医療情報技師 HEALTHCARE INFORMATION TECHNOLOGIST
関連法規とデータ解析
講義 4 本・確認問題 30 問 | 本試験では「医療情報システム系」(60問)の一部 | 最終更新 2026-09-24
この章で学ぶこと- 真正性・見読性・保存性の定義と対策、e-文書法、外部保存の要件を学ぶ。
- 厚生労働省の安全管理ガイドラインの構成と責任のあり方、非常時対応、3省2ガイドラインを学ぶ。
- 要配慮個人情報としての医療情報の取扱い、仮名加工・匿名加工、次世代医療基盤法の仕組みを学ぶ。
- リアルワールドデータの特性をふまえたデータ抽出・前処理・質管理と、公的データベースの概要を学ぶ。
1. 診療録等の電子保存の3基準
真正性・見読性・保存性の定義と対策、e-文書法、外部保存の要件を学ぶ。
診療録等の法定保存文書は、平成11年の通知「診療録等の電子媒体による保存について」で電子保存が認められ、その条件として真正性・見読性・保存性の3基準(電子保存の三原則)が示された。平成17年施行のe-文書法(電子文書法)は、法令で書面保存が義務付けられた文書の電磁的保存を一般的に容認する法律で、厚生労働省の省令により診療録等もその対象となり、スキャナ等による電子化保存も認められた。具体的な要求事項は「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(厚生労働省)が示している。なお電子帳簿保存法は国税関係帳簿書類の電子保存を定めた税法上の法律であり、診療録の保存根拠ではない。
3基準の定義は安全管理ガイドラインの表現で覚える。真正性とは、正当な権限において作成された記録に対し、虚偽入力、書換え、消去および混同が防止されており、かつ、第三者から見て作成の責任の所在が明確であることをいう。見読性とは、電子媒体に保存された内容を、権限保有者からの要求に基づき必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にできることをいう。保存性とは、記録された情報が、法令等で定められた期間にわたって、真正性を保ち、見読可能にできる状態で保存されることをいう。
対策は基準ごとに対応付けて整理する。真正性の対策は、利用者認証とアクセス権限管理、記録の確定操作、更新履歴(監査証跡)の保存、代行入力に対する確定者の承認、スキャン文書への電子署名・タイムスタンプなど、「誰が作成したかを明確にし、改ざんを防ぐ」ものである。見読性の対策は、画面表示や書面への印刷手段の確保、障害時にも参照できる代替の見読化手段(バックアップサーバや代替端末)の準備など、「必要なときに読める」ようにするものである。保存性の対策は、バックアップ、媒体の劣化や規格変更に備えた新媒体・新形式への移行(マイグレーション)、コンピュータウイルス等による破壊の防止など、「保存期間中、失われない」ようにするものである。
診療録等は一定の基準を満たせば医療機関等の外部に保存することもできる(外部保存)。電子データをネットワークを通じて外部保存する場合も、電子保存の3基準を満たすこと、個人情報保護に十分留意することが求められ、外部保存を委託しても診療録等の保存義務と責任は医療機関等が負う。また診療録等をスキャナ等で電子化して保存する場合は、情報量(解像度等)を確保し、作成責任者の電子署名・タイムスタンプ等により真正性を確保する運用が求められる。
電子保存の3基準の定義と主な対策| 基準 | 定義(安全管理ガイドラインの表現) | 主な対策 |
|---|
| 真正性 | 正当な権限で作成された記録に対し、虚偽入力・書換え・消去・混同が防止され、第三者から見て作成の責任の所在が明確であること | 利用者認証・権限管理、確定操作、更新履歴(監査証跡)、代行入力の承認、電子署名・タイムスタンプ |
| 見読性 | 電子媒体に保存された内容を、権限保有者からの要求に基づき必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にできること | 画面表示・書面への印刷手段、障害時の代替の見読化手段(バックアップサーバ等) |
| 保存性 | 記録された情報が、法令等で定められた期間にわたって、真正性を保ち、見読可能にできる状態で保存されること | バックアップ、媒体・形式のマイグレーション、ウイルス等による破壊の防止 |
用語
- 真正性
- 正当な権限において作成された記録に対し、虚偽入力、書換え、消去および混同が防止されており、かつ、第三者から見て作成の責任の所在が明確であること。利用者認証、確定操作、監査証跡、電子署名などで確保する。
- 見読性
- 電子媒体に保存された内容を、権限保有者からの要求に基づき必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にできること。画面表示や書面への出力手段、障害時の代替の見読化手段の確保が対策となる。
- 保存性
- 記録された情報が、法令等で定められた期間にわたって、真正性を保ち、見読可能にできる状態で保存されること。バックアップ、媒体劣化前のマイグレーション、ウイルス等による破壊の防止で確保する。
- 電子保存の三原則
- 診療録等を電子媒体で保存する条件として示された真正性・見読性・保存性の3基準のこと。平成11年の通知で示され、現在は医療情報システムの安全管理に関するガイドラインが具体的な要求事項を定めている。
- e-文書法
- 法令で書面による保存等が義務付けられた文書について、電磁的方法による保存等を一般的に容認する法律(平成17年施行)。厚生労働省令により診療録等も対象となり、スキャナ等による電子化保存も認められた。
- 外部保存
- 診療録等を医療機関等の外部に保存すること。電子データの外部保存では電子保存の3基準の確保と個人情報保護が求められ、委託しても保存義務と責任は医療機関等が負う。
- タイムスタンプ
- 電子データがその時刻に存在し、以後改ざんされていないことを証明する時刻証明の仕組み。スキャンによる電子化保存などで、電子署名とあわせて真正性の確保に用いられる。
例題
例題:電子カルテの記載を確定後に修正したら、修正前の記録が残らない仕組みだった。どの基準の問題か。
答えと考え方 真正性の問題。書換えの防止と作成責任の明確化のため、修正履歴(更新前の内容と修正者・日時)が残る仕組みが必要になる。
例題:保存媒体の劣化で10年前の記録が読めなくなった。どの基準の問題か。
答えと考え方 保存性の問題。法定保存期間にわたり読める状態を保つため、媒体劣化前の新媒体への移行やバックアップが必要だった。
出典・根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)第7章 医療情報分野の関連法規とガイドライン(SBO 7.1.1、7.4.4〜7.4.6)
2. 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン
厚生労働省の安全管理ガイドラインの構成と責任のあり方、非常時対応、3省2ガイドラインを学ぶ。
「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は、厚生労働省が医療機関等を対象に策定するガイドラインで、電子保存の3基準の要求事項や情報セキュリティ対策を示す。技術の進歩やサイバー攻撃の状況に応じて改定が続いており、第6.0版(令和5年5月)では読者の役割に応じた4編構成(概説編・経営管理編・企画管理編・システム運用編)に再編された。令和8年6月に発出された第7.0版では、医療機関からシステムの保守を受託する事業者を対象とする保守委託機関編が加わり、5編構成となった。
各編の対象は、概説編がガイドライン全体の目的と考え方、経営管理編が経営層(意思決定、資源の確保、説明責任)、企画管理編が安全管理の実務の企画・管理を担う担当者(規程の整備、リスク評価、委託先の管理)、システム運用編がシステムの実装・運用の担当者(技術的対策の実装)である。医療機関の全員が同じ文書を読むのではなく、役割に応じて読むべき編が分かれていることが特徴である。
責任のあり方について、ガイドラインは通常運用における責任(説明責任、管理責任、定期的な見直し)と、事故発生時の事後責任(原因の説明、影響の把握と善後策、再発防止)に整理している。システムの運用や保守を事業者に委託しても、患者に対する最終的な責任は医療機関が負う。このため委託契約では責任分界点を明確にし、委託先の管理を行う必要がある。
非常時への備えとして、サイバー攻撃(特にランサムウェア)や災害を想定したBCP(事業継続計画)の整備が求められる。ランサムウェア対策では、バックアップをオフラインまたは書換えできない領域に複数世代保管すること、ネットワーク分離だけに頼らず脆弱性対策や認証強化を行うこと、復旧手順や紙運用への切替手順を定めて訓練しておくことが重要である。
医療情報を取り扱う際のガイドラインは、医療機関等向けの厚生労働省のガイドラインと、システム・サービスを提供する事業者向けの「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」(経済産業省・総務省、第2.0版・令和7年3月改定)の2本に整理されており、あわせて3省2ガイドラインと呼ばれる。かつては経済産業省の受託情報処理事業者向けガイドラインと総務省のクラウド事業者向け等のガイドラインが別々にあり(3省4ガイドライン)、これらが統合された。
安全管理ガイドライン第7.0版の編構成(令和8年6月)| 編 | 主な読者 | 主な内容 |
|---|
| 概説編 | 全員 | ガイドライン全体の目的・考え方・用語 |
| 経営管理編 | 経営層 | 意思決定、資源の確保、説明責任などの統治 |
| 企画管理編 | 企画管理の担当者 | 運用管理規程、リスク評価、委託先の管理 |
| システム運用編 | システム実装・運用の担当者 | 認証・アクセス管理・バックアップ等の技術的対策 |
| 保守委託機関編 | 保守を受託する事業者 | 第7.0版で新設。保守業務における安全管理 |
用語
- 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン
- 厚生労働省が医療機関等を対象に策定する、医療情報システムの安全管理と電子保存の要求事項を示すガイドライン。第6.0版で概説編・経営管理編・企画管理編・システム運用編の4編構成となり、第7.0版で保守委託機関編が加わった。
- 経営管理編
- 安全管理ガイドラインのうち医療機関の経営層を読者とする編。医療情報システムの安全管理に関する意思決定、人員・予算などの資源の確保、説明責任といった統治(ガバナンス)の観点を扱う。
- 企画管理編
- 安全管理ガイドラインのうち、安全管理の実務の企画・管理を担う担当者を読者とする編。運用管理規程の整備、リスク評価、委託先の管理などを扱う。
- システム運用編
- 安全管理ガイドラインのうち、システムの実装・運用を担う担当者を読者とする編。認証、アクセス管理、ネットワーク、バックアップなど技術的対策の実装・運用を扱う。
- 責任分界点
- 医療機関と委託事業者の間で、どこまでを誰が責任をもって管理するかの境界。委託しても患者への最終的な責任は医療機関が負うため、契約で分界を明確にし委託先を監督する必要がある。
- BCP
- Business Continuity Plan(事業継続計画)。サイバー攻撃や災害でシステムが停止しても診療を継続・早期復旧するための計画。紙運用への切替手順、復旧手順、連絡体制を定め、訓練で実効性を確認する。
- ランサムウェア
- データを暗号化するなどして使用不能にし、復旧と引き換えに金銭を要求する不正プログラム。医療機関の被害が相次いでおり、オフラインまたは書換え不可の領域への複数世代のバックアップが重要な対策となる。
- 3省2ガイドライン
- 医療機関等向けの厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」と、事業者向けの経済産業省・総務省「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」の総称。
例題
例題:電子カルテの運用を事業者に全面委託していれば、情報漏えい時の患者への説明は事業者の仕事か。
答えと考え方 いいえ。委託しても患者に対する説明責任・最終的な責任は医療機関が負う。契約で責任分界を定め、委託先を監督する必要がある。
例題:ランサムウェア対策として、バックアップを本番サーバと同じネットワーク上に常時接続で置くのは適切か。
答えと考え方 不適切。常時接続のバックアップは本体と一緒に暗号化されるおそれがある。オフラインまたは書換え不可の領域に複数世代を保管する。
出典・根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)第7章 医療情報分野の関連法規とガイドライン(SBO 7.4.1〜7.4.3、7.6.1〜7.6.2)
3. 個人情報保護と次世代医療基盤法
要配慮個人情報としての医療情報の取扱い、仮名加工・匿名加工、次世代医療基盤法の仕組みを学ぶ。
個人情報保護法における個人情報とは、生存する個人に関する情報で、氏名・生年月日等により特定の個人を識別できるもの、または個人識別符号が含まれるものをいう。個人識別符号には、DNAの塩基配列など身体の特徴をデータ化した符号や、公的医療保険の被保険者証の記号・番号、マイナンバー、旅券番号などが政令等で定められている。個人情報を事業に用いる者は、件数にかかわらず個人情報取扱事業者として法の義務を負い、医療機関も対象である。監督機関は個人情報保護委員会である。
病歴は要配慮個人情報の代表例である。要配慮個人情報は、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴などのほか、政令で、障害があること、健康診断等の結果、その結果に基づく医師等による指導・診療・調剤が行われたことなどが加えられており、診療情報の多くが該当する。取得には原則としてあらかじめ本人の同意が必要で、オプトアウトによる第三者提供は認められない。一方、電話番号、国籍、収入などは要配慮個人情報ではない。
加工した情報の類型として、仮名加工情報は他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないように加工した情報で、主に組織内部での分析利用を想定し、原則として第三者提供はできない。匿名加工情報は特定の個人を識別できず、かつ元の個人情報を復元できないように加工した情報で、公表等の義務を守れば本人の同意なく第三者提供できる。医療分野では「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」が具体的な取扱いを示しており、利用目的を院内掲示等で公表すれば、診療に通常必要な範囲の利用は黙示の同意が得られていると考えられるとしている。第三者提供は原則本人同意だが、法令に基づく場合などの例外がある。なお医師等には個人情報保護法とは別に刑法等の守秘義務があり、両方の観点での検討が必要である。
次世代医療基盤法(医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律)は、医療情報を研究開発に利活用するための特別法である。国(主務大臣)の認定を受けた認定匿名加工医療情報作成事業者が、医療機関等から医療情報を収集して匿名加工し、研究機関や企業等に提供する。医療機関から認定事業者への提供は、あらかじめ本人に通知し、本人(または遺族)が停止を求めない限り提供できるオプトアウト方式が認められており、要配慮個人情報のオプトアウト提供を禁じる個人情報保護法の特例となっている。令和5年の改正では仮名加工医療情報と認定仮名加工医療情報作成事業者の仕組みが追加された。
医療情報に関わる情報の類型と取扱い| 類型 | 内容 | 取扱いの要点 |
|---|
| 要配慮個人情報 | 病歴、健康診断等の結果、診療・調剤の情報など | 取得に原則本人同意。オプトアウトによる第三者提供は不可 |
| 仮名加工情報 | 他の情報と照合しない限り個人を識別できないよう加工 | 組織内部の分析用。原則として第三者提供不可 |
| 匿名加工情報 | 個人を識別できず復元もできないよう加工 | 公表等の義務のもと、同意なく第三者提供が可能 |
| 匿名加工医療情報(次世代医療基盤法) | 認定事業者が医療情報を匿名加工したもの | 医療機関からの提供は通知+オプトアウト方式。研究開発に利活用 |
用語
- 要配慮個人情報
- 人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実など、不当な差別や偏見が生じないよう特に配慮を要する個人情報。取得に原則本人同意が必要で、オプトアウトによる第三者提供はできない。
- 個人識別符号
- その情報単体で特定の個人を識別できるものとして政令等で定められた符号。DNAの塩基配列など身体的特徴をデータ化した符号や、公的医療保険の被保険者証の記号・番号、マイナンバー、旅券番号などが該当する。
- 仮名加工情報
- 他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないように加工した個人に関する情報。組織内部での分析利用を想定し、委託・事業承継・共同利用を除いて第三者提供はできない。
- 匿名加工情報
- 特定の個人を識別できず、かつ元の個人情報を復元できないように加工した情報。本人の同意なく第三者提供できるが、情報の項目と提供方法の公表、相手方への明示、識別行為の禁止といった義務が伴う。
- 黙示の同意
- 医療・介護関係事業者のガイダンスの考え方で、利用目的を院内掲示等で公表し本人が留保しない場合、診療や診療報酬請求など通常必要な範囲の利用・提供には同意が得られているとみなせるとするもの。
- 次世代医療基盤法
- 医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律。認定を受けた事業者が医療情報を匿名加工して研究開発に提供する仕組みを定め、医療機関からの提供にはオプトアウト方式を認める。
- 認定匿名加工医療情報作成事業者
- 次世代医療基盤法に基づき、高い安全管理能力等の基準を満たすとして国の認定を受け、医療機関等から収集した医療情報を匿名加工して研究開発の用に提供する事業者。
- オプトアウト
- 本人の求めがあれば提供を停止することを条件に、あらかじめ通知・公表等を行ったうえで同意なく提供する方式。個人情報保護法では要配慮個人情報に使えないが、次世代医療基盤法は認定事業者への提供に限り認める。
例題
例題:患者の病歴を含む研究用データセットを、本人同意なしにオプトアウトで他社へ提供できるか。
答えと考え方 できない。病歴は要配慮個人情報であり、個人情報保護法のオプトアウトによる第三者提供は認められない。匿名加工情報にするか、次世代医療基盤法の認定事業者への提供などの枠組みを使う。
例題:受付で氏名を呼び出すことや、外部の検査会社への検体検査委託は個人情報の目的外利用になるか。
答えと考え方 利用目的を院内掲示等で公表していれば、診療に通常必要な範囲として黙示の同意が得られていると考えられる(本人の求めがあれば個別に配慮する)。
出典・根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)第7章 医療情報分野の関連法規とガイドライン(SBO 7.2.1〜7.2.4、7.3.1〜7.3.4、7.5.1〜7.5.3)
4. 医療情報のデータ解析
リアルワールドデータの特性をふまえたデータ抽出・前処理・質管理と、公的データベースの概要を学ぶ。
病院情報システムに蓄積されるデータは、診療や診療報酬請求という業務(一次利用)のために記録されたリアルワールドデータであり、経営分析・質評価・臨床研究といった解析(二次利用)を意図して設計されてはいない。このため、目的に応じたデータの抽出と前処理、データの質の確認が解析の前提となる。たとえばレセプトの病名には請求のために付与された病名が含まれ、確定診断と一致するとは限らない。
データの抽出では、業務系データベースから直接抽出すると診療業務のシステムに負荷をかけるため、データウェアハウス(DWH)に複製したデータから抽出するのが一般的である。DWHは分析のために時系列でデータを蓄積した基盤で、特定の目的・部門向けに切り出したものをデータマートと呼ぶ。抽出にあたっては、対象期間・対象患者・除外条件の定義を明確にし、診療報酬改定などに伴うマスターやコードの改定履歴に注意する必要がある。
前処理と質管理の代表的な課題が、欠損値・外れ値・名寄せである。欠損値は未入力や検査が行われなかったことなどにより生じ、欠損の生じ方はランダムとは限らないため、理由を確認して解析目的に応じた扱い(除外、補完など)を決める。外れ値は入力ミスのこともあれば実際の異常値のこともあり、機械的に削除せず原因を確認して扱いを決める。名寄せは、同一人物に複数の患者IDが発行されていたり表記ゆれがあったりする記録を突合して統合する作業である。単位やコードの不統一の是正も含め、こうした質管理を怠ると解析結果が誤ったものになる。
全国規模の公的データベースも解析に使われる。NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)は全国のレセプト情報と特定健診・特定保健指導の情報を国が収集したデータベースであり、DPCデータはDPC対象病院等から収集される退院患者調査のデータで、経営分析や医療の質の比較にも用いられる。解析と可視化では、指標の分母・分子の定義を明確にすること、制度改定をまたぐ経時比較に注意すること、グラフの軸や種類を適切に選び誤解を招かないことが重要である。またAIを含む解析結果の利用では、元データの偏りや個人情報保護・研究倫理の枠組みへの配慮が欠かせない。
データの前処理・質管理の代表的な課題| 課題 | 例 | 対処の要点 |
|---|
| 欠損値 | 検査値の未入力、実施されなかった検査 | 生じた理由を確認し、目的に応じて除外・補完等を決める(ランダムな欠損とは限らない) |
| 外れ値 | 身長170cmを1.7と入力、まれな実際の異常値 | 入力ミスか真の値かを確認してから扱いを決める(機械的に削除しない) |
| 名寄せ | 同一患者に複数の患者ID、氏名の表記ゆれ | 記録を突合して同一人物のデータとして統合する |
| コード・単位の不統一 | 改定で変わった診療行為コード、施設ごとの単位差 | 改定履歴を考慮しコード・単位を統一してから解析する |
用語
- リアルワールドデータ
- 診療報酬請求データや電子カルテデータなど、日常の診療の中で生成・蓄積される実世界のデータ。研究用に設計されたデータではないため、二次利用には特性の理解と前処理が不可欠となる。
- DWH
- Data Warehouse(データウェアハウス)。分析のために業務系システムからデータを複製し、時系列で蓄積した基盤。業務系データベースに負荷をかけずにデータ抽出・分析ができる。
- データマート
- DWHのデータから、特定の目的や部門の分析に必要な範囲を切り出して整理したデータベース。利用部門が扱いやすい形にすることで分析を効率化する。
- 欠損値
- 記録されるべき値が存在しないデータ。未入力や検査未実施などで生じ、生じ方はランダムとは限らない。理由を確認し、除外や補完など解析目的に応じた扱いを決める。
- 外れ値
- 他の値から大きく離れた値。単位の取り違えなどの入力ミスの場合と、実際の異常値の場合があり、機械的に削除せず原因を確認して扱いを決める必要がある。
- 名寄せ
- 同一人物に複数の患者IDが発行されている場合や氏名の表記ゆれがある場合に、複数の記録を突合して同一人物のデータとして統合する作業。
- NDB
- レセプト情報・特定健診等情報データベース。全国のレセプト情報と特定健診・特定保健指導の情報を国(厚生労働省)が収集したデータベースで、医療費分析や研究に利活用される。
- DPCデータ
- DPC対象病院等から収集される退院患者調査のデータ。診断群分類や診療行為の情報を含み、病院間の比較など経営分析や医療の質評価にも用いられる。
例題
例題:レセプトデータだけで「この病名の患者数」を数えると、何に注意が必要か。
答えと考え方 レセプト病名には請求のために付与された病名が含まれ、確定診断と一致するとは限らない。目的に応じて診療記録や検査値と突き合わせるなどの確認が必要。
例題:月次の平均在院日数を過去10年分並べて比較するとき、何に注意するか。
答えと考え方 指標の定義(分母・分子)の一貫性と、診療報酬改定や病床機能の変更など制度・運用の変化をまたいだ比較になっていないかに注意する。
出典・根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)第8章 医療情報のデータ解析(SBO 8.1.1〜8.1.3、8.2.1〜8.4.5)
確認問題(30問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|真正性の定義
診療録等の電子保存の3基準における「真正性」の説明として正しいのはどれか。
- 電子媒体に保存された内容を、権限保有者からの要求に基づき必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にでき、かつ必要に応じて書面に出力できること
- 記録された情報が、法令等で定められた期間にわたって、真正性を保ち、見読可能にできる状態で保存されること
- 正当な権限において作成された記録に対し、虚偽入力、書換え、消去および混同が防止されており、かつ、第三者から見て作成の責任の所在が明確であること
- 許可された者だけが情報にアクセスでき、第三者には内容が知られない状態が保たれていること
正解と解説
正解:C. 正当な権限において作成された記録に対し、虚偽入力、書換え、消去および混同が防止されており、かつ、第三者から見て作成の責任の所在が明確であること真正性は、虚偽入力・書換え・消去・混同の防止と、作成の責任の所在の明確化を求める基準である。選択肢の1つ目は見読性、2つ目は保存性の定義であり、最後は情報セキュリティの機密性の説明で、電子保存の3基準には含まれない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.4.4(電子保存の要求事項)/厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版(令和8年6月)
問2|見読性の定義
診療録等の電子保存の3基準における「見読性」の説明として正しいのはどれか。
- 電子媒体に保存された内容を、権限保有者からの要求に基づき必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にできること
- 正当な権限において作成された記録に対し、虚偽入力、書換え、消去および混同が防止され、作成の責任の所在が明確であること
- 記録された情報が、法令等で定められた期間にわたって、真正性を保ち見読可能な状態で保存されること
- 利用者が必要なときにいつでもシステムを利用できる状態が保たれていること
正解と解説
正解:A. 電子媒体に保存された内容を、権限保有者からの要求に基づき必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にできること見読性は、保存された内容を必要に応じて肉眼で読める状態に容易にできることを求める基準で、診療などの要求に応じて速やかに表示・書面化できることが必要になる。2つ目は真正性、3つ目は保存性の定義であり、最後は情報セキュリティの可用性の説明である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.4.4(電子保存の要求事項)/厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版(令和8年6月)
問3|保存性の定義
診療録等の電子保存の3基準における「保存性」の説明として正しいのはどれか。
- 第三者から見て、記録の作成の責任の所在が明確であること
- 保存された内容を、権限保有者からの要求に基づき必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にでき、書面にも出力できること
- 情報が正確かつ完全であり、改ざんや欠落が生じていないこと
- 記録された情報が、法令等で定められた期間にわたって、真正性を保ち、見読可能にできる状態で保存されること
正解と解説
正解:D. 記録された情報が、法令等で定められた期間にわたって、真正性を保ち、見読可能にできる状態で保存されること保存性は、法定保存期間にわたって真正性を保ち見読可能な状態で保存されることを求める基準で、媒体の劣化対策やバックアップなどで確保する。1つ目は真正性、2つ目は見読性の定義であり、3つ目は情報セキュリティの完全性の説明で3基準の名称ではない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.4.4(電子保存の要求事項)/厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版(令和8年6月)
問4|真正性の対策
電子カルテにおいて、真正性の確保に直接寄与する対策はどれか。
- バックアップしたデータを遠隔地の施設に分散して保管する
- 記録の確定操作を行った利用者と日時を更新履歴として保存する
- 画面表示の応答時間を短縮して操作性を高める
- 保存媒体が劣化してしまう前に、新しい媒体へデータを複写しておく
正解と解説
正解:B. 記録の確定操作を行った利用者と日時を更新履歴として保存する確定操作の利用者と日時を履歴(監査証跡)として残すことは、書換えの防止と作成責任の明確化につながる真正性の対策である。バックアップの遠隔地保管と媒体の複写(マイグレーション)は保存性、表示の応答時間の改善は見読性に関わる対策である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.4.4(電子保存の要求事項)/厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版(令和8年6月)
問5|見読性の対策
診療録等の電子保存における見読性の確保のための対策として適切なのはどれか。
- スキャンした文書に、作成責任者の電子署名とタイムスタンプを付与する
- 保存媒体を規格変更の前に新しい形式へ移行する
- システム障害時にも診療録を参照できる代替の見読化手段を準備する
- 利用者IDの共有を禁止し個人単位で認証する
正解と解説
正解:C. システム障害時にも診療録を参照できる代替の見読化手段を準備する見読性は必要なときに内容を読める状態にできることを求めるため、障害時の代替の見読化手段(バックアップサーバや代替端末など)の準備が対策となる。電子署名・タイムスタンプと個人単位の認証は真正性、媒体・形式の移行は保存性の対策である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.4.4(電子保存の要求事項)/厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版(令和8年6月)
問6|保存性の対策
診療録等の電子保存における保存性の確保のための対策として適切なのはどれか。
- 法定保存期間中の媒体の劣化や規格変更に備えて、新しい媒体・形式へ移行(マイグレーション)する
- 代行入力された記録に対して、確定者による承認の操作を行う
- 権限のある者の求めに応じて記録を画面に表示し、書面に印刷して出力できる機能を用意する
- なりすましを防ぐために、二要素認証の仕組みを導入する
正解と解説
正解:A. 法定保存期間中の媒体の劣化や規格変更に備えて、新しい媒体・形式へ移行(マイグレーション)する保存性は法定保存期間にわたって記録が失われず読める状態を保つことを求めるため、媒体劣化・規格変更に備えたマイグレーションが対策となる。代行入力の承認と二要素認証は真正性、書面への印刷機能は見読性に関わる対策である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.4.4(電子保存の要求事項)/厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版(令和8年6月)
問7|e-文書法
e-文書法(電子文書法)と診療録等の電子保存の関係について正しいのはどれか。
- e-文書法は、国税関係帳簿書類の電子的な保存について定めた法律である
- 法令で書面による保存が義務付けられた文書の電磁的保存を一般的に容認する法律であり、厚生労働省令により診療録等もその対象となっている
- e-文書法の施行によって、紙の診療録を作成し保存することは禁止された
- e-文書法自体が、診療録等の真正性・見読性・保存性を確保するための具体的な技術対策や運用の基準を定めている
正解と解説
正解:B. 法令で書面による保存が義務付けられた文書の電磁的保存を一般的に容認する法律であり、厚生労働省令により診療録等もその対象となっているe-文書法は書面保存が義務付けられた文書の電磁的保存を一般的に容認する法律で、厚生労働省令により診療録等の電子保存やスキャナ等による電子化保存が認められている。国税関係帳簿書類の電子保存は電子帳簿保存法である。紙の診療録が禁止されたわけではなく、具体的な要求事項は医療情報システムの安全管理に関するガイドラインが示している。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.1.1(関連法規とガイドラインの背景)・SBO 7.4.4/e-文書法
問8|外部保存の要件
診療録等の電子データを外部の事業者に保存する場合の考え方として正しいのはどれか。
- 外部保存を委託すれば、診療録等の保存義務と責任は受託事業者に移る
- 外部保存では真正性・見読性・保存性の3基準を満たす必要はない
- 外部保存を委託しても、診療録等の保存義務と責任は医療機関等が負う
- 外部保存する場合、個人情報保護のための措置は受託事業者のみが検討すればよい
正解と解説
正解:C. 外部保存を委託しても、診療録等の保存義務と責任は医療機関等が負う診療録等の外部保存は認められているが、保存義務と責任はあくまで医療機関等にあり、委託によって事業者へ移ることはない。外部保存でも電子保存の3基準の確保と個人情報保護への留意が求められ、医療機関側にも委託先の管理を含めた対応が必要である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.4.5(診療録等を外部に保存する際の基準)
問9|策定主体
「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を策定しているのはどれか。
- 総務省
- 経済産業省
- 個人情報保護委員会
- 厚生労働省
正解と解説
正解:D. 厚生労働省医療機関等を対象とする「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は厚生労働省が策定している。経済産業省と総務省は、医療情報を取り扱うシステム・サービスの提供事業者向けの安全管理ガイドラインを共同で策定しており、あわせて3省2ガイドラインと呼ばれる。個人情報保護委員会は個人情報保護法の監督機関である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.4.1(安全管理に関するガイドラインの概要)
問10|第6.0版の構成
医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版で採用された構成はどれか。
- 概説編・経営管理編・企画管理編・システム運用編
- 総則編・技術編・運用編・監査編・様式編
- 概説編・医師編・看護師編・薬剤師編・事務職員編
- 経営編・法令編・ネットワーク編・クラウド編
正解と解説
正解:A. 概説編・経営管理編・企画管理編・システム運用編第6.0版は、読者の役割に応じて概説編・経営管理編・企画管理編・システム運用編の4編で構成された。経営層、企画管理の担当者、システム運用の担当者がそれぞれ読むべき編を分けたことが特徴である。他の選択肢のような職種別・技術分野別の編構成は採用されていない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.4.1(安全管理に関するガイドラインの構成)/厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版(令和8年6月)
問11|企画管理編
医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第6.0版以降)で、安全管理の実務の企画・管理を担う担当者を主な読者とし、運用管理規程の整備やリスク評価、委託先の管理などを扱う編はどれか。
- 概説編
- 経営管理編
- 企画管理編
- システム運用編
正解と解説
正解:C. 企画管理編企画管理編は、安全管理の実務を企画・管理する担当者向けに、運用管理規程の整備、リスク評価、委託先の管理などを示す。概説編はガイドライン全体の目的と考え方、経営管理編は経営層の意思決定・資源確保・説明責任、システム運用編は技術的対策の実装・運用を担う担当者向けの内容である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.4.1(安全管理に関するガイドラインの構成)/厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版(令和8年6月)
問12|3省2GL
医療情報の取扱いに関する、いわゆる3省2ガイドラインの組み合わせとして正しいのはどれか。
- 厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」と、文部科学省の研究倫理指針
- 厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」と、経済産業省・総務省の「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」
- 総務省の「クラウドサービス事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」と、経済産業省の受託情報処理事業者向けガイドライン
- 個人情報保護委員会のガイドラインと、日本医師会の診療情報の取扱い指針
正解と解説
正解:B. 厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」と、経済産業省・総務省の「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」3省2ガイドラインは、医療機関等向けの厚生労働省のガイドラインと、事業者向けの経済産業省・総務省の共同ガイドラインの2本を指す。総務省・経済産業省の旧来の事業者向けガイドライン群(3省4ガイドライン)は統合されて現在の事業者向けガイドラインになった。研究倫理指針や医師会の指針はこの枠組みには含まれない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.6.1・7.6.2(医療情報に関する各種ガイドライン)/3省2ガイドライン
問13|委託時の責任
医療機関が医療情報システムの運用を事業者に委託した場合の責任について正しいのはどれか。
- 委託すれば、情報漏えい時の患者への説明責任は受託事業者に移る
- 契約に定めれば、医療機関は患者に対する責任をすべて免れることができる
- 受託事業者が安全管理を行うため、責任分界点を契約で定める必要はない
- 委託しても、患者に対する最終的な責任は医療機関が負う
正解と解説
正解:D. 委託しても、患者に対する最終的な責任は医療機関が負う安全管理ガイドラインは、システムの運用や保守を委託しても患者に対する説明責任・管理責任などの最終的な責任は医療機関が負うとしている。だからこそ委託契約で責任分界点を明確にし、委託先を監督する必要がある。説明責任が事業者に移ったり、契約で患者への責任を免れたりすることはない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.4.2(電子的な医療情報を扱う際の責任のあり方)
問14|ランサム対策
医療機関におけるランサムウェア対策としてのバックアップの考え方で適切なのはどれか。
- 復旧を早くするため、バックアップは本番サーバと同じ領域に常時接続で1世代だけ保管する
- オフラインまたは書換えできない領域に、複数世代のバックアップを保管する
- バックアップがあれば、感染経路の調査や再発防止策は不要である
- 外部ネットワークと接続していないシステムでは、バックアップは不要である
正解と解説
正解:B. オフラインまたは書換えできない領域に、複数世代のバックアップを保管する常時接続されたバックアップはランサムウェアに本体もろとも暗号化されるおそれがあるため、オフラインまたは書換え不可の領域への複数世代の保管が適切である。ネットワーク分離だけでは保守用回線やUSBメモリ経由の感染があり得るためバックアップは必要であり、復旧後も原因究明と再発防止が求められる。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.4.3(医療情報システムの安全管理対策)/厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版(令和8年6月)
問15|非常時対応
医療機関の情報システムに関する非常時対応(BCP)の考え方として適切なのはどれか。
- システム障害が起きたら、復旧までのあいだ診療に関する記録は行わない
- 紙運用への切替手順をあらかじめ定め、平時から訓練しておく
- BCPは自然災害のみを対象とし、サイバー攻撃は含めない
- バックアップを取得していれば、復旧手順を文書化する必要はない
正解と解説
正解:B. 紙運用への切替手順をあらかじめ定め、平時から訓練しておく非常時にも診療を継続するため、紙運用への切替手順や復旧手順をあらかじめ定め、訓練で実効性を確認しておくことが求められる。BCPは災害だけでなくランサムウェアなどのサイバー攻撃によるシステム停止も対象であり、バックアップがあっても復旧手順の整備は必要である。障害中も診療の記録は紙などで継続する。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.4.3(医療情報システムの安全管理対策)/厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版(令和8年6月)
問16|第7.0版の新編
令和8年6月に発出された医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版で、新たに加わった編はどれか。
- クラウドサービス編
- 監査編
- 患者編
- 保守委託機関編
正解と解説
正解:D. 保守委託機関編第7.0版では、第6.0版の概説編・経営管理編・企画管理編・システム運用編の4編に、医療機関からシステムの保守を受託する事業者を対象とする保守委託機関編が加わり、5編構成となった。クラウドサービス編・監査編・患者編という編は設けられていない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.4.1(安全管理に関するガイドラインの構成)/厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版(令和8年6月)
問17|要配慮個人情報
個人情報保護法における要配慮個人情報に該当するのはどれか。
- 患者の病歴
- 患者の電話番号
- 患者の国籍
- 患者の収入
正解と解説
正解:A. 患者の病歴要配慮個人情報は、不当な差別や偏見が生じないよう特に配慮を要する情報で、病歴のほか人種、信条、社会的身分、犯罪の経歴などが該当し、政令で健康診断等の結果や診療・調剤の情報も加えられている。電話番号、国籍、収入は個人情報ではあり得るが、要配慮個人情報には該当しない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.2.2(個人情報保護法における個人情報の定義)/個人情報保護法
問18|要配慮の取扱い
要配慮個人情報の取扱いについて正しいのはどれか。
- 取得には、原則としてあらかじめ本人の同意が必要である
- 個人情報保護委員会に届け出れば、オプトアウトにより第三者提供できる
- 医療機関が扱う場合は、個人情報保護法の適用を受けない
- 本人の同意があっても取得することはできない
正解と解説
正解:A. 取得には、原則としてあらかじめ本人の同意が必要である要配慮個人情報の取得には原則としてあらかじめ本人の同意が必要であり、オプトアウトによる第三者提供は届出をしても認められない。医療機関も個人情報取扱事業者として法の適用を受ける。本人の同意を得れば取得は可能であり、診療に通常必要な範囲についてはガイダンス上、黙示の同意の考え方も示されている。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.2.2・7.2.4(個人情報の定義と取り扱い)/個人情報保護法
問19|匿名と仮名
個人情報保護法における匿名加工情報と仮名加工情報について正しいのはどれか。
- 仮名加工情報は、本人の同意を得なくても自由に第三者へ提供できる
- 匿名加工情報は、特定の個人を識別できず復元もできないように加工されており、公表等の義務のもとで本人の同意なく第三者提供できる
- 匿名加工情報は、他の情報と照合すれば特定の個人を識別できる状態でもよい
- 仮名加工情報は、他の情報と照合しても元の個人情報を復元することが技術的に不可能なように加工された情報である
正解と解説
正解:B. 匿名加工情報は、特定の個人を識別できず復元もできないように加工されており、公表等の義務のもとで本人の同意なく第三者提供できる匿名加工情報は個人を識別できず復元もできないよう加工した情報で、項目の公表などの義務を守れば同意なく第三者提供できる。仮名加工情報は他の情報と照合しない限り識別できないよう加工した情報で、復元不可能までは求められないかわりに、原則として第三者提供はできず組織内部の分析利用が想定されている。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.2.2(個人情報保護法における個人情報の定義)/個人情報保護法(令和2年改正で仮名加工情報を導入)
問20|個人識別符号
個人情報保護法における個人識別符号に該当するのはどれか。
- 患者の氏名と住所
- 患者の生年月日と性別
- 患者の携帯電話番号とメールアドレス
- 公的医療保険の被保険者証の記号・番号
正解と解説
正解:D. 公的医療保険の被保険者証の記号・番号個人識別符号は、その符号単体で特定の個人を識別できるものとして政令等で定められており、公的医療保険の被保険者証の記号・番号のほか、DNAの塩基配列など身体的特徴をデータ化した符号、マイナンバー、旅券番号などが該当する。氏名や生年月日は個人を識別し得る記述であり、携帯電話番号やメールアドレスとともに個人識別符号としては定められていない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.2.2(個人情報保護法における個人情報の定義)/個人情報保護法
問21|次世代基盤法
次世代医療基盤法の説明として正しいのはどれか。
- 医療機関が医療情報を研究のために提供するには、必ず本人の書面による同意が必要であると定めた法律である
- 個人情報保護法を廃止し、医療分野の個人情報の保護を一本化した法律である
- 国の認定を受けた事業者が医療機関等から医療情報を収集して匿名加工し、研究開発の用に提供する仕組みを定めた法律である
- 届出さえ行えば、どの民間企業でも匿名加工医療情報作成事業を実施できると定めた法律である
正解と解説
正解:C. 国の認定を受けた事業者が医療機関等から医療情報を収集して匿名加工し、研究開発の用に提供する仕組みを定めた法律である次世代医療基盤法は、高い安全管理能力等の基準を満たし国の認定を受けた認定匿名加工医療情報作成事業者が、医療情報を匿名加工して研究開発に提供する仕組みを定める。医療機関からの提供は通知とオプトアウト方式によることができ、必ず書面同意が要るわけではない。個人情報保護法を置き換える法律ではなく、事業者は届出ではなく認定が必要である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.3.1(次世代医療基盤法の概要)/次世代医療基盤法
問22|提供の方式
次世代医療基盤法に基づき、医療機関が認定匿名加工医療情報作成事業者へ医療情報を提供する方式について正しいのはどれか。
- 医療情報は要配慮個人情報を含むため、認定事業者への提供は一切できない
- 医療機関が自ら匿名加工を行ってからでなければ提供できない
- 一度提供に同意したものとみなされると、本人が求めても提供を停止できない
- あらかじめ本人に通知し、本人または遺族が停止を求めない限り提供できる
正解と解説
正解:D. あらかじめ本人に通知し、本人または遺族が停止を求めない限り提供できる次世代医療基盤法では、あらかじめ本人に通知し、本人(または遺族)が停止を求めない限り医療情報を認定事業者に提供できるオプトアウト方式が認められており、要配慮個人情報のオプトアウト提供を禁じる個人情報保護法の特例となっている。本人はいつでも停止を求めることができる。匿名加工を行うのは認定事業者であり、医療機関が加工してから提供する仕組みではない。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.3.4(次世代医療基盤法に基づく医療情報の提供)/次世代医療基盤法
問23|利用目的の公表
「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」の考え方として正しいのはどれか。
- 個人情報の利用目的は、患者から質問を受けた場合にのみ説明すればよい
- 検査の外部委託など診療に通常必要な範囲の利用であっても、利用のたびに書面による同意を得なければならない
- 利用目的を院内掲示等で公表していれば、診療に通常必要な範囲の利用は黙示の同意が得られていると考えられる
- 法令に基づく場合であっても、第三者提供には必ず本人の同意が必要である
正解と解説
正解:C. 利用目的を院内掲示等で公表していれば、診療に通常必要な範囲の利用は黙示の同意が得られていると考えられるガイダンスは、利用目的を院内掲示等でわかりやすく公表し本人が留保しない場合、診療や診療報酬請求など通常必要な範囲の利用・提供には黙示の同意が得られていると考えられるとしている。利用目的は質問を待たず公表する必要があり、通常必要な範囲で逐一の書面同意は求められない。法令に基づく場合は本人同意なく第三者提供できる例外に当たる。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 7.5.1・7.5.2(ガイダンスの概要、利用目的の特定と通知)/医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
問24|DWHの利点
病院情報システムのデータを解析する際に、データウェアハウス(DWH)を利用する利点はどれか。
- 業務系データベースに負荷をかけずに、分析用のデータを抽出できる
- オーダ入力など日常業務の画面の応答が速くなる
- DWHが診療録の原本となり、法定保存の義務を果たすことができる
- DWHを使えば、欠損値や外れ値の前処理が不要になる
正解と解説
正解:A. 業務系データベースに負荷をかけずに、分析用のデータを抽出できるDWHは業務系システムからデータを複製して時系列に蓄積した分析用の基盤であり、業務系データベースに負荷をかけずに抽出・集計できることが利点である。業務システムの応答を速くするものではなく、診療録の原本として法定保存を担うものでもない。DWHにあるデータでも欠損値・外れ値などの前処理は依然として必要である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 8.1.2(病院情報システムからのデータ抽出方法)
問25|欠損値の扱い
医療データの解析における欠損値の扱いとして適切なのはどれか。
- 欠損値はすべて0とみなして、そのまま集計する
- 欠損が生じた理由を確認し、解析の目的に応じて除外や補完などの扱いを決める
- 欠損値を含む項目は、欠損の理由を問わず常に解析の対象から除外する
- 欠損はランダムに生じるものであるため、そのまま無視して集計してよい
正解と解説
正解:B. 欠損が生じた理由を確認し、解析の目的に応じて除外や補完などの扱いを決める欠損は未入力や検査未実施など様々な理由で生じ、その生じ方はランダムとは限らない(例えば重症患者ほど測定されやすい検査もある)。理由を確認したうえで、目的に応じて除外・補完などの扱いを決めるのが適切である。0とみなす、常に除外する、無視するといった機械的な処理は集計結果を歪めるおそれがある。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 8.1.3(データの質管理の重要性)
問26|外れ値の扱い
医療データの解析における外れ値の扱いとして適切なのはどれか。
- 外れ値は必ず入力ミスによるものであるため、発見したらすべて削除する
- 外れ値は確認せずに自動的に平均値へ置き換える
- 入力ミスによるものか実際の異常値かを確認したうえで、扱いを決める
- 外れ値が1つでも含まれているデータセットは、解析に使用できない
正解と解説
正解:C. 入力ミスによるものか実際の異常値かを確認したうえで、扱いを決める外れ値には、単位の取り違えなどの入力ミスの場合と、実際に生じた異常値の場合がある。医療データでは真の異常値が臨床的に重要な意味を持つこともあるため、原因を確認してから修正・除外・保持を判断する。必ずミスと決めつけて削除したり、機械的に平均値へ置き換えたりすると誤った結果を招く。外れ値があっても適切に扱えば解析は可能である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 8.1.3(データの質管理の重要性)
問27|名寄せ
医療データの前処理における「名寄せ」の説明として正しいのはどれか。
- 同一人物に複数の患者IDや表記ゆれのある記録が存在する場合に、突合して同一人物のデータとして統合すること
- 特定の個人を識別することができないように、氏名や住所などの識別子を削除したり置き換えたりすること
- 患者の一覧を氏名の五十音順に並べ替えて整理すること
- 欠損している値を統計的な手法によって補完すること
正解と解説
正解:A. 同一人物に複数の患者IDや表記ゆれのある記録が存在する場合に、突合して同一人物のデータとして統合すること名寄せは、二重登録された患者IDや氏名の表記ゆれなどにより分かれてしまった同一人物の記録を突合・統合する作業で、患者単位の解析の正確さを左右する。識別子の削除は匿名化・仮名化に当たる加工であり、並べ替えは単なるソート、欠損値の補完は名寄せとは別の前処理である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 8.1.3(データの質管理の重要性)
問28|DWH
病院のデータウェアハウス(DWH)の説明として、正しいのはどれか。
- 日々の診療業務における入力処理をそのまま行うための基幹の業務システムである
- 分析のために各システムからデータを集約・蓄積し、時系列で保持するデータベースである
- 医用画像を保管し、院内の端末から参照するためのシステムである
- 職員の給与計算と勤怠の管理を行うためのシステムである
正解と解説
正解:B. 分析のために各システムからデータを集約・蓄積し、時系列で保持するデータベースであるDWH(データウェアハウス)は、電子カルテや医事会計など各システムからデータを集約・蓄積し、分析のために時系列で保持するデータベースである。日々の入力処理を行うのは基幹系の業務システム、医用画像の保管はPACS、給与計算は人事給与システムであり、いずれもDWHの説明ではない。目的別に切り出した部分集合はデータマートと呼ぶ。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 8.1(データ解析・DWH)
問29|データの特性
医療経営分析や医療の質評価に病院情報システムのデータを用いる際の特性の理解として正しいのはどれか。
- レセプトの病名には請求のために付与された病名が含まれ、確定診断と一致するとは限らない
- レセプトデータには、すべての検査結果の数値が含まれている
- DPCデータは診療報酬制度とは無関係に収集される研究専用データである
- 病院情報システムのデータは解析目的で設計されているため、抽出すればそのまま分析に使える
正解と解説
正解:A. レセプトの病名には請求のために付与された病名が含まれ、確定診断と一致するとは限らないレセプト病名には診療報酬請求のために付与された病名が含まれるため、確定診断と一致するとは限らず、疾患の集計には注意が必要である。レセプトには検査の実施情報はあっても結果値は含まれない。DPCデータはDPC/PDPSという診療報酬制度に関わる退院患者調査のデータであり、病院情報システムのデータは業務目的で記録されたものなので前処理と質の確認が不可欠である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 8.2.2・8.3.2(医療経営データ・医療の質評価データの特性)
問30|二次利用の留意
病院情報システムに蓄積されたデータを臨床研究に二次利用する際の留意点として適切でないのはどれか。
- 研究に利用するにあたっては、個人情報保護法制や研究倫理指針など関係する枠組みに従う
- 電子カルテのデータは研究目的で設計されているため、抽出したデータはそのまま解析に使用できる
- 対象とする患者・対象期間・除外条件の定義を明確にしたうえで抽出する
- 診療報酬改定などに伴うマスターやコードの改定の履歴を考慮する
正解と解説
正解:B. 電子カルテのデータは研究目的で設計されているため、抽出したデータはそのまま解析に使用できる電子カルテのデータは診療という業務のために記録されたリアルワールドデータであり、研究目的で設計されてはいないため、欠損値・外れ値・名寄せなどの前処理と質の確認を経ずにそのまま解析に使うことはできない。個人情報保護法制・研究倫理への準拠、抽出条件の明確化、コード改定履歴の考慮は、いずれも二次利用時に必要な適切な留意点である。
根拠:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 到達目標」(医療情報システム系)v7(2025年7月26日更新)SBO 8.4.2・8.4.3(臨床研究データの特性と抽出)
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※ 出題は日本医療情報学会 医療情報技師育成部会が公開する「医療情報技師 到達目標」(v7・GIO/SBO/キーワード)に沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題です。医療上の助言ではありません。合格基準は非公開のため、本サイトの到達度は独自の目安です。試験の実施要項は育成部会の公式発表をご確認ください。