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ビジネス BUSINESS BASICS

組織の役割と役職

講義 3 本・確認問題 30 問 | 本試験では「組織と仕事」(0問)の一部 | 最終更新 2026-09-24

この章で学ぶこと
目次
  1. 会社法上の機関と社内の役職は別物
  2. 役職の序列と職務権限
  3. 部署の役割と稟議・決裁の流れ
  4. 確認問題(30問)
  5. 演習ツール

1. 会社法上の機関と社内の役職は別物

取締役や監査役は会社法が定める機関、社長や専務は会社が自由に付ける社内の呼称です。まず、この二つの層が別物であることを整理します。

会社の「えらい人」を指す言葉には、法律で決まっているものと、会社が自由に決めているものの二種類が混ざっています。会社法が定めるのは株主総会・取締役・取締役会・代表取締役・監査役といった機関で、権限が法律に書かれ、登記もされます。一方で社長・副社長・専務・常務・本部長といった呼び名について、会社法には「社長とは何か」という定義がありません。社内の職制として会社が決めているものなので、同じ「専務」でも会社が違えば権限も待遇も違います。役職の意味を他社に持ち込まないことが、この分野の出発点です。

会社法は、株式会社には一人または二人以上の取締役を置かなければならないと定めています(会社法 第326条第1項)。これに対して取締役会・会計参与・監査役・監査役会・会計監査人などは、定款で定めれば置くことができる任意の機関です(同条第2項)。つまり「取締役会のない株式会社」は違法でも例外でもありません。中小企業では取締役が一人だけという会社も珍しくありません。なお取締役会を置く場合には、取締役は三人以上でなければならないとされています(会社法 第331条第5項)。

会社を代表する権限を持つのが代表取締役です。取締役会設置会社では、取締役会が取締役の中から代表取締役を選定しなければならないとされ(会社法 第362条第3項)、代表取締役は会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を持ちます(会社法 第349条第4項)。多くの会社では代表取締役に「社長」という呼称を重ねて「代表取締役社長」と名乗りますが、これは法律上の地位と社内の呼称を並べて書いているだけで、社長という法律上の役職があるわけではありません。

とはいえ「社長」という名前には社会的な信用があります。会社法は、代表取締役でない取締役に社長・副社長などの名称を付けた場合、その取締役がした行為について善意の第三者に対して会社が責任を負うと定めています(会社法 第354条)。これを表見代表取締役といいます。名刺の肩書きは相手にとって重要な判断材料だ、ということです。また、会社法でいう「役員」は取締役・会計参与・監査役を指し(会社法 第329条第1項)、日常語では役員に含めがちな執行役員は、この条文の役員には当たりません。執行役員は会社法に定めのない呼称で、従業員として置く会社も取締役が兼ねる会社もあります。

会社法が定める機関と、会社が自由に決める社内呼称
区分例決まり方
会社法上の機関株主総会、取締役、取締役会、代表取締役、監査役会社法と定款で定まり、登記される
会社法上の役員取締役、会計参与、監査役株主総会の決議で選任する(会社法 第329条第1項)
社内の役職名社長、副社長、専務、常務、本部長、部長会社が職制として自由に決める
法律に定めのない呼称執行役員、フェロー、顧問、相談役位置づけも権限も会社ごとに異なる
両方を重ねた表記代表取締役社長、取締役営業本部長法律上の地位と社内の役職を並べたもの
取締役会設置会社で「社長」が決まるまでの流れ1. 株主総会で取締役を選任する(会社法 第329条第1項)2. 選ばれた取締役全員で取締役会を組織する(会社法 第362条第1項)3. 取締役会が取締役の中から代表取締役を選定する(会社法 第362条第3項)4. 会社が社内規程にもとづき、その人に社長の呼称を与える5. 名刺には「代表取締役社長」と表記する

用語

株主総会
株主で構成する会社の意思決定機関。取締役などの役員を選任する(会社法 第329条第1項)。取締役会設置会社では、決議できる事項が法律の定めと定款の定めに限られる(会社法 第295条第2項)。
取締役
会社法が置くことを義務づける機関で、株式会社には一人以上必要(会社法 第326条第1項)。経営の意思決定にあたる立場で、部長などの従業員の役職とは別の地位。
取締役会
すべての取締役で組織する機関。業務執行の決定、取締役の職務執行の監督、代表取締役の選定と解職を行う(会社法 第362条)。定款で定めた場合に置く任意の機関。
代表取締役
会社を代表する権限を持つ取締役。取締役会設置会社では取締役会が取締役の中から選定する(会社法 第362条第3項)。
監査役
取締役の職務の執行を監査し、監査報告を作成する機関(会社法 第381条第1項)。業務を執行する側ではなく、チェックする側に立つ。
表見代表取締役
代表取締役でない取締役に社長・副社長などの名称を付けた場合、その者の行為について会社が善意の第三者に責任を負うという仕組み(会社法 第354条)。
執行役員
業務執行を担う立場として会社が置く呼称。会社法に定めがなく、会社法 第329条第1項の役員には含まれない。位置づけは会社ごとに異なる。
定款
会社の基本ルールを定めた文書。取締役会や監査役を置くかどうかも定款で定める(会社法 第326条第2項)。

例題

例題:「うちの会社には取締役会がないが、違法ではないか」と聞かれました。どう答えますか。
答えと考え方 違法ではありません。株式会社に必ず必要なのは取締役一人以上で(会社法 第326条第1項)、取締役会は定款で定めた場合に置く任意の機関です(同条第2項)。取締役会を置かない株式会社は多数あります。
例題:名刺に「専務取締役」とある人は、会社法上どういう立場ですか。
答えと考え方 取締役であることが会社法上の地位です。専務は社内の呼称なので、代表権があるかどうかは名刺だけでは分かりません。代表権の有無は登記で確認します。
例題:監査役は何をする人ですか。
答えと考え方 取締役の職務の執行を監査し、監査報告を作成します(会社法 第381条第1項)。業務を執行する立場ではなく、執行を点検する立場です。

出典・根拠:会社法 第326条・第329条・第331条・第349条・第354条・第362条・第381条

2. 役職の序列と職務権限

会長から主任までの一般的な並びと、役職に伴う決裁の権限を押さえます。序列も権限も会社ごとに異なる、というのが大前提です。

一般には、上から会長・社長・副社長・専務・常務・本部長・部長・次長・課長・係長・主任という並びで語られることが多く、会長から常務あたりまでを役員層、本部長から課長あたりまでを管理職層と呼ぶのが通例です。ただしこれはあくまで慣行であり、この序列を定めた法律はありません。本部長と部長のどちらが上かは会社によって違いますし、主任を管理職として扱う会社もあれば、一般社員の中の呼称にとどめる会社もあります。他社の名刺を見たときは、自社の物差しで序列を判断せず、相手の会社での位置づけを確かめるのが安全です。

役職にはライン職とスタッフ職の区別があります。ライン職は部下を持ち、業務命令を出して組織を動かす立場で、部長・課長・係長がこれにあたります。スタッフ職は部下を持たず、専門性で組織を支える立場で、部長級の処遇でも部下がいない担当部長・専門部長などが置かれることがあります。名刺に「部長」とあっても部下がいるとは限らない、ということです。雇用形態や勤務地とは関係のない区別なので、混同しないようにします。

役職名には「代理」「心得」「補佐」「付」といった言葉が付くことがあります。一般に、課長代理は課長の職務を代わって行う立場、課長補佐は課長を助ける立場、部長付は部長の直属に置かれる立場を指しますが、これも会社によって重みが違います。序列を数えるより、その人が何を決められるのかを見るほうが実務では役に立ちます。

「何を決められるか」を文書にしたものが職務権限規程です。多くの会社では、支出の金額や契約の種類ごとに、どの役職まで決裁できるかを表にしています。たとえば10万円までは課長、100万円までは部長、それを超えると役員、といった具合です。自分の上司がどこまで決められるのかを知っていると、稟議をどこまで上げる必要があるかが分かり、差し戻しが減ります。なお、権限を下位者に委ねる権限委譲を行っても、委ねた側の管理責任がなくなるわけではなく、委ねられた側の報告義務もなくなりません。委譲する範囲は必ず文書で明確にします。

一般に語られる役職の並び。上下関係も呼び名も会社によって異なる
層役職の例主な役割
役員層会長、社長、副社長、専務、常務会社全体の経営方針を決める
上級管理職本部長、部長部門の目標と資源配分に責任を持つ
中間管理職次長、課長課の業務運営と部下の育成に責任を持つ
監督職係長、主任現場の作業を取りまとめる
一般社員担当、社員自分の担当業務を遂行する
決裁の経路を確かめる手順1. 社内規程集で職務権限規程を開く2. 自分の案件がどの区分にあたるかを見る3. 金額や契約期間で決裁者が変わることを確認する4. 決裁者までの経路と、合議が必要な部署を確認する5. 迷ったら起案する前に上司へ決裁者を確認する

用語

管理職
部門や課の運営に責任を持ち、部下を指揮する立場。一般に部長・課長などを指すが、どこからを管理職とするかは会社によって異なる。
ライン職
部下を持ち、業務命令を出して組織を動かす役職。部長・課長・係長など。
スタッフ職
部下を持たず、専門性で組織を支える役職。担当部長・専門部長など、役職級であっても部下を持たない形がある。
職務権限規程
どの役職がどこまでの事項を決裁できるかを、金額や案件の種類ごとに定めた社内規程。
決裁権限
案件を最終的に承認できる権限。金額の大きさや契約の種類によって、必要な役職が上がっていくのが通例。
権限委譲
上位者が持つ決裁の権限を下位者に委ねること。委ねる範囲を文書で明確にする必要があり、委ねた側の管理責任は残る。

例題

例題:取引先の課長と自社の係長では、どちらが上位ですか。
答えと考え方 他社との間に上下関係はありません。役職の序列は自社の指揮命令のためのもので、社外には及びません。相手の役職にかかわらず敬意をもって応対します。
例題:「担当部長」という肩書きの人に部下がいないのはなぜですか。
答えと考え方 スタッフ職として部長級の処遇を受けている場合があるためです。ライン職とスタッフ職の区別によるもので、珍しいことではありません。
例題:80万円の発注をしたいとき、誰の決裁が必要ですか。
答えと考え方 会社の職務権限規程で確認します。金額だけでなく契約の種類によっても決裁者が変わるため、規程を見てから起案します。

出典・根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行を整理したものです

3. 部署の役割と稟議・決裁の流れ

総務・人事・経理などの主な部署が何をしているかと、社内で物事が決まっていく稟議のしくみを押さえます。

会社の部署は大きく、売上をつくる部門と、それを支える部門に分かれます。営業や製造が前者、総務・人事・経理などが後者で、支える側をまとめて管理部門やコーポレート部門と呼びます。新入社員がまず覚えたいのは「困ったときにどこへ行けばよいか」です。備品が壊れたら総務、勤怠や異動の相談は人事、経費の精算は経理、契約書の確認は法務、パソコンの不具合は情報システムというように、宛先が分かるだけで仕事の速度が変わります。

名前が似ていて混同しやすいのが経理と財務です。経理は日々の取引を記録して決算書をつくる仕事、財務は資金を調達し運用する仕事で、銀行との交渉や資金繰りは財務が担います。総務と人事も分かれていることが多く、総務は社屋・備品・文書管理・株主総会の事務など会社全体の庶務、人事は採用・配置・評価・教育など人に関する仕事です。ただし規模の小さい会社では総務が人事や経理を兼ねることもあり、分け方は会社によって異なります。

社内で何かを決めるとき、関係者を回って承認を集める文書が稟議書です。起案者が目的・内容・金額・効果を書き、関係部署の合議を経て、決裁権者が承認します。承認することを決裁、あらかじめ権限を委ねられた者が自らの責任で決めることを専決、決裁権者が不在のときに代わって決めることを代決といいます。代決した案件は、後から本人に見てもらう後閲を行うのが通例です。他人の印鑑を借りて押す、決裁前に発注してしまうといった近道は、いずれも規程違反になります。

稟議は時間がかかるので、いきなり書類を回すのではなく、あらかじめ関係部署に趣旨を説明しておく根回しが効きます。根回しは合議を飛ばすための手段ではなく、書面が回る前に論点をそろえて手戻りを減らすための正当な準備です。差し戻しの多くは「金額の根拠がない」「他案と比較した検討結果がない」「いつまでに何が必要か分からない」の三つが原因です。起案の前に決裁者と合議先を確認し、見積書や比較表などの添付資料をそろえてから回すと、一度で通ります。

主な部署と担当する仕事。分担は会社によって異なる
部署主な仕事こんなときに相談する
総務社屋・備品・文書管理・株主総会の事務備品が壊れた、会議室を押さえたい
人事採用・配置・評価・教育・勤怠の管理異動や休職、勤怠の入力を相談したい
経理仕訳・請求・支払・決算書の作成経費を精算したい、請求書を出したい
財務資金調達・資金繰り・銀行対応大きな投資の資金手当てを相談したい
法務契約書の審査・法令対応・紛争対応取引先の契約書を確認してほしい
営業顧客への提案・受注・売上への責任顧客の要望を製品に反映したい
企画経営計画・新規事業・商品企画中期の計画に沿う案かを確かめたい
情報システム社内システム・ネットワーク・端末の管理パソコンが起動しない、権限がほしい
購買仕入先の選定・発注・価格交渉部材を安定して仕入れたい
品質保証品質基準の管理・検査・不具合対応不具合の原因を調べたい
稟議が通るまでの流れ1. 起案者が目的・内容・金額・効果を書いて稟議書をつくる2. 見積書や比較表など、根拠になる資料を添付する3. 直属の上司に内容を説明し、了解を得る4. 関係部署に合議を回す(法務、経理、情報システムなど)5. 決裁権者が決裁する6. 決裁を受けてから発注や契約などの実行に移る

用語

管理部門
総務・人事・経理・法務など、事業部門を支える部門の総称。コーポレート部門ともいう。
稟議書
会議を開かずに、関係者を回って承認を得るための社内文書。目的・内容・金額・効果と根拠資料を添えて起案する。
決裁
決裁権者が案件を最終的に承認すること。決裁を受けてから発注や契約などの実行に移る。
専決
あらかじめ権限を委ねられた者が、自らの責任で決めること。職務権限規程で範囲が定められる。
代決
決裁権者が不在のときに、代わって決めること。後から本人に確認してもらう後閲を行うのが通例。
合議
決裁の前に、関係する部署の意見や確認を得る手続き。契約なら法務、支出なら経理といったように案件ごとに合議先が決まっている。
根回し
書面を回す前に関係者へ趣旨を説明し、論点や懸念を先に把握しておくこと。手戻りを減らすための準備。

例題

例題:課長が出張中で稟議が止まっています。どうしますか。
答えと考え方 規程で代決が認められているかを確認します。認められていれば代理の決裁者に回し、戻られた後に後閲していただきます。印鑑を借りて自分で押す、承認を飛ばして先に発注する、といった対応はいけません。
例題:「経理に資金調達を頼んで」と言われました。適切ですか。
答えと考え方 多くの会社では資金調達は財務の仕事です。経理は記録と決算が中心なので、自社の分担を確認したうえで正しい部署に依頼します。
例題:稟議が差し戻されました。まず何を見直しますか。
答えと考え方 金額の根拠、他案との比較、必要な時期の三点です。添付資料が足りているかを確かめ、決裁者が判断できる材料をそろえて再提出します。

出典・根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行を整理したものです

確認問題(30問)

四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。

問1|会社法の機関

会社法が置くことを認めている株式会社の機関にあたるものはどれか。

  1. 社長
  2. 専務
  3. 監査役
  4. 事業本部長
正解と解説
正解:C. 監査役

監査役は会社法が定める機関で、定款で定めれば置くことができる(会社法 第326条第2項)。社長・専務・本部長は会社法に定義のない社内の呼称で、会社が職制として決めているもの。

根拠:会社法 第326条

問2|取締役の数

株式会社が置かなければならない取締役の人数について、会社法の定めとして正しいものはどれか。

  1. 三人以上
  2. 一人以上
  3. 五人以上
  4. 置かなくてもよい
正解と解説
正解:B. 一人以上

会社法 第326条第1項は「株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない」と定める。三人以上が必要なのは取締役会を置く場合の話で(会社法 第331条第5項)、すべての株式会社の要件ではない。

根拠:会社法 第326条

問3|代表取締役

取締役会設置会社において、代表取締役を選定するのはどれか。

  1. 株主総会
  2. 取締役会
  3. 監査役
  4. 従業員の投票
正解と解説
正解:B. 取締役会

会社法 第362条第3項は「取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない」と定める。株主総会が選任するのは取締役であって代表取締役ではない。なお取締役会を置かない会社では、定款や株主総会の決議などで定めることができる(会社法 第349条第3項)。

根拠:会社法 第362条

問4|役員の範囲

会社法 第329条第1項にいう「役員」に含まれるものの組合せはどれか。

  1. 取締役、執行役員、顧問
  2. 取締役、会計参与、監査役
  3. 社長、専務、常務
  4. 代表取締役、部長、相談役、顧問
正解と解説
正解:B. 取締役、会計参与、監査役

同項は「役員(取締役、会計参与及び監査役をいう)」と定義している。執行役員・顧問・相談役や、社長・専務・常務は会社法に定めのない呼称でこの役員には当たらない。部長は従業員の役職。

根拠:会社法 第329条

問5|社長の肩書

名刺の「代表取締役社長」という表記の説明として適切なものはどれか。

  1. 会社法が定める「社長」という機関に就いていることを示す
  2. 社長は代表取締役より上位にある法律上の地位である
  3. 会社法上の代表取締役であることと、社内の呼称である社長を並べたもの
  4. 社長と名乗るには株主総会の特別決議が必要である
正解と解説
正解:C. 会社法上の代表取締役であることと、社内の呼称である社長を並べたもの

会社法に「社長」の定義はない。代表取締役が会社法上の地位、社長は会社が職制として与える呼称であり、両者を並べて表記したものが代表取締役社長。

根拠:会社法 第349条

問6|表見代表

代表取締役でない取締役に社長という名称を付けた場合について、会社法の定めとして正しいものはどれか。

  1. そうした名称を取締役に付けること自体が、会社法によって禁止されている
  2. その取締役の行為について、会社は善意の第三者に対して責任を負う
  3. その取締役は、登記をしていなくても自動的に代表取締役の地位に就く
  4. 登記をしておきさえすれば、会社は第三者に対して一切責任を負わない
正解と解説
正解:B. その取締役の行為について、会社は善意の第三者に対して責任を負う

会社法 第354条の表見代表取締役の定め。名称を付けること自体は禁じられておらず、代表権が生じるわけでもないが、その名称を信じた善意の第三者に対して会社が責任を負う。

根拠:会社法 第354条

問7|監査役の職務

監査役の職務として会社法が定めているものはどれか。

  1. 会社を代表して取引先と契約を結ぶこと
  2. 日々の営業活動を指揮して売上を伸ばすこと
  3. 従業員の人事評価を行って処遇を決めること
  4. 取締役の職務の執行を監査すること
正解と解説
正解:D. 取締役の職務の執行を監査すること

会社法 第381条第1項は、監査役は取締役の職務の執行を監査し、監査報告を作成しなければならないと定める。会社を代表するのは代表取締役、営業の指揮は業務執行の側の仕事。

根拠:会社法 第381条

問8|取締役会

取締役会について、会社法の定めとして適切でないものはどれか。

  1. すべての株式会社に設置が義務づけられている
  2. すべての取締役によって組織される合議体に当たる
  3. 取締役の職務の執行を監督するという役割を担っている
  4. 代表取締役の選定と解職を行う権限を与えられている
正解と解説
正解:A. すべての株式会社に設置が義務づけられている

取締役会は定款で定めた場合に置くことができる任意の機関で、すべての株式会社に義務づけられてはいない(会社法 第326条第2項)。他の三つは会社法 第362条第1項・第2項の定めどおり。

根拠:会社法 第362条

問9|株主総会

取締役会設置会社の株主総会が決議できる範囲について、会社法の定めとして正しいものはどれか。

  1. 会社に関する一切の事項を決議できる
  2. 決議できる事項はなく、報告を受けるだけである
  3. 会社法に規定する事項と定款で定めた事項に限られる
  4. 取締役会の決議をすべて取り消すことができる
正解と解説
正解:C. 会社法に規定する事項と定款で定めた事項に限られる

会社法 第295条第2項の定め。取締役会を置かない会社では同条第1項により会社に関する一切の事項を決議できるが、取締役会設置会社では決議できる事項が限定される。

根拠:会社法 第295条

問10|執行役員

執行役員についての説明として適切なものはどれか。

  1. 会社法に定めのない呼称で、位置づけは会社ごとに異なる
  2. 会社法 第329条第1項にいう役員に含まれる地位に当たる
  3. 必ず取締役を兼ねなければならない
  4. 監査役がこれを兼任することが会社法によって義務づけられている
正解と解説
正解:A. 会社法に定めのない呼称で、位置づけは会社ごとに異なる

会社法 第329条第1項の役員は取締役・会計参与・監査役。執行役員はこれに含まれない社内の呼称で、従業員として置く会社も取締役が兼ねる会社もあり、位置づけは会社ごとに異なる。

根拠:会社法 第329条

問11|役職の上下

一般的な役職の上下関係の説明として適切なものはどれか。

  1. 係長は課長より上位に置かれる
  2. 部長は課長より上位に置かれる
  3. 課長は部長より上位に置かれる
  4. 主任は部長より上位に置かれる
正解と解説
正解:B. 部長は課長より上位に置かれる

一般に部長・課長・係長・主任の順に下がる。ただし呼び名や序列の細部は会社によって異なるため、他社の役職を自社の物差しで測らないこと。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問12|ラインとスタッフ

ライン職とスタッフ職の違いの説明として適切なものはどれか。

  1. ライン職は正社員のことを指していて、スタッフ職は契約社員や派遣社員のことを指す
  2. ライン職は部下を持って組織を動かし、スタッフ職は部下を持たず専門性で支える
  3. ライン職は本社に勤務している社員を指し、スタッフ職は工場に勤務している社員を指す
  4. ライン職は管理職、スタッフ職は一般社員を指す
正解と解説
正解:B. ライン職は部下を持って組織を動かし、スタッフ職は部下を持たず専門性で支える

区別の基準は部下の有無と役割。担当部長のように部長級でも部下を持たないスタッフ職があり、雇用形態や勤務地とは関係がない。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問13|社外との関係

取引先の課長と自社の部長が同席する打合せでの考え方として、適切なものはどれか。

  1. 社内の序列は社外には及ばないので、相手の役職にかかわらず敬意をもって応対する
  2. 自社の部長のほうが役職として上位にあたるので、取引先の課長には指示を出してもよい
  3. 相手の出席者が課長であるならば、自社の側も課長までの出席にそろえなければならない
  4. 役職が下の相手には敬語を使わなくてよい
正解と解説
正解:A. 社内の序列は社外には及ばないので、相手の役職にかかわらず敬意をもって応対する

役職の序列は自社の指揮命令のためのもので、他社の人との間に上下関係を生むものではない。相手の役職にかかわらず敬意をもって応対する。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問14|職務権限規程

職務権限規程が定めている内容はどれか。

  1. どの役職がどこまでの事項を決裁できるか
  2. 社員の給与の額を役職ごとにいくらと定めるか
  3. 会社の事業目的として何を掲げるか
  4. 始業と終業の時刻や休日の日数をどうするか
正解と解説
正解:A. どの役職がどこまでの事項を決裁できるか

職務権限規程は、金額や案件の種類ごとに決裁できる役職を定めたもの。給与は賃金規程、事業目的は定款、始業終業や休日は就業規則で定めるのが通例。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問15|発注の手順

100万円の発注をしたいときの進め方として、適切でないものはどれか。

  1. 急ぐので先に発注し、あとから稟議を回す
  2. 職務権限規程を見て、決裁者が誰かを確認する
  3. 金額の根拠となる見積書をあらかじめそろえる
  4. 合議が必要な部署がどこかを事前に確認しておく
正解と解説
正解:A. 急ぐので先に発注し、あとから稟議を回す

決裁前の発注は、会社が意思決定していない支出を発生させる行為で規程違反になる。急ぐ場合こそ、事情を伝えて決裁を早めてもらう。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問16|代理と補佐

役職名に付く「代理」や「補佐」についての理解として適切なものはどれか。

  1. どの会社であっても課長代理は課長より上位にあたるということが、会社法によって一律に決められている
  2. 会社法によってそれぞれの意味が定められていて、どの会社においても同じ重みの役職として扱う
  3. これらが付く役職の人は必ず部下を持つ
  4. 一般に代理は職務を代わって行う立場、補佐は助ける立場を指すが、重みは会社によって異なる
正解と解説
正解:D. 一般に代理は職務を代わって行う立場、補佐は助ける立場を指すが、重みは会社によって異なる

いずれも慣行上の呼び方で、法律の定めはない。序列の重みも会社ごとに違うので、名前を数えるより、その人が何を決められるのかを確認するほうが確実。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問17|課長の役割

課長に一般に期待される役割はどれか。

  1. 課の業務運営と部下の育成に責任を持つ
  2. 株主総会を招集して、その議長を務めること
  3. 会社を代表して取引先との契約に調印すること
  4. 監査報告を作成して株主総会に提出すること
正解と解説
正解:A. 課の業務運営と部下の育成に責任を持つ

課長は中間管理職として課の運営と部下の育成を担う。株主総会の招集や代表としての調印は経営の機関の仕事、監査報告は監査役の仕事(会社法 第381条第1項)。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問18|名刺の読み方

初めて会う相手の名刺に「取締役営業本部長」とあった。読み取り方として適切なものはどれか。

  1. 取締役は社内の呼称、営業本部長は会社法上の地位である
  2. 本部長と書かれているので必ず代表権を持っている
  3. 会社法上の取締役であり、社内では営業本部長を務めていると読む
  4. 本部長なので、どの会社でも部長より下位である
正解と解説
正解:C. 会社法上の取締役であり、社内では営業本部長を務めていると読む

取締役が会社法上の地位、営業本部長が社内の役職。代表権の有無は名刺では分からず登記で確認する。本部長と部長の上下は会社によって異なる。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問19|役員層

一般に役員層として語られることが多い役職の組合せはどれか。

  1. 部長、次長、課長、係長
  2. 会長、社長、専務、常務
  3. 主任、担当、係員
  4. 本部長、課長、係長、主任
正解と解説
正解:B. 会長、社長、専務、常務

会長・社長・専務・常務などは役員層として語られることが多い。部長以下は従業員としての役職に位置づける会社が一般的だが、どこからを役員層とするかは会社によって異なる。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問20|権限委譲

権限委譲についての考え方として適切なものはどれか。

  1. 権限を委ねた側は、結果に対する管理責任からも完全に解放される
  2. 権限を委ねられた側は、上司に報告する必要がなくなる
  3. 権限委譲とは、上位の役職名を与えることをいう
  4. 委ねられる範囲を職務権限規程などで明確にしておく必要がある
正解と解説
正解:D. 委ねられる範囲を職務権限規程などで明確にしておく必要がある

委譲する範囲を文書で明確にしないと、決裁の空白や二重決裁が起きる。委譲しても委ねた側の管理責任は残り、委ねられた側の報告義務もなくならない。役職名を与えることとは別の話。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問21|経理と財務

経理と財務の役割分担について、一般的な説明として適切なものはどれか。

  1. 経理は取引の記録と決算、財務は資金の調達と運用を担う
  2. 経理は資金の調達、財務は伝票の起票を担う
  3. どちらもまったく同じ仕事で、名前が違うだけである
  4. 経理は社員の採用、財務は備品の管理を担う
正解と解説
正解:A. 経理は取引の記録と決算、財務は資金の調達と運用を担う

経理は日々の取引を記録して決算書をつくる仕事、財務は資金繰りや銀行対応など資金に関する仕事。採用は人事、備品は総務が担うのが一般的。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問22|契約書の相談

取引先から届いた契約書の内容を確認してもらいたい。まず相談する部署として一般的なものはどれか。

  1. 法務
  2. 総務
  3. 購買
  4. 品質保証
正解と解説
正解:A. 法務

契約書の審査は法務の担当。総務は社屋や備品などの庶務、購買は仕入先の選定と発注、品質保証は品質基準の管理を担う。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問23|稟議書とは

稟議書の説明として適切なものはどれか。

  1. 取引先に対して金額と支払の条件を提示するために出す社外文書
  2. 従業員の勤務時間と休憩の時間を日ごとに記録しておくための文書
  3. 会議を開かずに、関係者を回って承認を得るための社内文書
  4. 株主に対して事業年度ごとの決算の内容を報告するために作る文書
正解と解説
正解:C. 会議を開かずに、関係者を回って承認を得るための社内文書

稟議書は、関係部署の合議と決裁権者の決裁を書面で得るための社内文書。取引先への金額提示は見積書、勤務時間は勤怠記録、株主への決算報告は計算書類などが担う。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問24|専決と代決

専決と代決の違いの説明として適切なものはどれか。

  1. 専決は決裁権者の不在時に代わって決めること、代決は委ねられた範囲を自ら決めること
  2. どちらもまったく同じ意味で、使い分けはない
  3. 専決はあらかじめ委ねられた範囲を自ら決めること、代決は決裁権者の不在時に代わって決めること
  4. 専決は口頭による決裁、代決は書面による決裁をいう
正解と解説
正解:C. 専決はあらかじめ委ねられた範囲を自ら決めること、代決は決裁権者の不在時に代わって決めること

専決は権限をあらかじめ委ねられた者が自らの責任で決めること、代決は決裁権者が不在のときに代わって決めること。代決した案件は、後から本人に見てもらう後閲を行うのが通例。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問25|合議とは

稟議書の合議についての説明として適切なものはどれか。

  1. 決裁の後に、結果を関係者へ知らせる手続きをいう
  2. 決裁権者が二人以上いる場合の呼び名である
  3. 社外の取引先から承認をもらう手続きをいう
  4. 決裁の前に、関係する部署の意見や確認を得る手続きをいう
正解と解説
正解:D. 決裁の前に、関係する部署の意見や確認を得る手続きをいう

合議は決裁の前に関係部署の確認を得る手続き。契約なら法務、支出なら経理、システムなら情報システムというように、案件に応じて合議先が決まっている会社が多い。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問26|差し戻し

稟議が差し戻された。見直す点として優先度が低いものはどれか。

  1. 金額の根拠となる見積書があるか
  2. 他の案と比較した検討の結果が書かれているか
  3. いつまでに必要になるのかが書かれているか
  4. 文字のフォントが社内で統一されているか
正解と解説
正解:D. 文字のフォントが社内で統一されているか

差し戻しの多くは、金額の根拠・比較検討・必要な時期という判断材料の不足が原因。書式の細部より、決裁者が判断できる材料をそろえるほうが先。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問27|決裁者の不在

決裁権者である課長が出張中で稟議が止まっている。対応として適切でないものはどれか。

  1. 規程で代決が認められているかを確認する
  2. 代決してもらった案件は、戻られた後に後閲していただく
  3. 急ぐ理由と期限を添えて代理の決裁者に相談する
  4. 課長の印鑑を借りて自分で押印する
正解と解説
正解:D. 課長の印鑑を借りて自分で押印する

他人の印鑑を借りて押すのは決裁の偽装にあたる。代決の可否は規程で確認し、代決した場合は後閲を受けるのが正しい手順。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問28|総務と人事

総務と人事の分担について、一般的な説明として適切なものはどれか。

  1. 総務は社員の採用と評価を担当し、人事は備品や社屋などの管理を担当している
  2. どちらも経理の下に置かれている部門で、経理部長の指揮を受けて動いている
  3. 総務は社屋・備品・文書などの庶務、人事は採用・配置・評価・教育を担う
  4. 総務は営業活動そのものを担当する部門である
正解と解説
正解:C. 総務は社屋・備品・文書などの庶務、人事は採用・配置・評価・教育を担う

総務は会社全体の庶務、人事は人に関する仕事を担う。ただし規模の小さい会社では総務が人事や経理を兼ねることもあり、分け方は会社によって異なる。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問29|端末の不具合

業務用のパソコンが起動しなくなった。まず連絡する先として一般的なものはどれか。

  1. 品質保証・検査部門
  2. 財務
  3. 企画
  4. 情報システム
正解と解説
正解:D. 情報システム

社内システムや端末の管理は情報システムの担当。自分で分解したり、無断で私物のパソコンを業務に使ったりせず、まず担当部署に連絡する。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

問30|根回し

稟議を回す前の根回しについての考え方として適切なものはどれか。

  1. 決裁者に趣旨を伏せたまま、書類だけを回すのがよい
  2. 関係部署にあらかじめ趣旨を説明し、論点や懸念を先に把握しておく
  3. 根回しは不正な働きかけなので行ってはならない
  4. 合議先を通さずに決裁者へ直接持ち込むための手段である
正解と解説
正解:B. 関係部署にあらかじめ趣旨を説明し、論点や懸念を先に把握しておく

根回しは、書面が回る前に論点をそろえて手戻りを減らすための正当な準備。合議を飛ばすためのものでも、内容を隠すためのものでもない。

根拠:※ 公的な定めはありません。広く通用しているビジネス慣行にもとづく問題です

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※ 敬語は文化庁「敬語の指針」(平成19年文化審議会答申)に沿っています。マナーの慣行は広く一般に通用する形を紹介するもので、業界・会社により異なる場合があります。