基本情報技術者 FUNDAMENTAL IT ENGINEER
システム戦略と企画
講義 3 本・確認問題 30 問 | 本試験では「科目A ストラテジ」(12問)の一部 | 最終更新 2026-09-24
この章で学ぶこと- 経営戦略から情報システムのあるべき姿を描く手順と、EA・クラウド・DXの用語の使い分けが分かります。
- システム化構想から要件定義、RFI・RFPによる調達、請負と準委任と派遣の違いまでを順を追って押さえます。
- ビッグデータの置き場所とBIの使い方、QC七つ道具、そして線形計画法・在庫管理・需要予測・意思決定の計算をまとめて身に付けます。
1. 情報システム戦略とDX
経営戦略から情報システムのあるべき姿を描く手順と、EA・クラウド・DXの用語の使い分けが分かります。
情報システム戦略とは、経営戦略を実現するために、組織全体の情報システムがどうあるべきかと、そこへ至る道筋を中長期の計画としてまとめたものです。部門ごとに欲しいものを作る個別最適ではなく、組織全体で重複や無駄をなくす全体最適を目指す点が特徴で、全体最適化方針・全体最適化計画といった文書に落とし込みます。この責任を負う経営層がCIO(最高情報責任者)です。情報システム戦略は経営戦略の下に位置づけられるものであり、逆に情報システムの都合で経営戦略を決めるものではありません。
全体最適を figure のように体系立てて整理する手法がEA(エンタープライズアーキテクチャ)です。EAは組織を四つの体系(アーキテクチャ)に分けて記述します。業務の目標や手順を表すビジネスアーキテクチャ、業務が扱うデータの内容と関連を表すデータアーキテクチャ、業務を支えるシステムの機能構成を表すアプリケーションアーキテクチャ、それらを動かす技術基盤を表すテクノロジアーキテクチャの四つです。進め方は、まず現状の姿であるAs-Isモデルを描き、次にあるべき姿であるTo-Beモデルを描き、その差(ギャップ)を分析して、埋めるための移行計画を作るという順になります。いきなり理想像だけを描いても、現状との差が見えなければ計画は立てられません。
業務プロセスを目に見える形にする表記法もいくつか押さえます。DFD(データフロー図)は、データの流れを矢印、処理をまるや角丸、データの蓄積場所(データストア)を二重線、外部との出入口(源泉と吸収)を四角で表し、データがどこからどこへ流れて何に加工されるかを示します。E-R図は実体(エンティティ)と実体間の関連(リレーションシップ)でデータの構造を表します。UMLはクラス図・ユースケース図・アクティビティ図などをまとめたモデリング言語で、BPMNは業務の流れそのものを記号で書き表すための表記法です。業務そのものを見直す取組みでは、既存のやり方を白紙に戻して抜本的に設計し直すのがBPR、業務プロセスをPDCAで回して継続的に改善し続けるのがBPM、業務プロセスの一部を企画から運用まで一括して外部の専門業者に任せるのがBPOです。
実現手段を提供する側の商売がソリューションビジネスです。クラウドサービスは、利用者がどこまで自分で管理するかで三つに分かれます。IaaSはハードウェアと仮想化基盤だけを借り、OS・ミドルウェア・アプリケーション・データを利用者が管理します。PaaSはOSとミドルウェアまでを事業者が用意し、利用者は自分が作ったアプリケーションとそのデータを管理します。SaaSは完成したアプリケーションを使う形で、利用者が管理するのは設定と自分のデータだけです。自社の設備で全部持つのがオンプレミスです。設備を貸す形態には、利用者の機器を事業者の施設に置かせてもらうハウジングと、事業者の機器を借りるホスティングがあります。ソフトウェアを機能単位の部品にして組み合わせる考え方がSOAで、これをさらに小さく独立させ、サービスごとに開発・配置・拡張できるようにした構成がマイクロサービスアーキテクチャです。
作っただけでは戦略は実を結びません。利用実態を調べて、使われていない機能や重複したシステムを見つけ、次の投資の判断に生かすのが情報システムの評価です。利用者側の力を高める取組みも欠かせず、情報を選び活用する能力を情報リテラシー、コンピュータを使いこなす能力をコンピュータリテラシーといいます。情報通信技術を使える人と使えない人の間に生じる待遇や機会の格差はデジタルディバイド(情報格差)と呼ばれ、高齢者や地域による差をどう埋めるかが課題になります。大量のデータを統計や機械学習の知識で分析し、経営の判断材料に変える専門人材がデータサイエンティストです。
近年の中心テーマがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。デジタル化は三つの段階で説明されます。紙の書類をPDFにするなど、個別の作業のアナログ情報をデジタルに置き換えるのがデジタイゼーション。申請から承認までの流れごとデジタル前提に作り替えるなど、業務プロセス全体を変えるのがデジタライゼーション。そしてデータとデジタル技術で製品・サービス・ビジネスモデルそのものと、組織や企業文化まで変革し、競争上の優位を確立するのがDXです。DXの取組み状況を経営者が自己診断するための指標としてDX推進指標が公表されています。DXを阻む要因としてよく挙げられるのがレガシーシステムで、長年の改修で複雑化・ブラックボックス化し、仕様が分かる技術者もいなくなり、維持に費用と人手が取られて新しい投資に回せないという問題を抱えます。
EAの4体系/クラウドの責任分界/DXの3段階| 区分 | 項目 | 内容・要点 |
|---|
| EAの4体系 | ビジネスアーキテクチャ | 組織の目標・業務内容・手順・組織構造を体系化する。業務説明書や業務フロー、DFDで表す |
| EAの4体系 | データアーキテクチャ | 業務が扱うデータの内容とデータ間の関連を体系化する。E-R図やデータ定義表で表す |
| EAの4体系 | アプリケーションアーキテクチャ | 業務を支える情報システムの機能構成とシステム間の連携を体系化する。情報システム関連図で表す |
| EAの4体系 | テクノロジアーキテクチャ | ハードウェア・ネットワーク・ミドルウェアなどの技術基盤を体系化する。ネットワーク構成図で表す |
| EAの進め方 | As-Is → To-Be | 現状(As-Is)とあるべき姿(To-Be)を描き、その差をギャップ分析して移行計画を作る |
| 責任分界 | オンプレミス | ハードウェア・OS・ミドルウェア・アプリケーション・データの全てを利用者が保有し管理する |
| 責任分界 | IaaS | 利用者が管理=OS・ミドルウェア・アプリケーション・データ/事業者=ハードウェアと仮想化基盤 |
| 責任分界 | PaaS | 利用者が管理=自作アプリケーションとデータ/事業者=ハードウェア・OS・ミドルウェア |
| 責任分界 | SaaS | 利用者が管理=利用設定と自分のデータ/事業者=アプリケーションを含むそれ以外すべて |
| DXの3段階 | デジタイゼーション | 個別の作業や情報をアナログからデジタルに置き換える(例:紙の書類をPDF化する) |
| DXの3段階 | デジタライゼーション | 業務プロセス全体をデジタル前提で作り替え、価値の提供方法を変える(例:申請から承認まで一貫して電子化する) |
| DXの3段階 | DX | データとデジタル技術で製品・サービス・ビジネスモデルと組織・文化まで変革し、競争上の優位を確立する |
用語
- 情報システム戦略
- 経営戦略を実現するために、組織全体の情報システムのあるべき姿と実現までの道筋を中長期でまとめた計画。部門単位の個別最適ではなく全体最適を目指し、CIOが責任を負う。
- CIO
- 最高情報責任者。最高情報責任者の略。経営戦略と情報システム戦略を結び付け、情報化投資の方針決定と全体最適化、情報システム部門の統括に責任を持つ経営層の役職のこと。
- EA
- エンタープライズアーキテクチャ。組織の業務とシステムを、ビジネス・データ・アプリケーション・テクノロジの四つの体系で整理し、全体最適化を進める手法。
- As-Isモデル
- EAで最初に描く現状の姿のモデル。現在の業務の手順やシステムの構成をありのままに記述し、あるべき姿との差を測るための基準として用いる。
- To-Beモデル
- EAで描く、将来こうありたいという姿のモデル。現状のAs-Isとの差をギャップ分析で明らかにし、その差を埋めるための移行計画を作る土台として用いる。
- DFD
- データフロー図。データの流れ、処理、データストア、源泉と吸収の記号で、データがどこから来て何に加工されどこへ蓄えられるかを表す図。
- BPMN
- 業務プロセスを図で表すための国際的な表記法。開始・終了、作業、分岐、担当者の区分などを決まった記号で書き、関係者間で業務の流れの認識をそろえる。
- BPR
- ビジネスプロセスリエンジニアリング。既存の手順を前提にせず、業務プロセスを白紙から抜本的に設計し直して大幅な改善を狙う取組み。
- BPM
- ビジネスプロセスマネジメント。業務プロセスをPDCAサイクルで回し、継続的に改善し続ける管理手法。一度きりの改革であるBPRと対比される。
- BPO
- ビジネスプロセスアウトソーシング。自社の業務プロセスの一部を、その企画・設計から運用まで一括して外部の専門業者に委託すること。
- IaaS
- ハードウェアと仮想化基盤だけを提供するクラウドサービス。利用者はOS・ミドルウェア・アプリケーション・データを自分で選び管理できるため自由度が高い。
- PaaS
- OSとミドルウェアまでを事業者が用意し、利用者は自作のアプリケーションとデータを載せて管理するクラウドサービス。開発環境や実行基盤を借りる形態。
- SaaS
- 完成したアプリケーションをネットワーク経由で提供するクラウドサービス。利用者が管理するのは利用設定と自分のデータだけで、ソフトの導入や更新は事業者が行う。
- ハウジング
- 利用者が所有するサーバなどの機器を事業者の施設に設置し、電源・空調・回線・耐震設備などを提供するサービス。機器そのものは利用者の資産である。
- ホスティング
- 事業者が所有するサーバやその一部を利用者に貸し出すサービス。機器は事業者の資産で、利用者は借りた範囲を使う。レンタルサーバもこれに当たる。
- SOA
- サービス指向アーキテクチャ。業務上の機能をサービスという部品として独立させ、それらを組み合わせてシステムを構築する考え方。
- マイクロサービス
- システムを小さく独立したサービスの集まりとして構成し、サービスごとに個別の開発・配置・拡張ができるようにしたアーキテクチャ。
- デジタルディバイド
- 情報通信技術を使える人と使えない人の間に生じる、得られる情報や機会、待遇の格差。年齢・地域・所得などが要因となる情報格差のこと。
- データサイエンティスト
- 統計や機械学習の知識と対象業務の理解を併せ持ち、大量のデータを収集・分析して、経営や業務の判断材料となる知見を導き出し、関係者に説明する専門人材。
- デジタイゼーション
- 紙の書類をPDFにするなど、個別の作業や情報をアナログからデジタルに置き換える段階。DXに至る三段階のうち最初の段階に当たる。
- デジタライゼーション
- 個別の置き換えにとどまらず、業務プロセス全体をデジタル前提で作り替え、新しい価値の提供方法に変える段階。DXの三段階の二番目。
- レガシーシステム
- 長年の改修で複雑化・ブラックボックス化し、仕様を把握する技術者も減った旧来のシステム。維持に費用と人手を取られ、DXを妨げる要因とされる。
例題
例題:社内の稟議書を紙からPDFに置き換えて共有フォルダに保存するようにした。これはDXの3段階のどれか。
答えと考え方 デジタイゼーション。書類という個別の情報をアナログからデジタルに置き換えただけで、承認の流れそのものは紙のときと変わっていない。流れごとワークフローシステムに載せ替えればデジタライゼーション、それを土台に新しい事業の形まで変えればDXになる。
例題:OSのバージョンを自社の都合で選び、ミドルウェアも自分で入れたい。ただしサーバ機器は持ちたくない。どのクラウドサービスを選ぶか。
答えと考え方 IaaS。IaaSは事業者がハードウェアと仮想化基盤だけを提供し、OSから上は利用者が管理するので条件に合う。PaaSはOSとミドルウェアが事業者側の管理なので選べず、SaaSはアプリケーションまで決まっているのでさらに選べない。
例題:EAで、現状のシステム構成図だけを作って終わりにしてはいけないのはなぜか。
答えと考え方 現状(As-Is)はあくまで出発点で、あるべき姿(To-Be)と比べて初めて何が足りないかというギャップが分かるから。ギャップが分からなければ、どこにいくら投資して何年で移行するかという移行計画が立てられない。
出典・根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類17:システム戦略
2. システム企画と調達・契約
システム化構想から要件定義、RFI・RFPによる調達、請負と準委任と派遣の違いまでを順を追って押さえます。
情報システムを作ると決めてから発注するまでには、決まった順番があります。まず経営上の課題からシステムで何を解決するかという方向性を定めるのがシステム化構想の立案です。ここでは対象業務の範囲、期待する効果、実現までのおおまかな方針を決めます。次にシステム化計画の立案で、対象業務の内容を具体化し、開発スケジュール、体制、概算費用、費用対効果、リスクなどを詰めて、投資として実行してよいかを判断できる形にします。構想が「何のために、どの方向へ」を決める段階、計画が「いつ、いくらで、どうやって」を詰める段階だと考えると順番を取り違えません。その後に要件定義があり、それを持って調達に進みます。
要件定義は、作るものに求めることを漏れなく文書にする作業です。要件は三つの層で整理します。業務要件は、新しい業務をどう回すかという業務側の要求です。機能要件は、システムが何をするかを表すもので、画面や帳票、処理の内容、扱うデータ項目などが該当します。非機能要件は、機能以外に求める品質や条件で、応答時間や同時利用者数といった性能、稼働率や障害時の復旧時間といった可用性、運用・保守のしやすさ、移行のしやすさ、セキュリティ、設置環境などが該当します。IPAが公開する非機能要求グレードでは、可用性・性能拡張性・運用保守性・移行性・セキュリティ・システム環境/エコロジーの六つの大項目に整理されています。ここで重要なのは、要件定義の主体は発注側(利用者側)だという点です。何が必要かを決められるのは業務を行っている側であり、ベンダに丸投げすると、できあがってから「頼んだものと違う」という食い違いが起きます。
要求を引き出す技法もいくつかあります。ヒアリングは利用者に直接聞き取る基本の方法、ユースケースは利用者(アクター)とシステムのやり取りを場面ごとに書き出す方法、ペルソナは典型的な利用者像を具体的な一人の人物として作り込み、その人ならどう使うかを考える方法です。実際に動く試作品を早めに見せて反応をもらうプロトタイピングも、言葉では出てこない要求を引き出すのに有効です。
調達は figure の流れで進みます。最初にRFI(情報提供依頼書)を出します。これは、どんな実現手段があるのか、技術動向はどうかといった情報の提供をベンダに求める文書で、提案を求める段階ではありません。次に、集めた情報を踏まえてRFP(提案依頼書)を出します。RFPには、調達の目的、必要な機能要件と非機能要件、前提条件、納期、契約条件、そして提案をどう評価するかという選定基準を書きます。ベンダはこれに答える形で提案書と見積書を出し、発注側はあらかじめ定めた基準で評価してベンダを選定し、契約を結びます。RFIとRFPは順序が固定で、情報を集めるRFIが先、提案を求めるRFPが後です。自社で作るか外部に出すかを決めることを内外作の決定といい、コスト・技術力・納期・自社に残すべきノウハウなどから判断します。調達では、環境負荷の小さい製品やサービスを優先して選ぶグリーン調達や、人権や法令順守など社会的責任の観点を加えるCSR調達も求められます。
外部に頼むときの契約形態は三つを区別します。請負契約は、仕事の完成を約束する契約です。受注者は完成責任を負い、引き渡したものが契約の内容に適合しなければ契約不適合責任(旧来の瑕疵担保責任に当たるもの)を負います。作業者への指揮命令は受注者が行い、発注者が直接指示を出すことはできません。準委任契約は、一定の業務を行うことを約束する契約で、仕事の完成までは約束しません。受注者は善良な管理者の注意をもって業務を遂行する義務(善管注意義務)を負います。指揮命令はやはり受注者が行います。労働者派遣契約は、派遣元と雇用関係にある労働者を派遣先で働かせる契約で、大きな違いは指揮命令権が派遣先(発注側)にあることです。完成責任はありません。請負や準委任の形で契約しておきながら発注側が作業者に直接指示を出す状態は偽装請負と呼ばれ、法令違反となります。
開発の作業内容を関係者間で共通に理解するための取決めが共通フレーム(SLCP)です。企画から要件定義、開発、運用、保守、廃棄までのソフトウェアライフサイクル全体について、どんな作業(プロセス・アクティビティ・タスク)があるかを整理した「共通の物差し」で、取得者(発注側)と供給者(受注側)が同じ言葉で話せるようにすることを目的とします。作業の名前と範囲をそろえるためのものであって、開発方法論や標準的な開発手順を強制するものではない点に注意してください。また、組織が保有するソフトウェアのライセンス数や導入状況を把握し、過不足なく適正に使うよう管理する活動をソフトウェア資産管理(SAM)といい、ライセンス違反の防止と無駄な購入の削減の両方に効きます。
調達の流れ(RFI→RFP→…)と契約形態の比較| 区分 | 項目 | 内容・要点 |
|---|
| 調達の流れ① | RFI(情報提供依頼書) | 発注側が、実現手段の候補・技術動向・費用感などの情報提供をベンダに依頼する。提案を求める段階ではない |
| 調達の流れ② | RFP(提案依頼書) | 発注側が、目的・機能要件・非機能要件・前提条件・納期・契約条件・選定基準を示し、提案書の提出を依頼する |
| 調達の流れ③ | 提案書・見積書 | ベンダが実現方式・体制・スケジュール・価格を示して提出する |
| 調達の流れ④ | ベンダ選定 | RFPで示した評価基準に沿って提案内容と価格を評価し、発注先を決める |
| 調達の流れ⑤ | 契約締結 | 業務範囲・成果物・責任分担・検収条件・支払条件を定めて契約する |
| 契約形態 | 請負契約 | 完成責任=あり/指揮命令権=受注者/成果物が契約内容に適合しなければ契約不適合責任を負う |
| 契約形態 | 準委任契約 | 完成責任=なし(善管注意義務を負う)/指揮命令権=受注者/業務の遂行そのものが目的 |
| 契約形態 | 労働者派遣契約 | 完成責任=なし/指揮命令権=派遣先(発注側)/雇用関係は派遣元と労働者の間にある |
| 注意 | 偽装請負 | 請負・準委任の契約なのに発注側が作業者へ直接指揮命令している状態。実態が派遣に当たり法令違反 |
用語
- システム化構想の立案
- 経営上の課題を踏まえ、システムで何を解決するか、対象業務の範囲と期待効果、おおまかな実現方針を定める段階。システム化計画より前に行う。
- システム化計画の立案
- システム化構想を受けて、開発スケジュール・体制・概算費用・費用対効果・リスクなどを具体化し、投資判断ができる形にまとめる段階。
- 業務要件
- 新しい業務をどのような手順と役割分担で回すかという、業務側から見た要求のこと。これを土台にして、システムに求める機能要件と非機能要件を導き出す。
- 機能要件
- システムが何をするかを表す要件のこと。画面や帳票の内容、処理の手順、扱うデータ項目、他システムとの連携内容などが該当し、非機能要件と対にして整理する。
- 非機能要件
- 機能以外に求める要件。応答時間や同時利用者数などの性能、稼働率や復旧時間などの可用性、運用保守性、移行性、セキュリティ、設置環境などが該当する。
- ペルソナ
- 年齢・職業・生活習慣まで作り込んだ典型的な利用者像を一人の人物として設定し、その人ならどう使うかを考えて要求を引き出す技法。
- ユースケース
- 利用者や外部システム(アクター)とシステムとのやり取りを、目的を果たす一つの場面としてまとめて記述したもの。機能要件の洗い出しに使う。
- RFI
- 情報提供依頼書。調達に先立ち、実現手段の候補や技術動向、おおよその費用感などの情報提供をベンダに依頼する文書。提案を求めるRFPより前に出す。
- RFP
- 提案依頼書。調達の目的、機能要件・非機能要件、前提条件、納期、契約条件、選定基準を示し、ベンダに提案書の提出を依頼する文書。RFIの後に出す。
- 内外作の決定
- 必要な作業を自社で行うか外部に委託するかを決めること。コスト、技術力、納期、社内に残すべきノウハウなどを比較して判断する。
- 請負契約
- 仕事の完成を約束する契約。受注者が完成責任を負い、成果物が契約内容に適合しなければ契約不適合責任を負う。作業者への指揮命令は受注者が行う。
- 準委任契約
- 一定の業務を遂行することを約束する契約で、仕事の完成までは約束しない。受注者は善良な管理者の注意をもって業務を行う義務を負い、指揮命令は受注者が行う。
- 労働者派遣契約
- 派遣元と雇用関係にある労働者を派遣先で働かせる契約。指揮命令権が派遣先(発注側)にある点が請負・準委任と決定的に異なり、完成責任はない。
- 偽装請負
- 請負や準委任の契約でありながら、発注側が受注側の作業者に直接指揮命令を行っている状態。実態が労働者派遣に当たるため法令違反となる。
- 契約不適合責任
- 引き渡した目的物が種類・品質・数量について契約の内容に適合しない場合に、売主や請負人が負う責任。従来の瑕疵担保責任に相当する。
- 共通フレーム
- 企画から開発・運用・保守・廃棄までのソフトウェアライフサイクルの作業内容を整理した共通の物差し。取得者と供給者が同じ言葉で認識を合わせるために使う。
- グリーン調達
- 製品やサービスを購入する際に、環境への負荷が小さいものや、環境に配慮した取組みを行う企業のものを優先して選ぶ調達の考え方。
- ソフトウェア資産管理
- SAM。組織が保有するソフトウェアのライセンス数と導入状況を把握し、過不足なく適正に使えるよう管理する活動。ライセンス違反と無駄な購入の両方を防ぐ。
例題
例題:発注側が「詳しいことは分からないので要件はベンダに決めてもらう」とした。何が問題か。
答えと考え方 要件定義の主体は発注側(利用者側)である。何が必要かを判断できるのは業務を行っている側であり、ベンダに丸投げすると業務の実態に合わないものができ、受入検査の段階で「頼んだものと違う」という食い違いが表面化する。ベンダは技術的な実現方法を支援する立場にとどまる。
例題:「1秒以内に検索結果を表示すること」「月間の稼働率を99.9%以上とすること」は機能要件と非機能要件のどちらか。
答えと考え方 どちらも非機能要件。前者は性能、後者は可用性に関する要件で、システムが何をするかではなく、どの程度の品質で行うかを定めている。「検索条件を入力して該当する商品の一覧を表示する」であれば機能要件になる。
例題:請負契約でシステム開発を委託した。発注側の担当者が、受注側の技術者に直接毎日の作業指示を出してよいか。
答えと考え方 出してはならない。請負契約では作業者への指揮命令は受注者が行う。発注側が直接指示を出すと実態が労働者派遣となり、偽装請負として法令違反になる。発注側が求めるものは要件や仕様として文書で伝え、進捗は受注側の責任者を通じて確認する。
出典・根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類18:システム企画
3. データ利活用と業務分析の手法
ビッグデータの置き場所とBIの使い方、QC七つ道具、そして線形計画法・在庫管理・需要予測・意思決定の計算をまとめて身に付けます。
ビッグデータとは、従来の仕組みでは扱いきれないほど量が多く、種類が多様で、発生や更新の速度が速いデータの総称です。表形式で整理された構造化データだけでなく、文章・画像・音声・ログのような非構造化データも含みます。国や自治体が誰でも自由に使える形で公開するデータはオープンデータと呼ばれ、機械判読しやすい形式で、二次利用の条件を明示して公開することが求められます。こうしたデータを分析して経営判断に生かす専門人材がデータサイエンティストです。
データの置き場所は三つを区別します。データウェアハウス(DWH)は、業務システムから集めたデータを、分析の主題ごとに整理し、表記をそろえて統合し、時刻の情報を持たせて時系列に蓄え、いったん入れたら書き換えない形で保管する倉庫です。ここから特定の部門や用途に必要な部分だけを切り出した小さな倉庫がデータマートです。これに対してデータレイクは、加工せず生のままの形式でとにかく蓄えておく場所で、後から用途が決まったときに好きな形に加工して使えます。業務システムからDWHへ入れる際に、抽出・変換・格納を行う処理をETLといいます。蓄えたデータを経営判断に役立てる仕組みや道具がBI(ビジネスインテリジェンス)で、集計軸を切り替えながら多次元に集計・分析する操作をOLAPといいます。さらに、大量のデータから統計や機械学習の手法で人が気付かなかった規則性や相関を掘り出すのがデータマイニング、文章のような文字データを対象に同じことを行うのがテキストマイニングです。BIが「知りたいことを見に行く」道具なのに対し、データマイニングは「知らなかったことを見つける」手法だと考えると区別できます。
現場の改善では、数値をまとめて見せる道具としてQC七つ道具を使います。中身は figure のとおりで、パレート図・特性要因図・チェックシート・ヒストグラム・散布図・管理図・グラフ(層別)です。とくにパレート図は、項目を件数や金額の多い順に棒グラフで並べ、その累積比率を折れ線で重ねた図で、上位のわずかな項目が全体の大部分を占めるという傾向を見つけるのに使います。この考え方で対象を上位からA・B・Cの三群に分け、重点的に管理する対象を絞る手法がABC分析です。累積構成比は、金額の大きい順に並べて上から順に足し上げ、それを合計で割って求めます。言葉で表される情報を整理する道具としては新QC七つ道具があり、親和図法・連関図法・系統図法・マトリックス図法・アローダイアグラム法・PDPC法・マトリックスデータ解析法の七つです。
限られた資源をどう配分すれば利益が最大になるかを求める手法が線形計画法です。目的関数(最大化したい利益など)と制約条件(原料や時間の上限)をすべて一次式で表し、制約を満たす範囲(実行可能領域)の中で目的関数が最大になる点を探します。制約が一次式のときは、最大値は実行可能領域の頂点のいずれかで必ず得られるので、頂点の座標をすべて求めて目的関数の値を比べれば答えが出ます。二つの制約式が交わる点は、連立方程式を解いて求めます。
在庫管理では、持ちすぎれば保管費が増え、少なすぎれば品切れになるという相反する費用の合計が最小になる点を探します。1回あたりの発注費用と、在庫の保管費用の合計が最小になる発注量が経済的発注量(EOQ)で、年間需要量をD、1回あたりの発注費用をS、1個あたりの年間保管費用をHとすると、EOQ=√(2DS÷H) で求まります。発注のやり方には二つあり、定量発注方式は在庫が発注点まで減ったら決まった量を発注する方式で、発注点=1日あたりの平均使用量×調達期間(リードタイム)+安全在庫 です。定期発注方式は決まった周期ごとに発注し、そのつど必要量を計算する方式で、発注量=(発注間隔+調達期間)×1日あたりの平均使用量+安全在庫−現在の在庫量−発注済みの未入荷量 となります。在庫の効率を測る指標が在庫回転率で、年間の売上原価(または売上高)を平均在庫高で割って求め、値が大きいほど在庫が短い期間で入れ替わっていることを表します。
将来の需要を見積もる代表的な方法が移動平均法と指数平滑法です。移動平均法は直近n期の実績の単純平均を次期の予測値とする方法で、3か月移動平均なら直近3か月の実績を足して3で割ります。指数平滑法は、次期の予測値=α×前期の実績値+(1−α)×前期の予測値 で求める方法で、平滑化係数αを大きくするほど直近の実績を重く見た予測になります。不確実な状況での選択には、選択肢と起こりうる状況を枝分かれの図に描くデシジョンツリーを使い、各状況の確率が分かっているときは(利得×確率)の合計である期待値が最大の案を選びます。確率が分からないときは、各案の最悪の結果を比べて、その中で最も良い案を選ぶマクシミン原理(悲観的・保守的な選び方)や、各案の最良の結果を比べて、その中で最も良い案を選ぶマクシマックス原理(楽観的な選び方)を使います。名前は「最小値の中の最大」「最大値の中の最大」と読めばそのまま手順になります。
QC七つ道具の用途と発注方式の比較| 区分 | 項目 | 用途・計算式 |
|---|
| QC七つ道具 | パレート図 | 項目を多い順に棒で並べ累積比率を折れ線で重ねる。重点管理すべき上位項目を絞る(ABC分析) |
| QC七つ道具 | 特性要因図 | 結果に影響する要因を魚の骨の形に整理する。原因の洗い出しに使う |
| QC七つ道具 | チェックシート | 確認項目をあらかじめ並べておき、記録や点検の漏れ・数え落としを防ぐ |
| QC七つ道具 | ヒストグラム | 測定値を区間ごとの度数の柱で表し、ばらつきの分布の形と中心を見る |
| QC七つ道具 | 散布図 | 二つの項目の値を点で打ち、相関関係の有無と向きを見る |
| QC七つ道具 | 管理図 | 時系列の値に上下の管理限界線を引き、工程が安定しているかを判断する |
| QC七つ道具 | グラフ・層別 | データを機械別・時間別などに分けて比べ、傾向の違いを見つける |
| 発注方式 | 定量発注方式 | 在庫が発注点まで減ったら一定量を発注。発注点=1日平均使用量×調達期間+安全在庫 |
| 発注方式 | 定期発注方式 | 一定周期で発注。発注量=(発注間隔+調達期間)×1日平均使用量+安全在庫−現在庫−発注残 |
| 発注方式 | 経済的発注量(EOQ) | 発注費用と保管費用の合計が最小になる発注量。EOQ=√(2×年間需要量×1回の発注費用÷1個の年間保管費用) |
| 在庫の指標 | 在庫回転率 | 年間売上原価÷平均在庫高。大きいほど在庫が短期間で入れ替わっている |
| 需要予測 | 移動平均法/指数平滑法 | 移動平均=直近n期の実績の平均/指数平滑=α×前期実績+(1−α)×前期予測 |
| 意思決定 | 期待値/マクシミン/マクシマックス | 期待値=Σ(利得×確率)で最大の案/各案の最小値の中で最大/各案の最大値の中で最大 |
用語
- ビッグデータ
- 従来の仕組みでは扱いきれないほど量が多く、種類が多様で、発生・更新の速度が速いデータの総称。表形式の構造化データと、文章や画像などの非構造化データを含む。
- オープンデータ
- 国や自治体などが、誰でも二次利用できる条件を明示し、機械判読しやすい形式で公開するデータ。行政の透明性向上と新たなサービス創出を目的とする。
- データウェアハウス
- 業務システムから集めたデータを主題ごとに整理し、表記をそろえて統合し、時系列に蓄え、書き換えずに保管する分析用の倉庫。DWHともいう。
- データマート
- データウェアハウスから、特定の部門や用途に必要な部分だけを切り出して作った小規模なデータの集まり。目的が絞られる分、利用しやすく高速に扱える。
- データレイク
- 加工せずに生のままの形式でデータを蓄えておく場所。構造化・非構造化を問わず取り込み、用途が決まってから必要な形に加工して使う。
- BI
- ビジネスインテリジェンス。蓄積したデータを集計・可視化し、経営や業務の意思決定に役立てる仕組みや道具の総称。集計軸を切り替える分析操作をOLAPという。
- データマイニング
- 大量のデータに統計や機械学習の手法を適用し、人が気付いていなかった規則性や相関関係を掘り出す手法。文字データを対象にするものをテキストマイニングという。
- パレート図
- 項目を件数や金額の多い順に棒グラフで並べ、累積比率を折れ線で重ねた図。全体に対する影響が大きい上位項目を見つけ、重点管理の対象を絞るのに使う。
- ABC分析
- 項目を金額などの大きい順に並べ、累積構成比を基準にA・B・Cの三群に分け、重要度に応じて管理の手間を変える手法。パレート図とともに用いる。
- 特性要因図
- 結果(特性)に影響を与える要因を、魚の骨のような形に大分類から小分類へ枝分かれさせて整理する図。原因の洗い出しと関係の整理に使う。
- 管理図
- 時系列に並べた測定値と、上下の管理限界線を引いた図。点が限界線を外れたり偏った並びになったりしていないかで、工程が安定しているかを判断する。
- 層別
- データを機械別・作業者別・時間帯別・材料別などの共通点でグループに分けて比べることで、傾向の違いをはっきりさせ、不良の原因を見つけやすくする整理の仕方。
- 新QC七つ道具
- 親和図法・連関図法・系統図法・マトリックス図法・アローダイアグラム法・PDPC法・マトリックスデータ解析法の七つ。主に言葉で表される情報の整理に使う。
- 線形計画法
- 目的関数と制約条件をすべて一次式で表し、制約を満たす範囲の中で目的関数を最大(または最小)にする解を求める手法。最適解は実行可能領域の頂点で得られる。
- 経済的発注量
- EOQ。1回あたりの発注費用と在庫の保管費用の合計が最小になる発注量。年間需要量D・発注費用S・1個あたり年間保管費用Hから √(2DS÷H) で求まる。
- 定量発注方式
- 在庫量が発注点まで減った時点で、あらかじめ決めた一定量を発注する方式。発注点は「1日平均使用量×調達期間+安全在庫」で求める。
- 定期発注方式
- あらかじめ決めた周期ごとに発注し、発注量をそのつど計算する方式。単価が高く重要な品目に向く。発注量は将来の必要量から在庫と発注残を差し引いて求める。
- 在庫回転率
- 年間の売上原価(または売上高)を平均在庫高で割った値。1年に在庫が何回入れ替わったかを表し、値が大きいほど在庫が滞留せず効率よく回っている。
- 移動平均法
- 直近n期の実績値の単純平均を、そのまま次期の予測値とする需要予測の方法。平均をとる期数を多くするほど短期の変動がならされ、予測値の動きが滑らかになる。
- 指数平滑法
- 次期予測値=α×前期実績値+(1−α)×前期予測値 で求める需要予測の方法。平滑化係数αを大きくするほど直近の実績を重く反映した予測になる。
- デシジョンツリー
- 選択できる案と、その後に起こりうる状況を枝分かれの図で表したもの。各状況の確率が分かるときは期待値を計算し、最も有利な案を選ぶ。
- マクシミン原理
- 各案について起こりうる最悪の結果(最小値)を求め、その中で最も良い案を選ぶ考え方。最悪の事態を避けたい保守的・悲観的な意思決定に用いる。
- マクシマックス原理
- 各案について起こりうる最良の結果(最大値)を求め、その中で最も良い案を選ぶ考え方。うまくいく場合を期待する楽観的な意思決定に用いる。
例題
例題:不良の原因を洗い出す会議で使う図と、不良の件数が多い項目を絞り込むときに使う図は、それぞれどれか。
答えと考え方 原因の洗い出しは特性要因図。結果に影響する要因を大分類から小分類へ枝分かれさせ、思い付きの漏れを防ぐ。件数の多い項目の絞り込みはパレート図。多い順の棒と累積比率の折れ線から、上位のどこまで手を打てば全体の大部分をカバーできるかが読み取れる。
例題:年間需要量が3,600個、1回あたりの発注費用が200円、1個あたりの年間保管費用が4円のとき、経済的発注量(EOQ)はいくつか。
答えと考え方 EOQ=√(2×3,600×200÷4)=√360,000=600個。年間の発注回数は3,600÷600=6回となる。式の分子に年間需要量と発注費用、分母に保管費用が入る形を覚えておけば、保管費用が高いほど1回の発注量が小さくなるという直感とも一致する。
例題:1日平均使用量が50個、調達期間が6日、安全在庫が80個のとき、定量発注方式の発注点は何個か。
答えと考え方 発注点=1日平均使用量×調達期間+安全在庫=50×6+80=380個。発注してから届くまでの6日間に使う300個を切らさないようにし、さらに使用量のぶれに備えて安全在庫80個を上乗せする、と読める。
出典・根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(業務分析・データ利活用)
確認問題(30問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|EA4体系
エンタープライズアーキテクチャ(EA)の四つの体系のうち、業務が扱うデータの内容とデータ間の関連を体系化するものはどれか。
- アプリケーションアーキテクチャ
- データアーキテクチャ
- テクノロジアーキテクチャ
- ビジネスアーキテクチャ
正解と解説
正解:B. データアーキテクチャEAの4体系のうち、業務で使うデータの内容と相互の関連を整理し、E-R図やデータ定義表で表すのがデータアーキテクチャである。アプリケーションアーキテクチャは業務を支えるシステムの機能構成と連携、テクノロジアーキテクチャはハードウェアやネットワークなどの技術基盤、ビジネスアーキテクチャは組織の目標・業務内容・手順を対象とするので、いずれもデータそのものの体系化ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類17:システム戦略
問2|現状と理想
EAにおけるAs-IsモデルとTo-Beモデルの関係の説明として、適切なものはどれか。
- As-Isがあるべき姿を表すモデルであり、To-Beが現状を表すモデルである。
- To-Beモデルだけを作成し、現状の分析を省いて移行計画を作成する。
- 現状を表すAs-Isとあるべき姿を表すTo-Beを作成し、両者の差を分析して移行計画を立てる。
- As-IsとTo-Beは、いずれもテクノロジアーキテクチャだけを対象として作成する。
正解と解説
正解:C. 現状を表すAs-Isとあるべき姿を表すTo-Beを作成し、両者の差を分析して移行計画を立てる。EAではまず現状のAs-Isを描き、次にあるべき姿のTo-Beを描き、その差(ギャップ)を分析して移行計画を作る。したがって三つ目が正しい。一つ目はAs-IsとTo-Beの意味が逆である。二つ目は現状が分からなければ差も移行の道筋も定まらないので誤り。四つ目は、As-Is・To-Beとも4体系すべてについて描くものであり、技術基盤だけを対象とするわけではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類17:システム戦略
問3|BPO
自社の業務プロセスの一部を、その企画・設計から運用まで一括して外部の専門業者に委託することを何というか。
- BPM
- BPR
- SOA
- BPO
正解と解説
正解:D. BPO業務プロセスを企画から運用まで丸ごと外部に任せるのがBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)である。BPMは業務プロセスをPDCAで回して継続的に改善する管理手法、BPRは既存の手順を前提とせず業務プロセスを白紙から設計し直す抜本的な改革であり、いずれも外部委託を指す言葉ではない。SOAは機能をサービス部品として組み合わせるシステム構築の考え方で、業務委託とは関係がない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類17:システム戦略
問4|IaaS
クラウドサービスのうち、事業者はハードウェアと仮想化基盤までを提供し、利用者がOSやミドルウェアを自ら選定して管理できるものはどれか。
- IaaS
- PaaS
- SaaS
- ASP
正解と解説
正解:A. IaaSOSから上を利用者が管理できるのはIaaSである。PaaSはOSとミドルウェアまで事業者が用意するため、利用者がOSを選ぶことはできず、管理するのは自作アプリケーションとそのデータである。SaaSは完成したアプリケーションを使う形態で、利用者は設定と自分のデータしか管理しない。ASPはアプリケーションをネットワーク経由で提供する事業者や形態を指し、SaaSと同様に利用者はOSを管理できない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類17:システム戦略
問5|全体最適
情報システム戦略の策定に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 各部門がそれぞれ必要とするシステムを個別に企画し、部門ごとに最も使いやすい形で導入することを最優先する。
- 経営戦略に基づいて、組織全体の情報システムのあるべき姿と実現までの道筋を、全体最適の観点から中長期の計画としてまとめる。
- 情報システム部門が扱いやすい技術の都合に合わせて業務の姿を決め、それに合うように経営戦略の方を見直す。
- 現行システムの運用手順と障害発生時の連絡体制を細かく定め、日々の運用が滞りなく回ることだけを目的とする。
正解と解説
正解:B. 経営戦略に基づいて、組織全体の情報システムのあるべき姿と実現までの道筋を、全体最適の観点から中長期の計画としてまとめる。情報システム戦略は、経営戦略を実現するために組織全体の情報システムのあるべき姿と道筋を中長期でまとめた計画であり、部門ごとの個別最適ではなく全体最適を目指す点が要点で、CIOがその責任を負う。部門ごとの個別最適を優先すると、システムの重複や連携の分断を招く。情報システムの都合で経営戦略を決めるのは順序が逆である。日々の運用手順を定めるのは運用管理であって、戦略の策定ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類17:システム戦略
問6|設備の形態
事業者が用意した施設に自社が所有するサーバを設置させてもらい、電源・空調・通信回線・耐震設備の提供を受ける形態はどれか。
- ホスティング
- SaaS
- ハウジング
- オンプレミス
正解と解説
正解:C. ハウジング利用者が所有する機器を事業者の施設に持ち込んで設置し、電源・空調・回線・耐震設備などの提供を受けるのがハウジングで、機器そのものは利用者の資産のままである。ホスティングは事業者が所有するサーバやその一部を貸し出す形態で、機器は事業者の資産となる。SaaSは完成したアプリケーションをネットワーク経由で利用する形態、オンプレミスは自社の施設内に機器を設置して自社で運用する形態であり、いずれも設問の説明に当たらない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類17:システム戦略
問7|DXの段階
これまで紙で回覧していた稟議書をPDFに置き換え、共有フォルダに保存するようにした。承認を回す手順そのものは紙のときと変えていない。この取組みが該当する段階はどれか。
- デジタイゼーション
- デジタライゼーション
- デジタルトランスフォーメーション
- デジタルディバイド
正解と解説
正解:A. デジタイゼーション個別の情報や作業をアナログからデジタルに置き換えただけの段階はデジタイゼーションである。承認の流れごとワークフローシステムに載せ替えて業務プロセスを作り替えればデジタライゼーション、さらにデータとデジタル技術で製品やビジネスモデル、組織まで変革して競争上の優位を得る段階がデジタルトランスフォーメーションになる。デジタルディバイドは情報通信技術を使える人と使えない人の格差であり、段階を表す言葉ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類17:システム戦略
問8|DFD
データの流れ、処理、データストア、源泉と吸収の四種類の記号を用いて、業務におけるデータの流れと処理内容を表す図はどれか。
- E-R図
- アクティビティ図
- 状態遷移図
- DFD
正解と解説
正解:D. DFDこの四種類の記号で構成されるのはDFD(データフロー図)である。E-R図は実体と実体間の関連でデータの構造を表す図でデータの流れは表さない。アクティビティ図はUMLの一つで、処理や作業の流れと分岐・並行を表す。状態遷移図は対象がとる状態と、事象によってどの状態へ移るかを表す図であり、いずれもデータストアや源泉と吸収という概念は用いない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類17:システム戦略
問9|情報格差
デジタルディバイドの説明として、適切なものはどれか。
- 情報システムの導入によって、これまで手作業で行っていた業務の所要時間が短縮されること
- 情報通信技術を利用できる人と利用できない人との間に生じる、得られる情報や機会、待遇の格差
- 組織内の複数のシステムが同じ内容のデータを別々に保持し、内容が食い違ってしまうこと
- 情報を主体的に選び、内容を評価して活用する能力のこと
正解と解説
正解:B. 情報通信技術を利用できる人と利用できない人との間に生じる、得られる情報や機会、待遇の格差デジタルディバイドは、情報通信技術を使えるかどうかによって生じる情報や機会の格差を指し、年齢・地域・所得などが要因となる。一つ目は情報化による効率化の説明にすぎない。三つ目はデータの重複保持による不整合の説明であり、格差とは関係がない。四つ目は情報リテラシーの説明で、デジタルディバイドを埋めるための取組みの対象ではあるが、語の意味そのものではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類17:システム戦略
問10|RFI
システムの調達において、RFI(情報提供依頼書)を発行する目的として最も適切なものはどれか。
- 調達に先立ち、実現可能な手段や技術動向、おおよその費用感などの情報の提供をベンダに依頼する。
- 調達する内容と選定基準を示し、ベンダに提案書の提出を依頼する。
- 選定したベンダとの間で、業務範囲や責任分担、検収条件を取り決める。
- 納入された成果物が要件を満たしているかを検査し、受入れの可否を判断する。
正解と解説
正解:A. 調達に先立ち、実現可能な手段や技術動向、おおよその費用感などの情報の提供をベンダに依頼する。RFIは提案を求める前の段階で、どのような実現手段があるかなどの情報提供をベンダに依頼する文書である。二つ目は選定基準を示して提案書を求めるRFP(提案依頼書)の目的で、RFIより後に行う。三つ目はベンダ選定後の契約締結、四つ目は納入後の受入検査の説明であり、いずれも調達のさらに後の工程に当たる。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類18:システム企画
問11|RFP
RFP(提案依頼書)に記載する内容として、最も適切なものはどれか。
- ベンダが提示した見積金額とその内訳について、発注側が行った妥当性の評価結果
- 納入後に発見された不具合の修正履歴と再発防止策
- 調達の目的、必要な機能要件と非機能要件、前提条件、納期、契約条件、提案の選定基準
- ベンダが自社の技術力と過去の実績を発注側に売り込むための会社案内
正解と解説
正解:C. 調達の目的、必要な機能要件と非機能要件、前提条件、納期、契約条件、提案の選定基準RFPは発注側がベンダに提案を求める文書なので、何のために何を必要とし、どういう条件で、どんな基準で選ぶのかを示す必要がある。一つ目は提案を受け取った後に発注側が行う評価の記録であり、依頼の時点では書けない。二つ目は納入後の保守に関する記録である。四つ目はベンダ側が作る資料であって、発注側が発行するRFPの記載内容ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類18:システム企画
問12|調達の順序
情報システムの調達において行う次の作業を、実施する順に並べたものはどれか。 ア 提案依頼書(RFP)の発行 イ 情報提供依頼書(RFI)の発行 ウ ベンダからの提案書・見積書の受領 エ 提案内容の評価によるベンダの選定
- ア→イ→ウ→エ
- イ→ア→エ→ウ
- ア→ウ→イ→エ
- イ→ア→ウ→エ
正解と解説
正解:D. イ→ア→ウ→エ調達はまず情報を集めるRFI(イ)から始まり、集めた情報を踏まえて提案を求めるRFP(ア)を出し、ベンダから提案書・見積書を受け取り(ウ)、評価してベンダを選定する(エ)という順になる。したがってイ→ア→ウ→エが正しい。RFIとRFPの前後を入れ替えた選択肢や、提案書を受け取る前に選定を行う選択肢は、いずれも実際の手順として成り立たない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類18:システム企画
問13|ペルソナ
要件定義において、年齢・職業・生活習慣などまで作り込んだ典型的な利用者像を一人の人物として設定し、その人物ならどう使うかを考えて要求を引き出す技法はどれか。
- ブレーンストーミング
- ペルソナ
- プロトタイピング
- ユースケース
正解と解説
正解:B. ペルソナペルソナは、典型的な利用者像を具体的な一人の人物として作り込み、その人物の行動や価値観に沿って要求を引き出す技法である。ブレーンストーミングは批判を控えて自由に意見を出し合う発想法、プロトタイピングは試作品を早い段階で見せて反応から要求を引き出す方法、ユースケースは利用者(アクター)とシステムのやり取りを場面ごとに記述して機能要件を洗い出す方法であり、いずれも利用者像を一人の人物として設定する技法ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類18:システム企画
問14|要件定義
情報システムの要件定義における役割分担の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 業務を実際に行う発注側(利用者側)が主体となって要件を確定し、ベンダは実現方法の面から支援する。
- 技術に詳しいベンダが主体となって要件を確定し、発注側は完成後の検収だけを行う。
- 要件は契約後に開発を担当するプログラマが個々の判断で決めればよい。
- 要件定義は運用開始後に行うものであり、それまでは決めずに開発を進める。
正解と解説
正解:A. 業務を実際に行う発注側(利用者側)が主体となって要件を確定し、ベンダは実現方法の面から支援する。何が必要かを判断できるのは業務を行っている発注側であり、要件定義の主体は発注側(利用者側)である。ベンダは技術的な実現方法の面から支援する立場にとどまる。ベンダ任せにすると業務の実態に合わないものができて受入れの段階で食い違いが表面化する。プログラマが個別に決めるのは要件と実装の混同であり、運用開始後に要件を決めるのでは開発の指針が存在しないので、いずれも誤りである。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類18:システム企画
問15|請負契約
請負契約の特徴として、適切なものはどれか。
- 受注者は仕事の完成義務を負わず、善良な管理者の注意をもって業務を遂行すればよい。
- 作業を行う要員に対する日々の指揮命令は、発注者が直接行う。
- 受注者は仕事の完成義務を負い、引き渡した成果物が契約の内容に適合しない場合は契約不適合責任を負う。
- 作業を行う要員は発注者と雇用関係を結び、発注者の指揮命令の下で作業する。
正解と解説
正解:C. 受注者は仕事の完成義務を負い、引き渡した成果物が契約の内容に適合しない場合は契約不適合責任を負う。請負契約は仕事の完成を約束する契約なので、受注者は完成責任を負い、成果物が契約内容に適合しなければ契約不適合責任を負う。一つ目は完成義務を負わない準委任契約の説明である。二つ目のように発注者が直接指揮命令を出すと実態が労働者派遣となり、偽装請負として法令違反になる。四つ目は要員が発注者と雇用関係を結ぶという記述で、派遣でも雇用関係は派遣元との間にあるため、いずれの契約形態の説明としても誤りである。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類18:システム企画
問16|準委任契約
準委任契約の説明として、適切なものはどれか。
- 仕事の完成を約束し、完成した成果物と引換えに報酬を受け取る契約である。
- 労働者を発注者の事業所へ送り、発注者の指揮命令の下で働かせる契約である。
- 発注者が受注者の要員に対して直接、日々の作業指示を出すことが認められた契約である。
- 一定の業務を行うことを約束する契約であり、仕事の完成は約束せず、受注者は善管注意義務を負う。
正解と解説
正解:D. 一定の業務を行うことを約束する契約であり、仕事の完成は約束せず、受注者は善管注意義務を負う。準委任契約は業務の遂行そのものを目的とし、仕事の完成は約束しない代わりに、善良な管理者の注意をもって業務を行う義務(善管注意義務)を負う。一つ目は完成を約束する請負契約の説明である。二つ目は労働者派遣契約の説明である。三つ目のように発注者が受注者の要員に直接指示を出すのは偽装請負に当たり、準委任契約でも認められない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類18:システム企画
問17|派遣契約
労働者派遣契約が請負契約や準委任契約と決定的に異なる点はどれか。
- 作業を行う労働者に対する指揮命令を、派遣先(発注側)が行う点
- 受注者が仕事の完成を約束し、成果物の完成責任を負う点
- 契約の期間をあらかじめ定めず、期間の制限を受けない点
- 労働者が派遣元ではなく派遣先との間で雇用契約を結ぶ点
正解と解説
正解:A. 作業を行う労働者に対する指揮命令を、派遣先(発注側)が行う点労働者派遣では指揮命令権が派遣先(発注側)にあり、この点が、指揮命令を受注者が行う請負契約・準委任契約との決定的な違いである。完成責任を負うのは請負契約であって派遣ではない。契約期間はどの形態でも定めるのが通常である。派遣で雇用関係にあるのは派遣元と労働者であり、派遣先と労働者の間に雇用契約はないので、四つ目も誤りである。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類18:システム企画
問18|共通フレーム
共通フレーム(SLCP)の目的として、最も適切なものはどれか。
- 特定の開発方法論を定め、すべての開発プロジェクトにその手順の適用を義務付けること
- 企画から開発・運用・保守・廃棄までの作業内容と用語を整理し、取得者と供給者が同じ認識で話し合える共通の物差しを与えること
- 情報セキュリティマネジメントシステムを構築し認証を取得するための要求事項を定めること
- 組織が保有するソフトウェアのライセンス数と導入数を突き合わせ、過不足を管理すること
正解と解説
正解:B. 企画から開発・運用・保守・廃棄までの作業内容と用語を整理し、取得者と供給者が同じ認識で話し合える共通の物差しを与えること共通フレームは、ソフトウェアライフサイクル全体の作業と用語を整理し、取得者(発注側)と供給者(受注側)が同じ言葉で認識を合わせるための共通の物差しである。開発方法論や具体的な手順を強制するものではないので一つ目は誤り。三つ目は情報セキュリティマネジメントの規格の説明、四つ目はソフトウェア資産管理(SAM)の説明であり、いずれも共通フレームの目的ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類18:システム企画
問19|企画の順序
システムの企画に関する作業のうち、システム化構想の立案として行うものはどれか。
- 開発スケジュール、体制、概算費用、費用対効果を具体化し、投資判断ができる形にまとめる。
- 画面や帳票の項目、処理手順など、システムが備える機能を文書として確定させる。
- 経営上の課題を踏まえ、システム化の対象とする業務の範囲と期待する効果、実現の方針を定める。
- ベンダから提出された提案書を評価基準に沿って採点し、委託先を決定する。
正解と解説
正解:C. 経営上の課題を踏まえ、システム化の対象とする業務の範囲と期待する効果、実現の方針を定める。システム化構想の立案では、経営課題を出発点に、対象業務の範囲・期待効果・おおまかな実現方針という方向性を定める。一つ目はその次のシステム化計画の立案で行う作業、二つ目は要件定義で行う作業、四つ目は調達におけるベンダ選定であり、いずれも構想より後の段階に当たる。構想が「何のために、どの方向へ」、計画が「いつ、いくらで、どうやって」と押さえると順序を取り違えない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類7:システム戦略 中分類18:システム企画
問20|特性要因図
製品に不良が発生した原因を、材料・機械・作業者・方法などの観点から大分類から小分類へ枝分かれさせて整理し、原因の候補を漏れなく洗い出すのに適した図はどれか。
- 管理図
- 散布図
- パレート図
- 特性要因図
正解と解説
正解:D. 特性要因図原因を魚の骨の形に枝分かれさせて整理するのは特性要因図である。管理図は時系列の値に管理限界線を引いて工程が安定しているかを見る図、散布図は二つの項目の相関を見る図、パレート図は項目を多い順に並べて累積比率を重ね、重点管理すべき上位項目を絞る図であり、いずれも原因そのものを体系的に洗い出す用途ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(業務分析・データ利活用)
問21|データレイク
データレイクの説明として、最も適切なものはどれか。
- 構造化・非構造化を問わず、データを加工せずに元の形式のまま蓄積しておく場所
- 分析の主題ごとに整理・統合し、時系列に蓄えて書き換えない形で保管する分析用の倉庫
- 特定の部門や用途に必要な部分だけを切り出して作った小規模なデータの集まり
- 業務システムからデータを抽出し、変換して格納する一連の処理
正解と解説
正解:A. 構造化・非構造化を問わず、データを加工せずに元の形式のまま蓄積しておく場所データレイクは、用途を決めずに生のままの形式でデータをためておく場所であり、後から必要な形に加工して使う。二つ目はデータウェアハウス、三つ目はデータマート、四つ目はETLの説明である。加工せずに元の形式で蓄えるという点がデータレイクの特徴で、あらかじめ整理・統合してから格納するデータウェアハウスとはここで区別する。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(業務分析・データ利活用)
問22|ABC分析
ある店舗の5品目の年間売上高は、商品A:480万円、商品B:300万円、商品C:120万円、商品D:60万円、商品E:40万円である。売上高の大きい順に並べ、累積構成比が80%以下となる品目までをAグループとするとき、Aグループに分類される品目数は幾つか。
- 1品目
- 2品目
- 3品目
- 4品目
正解と解説
正解:B. 2品目売上高の合計は480+300+120+60+40=1,000万円。大きい順に累積構成比を求めると、商品Aで480÷1,000=48.0%、商品Bまでで780÷1,000=78.0%、商品Cまでで900÷1,000=90.0%となる。80%以下に収まるのは商品Bまでの2品目なので答えは2品目である。1品目は商品Bを含め忘れた誤り、3品目は90.0%を80%以下と誤認した場合、4品目は96.0%まで含めた誤りである。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(業務分析・データ利活用)
問23|線形計画法
製品Xと製品Yを製造している。製品X 1個の製造には原料Pを2kg、原料Qを1kg使い、製品Y 1個の製造には原料Pを1kg、原料Qを3kg使う。1日に使用できる原料はPが100kg、Qが90kgまでである。1個当たりの利益が製品Xは300円、製品Yは200円であるとき、1日に得られる利益の最大値は幾らか。ここで製造個数は0以上の整数とし、製造した製品はすべて売れるものとする。
- 12,600円
- 15,000円
- 15,800円
- 18,000円
正解と解説
正解:C. 15,800円製品Xをx個、製品Yをy個とすると、制約は2x+y≦100と x+3y≦90 で、利益は300x+200yである。最適解は実行可能領域の頂点で得られるので、二つの制約式を等号で連立させるとx=42、y=16となり、利益は300×42+200×16=12,600+3,200=15,800円で最大となる。15,000円はYを作らずXだけを50個作った場合、12,600円はXを42個だけ作った場合の利益で、いずれも最大ではない。18,000円は両方の制約を満たす組合せでは実現できない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(業務分析・データ利活用)
問24|期待値
新製品の販売方式として案A〜案Dのいずれかを選ぶ。市場が好調となる確率は0.3、不調となる確率は0.7である。利益(単位:万円)は、案Aが好調のとき1,000/不調のとき200、案Bが好調のとき700/不調のとき300、案Cが好調のとき500/不調のとき400、案Dが好調のとき1,200/不調のとき100である。期待値が最大となる案はどれか。
- 案A
- 案B
- 案C
- 案D
正解と解説
正解:A. 案A期待値は(利益×確率)の合計で求める。案Aは0.3×1,000+0.7×200=300+140=440万円、案Bは0.3×700+0.7×300=210+210=420万円、案Cは0.3×500+0.7×400=150+280=430万円、案Dは0.3×1,200+0.7×100=360+70=430万円となる。したがって最大は案Aの440万円である。案Dは好調時の利益が最も大きいが確率が0.3と低いため期待値では及ばない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(業務分析・データ利活用)
問25|移動平均法
ある商品の月別販売数は、1月120個、2月150個、3月190個、4月150個、5月200個であった。3か月移動平均法によって6月の販売数を予測すると、何個になるか。
- 150個
- 162個
- 175個
- 180個
正解と解説
正解:D. 180個3か月移動平均法では、直近3か月である3月・4月・5月の実績の単純平均を次の月の予測値とする。(190+150+200)÷3=540÷3=180個となる。150個は4月の実績値をそのまま用いた誤り、162個は1月から5月までの5か月すべてを平均した値(810÷5)、175個は直近2か月だけを平均した値((150+200)÷2)であり、いずれも直近3か月の平均ではない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(業務分析・データ利活用)
問26|指数平滑法
指数平滑法によって翌月の受注量を予測する。平滑化係数αを0.4とし、当月の受注実績が500個、当月について立てていた予測値が450個であったとき、翌月の予測値は何個か。
- 450個
- 470個
- 480個
- 500個
正解と解説
正解:B. 470個指数平滑法の式は、翌月予測値=α×当月実績値+(1−α)×当月予測値である。0.4×500+0.6×450=200+270=470個となる。480個はαを0.6と取り違えた場合の値(0.6×500+0.4×450=480)である。450個と500個は、それぞれ当月の予測値と実績値をそのまま用いた値であり、両者を重み付けして混ぜるという指数平滑法の考え方に反する。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(業務分析・データ利活用)
問27|マクシミン
起こりうる状況S1・S2・S3のいずれかの下で、案A〜案Dのどれかを選ぶ。利得は、案Aが順に80・40・60、案Bが100・20・70、案Cが70・50・55、案Dが90・30・65である。各状況の発生確率は分からないものとして、マクシミン原理によって案を選ぶとき、選ばれる案はどれか。
- 案A
- 案B
- 案C
- 案D
正解と解説
正解:C. 案Cマクシミン原理では、まず各案の最悪の利得(最小値)を求め、その中で最大の案を選ぶ。最小値は案Aが40、案Bが20、案Cが50、案Dが30なので、最大となる案Cが選ばれる。案Bは最良の利得100が最も大きいが最小値が20と最も小さく、最悪の事態を避けたいこの原理では選ばれない。案A・案Dも最小値が案Cより小さいため選ばれない。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(業務分析・データ利活用)
問28|マクシマックス
起こりうる状況T1・T2・T3のいずれかの下で、案A〜案Dのどれかを選ぶ。利得は、案Aが順に150・60・50、案Bが90・110・70、案Cが100・80・130、案Dが95・85・75である。各状況の発生確率は分からないものとして、マクシマックス原理によって案を選ぶとき、選ばれる案はどれか。
- 案A
- 案B
- 案C
- 案D
正解と解説
正解:A. 案Aマクシマックス原理では、各案の最良の利得(最大値)を求め、その中で最大の案を選ぶ。最大値は案Aが150、案Bが110、案Cが130、案Dが95なので、案Aが選ばれる。案Cは最大値130で2番目にとどまる。なお同じ表にマクシミン原理を当てはめると、最小値は案Aが50、案Bが70、案Cが80、案Dが75となり案Cが選ばれるので、どちらの原理を使うかで結論が変わることに注意する。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(業務分析・データ利活用)
問29|在庫回転率
ある企業の年間の売上原価が4,800万円、平均在庫高が400万円であるとき、在庫回転率は幾らか。
- 0.08回
- 1.2回
- 12回
- 120回
正解と解説
正解:C. 12回在庫回転率は、年間の売上原価を平均在庫高で割って求める。4,800万円÷400万円=12回となり、1年間に在庫が12回入れ替わった計算になる。0.08回は平均在庫高を売上原価で割った値(400÷4,800≒0.083)を丸めたもので、これは在庫回転期間を年単位で表した数値に当たる。1.2回は平均在庫高を4,000万円と桁を誤った場合の値、120回は40万円と桁を誤った場合の値であり、いずれも単位の取り違えによる誤りである。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(業務分析・データ利活用)
問30|発注点
定量発注方式で部品を調達している。1日当たりの平均使用量は50個、発注してから納入されるまでの調達期間は6日、安全在庫は80個である。発注点は何個か。
- 300個
- 380個
- 430個
- 480個
正解と解説
正解:B. 380個定量発注方式の発注点は、1日当たりの平均使用量×調達期間+安全在庫で求める。50×6+80=300+80=380個となる。300個は安全在庫を加え忘れた値である。430個は調達期間を7日として計算した誤り、480個は安全在庫80個に調達期間6日を掛けてしまった誤りであり、安全在庫は調達期間を掛けずに最後へ一度だけ加える。
根拠:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 大分類9:企業と法務 中分類22:企業活動(業務分析・データ利活用)
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※ 出題はIPA公開のシラバスVer.9.2(2026年1月8日適用)に沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題です。擬似言語の記述形式もIPA公開の仕様に合わせています。試験制度・実施要項はIPAの公式発表をご確認ください(2027年度春ごろに新試験制度へ移行予定)。