クラウド・AI・Python CLOUD / AI / PYTHON
AIの歴史と基本問題
講義 3 本・確認問題 30 問 | 本試験では「G検定」(0問)の一部 | 最終更新 2026-09-24
この章で学ぶこと- 人工知能・機械学習・ディープラーニングの入れ子の関係、人工知能のレベルの4分類、そしてディープラーニングがどう伸びてきたかが分かります。
- フレーム問題とシンボルグラウンディング問題、チューリングテストと中国語の部屋。取り違えやすい対を、どこが違うのかで押さえます。
- 迷路の解き方、専門家の知識を書き写したシステム、そしてデータから学ぶ側へ。3つの中項目を一本の流れで押さえます。
1. 人工知能とは何か、そしてディープラーニングまで
人工知能・機械学習・ディープラーニングの入れ子の関係、人工知能のレベルの4分類、そしてディープラーニングがどう伸びてきたかが分かります。
G検定の出題範囲は「G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版」で、この版は2026年5月11日に出されたものです。範囲の最初に置かれているのが「人工知能とは」という大項目で、その1つ目の中項目が「1. 人工知能の定義」です。ここで求められているのは、シラバスの目標欄によれば「人工知能とは何か、具体例を用いて説明できる」「人工知能のレベルを『単純な制御プログラム』『古典的な人工知能』『機械学習』『深層学習』の4つに分類し、それぞれがどのようなものか説明することができる」「AI効果を説明できる」「人工知能とロボットの違いを説明できる」の4つです。つまり定義の一文を丸暗記する試験ではなく、具体例で説明できるか、似たものと区別できるかを見る試験だ、と読み取れます。
まず押さえるのが3つの語の入れ子の関係です。いちばん広い枠が人工知能で、その中の一つのやり方が機械学習、さらにその中で層を深く重ねたニューラルネットワークを使うものがディープラーニングです。シラバスの「1. 人工知能の定義」には、この3語が AI効果・エージェント と並んでキーワードとして置かれています。機械学習を最も広い枠にしたり、ディープラーニングと機械学習を並列に置いたりする説明は、この包含の向きを取り違えたものです。ディープラーニングは機械学習の外にある別の何かではなく、機械学習の中の一つのやり方だ、と繰り返し確認してください。
次が人工知能のレベルの4分類です。シラバスの目標欄に書かれているとおり、「単純な制御プログラム」「古典的な人工知能」「機械学習」「深層学習」の4つです。単純な制御プログラムは、どういう条件のときにどう動くかという対応を、人がすべて書き切ってしまうものです。設定温度で入切する温度調節のような仕組みが当てはまります。古典的な人工知能は、場合分けの数が多く、探索したり蓄えておいた知識を引いたりして対応を選ぶものです。機械学習は、対応を人が書き切るのをやめて、データから規則性を見つけさせるものです。深層学習はそのうち、層を深く重ねたネットワークを使って、より抽象的な表現を段階的に取り出していくものです。この4つは上に行くほど、人が書き下す部分が減り、データに任せる部分が増えていきます。同じ用途の製品でも世代によってどのレベルにあたるかが変わるので、製品の名前ではなく中の決まり方で見分けます。
AI効果は、シラバスが「説明できる」ことを名指しで求めている数少ない語です。人工知能の成果とされたものでも、仕組みが解明されて中身が分かってしまうと「これは単なる自動処理であって知能ではない」と受け取られ、評価が下がっていく現象を指します。かつては知的な成果と言われた処理が、普及すると当たり前の技術として扱われ、人工知能とは呼ばれなくなっていく、という形で現れます。よく取り違えられるのがシンギュラリティで、こちらは人工知能が人間の知能を超えてその先が見通せなくなる転換点をめぐる議論であり、「2. 人工知能分野で議論される問題」のキーワードです。AI効果は評価の下がり方の話、シンギュラリティは将来の転換点の話で、置かれている中項目からして別物です。
エージェントも「1. 人工知能の定義」のキーワードです。環境を観測し、目標に向けて自分で次の行動を選ぶ主体を指す見方で、人工知能を「どういう仕組みで作られているか」ではなく「どう振る舞うか」から捉えるための語です。この見方をとると、中身が探索であっても学習であっても、環境を見て行動を選んでいるならエージェントとして同じ枠で語れます。画面上の操作の入口や、データを整える担当者のことではありません。
「人工知能とロボットの違いを説明できる」という目標も、シラバスに直接書かれています。ロボットは体を持つ機械そのものを指し、人工知能はその中で判断を担う部分にあたります。この2つは重なることはあっても同じものではありません。体を持たずソフトウェアだけで動く人工知能はいくらでもありますし、逆に、決められた動きを繰り返すだけで人工知能を含まないロボットもあります。判断する側と体にあたる側を入れ替えないように気をつけてください。
大項目「人工知能をめぐる動向」の最後にあたる「6. ディープラーニング」には、ImageNet・ILSVRC・LeNet・アルファ碁(AlphaGo)・人間の神経回路・ネオコグニトロン・生成AI が並んでいます。ImageNet は大量の画像に分類のラベルを付けた大規模なデータセット、ILSVRC はそれを使って画像認識の精度を競った競技会です。データセットと競技会という関係なので、対にして覚えます。LeNet は手書きの数字を認識するために作られた、畳み込みを用いたニューラルネットワークです。ネオコグニトロンは、人間の神経回路のはたらきに着想を得て、層を重ねて視覚の情報を段階的に扱おうとしたモデルで、シラバスが「人間の神経回路」という語をすぐ隣に置いているのは、層を重ねるという発想がどこから来たのかを押さえさせるためだと読めます。アルファ碁(AlphaGo)は囲碁の対局で人間のトップ棋士に勝ったプログラム、生成AI は文章や画像などを新しく作り出すものの総称です。生成AI は第1.3版でこの位置に入った語で、それ以前は同じ枠に「LLM(大規模言語モデル)」が置かれていました。
この中項目の目標は「ディープラーニングがどのように発展してきたのか、その歴史を説明できる」ことです。歴史をたどるときは、大項目「人工知能をめぐる動向」の中項目が「3. 探索・推論」「4. 知識表現とエキスパートシステム」「5. 機械学習」「6. ディープラーニング」の順に並んでいることが、そのまま流れの見取り図になります。解き方の手順を人が組み立てる段階、専門家の知識を人が書き出す段階、データから規則性を学ばせる段階、そして層を深く重ねる段階、という順です。人が書き下す側からデータに学ばせる側へ、重心が移ってきたと捉えると全体が一本につながります。なお、この流れを「第何次の」と数える言い方はシラバスには一度も出てきません。本ラボでも中項目の名前でそのまま呼びます。
人工知能のレベルの4分類(シラバス「1. 人工知能の定義」の目標に挙げられている4つ)| レベル | 動きの決まり方 | 例として語られるもの |
|---|
| 単純な制御プログラム | 条件と動作の対応を人がすべて書き切る | 設定温度で入切する温度調節 |
| 古典的な人工知能 | 場合分けや探索、蓄えた知識で対応を選ぶ | 経路を探す掃除機、診断のプログラム |
| 機械学習 | データから規則性を見つけて判断する | 迷惑メールの振り分け |
| 深層学習 | 層を深く重ねたネットワークで表現を学ぶ | 画像認識、生成AI |
用語
- 人工知能
- シラバス「1. 人工知能の定義」のキーワード。目標では定義の暗記ではなく、具体例を用いて説明できることが求められている。
- 機械学習
- 人工知能に含まれるやり方の一つで、対応を人が書き切る代わりにデータから規則性を見つけさせるもの。
- ディープラーニング
- 機械学習に含まれるやり方の一つで、層を深く重ねたニューラルネットワークを用いるもの。深層学習ともいう。
- AI効果
- 仕組みが解明されると「単なる自動処理であって知能ではない」と受け取られ、評価が下がっていく現象。シラバスが説明できることを求めている語。
- エージェント
- 環境を観測し、目標に向けて自分で次の行動を選ぶ主体。人工知能を振る舞いの側から捉えるための語。
- 単純な制御プログラム
- 人工知能のレベルの4分類の1つ目。条件と動作の対応を人がすべて書き切ってしまうもの。
- 古典的な人工知能
- 人工知能のレベルの4分類の2つ目。場合分けが多く、探索や蓄えた知識で対応を選ぶもの。
- ImageNet
- 大量の画像に分類のラベルを付けた大規模なデータセット。「6. ディープラーニング」のキーワード。
- ILSVRC
- ImageNet を使って画像認識の精度を競った競技会。データセットである ImageNet とは役割が異なる。
- LeNet
- 手書きの数字を認識するために作られた、畳み込みを用いたニューラルネットワーク。
- ネオコグニトロン
- 人間の神経回路のはたらきに着想を得て、層を重ねて視覚の情報を段階的に扱おうとしたモデル。
- 人間の神経回路
- 「6. ディープラーニング」のキーワード。層を重ねるという発想の出どころを示すために置かれている。
- アルファ碁(AlphaGo)
- 囲碁の対局で人間のトップ棋士に勝ったプログラム。ディープラーニングの力を広く知らせた例として挙げられる。
- 生成AI
- 文章や画像などを新しく作り出すものの総称。第1.3版で「6. ディープラーニング」に入った語。
例題
例題:シラバスは「生成AI」という語を、応用例をまとめた章ではなく、大項目「人工知能をめぐる動向」の「6. ディープラーニング」に置いている。この置き方から何が読み取れるか。
答えと考え方 「6. ディープラーニング」の目標は「ディープラーニングがどのように発展してきたのか、その歴史を説明できる」ことである。つまりこの中項目は、個々の技術の使い方ではなく、発展の道筋を並べる場所になっている。ImageNet・ILSVRC・LeNet・ネオコグニトロン・アルファ碁(AlphaGo)と同じ列に生成AIが置かれているということは、生成AIを流行りの製品としてではなく、その道筋の到達点として位置づけている、と読める。なお、この枠には第1.2版まで「LLM(大規模言語モデル)」が置かれており、第1.3版で「生成AI」に変わった。より広い言い方に置き換わったわけで、ここからも特定の製品ではなく流れを問いたいという意図が読み取れる。
例題:この教材では、人工知能の歴史を、盛り上がった時期に番号を振って呼ぶ市販教材の言い方に合わせていない。なぜか。そのかわり、どう呼べばよいか。
答えと考え方 市販の教材でよく使われる、盛り上がりの時期に番号を振る呼び名が、シラバス2024第1.4版の全文に一度も出てこないためである。呼び名そのものがシラバスに無い以上、それを正解にも誤答にも使うと、範囲の外の知識を問うことになってしまう。かわりに、大項目「人工知能をめぐる動向」の中項目の名前をそのまま使う。「3. 探索・推論」の時代、「4. 知識表現とエキスパートシステム」の時代、「5. 機械学習」から「6. ディープラーニング」への時代、という言い方である。この呼び方には実利もあって、それぞれの時代に何が中心だったのかが名前そのものに書いてあるため、どの用語がどの時代の話かを取り違えにくくなる。
出典・根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 1. 人工知能の定義/一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 6. ディープラーニング
2. 人工知能分野で議論される問題
フレーム問題とシンボルグラウンディング問題、チューリングテストと中国語の部屋。取り違えやすい対を、どこが違うのかで押さえます。
大項目「人工知能とは」の2つ目の中項目が「2. 人工知能分野で議論される問題」です。目標は「人工知能分野で議論されている代表的な問題について説明できる」「汎用的な人工知能の実現可能性について、いくつかの例を取り上げて説明できる」の2つです。ここに並ぶキーワードは、シンギュラリティ・シンボルグラウンディング問題・身体性・ダートマス会議・トイ・プロブレム・知識獲得のボトルネック・チューリングテスト・中国語の部屋・強いAIと弱いAI・統計的機械翻訳・フレーム問題・ルールベース機械翻訳・ローブナーコンテストの13語です。技術の作り方ではなく、人工知能に何ができて何ができないのかを問う議論が中心で、名前の似た対が多く、取り違えがそのまま失点になります。
ダートマス会議は1956年に開かれた研究会議で、artificial intelligence(人工知能)という言葉が初めて公に使われた場として語られます。ここで気をつけるのは、チューリングテストの提案は1950年の論文であって、ダートマス会議より前の別の出来事だという点です。この2つを結びつけた選択肢が用意されやすいので、年と出来事を分けて覚えます。
チューリングテストは、判定者が文字だけのやり取りで人間と機械を見分けられなければ、その機械に知能があるとみなす、という判定の方法です。要点は、知能とは何かという定義を与えたのではなく、外から見える振る舞いで判定しようという手続きを提案したところにあります。このテストを実際に競技の形で行ったのがローブナーコンテストで、こちらも同じ中項目のキーワードです。テストそのものとコンテストを混ぜないようにします。
中国語の部屋は、そのチューリングテストへの批判として出された思考実験です。中国語を知らない人が部屋に入り、マニュアルに従って記号を並べ替えて返事を返す。外から見れば中国語で受け答えしているように見えるが、その人は中国語を理解していない。つまり振る舞いが人間と区別できなくても、理解しているとは限らない、という主張です。ここは取り違えが多いところで、中国語の部屋は強いAIを支える根拠ではなく、強いAIへの反論です。向きを逆に覚えていると、選択肢を読んでそのまま引っかかります。
強いAIと弱いAIは、機械に心や理解があるかどうかで分ける区別です。強いAIは本当に理解していると考える立場、弱いAIは理解しているように振る舞う道具にすぎないと考える立場を指します。これと似て非なるのが汎用と特化の区別で、こちらはどれだけ広い範囲の仕事に使えるかという適用範囲の話です。軸がまったく違うので、適用範囲が広いことをもって心があるとは言えませんし、逆も言えません。この中項目の目標に「汎用的な人工知能の実現可能性について」とあるとおり、汎用の話題はここで扱われますが、強い弱いとは別の物差しだと分けて持っておきます。
フレーム問題は、ある行動をとったときに何が変わり何が変わらないかを、関係のあることだけに絞って有限の時間で扱えないという問題です。一言でいえば関連性の絞り込みの問題です。これと対で問われるのがシンボルグラウンディング問題で、こちらは記号と、それが指す実世界の意味とをどう結びつけるかという問題です。「シマウマ」という語と「縞のある馬」という知識を持っていても、目の前の実物と結びつくとは限らない、という形で語られます。フレーム問題は絞り込み、シンボルグラウンディング問題は接地、と短い言葉で覚えておくと取り違えません。
身体性は、知能が成り立つためには体を通して環境とやり取りする経験が必要ではないか、という立場です。シンボルグラウンディング問題に対する一つの答え方として語られます。体を持って世界に触れることが、記号と意味の結びつきを作るのだ、という筋道です。ロボットの形をしていなければ実用にならない、という主張ではないことに注意します。
トイ・プロブレムは、ルールと状態がはっきり決まった、現実の複雑さを削ぎ落とした限定的な問題を指します。迷路やパズルのようにこの形に収まる問題は解けても、条件が定まらない現実の問題には手が届かなかった、という文脈で使われます。「簡単な問題」という意味ではなく、現実を単純化した設定という意味です。フレーム問題とは別物で、トイ・プロブレムは問題設定の側、フレーム問題は現実で何を考慮すべきか決められないという側です。
知識獲得のボトルネックは、専門家が持っている知識を人手でルールの形に書き出す作業の量と難しさが壁になり、知識を蓄えるやり方が広がらなかったという問題です。ここで大事なのは、原因が計算資源の不足でもデータの不足でもなく、知識を書き出す手間そのものにあるという点です。手間を減らそうとした試みの一つが、「4. 知識表現とエキスパートシステム」に挙げられているインタビューシステムです。この語がなぜ「2. 人工知能分野で議論される問題」に置かれているのかというと、特定の製品の話ではなく、知識を人が書き下すというやり方そのものの限界を示す議論だからだと読めます。
シンギュラリティは、人工知能が人間の知能を超え、その先の変化が見通せなくなる転換点をめぐる議論です。目標にある「汎用的な人工知能の実現可能性」という論点と結びついて出てきます。「1. 人工知能の定義」にある AI効果 とはまったく別の話で、AI効果は評価が下がる現象、シンギュラリティは将来の転換点です。最後に機械翻訳の2つのやり方を押さえます。ルールベース機械翻訳は文法規則と辞書を人が書いて訳を組み立てるやり方、統計的機械翻訳は大量の対訳データの統計からもっともらしい訳を選ぶやり方です。人が書き下すやり方からデータに学ばせるやり方へという流れが、翻訳という一つの題材の中に現れています。なお統計的機械翻訳は、この中項目のほかに「27. 自然言語処理」にも挙げられています。
取り違えやすい対と、その分かれ目| 取り違えやすい対 | 一方 | もう一方 |
|---|
| フレーム問題/シンボルグラウンディング問題 | フレーム問題は、関係のあることだけに絞れない | シンボルグラウンディング問題は、記号と実世界の意味が結びつかない |
| チューリングテスト/中国語の部屋 | チューリングテストは、判定の手続きを提案したもの | 中国語の部屋は、その判定への批判として出されたもの |
| 強いAIと弱いAI/汎用と特化 | 強いか弱いかは、心や理解があるかどうかの区別 | 汎用か特化かは、使える範囲の広さの区別 |
| ダートマス会議/チューリングテスト | ダートマス会議は1956年、人工知能という語が使われた場 | チューリングテストは1950年の論文で提案された判定の方法 |
| トイ・プロブレム/フレーム問題 | トイ・プロブレムは、条件を限った問題設定のこと | フレーム問題は、現実で何を考慮すべきか決められないこと |
| AI効果/シンギュラリティ | AI効果は、仕組みが分かると評価が下がる現象 | シンギュラリティは、人間の知能を超える転換点をめぐる議論 |
用語
- ダートマス会議
- 1956年の研究会議。artificial intelligence(人工知能)という言葉が初めて公に使われた場として語られる。
- チューリングテスト
- 文字だけのやり取りで人間と機械を見分けられなければ知能があるとみなす判定の方法。1950年の論文で提案された。知能の定義ではない。
- ローブナーコンテスト
- チューリングテストを実際に競技の形で行ったもの。テストそのものとは別の語として並んでいる。
- 中国語の部屋
- 振る舞いが人間と区別できなくても理解しているとは限らない、と主張する思考実験。強いAIへの反論として出された。
- 強いAIと弱いAI
- 機械に心や理解があるかどうかで分ける区別。適用範囲の広さで分ける汎用と特化とは軸が違う。
- フレーム問題
- ある行動で何が変わり何が変わらないかを、関係のあることだけに絞って有限の時間で扱えないという問題。関連性の絞り込みの問題。
- シンボルグラウンディング問題
- 記号と、それが指す実世界の意味とをどう結びつけるかという問題。フレーム問題と対で問われる。
- 身体性
- 知能が成り立つには体を通して環境とやり取りする経験が要るのではないか、という立場。シンボルグラウンディング問題への一つの答え方。
- トイ・プロブレム
- ルールと状態がはっきり決まった、現実の複雑さを削ぎ落とした限定的な問題。簡単な問題という意味ではない。
- 知識獲得のボトルネック
- 専門家の知識を人手で書き出す作業が膨大で、知識を蓄えるやり方が広がらなかったという問題。原因は計算資源やデータの不足ではない。
- シンギュラリティ
- 人工知能が人間の知能を超え、その先の変化が見通せなくなる転換点をめぐる議論。AI効果とは別物。
- ルールベース機械翻訳
- 文法規則と辞書を人が書いて訳を組み立てる機械翻訳のやり方。
- 統計的機械翻訳
- 大量の対訳データの統計からもっともらしい訳を選ぶやり方。この中項目と「27. 自然言語処理」の両方に載っている。
例題
例題:「機械が人間そっくりに受け答えできたなら、その機械は理解していると言ってよいか」という問いに対して、チューリングテストと中国語の部屋はそれぞれどう答えるか。
答えと考え方 チューリングテストの立場は、外から見える振る舞いで判定してよい、というものである。判定者が文字だけのやり取りで人間と機械を見分けられないなら、そこに知能があるとみなす。内部で何が起きているかを問わないので、知能とは何かという定義の議論を避けて、判定の手続きだけを決めた提案だといえる。中国語の部屋はこれに反対する。中国語を知らない人がマニュアルどおりに記号を並べ替えているだけでも、外からは中国語で受け答えしているように見える。だが本人は中国語を理解していない。したがって振る舞いが区別できないことは、理解があることの証拠にならない、というのが主張である。ここから、中国語の部屋は強いAIを支える根拠ではなく、強いAIへの反論だと確認できる。
例題:シンギュラリティという語は、この中項目のどの目標と結びついているか。また、AI効果とどう違うか。
答えと考え方 この中項目の目標は2つあり、そのうちの「汎用的な人工知能の実現可能性について、いくつかの例を取り上げて説明できる」に結びついている。シンギュラリティは、人工知能が人間の知能を超え、その先の変化が見通せなくなる転換点をめぐる議論であり、汎用的な人工知能がどこまで実現しうるかを論じる場面で取り上げられる例の一つである。一方 AI効果 は「1. 人工知能の定義」に置かれた語で、仕組みが解明されると「これは知能ではない」と評価が下がっていく現象を指す。将来の転換点を論じるものと、いま起きている評価の下がり方を指すもので、話している対象そのものが違う。置かれている中項目が違うことも、区別の手がかりになる。
出典・根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 2. 人工知能分野で議論される問題
3. 探索・推論から知識、そして機械学習へ
迷路の解き方、専門家の知識を書き写したシステム、そしてデータから学ぶ側へ。3つの中項目を一本の流れで押さえます。
大項目「人工知能をめぐる動向」のうち、ここでは「3. 探索・推論」「4. 知識表現とエキスパートシステム」「5. 機械学習」の3つを扱います。この並びは、人が書き下すものが何であったかで整理できます。探索・推論では解き方の手順を人が組み立て、知識表現とエキスパートシステムでは専門家の知識を人が書き出し、機械学習では書き下すのをやめてデータに任せます。書き下す相手が「手順」から「知識」へ移り、そして「書き下すこと自体をやめる」へ移った、という順です。用語を1つずつ覚えるより、どの段階の話かをまず決めてから覚えるほうが、取り違えが減ります。
探索の話は探索木から始まります。取りうる状態を枝分かれの形で並べたものが探索木で、ハノイの塔のようにルールと状態がはっきりした題材が練習台としてシラバスに挙げられています。幅優先探索は、根に近い層から順に、同じ深さの節点をすべて調べてから次の深さへ進みます。最も浅いところにある答えを先に見つけられますが、覚えておく節点が増えやすいという性質があります。深さ優先探索は、行けるところまで一気に降りて、行き止まりで一つ戻ってやり直します。覚えておく量は少なくて済みますが、最初に見つかる答えが最も浅いものとは限りません。2つを入れ替えて覚えないよう、名前のとおり「幅を先に」「深さを先に」と読み下すのが確実です。
ブルートフォースは、取りうる手を片端からすべて調べるやり方です。答えがあれば必ず見つかりますが、手の数が増えると組み合わせが急に増えて、現実の時間では終わらなくなります。だからこそ調べる範囲を減らす工夫が要る、という流れで次の話につながります。モンテカルロ法は、乱数を使った多数の試行の結果から答えを見積もるやり方です。すべての枝を調べきれない場面で、途中から先をでたらめに進める試行を何度も繰り返し、その結果の良し悪しから手を選びます。すべて調べるブルートフォースと、乱数で試すモンテカルロ法は、調べきれない大きさへの対処のしかたが正反対だと捉えておきます。
二人が交互に指すゲームで使われるのが Mini-Max法 です。自分の番は自分にとって最も良い手が、相手の番は自分にとって最も悪い手が選ばれると考えて、先の局面の値を手前へ返していきます。αβ法は、この Mini-Max法 の探索の途中で、これ以上調べても結論が変わらないと分かった枝を打ち切り、調べる量を減らす工夫です。別の評価の考え方ではなく、Mini-Max法 の上に乗る枝刈りだ、という関係を押さえます。同じ中項目には SHRDLU と STRIPS も挙げられています。SHRDLU は、画面の中の積み木の世界を言葉での指示によって操作させた研究で、条件を限った世界でなら言葉での指示が通ることを示しました。STRIPS は、行動を「実行の前提」と「実行後に変わること」の形で書き表し、目標の状態に至る行動の並びを組み立てる考え方です。
「4. 知識表現とエキスパートシステム」の目標は、知識表現とは何か、エキスパートシステムとは何かを説明できること、そしてそれぞれの代表的な研究や手法を理解することです。知識表現の代表が意味ネットワークで、概念を点、概念どうしの関係を線で結んで知識を表します。関係の代表として、is-aの関係・has-aの関係・part-ofの関係 の3つがシラバスに並んでいます。is-a は上位と下位の関係で、「犬は動物である」のように下位の概念が上位に含まれることを表します。has-a は部分を持つ関係で、「自動車はタイヤを持つ」のように全体から部分を見ます。part-of は部分である関係で、「タイヤは自動車の部分である」のように部分から全体を見ます。has-a と part-of は同じつながりを逆向きから見たものなので、向きの取り違えに注意してください。関連して、オントロジーは概念とその関係の決め方そのものを整理する研究、セマンティックWeb はWeb上の情報に意味づけを与えて機械が扱えるようにする構想です。
エキスパートシステムは、専門家の知識をルールの形で書き込み、問いに答えさせる仕組みです。シラバスには実例が並んでいます。DENDRAL は、質量分析のデータから未知の有機化合物の分子構造を推定するもので、分野は化学です。マイシン(MYCIN)は、細菌感染症を診断し、それに合う抗生物質を推薦するもので、分野は医療です。この2つは名前と分野の組合せがそのまま問われるので、対にして覚えます。イライザ(ELIZA)は、入力された文のパターンに合わせて返事を組み立てる対話のプログラムで、診断をするものではありません。Cycプロジェクトは、人間が当たり前に持っている一般常識を片端から書き込もうとする長期の取り組みです。ワトソンは質問応答(Question-Answering)の仕組みで、クイズ番組で人間の解答者と競いました。東ロボくんは大学入試の問題に挑んだプロジェクトです。インタビューシステムは、専門家から知識を聞き出す手間を減らそうとした試みで、知識獲得のボトルネックへの対策にあたります。データマイニングは大量のデータから規則性を掘り出すこと、ウェブマイニングはその対象をWeb上の情報にしたものです。
「5. 機械学習」の目標には「機械学習とルールベース手法の差異、およびメリットデメリットについて説明できる」「機械学習が注目されるようになった背景を説明できる」が並んでいます。ルールベース手法は、どういう条件のときにどう結論するかを人が書き下します。書いたとおりに動くので判断の理由を示しやすい反面、例外が増えるほど書ききれなくなり、書き手の手間が上限になります。機械学習はデータから規則性を見つけるので、書ききれない量の場合分けにも対応できますが、そのぶん判断の理由を示しにくく、質と量のそろったデータが要ります。どちらが優れているという話ではなく、手間の置き場所と説明のしやすさが入れ替わっている、と捉えます。注目されるようになった背景として、この中項目にはビッグデータが挙げられています。応用例として並ぶのが、スパムフィルタ、レコメンデーションエンジン、統計的自然言語処理です。
この中項目でもう一つ押さえるのが次元の呪いです。扱う特徴の数、つまり次元が増えるほど、その空間の中でデータがまばらになり、同じ密度を保つのに必要なデータの量が急激に増えていきます。点どうしの距離の差も付きにくくなるため、距離をもとに判断する手法が効きにくくなります。ここで注意したいのが、シラバスがこの語を「7. 教師あり学習」ではなく「5. 機械学習」に置いていることです。特定の学習手法の話ではなく、データから学ぶというやり方そのものにつきまとう性質として扱われている、と読めます。中項目の場所を問われることがあるので、置き場所ごと覚えておいてください。
名前と中身が結びつきにくいプログラム(シラバスに挙げられているもの)| 名前 | 何をするものか | 置かれている中項目 |
|---|
| SHRDLU | 画面の中の積み木の世界を、言葉での指示で操作する | 3. 探索・推論 |
| DENDRAL | 質量分析のデータから有機化合物の分子構造を推定する | 4. 知識表現とエキスパートシステム |
| マイシン(MYCIN) | 細菌感染症を診断し、合う抗生物質を推薦する | 4. 知識表現とエキスパートシステム |
| イライザ(ELIZA) | 入力された文のパターンに合わせて返事を組み立てる | 4. 知識表現とエキスパートシステム |
| Cycプロジェクト | 人間の一般常識を片端から書き込もうとする長期の取り組み | 4. 知識表現とエキスパートシステム |
| ワトソン | 質問応答(Question-Answering)を行い、クイズ番組で競った | 4. 知識表現とエキスパートシステム |
| 東ロボくん | 大学入試の問題に挑んだプロジェクト | 4. 知識表現とエキスパートシステム |
用語
- 探索木
- 取りうる状態を枝分かれの形で並べたもの。探索の手順はこの木をどうたどるかで整理される。
- ハノイの塔
- ルールと状態がはっきりした題材で、探索の練習台としてシラバスに挙げられている。
- 幅優先探索
- 根に近い層から順に、同じ深さの節点をすべて調べてから次の深さへ進む。最も浅い答えを先に見つけられる。
- 深さ優先探索
- 行けるところまで一気に降り、行き止まりで戻ってやり直す。覚えておく量は少ないが、最初の答えが最も浅いとは限らない。
- ブルートフォース
- 取りうる手を片端からすべて調べるやり方。確実だが、手の数が増えると現実の時間で終わらなくなる。
- モンテカルロ法
- 乱数を使った多数の試行の結果から答えを見積もるやり方。調べきれない大きさへの対処の一つ。
- Mini-Max法
- 交互に指すゲームで、自分の番は自分に最も良い手、相手の番は自分に最も悪い手が選ばれると考えて局面を評価する方法。
- αβ法
- Mini-Max法 の探索で、結論が変わらないと分かった枝を打ち切って調べる量を減らす工夫。別の評価の考え方ではない。
- SHRDLU
- 画面の中の積み木の世界を、言葉での指示によって操作させた研究。
- STRIPS
- 行動を実行の前提と実行後に変わることの形で書き表し、目標の状態に至る行動の並びを組み立てる考え方。
- 意味ネットワーク
- 概念を点、概念どうしの関係を線で結んで知識を表す形。知識表現の代表例。
- is-aの関係・has-aの関係・part-ofの関係
- is-a は上位と下位、has-a は部分を持つ、part-of は部分である。has-a と part-of は同じつながりを逆向きから見たもの。
- オントロジー
- 概念とその関係の決め方そのものを整理する研究。
- セマンティックWeb
- Web上の情報に意味づけを与え、機械が扱えるようにしようという構想。
- DENDRAL
- 質量分析のデータから未知の有機化合物の分子構造を推定する、化学の分野のエキスパートシステム。
- マイシン(MYCIN)
- 細菌感染症を診断し、それに合う抗生物質を推薦する、医療の分野のエキスパートシステム。
- イライザ(ELIZA)
- 入力された文のパターンに合わせて返事を組み立てる対話のプログラム。診断をするものではない。
- Cycプロジェクト
- 人間が当たり前に持っている一般常識を片端から書き込もうとする長期の取り組み。
- ワトソン
- 質問応答(Question-Answering)の仕組み。クイズ番組で人間の解答者と競った。
- 東ロボくん
- 大学入試の問題に挑んだプロジェクト。
- インタビューシステム
- 専門家から知識を聞き出す手間を減らそうとした試み。知識獲得のボトルネックへの対策にあたる。
- データマイニング
- 大量のデータから規則性を掘り出すこと。対象をWeb上の情報にしたものがウェブマイニング。
- ビッグデータ
- 機械学習が注目されるようになった背景として「5. 機械学習」に挙げられている語。
- スパムフィルタ
- 迷惑メールを振り分ける仕組み。機械学習の応用例として挙げられている。
- レコメンデーションエンジン
- 好みに合いそうなものを勧める仕組み。機械学習の応用例として挙げられている。
- 統計的自然言語処理
- 言葉の扱いを、人が書いた規則ではなく統計にもとづいて行うやり方。第1.3版で「5. 機械学習」に追加された。
- 次元の呪い
- 扱う特徴の数が増えるほど空間の中でデータがまばらになり、必要なデータ量が急激に増える現象。シラバスでは「5. 機械学習」に置かれている。
例題
例題:取りうる手をすべて調べれば必ず正しい答えが出るのに、モンテカルロ法のように乱数で試すやり方が必要になるのはなぜか。
答えと考え方 すべて調べるブルートフォースは、答えがあれば必ず見つけるという意味で確実である。問題は時間で、一手ごとの選択肢が増えると探索木の枝は掛け算で増えていくため、現実的な時間では最後まで調べきれなくなる。そこで、調べる量を減らす方向の工夫と、調べきらずに見積もる方向の工夫が出てくる。前者の代表がαβ法で、これ以上調べても結論が変わらないと分かった枝を打ち切る。後者の代表がモンテカルロ法で、途中から先を乱数で進める試行を何度も繰り返し、その結果の良し悪しから手の見込みを見積もる。どちらも「全部は無理だ」という同じ事情から出てきた工夫だが、片方は正しさを保ったまま量を削り、もう片方は正しさの保証を手放して見積もりに切り替えている、という違いがある。
例題:意味ネットワーク、オントロジー、セマンティックWeb の3つは、どうつながっているか。
答えと考え方 意味ネットワークは、概念を点、概念どうしの関係を線で結んで知識を表す形そのものである。ここで使われる関係の代表が is-aの関係・has-aの関係・part-ofの関係 で、シラバスにもこの3つが並んでいる。オントロジーは、その一段上の話で、どんな概念を立て、どんな関係を認めるのかという決め方そのものを整理する研究にあたる。同じ「タイヤ」を誰が書いても同じ位置に置けるようにするには、書き方の取り決めが要るからである。セマンティックWeb は、その取り決めをWeb全体に広げ、ページに書かれた情報へ機械が扱える形の意味づけを与えようという構想である。個々の知識の表し方、その表し方の取り決め、取り決めをWebに適用する構想、という順で並べると3つの関係がつかめる。
出典・根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 3. 探索・推論/一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 4. 知識表現とエキスパートシステム/一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 5. 機械学習
確認問題(30問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|AIの包含関係
人工知能、機械学習、ディープラーニングの3つの関係を表したものとして適切なものはどれか。
- 機械学習という広い枠の中に人工知能があり、その中にディープラーニングがある
- ディープラーニングという広い枠の中に人工知能があり、その中に機械学習がある
- 人工知能という広い枠の中に機械学習があり、その中にディープラーニングがある
- 3つはたがいに重なりを持たず、それぞれ独立した分野として横に並んでいる
正解と解説
正解:C. 人工知能という広い枠の中に機械学習があり、その中にディープラーニングがあるいちばん広い枠が人工知能で、その中の一つのやり方が機械学習、さらにその中で層を深く重ねたニューラルネットワークを使うものがディープラーニングである。シラバスでは、この3語がいずれも「1. 人工知能の定義」のキーワードとして並んでいる。機械学習やディープラーニングを最も広い枠に置く説明は、包含の向きが入れ替わっている。3つが独立して並ぶという説明も、ディープラーニングが機械学習の中の一つのやり方であることと合わない。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 1. 人工知能の定義
問2|4つの分類
人工知能のレベルを4つに分類したとき、あらかじめ決めた条件と動作の対応だけで動くものはどれにあたるか。
- 単純な制御プログラムにあたり、決められた対応のとおりに動く
- 古典的な人工知能にあたり、探索や蓄えた知識で対応を選ぶ
- 機械学習にあたり、与えられたデータから規則性を学んで判断する
- 深層学習にあたり、層を深く重ねたネットワークで表現を学ぶ
正解と解説
正解:A. 単純な制御プログラムにあたり、決められた対応のとおりに動く人工知能のレベルの4分類は、シラバス「1. 人工知能の定義」の目標に「単純な制御プログラム」「古典的な人工知能」「機械学習」「深層学習」として挙げられている。あらかじめ決めた条件と動作の対応だけで動くのは単純な制御プログラムで、設定温度で入切する温度調節のような仕組みが当てはまる。古典的な人工知能は場合分けや探索、蓄えた知識で対応を選ぶもの、機械学習はデータから規則性を学ぶもの、深層学習はそのうち層を深く重ねたネットワークを使うものであり、いずれも人が対応を書き切ってしまう段階より先にある。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 1. 人工知能の定義
問3|AI効果
AI効果と呼ばれる現象の説明として適切なものはどれか。
- 人工知能が人間の知能を超え、その先の変化が見通せなくなる転換点をめぐる議論
- 人工知能の性能が、投入したデータの量に応じて滑らかに伸び続けるという傾向
- 人工知能の判断の理由を、人が理解できる形で示せないまま使われてしまう状態
- 人工知能の仕組みが解明されると、それは知能ではないと評価が下がっていく現象
正解と解説
正解:D. 人工知能の仕組みが解明されると、それは知能ではないと評価が下がっていく現象AI効果は、人工知能の仕組みが明らかになって中身が分かってしまうと「これは単なる自動処理であって知能ではない」と受け取られ、評価が下がっていく現象である。シラバスでは「1. 人工知能の定義」の目標に「AI効果を説明できる」と明記されている。人間の知能を超える転換点をめぐる議論はシンギュラリティで、こちらは「2. 人工知能分野で議論される問題」のキーワードにあたる。データ量に応じて性能が伸びるという傾向や、判断の理由を示せない状態は、いずれもAI効果とは別の話題である。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 1. 人工知能の定義
問4|エージェント
シラバスで「1. 人工知能の定義」のキーワードに挙げられているエージェントは、どのようなものを指すか。
- 人と機械のやり取りを画面に描き出し、操作の入口となる部分のことを指す
- 環境を観測し、目標に向けて自分で次の行動を選ぶ主体のことを指す
- 学習に使うデータを集めて整え、その品質を保つ担当者のことを指す
- 計算資源を貸し出し、必要なときに増減させる仕組みのことを指す
正解と解説
正解:B. 環境を観測し、目標に向けて自分で次の行動を選ぶ主体のことを指すエージェントは、環境を観測し、目標に向けて自分で次の行動を選ぶ主体を指す見方である。人工知能を「どういう仕組みで作られているか」ではなく「どう振る舞うか」から捉えるための語で、シラバスでは人工知能・機械学習・ディープラーニング・AI効果と並んで「1. 人工知能の定義」のキーワードに置かれている。画面上の操作の入口や、データを整える担当者、計算資源を貸し出す仕組みは、いずれもこの語が指すものではない。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 1. 人工知能の定義
問5|ILSVRC
ImageNet と ILSVRC の関係の説明として適切なものはどれか。
- ILSVRC が画像に付ける分類のラベルの規格で、ImageNet はその審査の場である
- ImageNet と ILSVRC は、同じ画像認識モデルに付けられた2つの呼び名である
- ImageNet が画像を集めたデータセットで、ILSVRC はそれを使う競技会である
- ImageNet が囲碁の対局の記録で、ILSVRC はそれを学習に使った対局プログラムだ
正解と解説
正解:C. ImageNet が画像を集めたデータセットで、ILSVRC はそれを使う競技会であるImageNet は大量の画像に分類のラベルを付けた大規模なデータセットで、ILSVRC はそれを使って画像認識の精度を競った競技会である。シラバスでは両方が「6. ディープラーニング」のキーワードに並んでおり、ディープラーニングがどのように発展してきたかを説明するための材料になっている。同じモデルに付いた2つの呼び名でもなければ、ラベルの規格と審査の場という関係でもない。囲碁に関わるのはアルファ碁(AlphaGo)で、これも同じ中項目のキーワードだが別のものである。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 6. ディープラーニング
問6|LeNet
シラバスの「6. ディープラーニング」に挙げられている LeNet はどのようなものか。
- 手書きの数字を認識するために作られた、畳み込みを使うニューラルネットワーク
- 囲碁の対局で人間のトップ棋士に勝った、探索と学習を組み合わせたプログラム
- 大量の画像に分類のラベルを付けて公開された、学習のための大規模なデータ集合
- 文章や画像を新しく作り出す用途で広く使われるようになった、近年のモデル群
正解と解説
正解:A. 手書きの数字を認識するために作られた、畳み込みを使うニューラルネットワークLeNet は手書きの数字を認識するために作られた、畳み込みを用いたニューラルネットワークで、シラバスでは「6. ディープラーニング」のキーワードに置かれている。囲碁でトップ棋士に勝ったのはアルファ碁(AlphaGo)、大量の画像にラベルを付けた大規模なデータセットは ImageNet、文章や画像を新しく作り出すものは生成AIであり、いずれも同じ中項目に並ぶ別のキーワードである。名前だけを覚えるのではなく、何を対象にしたものかとあわせて押さえる。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 6. ディープラーニング
問7|アルファ碁
アルファ碁(AlphaGo)が成果を示した分野として適切なものはどれか。
- 話し言葉を文字に書き起こす分野で、人間の書き起こしに並ぶ精度を示したものだ
- 囲碁の対局の分野で、人間のトップ棋士に勝ち、その力を広く知らせたものである
- 手書きの数字を読み取る分野で、実務に使える水準の精度を最初に示したものだ
- 文章の要約の分野で、長い文書を人間のように短くまとめる精度を示したものだ
正解と解説
正解:B. 囲碁の対局の分野で、人間のトップ棋士に勝ち、その力を広く知らせたものであるアルファ碁(AlphaGo)は囲碁の対局で人間のトップ棋士に勝ったプログラムで、シラバスでは ImageNet・ILSVRC・LeNet・ネオコグニトロン・生成AI などと並んで「6. ディープラーニング」のキーワードに置かれている。この中項目の目標は「ディープラーニングがどのように発展してきたのか、その歴史を説明できる」ことなので、個々の名前を、発展のどの場面を示す例なのかとあわせて覚えるとよい。話し言葉の書き起こし、手書きの数字の読み取り、文章の要約は、いずれもアルファ碁が示した成果ではない。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 6. ディープラーニング
問8|AIとロボット
シラバスは「人工知能とロボットの違いを説明できる」ことを目標に挙げている。この違いの説明として適切なものはどれか。
- ロボットは判断を担う部分であり、人工知能はそれを載せる体にあたるものである
- ロボットは学習するものを指し、人工知能は学習しないものを指す呼び分けである
- ロボットと人工知能は同じものを指し、産業と学術で呼び方が違うだけのことだ
- ロボットは体を持つ機械そのもので、人工知能はその中で判断を担う部分にあたる
正解と解説
正解:D. ロボットは体を持つ機械そのもので、人工知能はその中で判断を担う部分にあたるロボットは体を持つ機械そのものを指し、人工知能はその中で判断を担う部分にあたる。両者は重なることはあっても同じものではない。体を持たずソフトウェアだけで動く人工知能は多く、逆に、決められた動きを繰り返すだけで人工知能を含まないロボットもある。判断する側と体にあたる側を入れ替えた説明は向きが逆であり、学習するかどうかでの呼び分けでも、分野による呼び方の違いでもない。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 1. 人工知能の定義
問9|神経回路の着想
ネオコグニトロンは、シラバスの「6. ディープラーニング」で「人間の神経回路」と並べて挙げられている。この並びが示しているものはどれか。
- 層を重ねたモデルの発想が、人間の神経回路のはたらきをたどるところから出たこと
- 人間の神経回路の配線が、そのまま計算機の回路として作り直され製品になったこと
- 人間の神経回路の研究が、ディープラーニングの成果によって完全に解明されたこと
- 人間の神経回路とネオコグニトロンが、どちらも囲碁の対局の研究から生まれたこと
正解と解説
正解:A. 層を重ねたモデルの発想が、人間の神経回路のはたらきをたどるところから出たことネオコグニトロンは、人間の神経回路のはたらきに着想を得て、層を重ねて視覚の情報を段階的に扱おうとしたモデルである。シラバスが「人間の神経回路」とネオコグニトロンを同じ「6. ディープラーニング」のキーワードに並べているのは、層を重ねるという発想がどこから来たのかを押さえさせるためだと読める。神経回路の配線がそのまま計算機の回路になったわけでも、神経回路の研究が解明されたわけでもない。囲碁に関わるのは同じ中項目のアルファ碁(AlphaGo)である。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 6. ディープラーニング
問10|歴史の流れ
シラバスの大項目「人工知能をめぐる動向」は、探索・推論、知識表現とエキスパートシステム、機械学習、ディープラーニングの順に中項目が並んでいる。この並びが表している流れはどれか。
- 扱うデータの形が、文章から画像へ、さらに音声へと移ってきたという流れである
- 計算を行う場所が、手元の機械から離れた大きな計算機へ移ってきたという流れだ
- 人が手順や知識を書き下す側から、データに学ばせる側へ重心が移ってきた流れだ
- 研究の担い手が、大学から企業へ、さらに個人へと移ってきたという流れである
正解と解説
正解:C. 人が手順や知識を書き下す側から、データに学ばせる側へ重心が移ってきた流れだ探索・推論は解き方の手順を人が組み立てる段階、知識表現とエキスパートシステムは専門家の知識を人が書き出す段階、機械学習とディープラーニングはデータから規則性を学ばせる段階にあたる。つまり人が書き下す側からデータに学ばせる側へ重心が移ってきた流れである。なお、この流れを「第何次」と数える言い方はシラバスに一度も出てこないので、本ラボでは中項目の名前でそのまま呼んでいる。データの形、計算の場所、研究の担い手の移り変わりは、この並びが表しているものではない。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 6. ディープラーニング
問11|ダートマス会議
1956年のダートマス会議についての説明として適切なものはどれか。
- 文字だけのやり取りで人間と機械を見分けるテストが、この場で初めて提案された
- 人工知能という言葉が、研究者の集まるこの場で初めて公に使われたとされる
- 専門家の知識をルールとして書き込むエキスパートシステムが、この場で世に出た
- 層を深く重ねたニューラルネットワークの学習法が、この場で初めて公開された
正解と解説
正解:B. 人工知能という言葉が、研究者の集まるこの場で初めて公に使われたとされるダートマス会議は1956年に開かれた研究会議で、artificial intelligence(人工知能)という言葉が初めて公に使われた場として語られる。文字だけのやり取りで人間と機械を見分けるテストは1950年のチューリングの論文で提案されたもので、ダートマス会議より前の別の出来事である。この2つを結びつけた選択肢は定番の誤りなので、年と出来事を分けて覚える。エキスパートシステムの研究や、層を深く重ねたネットワークの学習法は、いずれもこの会議より後の話題である。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 2. 人工知能分野で議論される問題
問12|チューリング
チューリングテストが提案したものは何か。
- 知能とは何かを一文で言い表した、分野で共有される正式な定義そのものである
- 機械が人間の知能を超える時期を、計算資源の伸びから見積もる計算の方法である
- 機械に心があるかどうかを、内部の仕組みを調べることで確かめる手続きである
- 文字のやり取りで人間と機械を見分けられるかで、知能の有無をみる判定法である
正解と解説
正解:D. 文字のやり取りで人間と機械を見分けられるかで、知能の有無をみる判定法であるチューリングテストは、判定者が文字だけのやり取りで人間と機械を見分けられなければ、その機械に知能があるとみなすという判定の方法である。知能そのものの定義を与えたのではなく、外から見える振る舞いで判定しようという提案である点が要点になる。このテストを実際に競技の形で行ったのがローブナーコンテストで、こちらも同じ中項目のキーワードである。内部の仕組みを調べる手続きでも、時期を見積もる計算の方法でもない。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 2. 人工知能分野で議論される問題
問13|中国語の部屋
中国語の部屋という思考実験は、何を主張するために持ち出されたものか。
- 振る舞いが人間と区別できなくても、理解しているとは限らないという反論のため
- 振る舞いが人間と区別できないなら、そこには理解があると認めてよいと示すため
- 記号を操作する速さを上げていけば、機械にも心が宿ると見通しを述べるために
- 自然言語の処理は規則ではなく統計で扱うほうがよいと、手法の優劣を示すため
正解と解説
正解:A. 振る舞いが人間と区別できなくても、理解しているとは限らないという反論のため中国語の部屋は、マニュアルに従って記号を並べ替えているだけの人は中国語を理解していない、という設定から、振る舞いが人間と区別できなくても理解があるとは限らないと主張する思考実験である。つまりチューリングテストへの批判であり、心や理解を認める立場である強いAIへの反論として持ち出された。強いAIを支える根拠として示されたと読むのは向きが逆で、ここが取り違えの多いところである。記号操作の速さの話でも、機械翻訳の手法の優劣の話でもない。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 2. 人工知能分野で議論される問題
問14|強いAI弱いAI
強いAIと弱いAIという区別と、汎用と特化という区別は、何が違うか。
- 強いか弱いかは学習に使うデータの量の区別で、汎用か特化かは計算資源の量の区別
- 強いか弱いかは処理の速さの区別で、汎用か特化かは開発にかかる費用の区別である
- 強いか弱いかは心や理解があるかの区別で、汎用か特化かは使える範囲の広さの区別
- 強いか弱いかは使える範囲の広さの区別で、汎用か特化かは心や理解があるかの区別
正解と解説
正解:C. 強いか弱いかは心や理解があるかの区別で、汎用か特化かは使える範囲の広さの区別強いAIと弱いAIは、機械に心や理解があるかどうかで分ける区別である。強いAIは本当に理解していると考える立場、弱いAIは理解しているように振る舞う道具にすぎないと考える立場を指す。これに対して汎用と特化は、どれだけ広い範囲の仕事に使えるかという適用範囲の区別で、軸がまったく違う。したがって適用範囲が広いことをもって心があるとは言えない。2つを入れ替えた説明は向きが逆であり、データの量・計算資源・処理の速さ・費用は、どちらの区別の基準でもない。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 2. 人工知能分野で議論される問題
問15|フレーム問題
フレーム問題とは、どのような問題か。
- 記号と、それが指す実世界の意味とを、システムがどう結びつけるかという問題
- 専門家の知識を人手で書き出す作業が膨大になり、書ききれなくなるという問題
- 限られた条件のもとでしか成り立たない問題ばかりが解けてしまうという問題
- ある行動で何が変わり何が変わらないかを、関係することだけに絞れない問題
正解と解説
正解:D. ある行動で何が変わり何が変わらないかを、関係することだけに絞れない問題フレーム問題は、ある行動をとったときに何が変わり何が変わらないかを、関係のあることだけに絞って有限の時間で扱えないという問題である。一言でいえば関連性の絞り込みの問題にあたる。記号と実世界の意味を結びつける話はシンボルグラウンディング問題、知識を書き出す作業が膨大になる話は知識獲得のボトルネック、条件を限った問題しか解けないという話はトイ・プロブレムで、いずれも同じ中項目に並ぶ別のキーワードである。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 2. 人工知能分野で議論される問題
問16|記号の接地
シンボルグラウンディング問題が指しているのはどれか。
- 行動の前提と結果を書き並べて、目標に至る手順を組み立てられないという問題
- 記号と、それが指す実世界の意味とを、システムがどう結びつけるかという問題
- 同じ意見の人どうしで情報が反響し合い、信念が強められていくという問題
- 扱う特徴の数が増えるほど、必要になるデータの量が急に増えていくという問題
正解と解説
正解:B. 記号と、それが指す実世界の意味とを、システムがどう結びつけるかという問題シンボルグラウンディング問題は、記号とそれが指す実世界の意味を、システムがどう結びつけるかという問題である。「シマウマ」という語と「縞のある馬」という知識を持っていても、目の前の実物と結びつくとは限らない、という形で語られる。関係のあることだけに絞れないのはフレーム問題で、この2つは対で問われる。身体性は、体を通した環境とのやり取りが要るのではないかという立場で、この問題への一つの答え方にあたる。手順の組み立て、情報の反響、特徴の数の話は、いずれもこの語が指すものではない。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 2. 人工知能分野で議論される問題
問17|身体性
人工知能の議論で言われる身体性とは、どのような考え方か。
- 人工知能は必ずロボットの形をとらなければ実用にならない、という考え方である
- 人工知能の性能は、搭載する部品の性能でほとんど決まってしまう、という考え方
- 知能が成り立つには、体を通して環境とやり取りする経験が要る、という考え方だ
- 人工知能を作るには、まず体の動きを数式で表すことから始める、という考え方だ
正解と解説
正解:C. 知能が成り立つには、体を通して環境とやり取りする経験が要る、という考え方だ身体性は、知能が成り立つためには体を通して環境とやり取りする経験が必要ではないか、という立場を指す。記号が実世界の意味と結びつかないというシンボルグラウンディング問題に対して、体を持って世界に触れることが結びつきを作るのだ、という答え方として語られる。ロボットの形でなければ実用にならないという主張ではないし、部品の性能で決まるという話でも、体の動きを数式にする手順の話でもない。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 2. 人工知能分野で議論される問題
問18|トイ問題
トイ・プロブレムという語が指すものはどれか。
- ルールと状態がはっきり決まった、現実の複雑さを削ぎ落とした限定的な問題
- 子ども向けの教材として作られた、遊びながら学べるように工夫された問題
- 解き方がまだ知られておらず、研究の目標として掲げられている難しい問題
- 計算の量が大きすぎて、どれだけ資源を増やしても解ききれないとされる問題
正解と解説
正解:A. ルールと状態がはっきり決まった、現実の複雑さを削ぎ落とした限定的な問題トイ・プロブレムは、ルールと状態がはっきり決まった、現実の複雑さを削ぎ落とした限定的な問題を指す。迷路やパズルのようにこの形に収まる問題は解けても、条件が定まらない現実の問題には手が届かなかった、という文脈で使われる。「簡単な問題」という意味ではなく、現実を単純化した設定という意味である点に注意する。子ども向けの教材のことでも、未解決の難問のことでも、計算の量が大きすぎる問題のことでもない。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 2. 人工知能分野で議論される問題
問19|知識の壁
知識獲得のボトルネックと呼ばれる問題の内容として適切なものはどれか。
- 学習に使える計算資源が足りず、知識を蓄えたシステムを動かせなかったこと
- 集められるデータの量が足りず、知識を蓄えたシステムが精度を出せなかったこと
- 通信の速さが足りず、知識を蓄えたシステムを離れた場所から使えなかったこと
- 専門家の知識を人手で書き出す作業が膨大で、そのやり方が広がらなかったこと
正解と解説
正解:D. 専門家の知識を人手で書き出す作業が膨大で、そのやり方が広がらなかったこと知識獲得のボトルネックは、専門家が持っている知識を人手でルールの形に書き出す作業の量と難しさが壁になり、知識を蓄えるやり方が広がらなかったという問題である。原因は計算資源やデータや通信の不足ではなく、知識を書き出す手間そのものにある点が要点になる。この手間を減らそうとした試みの一つが、シラバスの「4. 知識表現とエキスパートシステム」に挙げられているインタビューシステムである。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 2. 人工知能分野で議論される問題
問20|機械翻訳の型
ルールベース機械翻訳と統計的機械翻訳の違いとして適切なものはどれか。
- 前者は対訳のデータから訳を選び、後者は文法規則と辞書を人が書いて訳を組み立てる
- 前者は文法規則と辞書を人が書いて訳を組み立て、後者は対訳のデータから訳を選ぶ
- 前者は文字の単位で訳し、後者は文書の全体をまとめて訳すという単位の違いである
- 前者は話し言葉だけを訳し、後者は書き言葉だけを訳すという、対象の違いである
正解と解説
正解:B. 前者は文法規則と辞書を人が書いて訳を組み立て、後者は対訳のデータから訳を選ぶルールベース機械翻訳は文法規則と辞書を人が書いて訳を組み立てるやり方、統計的機械翻訳は大量の対訳データの統計からもっともらしい訳を選ぶやり方である。人が書き下すやり方からデータに学ばせるやり方へという流れが、翻訳という一つの題材の中に現れている。2つを入れ替えた説明は向きが逆になる。扱う単位の違いでも、話し言葉と書き言葉の違いでもない。なお統計的機械翻訳は、この中項目のほかに「27. 自然言語処理」にも挙げられている。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能とは 2. 人工知能分野で議論される問題
問21|幅優先深さ優先
探索木をたどるときの幅優先探索と深さ優先探索の違いとして適切なものはどれか。
- 幅優先は同じ深さの節点をすべて調べてから次へ進み、深さ優先は行けるまで進む
- 幅優先は行けるところまで進んでから戻り、深さ優先は同じ深さを全部調べてから進む
- 幅優先は枝を乱数で選んで進み、深さ優先は評価の高い枝だけを選んで進む方法である
- 幅優先は木の葉から根へ向かって進み、深さ優先は根から葉へ向かって進む方法である
正解と解説
正解:A. 幅優先は同じ深さの節点をすべて調べてから次へ進み、深さ優先は行けるまで進む幅優先探索は根に近い層から順に、同じ深さの節点をすべて調べてから次の深さへ進む。最も浅いところにある答えを先に見つけられるが、覚えておく節点が増えやすい。深さ優先探索は行けるところまで一気に降りて、行き止まりで戻ってやり直す。覚えておく量は少なくて済むが、最初に見つかる答えが最も浅いものとは限らない。2つを入れ替えた説明は向きが逆であり、乱数で枝を選ぶのはモンテカルロ法の考え方、木を葉から根へたどるという説明はどちらにも当てはまらない。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 3. 探索・推論
問22|アルファベータ
Mini-Max法 と αβ法 の関係の説明として適切なものはどれか。
- αβ法 は Mini-Max法 とは別の評価の考え方で、相手の手を読まず自分の手だけを見る
- αβ法 は Mini-Max法 の前の段階に置かれ、探索木そのものを組み立てる手順である
- αβ法 は Mini-Max法 の探索で、結論が変わらないと分かった枝を打ち切る工夫である
- αβ法 は Mini-Max法 の結果を後から検算し、読み落としがないかを確かめる手順だ
正解と解説
正解:C. αβ法 は Mini-Max法 の探索で、結論が変わらないと分かった枝を打ち切る工夫であるMini-Max法 は、二人が交互に指すゲームで、自分の番は自分にとって最も良い手、相手の番は自分にとって最も悪い手が選ばれると考えて、先の局面の値を手前へ返していく方法である。αβ法 はその探索の途中で、これ以上調べても結論が変わらないと分かった枝を打ち切り、調べる量を減らす工夫であり、Mini-Max法 とは別の評価の考え方ではない。探索木を組み立てる手順でも、後から検算する手順でもない。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 3. 探索・推論
問23|総当たり
探索における、ブルートフォースと呼ばれるやり方はどれか。
- 見込みのありそうな枝だけを、あらかじめ決めた点数の順に並べて調べるやり方
- 取りうる手を片端からすべて調べ、答えが見つかるまで漏れなく確かめるやり方
- 乱数で選んだ手を試し、その結果の良し悪しから見込みを見積もっていくやり方
- 調べ終わった枝を記録しておき、同じ状態が出たら計算を省いて先へ進むやり方
正解と解説
正解:B. 取りうる手を片端からすべて調べ、答えが見つかるまで漏れなく確かめるやり方ブルートフォースは、取りうる手を片端からすべて調べるやり方である。答えがあれば必ず見つかるが、手の数が増えると組み合わせが急に増えて、現実の時間では終わらなくなる。だからこそ調べる範囲を減らす工夫が要る、という流れで αβ法 などが出てくる。点数の順に見込みのある枝から調べるやり方、乱数で試すモンテカルロ法の考え方、途中の結果を記録して使い回すやり方は、いずれもブルートフォースそのものではない。ハノイの塔のように状態とルールがはっきりした題材は、こうした探索の練習台としてシラバスに挙げられている。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 3. 探索・推論
問24|SHRDLU
シラバスの「3. 探索・推論」に挙げられている SHRDLU と STRIPS の説明として適切な組合せはどれか。
- SHRDLU は行動の前提と結果を書いて計画を組み立てるもの、STRIPS は積み木を操作するもの
- SHRDLU は乱数で試行を繰り返すもの、STRIPS は探索木の枝を打ち切って量を減らすもの
- SHRDLU は質量分析から分子構造を推定するもの、STRIPS は細菌感染症を診断するもの
- SHRDLU は積み木の世界を言葉の指示で操作するもの、STRIPS は行動の計画を組み立てるもの
正解と解説
正解:D. SHRDLU は積み木の世界を言葉の指示で操作するもの、STRIPS は行動の計画を組み立てるものSHRDLU は、画面の中の積み木の世界を言葉での指示によって操作させた研究で、条件を限った世界でなら言葉での指示が通ることを示した。STRIPS は、行動を「実行の前提」と「実行後に変わること」の形で書き表し、目標の状態に至る行動の並びを組み立てる考え方である。2つを入れ替えた組合せは向きが逆になる。乱数で試行を繰り返すのはモンテカルロ法、枝を打ち切るのは αβ法 である。質量分析から分子構造を推定するのは DENDRAL、細菌感染症を診断するのはマイシン(MYCIN)で、これらは「4. 知識表現とエキスパートシステム」に置かれている。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 3. 探索・推論
問25|イライザ
シラバスの「4. 知識表現とエキスパートシステム」に挙げられているイライザ(ELIZA)はどのようなものか。
- 質量分析のデータから、未知の有機化合物の分子構造を推定するために作られた
- 細菌感染症を診断し、それに合う抗生物質を推薦するために作られたものである
- 入力された文のパターンに合わせて返事を組み立てる、対話のプログラムである
- 人間が当たり前に持つ一般常識を、片端から書き込もうとした長期の取り組みだ
正解と解説
正解:C. 入力された文のパターンに合わせて返事を組み立てる、対話のプログラムであるイライザ(ELIZA)は、入力された文のパターンに合わせて返事を組み立てる対話のプログラムである。中身を理解していなくても人間らしく見えることを示した例として挙げられる。質量分析のデータから分子構造を推定するのは DENDRAL、細菌感染症を診断して抗生物質を推薦するのはマイシン(MYCIN)、一般常識を書き込もうとした長期の取り組みは Cycプロジェクトで、いずれも同じ中項目に並ぶ別のキーワードである。診断をするものと対話をするものを取り違えないようにする。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 4. 知識表現とエキスパートシステム
問26|マイシン
マイシン(MYCIN)が扱った分野として適切なものはどれか。
- 有機化合物の分子構造を、質量分析のデータから推定する化学の分野を扱った
- 細菌感染症を診断し、それに合う抗生物質を推薦する医療の分野を扱った
- 大学入試の問題を解き、その成績を測る教育の分野を扱ったものである
- クイズ番組の出題に答え、人間の解答者と競う質問応答の分野を扱った
正解と解説
正解:B. 細菌感染症を診断し、それに合う抗生物質を推薦する医療の分野を扱ったマイシン(MYCIN)は、細菌感染症の診断と、それに合う抗生物質の推薦を行うエキスパートシステムで、医療の分野を扱った。質量分析のデータから有機化合物の分子構造を推定した化学の分野のものは DENDRAL、大学入試に挑んだのは東ロボくん、クイズ番組で人間と競った質問応答(Question-Answering)のものはワトソンである。名前と分野の組合せがそのまま問われるので、対にして覚える。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 4. 知識表現とエキスパートシステム
問27|デンドラル
質量分析のデータから未知の有機化合物の分子構造を推定した、初期のエキスパートシステムはどれか。
- DENDRAL であり、化学の分野の知識を書き込んだものである
- Cycプロジェクトであり、一般常識をルールとして書き込んだものである
- ワトソンであり、質問に答えるための知識を書き込んだものである
- 東ロボくんであり、入試の問題を解くための知識を書き込んだものである
正解と解説
正解:A. DENDRAL であり、化学の分野の知識を書き込んだものであるDENDRAL は、質量分析のデータから未知の有機化合物の分子構造を推定する、初期のエキスパートシステムである。分野は化学であり、医療の分野を扱ったマイシン(MYCIN)と対にして問われることが多い。Cycプロジェクトは人間の一般常識を書き込み続ける長期の取り組み、ワトソンは質問応答(Question-Answering)の仕組み、東ロボくんは大学入試に挑んだプロジェクトで、いずれも同じ中項目に並ぶ別のものである。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 4. 知識表現とエキスパートシステム
問28|関係の種類
知識表現で使われる is-a の関係、has-a の関係、part-of の関係の説明として適切な組合せはどれか。
- is-a は部分を持つ関係、has-a は部分である関係、part-of は上位と下位の関係である
- is-a は部分である関係、has-a は上位と下位の関係、part-of は部分を持つ関係である
- is-a は同じ意味を表す関係、has-a は反対の意味を表す関係、part-of は順序の関係だ
- is-a は上位と下位の関係、has-a は部分を持つ関係、part-of は部分である関係である
正解と解説
正解:D. is-a は上位と下位の関係、has-a は部分を持つ関係、part-of は部分である関係であるis-a は上位と下位の関係で、「犬は動物である」のように、下位の概念が上位の概念に含まれることを表す。has-a は部分を持つ関係で、「自動車はタイヤを持つ」のように全体から部分を見る。part-of は部分である関係で、「タイヤは自動車の部分である」のように部分から全体を見る。has-a と part-of は同じつながりを逆向きから見たものなので、向きを取り違えないようにする。同じ意味、反対の意味、順序は、この3つが表す関係ではない。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 4. 知識表現とエキスパートシステム
問29|次元の呪い
次元の呪いと呼ばれる現象の説明として適切なものはどれか。
- 扱う特徴の数を減らすほど、学習に必要なデータの量が急に増えていく現象である
- 扱う特徴の数が増えるほど、空間の中でデータがまばらになっていく現象である
- 学習の回数を重ねるほど、訓練に使ったデータへの当てはまりが悪くなる現象だ
- 学習に使う計算資源を増やすほど、得られる精度の伸びが大きくなる現象である
正解と解説
正解:B. 扱う特徴の数が増えるほど、空間の中でデータがまばらになっていく現象である次元の呪いは、扱う特徴の数、つまり次元が増えるほど、その空間の中でデータがまばらになり、同じ密度を保つのに必要なデータの量が急激に増えていく現象である。点どうしの距離の差も付きにくくなる。特徴を減らすほど必要なデータが増えるという説明は向きが逆であり、訓練データへの当てはまりや、計算資源と精度の関係は別の話題である。なお、シラバスではこの語が「7. 教師あり学習」ではなく「5. 機械学習」に置かれている。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 5. 機械学習
問30|学習とルール
シラバスは機械学習とルールベース手法の差異を説明できることを目標に挙げている。この差異の説明として適切なものはどれか。
- 機械学習は条件と結論を人が書き、ルールベース手法はデータから規則性を見つける
- 機械学習もルールベース手法も、条件と結論を人が書いて動かす点は同じものである
- 機械学習はデータから規則性を見つけ、ルールベース手法は条件と結論を人が書く
- 機械学習は判断の理由を示しやすく、ルールベース手法は理由を示しにくいものだ
正解と解説
正解:C. 機械学習はデータから規則性を見つけ、ルールベース手法は条件と結論を人が書くルールベース手法は、どういう条件のときにどう結論するかを人が書き下す。書いたとおりに動くので判断の理由を示しやすいが、例外が増えるほど書ききれなくなる。機械学習はデータから規則性を見つけるので、書ききれない量の場合分けにも対応できるが、そのぶん判断の理由を示しにくく、質と量のそろったデータが要る。2つを入れ替えた説明は向きが逆であり、理由を示しやすいのはルールベース手法の側である。スパムフィルタ、レコメンデーションエンジン、統計的自然言語処理は、この中項目に挙げられた機械学習の応用例である。
根拠:一般社団法人日本ディープラーニング協会「G検定 試験出題範囲(シラバス 2024)」第1.4版(2026年5月11日) 技術分野 人工知能をめぐる動向 5. 機械学習
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※ 解説は学習用の情報提供です。最新の出題範囲・制度は必ず公式発表をご確認ください。
※ 出題は、AWS公式ドキュメント・試験ガイド、JDLA「G検定 試験出題範囲(シラバス2024)第1.4版」、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会の公開情報とPython公式ドキュメントに沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題です(2026年8月時点で確認)。Pythonの問題はすべて実行して確認しています。試験制度・出題範囲は各実施団体の公式発表をご確認ください。