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企業研究 COMPANY RESEARCH

会社の読み方

講義 3 本・確認問題 30 問 | 本試験では「調べ方」(0問)の一部 | 最終更新 2026-09-24

この章で学ぶこと
目次
  1. 有価証券報告書は、どこに何が書いてあるか
  2. 数字は5つの利益とセグメントから読む
  3. 資料を見分けて、一次情報にたどりつく
  4. 確認問題(30問)
  5. 演習ツール

1. 有価証券報告書は、どこに何が書いてあるか

上場会社が毎年出す有価証券報告書は、書く中身も並び順も法令で決まっています。決まっているからこそ、どの会社でも同じ場所を開けば同じ種類のことが分かります。

金融商品取引法 第24条第1項は、有価証券の発行者である会社について、その有価証券が金融商品取引所に上場されている有価証券などに該当する場合、事業年度ごとに有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないと定めています。記載するのは、会社の商号、その会社の属する企業集団および経理の状況その他事業の内容に関する重要な事項です。提出の期限は、内国会社にあっては当該事業年度経過後3か月以内です。3月決算の会社なら6月末までに出る、という感覚を持っておくと探しやすくなります。

並び順は企業内容等の開示に関する内閣府令の第三号様式で決まっています。第一部の「企業情報」は、第1 企業の概況、第2 事業の状況、第3 設備の状況、第4 提出会社の状況、第5 経理の状況、第6 提出会社の株式事務の概要、第7 提出会社の参考情報の順です。第二部は「提出会社の保証会社等の情報」です。企業研究でまず開くのは第1と第2と第5の三つになります。第1 企業の概況は、1 主要な経営指標等の推移、2 沿革、3 事業の内容、4 関係会社の状況で構成されます。従業員の状況は2026年3月期以後の有価証券報告書では「第4 提出会社の状況」の「5 従業員の状況等」に置かれています。第2 事業の状況は、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、2 サステナビリティに関する考え方及び取組、3 事業等のリスク、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、5 重要な契約等、6 研究開発活動です。

沿革の読み方にはコツがあります。記載上の注意は、提出会社の設立日から提出日までの間について、創立経緯、商号の変更、企業集団に係る重要な事項、すなわち合併、事業内容の変更、主要な関係会社の設立や買収、上場等を簡潔に記載することを求めています。つまり沿革は年表ではなく、会社が何を始め、何をやめ、どこへ移ってきたかの記録です。志望動機を書くときに効くのは、いま何をしているかより、どういう経緯でいまの形になったのかのほうです。関係会社の状況も同じで、親会社、子会社、関連会社、その他の関係会社に分けて、名称、住所、資本金または出資金、主要な事業の内容、議決権に対する提出会社の所有割合、関係内容が並びます。

有価証券報告書のほかにも、法令にもとづく報告書があります。半期報告書は金融商品取引法 第24条の5第1項にもとづくもので、上場会社等の場合、事業年度が開始した日以後6か月間が経過した日から起算して45日以内の政令で定める期間内に提出します。上場会社等以外は3か月以内です。組織再編など一定の事実が生じたときに出すのが臨時報告書で、同条第4項が根拠です。これらを見る場所がEDINETで、正式には「金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム」といいます。金融庁が運用しており、提出から公衆縦覧までを電子化しています。有価証券報告書の縦覧期間は5年です。過去5年分を並べて読めば、事業の重心がどう動いたかが分かります。

有価証券報告書 第一部「企業情報」の並びと、就職活動での使いどころ
章主な中身ここで分かること
第1 企業の概況主要な経営指標等の推移、沿革、事業の内容、関係会社の状況会社の輪郭。まずここを通しで読む
第2 事業の状況経営方針と課題、サステナビリティ、事業等のリスク、経営者による分析、重要な契約等、研究開発活動会社が自分でどう見ているか、何を不安に思っているか
第3 設備の状況設備投資の概要、主要な設備、新設や除却の計画どこに拠点があり、どこへ投資しているか
第4 提出会社の状況株式等の状況、大株主、議決権、役員の状況など誰が株主で、誰が経営しているか
第5 経理の状況連結財務諸表等と財務諸表等数字の本体。セグメント情報もここにある
第6 提出会社の株式事務の概要事業年度、定時株主総会、基準日、公告掲載方法など会社の暦と事務の枠組み
第7 提出会社の参考情報提出会社の親会社等の情報、その他の参考情報親会社がいるかどうかの確認
EDINETで有価証券報告書を開く手順1. EDINETの書類検索を開く2. 提出者や発行者の名称に会社名を入れて検索する3. 書類種別で「有価証券報告書」を選び、直近のものを開く4. 目次から「第1 企業の概況」に進み、沿革と事業の内容を読む5. 事業系統図で、仕入先と販売先の向きを確かめる6. 「第2 事業の状況」の事業等のリスクを読み、会社が挙げている懸念を書き出す7. 「第5 経理の状況」でセグメント情報の注記を開き、事業別の売上と利益を見る8. 5年前の有価証券報告書も開き、同じ場所を見比べて変化をつかむ

用語

有価証券報告書
上場会社などが事業年度ごとに提出する報告書。内国会社は事業年度経過後3か月以内に内閣総理大臣に提出する(金融商品取引法 第24条第1項)。
第三号様式
企業内容等の開示に関する内閣府令が定める有価証券報告書の様式。第一部「企業情報」の第1から第7までの並び順が決まっている。
沿革
設立日から提出日までの創立経緯、商号の変更、合併、事業内容の変更、主要な関係会社の設立や買収、上場等を簡潔に記した項目。
事業の内容
提出会社と関係会社が営む主な事業の内容と、その事業における位置づけを、セグメント情報との関連を含めて説明し、事業系統図等で示す項目。
関係会社の状況
親会社、子会社、関連会社、その他の関係会社に分けて、名称、住所、資本金、主要な事業の内容、議決権の所有割合、関係内容を記載する項目。
半期報告書
事業年度の途中の状況を示す報告書。上場会社等は6か月間の経過後45日以内の政令で定める期間内に提出する(金融商品取引法 第24条の5第1項)。
臨時報告書
一定の事実が生じたときにその都度提出する報告書(金融商品取引法 第24条の5第4項)。
EDINET
金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム。金融庁が運用し、提出から公衆縦覧までを電子化している。
公衆縦覧
提出された書類を誰でも見られる状態に置くこと。有価証券報告書とその添付書類および訂正報告書の縦覧期間は5年(金融商品取引法 第25条第1項第3号)。

例題

例題:志望先が3月決算です。最新の有価証券報告書はいつごろ出ますか。
答えと考え方 内国会社の提出期限は事業年度経過後3か月以内なので、6月末までに出ます。定時株主総会の直後に出ることが多く、それまでは前の事業年度のものが最新です。
例題:非上場の会社を調べたいのですが、有価証券報告書が見つかりません。
答えと考え方 提出義務は上場している有価証券の発行者などにかかります。非上場の会社は提出していない場合があるので、公式サイトの会社概要、決算公告、官公庁の統計や業界団体の資料に切り替えて調べます。
例題:沿革はどこを見ればよいですか。
答えと考え方 商号の変更、合併、事業内容の変更、主要な関係会社の設立や買収、上場の年です。何を始めて何をやめたかが並ぶので、会社の重心がどこへ動いたかが読み取れます。

出典・根拠:金融商品取引法 第24条

2. 数字は5つの利益とセグメントから読む

財務諸表は隅から隅まで読むものではありません。損益計算書の5つの利益、貸借対照表のおおまかな形、そしてどの事業で稼いでいるか。この三つで十分に会社は見えます。

損益計算書は、売上高から順に費用を引いていく引き算の表です。財務諸表等規則は、売上高から売上原価を控除した額を売上総利益とし(第83条)、そこから販売費及び一般管理費の合計額を控除した額を営業利益とし(第89条)、営業利益に営業外収益を加減し営業外費用を加減した額を経常利益とし(第95条)、経常利益に特別利益と特別損失を加減した額を税引前当期純利益とし(第95条の4)、そこから法人税、住民税及び事業税などを加減した額を当期純利益とする(第95条の5)と定めています。会社計算規則 第88条第1項も、損益計算書等を売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、営業外収益、営業外費用、特別利益、特別損失の7区分に分けて表示すると定めています。本業の稼ぎを見たいなら営業利益、借入の利息まで含めた通常の実力を見たいなら経常利益です。

貸借対照表は、右に「お金をどこから持ってきたか」、左に「それを何に変えたか」が並ぶ表です。右は負債と純資産、左は資産です。純資産は、株主資本、評価・換算差額等、株式引受権および新株予約権に分類して記載します(財務諸表等規則 第59条)。ここから出てくる指標が自己資本比率です。有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」に載る自己資本比率は、純資産額から株式引受権、新株予約権および非支配株主持分の金額を控除した額を、総資産額で除した割合と定義されています。分子が自己資本、分母が総資産です。同じ表には最近5連結会計年度分が並ぶので、上がってきたのか下がってきたのかが一目で分かります。

単体と連結の違いも押さえます。「第5 経理の状況」には、1 連結財務諸表等と 2 財務諸表等が並びます。前者は親会社と子会社を含む企業集団をひとつの会社とみなして合算した数字、後者は提出会社ひとりだけの数字です。グループで事業をしている会社では、単体の売上高が小さく見えることがあります。持株会社なら、単体の売上高はグループ会社からの配当や経営管理料が中心になるためです。まず連結を見るのが原則で、単体は補助として使います。

そして、どの事業で稼いでいるかはセグメント情報で見ます。企業会計基準第17号は、事業セグメントを、収益を稼得し費用が発生する事業活動に関わるもので、最高経営意思決定機関が資源配分の意思決定と業績評価のために経営成績を定期的に検討するものであり、分離された財務情報を入手できるもの、と定義しています。社内で実際に使っている区分をそのまま外に出す考え方で、マネジメント・アプローチと呼ばれます。報告セグメントは量的基準で決まり、売上高、利益または損失の絶対値、資産のいずれかがすべての事業セグメントの合計額の10%以上であれば報告セグメントとして開示しなければなりません。さらに、報告セグメントの外部顧客への売上高の合計額が損益計算書の売上高の75%未満のときは、75%以上になるまで報告セグメントを追加します。売上が大きい事業と利益が大きい事業は一致しないことがあるので、両方を並べて見てください。

損益計算書に並ぶ5つの利益
利益計算のしかた根拠
売上総利益売上高から売上原価を差し引く財務諸表等規則 第83条
営業利益売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引く財務諸表等規則 第89条
経常利益営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引く財務諸表等規則 第95条
税引前当期純利益経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引く財務諸表等規則 第95条の4
当期純利益税引前当期純利益から法人税、住民税及び事業税などを差し引く財務諸表等規則 第95条の5
その会社が何で稼いでいるかを調べる手順1. 有価証券報告書の「第5 経理の状況」を開く2. 連結財務諸表の注記からセグメント情報を探す3. 報告セグメントの名前をすべて書き出す4. セグメントごとの売上高を並べ、大きい順に順位をつける5. 同じ表のセグメント利益を並べ、売上の順位と一致するかを見る6. 一致しないセグメントがあれば、そこが利益率の高い事業か低い事業かを判断する7. 「第1 企業の概況」の事業の内容に戻り、そのセグメントを担う関係会社の名前を確かめる8. 5年前の有価証券報告書で同じ表を見て、稼ぎ頭が入れ替わっていないかを点検する

用語

売上総利益
売上高から売上原価を控除した額(財務諸表等規則 第83条)。粗利とも呼ばれる。
営業利益
売上総利益から販売費及び一般管理費の合計額を控除した額(財務諸表等規則 第89条)。本業の稼ぎを示す。
経常利益
営業利益に営業外収益を加減し、営業外費用を加減した額(財務諸表等規則 第95条)。受取利息や支払利息を含む。
税引前当期純利益
経常利益に特別利益と特別損失を加減した額(財務諸表等規則 第95条の4)。
当期純利益
税引前当期純利益から法人税、住民税及び事業税などを加減した額(財務諸表等規則 第95条の5)。
純資産の部
株主資本、評価・換算差額等、株式引受権、新株予約権に分類して記載する(財務諸表等規則 第59条)。
自己資本比率
純資産額から株式引受権、新株予約権、非支配株主持分を控除した額を総資産額で除した割合。有価証券報告書の主要な経営指標等の推移に載る。
連結財務諸表
親会社と子会社を含む企業集団をひとつの会社とみなして作る財務諸表。提出会社だけの数字が単体の財務諸表。
事業セグメント
収益と費用が発生し、最高経営意思決定機関が業績を定期的に検討し、分離された財務情報を入手できる企業の構成単位(企業会計基準第17号)。
マネジメント・アプローチ
経営者が意思決定と業績評価に使っている区分に沿ってセグメントを開示する考え方。

例題

例題:営業利益と経常利益は、どちらを見ればよいですか。
答えと考え方 本業でどれだけ稼げているかを見たいなら営業利益です。借入の利息や受取配当などを含めた、通常の状態での実力を見たいなら経常利益です。両方並べて、差が大きい会社は営業外の項目を確かめます。
例題:持株会社の単体の売上高がとても小さいのですが、業績が悪いということですか。
答えと考え方 そうとは限りません。持株会社の単体の収益はグループ会社からの配当や経営管理料が中心になることがあります。企業集団の姿を見るなら連結財務諸表を見ます。
例題:セグメントの数が会社によって違うのはなぜですか。
答えと考え方 経営者が意思決定と業績評価に使っている区分に沿って開示するためです。加えて、売上高、利益、資産のいずれかが合計額の10%以上という量的基準や、外部顧客への売上高が75%以上になるまで追加する決まりがあります。

出典・根拠:財務諸表等規則 第83条・第89条・第95条・第95条の4・第95条の5

3. 資料を見分けて、一次情報にたどりつく

会社の情報には、法令で出すものと、会社が自分の意思で出すものがあります。どちらの性質かを見分けてから読むと、書いてあることの重みが分かります。

上場会社が最初に出す決算の情報は決算短信です。東京証券取引所の有価証券上場規程 第404条は、決算の内容が定まった場合は直ちにその内容を開示することを義務づけています。開示の時期については、遅くとも決算期末後45日以内に内容のとりまとめを行い開示することが適当とされ、30日以内がより望ましいとされています。50日を超える場合は、理由と翌年度以降の見込みを開示することが求められます。つまり決算短信は速報で、有価証券報告書より早く出ます。早い代わりに情報量は絞られています。数字の詳細と事業の説明は有価証券報告書、いちばん早い数字は決算短信、と使い分けます。

決算説明資料や統合報告書は、法令が提出を義務づけた書類ではありません。会社が自分の意思で作る任意の開示です。決算説明資料は図表が多く、経営者が何を強調したいかがそのまま出ます。統合報告書は、財務資本の提供者に対して組織が長期にわたりどのように価値を創造するかを説明することを主たる目的とする報告書で、国際統合報告フレームワークや、経済産業省の価値協創ガイダンス2.0が参照されます。任意の開示は、書いてあることは確かめる価値がありますが、書いていないことを不利な事実の隠蔽だと決めつけないでください。義務がないのですから、載せる載せないは会社の判断です。

働き方の情報にも根拠があります。職業安定法 第5条の3第1項は、労働者の募集などに当たり、従事すべき業務の内容および賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定めています。同法 第5条の4第1項は、広告等により求人や募集に関する情報を提供するときに、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならないとし、同条第2項は、募集を行う者に情報を正確かつ最新の内容に保つことを求めています。さらに青少年の雇用の促進等に関する法律 第13条第2項は、新卒者等の募集に応じ、または応じようとする者から求めがあった場合、青少年雇用情報を提供しなければならないと定めています。提供する情報は、ア 募集・採用に関する状況、イ 職業能力の開発・向上に関する状況、ウ 企業における雇用管理に関する状況の3類型に整理されており、求めがあった場合は各類型について1つ以上の提供が義務となります。過去3年間の新卒採用者数と離職者数、平均勤続年数、研修の有無と内容、前年度の月平均所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数などがここに含まれます。

一次情報とは、会社自身や官公庁が出している元の資料のことです。順番を決めておくと迷いません。まずEDINETで有価証券報告書を読み、次に会社の公式サイトのIR情報で決算短信や説明資料を見て、業界の全体像は官公庁の統計で確かめます。統計はe-Statから探せます。就職四季報のような市販の資料やまとめ記事は、一次情報にたどりつくための手がかりとして使います。会社説明会は、公表資料を読んだうえで、資料からは読み取れないことを確かめる場です。セグメントや沿革といった事実を先に押さえておけば、質問は自然と具体的になります。他社との優劣や将来の株価は、会社が答えられる性質の問いではありません。

会社をめぐる資料の、根拠と向いている使い方
資料出す根拠向いている使い方
有価証券報告書金融商品取引法 第24条第1項事業の内容、沿革、セグメント、財務を通しで確かめる
半期報告書金融商品取引法 第24条の5第1項事業年度の途中の状況を見る
臨時報告書金融商品取引法 第24条の5第4項組織再編などその都度の出来事を知る
決算短信東京証券取引所 有価証券上場規程 第404条決算のいちばん早い数字を知る
決算説明資料任意の開示経営者が何を強調しているかを読む
統合報告書任意の開示長い時間軸での価値の作り方の説明を読む
青少年雇用情報青少年の雇用の促進等に関する法律 第13条働き方の実態を数字で確かめる
官公庁の統計各府省の統計調査業界の全体像と、その会社の位置を確かめる
一次情報にたどりつく手順1. EDINETで有価証券報告書を開き、事業の内容と沿革を読む2. 同じ書類の第5 経理の状況で、セグメント情報を確認する3. 会社の公式サイトの「IR情報」を開き、直近の決算短信を見る4. 決算説明資料があれば開き、経営者が強調している論点を書き出す5. 統合報告書があれば、長期の方針の説明として読む6. 採用ページで募集要項と青少年雇用情報を確認する7. 見当たらない項目は、説明会で求めがあった場合の提供義務があることを踏まえて質問する8. 業界の全体像はe-Statなど官公庁の統計で確かめ、市販の資料は手がかりとして使う

用語

決算短信
上場会社が決算の内容が定まった場合に直ちに開示する速報(東京証券取引所 有価証券上場規程 第404条)。
45日以内
決算短信の開示について、遅くとも決算期末後45日以内が適当とされる目安。30日以内がより望ましいとされる。
決算説明資料
決算の内容を投資家向けに説明する任意の資料。経営者が何を強調しているかが読み取れる。
統合報告書
財務資本の提供者に対し、組織が長期にわたりどのように価値を創造するかを説明する任意の報告書。
価値協創ガイダンス2.0
経済産業省が示す、企業と投資家の対話のための手引き。統合的な開示の考え方を整理している。
青少年雇用情報
新卒者等の募集を行う会社が提供する職場情報。求めがあった場合は3類型それぞれについて1つ以上の提供が義務となる。
労働条件の明示
募集に当たり、従事すべき業務の内容および賃金、労働時間その他の労働条件を明示する義務(職業安定法 第5条の3第1項)。
一次情報
会社自身や官公庁が出している元の資料。有価証券報告書、公式サイトのIR情報、官公庁の統計など。

例題

例題:決算短信と有価証券報告書は、どちらを先に読めばよいですか。
答えと考え方 企業研究なら有価証券報告書が先です。事業の内容、沿革、セグメント、リスクまで通して書かれています。決算短信は最新の数字を早く知るために後から見ます。
例題:統合報告書に都合の悪いことが書いていません。隠しているのですか。
答えと考え方 統合報告書は任意の開示なので、載せる範囲は会社が決めます。義務のある開示で確かめたいなら、有価証券報告書の事業等のリスクや、経営者による分析を読みます。
例題:説明会で残業時間や離職率を聞くのは失礼ですか。
答えと考え方 失礼ではありません。青少年の雇用の促進等に関する法律 第13条第2項は、応募しようとする者から求めがあった場合の情報提供を義務としています。前年度の月平均所定外労働時間や過去3年間の離職者数は、その3類型に含まれる項目です。

出典・根拠:東京証券取引所 有価証券上場規程 第404条

確認問題(30問)

四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。

問1|有報の根拠

上場会社が事業年度ごとに有価証券報告書を提出する義務の根拠となる条文はどれか。

  1. 会社法 第2条
  2. 金融商品取引法 第24条第1項
  3. 労働基準法 第108条
  4. 独占禁止法 第9条
正解と解説
正解:B. 金融商品取引法 第24条第1項

金融商品取引法 第24条第1項は、発行する有価証券が金融商品取引所に上場されている有価証券などに該当する会社に対し、事業年度ごとに有価証券報告書を内閣総理大臣に提出することを義務づけている。

根拠:金融商品取引法 第24条

問2|提出期限

内国会社が有価証券報告書を提出しなければならない期限はどれか。

  1. 事業年度の経過後1か月以内
  2. 事業年度経過後45日以内
  3. 事業年度経過後3か月以内
  4. 事業年度の経過後6か月以内
正解と解説
正解:C. 事業年度経過後3か月以内

金融商品取引法 第24条第1項は、内国会社について当該事業年度経過後3か月以内に内閣総理大臣に提出しなければならないと定める。やむを得ない理由があるときは、あらかじめ承認を受けた期間内となる。

根拠:金融商品取引法 第24条

問3|有報の記載

有価証券報告書に記載することとされている事項として、金融商品取引法 第24条第1項が挙げているものはどれか。

  1. 役員の個人的な資産の内訳
  2. 会社の商号、役員一人ひとりの氏名および住所、株主名簿に記載されたすべての株主の氏名
  3. 会社の商号、属する企業集団および経理の状況その他事業の内容に関する重要な事項
  4. 翌年度の株価の予想
正解と解説
正解:C. 会社の商号、属する企業集団および経理の状況その他事業の内容に関する重要な事項

同項は、会社の商号、当該会社の属する企業集団および当該会社の経理の状況その他事業の内容に関する重要な事項などを記載した報告書と定めている。株価の予想は記載事項ではない。

根拠:金融商品取引法 第24条

問4|公衆縦覧

有価証券報告書が公衆の縦覧に供される期間として正しいものはどれか。

  1. 5年
  2. 1年
  3. 3年
  4. 10年
正解と解説
正解:A. 5年

金融商品取引法 第25条第1項第3号は、有価証券報告書およびその添付書類ならびにこれらの訂正報告書の縦覧期間を5年と定める。1年とされているのは自己株券買付状況報告書である。

根拠:金融商品取引法 第25条

問5|EDINET

EDINETの正式名称として正しいものはどれか。

  1. 有価証券の発行者が提出する企業内容等の開示に関する内閣府令に定められた別記様式
  2. 東京証券取引所が運営する、上場会社の適時開示情報を閲覧するためのウェブサービス
  3. 金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム
  4. 政府統計の総合窓口
正解と解説
正解:C. 金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム

EDINETは金融庁が運用する電子開示システムで、有価証券報告書、有価証券届出書、大量保有報告書などの提出から公衆縦覧までを電子化している。

根拠:金融庁「EDINET」

問6|有報の章立て

有価証券報告書の第一部「企業情報」の章の並びとして正しいものはどれか。

  1. 企業の概況、経理の状況、事業の状況、設備の状況
  2. 企業の概況、事業の状況、設備の状況、提出会社の状況、経理の状況
  3. 事業の状況、企業の概況、経理の状況、設備の状況
  4. 経理の状況、企業の概況、事業の状況、提出会社の状況
正解と解説
正解:B. 企業の概況、事業の状況、設備の状況、提出会社の状況、経理の状況

第三号様式の第一部「企業情報」は、第1 企業の概況、第2 事業の状況、第3 設備の状況、第4 提出会社の状況、第5 経理の状況、第6 提出会社の株式事務の概要、第7 提出会社の参考情報の順に並ぶ。

根拠:企業内容等の開示に関する内閣府令 第三号様式

問7|企業の概況

有価証券報告書の「第1 企業の概況」に置かれていない項目はどれか。

  1. 研究開発活動
  2. 沿革
  3. 事業の内容
  4. 関係会社の状況
正解と解説
正解:A. 研究開発活動

第1 企業の概況は、1 主要な経営指標等の推移、2 沿革、3 事業の内容、4 関係会社の状況で構成される。研究開発活動は「第2 事業の状況」に置かれている。

根拠:企業内容等の開示に関する内閣府令 第三号様式

問8|沿革の中身

有価証券報告書の「沿革」に記載する事項として、記載上の注意が挙げていないものはどれか。

  1. 商号の変更
  2. 合併
  3. 主要な関係会社の設立や買収
  4. 毎年の売上高の推移
正解と解説
正解:D. 毎年の売上高の推移

沿革は、設立日から提出日までの創立経緯、商号の変更、企業集団に係る重要な事項、すなわち合併、事業内容の変更、主要な関係会社の設立や買収、上場等を簡潔に記載する。売上高の推移は「主要な経営指標等の推移」で扱う。

根拠:企業内容等の開示に関する内閣府令 第二号様式 記載上の注意

問9|事業の内容

有価証券報告書の「事業の内容」に記載することとされているものはどれか。

  1. 役員それぞれの個人的な職務経歴と、入社前に在籍していた会社の名称
  2. 株主総会の議事録の全文と、決議事項ごとの賛成および反対の票数の内訳
  3. 監査法人との契約金額と、監査に従事した公認会計士一人ひとりの氏名
  4. 主な事業の内容とその事業における位置づけ、および事業系統図等
正解と解説
正解:D. 主な事業の内容とその事業における位置づけ、および事業系統図等

記載上の注意は、提出会社および関係会社が営む主な事業の内容と、その事業における位置づけ等を、セグメント情報との関連を含めて系統的に分かりやすく説明し、事業系統図等で示すことを求めている。セグメントの区分ごとに主要な関係会社の名称も併記する。

根拠:企業内容等の開示に関する内閣府令 第二号様式 記載上の注意

問10|関係会社状況

有価証券報告書の「関係会社の状況」で分けて記載することとされている区分の組合せはどれか。

  1. 親会社、子会社、関連会社、その他の関係会社
  2. 国内に本店を置く会社と海外に本店を置く会社の2区分
  3. 上場している会社と上場していない会社の2区分
  4. 直近の決算が黒字の会社と、赤字の会社の2区分
正解と解説
正解:A. 親会社、子会社、関連会社、その他の関係会社

記載上の注意は、関係会社を親会社、子会社、関連会社およびその他の関係会社に分けて、名称、住所、資本金または出資金、主要な事業の内容、議決権に対する提出会社の所有割合、関係内容を記載することを求めている。

根拠:企業内容等の開示に関する内閣府令 第二号様式 記載上の注意

問11|事業の状況

有価証券報告書の「第2 事業の状況」に置かれている項目はどれか。

  1. 株式の総数等
  2. 主要な設備の状況
  3. 事業等のリスク
  4. 提出会社の株式事務の概要
正解と解説
正解:C. 事業等のリスク

第2 事業の状況は、経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、サステナビリティに関する考え方及び取組、事業等のリスク、経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、重要な契約等、研究開発活動で構成される。

根拠:企業内容等の開示に関する内閣府令 第三号様式

問12|売上総利益

売上総利益の計算として正しいものはどれか。

  1. 売上高から販売費及び一般管理費を差し引いた額
  2. 売上高から売上原価を差し引いた額
  3. 営業利益に営業外収益を加えた額
  4. 経常利益から特別損失を差し引いた額
正解と解説
正解:B. 売上高から売上原価を差し引いた額

財務諸表等規則 第83条は、売上高から売上原価を控除した額を売上総利益金額として表示すると定める。ここからさらに販売費及び一般管理費を差し引いたものが営業利益である。

根拠:財務諸表等規則 第83条

問13|営業利益

営業利益の計算として正しいものはどれか。

  1. 売上高から売上原価を差し引いた額
  2. 売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた額
  3. 経常利益から法人税等を差し引いた額
  4. 売上高から法人税等を差し引いた額
正解と解説
正解:B. 売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた額

財務諸表等規則 第89条は、売上総利益金額から販売費及び一般管理費の合計額を控除した額を営業利益金額として表示すると定める。本業でどれだけ稼いだかを示す利益である。

根拠:財務諸表等規則 第89条

問14|経常利益

経常利益の計算として正しいものはどれか。

  1. 売上総利益に特別利益を加え、特別損失と法人税等を差し引いた額
  2. 営業利益から法人税等および特別損失を差し引いて求めた額
  3. 税引前当期純利益に、特別損失と特別利益の両方を加えた額
  4. 営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた額
正解と解説
正解:D. 営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた額

財務諸表等規則 第95条は、営業利益金額または営業損失金額に営業外収益の金額を加減し、次に営業外費用の金額を加減した額を経常利益金額として表示すると定める。受取利息や支払利息はここに入る。

根拠:財務諸表等規則 第95条

問15|利益の順序

損益計算書に並ぶ利益の順序として正しいものはどれか。

  1. 売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益
  2. 営業利益、売上総利益、経常利益、当期純利益、税引前当期純利益
  3. 経常利益、営業利益、売上総利益、当期純利益、税引前当期純利益
  4. 当期純利益、税引前当期純利益、経常利益、営業利益、売上総利益
正解と解説
正解:A. 売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益

売上高から順に、売上原価、販売費及び一般管理費、営業外損益、特別損益、法人税等を差し引いていく並びである。根拠は財務諸表等規則 第83条、第89条、第95条、第95条の4、第95条の5にある。

根拠:財務諸表等規則 第83条・第89条・第95条

問16|PLの区分

会社計算規則 第88条第1項が定める損益計算書等の区分に含まれないものはどれか。

  1. 販売費及び一般管理費
  2. 営業外収益
  3. 繰延資産
  4. 営業外費用
正解と解説
正解:C. 繰延資産

同項は、売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、営業外収益、営業外費用、特別利益、特別損失の7つの区分を定めている。繰延資産は貸借対照表の資産の側に出てくる項目である。

根拠:会社計算規則 第88条

問17|純資産の部

貸借対照表の純資産の部の分類として、財務諸表等規則が定めているものはどれか。

  1. 株主資本、評価・換算差額等、株式引受権、新株予約権
  2. 流動資産、固定資産、繰延資産
  3. 流動負債と固定負債
  4. 売上高、売上原価、販売費及び一般管理費
正解と解説
正解:A. 株主資本、評価・換算差額等、株式引受権、新株予約権

財務諸表等規則 第59条は、純資産を株主資本、評価・換算差額等、株式引受権および新株予約権に分類して記載しなければならないと定める。流動と固定の分け方は資産と負債の話である。

根拠:財務諸表等規則 第59条

問18|自己資本比率

有価証券報告書の主要な経営指標等の推移に載る自己資本比率の分母はどれか。

  1. 売上高
  2. 純資産
  3. 総資産額
  4. 資本金
正解と解説
正解:C. 総資産額

記載上の注意は、自己資本比率を、純資産額から株式引受権、新株予約権および非支配株主持分の金額を控除した額を総資産額で除した割合と定義している。分子が自己資本、分母が総資産である。

根拠:企業内容等の開示に関する内閣府令 第二号様式 記載上の注意

問19|指標の年数

有価証券報告書の主要な経営指標等の推移で示される連結の年数はどれか。

  1. 直近の1連結会計年度
  2. 直近の2連結会計年度
  3. 最近3連結会計年度
  4. 最近5連結会計年度
正解と解説
正解:D. 最近5連結会計年度

記載上の注意は、最近5連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移を記載することを求めている。提出会社単体についても最近5事業年度分が並ぶので、増減の向きを一目で確かめられる。

根拠:企業内容等の開示に関する内閣府令 第二号様式 記載上の注意

問20|単体と連結

連結財務諸表と単体の財務諸表の違いの説明として正しいものはどれか。

  1. 連結は税金を含めず、単体は税金を含めて計算する
  2. 連結は親会社と子会社を含む企業集団をひとつとみなした数字で、単体は提出会社だけの数字である
  3. 連結は親会社と子会社を含む企業集団の数字で、単体は提出会社とその関連会社を合わせた数字である
  4. 連結は決算短信にしか載らず、単体は有価証券報告書にしか載らない
正解と解説
正解:B. 連結は親会社と子会社を含む企業集団をひとつとみなした数字で、単体は提出会社だけの数字である

有価証券報告書の「第5 経理の状況」には、1 連結財務諸表等と 2 財務諸表等が並ぶ。前者が企業集団の数字、後者が提出会社単体の数字である。グループで事業をしている会社は、まず連結を見る。

根拠:企業内容等の開示に関する内閣府令 第三号様式

問21|セグメント

セグメント情報の区分の決め方について、企業会計基準第17号が採っている考え方はどれか。

  1. 国が定めた日本標準産業分類の業種区分に従って、あらかじめ決められた単位で区分する
  2. 売上高の大きい順に上位5つの事業を並べ、残りをその他としてまとめて区分する
  3. 経営上の意思決定と業績評価に使っている区分に従うマネジメント・アプローチ
  4. 従業員数の多い順に並べる
正解と解説
正解:C. 経営上の意思決定と業績評価に使っている区分に従うマネジメント・アプローチ

事業セグメントは、最高経営意思決定機関が資源配分の意思決定と業績評価のために経営成績を定期的に検討する構成単位で、分離された財務情報を入手できるものとされる。社内の見方をそのまま外に出す考え方である。

根拠:企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」

問22|決算短信

決算短信の開示について、東京証券取引所の有価証券上場規程が義務づけているものはどれか。

  1. 定時株主総会の承認を受けた後に、あらためて開示すること
  2. 有価証券報告書の提出と同じ日に合わせて開示すること
  3. 監査法人の監査報告書を受け取ってから開示すること
  4. 決算の内容が定まった場合は直ちに開示すること
正解と解説
正解:D. 決算の内容が定まった場合は直ちに開示すること

有価証券上場規程 第404条は、決算の内容が定まった場合は直ちにその内容を開示することを義務づけている。決算短信は速報として位置づけられており、有価証券報告書より早く出る。

根拠:東京証券取引所 有価証券上場規程 第404条

問23|45日

東京証券取引所が決算短信の開示時期について適当としている期限はどれか。

  1. 決算期末後の30日以内
  2. 決算期末後45日以内
  3. 決算期末後の3か月以内
  4. 決算期末後の6か月以内
正解と解説
正解:B. 決算期末後45日以内

遅くとも決算期末後45日以内に内容のとりまとめを行い開示することが適当とされ、30日以内がより望ましいとされている。50日を超える場合は理由と翌年度以降の見込みの開示が求められる。なお45日・30日・50日は上場規程の義務ではなく、東京証券取引所の要請事項である。

根拠:東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信 作成要領等」

問24|統合報告書

統合報告書の位置づけとして正しいものはどれか。

  1. 法令で提出が義務づけられた書類ではなく、各社が任意に作成するもの
  2. 金融商品取引法が事業年度ごとに提出を義務づけている法定の開示書類である
  3. 東京証券取引所が様式を定め、上場会社に提出を義務づけている開示書類
  4. 労働基準監督署に届け出る書類
正解と解説
正解:A. 法令で提出が義務づけられた書類ではなく、各社が任意に作成するもの

統合報告書は任意の開示で、国際統合報告フレームワークや経済産業省の価値協創ガイダンス2.0などが参照される。財務資本の提供者に対し、組織が長期にわたりどのように価値を創造するかを説明することが主たる目的とされる。

根拠:経済産業省「価値協創ガイダンス2.0」

問25|労働条件明示

労働者の募集を行う者が、募集に応じて労働者になろうとする者に対し明示しなければならないものはどれか。

  1. 会社の株主構成と、主要な株主それぞれが保有する議決権の割合
  2. 主要な取引先の一覧と、取引先ごとの年間の取引金額および決済条件
  3. 役員一人ひとりの報酬額と、報酬を決めた取締役会の議事の内容
  4. 従事すべき業務の内容および賃金、労働時間その他の労働条件
正解と解説
正解:D. 従事すべき業務の内容および賃金、労働時間その他の労働条件

職業安定法 第5条の3第1項は、職業紹介、労働者の募集または労働者供給に当たり、従事すべき業務の内容および賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定める。

根拠:職業安定法 第5条の3

問26|求人の表示

求人や労働者の募集に関する情報を広告等で提供するときの決まりとして、職業安定法が定めているものはどれか。

  1. 求人情報は必ず紙の媒体で提供しなければならず、電子的な方法は認められない
  2. 虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならない
  3. 賃金は月額ではなく年収の見込額でのみ表示しなければならない
  4. 募集する人数や採用を予定している人数は表示してはならない
正解と解説
正解:B. 虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならない

職業安定法 第5条の4第1項は、広告等により求人や募集に関する情報を提供するときに、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならないと定める。同条第2項は、募集を行う者に情報を正確かつ最新の内容に保つことを求めている。

根拠:職業安定法 第5条の4

問27|雇用情報

新卒者等の応募者から求めがあった場合の青少年雇用情報の提供について、若者雇用促進法が定めているものはどれか。

  1. 提供するかどうかは会社が自由に決めてよい
  2. 提供は努力義務にとどまる
  3. 求めに応じて提供しなければならない
  4. 内定者にだけ提供すればよい
正解と解説
正解:C. 求めに応じて提供しなければならない

青少年の雇用の促進等に関する法律 第13条第2項は、学校卒業見込者等募集に応じ、または応じようとする者の求めに応じ、青少年雇用情報を提供しなければならないと定める。同条第1項の広く提供する努力義務とは別に、求めがあれば義務になる。

根拠:青少年の雇用の促進等に関する法律 第13条

問28|3類型

青少年雇用情報の3類型の組合せとして正しいものはどれか。

  1. 募集・採用に関する状況、職業能力の開発・向上に関する状況、企業における雇用管理に関する状況
  2. 募集・採用に関する状況、賃金および賞与の水準に関する状況、福利厚生の制度の充実度に関する状況
  3. 資本金、株主、取引銀行
  4. 業界の順位、平均年収、離職率
正解と解説
正解:A. 募集・採用に関する状況、職業能力の開発・向上に関する状況、企業における雇用管理に関する状況

厚生労働省の青少年雇用情報シートでは、ア 募集・採用に関する状況、イ 職業能力の開発・向上に関する状況、ウ 企業における雇用管理に関する状況の3類型が示されている。求めがあった場合は、3類型それぞれについて1つ以上の情報提供が義務となる。

根拠:厚生労働省「青少年雇用情報シート」

問29|一次情報

企業研究で一次情報にたどりつく方法として最も適切なものはどれか。

  1. まとめ記事や解説記事を複数読み比べ、多くの記事に共通して書かれている内容を採用する
  2. EDINETの有価証券報告書、会社の公式サイトのIR情報、官公庁の統計にあたる
  3. 口コミサイトに投稿された社員や元社員の書き込みを集め、件数の多い意見を根拠にする
  4. 知人から聞いた話をそのまま使う
正解と解説
正解:B. EDINETの有価証券報告書、会社の公式サイトのIR情報、官公庁の統計にあたる

一次情報とは、会社自身や官公庁が出している元の資料を指す。EDINET、各社の公式サイトのIR情報、e-Statなどの官公庁の統計が入口である。まとめ記事や口コミは、そこにたどりつくための手がかりとして使う。

根拠:金融庁「EDINET」

問30|説明会の質問

会社説明会での質問として、公表資料をもとにした確かめ方に当たるものはどれか。

  1. セグメント情報で複数の事業があることを踏まえ、配属の考え方を聞く
  2. 同じ業界の他社と比べてどちらが優れている会社かを、その場で評価してもらう
  3. 来年の株価がいくらになるかを、担当者の個人的な見通しとして答えてもらう
  4. 社員個人の家庭の事情や家族構成について、名前を挙げて立ち入って尋ねる
正解と解説
正解:A. セグメント情報で複数の事業があることを踏まえ、配属の考え方を聞く

説明会は、公表資料を読んだうえで、資料からは読み取れないことを確かめる場である。セグメントや沿革などの事実を先に押さえておくと質問が具体的になる。他社との優劣や将来の株価は、会社が答えられる性質の問いではない。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く知られた業界の構造にもとづく問題です

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※ 解説は学習用の情報提供です。最新の出題範囲・制度は必ず公式発表をご確認ください。
※ 各社の事業内容・沿革・代表的な商品は、各社の公式サイトおよび有価証券報告書などの公表資料をもとにしています(2026年8月時点で確認)。売上や順位などの変わりやすい数字は原則として出題していません。特定の企業をすすめたり、優劣を評価したりするものではありません。