登録販売者 REGISTERED SALES CLERK
医薬品の基本と薬害
講義 4 本・確認問題 40 問 | 本試験では「第1章 共通の基本」(20問)の一部 | 最終更新 2026-09-24
この章で学ぶこと- 医薬品が「異物」でありリスクを伴う生命関連製品であること、情報が伴って初めて役割を果たすことを押さえます。
- 用量と作用強度の関係の並び順と、GLP・GCP・GPSP・GVPがそれぞれ何の基準かを整理します。
- 保健機能食品3種類の違いと、セルフメディケーション税制の対象がいつ広がったかを押さえます。
- 5つの訴訟について、原因医薬品・健康被害・提訴と和解の経過・その後にできた仕組みを対応づけて覚えます。
1. 医薬品の本質
医薬品が「異物」でありリスクを伴う生命関連製品であること、情報が伴って初めて役割を果たすことを押さえます。
手引きでは、医薬品は多くの場合、人体に取り込まれて作用し、効果を発現させるものであるとされている。しかし本来、医薬品も人体にとっては異物(外来物)であり、また医薬品が人体に及ぼす作用は複雑かつ多岐に渡り、そのすべては解明されていないため、必ずしも期待される有益な効果(薬効)のみをもたらすとは限らず、好ましくない反応(副作用)を生じる場合もあるとされている。
人体に対して使用されない医薬品についても、人の健康に影響を与えるものがあるとされている。手引きは例として、殺虫剤の中には誤って人体がそれに曝されれば健康を害するおそれがあるものもあること、検査薬は検査結果について正しい解釈や判断がなされなければ医療機関を受診して適切な治療を受ける機会を失うおそれがあることを挙げている。
医薬品は、人の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人の身体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とする生命関連製品であり、その有用性が認められたものであるが、使用には保健衛生上のリスクを伴う。このことは、医療用医薬品と比較すればリスクは相対的に低いと考えられる一般用医薬品であっても同様であり、科学的な根拠に基づく適切な理解や判断によって適正な使用が図られる必要があるとされている。
医薬品は、効能効果、用法用量、副作用等の必要な情報が適切に伝達されることを通じて、購入者等が適切に使用することにより、初めてその役割を十分に発揮するものであり、そうした情報を伴わなければ、単なる薬物(有効成分を含有する化学物質)に過ぎないとされている。このため一般用医薬品には、製品に添付されている文書(添付文書)や製品表示に必要な情報が記載されている。
一般用医薬品は一般の生活者が自ら選択し、使用するものであるが、一般の生活者においては、添付文書や製品表示に記載された内容を見ただけでは、効能効果や副作用等について誤解や認識不足を生じることもある。そのため、その販売に専門家が関与し、専門用語を分かりやすい表現で伝えるなどの適切な情報提供を行い、また、購入者等が知りたい情報を十分に得ることができるように相談に対応することが不可欠であるとされている。
医薬品は市販後にも、医学・薬学等の新たな知見、使用成績等に基づき、その有効性、安全性等の確認が行われる仕組みになっている。それらの結果を踏まえ、リスク区分の見直し、承認基準の見直し等がなされ、販売時の取扱い、製品の成分分量、効能効果、用法用量、使用上の注意等が変更となった場合には、それが添付文書や製品表示の記載に反映される。一般用医薬品の販売に従事する専門家は、常に新しい情報の把握に努める必要があるとされている。
医薬品は人の生命や健康に密接に関連するものであるため、高い水準で均一な品質が保証されていなければならない。医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。手引きでは「法」という。)では、健康被害の発生の可能性の有無にかかわらず、異物等の混入、変質等がある医薬品を販売等してはならない旨を定めている。なおこの法律の名称は、薬事法等の一部を改正する法律(平成25年11月27日公布、平成26年11月25日施行)により「薬事法」から改められたものである。
一般用医薬品として販売される製品は、製造物責任法(平成6年法律第85号。手引きでは「PL法」という。)の対象でもある。PL法は、製造物の欠陥により、人の生命、身体、財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めており、販売した一般用医薬品に明らかな欠陥があった場合などは、PL法の対象となりえることも理解しておく必要があるとされている。
医薬品の本質に関わる手引きの主な記述| 論点 | 手引きの記述 |
|---|
| 医薬品と人体 | 本来、人体にとっては異物(外来物)である |
| 作用の解明 | 作用は複雑かつ多岐に渡り、そのすべては解明されていない |
| 人体に使用しない医薬品 | 殺虫剤・検査薬など人の健康に影響を与えるものがある |
| 一般用医薬品のリスク | 医療用医薬品と比較すればリスクは相対的に低いが、保健衛生上のリスクは伴う |
| 情報がない場合 | 単なる薬物(有効成分を含有する化学物質)に過ぎない |
| 品質 | 高い水準で均一な品質が保証されていなければならない |
| 異物混入等 | 健康被害の発生の可能性の有無にかかわらず販売等してはならない(法) |
| 製造物責任 | 一般用医薬品として販売される製品はPL法の対象でもある |
用語
- 異物(外来物)
- 手引きでは、医薬品も人体にとっては異物(外来物)であるとされている。作用が複雑かつ多岐に渡りそのすべては解明されていないため、有益な効果だけでなく副作用を生じる場合もあることの前提となる考え方である。
- 生命関連製品
- 人の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人の身体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とする製品。有用性が認められたものであるが、使用には保健衛生上のリスクを伴うと手引きは述べている。
- 単なる薬物
- 必要な情報を伴わない医薬品を指して手引きが用いる表現。医薬品は情報が適切に伝達され、購入者等が適切に使用して初めて役割を発揮し、情報がなければ有効成分を含有する化学物質に過ぎないとされる。
- 添付文書
- 製品に添付されている文書。効能効果、用法用量、副作用等の必要な情報が記載される。市販後の知見によりリスク区分や承認基準等が見直され記載事項が変更された場合は、その内容が反映される。
- 医薬品医療機器等法
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)の略称。薬事法等の一部を改正する法律(平成25年11月27日公布、平成26年11月25日施行)により「薬事法」から改称された。
- PL法
- 製造物責任法(平成6年法律第85号)。製造物の欠陥により人の生命、身体、財産に係る被害が生じた場合の製造業者等の損害賠償責任を定める。一般用医薬品として販売される製品もその対象である。
例題
例題:必要な情報が伴わない医薬品を、手引きは何と表現しているか。
答えと考え方 「単なる薬物(有効成分を含有する化学物質)に過ぎない」と表現している。医薬品は情報が適切に伝達され、購入者等が適切に使用することで初めて役割を十分に発揮するとされる。
例題:異物等の混入や変質がある医薬品の販売等について、法はどう定めているか。
答えと考え方 健康被害の発生の可能性の有無にかかわらず、販売等してはならない旨を定めている。「健康被害が起きなければよい」ではない点が問われやすい。
出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
2. 医薬品のリスク評価
用量と作用強度の関係の並び順と、GLP・GCP・GPSP・GVPがそれぞれ何の基準かを整理します。
手引きでは、医薬品は使用方法を誤ると健康被害を生じることがあり、医薬品の効果とリスクは、用量と作用強度の関係(用量-反応関係)に基づいて評価されるとされている。
投与量と効果又は毒性の関係は、薬物用量の増加に伴い、効果の発現が検出されない「無作用量」から、最小有効量を経て「治療量」に至る。治療量上限を超えると、やがて効果よりも有害反応が強く発現する「中毒量」となり、「最小致死量」を経て「致死量」に至るとされている。この並び順はそのまま問われるので確実に覚えたい。
動物実験により求められる50%致死量(LD50)は、薬物の毒性の指標として用いられるとされている。
治療量を超えた量を単回投与した後に毒性が発現するおそれが高いことは当然であるが、少量の投与でも長期投与されれば慢性的な毒性が発現する場合もある。また、少量の医薬品の投与でも発がん作用、胎児毒性や組織・臓器の機能不全を生じる場合もあるとされている。
こうした考えから、新規に開発される医薬品のリスク評価は、医薬品開発の国際的な標準化(ハーモナイゼーション)制定の流れのなかで、個々の医薬品の用量-反応関係に基づいて行われる。医薬品の安全性に関する非臨床試験の基準であるGood Laboratory Practice(GLP)の他に、医薬品毒性試験法ガイドラインに沿って、単回投与毒性試験、反復投与毒性試験、生殖・発生毒性試験、遺伝毒性試験、がん原性試験、依存性試験、抗原性試験、局所刺激性試験、皮膚感作性試験、皮膚光感作性試験などの毒性試験が厳格に実施されている。
動物実験で医薬品の安全性が確認されると、ヒトを対象とした臨床試験が行われる。ヒトを対象とした臨床試験の実施の基準には、国際的にGood Clinical Practice(GCP)が制定されており、これに準拠した手順で安全な治療量を設定することが、新規医薬品の開発に関連する臨床試験(治験)の目標の一つであるとされている。
さらに医薬品に対しては、製造販売後の調査及び試験の実施の基準としてGood Post-marketing Study Practice(GPSP)と、製造販売後安全管理の基準としてGood Vigilance Practice(GVP)が制定されている。手引きは、このように医薬品については、食品などよりもはるかに厳しい安全性基準が要求されていると述べている。
用量と作用の関係(薬物用量が増える順)と各基準| 区分 | 内容 |
|---|
| ①無作用量 | 効果の発現が検出されない量 |
| ②最小有効量 | 無作用量から治療量に至る途中に位置する量 |
| ③治療量 | 最小有効量を経て至る量 |
| ④中毒量 | 治療量上限を超えると、やがて効果よりも有害反応が強く発現する量 |
| ⑤最小致死量 | 中毒量を経て致死量に至る途中に位置する量 |
| ⑥致死量 | 最小致死量を経て至る量 |
| LD50 | 動物実験により求められる50%致死量。薬物の毒性の指標 |
| GLP | 医薬品の安全性に関する非臨床試験の基準 |
| GCP | ヒトを対象とした臨床試験の実施の基準 |
| GPSP | 製造販売後の調査及び試験の実施の基準 |
| GVP | 製造販売後安全管理の基準 |
順序と基準の対応(暗記用)
無作用量 → 最小有効量 → 治療量 →(治療量上限)→ 中毒量 → 最小致死量 → 致死量非臨床(動物): GLP / 臨床(ヒト・治験): GCP製造販売後の調査及び試験: GPSP / 製造販売後安全管理: GVP
用語
- 用量-反応関係
- 用量と作用強度の関係。手引きでは、医薬品の効果とリスクはこの関係に基づいて評価されるとされ、新規に開発される医薬品のリスク評価も個々の医薬品の用量-反応関係に基づいて行われる。
- 無作用量
- 薬物用量の増加に伴う変化のうち、効果の発現が検出されない用量。ここから最小有効量を経て治療量に至るとされ、用量と作用の関係の出発点にあたる。
- 中毒量
- 治療量上限を超えると到達する、やがて効果よりも有害反応が強く発現する量。中毒量の次に最小致死量、さらに致死量が続くと手引きは述べている。
- LD50
- 動物実験により求められる50%致死量。薬物の毒性の指標として用いられるとされている。有効性の指標ではなく毒性の指標である点が問われやすい。
- GLP
- Good Laboratory Practice。医薬品の安全性に関する非臨床試験の基準。ヒトを対象とした試験の基準ではない点に注意する。
- GCP
- Good Clinical Practice。ヒトを対象とした臨床試験の実施の基準として国際的に制定されたもの。これに準拠した手順で安全な治療量を設定することが治験の目標の一つとされる。
- GPSP
- Good Post-marketing Study Practice。製造販売後の調査及び試験の実施の基準。製造販売「後」の基準である点でGLP・GCPと区別する。
- GVP
- Good Vigilance Practice。製造販売後安全管理の基準。GPSPが製造販売後の調査及び試験の基準であるのに対し、こちらは安全管理の基準である。
- ハーモナイゼーション
- 医薬品開発の国際的な標準化。手引きでは、新規に開発される医薬品のリスク評価がこの制定の流れのなかで、個々の医薬品の用量-反応関係に基づいて行われるとされている。
例題
例題:治療量上限を超えると、次に現れるのはどの量か。
答えと考え方 中毒量である。手引きでは、治療量上限を超えると、やがて効果よりも有害反応が強く発現する「中毒量」となり、「最小致死量」を経て「致死量」に至るとされている。
例題:ヒトを対象とした臨床試験の実施の基準は何か。
答えと考え方 GCP(Good Clinical Practice)である。GLPは医薬品の安全性に関する非臨床試験の基準であり、ヒトを対象とした試験の基準ではない。
出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
3. 健康食品とセルフメディケーション
保健機能食品3種類の違いと、セルフメディケーション税制の対象がいつ広がったかを押さえます。
手引きでは、「薬(医)食同源」という言葉があるように、古くから特定の食品摂取と健康増進の関連は関心を持たれてきたとされている。特に近年では、食品やその成分についての健康増進効果の情報がメディア等を通して大量に発信され、消費者の関心も高い。
健康増進や維持の助けになることが期待されるいわゆる「健康食品」は、あくまで食品であり、医薬品とは法律上区別される。しかしながら、健康食品の中でも国が示す要件を満たす食品「保健機能食品」は、一定の基準のもと健康増進の効果等を表示することができる健康食品であるとされている。保健機能食品には現在、特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品の3種類がある。
「特定保健用食品」は、身体の生理機能などに影響を与える保健機能成分を含むもので、個別に(一部は規格基準に従って)特定の保健機能を示す効果や安全性などに関する国の審査を受け、許可されたものであるとされている。
「栄養機能食品」は、食生活において栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)の補給を目的として摂取する者に対し、その栄養成分の機能の表示をする食品であり、個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度であるとされている。
「機能性表示食品」は、事業者の責任で科学的根拠をもとに機能性関与成分が有する健康維持及び増進に役立つ機能を商品のパッケージに表示するものとして国に届出された商品であるが、特定保健用食品とは異なり国の個別の許可を受けたものではないとされている。
いわゆる健康食品は、その多くが摂取しやすいように錠剤やカプセル等の医薬品に類似した形状で販売されている。健康食品においても、誤った使用方法や個々の体質により健康被害を生じた例も報告されており、また、医薬品との相互作用で薬物治療の妨げになることもある。健康食品は食品であるため、摂取しても安全で害が無いかのようなイメージを強調したものも見られるが、法的にも、また安全性や効果を担保する科学的データの面でも医薬品とは異なることを十分理解しておく必要があるとされている。手引きは、一般用医薬品の販売時にも健康食品の摂取の有無について確認することは重要で、購入者等の健康に関する意識を尊重しつつも、必要があればそれらの摂取についての指導も行うべきであるとしている。
セルフメディケーションの推進は、医療費の増加やその国民負担の増大を解決し健康寿命を伸ばすという課題を解決する重要な活動のひとつであり、地域住民の健康相談を受け、一般用医薬品の販売や必要な時は医療機関の受診を勧める業務は、その推進に欠かせないとされている。登録販売者は、一般用医薬品等に関する正確で最新の知識を常に修得するよう心がけるとともに、薬剤師や医師、看護師など地域医療を支える医療スタッフあるいは行政などとも連携をとって、地域住民の健康維持・増進、生活の質(QOL)の改善・向上などに携わることが望まれる。医薬品の販売等に従事する専門家はその中でも重要な情報提供者であり、薬物療法の指導者となることを常に意識して活動することが求められる。
また、平成29年1月からは、適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、条件を満たした場合にスイッチOTC医薬品の購入の対価について、一定の金額をその年分の総所得金額等から控除するセルフメディケーション税制が導入された。令和4年1月より、スイッチOTC医薬品以外にも腰痛や肩こり、風邪やアレルギーの諸症状に対応する一般用医薬品が税制の対象となっている。令和9年1月より、消化器官用薬や一般用検査薬も税制の対象となるとされている。
保健機能食品3種類の比較(手引きの記述による)| 区分 | 内容の表示 | 国の関与 |
|---|
| 特定保健用食品 | 特定の保健機能を示す効果(身体の生理機能などに影響を与える保健機能成分を含む) | 個別に(一部は規格基準に従って)効果や安全性などに関する国の審査を受け、許可されたもの |
| 栄養機能食品 | 栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)の機能の表示 | 個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度 |
| 機能性表示食品 | 機能性関与成分が有する健康維持及び増進に役立つ機能を商品のパッケージに表示 | 国に届出された商品であるが、国の個別の許可を受けたものではない |
| いわゆる健康食品 | 健康増進や維持の助けになることが期待される(保健機能食品以外) | あくまで食品であり、医薬品とは法律上区別される |
用語
- 保健機能食品
- 健康食品の中でも国が示す要件を満たす食品。一定の基準のもと健康増進の効果等を表示することができる健康食品であり、特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品の3種類がある。
- 特定保健用食品
- 身体の生理機能などに影響を与える保健機能成分を含むもので、個別に(一部は規格基準に従って)特定の保健機能を示す効果や安全性などに関する国の審査を受け、許可されたもの。
- 栄養機能食品
- 食生活において栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)の補給を目的として摂取する者に対し、その栄養成分の機能の表示をする食品。個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度である。
- 機能性表示食品
- 事業者の責任で科学的根拠をもとに機能性関与成分が有する健康維持及び増進に役立つ機能を商品のパッケージに表示するものとして国に届出された商品。特定保健用食品とは異なり国の個別の許可を受けたものではない。
- いわゆる健康食品
- 健康増進や維持の助けになることが期待される食品で、あくまで食品であり医薬品とは法律上区別される。その多くが摂取しやすいように錠剤やカプセル等の医薬品に類似した形状で販売されている。
- セルフメディケーション税制
- 平成29年1月から導入された、条件を満たした場合にスイッチOTC医薬品の購入の対価について一定の金額をその年分の総所得金額等から控除する制度。令和4年1月より対象が拡大された。
例題
例題:栄養機能食品と機能性表示食品の、国の関与のちがいは。
答えと考え方 栄養機能食品は個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度であり、機能性表示食品は国に届出された商品であるが特定保健用食品とは異なり国の個別の許可を受けたものではない、と手引きは述べている。
例題:セルフメディケーション税制の対象は令和4年1月にどう変わったか。
答えと考え方 スイッチOTC医薬品以外にも、腰痛や肩こり、風邪やアレルギーの諸症状に対応する一般用医薬品が税制の対象となった。さらに令和9年1月より消化器官用薬や一般用検査薬も対象となるとされている。
出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
4. 薬害の歴史
5つの訴訟について、原因医薬品・健康被害・提訴と和解の経過・その後にできた仕組みを対応づけて覚えます。
手引きでは、医薬品は人体にとって本来異物であり、治療上の効能・効果とともに何らかの有害な作用(副作用)等が生じることは避けがたいものであるとされている。副作用は、眠気、口渇等の比較的よく見られるものから、死亡や日常生活に支障を来すほどの重大なものまでその程度は様々であり、それまでの使用経験を通じて知られているもののみならず、科学的に解明されていない未知のものが生じる場合もある。医薬品の副作用被害は、医薬品が十分注意して使用されたとしても起こり得るものであり、医薬品が「両刃の剣」であることを踏まえ、関係者が医薬品の安全性の確保に最善の努力を重ねていくことが重要であるとされている。
サリドマイド訴訟は、催眠鎮静剤等として販売されたサリドマイド製剤を妊婦又は妊娠していると思われる女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生したことに対する損害賠償訴訟である。1963年6月に製薬企業を被告として、さらに翌年12月には国及び製薬企業を被告として提訴され、1974年10月に和解が成立した。サリドマイドは催眠鎮静成分として承認され、その鎮静作用を目的として胃腸薬にも配合されたが、副作用として血管新生を妨げる作用もあった。サリドマイドは血液-胎盤関門を通過して胎児に移行し、血管新生が妨げられると細胞分裂が正常に行われず器官が十分に成長しないことから、四肢欠損、視聴覚等の感覚器や心肺機能の障害等の先天異常が発生する。
血管新生を妨げる作用は、サリドマイドの鏡像異性体(光学異性体)のうち一方の異性体(S体)のみが有する作用であり、もう一方の異性体(R体)にはなく、また鎮静作用はR体のみが有するとされている。サリドマイドが摂取されるとR体とS体は体内で相互に転換するため、R体のサリドマイドを分離して製剤化しても催奇形性は避けられない。サリドマイド製剤は1957年に西ドイツ(当時)で販売が開始され、日本では1958年1月から販売されていた。1961年11月、西ドイツのレンツ博士が催奇形性について警告を発し西ドイツでは製品が回収されたが、日本では同年12月に西ドイツ企業から勧告が届き、翌年になってからもその企業から警告が発せられていたにもかかわらず、出荷停止は1962年5月まで行われず、販売停止及び回収措置は同年9月であるなど、対応の遅さが問題視された。この事件を契機に、WHO加盟国を中心に市販後の副作用情報の収集の重要性が改めて認識され、各国における副作用情報の収集体制の整備が図られることとなった。
スモン訴訟は、整腸剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症(英名の頭文字をとってスモンと呼ばれる)に罹患したことに対する損害賠償訴訟である。スモンはその症状として、初期には腹部の膨満感から激しい腹痛を伴う下痢を生じ、次第に下半身の痺れや脱力、歩行困難等が現れる。麻痺は上半身にも拡がる場合があり、ときに視覚障害から失明に至ることもある。キノホルム製剤は1924年から整腸剤として販売されていたが、1958年頃から消化器症状を伴う特異な神経症状が報告されるようになり、米国では1960年にアメーバ赤痢への使用に限ることが勧告された。日本では1970年8月になってスモンの原因はキノホルムであるとの説が発表され、同年9月に販売が停止された。1971年5月に国及び製薬企業を被告として提訴され、1977年10月に東京地裁において和解が成立して以来、各地の地裁及び高裁において和解が勧められ、1979年9月に全面和解が成立した。スモン患者に対する施策や救済制度として、治療研究施設の整備、治療法の開発調査研究の推進、施術費及び医療費の自己負担分の公費負担、世帯更生資金貸付による生活資金の貸付のほか、重症患者に対する介護事業が講じられている。サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として、1980年、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため、医薬品副作用被害救済制度が創設された。
HIV訴訟は、血友病患者が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤の投与を受けたことにより、HIVに感染したことに対する損害賠償訴訟である。国及び製薬企業を被告として、1989年5月に大阪地裁、同年10月に東京地裁で提訴された。大阪地裁、東京地裁は1995年10月、1996年3月にそれぞれ和解勧告を行い、1996年3月に両地裁で和解が成立した。本訴訟の和解を踏まえ、国はHIV感染者に対する恒久対策として、エイズ治療・研究開発センター及び拠点病院の整備や治療薬の早期提供等の様々な取り組みを推進してきている。また、1999年8月24日には、厚生大臣が出席し関係患者団体等を招いて「誓いの碑」の竣工式が行われた。再発防止に向けた取り組みとして、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(当時)との連携による承認審査体制の充実、製薬企業に対し従来の副作用報告に加えて感染症報告の義務づけ、緊急に必要とされる医薬品を迅速に供給するための「緊急輸入」制度の創設等を内容とする改正薬事法が1996年に成立し、翌年4月に施行された。
CJD訴訟は、脳外科手術等に用いられていたヒト乾燥硬膜を介してクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に罹患したことに対する損害賠償訴訟である。CJDは、細菌でもウイルスでもないタンパク質の一種であるプリオンが原因とされ、プリオンが脳の組織に感染し、次第に認知症に類似した症状が現れ、死に至る重篤な神経難病である。ヒト乾燥硬膜の原料が採取された段階でプリオンに汚染されている場合があり、プリオン不活化のための十分な化学的処理が行われないまま製品として流通し、脳外科手術で移植された患者にCJDが発生した。国、輸入販売業者及び製造業者を被告として、1996年11月に大津地裁、1997年9月に東京地裁で提訴され、両地裁は2001年11月に和解勧告を行い、2002年3月に両地裁で和解が成立した。2002年に行われた薬事法改正に伴い、生物由来製品の安全対策強化、独立行政法人医薬品医療機器総合機構による生物由来製品による感染等被害救済制度の創設等がなされた。
C型肝炎訴訟は、出産や手術の際に特定のフィブリノゲン製剤や血液凝固第Ⅸ因子製剤の投与を受けたことにより、C型肝炎ウイルスに感染したことに対する損害賠償訴訟である。国及び製薬企業を被告として、2002年から2007年にかけて5つの地裁で提訴されたが、2006年から2007年にかけて言い渡された5つの判決は、国及び製薬企業が責任を負うべき期間等について判断が分かれていた。このような中、C型肝炎ウイルス感染者の早期・一律救済の要請にこたえるべく、議員立法によってその解決を図るため、2008年1月に特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法(平成20年法律第2号)が制定、施行された。また、「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」(平成22年4月28日)を受け、医師、薬剤師、法律家、薬害被害者などの委員により構成される医薬品等行政評価・監視委員会が設置された。
手引きは、サリドマイド製剤、キノホルム製剤については過去に一般用医薬品として販売されていたこともあり、一般用医薬品の販売等に従事する専門家においては、薬害事件の歴史を十分に理解し、医薬品の副作用等による健康被害の拡大防止に関して、製薬企業や国だけでなく、医薬品の情報提供、副作用報告等を通じてその責務の一端を担っていることを肝に銘じておく必要があるとしている。
5つの訴訟の整理(原因医薬品・健康被害・提訴と和解の経過・その後にできた仕組み)| 訴訟 | 原因医薬品 | 健康被害 | 提訴・和解の経過 | その後にできた仕組み |
|---|
| サリドマイド訴訟 | 催眠鎮静剤等として販売されたサリドマイド製剤(鎮静作用を目的に胃腸薬にも配合) | 出生児の四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症) | 1963年6月に製薬企業を被告として提訴、翌年12月に国及び製薬企業を被告として提訴、1974年10月に和解成立 | WHO加盟国を中心に市販後の副作用情報の収集体制の整備。スモン訴訟とあわせ1980年に医薬品副作用被害救済制度が創設 |
| スモン訴訟 | 整腸剤として販売されていたキノホルム製剤 | 亜急性脊髄視神経症(スモン)。腹部膨満感から激しい腹痛を伴う下痢、下半身の痺れや脱力、歩行困難、ときに視覚障害から失明 | 1971年5月に国及び製薬企業を被告として提訴、1977年10月に東京地裁で和解成立、1979年9月に全面和解 | 治療研究施設の整備、施術費及び医療費の自己負担分の公費負担、世帯更生資金貸付、重症患者に対する介護事業。1980年に医薬品副作用被害救済制度が創設 |
| HIV訴訟 | HIVが混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤 | 血友病患者のHIV感染 | 国及び製薬企業を被告として1989年5月に大阪地裁、同年10月に東京地裁で提訴。1995年10月・1996年3月に和解勧告、1996年3月に両地裁で和解成立 | 改正薬事法が1996年成立・翌年4月施行(感染症報告の義務づけ、「緊急輸入」制度の創設等)。エイズ治療・研究開発センター及び拠点病院の整備。1999年8月24日「誓いの碑」竣工式 |
| CJD訴訟 | 脳外科手術等に用いられていたヒト乾燥硬膜 | クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)。プリオンが原因で認知症に類似した症状が現れ死に至る | 国、輸入販売業者及び製造業者を被告として1996年11月に大津地裁、1997年9月に東京地裁で提訴。2001年11月に和解勧告、2002年3月に両地裁で和解成立 | 2002年の薬事法改正に伴う生物由来製品の安全対策強化、独立行政法人医薬品医療機器総合機構による生物由来製品による感染等被害救済制度の創設 |
| C型肝炎訴訟 | 出産や手術の際に投与された特定のフィブリノゲン製剤や血液凝固第Ⅸ因子製剤 | C型肝炎ウイルスへの感染 | 国及び製薬企業を被告として2002年から2007年にかけて5つの地裁で提訴。2006年から2007年の5つの判決は判断が分かれた | 2008年1月に給付金の支給に関する特別措置法(平成20年法律第2号)が制定・施行。医薬品等行政評価・監視委員会の設置 |
用語
- サリドマイド胎芽症
- 催眠鎮静剤等として販売されたサリドマイド製剤を妊婦又は妊娠していると思われる女性が使用したことにより、出生児に生じた四肢欠損、耳の障害等の先天異常。血管新生が妨げられることによる。
- 血液-胎盤関門
- サリドマイドはこれを通過して胎児に移行するとされている。胎児は成長の過程で諸器官の形成のため細胞分裂が活発に行われるが、血管新生が妨げられると細胞分裂が正常に行われない。
- S体とR体
- サリドマイドの鏡像異性体(光学異性体)。血管新生を妨げる作用はS体のみが有し、鎮静作用はR体のみが有する。体内で相互に転換するため、R体を分離して製剤化しても催奇形性は避けられない。
- スモン(亜急性脊髄視神経症)
- 整腸剤として販売されていたキノホルム製剤による健康被害。初期には腹部の膨満感から激しい腹痛を伴う下痢を生じ、次第に下半身の痺れや脱力、歩行困難等が現れ、ときに視覚障害から失明に至ることもある。
- 医薬品副作用被害救済制度
- サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため、1980年に創設された制度。
- プリオン
- 細菌でもウイルスでもないタンパク質の一種で、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の原因とされる。脳の組織に感染し、次第に認知症に類似した症状が現れ、死に至る重篤な神経難病を引き起こす。
- 「誓いの碑」
- HIV訴訟を踏まえ、1999年8月24日に厚生大臣が出席し関係患者団体等を招いて竣工式が行われた碑。サリドマイド、スモン、HIV感染のような被害を再び発生させないことを銘記している。
- 医薬品等行政評価・監視委員会
- 「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」(平成22年4月28日)を受けて設置された、医師、薬剤師、法律家、薬害被害者などの委員により構成される委員会。
例題
例題:サリドマイド製剤の販売開始と、日本での出荷停止・回収の時期は。
答えと考え方 1957年に西ドイツ(当時)で販売開始、日本では1958年1月から販売。1961年11月にレンツ博士が警告し西ドイツでは回収されたが、日本の出荷停止は1962年5月、販売停止及び回収措置は同年9月であった。
例題:医薬品副作用被害救済制度は、どの訴訟を契機に何年に創設されたか。
答えと考え方 サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として、1980年に創設された。生物由来製品による感染等被害救済制度(CJD訴訟を踏まえ2002年)と混同しないこと。
出典・根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
確認問題(40問)
四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。
問1|医薬品の本質
医薬品の本質に関する記述として、正しいものはどれか。
- 医薬品も人体にとっては異物(外来物)であり、人体に及ぼす作用は複雑かつ多岐に渡り、そのすべては解明されていない。
- 医薬品が人体に及ぼす作用は単純であり、現代ではそのすべてが解明されている。
- 医薬品は人体にとって異物ではないため、好ましくない反応(副作用)を生じることはない。
- 一般用医薬品は医療用医薬品よりリスクが相対的に低いため、保健衛生上のリスクを伴うことはない。
正解と解説
正解:A. 医薬品も人体にとっては異物(外来物)であり、人体に及ぼす作用は複雑かつ多岐に渡り、そのすべては解明されていない。手引きでは、本来、医薬品も人体にとっては異物(外来物)であり、その作用は複雑かつ多岐に渡りすべては解明されていないため、必ずしも有益な効果(薬効)のみをもたらすとは限らず副作用を生じる場合もあるとされている。よって作用が単純で解明済みとする記述、異物ではないとする記述は誤り。また一般用医薬品もリスクは相対的に低いだけで保健衛生上のリスクを伴う。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問2|人体に非使用
人体に対して使用されない医薬品に関する記述として、正しいものはどれか。
- 人体に対して使用されない医薬品は、人の健康に影響を与えることはない。
- 殺虫剤の中には、誤って人体がそれに曝されれば健康を害するおそれがあるものもある。
- 検査薬は、検査結果の解釈や判断を誤っても、医療機関を受診する機会に影響することはない。
- 殺虫剤や検査薬は人の身体に直接使用されず生命関連製品に当たらないため、手引きでは扱われていない。
正解と解説
正解:B. 殺虫剤の中には、誤って人体がそれに曝されれば健康を害するおそれがあるものもある。手引きは、人体に対して使用されない医薬品についても人の健康に影響を与えるものがあるとし、例として殺虫剤(誤って人体が曝されれば健康を害するおそれ)と検査薬(正しい解釈や判断がなされなければ受診して適切な治療を受ける機会を失うおそれ)を挙げている。よって影響がないとする記述、受診機会に影響しないとする記述、手引きで扱われていないとする記述はいずれも誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問3|情報と役割
医薬品と情報の関係に関する記述として、正しいものはどれか。
- 医薬品は、効能効果や用法用量、副作用等の情報が伴わない状態であっても、有効成分を含有してさえいれば、単なる薬物ではなく、それだけで十分にその役割を発揮する。
- 医薬品は、効能効果、用法用量、副作用等の必要な情報が適切に伝達されることを通じて購入者等が適切に使用することにより、初めてその役割を十分に発揮する。
- 一般用医薬品は購入者が自らの判断で選択するものであるから、効能効果や用法用量、副作用等の情報を添付文書や製品表示に記載することは、法令上まったく求められていない。
- 手引きでは、必要な情報が伴わない医薬品のことを「保健機能食品」と表現し、健康食品と同じ枠組みで取り扱うこととしている。
正解と解説
正解:B. 医薬品は、効能効果、用法用量、副作用等の必要な情報が適切に伝達されることを通じて購入者等が適切に使用することにより、初めてその役割を十分に発揮する。手引きでは、医薬品は必要な情報が適切に伝達されることを通じて購入者等が適切に使用することにより初めてその役割を十分に発揮し、そうした情報を伴わなければ「単なる薬物(有効成分を含有する化学物質)に過ぎない」とされている。このため一般用医薬品には添付文書や製品表示に必要な情報が記載されている。保健機能食品は健康食品に関する用語であり、この文脈の表現ではない。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問4|専門家の関与
一般用医薬品の販売における専門家の関与に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 一般の生活者は、添付文書や製品表示に記載された内容を見ただけでは、効能効果や副作用等について誤解や認識不足を生じることもある。
- 購入者等が一般用医薬品を適切に選択し適正に使用するためには、その販売に専門家が関与することが不可欠である。
- 専門家は、専門用語を分かりやすい表現で伝えるなどの適切な情報提供を行う必要がある。
- 一般用医薬品は一般の生活者が自ら選択し使用するものであるから、購入者等からの相談に対応する必要はない。
正解と解説
正解:D. 一般用医薬品は一般の生活者が自ら選択し使用するものであるから、購入者等からの相談に対応する必要はない。手引きは、購入者等が知りたい情報を十分に得ることができるように相談に対応することが不可欠であるとしており、相談対応が不要とする記述は誤り。他の3つはいずれも手引きの記述どおりで、一般の生活者に誤解や認識不足が生じうること、専門家の関与が不可欠であること、専門用語を分かりやすい表現で伝えることが求められている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問5|市販後の確認
医薬品の市販後の取扱いに関する記述として、正しいものはどれか。
- 医薬品の有効性、安全性等に関する情報は、承認された時点ですべて確定するものであり、その後に知見が積み重ねられ使用成績が集積されても、新たな情報が付加されることはない。
- 市販後にも使用成績等に基づく有効性・安全性の確認は行われるが、その結果によってリスク区分が変更されたり、承認基準が見直されたりすることはない。
- 知見の積み重ねや使用成績の結果等によって情報が集積され、随時新たな情報が付加されるため、販売に従事する専門家は常に新しい情報の把握に努める必要がある。
- 使用上の注意等が変更となった場合でも、その内容は製造販売業者への通知にとどまるものであり、添付文書や製品表示の記載に反映されることはないこととされている。
正解と解説
正解:C. 知見の積み重ねや使用成績の結果等によって情報が集積され、随時新たな情報が付加されるため、販売に従事する専門家は常に新しい情報の把握に努める必要がある。手引きでは、医薬品は市販後にも新たな知見や使用成績等に基づき有効性、安全性等の確認が行われ、その結果を踏まえてリスク区分の見直しや承認基準の見直し等がなされ、変更内容は添付文書や製品表示の記載に反映されるとされている。情報は随時付加されるものであり、専門家は常に新しい情報の把握に努める必要があるとされるため、他の3つは誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問6|品質と混入
医薬品の品質に関する記述として、正しいものはどれか。
- 医薬品は人の生命や健康に密接に関連するものであるため、高い水準で均一な品質が保証されていなければならない。
- 異物等の混入、変質等がある医薬品であっても、健康被害の発生の可能性がなければ販売することができる。
- 製品回収は製造販売業者だけの問題であり、販売等を行う者が製造販売業者等からの情報に留意する必要はない。
- 医薬品の品質については、法律上の定めは置かれていない。
正解と解説
正解:A. 医薬品は人の生命や健康に密接に関連するものであるため、高い水準で均一な品質が保証されていなければならない。手引きでは、医薬品は高い水準で均一な品質が保証されていなければならないとされ、法は健康被害の発生の可能性の有無にかかわらず、異物等の混入、変質等がある医薬品を販売等してはならない旨を定めている。また、製造販売業者による製品回収等の措置がなされることもあるため、販売等を行う者も製造販売業者等からの情報に日頃から留意することが重要とされている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問7|法の名称
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に関する記述として、正しいものはどれか。
- 平成6年法律第85号として制定された法律であり、製造物の欠陥により生じた損害についての賠償責任について定めているものである。
- 昭和35年法律第145号であり、薬事法等の一部を改正する法律により、法律の名称が「薬事法」から改められたものである。
- 手引きではこの法律を「PL法」と略しており、製造物責任法とは別に平成6年法律第85号として制定されたものとしている。
- この法律の名称が「薬事法」から改められたのは、スイッチOTC医薬品を対象とするセルフメディケーション税制が導入された平成29年1月である。
正解と解説
正解:B. 昭和35年法律第145号であり、薬事法等の一部を改正する法律により、法律の名称が「薬事法」から改められたものである。手引きでは同法は昭和35年法律第145号とされ、薬事法等の一部を改正する法律(平成25年11月27日公布、平成26年11月25日施行)により名称が「薬事法」から改められたと注記されている。平成6年法律第85号は製造物責任法の法律番号で、「PL法」はその略称。平成29年1月はセルフメディケーション税制が導入された時期であり、いずれも取り違えを誘う選択肢である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問8|PL法
製造物責任法(PL法)に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 一般用医薬品として販売される製品は、PL法の対象でもある。
- PL法は、製造物の欠陥により、人の生命、身体、財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めている。
- 販売した一般用医薬品に明らかな欠陥があった場合などは、PL法の対象となりえる。
- PL法は昭和35年法律第145号であり、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保等を目的とする法律である。
正解と解説
正解:D. PL法は昭和35年法律第145号であり、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保等を目的とする法律である。PL法は平成6年法律第85号であり、昭和35年法律第145号は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)である。よって選択肢4が誤り。他の3つは手引きの記述どおりで、一般用医薬品として販売される製品はPL法の対象でもあり、明らかな欠陥があった場合などは対象となりえる。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問9|リスク評価
医薬品のリスク評価に関する記述として、正しいものはどれか。
- 医薬品の効果とリスクは、用量と作用強度の関係(用量-反応関係)に基づいて評価される。
- 医薬品の効果とリスクは、投与期間の長短のみに基づいて評価される。
- 医薬品は、使用方法を誤っても健康被害を生じることはない。
- 医薬品に要求される安全性基準は、食品に要求されるものよりも緩やかである。
正解と解説
正解:A. 医薬品の効果とリスクは、用量と作用強度の関係(用量-反応関係)に基づいて評価される。手引きでは、医薬品は使用方法を誤ると健康被害を生じることがあり、その効果とリスクは用量と作用強度の関係(用量-反応関係)に基づいて評価されるとされている。また、医薬品については食品などよりもはるかに厳しい安全性基準が要求されているとされる。したがって投与期間のみで評価するとする記述、健康被害を生じないとする記述、基準が緩やかとする記述はいずれも誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問10|用量の順序
投与量と効果又は毒性の関係について、薬物用量が増加していく順に並べたものとして、正しいものはどれか。
- 無作用量 → 治療量 → 最小有効量 → 中毒量 → 致死量 → 最小致死量
- 最小有効量 → 無作用量 → 治療量 → 最小致死量 → 中毒量 → 致死量
- 無作用量 → 最小有効量 → 治療量 → 中毒量 → 最小致死量 → 致死量
- 治療量 → 無作用量 → 最小有効量 → 中毒量 → 致死量 → 最小致死量
正解と解説
正解:C. 無作用量 → 最小有効量 → 治療量 → 中毒量 → 最小致死量 → 致死量手引きでは、薬物用量の増加に伴い、効果の発現が検出されない「無作用量」から最小有効量を経て「治療量」に至り、治療量上限を超えると「中毒量」となり、「最小致死量」を経て「致死量」に至るとされている。他の3つは無作用量と最小有効量・治療量の前後関係や、最小致死量と致死量の前後関係を入れ替えたもので誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問11|中毒量
治療量上限を超えた場合について、手引きの記述として正しいものはどれか。
- 治療量上限を超えると、中毒量や最小致死量を経ることなく、用量の増加にかかわらず直ちに「致死量」に至る。
- まず「最小致死量」となり、その後で効果よりも有害反応が強く発現する「中毒量」を経て「致死量」に至る。
- 用量の増加に応じて効果のみが増強され、治療量上限を超えても有害反応が発現することはない。
- やがて効果よりも有害反応が強く発現する「中毒量」となり、「最小致死量」を経て「致死量」に至る。
正解と解説
正解:D. やがて効果よりも有害反応が強く発現する「中毒量」となり、「最小致死量」を経て「致死量」に至る。手引きでは、治療量上限を超えると、やがて効果よりも有害反応が強く発現する「中毒量」となり、「最小致死量」を経て「致死量」に至るとされている。最小致死量が中毒量より先に来るとする記述は順序の取り違えで誤り。直ちに致死量に至るとする記述、有害反応が発現しないとする記述も手引きの記述に反する。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問12|無作用量
「無作用量」に関する記述として、正しいものはどれか。
- 効果の発現が検出されない用量であり、ここから最小有効量を経て治療量に至る。
- 治療量上限を超えて、効果よりも有害反応が強く発現するようになった用量のことである。
- 動物実験により求められる50%致死量(LD50)のことで、薬物の毒性の指標として用いられる。
- 最小有効量と治療量の間に位置し、効果の発現が現れ始める用量のことをいう。
正解と解説
正解:A. 効果の発現が検出されない用量であり、ここから最小有効量を経て治療量に至る。手引きでは、投与量と効果又は毒性の関係は、薬物用量の増加に伴い、効果の発現が検出されない「無作用量」から最小有効量を経て「治療量」に至るとされている。治療量上限を超えて有害反応が強く発現するのは中毒量であり、50%致死量はLD50である。無作用量は用量が最も少ない側に位置し、最小致死量と致死量の間ではない。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問13|用量の関係
用量と作用の関係に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 「最小有効量」は、無作用量から治療量に至る途中に位置する。
- 「中毒量」は、治療量上限を超えた後に現れる。
- 「最小致死量」は、中毒量よりも少ない用量である。
- 「致死量」は、中毒量から最小致死量を経て至る用量である。
正解と解説
正解:C. 「最小致死量」は、中毒量よりも少ない用量である。手引きでは、治療量上限を超えると「中毒量」となり、「最小致死量」を経て「致死量」に至るとされているので、最小致死量は中毒量より多い用量であり、選択肢3が誤り。最小有効量は無作用量と治療量の間に位置し、中毒量は治療量上限を超えた後に現れ、致死量は最小致死量を経て至るという他の3つは手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問14|LD50
50%致死量(LD50)に関する記述として、正しいものはどれか。
- ヒトを対象とした臨床試験により求められ、薬物の有効性の指標として用いられる。
- 動物実験により求められ、薬物の毒性の指標として用いられる。
- 動物実験により求められ、薬物の有効性の指標として用いられる。
- 製造販売後の調査により求められ、医薬品の品質の指標として用いられる。
正解と解説
正解:B. 動物実験により求められ、薬物の毒性の指標として用いられる。手引きでは、動物実験により求められる50%致死量(LD50)は、薬物の毒性の指標として用いられるとされている。求め方が「動物実験」であること、指標の対象が「毒性」であることの両方が問われるため、ヒトを対象とする臨床試験とする記述や、有効性・品質の指標とする記述はいずれも誤りである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問15|少量長期投与
医薬品の投与量と毒性に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 治療量を超えた量を単回投与した後に、毒性が発現するおそれが高い。
- 少量の投与であっても、長期投与されれば慢性的な毒性が発現する場合がある。
- 少量の医薬品の投与でも、発がん作用、胎児毒性や組織・臓器の機能不全を生じる場合がある。
- 少量の投与であれば、長期に投与しても毒性が発現することはない。
正解と解説
正解:D. 少量の投与であれば、長期に投与しても毒性が発現することはない。手引きでは、治療量を超えた量を単回投与した後に毒性が発現するおそれが高いのは当然としつつ、少量の投与でも長期投与されれば慢性的な毒性が発現する場合があり、また少量の投与でも発がん作用、胎児毒性や組織・臓器の機能不全を生じる場合があるとされている。よって少量なら長期投与でも毒性が発現しないとする選択肢4が誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問16|GLP
医薬品の安全性に関する非臨床試験の基準として、正しいものはどれか。
- Good Laboratory Practice(GLP)
- Good Clinical Practice(GCP)
- Good Post-marketing Study Practice(GPSP)
- Good Vigilance Practice(GVP)
正解と解説
正解:A. Good Laboratory Practice(GLP)手引きでは、医薬品の安全性に関する非臨床試験の基準がGLPであるとされている。GCPはヒトを対象とした臨床試験の実施の基準、GPSPは製造販売後の調査及び試験の実施の基準、GVPは製造販売後安全管理の基準であり、いずれも非臨床試験の基準ではない。頭文字の取り違えが狙われる論点である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問17|GCP
ヒトを対象とした臨床試験の実施の基準として、正しいものはどれか。
- Good Laboratory Practice(GLP)
- Good Vigilance Practice(GVP)
- Good Clinical Practice(GCP)
- Good Post-marketing Study Practice(GPSP)
正解と解説
正解:C. Good Clinical Practice(GCP)手引きでは、ヒトを対象とした臨床試験の実施の基準として国際的にGCPが制定されており、これに準拠した手順で安全な治療量を設定することが新規医薬品の開発に関連する臨床試験(治験)の目標の一つであるとされている。GLPは非臨床試験、GVPは製造販売後安全管理、GPSPは製造販売後の調査及び試験の基準である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問18|基準の組合せ
医薬品に関する各種基準とその内容の組合せとして、正しいものはどれか。
- GPSP ― 製造販売後安全管理の基準
- GPSP ― 製造販売後の調査及び試験の実施の基準
- GVP ― 医薬品の安全性に関する非臨床試験の基準
- GVP ― ヒトを対象とした臨床試験の実施の基準
正解と解説
正解:B. GPSP ― 製造販売後の調査及び試験の実施の基準手引きでは、製造販売後の調査及び試験の実施の基準としてGPSPが、製造販売後安全管理の基準としてGVPが制定されているとされている。したがってGPSPを製造販売後安全管理の基準とする組合せは誤り。GVPを非臨床試験(GLP)や臨床試験(GCP)の基準とする組合せも誤りである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問19|健康食品
いわゆる健康食品に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 健康増進や維持の助けになることが期待されるものであるが、あくまで食品であり、医薬品とは法律上区別される。
- その多くが摂取しやすいように、錠剤やカプセル等の医薬品に類似した形状で販売されている。
- 誤った使用方法や個々の体質により健康被害を生じた例も報告されている。
- 食品であるため、医薬品との相互作用によって薬物治療の妨げになることはない。
正解と解説
正解:D. 食品であるため、医薬品との相互作用によって薬物治療の妨げになることはない。手引きでは、健康食品は医薬品との相互作用で薬物治療の妨げになることもあるとされているため、選択肢4が誤り。他の3つは手引きの記述どおりで、いわゆる健康食品はあくまで食品であり医薬品とは法律上区別されること、錠剤やカプセル等の医薬品に類似した形状で販売されるものが多いこと、健康被害を生じた例も報告されていることが述べられている。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問20|保健機能食品
健康食品の中での保健機能食品の位置づけに関する記述として、正しいものはどれか。
- 保健機能食品はいわゆる健康食品のうち医薬品に分類されるものであり、法律上も医薬品と同じ扱いを受けることとされている。
- 健康食品の中でも国が示す要件を満たす食品であり、一定の基準のもと健康増進の効果等を表示することができる健康食品である。
- 保健機能食品には、国の個別の審査を受けて許可される特定保健用食品と、個別の許可申請が不要な栄養機能食品の2種類がある。
- 保健機能食品は国が示す要件を満たす食品ではあるが、健康増進の効果等をいっさい表示することができない食品である。
正解と解説
正解:B. 健康食品の中でも国が示す要件を満たす食品であり、一定の基準のもと健康増進の効果等を表示することができる健康食品である。手引きでは、いわゆる健康食品はあくまで食品であり医薬品とは法律上区別されるが、健康食品の中でも国が示す要件を満たす食品「保健機能食品」は、一定の基準のもと健康増進の効果等を表示することができるとされている。また保健機能食品には特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品の3種類があるとされるため、2種類とする記述も誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問21|特定保健用
特定保健用食品とはどのような食品かの説明として、正しいものはどれか。
- 身体の生理機能などに影響を与える保健機能成分を含むものであるが、個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度によるもので、国の審査を受けることなく事業者の判断で表示が行われる食品である。
- 事業者の責任において、科学的根拠をもとに機能性を商品のパッケージに表示するものとして国に届出された商品であり、特定の保健機能を示す効果について国の個別の審査を受けたものではない。
- 身体の生理機能などに影響を与える保健機能成分を含むもので、個別に(一部は規格基準に従って)特定の保健機能を示す効果や安全性などに関する国の審査を受け、許可されたものである。
- 栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)の機能の表示をする食品であり、その表示は国が定めた基準に従って行われる。
正解と解説
正解:C. 身体の生理機能などに影響を与える保健機能成分を含むもので、個別に(一部は規格基準に従って)特定の保健機能を示す効果や安全性などに関する国の審査を受け、許可されたものである。手引きでは、特定保健用食品は保健機能成分を含み、個別に(一部は規格基準に従って)国の審査を受け許可されたものとされている。個別の許可申請が不要な自己認証制度は栄養機能食品、事業者の責任で表示し国に届出するのは機能性表示食品、栄養成分の機能を表示するのは栄養機能食品であり、いずれも取り違えを誘う選択肢である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問22|栄養機能食品
栄養機能食品に関する記述として、正しいものはどれか。
- 食生活において栄養成分の補給を目的として摂取する者に対し、その栄養成分の機能の表示をする食品であり、個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度である。
- 身体の生理機能などに影響を与える保健機能成分を含むもので、特定の保健機能を示す効果や安全性などについて、個別に(一部は規格基準に従って)国の審査を受け、許可されたものである。
- 機能性関与成分が有する機能について、事業者の責任において科学的根拠をもとに商品のパッケージに表示し、販売前にその根拠に関する情報を国に届出したものである。
- 国が示す要件を満たしていないため保健機能食品には含まれず、栄養成分の機能の表示もできないいわゆる健康食品に分類される。
正解と解説
正解:A. 食生活において栄養成分の補給を目的として摂取する者に対し、その栄養成分の機能の表示をする食品であり、個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度である。手引きでは、栄養機能食品は栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)の補給を目的として摂取する者に対しその栄養成分の機能の表示をする食品であり、個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度であるとされている。国の個別審査を受け許可されるのは特定保健用食品、国に届出するのは機能性表示食品であり、栄養機能食品は保健機能食品の3種類の一つである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問23|機能性表示
機能性表示食品に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 事業者の責任で科学的根拠をもとに、機能性関与成分が有する健康維持及び増進に役立つ機能を商品のパッケージに表示するものである。
- 国に届出された商品である。
- 特定保健用食品と同様に、国の個別の許可を受けたものである。
- 保健機能食品の3種類のうちの一つである。
正解と解説
正解:C. 特定保健用食品と同様に、国の個別の許可を受けたものである。手引きでは、機能性表示食品は国に届出された商品であるが、特定保健用食品とは異なり国の個別の許可を受けたものではないとされている。よって選択肢3が誤り。事業者の責任で科学的根拠をもとに機能性関与成分の機能をパッケージに表示すること、保健機能食品の3種類の一つであることは手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問24|販売時の確認
一般用医薬品の販売時における健康食品の取扱いに関する記述として、誤っているものはどれか。
- 一般用医薬品の販売時にも、健康食品の摂取の有無について確認することは重要である。
- 購入者等の健康に関する意識を尊重しつつも、必要があれば健康食品の摂取についての指導も行うべきである。
- 健康食品は、法的にも、また安全性や効果を担保する科学的データの面でも医薬品とは異なる。
- 健康食品は食品であって安全性が担保されているため、摂取の有無を確認する必要はない。
正解と解説
正解:D. 健康食品は食品であって安全性が担保されているため、摂取の有無を確認する必要はない。手引きでは、健康食品は食品であるため摂取しても安全で害が無いかのようなイメージを強調したものも見られるが、法的にも科学的データの面でも医薬品とは異なることを十分理解しておく必要があるとされ、販売時に摂取の有無を確認することは重要で、必要があれば摂取についての指導も行うべきとされている。よって選択肢4が誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問25|税制
セルフメディケーション税制に関する記述として、正しいものはどれか。
- 平成29年1月から導入され、条件を満たした場合にスイッチOTC医薬品の購入の対価について、一定の金額をその年分の総所得金額等から控除するものである。
- 令和4年1月から導入された制度であり、その対象は現在もスイッチOTC医薬品に限られていて、腰痛や肩こり、風邪の諸症状に用いる一般用医薬品は対象とされていない。
- 適切な健康管理の下で購入した医療用医薬品の対価について、一定の金額をその年分の総所得金額等から控除する制度である。
- 令和9年1月より、腰痛や肩こり、風邪やアレルギーの諸症状に対応する一般用医薬品に加えて、消化器官用薬や一般用検査薬についても税制の対象から除外されることとされている。
正解と解説
正解:A. 平成29年1月から導入され、条件を満たした場合にスイッチOTC医薬品の購入の対価について、一定の金額をその年分の総所得金額等から控除するものである。手引きでは、平成29年1月から適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点で、スイッチOTC医薬品の購入の対価について一定の金額を総所得金額等から控除するセルフメディケーション税制が導入されたとされる。令和4年1月からは腰痛や肩こり、風邪やアレルギーの諸症状に対応する一般用医薬品も対象となり、令和9年1月より消化器官用薬や一般用検査薬も対象となる(除外ではない)。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅰ 医薬品概論
問26|副作用の考え
医薬品による副作用等に対する基本的考え方に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 医薬品は人体にとって本来異物であり、治療上の効能・効果とともに何らかの有害な作用等が生じることは避けがたい。
- 副作用には、それまでの使用経験を通じて知られているもののみならず、科学的に解明されていない未知のものが生じる場合もある。
- 副作用は、眠気、口渇等の比較的よく見られるものから、死亡や日常生活に支障を来すほどの重大なものまで、その程度は様々である。
- 医薬品の副作用被害は、医薬品が十分注意して使用されている限り起こり得ないものである。
正解と解説
正解:D. 医薬品の副作用被害は、医薬品が十分注意して使用されている限り起こり得ないものである。手引きでは、医薬品の副作用被害は医薬品が十分注意して使用されたとしても起こり得るものであるとされているため、選択肢4が誤り。医薬品が人体にとって本来異物であり有害な作用等が生じることは避けがたいこと、未知の副作用が生じる場合もあること、程度が様々であることはいずれも手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
問27|サリド原因
サリドマイド訴訟に関する記述として、正しいものはどれか。
- 整腸剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、下半身の痺れや歩行困難等を伴う亜急性脊髄視神経症に罹患したことに対する損害賠償訴訟である。
- 催眠鎮静剤等として販売されたサリドマイド製剤を妊婦又は妊娠していると思われる女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常が発生したことに対する損害賠償訴訟である。
- 脳外科手術等に用いられていたヒト乾燥硬膜を介してプリオンに感染し、次第に認知症に類似した症状が現れて死に至る重篤な神経難病を発症したことに対する、国等を被告とする損害賠償訴訟である。
- 血友病患者が、ウイルスが混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤の投与を受けたことにより感染したことに対する損害賠償訴訟である。
正解と解説
正解:B. 催眠鎮静剤等として販売されたサリドマイド製剤を妊婦又は妊娠していると思われる女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常が発生したことに対する損害賠償訴訟である。手引きでは、サリドマイド訴訟は催眠鎮静剤等として販売されたサリドマイド製剤を妊婦又は妊娠していると思われる女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生したことに対する損害賠償訴訟とされている。キノホルム製剤はスモン訴訟、ヒト乾燥硬膜はCJD訴訟、血液凝固因子製剤はHIV訴訟の原因であり、取り違えに注意する。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
問28|サリド作用
サリドマイドの作用に関する記述として、誤っているものはどれか。
- サリドマイドは催眠鎮静成分として承認され、その鎮静作用を目的として胃腸薬にも配合された。
- 副作用として血管新生を妨げる作用があり、サリドマイドは血液-胎盤関門を通過して胎児に移行する。
- 血管新生を妨げる作用はS体のみが有し、鎮静作用はR体のみが有するとされている。
- R体とS体は体内で相互に転換しないため、R体のサリドマイドを分離して製剤化すれば催奇形性を避けることができる。
正解と解説
正解:D. R体とS体は体内で相互に転換しないため、R体のサリドマイドを分離して製剤化すれば催奇形性を避けることができる。手引きでは、サリドマイドが摂取されるとR体とS体は体内で相互に転換するため、R体を分離して製剤化しても催奇形性は避けられないとされている。よって選択肢4が誤り。催眠鎮静成分として承認され胃腸薬にも配合されたこと、血液-胎盤関門を通過すること、血管新生を妨げる作用はS体・鎮静作用はR体であることは手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
問29|サリド時期
サリドマイド製剤の販売と回収の経過に関する記述として、誤っているものはどれか。
- サリドマイド製剤は1957年に西ドイツ(当時)で販売が開始され、日本では1958年1月から販売されていた。
- 1961年11月、西ドイツのレンツ博士がサリドマイド製剤の催奇形性について警告を発し、西ドイツでは製品が回収されるに至った。
- 日本では西ドイツ企業からの勧告が届いた1961年12月に、直ちに出荷停止及び回収措置が行われた。
- 日本では出荷停止が1962年5月まで行われず、販売停止及び回収措置は同年9月であるなど、対応の遅さが問題視された。
正解と解説
正解:C. 日本では西ドイツ企業からの勧告が届いた1961年12月に、直ちに出荷停止及び回収措置が行われた。手引きでは、日本では1961年12月に西ドイツ企業から勧告が届き、翌年になってからもその企業から警告が発せられていたにもかかわらず、出荷停止は1962年5月まで行われず、販売停止及び回収措置は同年9月であったとされている。よって直ちに措置が行われたとする選択肢3が誤り。西ドイツでの1957年販売開始・1961年11月の回収と、日本の対応の時期の差が問われる。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
問30|サリド提訴
サリドマイド訴訟の提訴及び和解に関する記述として、正しいものはどれか。
- 1963年6月に製薬企業を被告として、さらに翌年12月には国及び製薬企業を被告として提訴され、1974年10月に和解が成立した。
- 1971年5月に国及び製薬企業を被告として提訴され、1979年9月に全面和解が成立した。
- 国及び製薬企業を被告として、1989年5月に大阪地裁、同年10月に東京地裁で提訴された。
- 国、輸入販売業者及び製造業者を被告として、1996年11月に大津地裁、1997年9月に東京地裁で提訴された。
正解と解説
正解:A. 1963年6月に製薬企業を被告として、さらに翌年12月には国及び製薬企業を被告として提訴され、1974年10月に和解が成立した。手引きでは、サリドマイド訴訟は1963年6月に製薬企業を被告として、さらに翌年12月には国及び製薬企業を被告として提訴され、1974年10月に和解が成立したとされている。1971年5月提訴・1979年9月全面和解はスモン訴訟、1989年の大阪・東京地裁提訴はHIV訴訟、1996年・1997年の大津・東京地裁提訴はCJD訴訟である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
問31|サリド後対応
サリドマイドによる薬害事件を契機として図られたこととして、正しいものはどれか。
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構による生物由来製品による感染等被害救済制度の創設
- 医薬品等行政評価・監視委員会の設置
- WHO加盟国を中心とした、各国における市販後の副作用情報の収集体制の整備
- 緊急に必要とされる医薬品を迅速に供給するための「緊急輸入」制度の創設と拡充
正解と解説
正解:C. WHO加盟国を中心とした、各国における市販後の副作用情報の収集体制の整備手引きでは、サリドマイドによる薬害事件は世界的にも問題となったため、WHO加盟国を中心に市販後の副作用情報の収集の重要性が改めて認識され、各国における副作用情報の収集体制の整備が図られたとされている。生物由来製品による感染等被害救済制度はCJD訴訟、医薬品等行政評価・監視委員会はC型肝炎訴訟、「緊急輸入」制度はHIV訴訟を踏まえたものである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
問32|スモン原因
スモン訴訟に関する記述として、正しいものはどれか。
- 催眠鎮静剤等として販売されたサリドマイド製剤を妊婦が使用したことにより、出生児に四肢欠損や耳の障害等の先天異常が発生したことに対する損害賠償訴訟である。
- 整腸剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症に罹患したことに対する損害賠償訴訟である。
- 出産や手術の際に特定のフィブリノゲン製剤や血液凝固第Ⅸ因子製剤の投与を受けたことにより、ウイルスに感染したことに対する損害賠償訴訟である。
- 脳外科手術等に用いられていたヒト乾燥硬膜を介してプリオンに感染し、認知症に類似した症状が現れたことに対する損害賠償訴訟である。
正解と解説
正解:B. 整腸剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症に罹患したことに対する損害賠償訴訟である。手引きでは、スモン訴訟は整腸剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症(英名の頭文字をとってスモンと呼ばれる)に罹患したことに対する損害賠償訴訟とされている。サリドマイド製剤はサリドマイド訴訟、フィブリノゲン製剤はC型肝炎訴訟、ヒト乾燥硬膜はCJD訴訟の原因であり、原因医薬品の取り違えに注意する。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
問33|スモン症状
スモンの症状に関する記述として、正しいものはどれか。
- 初期には腹部の膨満感から激しい腹痛を伴う下痢を生じ、次第に下半身の痺れや脱力、歩行困難等が現れる。
- 妊娠中の使用が原因となり、出生児に四肢欠損や耳の障害等の先天異常が現れることを特徴とするものである。
- プリオンが脳の組織に感染することにより、次第に認知症に類似した症状が現れて死に至ることを特徴とする。
- 出産や手術の際の製剤投与が原因となり、C型肝炎ウイルスに感染した状態となることを特徴とするものである。
正解と解説
正解:A. 初期には腹部の膨満感から激しい腹痛を伴う下痢を生じ、次第に下半身の痺れや脱力、歩行困難等が現れる。手引きでは、スモンは初期には腹部の膨満感から激しい腹痛を伴う下痢を生じ、次第に下半身の痺れや脱力、歩行困難等が現れ、麻痺は上半身にも拡がる場合があり、ときに視覚障害から失明に至ることもあるとされている。出生児の先天異常はサリドマイド、認知症に類似した症状はCJD、C型肝炎ウイルス感染はC型肝炎訴訟の健康被害である。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
問34|スモン経過
キノホルム製剤及びスモン訴訟の経過に関する記述として、正しいものはどれか。
- キノホルム製剤が整腸剤として販売され始めたのは1958年で、その頃から特異な神経症状の報告が始まった。
- 米国では1970年に、キノホルム製剤の使用をアメーバ赤痢に限ることが勧告され、これを受けて日本でも販売が停止された。
- 日本では1970年8月にスモンの原因はキノホルムであるとの説が発表され、同年9月に販売が停止された。
- 1971年5月の提訴の後、同年10月に東京地裁において和解が成立し、これをもって全面和解となった。
正解と解説
正解:C. 日本では1970年8月にスモンの原因はキノホルムであるとの説が発表され、同年9月に販売が停止された。手引きでは、日本では1970年8月にスモンの原因はキノホルムであるとの説が発表され、同年9月に販売が停止されたとされている。キノホルム製剤の販売開始は1924年(1958年頃は特異な神経症状の報告が始まった時期)、米国での勧告は1960年、和解は1977年10月に東京地裁で成立し1979年9月に全面和解が成立しており、他の3つは年号が誤り。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
問35|救済制度
医薬品副作用被害救済制度が創設された経緯に関する記述として、正しいものはどれか。
- HIV訴訟を契機として、感染被害の迅速な救済を図るため1996年に創設された。
- サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として、1980年、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため創設された。
- CJD訴訟を契機として、2002年、生物由来製品による感染等被害の迅速な救済を図るため独立行政法人医薬品医療機器総合機構により創設された。
- C型肝炎訴訟を契機として、感染被害者の早期・全面的な救済を図るため、2008年の薬事法改正により創設された制度である。
正解と解説
正解:B. サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として、1980年、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため創設された。手引きでは、サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として、1980年、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため医薬品副作用被害救済制度が創設されたとされている。1996年はHIV訴訟の和解と改正薬事法の成立、2002年はCJD訴訟の和解と薬事法改正、2008年はC型肝炎の特別措置法の制定・施行の年であり、混同しやすい。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
問36|HIV訴訟
HIV訴訟に関する記述として、正しいものはどれか。
- 血友病患者が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤の投与を受けたことにより、HIVに感染したことに対する損害賠償訴訟である。
- 出産や手術の際に特定のフィブリノゲン製剤や血液凝固第Ⅸ因子製剤の投与を受けたことにより、C型肝炎ウイルスに感染したことに対する、国及び製薬企業を被告とする損害賠償訴訟である。
- 整腸剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症に罹患したことに対する損害賠償訴訟である。
- 脳外科手術等に用いられていたヒト乾燥硬膜を介してプリオンに感染し、次第に認知症に類似した症状が現れて死に至る重篤な神経難病を発症したことに対する、国等を被告とする損害賠償訴訟である。
正解と解説
正解:A. 血友病患者が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤の投与を受けたことにより、HIVに感染したことに対する損害賠償訴訟である。手引きでは、HIV訴訟は血友病患者がHIVが混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤の投与を受けたことによりHIVに感染したことに対する損害賠償訴訟とされている。フィブリノゲン製剤はC型肝炎訴訟、整腸剤(キノホルム製剤)はスモン訴訟、ヒト乾燥硬膜はCJD訴訟であり、血液に由来する製剤どうしの取り違えに注意する。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
問37|HIV経過
HIV訴訟の経過及びその後の対応に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 国及び製薬企業を被告として、1989年5月に大阪地裁、同年10月に東京地裁で提訴された。
- 大阪地裁、東京地裁はそれぞれ1995年10月、1996年3月に和解勧告を行い、1996年3月に両地裁で和解が成立した。
- 1999年8月24日には、厚生大臣が出席し関係患者団体等を招いて「誓いの碑」の竣工式が行われた。
- 本訴訟を踏まえた改正薬事法は2002年に成立し、生物由来製品の安全対策強化が図られた。
正解と解説
正解:D. 本訴訟を踏まえた改正薬事法は2002年に成立し、生物由来製品の安全対策強化が図られた。手引きでは、HIV訴訟を踏まえ、承認審査体制の充実、製薬企業に対する感染症報告の義務づけ、「緊急輸入」制度の創設等を内容とする改正薬事法が1996年に成立し翌年4月に施行されたとされている。2002年の薬事法改正に伴う生物由来製品の安全対策強化はCJD訴訟を踏まえたものであり、選択肢4が誤り。他の3つは手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
問38|CJD訴訟
CJD訴訟及びクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に関する記述として、正しいものはどれか。
- CJDの原因は、ヒト乾燥硬膜に混入した細菌であるとされ、その細菌が脳の組織に感染することによって、次第に認知症に類似した症状が現れて死に至る重篤な神経難病を生じる。
- CJDは、細菌でもウイルスでもないタンパク質の一種であるプリオンが原因とされ、プリオンが脳の組織に感染し、次第に認知症に類似した症状が現れ、死に至る重篤な神経難病である。
- CJD訴訟は、血友病患者が、ヒト免疫不全ウイルスが混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤の投与を受けたことによりウイルスに感染したことに対する損害賠償訴訟である。
- CJD訴訟は、国及び製薬企業を被告として1989年5月に大阪地裁、同年10月に東京地裁で提訴された。
正解と解説
正解:B. CJDは、細菌でもウイルスでもないタンパク質の一種であるプリオンが原因とされ、プリオンが脳の組織に感染し、次第に認知症に類似した症状が現れ、死に至る重篤な神経難病である。手引きでは、CJDは細菌でもウイルスでもないタンパク質の一種であるプリオンが原因とされ、脳の組織に感染して次第に認知症に類似した症状が現れ死に至る重篤な神経難病とされている。原因は細菌でもウイルスでもない。CJD訴訟は脳外科手術等に用いられたヒト乾燥硬膜を介したもので、国、輸入販売業者及び製造業者を被告として1996年11月に大津地裁、1997年9月に東京地裁で提訴された。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
問39|その後の制度
訴訟とその後に講じられた措置の組合せとして、正しいものはどれか。
- CJD訴訟 ― 1980年の、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図る医薬品副作用被害救済制度の創設
- HIV訴訟 ― 2002年の薬事法改正に伴う生物由来製品の安全対策強化と、感染等被害救済制度の創設等の措置
- CJD訴訟 ― 独立行政法人医薬品医療機器総合機構による生物由来製品による感染等被害救済制度の創設
- スモン訴訟 ― 医薬品行政を評価・監視する第三者組織としての医薬品等行政評価・監視委員会の設置等の措置
正解と解説
正解:C. CJD訴訟 ― 独立行政法人医薬品医療機器総合機構による生物由来製品による感染等被害救済制度の創設手引きでは、CJD訴訟の和解に際して国が誓約し、2002年に行われた薬事法改正に伴い生物由来製品の安全対策強化と、独立行政法人医薬品医療機器総合機構による生物由来製品による感染等被害救済制度の創設等がなされたとされている。1980年の医薬品副作用被害救済制度はサリドマイド訴訟・スモン訴訟を契機とし、医薬品等行政評価・監視委員会はC型肝炎訴訟に関する最終提言を受けて設置された。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
問40|C型肝炎
C型肝炎訴訟に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 出産や手術の際に特定のフィブリノゲン製剤や血液凝固第Ⅸ因子製剤の投与を受けたことにより、C型肝炎ウイルスに感染したことに対する損害賠償訴訟である。
- 国及び製薬企業を被告として、2002年から2007年にかけて、5つの地裁で提訴された。
- 2008年1月に、特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法が制定、施行された。
- 2006年から2007年にかけて言い渡された5つの判決は、国及び製薬企業が責任を負うべき期間等についていずれも同一の判断を示した。
正解と解説
正解:D. 2006年から2007年にかけて言い渡された5つの判決は、国及び製薬企業が責任を負うべき期間等についていずれも同一の判断を示した。手引きでは、2006年から2007年にかけて言い渡された5つの判決は、国及び製薬企業が責任を負うべき期間等について判断が分かれていたとされているため、選択肢4が誤り。判断が分かれるなかで、感染者の早期・一律救済の要請にこたえるべく議員立法により2008年1月に特別措置法(平成20年法律第2号)が制定、施行された。他の3つは手引きの記述どおりである。
根拠:厚生労働省公表「試験問題の作成に関する手引き」(令和4年3月作成、令和8年4月一部改訂)第1章 Ⅳ 薬害の歴史
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