仮の宿 学習室

情報セキュリティマネジメント INFORMATION SECURITY MANAGEMENT

暗号と認証

講義 4 本・確認問題 35 問 | 本試験では「科目A 重点分野」(42問)の一部 | 最終更新 2026-09-24

この章で学ぶこと
目次
  1. 暗号のしくみ
  2. ディジタル署名と証明書
  3. 利用者を確かめる(認証)
  4. アクセスを制御する
  5. 確認問題(35問)
  6. 演習ツール

1. 暗号のしくみ

共通鍵と公開鍵の違い、ハイブリッド暗号、ハッシュ関数までを一度に整理し、「どの鍵をどこで使うのか」を体で覚えます。

暗号とは、そのままでは読める情報(平文)を、鍵を使って読めない形(暗号文)に変える技術です。暗号文を平文に戻すことを復号といいます。守れるのは主に機密性で、盗み見られても中身が分からない状態をつくります。逆にいえば、暗号だけでは「誰が送ったのか」「途中で書き換えられていないか」は分かりません。それはディジタル署名やハッシュの役目です。

共通鍵暗号方式は、暗号化と復号に同じ鍵を使う方式です。代表がAESで、処理が速く、大量のデータや通信の本体を暗号化するのに向いています。弱点は鍵の配り方です。相手ごとに別の鍵を用意するため、n人が互いに通信するには n(n-1)/2 個の鍵が必要になり、人数が増えると急激に増えます。しかもその鍵を安全に相手へ届けなければならず、これを鍵配送問題といいます。

公開鍵暗号方式は、公開鍵と秘密鍵という対になった2つの鍵を使います。代表がRSAと楕円曲線暗号(ECC)です。公開鍵は誰に渡してもよく、秘密鍵は本人だけが持ちます。鍵は1人あたり2個なので、n人なら合計 2n 個で済み、鍵配送問題を解決できます。ただし計算量が大きく、共通鍵暗号よりずっと遅いのが難点です。

ここが最重要です。機密性を守るために暗号化するときは、受信者の公開鍵で暗号化し、受信者の秘密鍵で復号します。受信者の秘密鍵を持っているのは受信者だけなので、その人しか読めません。送信者の鍵は一切使いません。この向きを逆にすると、誰でも復号できてしまい意味がなくなります。

ハイブリッド暗号方式は、両方のいいとこ取りです。データ本体は速い共通鍵暗号(セッション鍵)で暗号化し、そのセッション鍵だけを受信者の公開鍵で暗号化して届けます。受信者は自分の秘密鍵でセッション鍵を取り出し、それでデータ本体を復号します。TLSやS/MIMEなど実用の暗号通信は、ほぼこの方式です。

ハッシュ関数は、任意の長さのデータから固定長の短い値(ハッシュ値、メッセージダイジェスト)を作る一方向の計算です。代表がSHA-256。元に戻せない一方向性と、同じハッシュ値になる別のデータを見つけにくい衝突困難性を持ちます。鍵を使わないので暗号化ではありません。ファイルの改ざん検知や、パスワードをそのまま保存しないための仕組みに使われます。

パスワードをハッシュ値で保存しても、よくあるパスワードは事前計算した表(レインボーテーブル)で見破られます。そこで利用者ごとに異なるランダムな文字列(ソルト)を足してからハッシュ化し、さらにハッシュ計算を数千回以上繰り返して総当たりを遅くします。この繰り返しがストレッチングです。

暗号化の対象は、保存時と通信時に分けて考えます。保存時はファイル単位の暗号化と、ディスク全体を暗号化する方式があります。ディスク全体の暗号化は、持ち出しPCの紛失・盗難時に中身を守るのに有効ですが、正規にログインした状態では復号されて読めるため、マルウェアや内部不正への対策にはなりません。通信時はTLS、VPN、無線LANのWPA3などで守ります。

暗号の強さは鍵の管理で決まります。鍵が漏れたり、計算機の性能向上で解読可能になったりして安全でなくなることを危殆化といい、鍵長を伸ばす、より新しい方式へ移行する、鍵を定期的に更新するといった対応が必要です。将来、量子コンピュータが実用化するとRSAや楕円曲線暗号が破られる恐れがあるため、それに耐える耐量子計算機暗号(PQC)への移行が国際的に進められています。

共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式の比較(鍵の数・速度・鍵配送・使い分け)
区分共通鍵暗号方式公開鍵暗号方式
代表的な方式AESRSA、楕円曲線暗号(ECC)
鍵の関係暗号化と復号が同じ鍵公開鍵と秘密鍵のペア(別の鍵)
n人が相互に通信するときの鍵の数n(n-1)/2 個(例 50人なら1225個)2n 個(例 50人なら100個)
処理速度速い(大量データ向き)遅い(小さいデータ向き)
鍵配送相手ごとに安全に配る必要あり(鍵配送問題)公開鍵は公開してよいので問題が起きにくい
鍵の秘密通信する両者が同じ鍵を秘密に保つ秘密鍵は本人だけが保管する
主な使いどころ通信やファイルの本体の暗号化鍵の受渡し、ディジタル署名
ハイブリッド暗号での役割データ本体をセッション鍵で暗号化そのセッション鍵を受信者の公開鍵で暗号化
必要な鍵の数の早見表(相互に通信する場合)
利用者数 n   共通鍵 n(n-1)/2   公開鍵 2n         5                10          10        10                45          20        20               190          40        50              1225         100       100              4950         200

用語

平文と暗号文
そのまま読める元のデータが平文、鍵で変換して読めなくしたものが暗号文。暗号文を平文に戻すことを復号という。暗号が守るのは主に機密性であり、改ざんの検知や送信者の特定はできない。
共通鍵暗号方式
暗号化と復号に同じ鍵を使う方式。代表はAES。処理が速く大量データ向きだが、相手ごとに鍵が必要でn人なら n(n-1)/2 個になり、鍵を安全に届ける鍵配送問題が生じる。
AES
現在の標準的な共通鍵暗号方式。鍵長は128・192・256ビットが規定されている。無線LANのWPA2/WPA3やTLSのデータ本体の暗号化など、幅広く使われている。
公開鍵暗号方式
公開鍵と秘密鍵のペアを使う方式。公開鍵は誰に配ってもよく、秘密鍵は本人だけが保管する。鍵は1人2個なのでn人でも 2n 個で足り、鍵配送問題を解決できるが、処理は共通鍵暗号より遅い。
RSA
大きな数の素因数分解の難しさを安全性の根拠とする公開鍵暗号方式。暗号化にもディジタル署名にも使える。安全性を保つため鍵長を長くする必要があり、2048ビット以上が一般的になっている。
楕円曲線暗号(ECC)
楕円曲線上の計算の難しさを利用した公開鍵暗号方式。RSAより短い鍵長で同等の強度が得られるため、処理や通信量を抑えられ、スマートフォンやICカードなど資源の少ない機器で広く使われる。
ハイブリッド暗号方式
データ本体は速い共通鍵暗号で暗号化し、その共通鍵(セッション鍵)だけを受信者の公開鍵で暗号化して渡す方式。速度と鍵配送の両方の問題を解決でき、TLSやS/MIMEで使われている。
ハッシュ関数
任意長のデータから固定長のハッシュ値を作る一方向の計算。元に戻せない一方向性と、同じ値になる別データを見つけにくい衝突困難性を持つ。鍵を使わないため暗号化ではなく、改ざん検知やパスワード保存に使う。
SHA-256
256ビットのハッシュ値を出力する代表的なハッシュ関数。ファイルの改ざん検知やディジタル署名の前処理に使われる。かつて広く使われたMD5やSHA-1は衝突が見つかっており、新規の利用は推奨されない。
ソルト
パスワードをハッシュ化する前に付け加える、利用者ごとに異なるランダムな文字列。同じパスワードでも保存されるハッシュ値が変わるため、事前計算した表(レインボーテーブル)による解読を防げる。
ストレッチング
ハッシュ計算を数千回から数万回繰り返して、1回の照合にわざと時間をかける手法。利用者の待ち時間はわずかだが、攻撃者の総当たり攻撃は現実的でなくなる。ソルトと組み合わせて使う。
ディスク暗号化
記憶装置全体を暗号化し、起動時の認証を通らなければ読めなくする方式。ノートPCやUSBメモリの紛失・盗難対策に有効。ただし正規にログインした後は復号されるため、マルウェアや内部不正の対策にはならない。
危殆化
鍵の漏えいや計算機の性能向上、方式の弱点発見によって、暗号が安全でなくなること。鍵長を伸ばす、より新しい方式へ移行する、鍵を定期的に更新するといった対応で備える。
耐量子計算機暗号(PQC)
量子コンピュータが実用化してもRSAや楕円曲線暗号のようには破られないと考えられている暗号方式の総称。今の暗号文を保存しておいて将来解読される恐れがあるため、早期の移行が国際的に検討されている。

例題

例題:社員10人が互いに共通鍵暗号で通信する。必要な鍵は何個か。また同じ10人が公開鍵暗号を使う場合は何個か。
答えと考え方 共通鍵は 10×9÷2 = 45個。公開鍵暗号は1人が公開鍵と秘密鍵の2個を持つので 2×10 = 20個。人数が増えるほど共通鍵の方が急増する(100人なら4950個対200個)。
例題:AさんがBさんにだけ読める文書を送りたい。誰のどの鍵で暗号化し、誰のどの鍵で復号するか。
答えと考え方 Bさん(受信者)の公開鍵で暗号化し、Bさん(受信者)の秘密鍵で復号する。Bさんの秘密鍵を持つのはBさんだけなので、他人には読めない。Aさん自身の鍵は使わないことに注意。

出典・根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(暗号技術)/JIS Q 27000 用語

2. ディジタル署名と証明書

「本人が書いた」「書き換えられていない」を証明する仕組みと、その土台になる証明書・認証局の役割をつかみます。

暗号は中身を隠す技術でしたが、業務では「本当にこの人が送ったのか」「途中で書き換えられていないか」を確かめたい場面が多くあります。それを実現するのがディジタル署名です。ハッシュ関数と公開鍵暗号方式を組み合わせて作ります。

作り方はこうです。送信者は文書のハッシュ値を求め、それを自分(送信者)の秘密鍵で変換します。これが署名です。受信者は受け取った文書から同じようにハッシュ値を計算し、送られてきた署名を送信者の公開鍵で変換した値と比べます。一致すれば、署名は確かに送信者の秘密鍵で作られたもので、文書も書き換えられていないと分かります。

鍵の向きが暗号化とちょうど逆になっている点が最大のポイントです。機密性のための暗号化は受信者の公開鍵で行い受信者の秘密鍵で復号しますが、ディジタル署名は送信者の秘密鍵で行い送信者の公開鍵で検証します。試験ではここを入れ替えた選択肢が必ず出ます。「隠すときは相手の鍵、名乗るときは自分の鍵」と覚えると混乱しません。

署名で分かるのは、改ざんの検知(完全性)、送信者が本人であること(真正性)、あとから「送っていない」と言わせない否認防止の3つです。分からないのは機密性です。署名を付けても文書そのものは平文のままなので、盗み見は防げません。中身も隠したいなら、署名に加えて受信者の公開鍵で暗号化する必要があります。

メッセージ認証符号(MAC)は、送受信者が共有する秘密鍵とハッシュ関数で作る検証用の値です。改ざんの検知と相手の確認はできますが、同じ鍵を両者が持っているため、受信者にも同じ値が作れてしまい、否認防止はできません。否認防止まで必要ならディジタル署名を使います。

ディジタル署名の検証には送信者の公開鍵が要りますが、その公開鍵が本当に本人のものかは、公開鍵そのものからは分かりません。そこで信頼できる第三者である認証局(CA)が、公開鍵と持ち主の情報をまとめてCAの秘密鍵で署名した、ディジタル証明書(公開鍵証明書)を発行します。この仕組み全体をPKI(公開鍵基盤)といいます。

証明書はCAがCAを保証する連鎖(証明書チェーン)になっており、その頂点にあるのがルート証明書です。ルート証明書は自分自身で署名した自己署名証明書で、OSやブラウザにあらかじめ組み込まれた信頼の起点です。したがって、素性の分からないルート証明書を安易にインストールしてはいけません。

秘密鍵の漏えいや退職などで証明書を有効期限前に無効にすることを失効といいます。失効した証明書の一覧が失効リスト(CRL)で、リストを丸ごと取得する代わりに1件ずつ問い合わせて状態を確かめる方式がOCSPです。証明書は有効期限だけでなく、失効していないかの確認も必要です。

タイムスタンプは、時刻認証局(TSA)が「その時刻にその電子データが存在し、以後変更されていない」ことを証明する仕組みです。署名した本人の証明である電子署名に、いつの話かという時点の証明を足す役目があり、電子署名法では一定の要件を満たす電子署名に手書きの署名や押印と同じ効力を認めています。

Webの通信で使われるTLS(旧称SSL)は、これらの技術の集大成です。サーバのディジタル証明書でサーバが本物か確かめ、公開鍵暗号でセッション鍵を安全に共有し、その後は共通鍵暗号で高速に通信します。HTTPをTLSで保護したものがHTTPSです。サーバ証明書には、ドメイン名だけを確認するDV、組織の実在も確認するOV、より厳格な審査を行うEVがあり、EVでも通信の暗号強度が上がるわけではなく、確認される相手の身元の厳しさが違う点に注意します。

誰のどの鍵で暗号化・署名し、誰のどの鍵で復号・検証するか(AさんからBさんへ送る場合)
目的送信者Aがすること受信者Bがすること守れるもの
機密性を守る(暗号化)受信者Bの公開鍵で暗号化受信者Bの秘密鍵で復号盗み見の防止(機密性)
本人性・完全性(ディジタル署名)送信者Aの秘密鍵で署名送信者Aの公開鍵で検証改ざんの検知・本人性・否認防止
両方(署名付き暗号メール)Aの秘密鍵で署名し、Bの公開鍵で暗号化Bの秘密鍵で復号し、Aの公開鍵で検証機密性+改ざんの検知+否認防止
鍵の受渡し(ハイブリッド暗号)受信者Bの公開鍵でセッション鍵を暗号化受信者Bの秘密鍵でセッション鍵を復号共通鍵を安全に届ける
MAC(共通鍵方式)AとBで共有した秘密鍵でMACを生成同じ共有秘密鍵でMACを検証改ざんの検知(否認防止は不可)
証明書の信頼認証局CAの秘密鍵で証明書に署名CAの公開鍵(ルート証明書)で検証公開鍵の持ち主が本人であること

用語

ディジタル署名
文書のハッシュ値を送信者の秘密鍵で変換して付ける値。受信者は送信者の公開鍵で検証する。改ざんの検知・本人性・否認防止を実現するが、文書自体は平文のままなので機密性は守れない。
否認防止
あとから「自分は送っていない」「そんな取引はしていない」と言い逃れできないようにすること。秘密鍵は本人しか持たないため、ディジタル署名で実現できる。共有鍵を使うMACでは実現できない。
メッセージ認証符号(MAC)
送受信者が共有する秘密鍵とハッシュ関数から作る検証値。改ざんの検知はできるが、受信者も同じ鍵で同じ値を作れるため否認防止はできない。処理が軽く、通信プロトコルの中で広く使われる。
PKI(公開鍵基盤)
公開鍵が確かに本人のものであることを、認証局と証明書によって保証する社会的な仕組みの総称。証明書の発行・更新・失効の運用まで含む。TLSや電子契約の土台になっている。
認証局(CA)
申請者の身元を確認し、公開鍵と持ち主の情報に自らの秘密鍵で署名してディジタル証明書を発行する信頼される第三者。証明書の失効情報の公開も担う。登録業務を分けた登録局(RA)を置くこともある。
ディジタル証明書
公開鍵と持ち主の情報を、認証局が自らの秘密鍵で署名した電子的な身分証明書。有効期限、発行者、シリアル番号などを含む。これにより受け取った公開鍵が本人のものだと確認できる。
ルート証明書
証明書チェーンの頂点にある、認証局が自分自身に発行した自己署名証明書。OSやブラウザにあらかじめ組み込まれ、信頼の起点になる。出所の分からないルート証明書を入れると通信の盗聴や偽サイトを許す。
CRL(証明書失効リスト)
有効期限前に失効させた証明書の一覧。秘密鍵の漏えいや退職などで発行される。件数が増えると取得の負担が大きく、更新間隔の分だけ情報が古くなるという弱点がある。
OCSP
証明書が失効していないかを、1件ずつオンラインで問い合わせて確認する仕組み。CRLを丸ごと取得する必要がなく、より新しい状態を確認できる。応答をサーバ側でまとめて返す方式もある。
タイムスタンプ
時刻認証局(TSA)が、その時刻にその電子データが存在し、以後変更されていないことを証明する仕組み。電子署名が「誰が」を示すのに対し、タイムスタンプは「いつ」を示す。
電子署名法
一定の要件を満たす電子署名が行われた電磁的記録に、手書きの署名や押印と同様の推定効力を認める法律。本人だけが行える方式であることなどが要件となる。契約の電子化を支える。
TLS
通信路を暗号化し、サーバの正当性を証明書で確認するプロトコル。旧称SSL。公開鍵暗号でセッション鍵を共有し、以後は共通鍵暗号で通信するハイブリッド方式。HTTPに適用したものがHTTPS。
サーバ証明書の種類(DV・OV・EV)
DVはドメイン名の管理権のみ確認、OVは組織の実在も確認、EVはさらに厳格な審査を行う。違いは身元確認の厳しさであり、暗号の強度そのものが変わるわけではない。

例題

例題:取引先へ送る見積書に、改ざんされていないことと自社が作成したことを示したい。誰のどの鍵を使うか。
答えと考え方 自社(送信者)の秘密鍵で署名する。取引先は自社の公開鍵で検証する。ここで取引先の公開鍵を使うのは暗号化(機密性)の話であり、署名ではない。
例題:ディジタル署名を付けたメールなら、盗み見されても中身は安全といえるか。
答えと考え方 いえない。署名は改ざんの検知・本人性・否認防止のための仕組みで、本文は平文のまま送られる。中身も隠したいなら、署名に加えて受信者の公開鍵で暗号化する必要がある。

出典・根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・公開鍵基盤)/電子署名法

3. 利用者を確かめる(認証)

パスワード・ワンタイムパスワード・生体認証・パスキーまで、「その人が本人か」を確かめる手段と限界を整理します。

認証とは、システムを使おうとしている相手が名乗ったとおりの本人かどうかを確かめることです。確かめ方は大きく3つの要素に分けられます。本人だけが知っている知識(パスワード、PIN)、本人だけが持っている所持(ICカード、スマートフォン、トークン)、本人自身の特徴である生体(指紋、顔、虹彩、静脈)です。

多要素認証(MFA)は、この3要素のうち異なる種類を2つ以上組み合わせる方式です。二段階認証は、確認の手順を2回に分ける方式で、要素が同じでも成り立ちます。パスワードのあとに秘密の質問を聞くのは、どちらも知識なので二段階認証ではあっても多要素認証ではありません。パスワードとスマートフォンのワンタイムパスワードなら、知識と所持で多要素認証になります。

パスワードは今も主役ですが、弱点も明らかです。短いパスワードは総当たり攻撃で破られ、使い回しは一つの漏えいが全サービスに広がるパスワードリスト攻撃を招きます。文字種を無理に増やすより、十分な長さを確保する方が効果的です。近年は、漏えいの兆候がない限り定期的な変更を一律に強制しない考え方が主流になっています。頻繁な変更はかえって単純で規則的なパスワードを生むためです。覚えきれない分はパスワードマネージャで管理します。

ワンタイムパスワード(OTP)は、一度きりしか使えない使い捨てのパスワードです。時刻を種にする時刻同期方式(タイムスタンプ方式)や、直前の値から次を作る方式などがあり、盗聴された値を後からもう一度使うこと(リプレイ)ができないため、盗み見や盗聴に強くなります。ただし、偽サイトが入力された値をその場で本物のサイトへ中継するリアルタイムフィッシングは防げません。チャレンジレスポンス方式は、サーバが毎回異なるチャレンジ(乱数)を送り、利用者側がパスワードとチャレンジから計算した値だけを返す方式で、パスワードそのものはネットワークを流れません。

生体認証は、忘れず持ち歩く必要もない一方、判定にあいまいさが残ります。本人なのに拒否してしまう割合が本人拒否率(FRR)、他人なのに受け入れてしまう割合が他人受入率(FAR)です。この2つは判定のしきい値でトレードオフの関係にあります。判定を厳しくするとFRRは上がりFARは下がり、判定を緩めるとFRRは下がりFARは上がります。両者が等しくなる点をEER(等誤り率)といい、値が小さいほど精度の高い装置といえます。機密区域の入退室のように安全を優先する場面ではFARを下げる設定にし、その分だけ本人が拒否される不便は受け入れます。

生体情報は漏えいしても取り替えられないという性質があるため、特徴量として保存し、原本の画像を残さない運用が求められます。また指の傷や照明などの環境で結果が変わるため、代替手段を必ず用意します。

そのほかの手段として、自動化された大量アクセスを防ぐために人間かどうかを判定するCAPTCHA、いつもと違う端末・地域・時刻からのログインを検知したときだけ追加の確認を求めるリスクベース認証があります。リスクベース認証は、通常時の利便性を落とさずに不正ログインを抑えられる点が利点です。

一度の認証で複数のシステムを使えるようにするのがシングルサインオン(SSO)です。利用者は覚えるパスワードが減り、管理者は退職時に1か所を止めれば全体を遮断できます。ただし認証情報が破られると被害が一気に広がるため、多要素認証との併用が前提です。実現方式には、組織間で認証情報を受け渡すSAML、権限の委譲を扱うOAuth 2.0、OAuthを土台に認証の機能を加えたOpenID Connectがあります。

パスワードそのものをなくす方向も進んでいます。FIDO2やパスキーは、端末内に秘密鍵を保管し、生体認証や画面ロック解除で秘密鍵の利用を許可して、サーバから届いたチャレンジに署名を返す仕組みです。サーバ側に共有の秘密(パスワード)が保存されないため、漏えいしても悪用できず、偽サイトに署名を渡さない作りになっているためフィッシングにも強くなります。

認証の3要素と具体例、そして多要素認証と二段階認証の違い
区分名称具体例注意点
3要素知識(本人だけが知っている)パスワード、PIN、秘密の質問盗み見・推測・使い回しに弱い
3要素所持(本人だけが持っている)ICカード、スマートフォンのアプリ、ハードウェアトークン紛失・盗難で他人に使われる恐れ
3要素生体(本人自身の特徴)指紋、顔、虹彩、静脈、声紋漏えいしても取り替えられない。FRRとFARの調整が必要
組合せ多要素認証(MFA)パスワード(知識)+ワンタイムパスワードのアプリ(所持)異なる要素を2つ以上。パスワード漏えいだけでは突破されない
組合せ二段階認証パスワード(知識)+秘密の質問(知識)段階は2つでも要素が同じなら多要素認証ではない
指標本人拒否率(FRR)本人を誤って拒否する割合判定を厳しくすると上がる(不便になる)
指標他人受入率(FAR)他人を誤って受け入れる割合判定を厳しくすると下がる(安全になる)

用語

認証の3要素
知識(本人だけが知っていること)、所持(本人だけが持っているもの)、生体(本人自身の特徴)の3つ。どれか一つに頼ると、その一つが破られた時点で突破されるため、異なる要素の組合せが推奨される。
多要素認証(MFA)
認証の3要素のうち、異なる種類を2つ以上組み合わせる方式。パスワード(知識)とスマートフォンのワンタイムパスワード(所持)の組合せが典型。パスワードが漏えいしても単独では突破されない。
二段階認証
認証の手順を2回に分ける方式。要素の種類は問わないため、パスワードのあとに秘密の質問を聞く形は二段階認証ではあるが、どちらも知識なので多要素認証ではない。多要素認証の方が強い。
パスワードリスト攻撃
どこかで漏えいした利用者IDとパスワードの組を、別のサービスでそのまま試す攻撃。パスワードの使い回しが原因で成立する。長さや複雑さでは防げず、使い回しをやめることと多要素認証が対策になる。
ワンタイムパスワード(OTP)
一度しか使えない使い捨てのパスワード。時刻に基づく方式や、専用アプリ・トークン・SMSで受け取る方式がある。盗聴されても再利用できないため、パスワードの使い回しや盗み見に強い。
チャレンジレスポンス認証
サーバが毎回異なる乱数(チャレンジ)を送り、利用者側がパスワードとチャレンジから計算した応答だけを返す方式。パスワードそのものが通信路を流れないため、盗聴による再利用を防げる。
本人拒否率(FRR)
生体認証で、本人なのに誤って拒否してしまう割合。判定を厳しくすると高くなり、利用者にとっては不便になる。他人受入率(FAR)とはトレードオフの関係にある。
他人受入率(FAR)
生体認証で、他人なのに誤って本人と認めてしまう割合。安全性に直結する指標で、判定を厳しくすると低くなる。機密区域では、多少の不便を受け入れてもFARを下げる設定にする。
EER(等誤り率)
本人拒否率と他人受入率が等しくなる点の誤り率。装置どうしの精度を比べる目安として使われ、値が小さいほど性能が高い。実際の運用では用途に応じてしきい値をずらして使う。
CAPTCHA
ゆがんだ文字や画像の選択などにより、操作しているのが人間か自動プログラムかを判定する仕組み。会員登録や問合せフォームでの大量の自動投稿や、総当たりログインの抑止に使われる。
リスクベース認証
普段と異なる端末・地域・時刻などからのアクセスを危険と判断したときだけ、追加の確認を求める方式。通常時の利便性を保ちながら、なりすましログインを抑えられる。
シングルサインオン(SSO)
一度の認証で複数のシステムを利用できるようにする仕組み。利用者の負担が減り、退職時の停止も1か所で済む。一方で認証が破られたときの影響が大きく、多要素認証との併用が前提となる。
SAML・OAuth・OpenID Connect
SAMLは組織間で認証情報を安全に受け渡す規格。OAuth 2.0は他サービスへ権限を委譲する(認可の)規格。OpenID ConnectはOAuth 2.0を土台に本人確認(認証)の機能を加えた規格。
FIDO2・パスキー
端末内の秘密鍵で署名を返すことで本人を確認する、パスワードに依存しない認証方式。サーバに共有の秘密が保存されず、正規サイト以外には署名を返さないため、漏えいにもフィッシングにも強い。

例題

例題:入退室管理の指紋認証で、他人がまぎれ込む事故を減らしたい。判定のしきい値をどう調整し、その結果どちらの指標がどう動くか。
答えと考え方 判定を厳しくする。すると他人受入率(FAR)は下がり安全になるが、本人拒否率(FRR)は上がって本人が入れない場面が増える。両者はトレードオフなので、代替の入室手段を用意しておく。
例題:「パスワードを入力したあと、登録済みの秘密の質問に答える」方式は多要素認証か。
答えと考え方 多要素認証ではない。パスワードも秘密の質問も知識という同じ要素なので、二段階認証にとどまる。所持(スマートフォンのワンタイムパスワード)や生体を組み合わせて初めて多要素認証になる。

出典・根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・利用者認証)

4. アクセスを制御する

本人と確かめた後に「何をしてよいか」を決める認可の考え方と、権限を最小限に保つ運用の型を身につけます。

認証と認可は必ず区別します。認証(Authentication)は「あなたが誰か」を確かめること、認可(Authorization)は「その人に何を許すか」を決めることです。順番は認証が先で認可が後です。正しくログインできた(認証された)からといって、すべての情報を見てよいわけではありません。人事情報を見られるのは人事部だけ、といった線引きが認可の仕事です。

アクセス制御は、この認可を仕組みとして実現するものです。誰が(主体)、どの情報資産に(客体)、どんな操作を(読取り・書込み・実行・削除)してよいかを定め、記録します。代表的な方式が3つあります。

任意アクセス制御(DAC)は、情報の所有者(作成者)が自分の判断で他人に権限を与えられる方式です。共有フォルダで作成者が公開範囲を決めるような身近な運用ですが、所有者の判断次第なので、組織全体の方針を徹底しにくいという弱点があります。

強制アクセス制御(MAC)は、システム全体の方針(機密ラベルなど)に従って権限が決まり、所有者であっても勝手に変更できない方式です。厳格な機密管理に向きますが、運用は硬く柔軟性に欠けます。

ロールベースアクセス制御(RBAC)は、職務に応じたロール(役割)に権限をまとめ、人はロールに割り当てる方式です。人事異動のときは所属するロールを付け替えるだけで済み、権限の棚卸しもロール単位で行えるため、一般企業で最も広く使われています。

権限を決めるときの原則が、最小権限の原則です。業務の遂行に必要な最小限の権限だけを与え、必要がなくなったら速やかに外します。似た考え方にNeed-to-Know(知る必要性)があり、必要な人だけが必要な情報を知るという情報の与え方の原則です。「念のため広めに」は事故のもとで、権限が広いほど誤操作も内部不正も被害が大きくなります。

職務分掌は、申請する人と承認する人、開発する人と本番環境へ反映する人のように、不正が一人で完結しないよう役割と権限を分けることです。相互牽制が働き、誤りも見つかりやすくなります。

特に注意が必要なのが、システム管理者などの特権IDです。何でもできてしまうため、共用せず個人に紐づける、通常業務では一般IDを使い必要なときだけ昇格する、貸出しと返却を記録する、操作ログを取得して本人以外が点検する、といった管理を行います。

アカウントは発行・変更・削除というライフサイクル全体で管理します。入社時に必要最小限で発行し、異動時には新しい部署の権限を与えると同時に前の部署の権限を必ず外し(権限の残留を防ぐ)、退職時には遅滞なく停止・削除します。加えて、定期的な棚卸しで、使われていないアカウントや不要になった権限を洗い出します。退職者のアカウントが生き残っていることは、典型的な指摘事項です。

利用者・端末・権限の情報を一元管理する基盤がディレクトリサービスです。1か所で登録や停止を行えば各システムに反映でき、シングルサインオンの土台にもなります。

ゼロトラストは、「社内ネットワークだから安全」という前提を捨て、すべてのアクセスを検証するという考え方です。テレワークやクラウド利用で境界があいまいになったことが背景にあります。利用者と端末を毎回確認し、権限は最小限にし、通信は暗号化し、アクセスの記録を継続的に監視します。境界防御(ファイアウォール)を捨てるという意味ではなく、内側も信用しないという前提を足すものです。

アクセス制御方式の比較(誰が権限を決めるか・特徴・向いている場面)
方式誰が権限を決めるか特徴向いている場面
任意アクセス制御(DAC)情報の所有者(作成者)所有者が自分の判断で他人に権限を与えられる。柔軟だが方針の徹底が難しい部門内の共有フォルダなど身近な運用
強制アクセス制御(MAC)組織の方針(機密ラベル)ラベルに従って自動的に決まり、所有者でも変更できない。硬いが強固軍事・政府など厳格な機密管理
ロールベースアクセス制御(RBAC)ロール(役割)の設計者職務ごとのロールに権限をまとめ、人をロールに割り当てる。異動に強い人事異動の多い一般企業。権限の棚卸しがしやすい
属性ベースアクセス制御(ABAC)属性の組合せを定めた規則所属・時刻・場所・端末の状態などの属性で動的に判断する在宅勤務など状況に応じた細かい制御

用語

認証と認可
認証は名乗った相手が本人かを確かめること、認可は本人と分かった相手に何を許すかを決めること。認証が先、認可が後。ログインできることと、その情報を見てよいことは別である。
アクセス制御
誰が、どの情報資産に、どんな操作をしてよいかを定めて実施すること。読取り・書込み・実行・削除といった操作ごとに設定し、その結果をログに記録して事後に確認できるようにする。
任意アクセス制御(DAC)
情報の所有者(作成者)が自分の判断で他人に権限を与えられる方式。柔軟で身近だが、所有者の判断に委ねられるため、組織全体の方針を徹底しにくく、権限が広がりやすい。
強制アクセス制御(MAC)
システム全体の方針や機密ラベルに従って権限が決まり、情報の所有者でも変更できない方式。厳格な機密管理に向く一方、運用が硬く、業務の変化への柔軟な対応が難しい。
ロールベースアクセス制御(RBAC)
職務に応じたロールに権限をまとめ、利用者をロールに割り当てる方式。人事異動ではロールを付け替えるだけで済み、権限の棚卸しもロール単位で行えるため、企業で広く使われる。
最小権限の原則
業務の遂行に必要な最小限の権限だけを与え、不要になったら速やかに外すという原則。権限が広いほど、誤操作による事故も内部不正による被害も大きくなるため、まず絞ることを考える。
Need-to-Know
知る必要のある人だけが、必要な範囲の情報を知るという原則。最小権限の原則が「できること」を絞るのに対し、こちらは「知ってよい情報」を絞る。共有範囲の見直しに使う考え方。
職務分掌
申請と承認、開発と本番反映のように、不正が一人で完結しないよう役割と権限を分けること。相互牽制が働き、誤りの早期発見にもつながる。少人数の職場では代替の統制を検討する。
特権ID
システム管理者権限など、ほぼ何でもできてしまうID。共用せず個人に紐づける、必要なときだけ使う、貸出しと返却を記録する、操作ログを本人以外が点検する、といった厳重な管理を行う。
アカウントのライフサイクル
発行・変更・削除の一連の流れ。入社時は最小限で発行し、異動時は新しい権限の付与と同時に旧権限を外し、退職時は遅滞なく停止する。定期的な棚卸しで不要なアカウントと権限を洗い出す。
ディレクトリサービス
利用者・端末・権限などの情報を一元的に管理し、各システムから参照できるようにする基盤。1か所での登録や停止が全体に反映でき、シングルサインオンの土台にもなる。
ゼロトラスト
社内ネットワークだから安全という前提を置かず、すべてのアクセスを毎回検証する考え方。利用者と端末の確認、最小権限、通信の暗号化、継続的な監視を組み合わせる。境界防御を捨てる意味ではない。

例題

例題:営業部から経理部へ異動した社員について、アカウント管理で必ず行うべきことは何か。
答えと考え方 経理部の業務に必要な権限を与えると同時に、営業部で使っていた権限を必ず外すこと。付与だけ行って旧権限を残すと権限が積み上がり、最小権限の原則に反する状態になる。
例題:「ログインできたのだから、この共有フォルダの中身も見てよいはずだ」という主張のどこが誤りか。
答えと考え方 認証(本人と確かめること)と認可(何を許すか)を混同している。ログインの成功は本人であることを示すだけで、個々の資産を見てよいかは別に定められた認可の問題である。

出典・根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類4 情報セキュリティ対策(アクセス管理)/JIS Q 27002 アクセス制御

確認問題(35問)

四肢択一。「正解と解説」を開くと、正解の理由と他の選択肢が違う理由を確認できます。

問1|共通鍵

共通鍵暗号方式の説明として、最も適切なものはどれか。

  1. 暗号化と復号に同じ鍵を使い、公開鍵暗号方式よりも処理が速いので、大量のデータの暗号化に向いている。
  2. 暗号化と復号に異なる鍵を使い、暗号化に使う鍵は誰に公開してもよい方式である。
  3. 鍵を使わずに入力から固定長の値を求める一方向の計算であり、求めた値から元のデータに戻すことはできない。
  4. 利用者がn人いても必要な鍵は合計2n個で済むので、鍵の管理が容易である。
正解と解説
正解:A. 暗号化と復号に同じ鍵を使い、公開鍵暗号方式よりも処理が速いので、大量のデータの暗号化に向いている。

共通鍵暗号方式はAESに代表され、同じ鍵で暗号化と復号を行うため処理が速く、通信やファイルの本体の暗号化に使われる。選択肢2は公開鍵暗号方式の説明。選択肢3はハッシュ関数の説明で、鍵を使わないため暗号化ではない。選択肢4も公開鍵暗号方式の鍵の数であり、共通鍵暗号方式ではn(n-1)/2個が必要になる。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(暗号技術)

問2|鍵の数

50人の社員が互いに共通鍵暗号方式で暗号通信を行う。相手ごとに異なる鍵を用いるとき、必要な共通鍵は全部で何個か。

  1. 100個
  2. 1225個
  3. 2450個
  4. 4950個
正解と解説
正解:B. 1225個

共通鍵暗号方式で必要な鍵の数は n(n-1)/2 なので、50×49÷2=1225個となる。100個は同じ50人が公開鍵暗号方式を使った場合の 2n の値。2450個は50×49のまま2で割り忘れた値。4950個は100人の場合の n(n-1)/2 の値であり、いずれも誤り。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(暗号技術)

問3|鍵の数

50人の社員が公開鍵暗号方式を用いて相互に暗号通信を行う。全員が持つ鍵は合計で何個になるか。

  1. 1225個
  2. 2500個
  3. 50個
  4. 100個
正解と解説
正解:D. 100個

公開鍵暗号方式では1人が公開鍵と秘密鍵の2個を持つため、合計は 2n=2×50=100個になる。1225個は共通鍵暗号方式の n(n-1)/2 の値。50個は1人1個と誤ったもの。2500個は n の2乗であり、いずれも誤り。人数が増えるほど共通鍵方式より鍵の数を抑えられる点が公開鍵暗号方式の利点である。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(暗号技術)

問4|ハイブリッド

ハイブリッド暗号方式の説明として、最も適切なものはどれか。

  1. 二つのハッシュ関数を組み合わせて、衝突が起きにくいハッシュ値を作る方式である。
  2. データ本体は共通鍵暗号方式で暗号化し、その共通鍵を受信者の公開鍵で暗号化して渡す方式である。
  3. 同じデータを共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式で二重に暗号化し、解読の強度を高める方式である。
  4. データ本体をすべて公開鍵暗号方式で暗号化し、共通鍵を一切使わずに済ませる方式である。
正解と解説
正解:B. データ本体は共通鍵暗号方式で暗号化し、その共通鍵を受信者の公開鍵で暗号化して渡す方式である。

ハイブリッド暗号方式は、処理が速い共通鍵暗号方式でデータ本体を暗号化し、その共通鍵(セッション鍵)だけを受信者の公開鍵で暗号化して届ける方式で、速度と鍵配送問題の両方を解決する。TLSはこの方式である。選択肢1はハッシュ関数の話で暗号化ではない。選択肢3の二重暗号化や選択肢4のように本体を公開鍵暗号で処理する方式ではない。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(暗号技術)

問5|暗号化の鍵

AさんがBさんにだけ読めるように、公開鍵暗号方式で電子ファイルを暗号化して送る。Aさんが暗号化に使う鍵はどれか。

  1. Aさんの秘密鍵
  2. Aさんの公開鍵
  3. Bさんの公開鍵
  4. Bさんの秘密鍵
正解と解説
正解:C. Bさんの公開鍵

機密性を守るための暗号化は、受信者であるBさんの公開鍵で行う。対になるBさんの秘密鍵はBさんしか持たないので、Bさんだけが復号できる。Aさんの秘密鍵で変換するのはディジタル署名であって暗号化ではない。Aさんの公開鍵は誰でも入手できるため、それで暗号化しても誰も復号できず機密性も保てない。Bさんの秘密鍵はBさん本人しか持たないのでAさんには使えない。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(暗号技術)

問6|復号の鍵

公開鍵暗号方式で機密性を守るために暗号化された文書を受け取った受信者が、その文書を復号するときに使う鍵はどれか。

  1. 受信者自身の秘密鍵
  2. 受信者の公開鍵
  3. 送信者の秘密鍵
  4. 送信者の公開鍵
正解と解説
正解:A. 受信者自身の秘密鍵

暗号化に使われたのは受信者の公開鍵なので、復号できるのは対になる受信者の秘密鍵だけである。受信者の公開鍵は暗号化に使った鍵そのものであり、それで元に戻すことはできない。送信者の秘密鍵は送信者しか持たない。送信者の公開鍵はディジタル署名の検証に使う鍵であり、機密文書の復号には使わない。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(暗号技術)

問7|ハッシュ

ハッシュ関数の性質として、適切なものはどれか。

  1. 出力されたハッシュ値から、元のデータを計算によって復元することができる。
  2. 入力データが長くなるほど、出力されるハッシュ値の長さも比例して長くなる。
  3. 入力データが1文字でも変われば、出力されるハッシュ値は大きく変わる。
  4. 同じハッシュ値になる異なるデータを、計算によって容易に見つけることができる。
正解と解説
正解:C. 入力データが1文字でも変われば、出力されるハッシュ値は大きく変わる。

ハッシュ関数は入力がわずかに変わると出力が大きく変わるため、ファイルの改ざん検知に使える。選択肢1は一方向性に反しており復元はできない(だから暗号化ではない)。選択肢2も誤りで、入力の長さによらず出力は固定長になる(SHA-256なら256ビット)。選択肢4も誤りで、同じ値になる別データを見つけにくい衝突困難性が求められる。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(暗号技術)

問8|ソルト

パスワードをハッシュ値にして保存するシステムで、ソルトを用いる目的として最も適切なものはどれか。

  1. 保存されたハッシュ値から、必要なときに元のパスワードを計算によって復元できるようにするため
  2. 利用者ごとに保存されるハッシュ値が異なるようにし、事前計算した表による解読を防ぐため
  3. 1回のハッシュ計算にかかる時間をあえて長くして、総当たり攻撃が試せる速度を大きく落とすため
  4. 利用者が設定するパスワードの文字数を一定の長さにそろえるため
正解と解説
正解:B. 利用者ごとに保存されるハッシュ値が異なるようにし、事前計算した表による解読を防ぐため

ソルトは利用者ごとに異なるランダムな文字列をパスワードに付け加えてからハッシュ化する手法で、同じパスワードでも保存値が変わるため、事前計算したレインボーテーブルが使えなくなる。選択肢3は計算を何千回も繰り返すストレッチングの目的であり、ソルトとは別の対策。選択肢1はハッシュの一方向性に反する。選択肢4のような効果はない。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(暗号技術)

問9|ディスク暗号

社外に持ち出すノートPCに、記憶装置全体を暗号化する仕組みを導入した。この対策によって得られる効果として、最も適切なものはどれか。

  1. PCを紛失・盗難されたときに、記憶装置を取り出して中身を読み出されることを防げる。
  2. 利用者がログインした状態でマルウェアに感染しても、保存されたファイルを読み取られない。
  3. 電子メールに添付して送るファイルが、通信の経路上で第三者に盗み見られることを防げる。
  4. 権限のない社内の利用者が、そのPC上の他人のファイルを開くことを防げる。
正解と解説
正解:A. PCを紛失・盗難されたときに、記憶装置を取り出して中身を読み出されることを防げる。

ディスク全体の暗号化は、起動時の認証を通らなければ内容を読み出せないため、紛失・盗難時の情報漏えい対策として有効である。選択肢2は誤りで、正規にログインした後はデータが復号されて読める状態になるためマルウェア対策にはならない。選択肢3は通信の暗号化やファイル単位の暗号化の役目。選択肢4はアクセス制御で実現するものである。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類4 情報セキュリティ対策(情報漏えい対策・暗号化)

問10|危殆化

暗号の危殆化に対する備えとして、最も適切なものはどれか。

  1. 利用者に対して、パスワードを定期的に変更するよう義務付け、使い回しを禁止する。
  2. 採用している暗号方式と鍵長の安全性を定期的に評価し、必要になれば新しい方式へ移行できるようにしておく。
  3. 暗号化するとデータを取り出せなくなる恐れがあるので、暗号化した文書とは別に平文の控えを必ず保管しておく。
  4. 運用が不安定になるのを避けるため、一度採用した暗号方式と鍵長をそのまま使い続ける。
正解と解説
正解:B. 採用している暗号方式と鍵長の安全性を定期的に評価し、必要になれば新しい方式へ移行できるようにしておく。

危殆化とは、計算機の性能向上や方式の弱点発見によって暗号が安全でなくなることをいう。方式や鍵長を定期的に見直し、移行できる体制を保つことが備えとなり、量子コンピュータを見据えた耐量子計算機暗号への移行検討もこれに当たる。選択肢1はパスワード運用の話で暗号の危殆化とは別。選択肢3は平文の控えを残す時点で機密性を損なう。選択肢4は危険な放置であり誤り。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(暗号技術)

問11|署名の鍵

送信者が電子文書にディジタル署名を付ける。署名の作成に使う鍵はどれか。

  1. 受信者の公開鍵
  2. 受信者の秘密鍵
  3. 送信者の公開鍵
  4. 送信者の秘密鍵
正解と解説
正解:D. 送信者の秘密鍵

ディジタル署名は、文書のハッシュ値を送信者の秘密鍵で変換して作る。秘密鍵を持つのは本人だけなので、本人が作成したことと改ざんがないことを示せる。受信者の公開鍵で行うのは機密性のための暗号化であって署名ではない。受信者の秘密鍵は受信者しか持たない。送信者の公開鍵は署名の検証に使う鍵であり、作成には使えない。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・公開鍵基盤)

問12|署名の検証

ディジタル署名の付いた電子文書を受け取った受信者が、その署名を検証するときに使う鍵はどれか。

  1. 送信者の秘密鍵
  2. 受信者の公開鍵
  3. 送信者の公開鍵
  4. 受信者の秘密鍵
正解と解説
正解:C. 送信者の公開鍵

署名は送信者の秘密鍵で作られているので、対になる送信者の公開鍵で検証する。送信者の秘密鍵は本人しか持たないため受信者は使えない。受信者の公開鍵は送信者が機密性のために暗号化するときの鍵、受信者の秘密鍵は自分あての暗号文を復号するときの鍵であり、いずれも署名の検証には使わない。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・公開鍵基盤)

問13|署名と暗号

AさんがBさんへ、他人には読まれないようにし、かつ自分が作成したことを示せる形で文書を送りたい。AさんとBさんの公開鍵が互いに入手済みであるとき、鍵の使い方として適切なものはどれか。

  1. Aは自分の公開鍵で署名し、Bの秘密鍵で暗号化する。Bは自分の公開鍵で復号し、Aの秘密鍵で検証する。
  2. AはBの公開鍵で署名し、自分の秘密鍵で暗号化する。BはAの公開鍵で復号し、自分の秘密鍵で検証する。
  3. Aは自分の秘密鍵で署名し、Bの公開鍵で暗号化する。Bは自分の秘密鍵で復号し、Aの公開鍵で検証する。
  4. Aは自分の秘密鍵で署名し、自分の公開鍵で暗号化する。Bは自分の秘密鍵で復号し、自分の公開鍵で検証する。
正解と解説
正解:C. Aは自分の秘密鍵で署名し、Bの公開鍵で暗号化する。Bは自分の秘密鍵で復号し、Aの公開鍵で検証する。

署名は送信者Aの秘密鍵で作り、Aの公開鍵で検証する。暗号化は受信者Bの公開鍵で行い、Bの秘密鍵で復号する。この二つの向きを満たすのは三番目だけである。他の三つは、相手の秘密鍵を使う(本人しか持たないので不可能)、自分の公開鍵で暗号化する(誰も復号できない)など、いずれかの向きが逆になっており成立しない。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・公開鍵基盤)

問14|署名の効果

ディジタル署名だけを付けて(暗号化はせずに)送った電子メールについて、言えることはどれか。

  1. 本文の内容が、通信経路上で第三者に盗み見られることを防げる。
  2. 受信者が本文を書き換えたうえで、送信者が書いたものだと主張できる。
  3. 送信者が後から、そのメールを送っていないと主張することが容易になる。
  4. 本文が途中で書き換えられていないことを、受信者が確認できる。
正解と解説
正解:D. 本文が途中で書き換えられていないことを、受信者が確認できる。

ディジタル署名で分かるのは、改ざんの検知(完全性)、送信者が本人であること、そして否認防止の三つである。本文は平文のまま送られるので、盗み見を防ぐこと(機密性)はできず、中身も隠すなら受信者の公開鍵で暗号化する必要がある。受信者が本文を書き換えれば検証が通らなくなるため、書き換えて送信者のものと主張することもできない。署名はむしろ否認を封じる仕組みである。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・公開鍵基盤)

問15|MAC

メッセージ認証符号(MAC)とディジタル署名を比べたとき、MACでは実現できないものはどれか。

  1. 送信者が後から送信の事実を否定できないようにすること
  2. メッセージが通信の途中で改ざんされていないことを確認できること
  3. 鍵を共有している相手からのメッセージであることを確認できること
  4. 処理が軽く、通信のたびに繰り返し検証できる手軽さがあること
正解と解説
正解:A. 送信者が後から送信の事実を否定できないようにすること

MACは送受信者が共有する秘密鍵から作るため、受信者も同じ値を作れてしまい、第三者に対して「送信者しか作れない」と示せない。したがって否認防止はできない。改ざんの検知、鍵を共有している相手であることの確認はでき、処理も軽い。否認防止まで必要な場合は、本人しか持たない秘密鍵を使うディジタル署名を用いる。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・公開鍵基盤)

問16|証明書

ディジタル証明書(公開鍵証明書)の役割として、最も適切なものはどれか。

  1. 利用者の秘密鍵を認証局がまとめて預かり、紛失したときに再発行できるようにする。
  2. 通信内容そのものを暗号化して、通信経路上で盗聴や改ざんをされないようにする。
  3. その公開鍵が確かに記載された持ち主のものであることを、認証局の署名によって保証する。
  4. 配布されるファイルがマルウェアに感染していないことを検査して保証する。
正解と解説
正解:C. その公開鍵が確かに記載された持ち主のものであることを、認証局の署名によって保証する。

ディジタル証明書は、公開鍵と持ち主の情報に認証局(CA)が自らの秘密鍵で署名した電子的な身分証明書であり、受け取った公開鍵が本人のものだと確認できる。秘密鍵は本人だけが厳重に保管するものでCAに預けるものではない。通信内容の暗号化はTLSなどが行い、証明書は相手の正当性の確認に使う。マルウェアの有無を保証する機能はない。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・公開鍵基盤)

問17|ルート証明書

ルート証明書に関する記述として、適切なものはどれか。

  1. 利用者ごとに認証局が発行するもので、個人を識別するために使われる証明書である。
  2. 有効期限が切れた証明書を、認証局が定期的に一覧にまとめて公開しているものである。
  3. サーバとの通信を暗号化するための共通鍵を、利用者の端末に格納しておくものである。
  4. 認証局が自分自身に対して発行した自己署名証明書であり、信頼の起点となる。
正解と解説
正解:D. 認証局が自分自身に対して発行した自己署名証明書であり、信頼の起点となる。

ルート証明書は証明書チェーンの頂点にあり、認証局が自分自身に署名した自己署名証明書で、OSやブラウザにあらかじめ組み込まれて信頼の起点となる。だからこそ出所不明のルート証明書を入れると、偽サイトを本物と信じてしまう危険がある。個人を識別する証明書は利用者証明書。証明書の一覧に見える記述は失効リスト(CRL)に近いが、CRLは期限切れではなく期限前に失効させたものの一覧である。共通鍵は含まれない。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・公開鍵基盤)

問18|失効確認

ディジタル証明書が有効期限内であっても、失効していないかを確認する必要がある。この確認に用いる仕組みの組合せとして適切なものはどれか。

  1. SPFとDKIM
  2. CRLとOCSP
  3. SAMLとOAuth
  4. AESとRSA
正解と解説
正解:B. CRLとOCSP

秘密鍵の漏えいや退職などにより、証明書は有効期限前に失効することがある。失効した証明書の一覧がCRL(証明書失効リスト)、1件ずつオンラインで状態を問い合わせる方式がOCSPである。SPFとDKIMは電子メールの送信元を確かめる仕組み、SAMLとOAuthはシングルサインオンや権限委譲の規格、AESとRSAは暗号方式そのものであり、いずれも失効の確認には使わない。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・公開鍵基盤)

問19|HTTPS

取引先のWebサイトへアクセスしたところ、URLがhttps://で始まり、サーバ証明書も正しく検証された。この状態から言えることとして、最も適切なものはどれか。

  1. そのサイトに入力した情報が、通信経路上で盗み見られにくくなっている。
  2. そのサイトを運営する組織の情報管理体制が適切であることが保証されている。
  3. そのサイトから入手するファイルにマルウェアが含まれていないことが保証されている。
  4. そのサイトの運営者が経営的に優良な企業であると認証局が保証している。
正解と解説
正解:A. そのサイトに入力した情報が、通信経路上で盗み見られにくくなっている。

HTTPSはTLSによって通信を暗号化し、サーバ証明書で接続先が証明書に記載されたサーバであることを確認するので、経路上の盗聴や改ざんに強くなる。しかし証明書が示すのは相手の識別と身元であり、情報管理体制の適切さ、配布ファイルの安全性、企業の経営状態を保証するものではない。フィッシングサイトもHTTPSを利用できる点に注意が必要である。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・公開鍵基盤)

問20|DV OV EV

サーバ証明書のDV・OV・EVの違いに関する説明として、適切なものはどれか。

  1. EVになるほど、通信に使われる暗号アルゴリズムの強度と鍵長が大きくなり、通信が安全になる。
  2. EVになるほど、証明書の有効期限が長く設定される仕組みになっている。
  3. 認証局が確認する申請者の身元の厳しさが異なり、DVはドメイン名の管理権だけを確認する。
  4. DVは無料でOVとEVは有料であるという、発行にかかる料金だけの違いである。
正解と解説
正解:C. 認証局が確認する申請者の身元の厳しさが異なり、DVはドメイン名の管理権だけを確認する。

DV・OV・EVの違いは、認証局が行う身元確認の厳しさである。DVはドメイン名の管理権のみを確認し、OVは組織の実在も確認し、EVはさらに厳格な審査を行う。種類によって暗号アルゴリズムや鍵長が変わるわけではなく、有効期限が種類で決まるものでもない。料金差は審査の手間の結果であって、違いの本質は審査内容そのものである。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・公開鍵基盤)

問21|認証3要素

利用者認証の3要素のうち、「所持」による認証に当たるものはどれか。

  1. 利用者があらかじめ記憶しているパスワードを、画面に表示されない形で入力する。
  2. 利用者のスマートフォンのアプリに表示されたワンタイムパスワードを入力する。
  3. 利用者の指紋を専用の読み取り機で読み取って、あらかじめ登録された特徴と照合する。
  4. 利用者があらかじめ登録しておいた秘密の質問に対して、本人が答えの文字列を入力する。
正解と解説
正解:B. 利用者のスマートフォンのアプリに表示されたワンタイムパスワードを入力する。

認証の3要素は、知識(本人だけが知っていること)、所持(本人だけが持っているもの)、生体(本人自身の特徴)である。所持に当たるのはスマートフォンのアプリやICカード、ハードウェアトークンを使う方式。パスワードと秘密の質問はどちらも知識、指紋の照合は生体である。異なる要素を組み合わせると多要素認証になる。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・利用者認証)

問22|多要素認証

次のうち、多要素認証に該当するものはどれか。

  1. パスワードを入力した後、あらかじめ本人が登録しておいた秘密の質問に答える。
  2. パスワードを入力した後、それとは別に定めておいた第2のパスワードを入力する。
  3. 利用者IDとパスワードを入力した後、本人のICカードを読取り機にかざす。
  4. パスワードを入力した後、本人の生年月日と社員番号を入力する。
正解と解説
正解:C. 利用者IDとパスワードを入力した後、本人のICカードを読取り機にかざす。

多要素認証は、知識・所持・生体のうち異なる要素を2つ以上組み合わせる方式で、パスワード(知識)とICカード(所持)の組合せが該当する。秘密の質問、第2のパスワード、生年月日や社員番号はいずれも知識であり、確認の手順を2回に分けている点で二段階認証ではあるが、要素は1種類のままなので多要素認証ではない。この区別が試験でよく問われる。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・利用者認証)

問23|FRRとFAR

生体認証装置で、他人を誤って本人と認めてしまう事故を減らすために、照合の判定を厳しく設定した。このときの本人拒否率(FRR)と他人受入率(FAR)の変化として正しいものはどれか。

  1. FRRは上がり、FARは下がる。
  2. FRRは下がり、FARは上がる。
  3. FRRとFARがともに下がる。
  4. FRRとFARがともに上がる。
正解と解説
正解:A. FRRは上がり、FARは下がる。

判定を厳しくすると、他人を受け入れにくくなる代わりに、本人も弾かれやすくなる。つまり他人受入率(FAR)は下がり、本人拒否率(FRR)は上がる。両者はしきい値を挟んだトレードオフの関係にあるため、ともに下がることも、ともに上がることもない。機密区域の入退室のように安全を優先する場面では、本人が入れない不便を承知でFARを下げる設定にする。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・利用者認証)

問24|EER

生体認証装置AとBを比較したところ、装置Aの方がEER(等誤り率)が小さかった。この事実から言えることとして、最も適切なものはどれか。

  1. 装置Aは、しきい値をどのように設定しても本人拒否がまったく起こらない装置である。
  2. 装置Aは、しきい値の設定にかかわらず他人受入率が常に0である。
  3. 装置Aは、装置Bよりも照合にかかる処理速度が速い。
  4. 装置Aは、本人拒否率と他人受入率を合わせた総合的な精度が装置Bより高い。
正解と解説
正解:D. 装置Aは、本人拒否率と他人受入率を合わせた総合的な精度が装置Bより高い。

EERは本人拒否率(FRR)と他人受入率(FAR)が等しくなる点の誤り率で、装置どうしの総合的な精度を比べる目安になり、値が小さいほど精度が高い。ただし誤りが0になるわけではないので、本人拒否が起こらないとも、他人受入率が常に0とも言えない。EERは精度の指標であり、処理速度とは関係しない。実際の運用では用途に応じてしきい値をずらして使う。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・利用者認証)

問25|OTP

ワンタイムパスワードを導入することで得られる効果として、最も適切なものはどれか。

  1. 利用者が日ごろから覚えておくべきパスワードの文字数と種類を減らすことができる。
  2. 利用者の端末がマルウェアに感染することを防ぐことができる。
  3. 認証サーバに保存された利用者の情報が外部へ漏えいすることを防ぐことができる。
  4. 盗聴などでその1回分の入力値を知られても、次回以降のログインには使えない。
正解と解説
正解:D. 盗聴などでその1回分の入力値を知られても、次回以降のログインには使えない。

ワンタイムパスワードは一度しか使えない使い捨てのパスワードなので、盗聴や盗み見で値を知られても再利用されない。覚える文字数を減らすためのものではなく、多くは専用アプリやトークンが値を生成する。端末のマルウェア感染や、認証サーバからの情報漏えいそのものを防ぐ仕組みでもない。似た狙いの方式に、パスワード自体を通信路に流さないチャレンジレスポンス認証がある。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・利用者認証)

問26|PW運用

業務システムのパスワードの扱い方として、最も適切なものはどれか。

  1. 十分な長さのパスワードを設定し、他のサービスとは使い回さない。
  2. 覚えやすいので、他のサービスで使っているパスワードをそのまま使う。
  3. 忘れないように、パスワードを付箋に書いてディスプレイに貼っておく。
  4. 部署内で一つのIDとパスワードを共有し、全員が同じアカウントでログインする。
正解と解説
正解:A. 十分な長さのパスワードを設定し、他のサービスとは使い回さない。

パスワードは十分な長さを確保することが破られにくさに最も効き、使い回しをやめることがパスワードリスト攻撃への対策になる。覚えきれない分はパスワードマネージャで管理する。使い回しは1か所の漏えいが全サービスに波及し、付箋での掲示はのぞき見を招く。IDの共有は誰の操作かを追跡できなくするため、アカウント管理の原則に反する。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・利用者認証)

問27|リスクベース

普段と異なる国からのアクセスや、いつもと違う端末からのログインを検知したときにだけ、追加の本人確認を求める方式はどれか。

  1. リスクベース認証
  2. シングルサインオン
  3. チャレンジレスポンス認証
  4. CAPTCHA
正解と解説
正解:A. リスクベース認証

リスクベース認証は、端末・地域・時刻などの状況から危険度を判断し、危険と判断したときだけ追加の確認を求める方式で、通常時の利便性を保ちながら不正ログインを抑えられる。シングルサインオンは1回の認証で複数のシステムを利用できる仕組み。チャレンジレスポンス認証は毎回異なる乱数を用いてパスワードを流さない方式。CAPTCHAは人間か自動プログラムかを判定する仕組みである。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・利用者認証)

問28|パスキー

FIDO2やパスキーによる認証が、従来のパスワード認証よりも安全とされる理由として、最も適切なものはどれか。

  1. 利用者が入力したパスワードを、従来よりも強力な暗号方式で暗号化してから認証サーバへ送信するから
  2. サーバ側にパスワードのような共有の秘密が保存されず、正規のサイト以外には署名を返さないから
  3. パスワードの有効期限を短く設定して、利用者に頻繁な変更を促す仕組みになっているから
  4. 認証に使う秘密鍵を、認証サーバがまとめて集中管理して保護しているから
正解と解説
正解:B. サーバ側にパスワードのような共有の秘密が保存されず、正規のサイト以外には署名を返さないから

FIDO2やパスキーは、利用者の端末内に保管した秘密鍵で署名を返す方式である。サーバ側に共有の秘密が保存されないため、サーバから情報が漏れても悪用されず、正規のサイト以外には署名を返さない作りのためフィッシングにも強い。パスワードを暗号化して送るのではなく、そもそもパスワードを使わない。秘密鍵は端末が保持し、サーバが集中管理するものでもない。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類1 情報セキュリティ(認証技術・利用者認証)

問29|認証と認可

認証と認可の関係の説明として、最も適切なものはどれか。

  1. 認可によって本人であることを確かめ、その後の認証で操作できる範囲を決める。
  2. 認証によって本人であることを確かめ、認可によってその人に許す操作の範囲を決める。
  3. 認証と認可は同じ意味であり、ログインに成功すればすべての情報を利用できる。
  4. 認可はネットワーク機器が行い、認証はアプリケーションが行うという実装場所の違いである。
正解と解説
正解:B. 認証によって本人であることを確かめ、認可によってその人に許す操作の範囲を決める。

認証は名乗った相手が本人かを確かめること、認可は本人と分かった相手に何を許すかを決めることで、順番は認証が先、認可が後である。一つ目の選択肢は両者を入れ替えた誤り。ログインできることと個々の情報を見てよいことは別であり、人事情報は人事部だけといった線引きが認可の役目である。実装場所で決まる区別でもない。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類4 情報セキュリティ対策(アクセス管理)

問30|RBAC

ロールベースアクセス制御(RBAC)の説明として、適切なものはどれか。

  1. 情報の所有者が、自分の判断で他の利用者に権限を与えることができる方式である。
  2. 機密ラベルに従って権限が決まり、情報の所有者であっても変更できない方式である。
  3. 職務に応じたロールに権限をまとめ、利用者をロールに割り当てる方式である。
  4. 利用者ごとに、ファイル一つひとつに対して個別に権限を設定していく方式である。
正解と解説
正解:C. 職務に応じたロールに権限をまとめ、利用者をロールに割り当てる方式である。

RBACは職務ごとのロールに必要な権限をまとめ、人をロールに割り当てる方式で、人事異動のときはロールを付け替えるだけで済み、権限の棚卸しもロール単位で行える。一つ目は任意アクセス制御(DAC)、二つ目は強制アクセス制御(MAC)の説明である。四つ目の個別設定はロールという考え方を用いていないためRBACではなく、人数が増えると管理しきれなくなる。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類4 情報セキュリティ対策(アクセス管理)/JIS Q 27002 アクセス制御

問31|最小権限

新しい業務システムの利用権限を決めるとき、最小権限の原則に沿った考え方はどれか。

  1. 後から追加申請する手間が生じないよう、業務に必要な範囲より広めの権限を与えておく。
  2. 同じ部署の全員に、部長と同じ権限をまとめて与える。
  3. 権限の設定に迷ったときは、とりあえずすべての機能を使える管理者権限を与えておく。
  4. 担当する業務の遂行に必要な範囲だけの権限を与え、不要になったら速やかに外す。
正解と解説
正解:D. 担当する業務の遂行に必要な範囲だけの権限を与え、不要になったら速やかに外す。

最小権限の原則は、業務に必要な最小限の権限だけを与え、必要がなくなったら速やかに外すという考え方である。権限が広いほど、誤操作による事故も内部不正による被害も大きくなる。念のため広めに与える、部署全員に上位者と同じ権限を与える、迷ったら管理者権限を与えるという運用は、いずれも権限の過剰付与であり原則に反する。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類4 情報セキュリティ対策(アクセス管理)

問32|職務分掌

支払処理の担当者が、自分で支払データを登録し、自分でその承認もできる状態になっていた。この状態が問題である理由として、最も適切なものはどれか。

  1. 不正や誤りが一人で完結してしまい、相互牽制が働かないから
  2. 処理の件数が一人の担当者に集中し、その負荷が高くなってしまうから
  3. 同じ人が続けて処理を行うことでシステムの応答速度が低下するから
  4. 登録用と承認用で利用者IDが二つ必要になり、管理の手間が増えるから
正解と解説
正解:A. 不正や誤りが一人で完結してしまい、相互牽制が働かないから

申請する人と承認する人を分けるのが職務分掌であり、役割と権限を分けることで不正が一人で完結しないようにし、誤りも第三者の目で見つけられるようにする。設問の状態ではこの相互牽制が働かない。担当者の負荷、システムの応答速度、IDの管理の手間はいずれも効率の話であって、統制上の問題点を説明していない。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類4 情報セキュリティ対策(アクセス管理)/JIS Q 27002 アクセス制御

問33|特権ID

システム管理者が使用する特権IDの管理として、最も適切なものはどれか。

  1. 作業を素早く行えるよう、管理者どうしで一つの特権IDを共有する。
  2. 手間を省くため、日常の一般業務も含めてすべての作業を常に特権IDでログインして行う。
  3. 通常は一般利用者のIDで作業し、必要なときだけ申請と記録のうえで特権IDを使う。
  4. 操作ログは作業した本人が確認すれば十分なので、他者による点検は省略する。
正解と解説
正解:C. 通常は一般利用者のIDで作業し、必要なときだけ申請と記録のうえで特権IDを使う。

特権IDはほぼ何でもできてしまうため、必要なときだけ使い、貸出しと返却や作業内容を記録することが原則である。IDを共有すると誰の操作か追跡できなくなる。常時特権IDで作業すると、誤操作やマルウェア感染時の被害が一気に広がる。操作ログは本人以外が点検してこそ牽制が働くので、本人の確認だけでは不十分である。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類4 情報セキュリティ対策(アクセス管理)

問34|異動時

社員が営業部から経理部へ異動した。アカウント管理として必ず行うべきことはどれか。

  1. 経理部で必要となる権限を追加し、営業部で使っていた権限はそのまま残しておく。
  2. 引継ぎの期間があるため、権限の見直しは異動から半年後に他の人の分とまとめて行う。
  3. 本人から業務上の不都合の申し出があるまで、権限の変更は特に行わないでおく。
  4. 経理部の業務に必要な権限を与えると同時に、営業部で使っていた権限を外す。
正解と解説
正解:D. 経理部の業務に必要な権限を与えると同時に、営業部で使っていた権限を外す。

異動時は、新しい部署の権限を与えるのと同時に、前の部署の権限を必ず外す。付与だけを行うと権限が積み上がり(権限の残留)、最小権限の原則に反する状態になる。見直しを先送りしたり本人の申し出を待ったりすれば、その間ずっと不要な権限が残る。退職時も同様に、遅滞なくアカウントを停止することが求められる。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類4 情報セキュリティ対策(アクセス管理)

問35|ゼロトラスト

ゼロトラストの考え方に基づく対策として、最も適切なものはどれか。

  1. 社内ネットワークからのアクセスは信頼できるものとして、認証を省略する。
  2. 社内か社外かを問わず、アクセスのたびに利用者と端末を検証し、与える権限は最小限にする。
  3. ファイアウォールを撤去し、通信の制御を一切行わないようにする。
  4. 社外からのアクセスをすべて禁止し、出社した社員だけがシステムを使えるようにする。
正解と解説
正解:B. 社内か社外かを問わず、アクセスのたびに利用者と端末を検証し、与える権限は最小限にする。

ゼロトラストは「社内だから安全」という前提を置かず、すべてのアクセスを検証する考え方で、利用者と端末の確認、最小権限、通信の暗号化、継続的な監視を組み合わせる。一つ目は境界の内側を信頼する従来型の前提そのもの。三つ目は誤解で、境界防御をやめる意味ではなく内側も信用しない前提を加えるもの。四つ目は社外アクセスの全面禁止であり、ゼロトラストとは別の発想である。

根拠:IPA「情報セキュリティマネジメント試験(レベル2)」シラバス Ver.4.1 科目A 大分類1:技術要素 中分類1:セキュリティ 小分類4 情報セキュリティ対策(アクセス管理)

演習:この章の問題を解く

ランダム出題の演習ツールです(JavaScript が有効な場合に動きます)。上の「確認問題」はそのままでもすべて読めます。

※ 解説は学習用の情報提供です。最新の出題範囲・制度は必ずIPAの公式発表をご確認ください。
※ 出題はIPA公開のシラバスVer.4.1(2025年4月17日適用)に沿った仮の宿 学習室のオリジナル問題です。試験制度・実施要項はIPAの公式発表をご確認ください(2027年度春ごろに新試験制度へ移行予定)。