仮の宿 学習室 資格 基本情報技術者 合格ラボ 企業活動と法務
基本情報技術者 FUNDAMENTAL IT ENGINEER
企業活動と法務
講義 3 本・確認問題 30 問 | 本試験では「科目A ストラテジ」(12問)の一部 | 最終更新 2026-09-24
この章で学ぶこと 会社がどんな仕組みで動き、誰がどんな責任を持ち、人をどう育て評価するのかが分かります。 決算書の読み方と、損益分岐点・財務指標・減価償却・投資評価の計算のやり方が分かります。 知的財産権・セキュリティ関連法規・労働関連法規・取引関連法規と標準化の要点が分かります。
1. 企業活動と組織
会社がどんな仕組みで動き、誰がどんな責任を持ち、人をどう育て評価するのかが分かります。
企業は、人・物・金・情報という経営資源を組み合わせて、社会に価値を提供し続ける組織です。経営資源には限りがあるので、どこに重点を置くかを決めることが経営です。その活動を回すための基本の型がPDCAサイクルです。Plan(計画)で目標と手順を決め、Do(実行)で計画どおりに実施し、Check(評価)で目標と実績を比べて差の原因を調べ、Act(改善)でやり方や計画そのものを見直します。これを一周して終わりにせず、次のPlanにつなげて回し続けることで、業務の質が少しずつ上がっていきます。PDCAは業務改善だけでなく、品質管理や情報セキュリティマネジメントなど、多くの管理の仕組みの土台になっています。
会社の中の人の集まり方、つまり組織形態にはいくつかの型があります。職能別組織(機能別組織)は、開発・製造・販売・経理といった仕事の種類ごとに部門を作る形です。同じ専門の人が集まるので技術やノウハウが蓄積しやすい一方、部門をまたぐ調整が必要で、判断は上位に集まりがちです。事業部制組織は、製品別・地域別・顧客別といった単位で事業部を作り、それぞれに売上と利益の責任を持たせて大きな権限を委ねる形です。市場の変化に素早く対応できますが、事業部ごとに似た機能を持つため重複が生じやすく、事業部の間で協力しにくくなることもあります。
マトリックス組織は、職能別の軸と製品・プロジェクトの軸を掛け合わせ、一人の構成員が二つの部門に同時に所属する形です。専門性と機動力の両方を得られますが、上司が二人いることになるため、指示が食い違ったときの調整の仕組みをあらかじめ決めておかないと現場が混乱します。プロジェクト組織は、特定の目的のために各部門から人を集め、目的を達成したら解散する一時的な組織です。カンパニー制は、社内の事業単位に資本や資産まで割り当て、あたかも独立した会社のように運営させる社内制度で、法人格はあくまで一つです。これに対して持株会社は、他の会社の株式を保有して支配することを目的とした別法人で、自らは事業を行わないものを純粋持株会社、自分でも事業を行いながら子会社を支配するものを事業持株会社といいます。
経営の責任者には役割ごとの呼び名があります。CEOは最高経営責任者で経営全体の最終責任を負い、COOは最高執行責任者として日々の業務執行を統括します。CFOは最高財務責任者で資金調達や財務戦略を、CTOは最高技術責任者で製品や研究開発など技術面の戦略を担当します。そしてCIOは最高情報責任者で、経営戦略に沿った情報化戦略を立案し、情報システム全体と情報資産の活用に責任を持ちます。CIOは技術の担当者ではなく、経営と情報化を橋渡しする立場である点が重要です。
人材育成の方法も押さえておきましょう。OJT(On the Job Training)は職場で実際の仕事を通じて上司や先輩が指導する方法で、実務に直結しますが指導者の力量に左右されます。Off-JTは職場を離れて集合研修やセミナーで体系的に学ぶ方法です。e-ラーニングはコンピュータやネットワークを使って時間や場所に縛られず学ぶ形態で、その中でも学習者一人ひとりの理解度や解答の傾向に応じて出す教材や難易度を変えていくものをアダプティブラーニングといいます。評価の面では、本人が上司と話し合って目標を設定し、期末にその達成度で評価するMBO(目標管理制度)や、上司だけでなく同僚・部下・本人など複数の立場から評価する360度評価(多面評価)があります。
働き方に関する言葉も出題されます。テレワークは情報通信技術を使って場所や時間にとらわれずに働く形態で、在宅勤務やモバイルワーク、サテライトオフィス勤務が含まれます。BYOD(Bring Your Own Device)は従業員が私物の情報端末を業務に使うことで、費用や利便性の利点がある一方、情報漏えいや管理面のリスクがあるため利用ルールの整備が欠かせません。ワークライフバランスは仕事と生活の調和、ダイバーシティは性別・年齢・国籍・障害の有無などの多様性を受け入れて生かす考え方です。
災害や事故が起きても事業を止めない備えがBCP(事業継続計画)です。あらかじめ重要な業務を選び、それを復旧させるまでに許容できる時間の目標であるRTO(目標復旧時間)と、どの時点のデータまで戻して再開するかの目標であるRPO(目標復旧時点)を決め、代替設備や連絡体制を用意します。このBCPを策定し、訓練や見直しを通じて継続的に運用していく一連の活動をBCM(事業継続管理)といいます。企業の社会的責任をCSRといい、環境や人権への配慮、法令遵守、情報開示などが含まれます。国連が定めた持続可能な開発目標がSDGsで、ITの分野では省電力の機器や仮想化によって環境負荷を減らす取組みをグリーンITと呼びます。
生産や事務の現場を数字で改善する技術がIE(インダストリアルエンジニアリング)です。作業の実態を測る方法として、ストップウォッチで各要素作業の時間を直接測る時間研究(ストップウォッチ法)、動作を撮影・分析して無駄を省く動作研究、あらかじめ定められた基本動作ごとの標準時間値を積み上げるPTS法があります。そしてワークサンプリング法は、無作為に選んだ時点で瞬間的に観測することを何度も繰り返し、各作業に費やされた時間の割合を統計的に推定する方法です。連続して張り付いて測る必要がないため、複数の作業者や間接業務の実態を調べるのに向いています。
主な組織形態の比較(編成の基準・指揮命令・特徴) 組織形態 編成の基準 指揮命令 特徴 職能別(機能別)組織 開発・製造・販売など仕事の種類 一本(上位に集中) 専門性が蓄積しやすいが、部門間の調整が必要 事業部制組織 製品別・地域別・顧客別の事業単位 事業部長に大幅に委譲 利益責任が明確で市場の変化に速く対応できるが、機能が重複しやすい マトリックス組織 職能の軸と製品・プロジェクトの軸 二系統(上司が二人) 専門性と機動性を両立できるが、指示の食い違いの調整が必要 プロジェクト組織 特定の目的(期間限定) プロジェクトマネージャ 各部門から要員を集め、目的を達成すると解散する カンパニー制 社内の事業単位(資本・資産まで割当て) カンパニー長 擬似的な独立採算で運営する社内制度。法人格は一つのまま 持株会社 株式の保有による企業グループ 各子会社は別法人として独立 純粋持株会社は自ら事業を行わず、子会社の支配・管理に専念する
用語 経営資源 企業が事業を行うために使う資源のこと。人(ヒト)、物(モノ)、金(カネ)、情報の四つに分けて考えるのが一般的で、限りある資源をどこに配分するかを決めることが経営の基本になる。 PDCAサイクル Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の四段階を繰り返して業務の質を高める管理の型。Checkは計画と実績を比べて差の原因を調べる段階、Actはその結果を受けてやり方や計画を見直す段階。 職能別組織 機能別組織ともいう。開発・製造・販売・経理など仕事の種類ごとに部門を編成した組織。専門知識が蓄積しやすい反面、部門間の調整が必要で意思決定が上位に集中しやすい。 事業部制組織 製品別・地域別・顧客別などに事業部を編成し、各事業部に利益責任と大幅な権限を委譲した組織。市場の変化に速く対応できるが、事業部ごとに機能が重複しやすい。 マトリックス組織 職能別の軸と製品・プロジェクトの軸を組み合わせ、構成員が二つの部門に同時に所属する組織。専門性と機動性を両立できるが、二人の上司から指示を受けるため命令系統の調整が必要になる。 プロジェクト組織 特定の目的を達成するために各部門から要員を集めて編成する一時的な組織。目的を達成すると解散し、要員は元の部門に戻る。 カンパニー制 社内の事業単位に資本や資産まで割り当て、独立した会社であるかのように擬似的な独立採算で運営する社内制度。法人格は分かれておらず、あくまで一つの会社の中の仕組みである。 純粋持株会社 他の会社の株式を保有してその会社の事業活動を支配することを主な事業とし、自らは事業を行わない会社。自社でも事業を行いながら子会社を支配する会社は事業持株会社という。 CIO 最高情報責任者(Chief Information Officer)。経営戦略に沿って情報化戦略を立案し、情報システムと情報資産の活用に責任を持つ役員。技術単独ではなく経営と情報化を結び付ける役割を担う。 OJT 職場で実際の業務を通じて上司や先輩が知識・技能を指導する教育方法。実務に直結する反面、指導者の力量や職場の忙しさに成果が左右されやすい。職場を離れて行う研修はOff-JT。 アダプティブラーニング 学習者一人ひとりの理解度や解答の傾向に応じて、提示する教材の内容や難易度、順序を変えながら進める学習方式。e-ラーニングの仕組みと学習履歴の分析によって実現される。 MBO 目標管理制度。従業員が上司と話し合って個人目標を設定し、期末にその達成度によって評価する仕組み。目標を自分で設定させることで動機付けを高めるねらいがある。 360度評価 多面評価ともいう。直属の上司だけでなく、同僚・部下・本人など複数の立場の人が評価を行う仕組み。評価の偏りを減らし、本人が気付きにくい面を把握できる。 BYOD Bring Your Own Device。従業員が私物の情報端末を業務に使うこと。導入費用の削減や利便性の向上が期待できる一方、情報漏えいや端末管理のリスクがあり、利用ルールと技術的対策が必要になる。 BCP 事業継続計画。災害や事故が起きても重要な業務を中断させない、または短時間で復旧させるために、あらかじめ手順や体制を定めた計画。復旧時間の目標をRTO、復旧時点の目標をRPOという。 BCM 事業継続管理。BCPを策定するだけで終わらせず、教育や訓練、点検、見直しを通じて継続的に運用・改善していくマネジメント活動全体を指す。 グリーンIT 省電力の機器の採用、サーバの仮想化・集約、適切な冷却などによって、IT機器の利用や製造に伴う環境負荷を減らす取組み。企業の社会的責任(CSR)やSDGsへの対応の一つとして位置付けられる。 ワークサンプリング法 無作為に選んだ時点で作業の状態を瞬間的に観測することを多数回繰り返し、各作業に費やされた時間の割合を統計的に推定するIEの手法。連続測定が不要で、複数の作業者や間接業務の調査に向く。
例題
例題:職能別組織と事業部制組織のどちらが、新製品を市場に出すまでの意思決定が速いか。理由も述べよ。
答えと考え方 事業部制組織。事業部に利益責任と大幅な権限が委譲されているため、事業部の中で企画から製造・販売までの判断を完結できる。職能別組織では部門をまたぐ調整と上位者の承認が必要になり、その分だけ時間がかかる。ただし事業部制は事業部ごとに似た機能を抱えるため、全社で見ると重複投資になりやすい。
例題:PDCAサイクルで、月次の売上目標と実績の差を分析し「広告の出稿時期が遅れたことが原因」と突き止めた。これはどの段階か。また次に行うのはどの段階か。
答えと考え方 差の大きさと原因を調べる活動なのでCheck(評価)に当たる。次はAct(改善)で、広告の出稿手順を前倒しにするなど、やり方や計画そのものを見直す。見直した内容は次のPlanに反映して、サイクルを回し続ける。
例題:ある工場で、5人の作業者が1日のうちどれだけの時間を運搬に使っているかを調べたい。ストップウォッチ法とワークサンプリング法のどちらが適しているか。
答えと考え方 ワークサンプリング法。無作為な時点での瞬間観測を繰り返して時間の割合を統計的に推定するので、5人を同時に、しかも観測者が張り付かずに調べられる。ストップウォッチ法は一つの要素作業の所要時間を正確に測るのには向くが、複数の作業者を長時間追い続けるには手間がかかりすぎる。
出典・根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動
2. 会計と財務
決算書の読み方と、損益分岐点・財務指標・減価償却・投資評価の計算のやり方が分かります。
企業の成績表が財務諸表です。中心になるのは三つで、一定期間にどれだけもうけたかを表す損益計算書(P/L)、ある時点でどんな財産と借金を持っているかを表す貸借対照表(B/S)、現金の増減の内訳を表すキャッシュフロー計算書です。損益計算書は利益を五段階に分けて示します。まず売上高から売上原価を引いた売上総利益(粗利益)。ここから販売費及び一般管理費を引いた営業利益は、本業でのもうけを表します。営業利益に受取利息などの営業外収益を足し、支払利息などの営業外費用を引いた経常利益は、本業に財務活動を加えた、毎期繰り返される活動全体のもうけです。さらに固定資産売却益などの特別利益を足し、災害損失などの特別損失を引くと税引前当期純利益、そこから法人税等を引くと最終的な当期純利益になります。どの利益を問われているのかを取り違えないことが計算問題を解く鍵です。
貸借対照表は左側に資産、右側に負債と純資産を並べ、資産の合計と負債・純資産の合計が必ず一致します。資産は1年以内に現金化される流動資産と、建物や機械のように長く使う固定資産に分かれます。負債も1年以内に返す流動負債と、それより長い固定負債に分かれます。資産から負債を引いた残りが純資産で、株主が出したお金と過去のもうけの蓄積からなり、返す必要のない自己資本に当たります。キャッシュフロー計算書は現金の動きを営業活動・投資活動・財務活動の三つの区分に分けて示します。本業で稼いだ現金が営業活動によるキャッシュフロー、設備や有価証券の取得・売却が投資活動、借入れや返済、増資や配当が財務活動です。利益が出ていても現金が足りずに倒産する黒字倒産があるため、利益と現金の動きは分けて見る必要があります。
費用を、売上に比例して増える変動費と、売上に関係なく一定額かかる固定費に分けて考えると、もうけの構造が見えてきます。売上高に対する変動費の割合が変動費率で、1から変動費率を引いた値が限界利益率です。売上高から変動費を引いた限界利益がちょうど固定費と等しくなり、利益が0になる売上高が損益分岐点売上高で、固定費÷(1−変動費率)で求めます。実際の売上高が損益分岐点をどれだけ上回っているかの割合が安全余裕率で、(売上高−損益分岐点売上高)÷売上高で計算します。この値が大きいほど、売上が落ちても赤字になりにくい体質だといえます。目標利益を達成する売上高は、(固定費+目標利益)÷(1−変動費率)で求められます。
経営の状態を比率で見るのが財務指標です。ROE(自己資本利益率)は当期純利益÷自己資本で、株主が出したお金をどれだけ効率よく利益に変えたかを表します。ROA(総資産利益率、総資本利益率)は利益÷総資産で、資金の出どころを問わず、持っている資産全体でどれだけ利益を上げたかを表します。自己資本比率は自己資本÷総資産で、返さなくてよいお金の割合を示し、高いほど財務が安定しています。流動比率は流動資産÷流動負債で、1年以内に返すお金に対して1年以内に現金化できる資産がどれだけあるかを示し、短期の支払能力の目安になります。総資本回転率は売上高÷総資本で、資産をどれだけ効率よく売上に結び付けたかを回数で表します。分母と分子に何を置くのかを覚えておけば、数値を当てはめるだけで解けます。
製品を作るのにかかった原価は、材料費・労務費・経費の三つに分類します。同時に、特定の製品に直接ひも付けられる直接費と、複数の製品に共通してかかり配賦が必要な間接費にも分けます。この二つの分け方を組み合わせて、直接材料費・直接労務費・直接経費・間接材料費などに整理し、合計したものが製造原価です。長く使う固定資産は、買った年に全額を費用にせず、使用できる期間(耐用年数)にわたって少しずつ費用にします。これが減価償却です。定額法は取得原価を耐用年数で割った一定額を毎年計上する方法で、定率法は未償却残高(帳簿価額)に一定の償却率を掛ける方法です。定率法は初期の償却費が大きく、年々小さくなっていきます。設備を持たずに使う方法としては、比較的長期にわたり特定の物件を借りるリースと、短期間で不特定の物件を借りるレンタルがあります。
同じ商品を違う単価で仕入れた場合、売れた分の原価をいくらとみなすかを決めるのが在庫評価の方法です。先入先出法は、先に仕入れたものから先に払い出したとみなす方法で、売上原価には古い(先に仕入れた)単価が、期末棚卸高には新しい単価が反映されます。移動平均法は、仕入れのたびに在庫全体の平均単価を計算し直し、その時点の平均単価で払い出す方法です。設備投資などの判断には投資評価の手法を使います。回収期間法は、投資額を毎年のキャッシュフローで回収し終えるまでの期間を求め、短いほど有利と判断する分かりやすい方法ですが、回収後のもうけや金利を考えない弱点があります。正味現在価値法(NPV)は、将来のキャッシュフローを一定の割引率で現在の価値に割り引いて合計し、そこから投資額を引いた値がプラスなら投資する価値があると判断する方法です。
損益計算書の5段階利益と主な財務指標の計算式 区分 項目 計算式・意味 5段階利益 売上総利益 売上高 − 売上原価(商品そのものの利幅) 5段階利益 営業利益 売上総利益 − 販売費及び一般管理費(本業のもうけ) 5段階利益 経常利益 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用(本業+財務活動) 5段階利益 税引前当期純利益 経常利益 + 特別利益 − 特別損失 5段階利益 当期純利益 税引前当期純利益 − 法人税等(最終的なもうけ) 損益分岐 変動費率 変動費 ÷ 売上高(1−変動費率が限界利益率) 損益分岐 損益分岐点売上高 固定費 ÷ (1 − 変動費率) 損益分岐 安全余裕率 (売上高 − 損益分岐点売上高) ÷ 売上高 財務指標 ROE(自己資本利益率) 当期純利益 ÷ 自己資本(純資産) 財務指標 ROA(総資産利益率) 利益 ÷ 総資産(総資本) 財務指標 自己資本比率 自己資本 ÷ 総資産(高いほど安定) 財務指標 流動比率 流動資産 ÷ 流動負債(短期の支払能力) 財務指標 総資本回転率 売上高 ÷ 総資本(資産が売上を生む効率、単位は回)
用語 売上総利益 粗利益ともいう。売上高から売上原価を差し引いた利益で、商品そのものの利幅を表す。ここから販売費及び一般管理費を引くと営業利益になる。 営業利益 売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた利益。本業でどれだけ稼いだかを示す。受取利息や支払利息といった財務活動の損益はまだ含まない。 経常利益 営業利益に受取利息などの営業外収益を加え、支払利息などの営業外費用を差し引いた利益。本業と財務活動を合わせた、毎期繰り返される活動全体のもうけを表す。 当期純利益 経常利益に特別利益を加え特別損失を引いた税引前当期純利益から、法人税等を差し引いた最終的な利益。株主に帰属する利益であり、ROEの分子に使われる。 貸借対照表 ある時点の財政状態を、左側の資産と右側の負債・純資産で表した表。資産合計と負債・純資産の合計は必ず一致する。資産・負債は1年基準で流動と固定に分けられる。 キャッシュフロー計算書 一会計期間の現金の増減を、営業活動・投資活動・財務活動の三つの区分に分けて示した書類。利益が出ていても現金が不足する黒字倒産を見抜くために使われる。 変動費率 売上高に対する変動費の割合(変動費÷売上高)。1から変動費率を引いた値が限界利益率で、損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費率)の分母になる。 損益分岐点売上高 売上高と費用(固定費+変動費)がちょうど等しくなり、利益が0になる売上高。固定費÷(1−変動費率)で求める。これを上回れば黒字、下回れば赤字になる。 安全余裕率 実際の売上高が損益分岐点売上高をどれだけ上回っているかの割合。(売上高−損益分岐点売上高)÷売上高で求め、値が大きいほど売上が落ちても赤字になりにくい。 ROE 自己資本利益率。当期純利益÷自己資本で求め、株主が出資したお金をどれだけ効率よく利益に変えたかを表す。分母が自己資本(純資産)である点がROAとの違い。 ROA 総資産利益率(総資本利益率)。利益÷総資産で求め、負債も含めた資産全体をどれだけ効率よく利益に結び付けたかを表す。 自己資本比率 自己資本÷総資産で求める比率。返済の必要がない資金の割合を示し、高いほど財務の安定性が高いと判断される。 流動比率 流動資産÷流動負債で求める比率。1年以内に返済すべき負債に対して、1年以内に現金化できる資産がどれだけあるかを示し、短期の支払能力の目安になる。 総資本回転率 売上高÷総資本で求め、資産をどれだけ効率よく売上に結び付けたかを回数で表す指標。値が大きいほど資産が有効に使われている。 定額法 減価償却の方法の一つ。(取得原価−残存価額)÷耐用年数で求めた一定額を毎年計上する。計算が簡単で、毎年の費用が同額になる。 定率法 減価償却の方法の一つ。未償却残高(取得原価−償却累計額)に一定の償却率を掛けて計上する。初期の償却費が大きく、年を追うごとに小さくなる。 先入先出法 先に仕入れたものから先に払い出したとみなして在庫を評価する方法。売上原価には古い単価、期末棚卸高には新しい単価が反映される。 移動平均法 仕入れのたびに、それまでの在庫と新しい仕入れを合わせた平均単価を計算し直し、その平均単価で払い出したとみなす在庫評価の方法。 回収期間法 投資額を毎年のキャッシュフローで回収し終えるまでの期間を求め、期間が短い案を有利と判断する投資評価の手法。回収後の利益や金利(時間価値)を考慮しない。 正味現在価値法 NPV。将来得られるキャッシュフローを一定の割引率で現在価値に割り引いて合計し、投資額を差し引いた値で評価する手法。値が正なら投資する価値があると判断する。
例題
例題:売上高2,000万円、売上原価1,200万円、販売費及び一般管理費500万円、営業外収益30万円、営業外費用80万円のとき、売上総利益・営業利益・経常利益はそれぞれいくらか。
答えと考え方 売上総利益=2,000−1,200=800万円。営業利益=800−500=300万円。経常利益=300+30−80=250万円。営業外収益は足し、営業外費用は引くことに注意する。ここから特別損益と法人税等を差し引くと当期純利益になる。
例題:固定費900万円、変動費率0.4の企業が、利益300万円を達成するために必要な売上高はいくらか。
答えと考え方 目標利益を達成する売上高=(固定費+目標利益)÷(1−変動費率)=(900+300)÷0.6=2,000万円。ちなみに損益分岐点売上高は900÷0.6=1,500万円なので、そこから500万円多く売れば、限界利益率0.6の分だけ利益が300万円積み上がる。
例題:取得原価800,000円、耐用年数4年、残存価額0の設備を定額法と定率法(償却率0.5)で償却した場合、1年目の減価償却費はそれぞれいくらか。
答えと考え方 定額法=800,000÷4=200,000円。定率法=800,000×0.5=400,000円。定率法の2年目は未償却残高400,000円に0.5を掛けて200,000円となり、年々小さくなる。定額法は毎年200,000円で変わらない。
出典・根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(会計・財務)
3. 法務
知的財産権・セキュリティ関連法規・労働関連法規・取引関連法規と標準化の要点が分かります。
知的財産権は大きく、著作権法が守る著作権と、特許庁への出願・登録によって発生する産業財産権に分かれます。著作権はプログラム、文章、写真、音楽などの著作物を保護する権利で、創作した時点で自動的に発生し、登録などの手続は要りません(無方式主義)。保護期間は原則として著作者の死後70年ですが、法人その他の団体が著作者である著作物は公表後70年です。ここで重要なのが、著作権法はプログラムを保護する一方で、プログラム言語、規約(プロトコルやインタフェースの取決め)、解法(アルゴリズム)は保護の対象から除外している点です。つまり同じアルゴリズムを自分で書き直したプログラムは、他人のソースコードを複製していない限り著作権侵害にはなりません。著作権には、コピーを作る複製権、翻訳・改変して別の著作物にする翻案権、公衆送信権などが含まれ、これらとは別に、著作者の人格的な利益を守る著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権)があり、こちらは他人に譲渡できません。
会社の中で作られた著作物の扱いが職務著作(法人著作)です。法人等の発意に基づき、その従業者が職務上作成した著作物で、契約や勤務規則に別段の定めがない場合、著作者は法人等になります。プログラムの著作物については、法人名義で公表することは条件になっていません。法人が著作者になる著作物の保護期間は公表後70年です。なお、外部の会社にソフトウェアの開発を委託した場合は職務著作には当たらず、著作権は原則として実際に開発した受託者側に帰属するため、発注者に権利を移したいのであれば契約で著作権の譲渡を明記しておく必要があります。
産業財産権は四つあります。特許権は自然法則を利用した高度な技術的思想の創作である発明を保護し、存続期間は出願の日から20年です。実用新案権は物品の形状・構造・組合せに関する考案を保護し、出願の日から10年です。意匠権は物品などのデザインを保護し、出願の日から25年です。商標権は商品やサービスの目印であるマークや名称を保護し、登録の日から10年ですが、更新の登録を繰り返すことで半永久的に権利を持ち続けられる点が他と大きく異なります。これらはいずれも出願と登録が必要で、著作権のように創作しただけでは発生しません。営業秘密を保護するのは不正競争防止法で、秘密として管理されていること(秘密管理性)、事業活動に有用な技術上・営業上の情報であること(有用性)、公然と知られていないこと(非公知性)の三つを満たす情報が営業秘密として保護されます。
情報セキュリティに関わる法律も押さえます。不正アクセス禁止法は、他人の識別符号(利用者IDとパスワードなど)を無断で使ってアクセス制御された機能を利用できる状態にする行為(なりすまし)や、セキュリティホールを突く侵入行為を禁じており、他人のIDとパスワードを無断で第三者に提供する行為も対象です。コンピュータウイルスの作成・提供・供用・取得・保管は、刑法の不正指令電磁的記録に関する罪で処罰されます。サイバーセキュリティ基本法は国のサイバーセキュリティ戦略の基本方針や国・地方公共団体の責務を定めた法律です。個人情報保護法は、個人情報を扱う事業者の義務を定めています。人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴など、取扱いに特に配慮を要する情報は要配慮個人情報とされ、取得には原則として本人の同意が必要です。特定の個人を識別できず、かつ元の個人情報を復元できないように加工した匿名加工情報は、所定の公表などの措置を講じれば本人の同意なく第三者に提供できます。一方、他の情報と照合しない限り個人を識別できないように加工した仮名加工情報は、社内での分析などに使うもので、原則として第三者に提供できません。
労働に関する法律では、労働基準法が労働条件の最低基準を定めており、労働時間は原則として1日8時間・週40時間が上限です。これを超えて時間外労働や休日労働をさせるには、労働者の過半数で組織する労働組合などとの間で協定(労働基準法第36条にちなんで36協定と呼ばれます)を結び、労働基準監督署長に届け出なければなりません。裁量労働制は、業務の進め方や時間配分を労働者の裁量に委ね、あらかじめ労使で定めた時間を働いたものとみなす制度で、対象になる業務は法令で限定されています。フレックスタイム制は、一定期間(清算期間)の総労働時間だけを決めておき、日々の始業・終業時刻を労働者が自分で決められる制度です。このほか、一定の期間を平均して1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えなければ、特定の日や週に法定労働時間を超えて働かせることができる変形労働時間制や、事業場外で働いたために労働時間の算定が難しい場合に所定労働時間を働いたものとみなす事業場外みなし労働時間制もあります。労働者派遣法は派遣のルールを定めた法律で、派遣労働者の雇用契約の相手は派遣元ですが、業務上の指揮命令は派遣先が行います。これに対して請負は仕事の完成を目的とする契約で、注文者は請負業者の労働者に直接指揮命令できません。請負や準委任の契約でありながら、実際には注文者が労働者に直接指示を出している状態は偽装請負と呼ばれ、法令違反となります。
取引に関する法律では、2026年1月1日に下請法から名称を改めて施行された中小受託取引適正化法(取適法)が重要です。従来の親事業者・下請事業者は委託事業者・中小受託事業者と呼ばれ、委託事業者には発注内容を記した書面の交付義務があり、代金は給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払わなければなりません。受託事業者に責任がないのに受領を拒んだり代金を減額したりする行為は禁止され、改正では手形による支払の禁止や、協議に応じない一方的な代金の決定の禁止、資本金基準に加えた従業員数基準の追加なども盛り込まれました。このほか、公正な競争を守る独占禁止法、製品の欠陥によって生じた損害について製造業者の無過失責任を定めた製造物責任法(PL法)、訪問販売や通信販売などでのクーリングオフを定めた特定商取引法、電子署名に手書き署名や押印と同等の効力を認める電子署名法、前払式支払手段や資金移動業を規定する資金決済法などがあります。
標準化は、規格を定めて品質や互換性をそろえる活動です。国際標準ではISO(国際標準化機構)、IEC(国際電気標準会議)、ITU(国際電気通信連合)があり、電気・電子分野の学会規格としてIEEE、Web技術の標準化団体としてW3Cがあります。国内の規格はJIS(日本産業規格)です。代表的なマネジメントシステム規格として、品質のISO 9000シリーズ、環境のISO 14000シリーズ、情報セキュリティのISO/IEC 27000シリーズがあり、個人情報保護マネジメントシステムの要求事項を定めたJIS Q 15001はプライバシーマーク制度の審査基準として使われています。コードの標準では、商品識別に使われるJANコード(標準タイプ13桁、短縮タイプ8桁)や、縦横の二方向に情報を持たせて誤り訂正機能も備えた二次元コードであるQRコードなどがあります。
知的財産権の比較と、労働者派遣・請負の違い 区分 対象/項目 権利の発生・指揮命令 存続期間・特徴 著作権 プログラム、文章、写真、音楽などの著作物 創作した時点で自動的に発生(登録不要) 原則として著作者の死後70年(法人が著作者の場合は公表後70年) 著作権 プログラム言語・規約・解法(アルゴリズム) — 著作権法の保護の対象外。独自に実装すれば侵害にならない 産業財産権 特許権(発明) 出願・審査を経て登録 出願の日から20年 産業財産権 実用新案権(物品の形状・構造の考案) 出願・無審査で登録 出願の日から10年 産業財産権 意匠権(物品などのデザイン) 出願・審査を経て登録 出願の日から25年 産業財産権 商標権(商品・サービスのマーク) 出願・審査を経て登録 登録の日から10年(更新を繰り返せば半永久) その他 営業秘密(不正競争防止法) 秘密管理性・有用性・非公知性の3要件 登録不要。要件を満たす限り保護される 契約形態 労働者派遣 雇用は派遣元、指揮命令は派遣先が行う 労働者派遣法の規制を受ける 契約形態 請負 雇用も指揮命令も請負業者が行う 仕事の完成が目的。注文者が直接指揮命令すると偽装請負になる
用語 著作権 プログラム、文章、写真などの著作物を保護する権利。創作した時点で自動的に発生し、登録は不要(無方式主義)。保護期間は原則として著作者の死後70年、法人が著作者の場合は公表後70年。 著作者人格権 公表権・氏名表示権・同一性保持権からなる、著作者の人格的利益を守る権利。財産権としての著作権と異なり、他人に譲渡することができない。 職務著作 法人著作ともいう。法人等の発意に基づき従業者が職務上作成した著作物について、契約や勤務規則に別段の定めがなければ法人等が著作者となる制度。プログラムの著作物では法人名義での公表は要件とされない。 保護対象外(著作権法) 著作権法はプログラムを保護するが、プログラム言語、規約(プロトコルなどの取決め)、解法(アルゴリズム)は保護の対象から除外されている。同じ解法を独自に実装しても著作権侵害にはならない。 特許権 自然法則を利用した高度な技術的思想の創作である発明を保護する権利。出願と審査を経て登録され、存続期間は出願の日から20年。 実用新案権 物品の形状・構造・組合せに関する考案を保護する権利。無審査で登録され、存続期間は出願の日から10年。 意匠権 物品・建築物・画像などのデザイン(意匠)を保護する権利。出願し審査を経て登録される。存続期間は意匠登録出願の日から25年で、2020年4月1日より前の出願は登録の日から20年であった。 商標権 商品やサービスの目印となるマーク・名称を保護する権利。存続期間は登録の日から10年だが、更新の登録を繰り返すことで半永久的に維持できる。 営業秘密 不正競争防止法で保護される情報。秘密として管理されていること(秘密管理性)、事業活動に有用であること(有用性)、公然と知られていないこと(非公知性)の三つの要件をすべて満たす必要がある。 不正アクセス禁止法 他人の識別符号を無断で用いたなりすましログインや、セキュリティホールを突く侵入を禁じる法律。他人のID・パスワードを無断で第三者に提供する行為も処罰の対象となる。 不正指令電磁的記録に関する罪 コンピュータウイルスの作成・提供・供用・取得・保管を処罰する刑法の罪。いわゆるウイルス作成罪で、不正アクセス禁止法ではなく刑法が根拠となる。 要配慮個人情報 人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実など、不当な差別や偏見が生じないよう取扱いに特に配慮を要する個人情報。取得には原則として本人の同意が必要。 匿名加工情報 特定の個人を識別できないように加工し、かつ元の個人情報を復元できないようにした情報。所定の公表などの措置を講じれば、本人の同意なく第三者に提供できる。 仮名加工情報 他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないように加工した情報。事業者内部での分析などでの利用を想定しており、原則として第三者への提供はできない。 36協定 法定労働時間を超える時間外労働や休日労働をさせるために、労働者の過半数で組織する労働組合等と締結し、労働基準監督署長に届け出る必要がある協定。労働基準法第36条に由来する。 裁量労働制 業務の進め方や時間配分を労働者の裁量に委ね、あらかじめ労使で定めた時間を労働したものとみなす制度。対象となる業務は法令で限定されている。 フレックスタイム制 清算期間の総労働時間だけを定めておき、日々の始業・終業の時刻を労働者自身が決められる制度。必ず勤務する時間帯をコアタイムとして設けることもある。 偽装請負 請負や準委任の契約であるにもかかわらず、注文者が請負業者の労働者に直接指揮命令を行っている状態。実質的に労働者派遣に当たり、労働者派遣法などに違反する。 中小受託取引適正化法 取適法。2026年1月1日に下請法から名称を改めて施行された法律。委託事業者に書面交付義務と60日以内の代金支払を課し、受領拒否や不当な減額、手形による支払などを禁止している。 製造物責任法 PL法。製造物の欠陥によって人の生命・身体・財産に損害が生じた場合に、製造業者等に過失がなくても損害賠償責任を負わせる法律。 JIS Q 15001 個人情報保護マネジメントシステム(PMS)の要求事項を定めた日本産業規格。プライバシーマーク制度の審査基準として用いられる。 JANコード 商品を識別するためのバーコード規格。標準タイプは13桁、短縮タイプは8桁で、先頭に国コードを持つ。二次元コードであるQRコードは誤り訂正機能を備え、縦横の両方向に情報を持たせる。
例題
例題:A社の社員が、他社製ソフトウェアの動作を観察してアルゴリズムを理解し、同じ機能を持つプログラムをすべて自分で書き起こした。著作権侵害になるか。
答えと考え方 他人のソースコードを複製・翻案していないのであれば、著作権侵害にはならない。著作権法はプログラムを保護するが、解法(アルゴリズム)、プログラム言語、規約は保護の対象から除外されているためである。ただし、そのアルゴリズムが特許として登録されている場合は特許権の侵害になり得るし、不正に持ち出した営業秘密に基づくのであれば不正競争防止法の問題になる。
例題:B社が外部のC社にシステム開発を委託した。完成したプログラムの著作権は、契約に定めがない場合どちらに帰属するか。
答えと考え方 原則として実際に開発したC社に帰属する。職務著作の規定は、あくまで法人と、その法人の従業者との関係についてのものであり、委託先の会社には適用されないためである。発注者であるB社が著作権を得たいのであれば、契約で著作権の譲渡を明記しておく必要がある。
例題:D社がE社と請負契約を結び、E社の社員が常駐して作業している。D社の管理者がE社の社員に対して直接作業指示や勤怠管理を行うことは適切か。
答えと考え方 適切ではない。請負では注文者が請負業者の労働者に直接指揮命令できず、指示はE社の責任者を通じて行う必要がある。直接指揮命令している実態があると、契約は請負でも実質は労働者派遣とみなされ、偽装請負として労働者派遣法などに違反することになる。派遣として行うのであれば、労働者派遣契約を結び直す必要がある。
出典・根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類23:法務
確認問題(30問) 四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|PDCA
PDCAサイクルのC(Check)に該当する活動はどれか。
設定した目標と実績を比較し、達成度や差異が生じた原因を評価する 評価の結果に基づいて、実施方法や計画そのものを見直して改善する 目標を定め、それを達成するための手順や体制、担当を決める 決められた手順に従って業務を実施し、その結果を記録する 正解と解説 正解:A. 設定した目標と実績を比較し、達成度や差異が生じた原因を評価する Check(評価)は、Planで定めた目標とDoの実績を比べ、差異の大きさとその原因を明らかにする段階である。実施方法や計画を見直して改善するのはAct、目標と手順を決めるのはPlan、手順に従って実施し記録するのはDoであり、いずれもCheckではない。CheckとActを混同しやすいが、調べるのがCheck、手を打つのがActと区別する。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動
問2|事業部制
事業部制組織の説明として、最も適切なものはどれか。
開発・製造・販売など仕事の種類ごとに部門を編成し、各部門が専門機能を担当する 製品別や地域別などの事業単位を編成し、各単位に利益責任と大幅な権限を委譲する 特定の目的のために各部門から要員を集め、目的の達成とともに解散する 構成員が職能部門と製品部門の双方に所属し、二つの系統から指示を受ける 正解と解説 正解:B. 製品別や地域別などの事業単位を編成し、各単位に利益責任と大幅な権限を委譲する 事業部制組織は、製品別・地域別・顧客別などに事業部を設け、それぞれに売上と利益の責任を持たせて大幅な権限を委譲した組織である。仕事の種類ごとに部門を編成するのは職能別(機能別)組織、目的達成で解散する一時的な組織はプロジェクト組織、二つの系統から指示を受けるのはマトリックス組織の説明である。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動
問3|マトリックス
マトリックス組織の特徴として、適切なものはどれか。
各事業単位に資本や資産まで割り当て、独立した会社であるかのように擬似的な独立採算で運営する 指揮命令系統が一本化されており、上位者の命令が下位へ一方向に伝えられる 構成員が職能部門と製品・プロジェクトの双方に所属し、複数の上司から指示を受けるため、指示が食い違ったときの調整の仕組みが必要になる 他の会社の株式を保有して支配することを主な事業とし、自らは事業を行わない 正解と解説 正解:C. 構成員が職能部門と製品・プロジェクトの双方に所属し、複数の上司から指示を受けるため、指示が食い違ったときの調整の仕組みが必要になる マトリックス組織は職能の軸と製品・プロジェクトの軸を掛け合わせた組織で、一人の構成員が二つの部門に所属するため上司が複数になり、指示の食い違いを調整する仕組みが不可欠である。資本や資産まで割り当てて擬似的な独立採算で運営するのはカンパニー制、指揮命令が一本化されているのはライン組織、株式の保有で他社を支配するのは純粋持株会社の説明である。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動
問4|持株会社
純粋持株会社に関する記述として、適切なものはどれか。
自社でも製品の製造や販売を行いながら、子会社の株式も保有して支配する会社である 社内の事業単位に資本や資産を割り当て、独立した会社であるかのように運営する社内制度である 複数の企業が共同で出資して設立し、特定の事業だけを行う合弁会社である 他の会社の株式を保有してその事業活動を支配することを主な事業とし、自らは事業を行わない会社である 正解と解説 正解:D. 他の会社の株式を保有してその事業活動を支配することを主な事業とし、自らは事業を行わない会社である 純粋持株会社は、自ら製造や販売といった事業を営まず、子会社の株式を保有してグループ全体の戦略立案や経営管理に専念する会社である。自らも事業を行いながら子会社を支配するのは事業持株会社、社内に擬似的な独立採算の単位を作る社内制度はカンパニー制で法人格は一つのまま、複数企業の共同出資で特定事業を行う会社はジョイントベンチャーである。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動
問5|CIO
CIOの役割として、最も適切なものはどれか。
資金調達や資金運用など、財務に関する戦略を統括する 製品開発や研究開発など、技術に関する戦略を統括する 日常の業務執行全般を統括し、経営者を補佐する 経営戦略に沿って情報化戦略を立案し、情報システムと情報資産の活用を統括する 正解と解説 正解:D. 経営戦略に沿って情報化戦略を立案し、情報システムと情報資産の活用を統括する CIO(Chief Information Officer、最高情報責任者)は、経営戦略と整合した情報化戦略を立案し、情報システム全体と情報資産の活用に責任を持つ役員である。財務戦略を統括するのはCFO、技術戦略を統括するのはCTO、業務執行全般を統括するのはCOOであり、いずれもCIOの役割ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動
問6|人材育成
アダプティブラーニングの説明として、適切なものはどれか。
学習者一人ひとりの理解度や解答の傾向に応じて、提示する教材の内容や難易度を変えながら学習を進める 職場において、上司や先輩が実際の業務を通じて必要な知識や技能を指導する 職場を離れ、集合研修や外部セミナーによって体系的に知識を習得する 受講者どうしが具体的な事例について討議し、結論を導く過程を通じて学ぶ 正解と解説 正解:A. 学習者一人ひとりの理解度や解答の傾向に応じて、提示する教材の内容や難易度を変えながら学習を進める アダプティブラーニングは、学習履歴や解答の正誤を分析し、学習者ごとに最適な教材や難易度、順序を提示する学習方式である。実務を通じて職場で指導するのはOJT、職場を離れて行う集合研修などはOff-JT、事例について討議して学ぶのはケーススタディ(事例研究)であり、いずれも学習内容を個別に最適化する仕組みを指す言葉ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動
問7|人事評価
360度評価(多面評価)の説明として、適切なものはどれか。
従業員が上司と話し合って個人目標を設定し、期末にその達成度によって評価する 職務の内容や責任の重さを分析して等級を定め、その等級に応じて処遇を決める 直属の上司だけでなく、同僚・部下・本人など複数の立場の人が評価を行う 部門の業績を金額で評価し、その一定割合を賞与の原資として配分する 正解と解説 正解:C. 直属の上司だけでなく、同僚・部下・本人など複数の立場の人が評価を行う 360度評価は、直属の上司に加えて同僚や部下、本人など多方面から評価を行い、評価の偏りを減らして本人が気付きにくい面まで把握する仕組みである。上司と合意した目標の達成度で評価するのはMBO(目標管理制度)、職務の内容と責任で等級を定めるのは職務等級制度、業績に応じて賞与原資を配分するのは業績連動型の賞与制度である。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動
問8|BCM
BCM(事業継続管理)の説明として、最も適切なものはどれか。
情報システムに障害が発生したときの、検知から復旧までの手順を定めたシステム部門向けの運用手順書のこと 事業継続計画(BCP)を策定して終わりにせず、教育・訓練や点検、経営者による見直しを通じて継続的に運用・改善していく管理活動全体のこと 環境保全や人権への配慮といった社会的責任に関する取組みを、報告書にまとめて対外的に公表する活動のこと 中核ではない業務を外部の専門業者に一括して委託し、自社は中核業務に経営資源を集中させる仕組みのこと 正解と解説 正解:B. 事業継続計画(BCP)を策定して終わりにせず、教育・訓練や点検、経営者による見直しを通じて継続的に運用・改善していく管理活動全体のこと BCMは、BCPを作って終わりにせず、教育・訓練、点検、経営者による見直しを通じてBCPを継続的に運用・改善していくマネジメント活動全体を指す。一つ目はシステム部門の運用手順にとどまり、事業全体の継続を扱うものではない。三つ目はCSR(企業の社会的責任)に関する情報開示、四つ目はBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の説明であり、いずれもBCMではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動
問9|IE
ワークサンプリング法の説明として、適切なものはどれか。
作業を基本動作に分解し、あらかじめ定められた標準時間値を積み上げて標準時間を求める ストップウォッチを用いて各要素作業の所要時間を連続して直接測定し、標準時間を求める 作業者の動作を撮影して分析し、無駄な動作を取り除いて作業方法を改善する 無作為に選んだ時点で作業の状態を瞬間的に観測することを多数回繰り返し、各作業に費やされた時間の割合を統計的に推定する 正解と解説 正解:D. 無作為に選んだ時点で作業の状態を瞬間的に観測することを多数回繰り返し、各作業に費やされた時間の割合を統計的に推定する ワークサンプリング法は、瞬間観測を無作為な時点で多数回行い、その出現比率から各作業に費やされた時間の割合を統計的に推定する手法で、観測者が張り付く必要がなく複数の作業者や間接業務の調査に向く。基本動作の標準時間値を積み上げるのはPTS法、連続測定するのは時間研究(ストップウォッチ法)、動作を分析して無駄を省くのは動作研究である。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動
問10|経常利益
ある企業の当期の損益に関する数値が次のとおりであるとき、経常利益は何百万円か。〔売上高 5,000、売上原価 3,000、販売費及び一般管理費 1,400、営業外収益 100、営業外費用 250、特別利益 50、特別損失 200、法人税等 120(単位:百万円)〕
180 300 450 600 正解と解説 正解:C. 450 売上総利益=5,000−3,000=2,000、営業利益=2,000−1,400=600、経常利益=600+100−250=450(百万円)である。600は営業外損益を加減する前の営業利益、300は経常利益に特別利益を加え特別損失を引いた税引前当期純利益、180はさらに法人税等を引いた当期純利益であり、いずれも問われている段階の利益ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(会計・財務)
問11|損益分岐点
ある製品の売上高が4,000万円、変動費が2,400万円、固定費が1,200万円であるとき、損益分岐点売上高は何万円か。
2,000 3,000 3,600 4,000 正解と解説 正解:B. 3,000 変動費率=2,400÷4,000=0.6なので、損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費率)=1,200÷0.4=3,000万円である。2,000は固定費を変動費率0.6で割ってしまった誤り、3,600は固定費と変動費を単純に合計した値、4,000は現在の売上高そのものであり、いずれも損益分岐点売上高ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(会計・財務)
問12|安全余裕率
売上高が5,000万円、変動費が3,000万円、固定費が1,600万円である企業の安全余裕率は何%か。
20 25 32 80 正解と解説 正解:A. 20 変動費率=3,000÷5,000=0.6、損益分岐点売上高=1,600÷0.4=4,000万円。安全余裕率=(売上高−損益分岐点売上高)÷売上高=(5,000−4,000)÷5,000=20%である。25%は差額を損益分岐点売上高で割った誤り、32%は固定費を売上高で割った値、80%は損益分岐点比率(4,000÷5,000)であり安全余裕率ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(会計・財務)
問13|ROE
当期純利益が48百万円、自己資本(純資産)が600百万円、総資産が1,500百万円である企業のROE(自己資本利益率)は何%か。
3.2 8.0 12.5 40.0 正解と解説 正解:B. 8.0 ROE=当期純利益÷自己資本=48÷600=8.0%である。3.2%は当期純利益を総資産で割ったROA、40.0%は自己資本を総資産で割った自己資本比率であり、いずれも分母を取り違えている。12.5は自己資本を当期純利益で割った値で、収益性の指標としての意味を持たない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(会計・財務)
問14|ROA
総資産が2,500百万円、自己資本が1,000百万円、売上高が5,000百万円、当期純利益が125百万円である企業のROA(総資産利益率)は何%か。
2.5 5.0 12.5 40.0 正解と解説 正解:B. 5.0 ROA=利益÷総資産=125÷2,500=5.0%である。2.5%は当期純利益を売上高で割った売上高純利益率、12.5%は当期純利益を自己資本で割ったROE、40.0%は自己資本を総資産で割った自己資本比率であり、いずれも分母が異なる。なお総資本回転率は売上高÷総資本=5,000÷2,500=2.0回である。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(会計・財務)
問15|自己資本比率
ある企業の貸借対照表の各項目が、流動資産 800、固定資産 1,200、流動負債 500、固定負債 700(単位:百万円)であるとき、自己資本比率は何%か。
25 40 60 150 正解と解説 正解:B. 40 資産合計は800+1,200=2,000、負債合計は500+700=1,200なので、純資産(自己資本)=2,000−1,200=800となる。自己資本比率=800÷2,000=40%である。25%は流動負債を資産合計で割った値、60%は負債合計を資産合計で割った値(負債の割合)、150%は負債を自己資本で割った負債比率であり、いずれも自己資本比率ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(会計・財務)
問16|流動比率
ある企業の貸借対照表の各項目が、流動資産 900、固定資産 1,100、流動負債 500、固定負債 600(単位:百万円)であるとき、流動比率は何%か。
45 55 122 180 正解と解説 正解:D. 180 流動比率=流動資産÷流動負債=900÷500=180%である。短期の支払能力を見る指標で、一般に100%を超えていることが求められる。45%は流動資産を資産合計2,000で割った値、55%は固定資産を資産合計で割った値、122%は固定資産を純資産900で割った固定比率であり、いずれも流動比率ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(会計・財務)
問17|先入先出法
ある商品の当月の受払は次のとおりであった。月初に在庫100個(単価200円)があり、その後200個を単価230円で、続いて150個を単価260円で仕入れた。販売は月末にまとめて300個行った。先入先出法で評価したときの売上原価は何円か。
66,000 70,000 73,500 78,000 正解と解説 正解:A. 66,000 先入先出法では先に仕入れたものから払い出したとみなすので、売上原価=100個×200円+200個×230円=20,000+46,000=66,000円となる。期末棚卸高は残り150個×260円=39,000円で、仕入総額105,000円と一致する。70,000円は移動平均法(平均単価233.33円)による値、73,500円は後に仕入れた分から払い出したとする計算、78,000円は全量を最後の仕入単価260円で計算した誤りである。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(会計・財務)
問18|減価償却
取得原価1,000,000円、耐用年数5年、残存価額0円の設備を期首に取得した。定額法による2年目の減価償却費と、定率法(償却率0.4)による2年目の減価償却費の組合せとして、正しいものはどれか。
定額法 240,000円、定率法 200,000円 定額法 200,000円、定率法 144,000円 定額法 200,000円、定率法 240,000円 定額法 200,000円、定率法 400,000円 正解と解説 正解:C. 定額法 200,000円、定率法 240,000円 定額法は取得原価を耐用年数で割った額を毎年計上するので、1年目も2年目も1,000,000÷5=200,000円である。定率法は未償却残高に償却率を掛けるので、1年目は1,000,000×0.4=400,000円、2年目は(1,000,000−400,000)×0.4=240,000円となる。400,000円は定率法の1年目、144,000円は3年目(360,000×0.4)の額であり、定額法と定率法の値を入れ替えた組合せも誤りである。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(会計・財務)
問19|回収期間法
投資額5,000万円の設備投資によって、1年目1,000万円、2年目1,500万円、3年目1,500万円、4年目2,000万円のキャッシュフローが得られる。各年のキャッシュフローが年間を通じて均等に発生するものとすると、回収期間法による回収期間は何年か。
3.0 3.3 3.5 4.0 正解と解説 正解:C. 3.5 キャッシュフローの累計は1年目1,000、2年目2,500、3年目4,000、4年目6,000万円となる。3年目末で投資額に1,000万円足りず、4年目のキャッシュフロー2,000万円で按分すると1,000÷2,000=0.5年なので、回収期間は3.5年である。3.0年は3年目末で回収済みとした誤り、3.3年は投資額を4年間の平均キャッシュフロー1,500万円で割った値、4.0年は端数を切り上げて年単位にした誤りである。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(会計・財務)
問20|保護期間
個人が創作し、その個人の名義で公表された著作物の著作権の存続期間は、原則としていつまでか。
公表後50年 公表後70年 著作者の死後50年 著作者の死後70年 正解と解説 正解:D. 著作者の死後70年 著作権法では、著作権は著作物の創作の時点で自動的に発生し、その存続期間は原則として著作者の死後70年までとされている。かつては死後50年であったが延長された。公表後70年が起算点となるのは、法人その他の団体が著作者である著作物や映画の著作物の場合であり、個人名義の著作物とは起算点が異なる。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類23:法務/著作権法(保護期間)
問21|職務著作
A社の従業員が、A社の発意に基づいて職務上作成したプログラムがある。契約や勤務規則に別段の定めがない場合、このプログラムの著作者と著作権の存続期間の組合せとして、適切なものはどれか。
著作者はA社であり、存続期間は公表後70年である 著作者はA社であり、存続期間は作成した従業員の死後70年である 著作者は作成した従業員であり、存続期間はその従業員の死後70年である 著作者は作成した従業員であり、存続期間は公表後70年である 正解と解説 正解:A. 著作者はA社であり、存続期間は公表後70年である 職務著作(法人著作)の規定により、法人等の発意に基づいて従業者が職務上作成した著作物は、契約や勤務規則に別段の定めがない限り法人等が著作者となる。特にプログラムの著作物では、法人名義で公表することは要件とされていない。そして法人その他の団体が著作者である著作物の存続期間は公表後70年であるため、著作者はA社、存続期間は公表後70年となる。従業員が著作者となるのは別段の定めがある場合であり、死後70年が起算点になるのは個人が著作者の場合である。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類23:法務/著作権法(職務著作・保護期間)
問22|保護対象外
著作権法による保護の対象とならないものはどれか。
ソースコードが公開され、無償で利用できるオープンソースソフトウェア 業務システムのために独自に考案し、作成した画面のデザイン 社内の業務手順を説明するために作成したマニュアルの文書 プログラム言語の文法や、通信プロトコルなどの規約 正解と解説 正解:D. プログラム言語の文法や、通信プロトコルなどの規約 著作権法はプログラムを著作物として保護する一方、プログラム言語、規約(プロトコルやインタフェースの取決め)、解法(アルゴリズム)は保護の対象から明確に除外している。オープンソースソフトウェアも著作物であり、著作権が放棄されているわけではなく利用条件をライセンスで定めているにすぎない。創作性のある画面デザインやマニュアル文書は著作物として保護され得る。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類23:法務/著作権法(プログラムの著作物)
問23|産業財産権
産業財産権の存続期間に関する記述のうち、適切なものはどれか。
特許権の存続期間は、原則として特許出願の日から20年である 実用新案権の存続期間は、実用新案登録出願の日から20年である 意匠権の存続期間は、意匠登録出願の日から10年である 商標権の存続期間は登録の日から10年であり、更新は1回だけ認められる 正解と解説 正解:A. 特許権の存続期間は、原則として特許出願の日から20年である 特許権の存続期間は原則として出願の日から20年である。実用新案権は出願の日から10年、意匠権は出願の日から25年であり、それぞれ記述の年数が誤っている。商標権は登録の日から10年であるが、更新の登録を何度でも繰り返すことができ、半永久的に権利を維持できる点が他の産業財産権と大きく異なる。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類23:法務/特許法・実用新案法・意匠法・商標法(存続期間)
問24|営業秘密
不正競争防止法によって保護される営業秘密に該当するために必要な三つの要件の組合せはどれか。
新規性、進歩性、産業上の利用可能性 機密性、完全性、可用性 独創性、経済性、公表性 秘密管理性、有用性、非公知性 正解と解説 正解:D. 秘密管理性、有用性、非公知性 営業秘密として保護されるには、秘密として管理されていること(秘密管理性)、事業活動に有用な技術上・営業上の情報であること(有用性)、公然と知られていないこと(非公知性)の三つをすべて満たす必要がある。新規性・進歩性・産業上の利用可能性は特許を受けるための要件、機密性・完全性・可用性は情報セキュリティの三要素であり、営業秘密の要件ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類23:法務/不正競争防止法(営業秘密)
問25|PL法
製造物責任法(PL法)に関する記述として、適切なものはどれか。
損害賠償を請求するには、被害者が製造業者に故意または過失があったことを証明しなければならない。 対象となるのは、修理や運送などのサービスの提供によって生じた損害である。 引き渡した製造物の欠陥によって人の生命・身体・財産に損害が生じた場合、製造業者等は過失がなくても損害賠償の責任を負う。 ソフトウェアそのものが製造物に当たるので、購入したパッケージソフトの不具合による損害は全てこの法律の対象となる。 正解と解説 正解:C. 引き渡した製造物の欠陥によって人の生命・身体・財産に損害が生じた場合、製造業者等は過失がなくても損害賠償の責任を負う。 製造物責任法は、製造物の欠陥によって人の生命・身体・財産に損害が生じたときに、製造業者等の過失の有無を問わず損害賠償責任を負わせる無過失責任の法律である。被害者は欠陥と損害と因果関係を示せばよく、過失の証明は不要なので一つ目は誤り。対象は製造または加工された動産であり、サービスの提供は含まれない。ソフトウェアそのものは無体物で製造物に当たらず、欠陥のあるプログラムを組み込んだ機器による損害が、その機器の欠陥として対象になり得るにとどまる。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類23:法務/製造物責任法
問26|標準化
JIS Q 15001が規定しているものはどれか。
個人情報保護マネジメントシステムの要求事項 品質マネジメントシステムの要求事項 環境マネジメントシステムの要求事項 情報セキュリティマネジメントシステムの要求事項 正解と解説 正解:A. 個人情報保護マネジメントシステムの要求事項 JIS Q 15001は個人情報保護マネジメントシステム(PMS)の要求事項を定めた日本産業規格であり、プライバシーマーク制度の審査基準として用いられている。品質マネジメントシステムはISO 9001(JIS Q 9001)、環境マネジメントシステムはISO 14001(JIS Q 14001)、情報セキュリティマネジメントシステムはISO/IEC 27001(JIS Q 27001)が規定しており、番号と対象の組合せを取り違えないようにする。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類23:法務/JIS Q 15001
問27|個人情報
個人情報保護法における匿名加工情報の説明として、適切なものはどれか。
他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないように加工した情報であり、原則として第三者に提供できない 人種、信条、病歴など、不当な差別が生じないよう取扱いに特に配慮を要する情報である 氏名や住所を暗号化して保存した情報であり、復号すれば元の個人情報に戻すことができる 特定の個人を識別できないように加工し、かつ元の個人情報を復元できないようにした情報であり、所定の措置を講じれば本人の同意なく第三者に提供できる 正解と解説 正解:D. 特定の個人を識別できないように加工し、かつ元の個人情報を復元できないようにした情報であり、所定の措置を講じれば本人の同意なく第三者に提供できる 匿名加工情報は、特定の個人を識別することができず、かつ作成に用いた個人情報を復元できないように加工した情報で、公表などの所定の措置を講じれば本人の同意なく第三者に提供できる。他の情報と照合しない限り識別できないように加工したものは仮名加工情報で、原則として第三者提供はできない。人種や信条、病歴などは要配慮個人情報である。暗号化して復号できる情報は元に戻せるため匿名加工情報には当たらない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類23:法務/個人情報保護法(匿名加工情報)
問28|労働基準法
法定労働時間を超えて労働者に時間外労働をさせるために、使用者があらかじめ行わなければならないことはどれか。
労働者の過半数で組織する労働組合等と時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)を締結し、労働基準監督署長に届け出る 裁量労働制を導入し、業務の遂行方法と時間配分を労働者の裁量に委ねて、みなし労働時間を適用する フレックスタイム制を導入し、清算期間の総労働時間の範囲で、始業・終業の時刻を労働者が決められるようにする 労働者派遣契約を締結し、派遣元から受け入れた派遣労働者に当該業務を行わせる 正解と解説 正解:A. 労働者の過半数で組織する労働組合等と時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)を締結し、労働基準監督署長に届け出る 労働基準法は労働時間を原則1日8時間・週40時間としており、これを超える時間外労働や休日労働をさせるには、労働者の過半数で組織する労働組合等との36協定の締結と労働基準監督署長への届出が必要である。裁量労働制は業務の進め方を労働者に委ねてみなし労働時間を適用する制度、フレックスタイム制は始業・終業時刻を労働者が決める制度であり、どちらも時間外労働をさせるための手続ではない。労働者派遣も時間外労働の根拠にはならない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類23:法務/労働基準法(労働時間・36協定)
問29|労働時間制
フレックスタイム制の説明として、適切なものはどれか。
業務の遂行方法や時間配分を労働者の裁量に委ね、あらかじめ労使で定めた時間を労働したものとみなす制度 一定の期間を平均して1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えなければ、特定の日や週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度 清算期間における総労働時間をあらかじめ定めておき、その範囲内で日々の始業・終業の時刻を労働者自身が決められる制度 事業場外で労働したために労働時間の算定が難しい場合に、所定労働時間を労働したものとみなす制度 正解と解説 正解:C. 清算期間における総労働時間をあらかじめ定めておき、その範囲内で日々の始業・終業の時刻を労働者自身が決められる制度 フレックスタイム制は、清算期間の総労働時間だけを定めておき、日々の始業・終業の時刻を労働者自身が決められる制度で、必ず勤務する時間帯をコアタイムとして設けることもできる。一つ目は裁量労働制、二つ目は変形労働時間制、四つ目は事業場外みなし労働時間制の説明であり、いずれも始業・終業の時刻を労働者が自ら決める仕組みではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類23:法務/労働基準法(労働時間・フレックスタイム制)
問30|取適法
2026年1月1日に下請法から名称を改めて施行された中小受託取引適正化法(取適法)に関する記述として、適切なものはどれか。
受託事業者に責任がない場合であっても、委託事業者は納品後に代金を減額することができる 製造委託等をした委託事業者は、給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に代金を支払わなければならない 代金の支払は、受託事業者の同意があれば手形によって行うことが推奨されている この法律の対象となるかどうかは、取引当事者の資本金の額だけによって判断される 正解と解説 正解:B. 製造委託等をした委託事業者は、給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に代金を支払わなければならない 中小受託取引適正化法は、委託事業者に対し、給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に代金を支払うことを義務付けている。受託事業者に責任がないのに代金を減額することは禁止行為であり、手形による支払も禁止された。また対象の判断には、従来の資本金の額による基準に加えて従業員数による基準が追加されており、資本金だけで判断されるわけではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類23:法務/中小受託取引適正化法(2026年1月1日施行、旧下請法)
演習:この章の問題を解く ランダム出題の演習ツールです(JavaScript が有効な場合に動きます)。上の「確認問題」はそのままでもすべて読めます。
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※ 解説は学習用の情報提供です。最新の出題範囲・制度は必ずIPAの公式発表をご確認ください。 ※ 出題はIPA公開のシラバスVer.9.2(2026年1月8日適用)に沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題です。擬似言語の記述形式もIPA公開の仕様に合わせています。試験制度・実施要項はIPAの公式発表をご確認ください(2027年度春ごろに新試験制度へ移行予定)。