合された医薬品を使用した後は、そうした作業は避けなければならない。
接触皮膚炎は、化学物質や金属等に皮膚が反応して、強い痒みを伴う発疹・発赤、腫れ、刺激感、水疱・ただれ等の激しい炎症症状や、色素沈着、白斑等を生じるもので、外用薬の副作用で生じることもある。いわゆる「肌に合わない」という状態であり、同じ医薬品が触れても発症するか否かはその人の体質によって異なる。接触皮膚炎は医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じ、正常な皮膚との境界がはっきりしているのが特徴である(アレルギー性皮膚炎の場合は、発症部位は医薬品の接触部位に限定されない)。通常は1週間程度で症状は治まるが、再びその医薬品に触れると再発する。かぶれ症状が太陽光線(紫外線)に曝されて初めて起こることもあり、これを光線過敏症という。その症状は医薬品が触れた部分だけでなく、全身へ広がって重篤化する場合がある。貼付剤の場合は剥がした後でも発症することがある。光線過敏症が現れた場合は、原因と考えられる医薬品の使用を中止して、皮膚に医薬品が残らないよう十分に患部を洗浄し、遮光(白い生地や薄手の服は紫外線を透過するおそれがあるので不可)して速やかに医師の診療を受ける必要がある。
薬疹は、医薬品によって引き起こされるアレルギー反応の一種で、発疹・発赤等の皮膚症状を呈する場合をいう。あらゆる医薬品で起きる可能性があり、同じ医薬品でも生じる発疹の型は人によって様々である。赤い大小の斑点(紅斑)、小さく盛り上がった湿疹(丘疹)のほか、水疱を生じることもある。蕁麻疹は強い痒みを伴うが、それ以外の場合は痒みがないか、たとえあったとしてもわずかなことが多い。皮膚以外に、眼の充血や口唇・口腔粘膜に異常が見られることもあり、特に発熱を伴って眼や口腔粘膜に異常が現れた場合は、急速に皮膚粘膜眼症候群や中毒性表皮壊死融解症等の重篤な病態へ進行することがあるので厳重な注意が必要である。薬疹は医薬品の使用後1〜2週間で起きることが多いが、長期使用後に現れることもある。アレルギー体質の人や以前に薬疹を起こしたことがある人で生じやすいが、それまで薬疹を経験したことがない人であっても、暴飲暴食や肉体疲労が誘因となって現れることがある。痒み等の症状に対して一般の生活者が自己判断で対症療法を行うことは、原因の特定を困難にするおそれがあるため避けるべきである。以前薬疹を経験したことがある人が再度同種の医薬品を使用すると、ショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症等のより重篤なアレルギー反応を生じるおそれがあるので、同種の医薬品の使用を避けなければならない。
循環器・泌尿器・感覚器・皮膚の副作用のまとめ| 副作用名 | 初期症状・特徴 | 注意 |
|---|
| うっ血性心不全 | 息切れ、疲れやすい、足のむくみ、急な体重の増加、咳とピンク色の痰 | 心不全の既往がある人は薬剤による心不全を起こしやすい |
| 不整脈 | めまい、立ちくらみ、全身のだるさ、動悸、息切れ、胸部の不快感、脈の欠落等 | 失神する場合はAEDの使用を考慮し直ちに受診。腎・肝機能低下や併用薬に留意(特に高齢者) |
| 排尿困難・尿閉 | 尿が出にくい、尿が少ししか出ない、残尿感。進行すると尿が全く出なくなり下腹部の激しい痛み | 副交感神経系を抑制する成分が原因。前立腺肥大がない人や女性でも現れる |
| 眼圧上昇(急性緑内障発作) | 眼痛、眼の充血、急激な視力低下。頭痛や吐きけ・嘔吐を伴うことも | 抗コリン作用がある成分が原因。閉塞隅角緑内障の人は厳重注意。放置で視野欠損や失明のおそれ |
| 接触皮膚炎 | 強い痒みを伴う発疹・発赤、腫れ、水疱・ただれ等。触れた部分にのみ生じ境界がはっきり | 通常1週間程度で治まるが、再び触れると再発する |
| 光線過敏症 | 太陽光線(紫外線)に曝されて初めて起こるかぶれ症状 | 全身へ広がり重篤化することも。貼付剤は剥がした後でも発症。患部洗浄と遮光をして受診 |
| 薬疹 | 紅斑、丘疹、水疱等。蕁麻疹以外は痒みがないかわずかなことが多い | 使用後1〜2週間で多い。発熱を伴い眼や口腔粘膜に異常が出たらSJS・TENへの進行に厳重注意 |
用語
- うっ血性心不全
- 全身が必要とする量の血液を心臓から送り出すことができなくなり、肺に血液が貯留して種々の症状を示す疾患。息切れ、足のむくみ、急な体重増加、咳とピンク色の痰などが特徴。
- 尿閉
- 排尿困難が進行し、尿意があるのに尿が全く出なくなった状態。前立腺肥大等の基礎疾患がない人でも現れ、男性に限らず女性でも報告されている。
- 急性緑内障発作
- 抗コリン作用がある成分が配合された医薬品によって眼圧が上昇し、眼痛や眼の充血に加え急激な視力低下を来すもの。閉塞隅角緑内障がある人では厳重な注意が必要。
- 光線過敏症
- かぶれ症状が太陽光線(紫外線)に曝されて初めて起こるもの。症状は医薬品が触れた部分だけでなく全身へ広がって重篤化する場合があり、貼付剤では剥がした後でも発症することがある。
- 薬疹
- 医薬品によって引き起こされるアレルギー反応の一種で、発疹・発赤等の皮膚症状を呈するもの。医薬品の使用後1〜2週間で起きることが多いが、長期使用後に現れることもある。
例題
例題:接触皮膚炎とアレルギー性皮膚炎は、発症部位の点でどのように区別されるとされているか。
答えと考え方 接触皮膚炎は医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じ、正常な皮膚との境界がはっきりしているのが特徴である。これに対しアレルギー性皮膚炎の場合は、発症部位は医薬品の接触部位に限定されないとされている。
出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
確認問題(40問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|全身作用と局所作用
医薬品の全身作用と局所作用に関する記述として、正しいものはどれか。
- 内服した医薬品の全身作用は、吸収や代謝、分布の過程を経ないため、服用後ただちに反応が現れる
- 内服薬であっても、膨潤性下剤や生菌製剤等のように有効成分が消化管内で作用するものがあり、その場合に現れる作用は局所作用である
- 局所作用を目的とする医薬品では、有効成分が適用部位にとどまって循環血液中に移行することがないため、全身性の副作用が生じることはない
- 外用薬はすべて、適用部位に対する局所的な効果のみを目的としたものであり、坐剤や経皮吸収製剤のように全身作用を目的とするものはない
正解と解説
正解:B. 内服薬であっても、膨潤性下剤や生菌製剤等のように有効成分が消化管内で作用するものがあり、その場合に現れる作用は局所作用である手引きでは、内服薬は全身作用を示すものが多いが、膨潤性下剤や生菌製剤等のように有効成分が消化管内で作用するものもあり、その作用は局所作用であるとされている。内服の全身作用は吸収・代謝・分布の過程を経るためある程度時間が必要であり、局所作用目的の医薬品でも全身性の副作用が生じることがある。また坐剤や経皮吸収製剤のように、適用部位から吸収された有効成分が全身作用を示すことを目的とした外用の製剤も存在する。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問2|消化管吸収
内服薬の有効成分の消化管からの吸収に関する記述として、正しいものはどれか。
- 有効成分は主に小腸で吸収される
- 消化管からの吸収は、濃度の低い方から高い方へ能動的に取り込まれていく現象である
- 錠剤等の固形剤は、腸溶性製剤を含め、その大部分は腸で有効成分が溶出する
- 有効成分の吸収量や吸収速度は、消化管内容物や他の医薬品の作用によって影響を受けることはない
正解と解説
正解:A. 有効成分は主に小腸で吸収される手引きでは、有効成分は主に小腸で吸収されるとされている。消化管からの吸収は一般に、濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散していく現象であり、能動的な取り込みではない。固形剤は腸溶性製剤のような特殊なものを除き、胃で有効成分が溶出するものが大部分である。また吸収量や吸収速度は、消化管内容物や他の医薬品の作用によって影響を受けるとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問3|坐剤の吸収
坐剤に関する記述として、正しいものはどれか。
- 直腸から吸収された有効成分は、門脈という血管を経由して初めに肝臓で代謝を受け、代謝を受けた分だけ量が減ってから全身に分布する
- 坐剤による全身作用は、有効成分がゆっくりと吸収されるため、内服の場合よりも現れるのが遅い
- 直腸の粘膜下には静脈が豊富に分布しており、有効成分は容易に循環血液中に入るため、内服の場合よりも全身作用が速やかに現れる
- 適用部位の粘膜に障害があるときであっても、坐剤は局所的な副作用も急激な吸収による全身性の副作用も生じることがないため、問題なく使用することができる
正解と解説
正解:C. 直腸の粘膜下には静脈が豊富に分布しており、有効成分は容易に循環血液中に入るため、内服の場合よりも全身作用が速やかに現れる手引きでは、坐剤は肛門から挿入して直腸内で溶解させ、直腸内壁の粘膜から吸収させるもので、粘膜下に静脈が豊富に分布するため有効成分は容易に循環血液中に入り、内服の場合よりも全身作用が速やかに現れるとされている。この静脈血は肝臓を経由せずに心臓に至るため、初めに肝臓で代謝を受けることなく全身に分布する。局所的な副作用や急激な吸収による全身性の副作用を回避するため、粘膜に障害があるときは使用を避けるべきとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問4|肝初回通過効果
肝初回通過効果(first-pass effect)に関する記述として、正しいものはどれか。
- 経口投与された医薬品では、消化管で吸収された有効成分が門脈を経由せずそのまま全身循環に移行するため、全身循環に移行する量は消化管で吸収された量よりもかえって多くなる
- 消化管で吸収された有効成分は、門脈という血管を経由することなく、肝臓を通過せずに直接全身循環に入る
- 肝初回通過効果とは、経口投与された医薬品の有効成分が消化管で吸収された後、門脈という血管を経由せずに直接腎臓へ運ばれ、そこで濾過されて尿中に排泄される現象のことをいう
- 消化管で吸収された有効成分は、全身循環に入る前に門脈を経由して肝臓を通過するため、まず肝臓で代謝を受け、全身循環に移行する量は肝臓で代謝を受けた分だけ少なくなる
正解と解説
正解:D. 消化管で吸収された有効成分は、全身循環に入る前に門脈を経由して肝臓を通過するため、まず肝臓で代謝を受け、全身循環に移行する量は肝臓で代謝を受けた分だけ少なくなる手引きでは、経口投与後に消化管で吸収された有効成分は、全身循環に入る前に門脈という血管を経由して肝臓を通過するため、まず肝臓に存在する酵素の働きにより代謝を受け、全身循環に移行する量は消化管で吸収された量よりも肝臓で代謝を受けた分だけ少なくなるとされ、これを肝初回通過効果という。全身循環に移行する量が吸収量より多くなることはなく、肝臓を経由せず直接全身循環に入るわけでもない。腎臓からの排泄は肝初回通過効果とは別の過程である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問5|肝機能と薬
肝機能が低下した人における医薬品の働きに関する記述として、正しいものはどれか。
- 肝機能が低下した人では医薬品を代謝する能力がかえって高くなるため、全身循環に到達する有効成分の量が少なくなり、効き目が現れにくくなる
- 正常な人に比べて全身循環に到達する有効成分の量がより多くなり、効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりする
- 肝機能が低下した人では、有効成分の尿中への排泄が遅れるため血中濃度が下がりにくく、効き目が過剰に持続することが知られている
- 肝機能が低下した人では有効成分の血中濃度が上昇しなくなるため、薬効が全く現れなくなる
正解と解説
正解:B. 正常な人に比べて全身循環に到達する有効成分の量がより多くなり、効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりする手引きでは、肝機能が低下した人では医薬品を代謝する能力が低いため、正常な人に比べて全身循環に到達する有効成分の量がより多くなり、効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりするとされている。代謝能力が高くなるのではない。尿中への排泄が遅れて血中濃度が下がりにくくなるのは腎機能が低下した人についての記述である。薬効が全く現れなくなるという記述も誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問6|血漿タンパク質
有効成分と血漿タンパク質との結合に関する記述として、正しいものはどれか。
- 多くの有効成分は血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成しており、複合体を形成している分子は薬物代謝酵素の作用で代謝されない
- 血漿タンパク質との結合は速やかであるが不可逆的なものであり、一度結合した分子が解離して再び代謝や分布の対象となることはない
- 血漿タンパク質と結合して複合体を形成した分子は、腎臓で速やかに濾過されて尿中に排泄されるため、循環血液中に留まる時間はごく短くなる
- 複合体を形成した有効成分は、トランスポーターによって組織へ積極的に輸送される
正解と解説
正解:A. 多くの有効成分は血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成しており、複合体を形成している分子は薬物代謝酵素の作用で代謝されない手引きでは、多くの有効成分は血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成しており、複合体を形成している分子は薬物代謝酵素の作用で代謝されず、トランスポーターによって輸送されることもないため、代謝や分布が制限され血中濃度の低下は徐々に起こるとされている。血漿タンパク質との結合は速やかかつ可逆的で、結合と解離を繰り返す。また複合体は腎臓で濾過されないため、有効成分が長く循環血液中に留まり、作用が持続する原因となる。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問7|薬の排泄
医薬品の有効成分の排泄に関する記述として、正しいものはどれか。
- 有効成分は必ず肝臓で代謝物となってから排泄され、未変化体のまま排泄されることはない
- 汗中や母乳中への排出は、腎臓から尿中への排泄や肝臓から胆汁中への排出よりも、体内からの消失経路として重要な意義を持つものと位置づけられる
- 腎機能が低下した人では、有効成分の尿中への排泄が遅れて血中濃度が下がりにくく、効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりする
- 有効成分が未変化体のまま腎臓から尿中へ、また肝臓から胆汁中へ排出されることはあるが、肺から呼気中へ排出されることはないもの
正解と解説
正解:C. 腎機能が低下した人では、有効成分の尿中への排泄が遅れて血中濃度が下がりにくく、効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりする手引きでは、腎機能が低下した人では正常の人よりも有効成分の尿中への排泄が遅れ、血中濃度が下がりにくいため、効き目が過剰に現れたり副作用を生じやすくなったりするとされている。有効成分は未変化体のままで、あるいは代謝物として、腎臓から尿中へ、肝臓から胆汁中へ、又は肺から呼気中へ排出される。汗中や母乳中への排出は消失経路としての意義は小さいが、母乳中への移行は乳児に対する副作用の発現という点で軽視できないとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問8|血中濃度
医薬品の有効成分の血中濃度に関する記述として、正しいものはどれか。
- 血中濃度が最小有効濃度を下回った後であっても、薬効はしばらくの間持続する
- 十分な間隔をあけずに追加摂取して血中濃度を高くすれば、それに応じてより強い薬効が得られる
- 血中濃度がピークに達した後に低下していくのは、吸収・分布の速度が代謝・排泄の速度を上回るためである
- 血中濃度がある最小有効濃度(閾値)を超えたときに、生体の反応としての薬効が現れる
正解と解説
正解:D. 血中濃度がある最小有効濃度(閾値)を超えたときに、生体の反応としての薬効が現れる手引きでは、有効成分の血中濃度がある最小有効濃度(閾値)を超えたときに生体の反応としての薬効が現れるとされている。血中濃度が最小有効濃度を下回ると薬効は消失する。血中濃度を高くしても、ある濃度以上になるとより強い薬効は得られず頭打ちとなり、有害な作用は現れやすくなる。ピーク後に血中濃度が低下するのは、代謝・排泄の速度が吸収・分布の速度を上回るためであり、選択肢の記述は逆である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問9|口腔内崩壊錠
口腔内崩壊錠に関する記述として、正しいものはどれか。
- 口の中の唾液で速やかに溶ける工夫がなされているため、水なしで服用することができる
- 腸内での溶解を目的として、錠剤表面がコーティングされている
- 薬効を期待する部位が口の中や喉であり、飲み込まずに口の中で舐めて使用する
- 水分摂取が制限されている人には使用できない
正解と解説
正解:A. 口の中の唾液で速やかに溶ける工夫がなされているため、水なしで服用することができる手引きでは、口腔内崩壊錠は口の中の唾液で速やかに溶ける工夫がなされているため水なしで服用でき、固形物を飲み込むことが困難な高齢者や乳幼児、水分摂取が制限されている場合でも、口の中で溶かした後に唾液と一緒に容易に飲み込むことができるとされている。腸内での溶解を目的としたコーティングは腸溶錠、口の中や喉に薬効を期待して舐めて使用するのはトローチ剤・ドロップ剤の記述である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問10|チュアブル錠
チュアブル錠に関する記述として、正しいものはどれか。
- 必ず適切な量の水(又はぬるま湯)とともに飲み込まなければならない
- 口の中で舐めたり噛み砕いたりして服用する剤形であり、水なしでも服用できる
- 有効成分を舌下で溶解させ、口腔粘膜から吸収させる
- 噛み砕いて服用することは厳に慎まなければならない
正解と解説
正解:B. 口の中で舐めたり噛み砕いたりして服用する剤形であり、水なしでも服用できる手引きでは、チュアブル錠は口の中で舐めたり噛み砕いたりして服用する剤形であり、水なしでも服用できるとされている。必ず水とともに飲み込むのは通常の錠剤(内服)やカプセル剤の注意である。舌下で溶解させ口腔粘膜から吸収させるのは舌下錠の記述であり、噛み砕くことを厳に慎まなければならないのは腸溶錠等についての記述である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問11|錠剤の服用
錠剤(内服)に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 一定の形状に成型された固形製剤であるため、飛散させずに服用でき、有効成分の苦味や刺激性を口中で感じることなく服用できる
- 水が少なかったり水なしで服用したりすると、錠剤が喉や食道に張り付き、薬効が現れないのみならず喉や食道の粘膜を傷めるおそれがある
- 腸溶錠は、有効成分の吸収を早めるため、口中で噛み砕いて服用するとよい
- 錠剤(内服)は、胃や腸で崩壊し、有効成分が溶出することが薬効発現の前提となる
正解と解説
正解:C. 腸溶錠は、有効成分の吸収を早めるため、口中で噛み砕いて服用するとよい手引きでは、錠剤(内服)は例外的な場合を除いて口中で噛み砕いて服用してはならず、特に腸内での溶解を目的として表面をコーティングしている腸溶錠の場合等は厳に慎まなければならないとされている。したがって「噛み砕いて服用するとよい」は誤り。他の3つの選択肢は、いずれも手引きの記述のとおりで正しい。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問12|口腔用錠剤
口腔用錠剤に関する記述として、正しいものはどれか。
- トローチ剤は、口の中で舐めずに速やかに飲み込んで、胃で溶解させて使用する
- 舌下錠は、有効成分を舌下で速やかに溶解させた上で、口腔粘膜からではなく胃や腸などの消化管から吸収させることを目的とした製剤である
- ドロップ剤は、薬効を期待する部位が胃や腸であるため、口の中で舐めずに噛み砕いた上で、適切な量の水とともに服用しなければならない
- トローチ剤・ドロップ剤は、薬効を期待する部位が口の中や喉であるものが多く、飲み込まずに口の中で舐めて徐々に溶かして使用する
正解と解説
正解:D. トローチ剤・ドロップ剤は、薬効を期待する部位が口の中や喉であるものが多く、飲み込まずに口の中で舐めて徐々に溶かして使用する手引きでは、トローチ剤・ドロップ剤は薬効を期待する部位が口の中や喉であるものが多く、飲み込まずに口の中で舐めて徐々に溶かして使用するとされている。速やかに飲み込んだり水とともに服用したりするものではない。舌下錠は有効成分を舌下で溶解させ、口腔粘膜から吸収させるものであり、消化管から吸収させるという記述は誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問13|散剤・顆粒剤
散剤・顆粒剤に関する記述として、正しいものはどれか。
- 散剤等を服用するときは、飛散を防ぐため、あらかじめ少量の水(又はぬるま湯)を口に含んだ上で服用したり、何回かに分けて少しずつ服用するなどの工夫をするとよい
- 顆粒剤は粒の表面がコーティングされているものもあるので、飛散を防ぐために口の中でよく噛み砕いてから、水又はぬるま湯とともに少しずつ飲み込むようにするとよい
- 散剤は、あらかじめ少量の水(又はぬるま湯)を口に含んでから服用すれば口の中に広がらないため、錠剤に比べて苦味や渋味を感じにくく、飛散するおそれもない
- 口中に散剤が残ったときは、無理に飲み込まず、そのままにしておくのがよい
正解と解説
正解:A. 散剤等を服用するときは、飛散を防ぐため、あらかじめ少量の水(又はぬるま湯)を口に含んだ上で服用したり、何回かに分けて少しずつ服用するなどの工夫をするとよい手引きでは、散剤等を服用するときは飛散を防ぐため、あらかじめ少量の水を口に含んだ上で服用したり、何回かに分けて少しずつ服用するなどの工夫をするとよいとされている。顆粒剤は粒の表面がコーティングされているものもあるので「噛み砕かずに」水などで飲み込むのが正しい。散剤は口の中に広がって苦味や渋味を強く感じる場合があり、口中に残ったときはさらに水などを口に含み、口腔内をすすぐようにして飲み込むとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問14|経口液剤
経口液剤・シロップ剤に関する記述として、正しいものはどれか。
- 経口液剤は、有効成分が液中に溶けたり分散したりしているため、服用してから胃の中で溶け出す必要のある固形製剤に比べて、消化管からの吸収が遅い
- 経口液剤は有効成分の血中濃度が上昇しやすいため、習慣性や依存性がある成分が配合されているものでは、本来の目的と異なる不適正な使用がなされることがある
- シロップ剤は、小児用医薬品において、小児が服用しやすいようにするためではなく、苦味やにおいを強く感じさせるために白糖等の糖類を混ぜて調製したものである
- 経口液剤は、患部に直接適用する外用の液状製剤のことをいう
正解と解説
正解:B. 経口液剤は有効成分の血中濃度が上昇しやすいため、習慣性や依存性がある成分が配合されているものでは、本来の目的と異なる不適正な使用がなされることがある手引きでは、経口液剤は既に有効成分が液中に溶けたり分散したりしているため服用後比較的速やかに消化管から吸収され、血中濃度が上昇しやすいことから、習慣性や依存性がある成分が配合されているものでは不適正な使用がなされることがあるとされている。吸収が遅いという記述は逆で誤り。シロップ剤は苦味やにおいを感じにくくするため小児用医薬品で白糖等の糖類を混ぜたものであり、経口液剤は内服用の剤形である(外用の液状製剤は外用液剤)。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問15|カプセル剤
カプセル剤に関する記述として、正しいものはどれか。
- カプセルの原材料として広く用いられているゼラチンは、植物性のデンプンを主成分としているため、ゼラチンに対してアレルギーを持つ人であっても注意を要しない
- カプセル剤は、原材料のゼラチンが水なしで服用しても喉や食道に貼り付くことはないため、適切な量の水やぬるま湯を用いることなくそのまま飲み込んでよい
- カプセルの原材料のゼラチンはブタなどのタンパク質を主成分としているため、ゼラチンに対してアレルギーを持つ人は使用を避けるなどの注意が必要である
- カプセル剤は液状の内容物を包んだ製剤であり、その特徴は経口液剤とほぼ同様である
正解と解説
正解:C. カプセルの原材料のゼラチンはブタなどのタンパク質を主成分としているため、ゼラチンに対してアレルギーを持つ人は使用を避けるなどの注意が必要である手引きでは、カプセルの原材料として広く用いられているゼラチンはブタなどのタンパク質を主成分としているため、ゼラチンに対してアレルギーを持つ人は使用を避けるなどの注意が必要とされている。デンプンを主成分とするという記述は誤り。水なしで服用するとゼラチンが喉や食道に貼り付くことがあるため、必ず適切な量の水(又はぬるま湯)とともに服用する。カプセル剤は固形の製剤であり、その特徴は錠剤とほぼ同様とされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問16|軟膏とクリーム
軟膏剤とクリーム剤に関する記述として、正しいものはどれか。
- クリーム剤は油性の基剤で皮膚への刺激が弱く、適用部位を水から遮断したい場合等に用いられ、患部が乾燥していてもじゅくじゅくと浸潤していても使用できる
- 軟膏剤は油性基剤に水分を加えたもので、患部を水で洗い流したい場合等に用いられるが、皮膚への刺激が強い
- クリーム剤は油性の基剤に水分を加えたもので皮膚への刺激が弱いため、患部が乾燥していてもじゅくじゅくと浸潤していても使用でき、傷等への使用にも適している
- 軟膏剤は油性の基剤で皮膚への刺激が弱く、適用部位を水から遮断したい場合等に用いられ、患部が乾燥していてもじゅくじゅくと浸潤していても使用できる
正解と解説
正解:D. 軟膏剤は油性の基剤で皮膚への刺激が弱く、適用部位を水から遮断したい場合等に用いられ、患部が乾燥していてもじゅくじゅくと浸潤していても使用できる手引きでは、軟膏剤は油性の基剤で皮膚への刺激が弱く、適用部位を水から遮断したい場合等に用い、患部が乾燥していても浸潤していても使用できるとされている。一方、クリーム剤は油性基剤に水分を加えたもので、患部を水で洗い流したい場合等に用いられるが、皮膚への刺激が強いため傷等への使用は避ける必要がある。油性の基剤で刺激が弱いのは軟膏剤、水で洗い流したい場合に用いるのはクリーム剤であり、他の選択肢は特徴が入れ替わっているか逆の記述で誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅱ 薬が働く仕組み
問17|ショックの特徴
ショック(アナフィラキシー)に関する記述として、正しいものはどれか。
- 発症後の進行が非常に速やかであり、通常、2時間以内に急変することが特徴である
- 生体異物に対する遅延型のアレルギー反応の一種である
- 以前にその医薬品によって蕁麻疹等のアレルギーを起こしたことがある人では、起きる可能性は低い
- 症状は皮膚の痒みなど、単一の症状だけが現れることが特徴である
正解と解説
正解:A. 発症後の進行が非常に速やかであり、通常、2時間以内に急変することが特徴である手引きでは、ショック(アナフィラキシー)は発症後の進行が非常に速やかな(通常、2時間以内に急変する)ことが特徴とされている。生体異物に対する「即時型」のアレルギー反応の一種であり、遅延型ではない。以前にその医薬品で蕁麻疹等のアレルギーを起こしたことがある人で起きる可能性が「高い」。また、紅潮・熱感、痒み、蕁麻疹、しびれ感、むくみ、吐きけ、顔面蒼白、冷や汗、息苦しさなど複数の症状が現れるとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問18|SJSの症状
皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)に関する記述として、正しいものはどれか。
- 発生頻度は、人口100万人当たり年間0.4〜1.2人と報告されており、医薬品の副作用の中でも発生が非常にまれな病態である
- 38℃以上の高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる
- 発症機序の詳細がすでに解明されているため、どの医薬品でどのような人にいつ発症するかを予測することは容易である
- 最初に報告をした医師の名前にちなんで、ライエル症候群とも呼ばれている
正解と解説
正解:B. 38℃以上の高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる手引きでは、皮膚粘膜眼症候群(SJS)は38℃以上の高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる病態とされている。発生頻度は人口100万人当たり年間1〜6人であり、0.4〜1.2人は中毒性表皮壊死融解症(TEN)の頻度。発症機序の詳細は不明で発症の予測は極めて困難とされ、ライエル症候群と呼ばれるのはTENである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問19|TENの特徴
中毒性表皮壊死融解症(TEN)に関する記述として、正しいものはどれか。
- 発生頻度は人口100万人当たり年間1〜6人と報告されており、その発生頻度は皮膚粘膜眼症候群よりも高く、中毒性表皮壊死融解症のほうが多く発生することが知られている病態である
- 皮膚粘膜眼症候群とは発症機序も症状も異なる、まったく関連のない別個の病態と考えられており、その症例が皮膚粘膜眼症候群から進展したものであるとみられることはないと考えられている
- 38℃以上の高熱を伴って広範囲の皮膚に発赤が生じ、全身の10%以上に火傷様の水疱、皮膚の剥離、びらん等が認められ、かつ、口唇の発赤・びらん、眼の充血等の症状を伴う
- 最初に報告をした二人の医師の名前にちなんで、スティーブンス・ジョンソン症候群とも呼ばれ、ライエル症候群と呼ばれることはない
正解と解説
正解:C. 38℃以上の高熱を伴って広範囲の皮膚に発赤が生じ、全身の10%以上に火傷様の水疱、皮膚の剥離、びらん等が認められ、かつ、口唇の発赤・びらん、眼の充血等の症状を伴う手引きでは、中毒性表皮壊死融解症は38℃以上の高熱を伴って広範囲の皮膚に発赤が生じ、全身の10%以上に火傷様の水疱、皮膚の剥離、びらん等が認められ、かつ、口唇の発赤・びらん、眼の充血等の症状を伴う病態とされている。発生頻度は人口100万人当たり年間0.4〜1.2人であり、1〜6人はSJSの頻度。皮膚粘膜眼症候群と関連のある病態と考えられ、症例の多くがSJSの進展型とみられる。ライエル症候群とも呼ばれ、スティーブンス・ジョンソン症候群はSJSの別名である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問20|SJS・TEN共通
皮膚粘膜眼症候群及び中毒性表皮壊死融解症に関する記述として、正しいものはどれか。
- いずれも原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症するものであり、1ヶ月以上経ってから起こることはない病態である
- 皮膚症状が軽快すれば、眼や呼吸器等に障害が残ることはない
- 両眼に現れる急性結膜炎は、皮膚や粘膜の変化とほぼ同時期ではなく、必ず後になってから生じることが知られている
- いずれも原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多いが、1ヶ月以上経ってから起こることもある
正解と解説
正解:D. いずれも原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多いが、1ヶ月以上経ってから起こることもある手引きでは、皮膚粘膜眼症候群と中毒性表皮壊死融解症はいずれも原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多いが、1ヶ月以上経ってから起こることもあるとされている。皮膚症状が軽快した後も眼や呼吸器等に障害が残ることがある。また、両眼に現れる急性結膜炎は皮膚や粘膜の変化とほぼ同時期又は半日〜1日程度先行して生じることが知られており、必ず後から生じるという記述は誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問21|肝機能障害
医薬品により生じる肝機能障害に関する記述として、正しいものはどれか。
- 軽度の肝機能障害の場合、自覚症状がなく、健康診断等の血液検査(肝機能検査値の悪化)で初めて判明することが多い
- 黄疸とは、ビリルビンが尿中に排出されなくなることにより生じる、皮膚や白眼が黄色くなる病態である
- 医薬品により生じる肝機能障害は、すべてアレルギー性のものである
- 漫然と原因と考えられる医薬品を使用し続けても、肝不全のような不可逆的な病変を生じることはない
正解と解説
正解:A. 軽度の肝機能障害の場合、自覚症状がなく、健康診断等の血液検査(肝機能検査値の悪化)で初めて判明することが多い手引きでは、軽度の肝機能障害の場合は自覚症状がなく、健康診断等の血液検査で初めて判明することが多いとされている。黄疸はビリルビン(黄色色素)が胆汁中へ排出されず血液中に滞留することにより生じる病態であり、過剰となった血液中のビリルビンが尿中に排出されることで尿の色が濃くなることもある。肝機能障害は中毒性のものとアレルギー性のものに大別され、漫然と使用を続けると不可逆的な病変(肝不全)を生じ、死に至ることもあるとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問22|偽アルドステロン
偽アルドステロン症に関する記述として、正しいものはどれか。
- 副腎皮質からのアルドステロン分泌が減少しているにもかかわらず、体内にカリウムが貯留し、体からナトリウムと水が失われることによって生じる
- 副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加していないにもかかわらず、体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われることによって生じる
- 主な症状として、手足の脱力や血圧の低下、こむら返り、倦怠感、むくみ(浮腫)等がみられ、病態が進行すると筋力低下、起立不能、歩行困難、痙攣等を生じる
- 低身長、低体重など体表面積が小さい者や高齢者では、生じにくいことが知られている
正解と解説
正解:B. 副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加していないにもかかわらず、体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われることによって生じる手引きでは、偽アルドステロン症は体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われることによって生じる病態で、副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加していないにもかかわらずこのような状態となることから偽アルドステロン症と呼ばれるとされている。カリウムとナトリウムを逆にした記述は誤り。主な症状には血圧上昇が含まれ、血圧低下ではない。また、低身長・低体重など体表面積が小さい者や高齢者で生じやすいとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問23|偽アルドの症状
偽アルドステロン症の症状等に関する記述として、正しいものはどれか。
- 原因医薬品を長期にわたって服用した後に初めて発症することはなく、服用を開始した直後に限って現れる
- 複数の医薬品を併用した場合に起きることはあるが、医薬品と食品との間の相互作用によって起きることはない
- 主な症状に手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、こむら返り、倦怠感、むくみ(浮腫)等があり、病態が進行すると筋力低下、起立不能、歩行困難、痙攣等を生じる
- 低身長、低体重など体表面積が小さい者では生じやすいものの、高齢者では生じにくいことが知られている
正解と解説
正解:C. 主な症状に手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、こむら返り、倦怠感、むくみ(浮腫)等があり、病態が進行すると筋力低下、起立不能、歩行困難、痙攣等を生じる手引きでは、偽アルドステロン症の主な症状として手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、こむら返り、倦怠感、手足のしびれ、頭痛、むくみ(浮腫)、喉の渇き、吐きけ・嘔吐等が挙げられ、病態が進行すると筋力低下、起立不能、歩行困難、痙攣等を生じるとされている。原因医薬品の長期服用後に初めて発症する場合もあり、複数の医薬品や、医薬品と食品との間の相互作用によって起きることもある。低身長、低体重など体表面積が小さい者や高齢者で生じやすいとされており、他の選択肢はいずれも誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問24|抵抗力の低下
医薬品の副作用による病気等に対する抵抗力の低下等に関する記述として、正しいものはどれか。
- 医薬品の使用が原因で血液中の赤血球が減少し、細菌やウイルスの感染に対する抵抗力が弱くなって、突然の高熱、悪寒、喉の痛み、口内炎等の症状を呈することがある
- 初期症状は突然の高熱や悪寒、喉の痛みであり、かぜ等の症状とは明確に区別することができる
- ステロイド性抗炎症薬や抗癌薬を含め、医薬品が易感染性をもたらすことは知られていない
- 医薬品の使用が原因で血液中の白血球(好中球)が減少し、細菌やウイルスの感染に対する抵抗力が弱くなって、突然の高熱、悪寒、喉の痛み、口内炎、倦怠感等の症状を呈することがある
正解と解説
正解:D. 医薬品の使用が原因で血液中の白血球(好中球)が減少し、細菌やウイルスの感染に対する抵抗力が弱くなって、突然の高熱、悪寒、喉の痛み、口内炎、倦怠感等の症状を呈することがある手引きでは、医薬品の使用が原因で血液中の白血球(好中球)が減少し、細菌やウイルスの感染に対する抵抗力が弱くなって、突然の高熱、悪寒、喉の痛み、口内炎、倦怠感等の症状を呈することがあるとされている。減少するのは白血球(好中球)であり赤血球ではない。初期においてはかぜ等の症状と見分けることが難しく、使用を漫然と継続して悪化させる場合がある。ステロイド性抗炎症薬や抗癌薬などが易感染性をもたらすことが知られている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問25|精神神経障害
医薬品の副作用として現れる精神神経症状に関する記述として、正しいものはどれか。
- 精神神経症状は、医薬品の大量服用や長期連用等の不適正な使用がなされた場合に限らず、通常の用法・用量でも発生することがある
- 眠気は軽い副作用であるため、眠気を催す医薬品を使用した後でも、乗物の運転操作をして差し支えない
- 精神神経症状は、乳幼児への適用外の使用では生じない
- 医薬品の副作用として、不眠や不安が生じることはない
正解と解説
正解:A. 精神神経症状は、医薬品の大量服用や長期連用等の不適正な使用がなされた場合に限らず、通常の用法・用量でも発生することがある手引きでは、精神神経症状は医薬品の大量服用や長期連用、乳幼児への適用外の使用等の不適正な使用がなされた場合に限らず、通常の用法・用量でも発生することがあるとされている。眠気は比較的軽視されがちだが、乗物や危険な機械類の運転操作中に眠気を生じると重大な事故につながる可能性が高いため、眠気を催す医薬品の使用後はそのような作業に従事しないよう十分注意が必要である。副作用として不眠、不安、震え(振戦)、興奮、眠気、うつ等を生じることがあるとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問26|無菌性髄膜炎
無菌性髄膜炎に関する記述として、正しいものはどれか。
- 髄膜炎のうち、髄液に細菌が検出されるものを無菌性髄膜炎という
- 多くの場合発症は急性で、首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、発熱、吐きけ・嘔吐、意識混濁等の症状が現れる
- 医薬品の副作用が原因の場合には、全身性エリテマトーデスや関節リウマチ等の基礎疾患がない人で発症リスクが高い
- 無菌性髄膜炎の大部分は、髄液から検出される細菌が原因と考えられており、ウイルスや医薬品が原因となることはない
正解と解説
正解:B. 多くの場合発症は急性で、首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、発熱、吐きけ・嘔吐、意識混濁等の症状が現れる手引きでは、無菌性髄膜炎の発症は多くの場合急性で、首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、発熱、吐きけ・嘔吐、意識混濁等の症状が現れるとされている。無菌性髄膜炎は髄膜炎のうち髄液に細菌が「検出されない」ものをいい、大部分はウイルスが原因と考えられている。医薬品の副作用が原因の場合は、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、関節リウマチ等の基礎疾患がある人で発症リスクが高いとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問27|髄膜炎の予後
医薬品の副作用による無菌性髄膜炎の経過に関する記述として、正しいものはどれか。
- 早期に原因医薬品の使用を中止した場合であっても回復することはなく、予後は不良であることがほとんどである
- 重篤な中枢神経系の後遺症が残った例は、これまでに報告されていない
- 過去に軽度の症状を経験した人の場合、再度同じ医薬品を使用することにより再発し、急激に症状が進行する場合がある
- 全身性エリテマトーデスや関節リウマチ、混合性結合組織病等の基礎疾患がある人では、かえって発症のリスクが低くなる
正解と解説
正解:C. 過去に軽度の症状を経験した人の場合、再度同じ医薬品を使用することにより再発し、急激に症状が進行する場合がある手引きでは、過去に軽度の無菌性髄膜炎の症状を経験した人が再度同じ医薬品を使用することにより再発し、急激に症状が進行する場合があるとされている。早期に原因医薬品の使用を中止すれば速やかに回復し、予後は比較的良好であることがほとんどだが、重篤な中枢神経系の後遺症が残った例も報告されている。全身性エリテマトーデス等の基礎疾患がある人では発症リスクが「高い」とされており、低いという記述は誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問28|消化性潰瘍
医薬品の副作用による消化性潰瘍に関する記述として、正しいものはどれか。
- 消化性潰瘍では必ず強い自覚症状が現れるため、自覚症状がなければ発症は否定でき、貧血症状の検査時に偶然発見されることもない
- 消化性潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜組織が傷害され、その一部が粘膜筋板を超えることなく軽度に欠損した状態をいうもの
- 消化管出血に伴って、糞便が白くなることが特徴的な症状として知られている
- 胃のもたれ、食欲低下、胸やけ、吐きけ、胃痛、空腹時にみぞおちが痛くなる、消化管出血に伴って糞便が黒くなるなどの症状が現れる
正解と解説
正解:D. 胃のもたれ、食欲低下、胸やけ、吐きけ、胃痛、空腹時にみぞおちが痛くなる、消化管出血に伴って糞便が黒くなるなどの症状が現れる手引きでは、消化性潰瘍になると胃のもたれ、食欲低下、胸やけ、吐きけ、胃痛、空腹時にみぞおちが痛くなる、消化管出血に伴って糞便が黒くなるなどの症状が現れるとされている。糞便は黒くなるのであって白くなるのではない。消化性潰瘍は胃や十二指腸の粘膜組織が傷害されて、粘膜組織の一部が粘膜筋板を「超えて」欠損する状態である。自覚症状が乏しい場合もあり、貧血症状の検査時や突然の吐血・下血によって発見されることもあるとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問29|イレウス様症状
イレウス様症状(腸閉塞様症状)に関する記述として、正しいものはどれか。
- 腸管自体が閉塞していなくても、医薬品の作用によって腸管運動が麻痺して腸内容物の通過が妨げられると、激しい腹痛やガス排出(おなら)の停止、嘔吐、腹部膨満感を伴う著しい便秘が現れる
- 腹痛やガス排出の停止などの症状があっても、嘔吐がなければ水分や食物の摂取が抑制されることはないため、脱水状態となることはない
- 普段から便秘傾向のある人は腸管運動が緩やかで腸内容物の通過が妨げられにくいため、発症のリスクは低い
- 小児や高齢者では腸管運動が活発であるため、イレウス様症状を発症するリスクはない
正解と解説
正解:A. 腸管自体が閉塞していなくても、医薬品の作用によって腸管運動が麻痺して腸内容物の通過が妨げられると、激しい腹痛やガス排出(おなら)の停止、嘔吐、腹部膨満感を伴う著しい便秘が現れる手引きでは、イレウスとは腸内容物の通過が阻害された状態をいい、腸管自体は閉塞していなくても、医薬品の作用によって腸管運動が麻痺すると、激しい腹痛やガス排出の停止、嘔吐、腹部膨満感を伴う著しい便秘が現れるとされている。腹痛などの症状のために水分や食物の摂取が抑制され、嘔吐がない場合でも脱水状態となることがある。小児や高齢者のほか、普段から便秘傾向のある人は発症のリスクが「高い」とされており、リスクが低い・リスクがないという記述は誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問30|間質性肺炎
間質性肺炎に関する記述として、正しいものはどれか。
- 気管支又は肺胞が細菌に感染して炎症を生じたもので、息切れ・息苦しさ等の呼吸困難や空咳、発熱等の症状を呈するが、肺胞を取り囲む間質には炎症が及ばないものをいう
- 肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織(間質)が炎症を起こしたもので、息切れ・息苦しさ等の呼吸困難、空咳(痰の出ない咳)、発熱等の症状を呈する
- 一般的に、医薬品の使用開始から半年程度経ってから起きることが多い
- 症状は空咳(痰の出ない咳)と発熱が中心であるため、かぜや気管支炎の症状とは容易に区別することができる
正解と解説
正解:B. 肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織(間質)が炎症を起こしたもので、息切れ・息苦しさ等の呼吸困難、空咳(痰の出ない咳)、発熱等の症状を呈する手引きでは、間質性肺炎は肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織(間質)が炎症を起こしたもので、ガス交換効率が低下して体内は低酸素状態となり、息切れ・息苦しさ等の呼吸困難、空咳、発熱等の症状を呈するとされている。気管支又は肺胞が細菌に感染して炎症を生じるのは通常の肺炎である。一般的に医薬品の使用開始から1〜2週間程度で起きることが多く、症状はかぜや気管支炎と区別が難しいこともあるとされており、半年程度・容易に区別できるという記述は誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問31|間質性肺炎経過
間質性肺炎の経過に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 息切れは、初期には登坂等の運動時に感じられるが、病態が進行すると平地歩行や家事等の軽労作時にも意識されるようになる
- 悪化すると、肺線維症(肺が線維化を起こして硬くなる状態)に移行することがある
- 発熱を必ず伴う
- 症状が一過性に現れ、自然と回復することもある
正解と解説
正解:C. 発熱を必ず伴う手引きでは、間質性肺炎について「必ずしも発熱は伴わない」とされているため、「発熱を必ず伴う」は誤りでこれが答え。息切れは初期には登坂等の運動時に感じられ、病態が進行すると平地歩行や家事等の軽労作時にも意識されるようになる。症状が一過性に現れ自然と回復することもあるが、悪化すると肺線維症に移行することがあるとされており、他の3つの選択肢は手引きの記述のとおり正しい。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問32|喘息の副作用
医薬品の副作用として現れる喘息に関する記述として、正しいものはどれか。
- 原因となる医薬品の使用後、1週間程度経ってから鼻水・鼻づまりが現れ、続いて咳、喘鳴及び呼吸困難を生じ、重症例でも半日程度で回復する
- アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症成分を含む内服薬でのみ誘発されるものであり、坐薬や外用薬によって誘発されることはない
- 重症例であっても、半日程度で回復し、24時間以上持続することはない
- 原因となる医薬品の使用後、短時間(1時間以内)のうちに鼻水・鼻づまりが現れ、続いて咳、喘鳴及び呼吸困難を生じる
正解と解説
正解:D. 原因となる医薬品の使用後、短時間(1時間以内)のうちに鼻水・鼻づまりが現れ、続いて咳、喘鳴及び呼吸困難を生じる手引きでは、原因となる医薬品(アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症成分を含む解熱鎮痛薬など)の使用後、短時間(1時間以内)のうちに鼻水・鼻づまりが現れ、続いて咳、喘鳴及び呼吸困難を生じるとされている。1週間程度経ってからではない。内服薬のほか坐薬や外用薬でも誘発されることがある。軽症例は半日程度で回復するが、重症例は24時間以上持続し、窒息による意識消失から死に至る危険もあるとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問33|うっ血性心不全
うっ血性心不全に関する記述として、正しいものはどれか。
- 息切れ、疲れやすい、足のむくみ、急な体重の増加、咳とピンク色の痰などを認めた場合は、うっ血性心不全の可能性を疑い、早期に医師の診療を受ける必要がある
- 全身が必要とする量の血液を心臓から送り出すことができなくなり、肝臓に血液が貯留して、息切れや足のむくみ、疲れやすさなどの種々の症状を示す疾患である
- 心不全の既往がある人であっても、薬剤による心不全を起こしにくいことが知られている
- 急な体重の減少と、咳とピンク色の痰が、特徴的な症状の一つ
正解と解説
正解:A. 息切れ、疲れやすい、足のむくみ、急な体重の増加、咳とピンク色の痰などを認めた場合は、うっ血性心不全の可能性を疑い、早期に医師の診療を受ける必要がある手引きでは、息切れ、疲れやすい、足のむくみ、急な体重の増加、咳とピンク色の痰などを認めた場合は、うっ血性心不全の可能性を疑い、早期に医師の診療を受ける必要があるとされている。うっ血性心不全は血液が貯留するのは「肺」であり、肝臓ではない。心不全の既往がある人は薬剤による心不全を「起こしやすい」とされている。特徴的な症状は急な体重の「増加」であり、減少ではない。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問34|不整脈
医薬品の副作用として現れる不整脈に関する記述として、正しいものはどれか。
- めまいや立ちくらみ、動悸などの不整脈の症状が現れた場合であっても、直ちに医薬品の使用を中止する必要はなく、そのまま使用を続けてよい
- 失神(意識消失)した場合は、生死に関わる危険な不整脈を起こしている可能性があるので、自動体外式除細動器(AED)の使用を考慮するとともに、直ちに救急救命処置が可能な医療機関を受診する必要がある
- 腎機能や肝機能の低下といった代謝機能の低下によって不整脈の発症リスクが高まることはないため、併用薬との相互作用に留意する必要もない
- めまいや立ちくらみ、動悸、息切れ、胸部の不快感は、不整脈の症状には含まれない
正解と解説
正解:B. 失神(意識消失)した場合は、生死に関わる危険な不整脈を起こしている可能性があるので、自動体外式除細動器(AED)の使用を考慮するとともに、直ちに救急救命処置が可能な医療機関を受診する必要がある手引きでは、不整脈の種類によっては失神(意識消失)することもあり、その場合は生死に関わる危険な不整脈を起こしている可能性があるので、AEDの使用を考慮するとともに直ちに救急救命処置が可能な医療機関を受診する必要があるとされている。不整脈ではめまい、立ちくらみ、全身のだるさ、動悸、息切れ、胸部の不快感、脈の欠落等の症状が現れ、症状が現れたときは直ちに使用を中止して速やかに受診する。また代謝機能の低下によって発症リスクが高まることがあるため、腎機能や肝機能の低下、併用薬との相互作用等に留意すべきとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問35|排尿困難・尿閉
医薬品の副作用として現れる排尿困難・尿閉に関する記述として、正しいものはどれか。
- 交感神経系の機能を抑制する作用がある成分が配合された医薬品を使用したときに現れることが知られている副作用である
- 前立腺肥大等の基礎疾患がある人に限って現れるものであり、基礎疾患がない人で現れることはない
- 進行すると、尿意があるのに尿が全く出なくなったり(尿閉)、下腹部が膨満して激しい痛みを感じるようになる
- 男性のみに現れる副作用であり、女性において報告された例はない
正解と解説
正解:C. 進行すると、尿意があるのに尿が全く出なくなったり(尿閉)、下腹部が膨満して激しい痛みを感じるようになる手引きでは、排尿困難が進行すると、尿意があるのに尿が全く出なくなったり(尿閉)、下腹部が膨満して激しい痛みを感じるようになるとされている。原因となるのは「副交感神経系」の機能を抑制する作用がある成分が配合された医薬品であり、交感神経系ではない。これらの症状は前立腺肥大等の基礎疾患がない人でも現れることが知られており、男性に限らず女性においても報告されているため、他の選択肢は誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問36|急性緑内障発作
医薬品の副作用としての眼圧上昇(急性緑内障発作)に関する記述として、正しいものはどれか。
- 抗コリン作用がある成分が配合された医薬品によって、眼圧が低下することが知られている
- 高眼圧を長時間放置した場合であっても、視神経が損傷することはないため、視野欠損や失明などの視覚障害に至ることはない
- 眼房水の出口である隅角が広くなっている閉塞隅角緑内障の診断を受けた人では、特に厳重な注意が必要である
- 眼圧が上昇し、眼痛や眼の充血に加え、急激な視力低下を来すことがあり、頭痛や吐きけ・嘔吐等の症状が現れることもある
正解と解説
正解:D. 眼圧が上昇し、眼痛や眼の充血に加え、急激な視力低下を来すことがあり、頭痛や吐きけ・嘔吐等の症状が現れることもある手引きでは、抗コリン作用がある成分が配合された医薬品によって眼圧が上昇し(急性緑内障発作)、眼痛や眼の充血に加え、急激な視力低下を来すことがあり、眼圧の上昇に伴って頭痛や吐きけ・嘔吐等の症状が現れることもあるとされている。眼圧は上昇するのであって低下ではない。特に厳重な注意が必要なのは眼房水の出口である隅角が「狭く」なっている閉塞隅角緑内障がある人である。高眼圧を長時間放置すると視神経が損傷して「不可逆的」な視覚障害(視野欠損や失明)に至るおそれがあるとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問37|接触皮膚炎
接触皮膚炎に関する記述として、正しいものはどれか。
- 接触皮膚炎は医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じ、正常な皮膚との境界がはっきりしているのが特徴である
- アレルギー性皮膚炎の場合も、発症部位は医薬品が接触した部位に限定され、正常な皮膚との境界がはっきりしている
- 同じ医薬品が皮膚に触れた場合には、その人の体質にかかわらず誰でも同じように発症する
- 通常は1週間程度で症状が治まり、その後に再びその医薬品に触れたとしても再発することはない
正解と解説
正解:A. 接触皮膚炎は医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じ、正常な皮膚との境界がはっきりしているのが特徴である手引きでは、接触皮膚炎は医薬品が触れた皮膚の部分にのみ生じ、正常な皮膚との境界がはっきりしているのが特徴とされている。これに対しアレルギー性皮膚炎の場合は、発症部位は医薬品の接触部位に限定されない。接触皮膚炎はいわゆる「肌に合わない」という状態であり、同じ医薬品が触れても発症するか否かはその人の体質によって異なる。通常は1週間程度で症状は治まるが、再びその医薬品に触れると再発するとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問38|光線過敏症
光線過敏症に関する記述として、正しいものはどれか。
- 症状は医薬品が触れた部分に限定され、全身へ広がることはない
- 貼付剤の場合は、剥がした後でも発症することがある
- 遮光には、白い生地や薄手の服を用いるのが適している
- 太陽光線(紫外線)に曝されなくても起こるかぶれ症状を、光線過敏症という
正解と解説
正解:B. 貼付剤の場合は、剥がした後でも発症することがある手引きでは、光線過敏症について、貼付剤の場合は剥がした後でも発症することがあるとされている。光線過敏症は、かぶれ症状が太陽光線(紫外線)に曝されて初めて起こるものをいい、その症状は医薬品が触れた部分だけでなく全身へ広がって重篤化する場合がある。症状が現れた場合は使用を中止して患部を十分に洗浄し、遮光して速やかに受診する必要があるが、白い生地や薄手の服は紫外線を透過するおそれがあるので遮光には不可とされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問39|薬疹の特徴
薬疹に関する記述として、正しいものはどれか。
- 薬疹を生じる可能性がある医薬品は、ごく限られた種類のものだけである
- 薬疹では、蕁麻疹に限らず、常に強い痒みを伴う
- 薬疹は医薬品の使用後1〜2週間で起きることが多いが、長期使用後に現れることもある
- 同じ医薬品であれば、生じる発疹の型は誰でも同じである
正解と解説
正解:C. 薬疹は医薬品の使用後1〜2週間で起きることが多いが、長期使用後に現れることもある手引きでは、薬疹は医薬品の使用後1〜2週間で起きることが多いが、長期使用後に現れることもあるとされている。薬疹はあらゆる医薬品で起きる可能性があり、同じ医薬品でも生じる発疹の型は人によって様々である。また、蕁麻疹は強い痒みを伴うが、それ以外の場合は痒みがないか、たとえあったとしてもわずかなことが多いとされており、常に強い痒みを伴うという記述は誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
問40|薬疹への対応
薬疹への対応等に関する記述として、正しいものはどれか。
- 痒み等の症状に対しては、原因の特定を容易にするために、一般の生活者が自己判断で対症療法を行うことが推奨されており、専門家に相談する必要はない
- 以前に薬疹を経験したことがある人が再度同種の医薬品を使用しても、ショック(アナフィラキシー)や皮膚粘膜眼症候群等の重篤なアレルギー反応を生じるおそれはない
- 薬疹は医薬品の使用そのものによってのみ現れるものであり、暴飲暴食や肉体疲労が誘因となることはない
- 発熱を伴って眼や口腔粘膜に異常が現れた場合は、急速に皮膚粘膜眼症候群や中毒性表皮壊死融解症等の重篤な病態へ進行することがあるので、厳重な注意が必要である
正解と解説
正解:D. 発熱を伴って眼や口腔粘膜に異常が現れた場合は、急速に皮膚粘膜眼症候群や中毒性表皮壊死融解症等の重篤な病態へ進行することがあるので、厳重な注意が必要である手引きでは、特に発熱を伴って眼や口腔粘膜に異常が現れた場合は、急速に皮膚粘膜眼症候群や中毒性表皮壊死融解症等の重篤な病態へ進行することがあるので厳重な注意が必要とされている。痒み等の症状に対して一般の生活者が自己判断で対症療法を行うことは、原因の特定を困難にするおそれがあるため避けるべきである。以前薬疹を経験した人が再度同種の医薬品を使用すると、ショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症等のより重篤なアレルギー反応を生じるおそれがあり、薬疹を経験したことがない人でも暴飲暴食や肉体疲労が誘因となって現れることがあるとされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第2章 Ⅲ 症状からみた主な副作用
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※ 解説は学習用の情報提供です。最新の出題範囲・制度は必ず公式発表をご確認ください。
※ 出題は厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成・令和8年4月一部改訂)に沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題です。医療上の助言ではありません。試験は都道府県ごとに実施され、日程・合格基準の細部は都道府県により異なります。最新の情報は各都道府県の公表をご確認ください。