2財モデルにおける限界代替率(MRS)の標準的な定義として最も適切なものはどれか。
- 所得が1単位増えたときの効用の増加分
- 2財の市場価格の比率
- 効用水準を一定に保ったまま、財xを1単位追加するために手放してもよい財yの量
- 財xの限界効用そのもの
MRSは無差別曲線の接線の傾きの絶対値で、MUx/MUyに等しい。効用を一定に保つ2財の主観的な交換比率であり、市場で決まる価格比(客観的交換比率)とは区別される。効用最大化の内点解では両者が一致することになる。
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消費者理論からゲーム理論・情報の経済学まで
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2財モデルにおける限界代替率(MRS)の標準的な定義として最も適切なものはどれか。
MRSは無差別曲線の接線の傾きの絶対値で、MUx/MUyに等しい。効用を一定に保つ2財の主観的な交換比率であり、市場で決まる価格比(客観的交換比率)とは区別される。効用最大化の内点解では両者が一致することになる。
予算制約下の効用最大化(内点解)で成立する条件はどれか。ただしpx、pyは2財の価格とする。
最適点では無差別曲線と予算線が接し、MRS=px/py、すなわちMUx/px=MUy/py(加重限界効用均等の法則)が成立する。限界効用そのものではなく「1円当たりの限界効用」が均等化する点に注意。端点解ではこの条件が等号で成立しないこともある。
効用関数U=xy、所得120、財xの価格2、財yの価格4のとき、効用を最大化する消費量(x, y)はどれか。
コブ=ダグラス型U=xyでは所得を各財に等分(60ずつ)配分する。x=60/2=30、y=60/4=15。検算するとMRS=y/x=15/30=1/2が価格比2/4と一致し、支出も2×30+4×15=120で予算を満たす。(15,30)は2財の価格の対応を取り違えた典型的な誤りである。
価格変化の効果を分解するスルツキー分解において、「代替効果」の説明として最も適切なものはどれか。
価格低下の総効果は、相対価格の変化による代替効果と、実質所得の増加による所得効果に分解できる。代替効果は常に価格変化と逆方向(安くなった財を増やす)に働く一方、所得効果の符号は正常財か劣等財かで異なる。この符号の違いがギッフェン財の理解につながる。
価格が下落すると需要量がかえって減少する「ギッフェン財」が成立するための条件として正しいものはどれか。
ギッフェン財は劣等財の極端なケースで、価格下落時に代替効果(需要増)を負の所得効果(需要減)が上回るときに生じる。すべてのギッフェン財は劣等財だが、劣等財の多くはギッフェン財ではない。実証例は乏しく、ジェンセン=ミラーによる中国の主食の研究などが候補とされる。
需要関数がQ=100−2Pで与えられるとき、価格P=20における需要の価格弾力性(絶対値)はいくらか。
弾力性=|dQ/dP|×P/Q。P=20のときQ=100−40=60なので、2×20/60=2/3。傾きの2をそのまま答えるのはP/Qを掛け忘れた典型的な誤りで、3/2は比率を逆にした誤り。線形の需要曲線上では点によって弾力性が変化することにも注意したい。
所得が増加すると需要が減少する財について、需要の所得弾力性の符号として正しいものはどれか。
所得弾力性が負の財を劣等財、正の財を正常財(上級財)と呼ぶ。正常財のうち弾力性が1を超えるものを奢侈品、0〜1のものを必需品と分類することが多い。同じ財でも所得水準や社会状況によって分類は変わりうる、相対的な概念である。
カーネマン=トヴェルスキーのプロスペクト理論が主張する内容として最も適切なものはどれか。
プロスペクト理論は参照点依存・損失回避・確率加重を特徴とし、期待効用理論からの系統的な乖離を説明する。一方、標準理論の側からは、市場経験や学習でアノマリーは縮小するという実証や、集計レベルでは標準モデルが良い近似だとする反論もあり、評価は分かれている。
完全競争市場における企業の短期の利潤最大化条件(内点解)はどれか。
完全競争企業は価格受容者なので限界収入は価格に等しく、P=MCが利潤最大化条件となる。P=ACは損益分岐点、P=AVCは操業停止点の条件であり混同しやすい。短期では価格が平均可変費用を下回ると、生産をやめる方が損失は小さくなる。
完全競争企業の費用関数がC(q)=q²+4、市場価格が10のとき、利潤最大化時の利潤はいくらか。
MC=2q=10よりq=5。利潤=収入−総費用=10×5−(5²+4)=50−29=21。25は固定費4を引き忘れた典型的な誤りで、46は可変費用を引き忘れた値。固定費は最適生産量の決定には影響しないが、利潤の水準には影響する点に注意。
費用関数C(q)=q²+4を持つ同質企業が自由に参入退出できる完全競争市場の長期均衡価格はいくらか。
長期均衡では参入退出により利潤がゼロになり、価格は平均費用の最小値に等しくなる。AC=q+4/qを最小化するとq=2で、AC=2+4/2=4。検算するとMC=2q=4もこの点でACと一致する。2は最適生産量qを価格と取り違えた誤りである。
「規模の経済」の説明として最も適切なものはどれか。
規模の経済は長期平均費用が生産量とともに低下する状況を指し、固定費の分散や分業などが要因となる。複数財の同時生産による費用低下は「範囲の経済」、要素投入と生産量が比例するのは「規模に関して収穫一定」であり、それぞれ区別される。
限界費用曲線(MC)と平均費用曲線(AC)の関係として正しいものはどれか。
MC<ACのときACは低下し、MC>ACのときACは上昇するため、MC曲線はAC曲線の最小点を必ず通過する。平均より低い追加項目は平均を下げるという、平均と限界の一般的関係として理解できる。平均可変費用AVCについても同様に、MCはその最小点を通る。
需要曲線P=12−Q、限界費用0の独占企業が利潤を最大化するときの価格はいくらか。
独占の利潤最大化条件はMR=MC。MR=12−2Q=0よりQ=6、価格はP=12−6=6。検算すると収入PQ=(12−Q)QはQ=6で最大の36になる。完全競争ならP=MC=0、クールノー複占なら各企業4ずつ生産しP=4となり、市場構造によって価格が段階的に変わる標準例である。
需要曲線がP=100−Qで市場価格が40のとき、消費者余剰はいくらか。
価格40のとき需要量はQ=60。消費者余剰は需要曲線と価格線の間の三角形の面積で、1/2×底辺60×高さ(100−40)=1800。3600は1/2を掛け忘れた典型的な誤りで、1200は高さを価格の40と取り違えた誤りである。余剰分析は税や規制の厚生評価の基礎となる。
厚生経済学の第一基本定理の内容として最も適切なものはどれか。
第一定理は、完全競争・外部性なし・完備市場などの条件下で、市場均衡がパレート効率的になることを示す。効率性のみを保証し、分配の公平性については何も述べない点が重要。外部性や情報の非対称性など前提が崩れる場合には、市場の失敗が生じうる。
厚生経済学の第二基本定理の内容として最も適切なものはどれか。
第二定理は、凸性などの条件下で、初期保有の一括移転と市場メカニズムの組合せにより、望ましいパレート効率的配分を達成できるとする。「効率」と「分配」を分離できる理論的根拠とされる一方、現実には歪みのない一括移転の実行が難しいという限界も指摘されている。
「パレート効率的な状態」の定義として正しいものはどれか。
パレート効率性は資源配分に無駄がないことを表す概念で、分配の公平性とは独立である。極端に不平等な配分もパレート効率的でありうるため、社会的な望ましさの評価には社会厚生関数など別の基準が必要になる、という点が頻出の論点である。
需要曲線P=20−Q、供給曲線P=Qの市場で、生産者に1単位当たり4の従量税を課すときの死荷重(超過負担)はいくらか。
課税前の均衡はQ=10。課税後は20−Q=Q+4よりQ=8に減少する。死荷重=1/2×税率4×取引量の減少2=4。8は1/2を掛け忘れた誤りで、32は税収(4×8)との混同である。死荷重は課税で失われた取引の余剰を表し、需要・供給が弾力的なほど大きくなる。
カード=クルーガー(1994)がニュージャージー州の最低賃金引上げを自然実験として分析した研究の結果はどれか。
完全競争モデルは最低賃金引上げによる雇用減少を予測するが、カード=クルーガーはファストフード店の州間比較で減少を確認しなかった。買手独占(モノプソニー)モデルなら雇用増もありうる。一方、ニューマーク=ワッシャーらは負の効果を報告しており、実証結果は現在も割れている。
厚生経済学の基本定理の前提に対して、行動経済学の立場から向けられる代表的な指摘はどれか。
基本定理は整合的な選好と合理的選択を前提とするが、行動経済学は先延ばしやフレーミング効果など系統的な逸脱を実証してきた。他方、新古典派の側からは、逸脱は市場競争や学習で緩和される、政府介入にも失敗やパターナリズムの問題があるという反論があり、決着はついていない。
ナッシュ均衡の定義として最も適切なものはどれか。
ナッシュ均衡では誰も単独で戦略を変える誘因を持たない。社会的に最適(利得合計が最大)とは限らない点が重要で、囚人のジレンマはナッシュ均衡がパレート非効率になる代表例である。均衡は複数存在することも、純粋戦略では存在しないこともある。
2人が協力(C)か裏切り(D)を選ぶ。利得は(C,C)=(3,3)、(C,D)=(0,5)、(D,C)=(5,0)、(D,D)=(1,1)。このゲームのナッシュ均衡はどれか。
相手がCなら自分はDで5>3、相手がDでもDで1>0となるため、Dは両者の支配戦略であり(D,D)が唯一のナッシュ均衡。その利得(1,1)は(C,C)の(3,3)にパレート支配されており、個人の合理性と社会的な効率が乖離する典型例である。検算として各セルからの逸脱を確認するとよい。
ゲーム理論における「支配戦略」の定義として正しいものはどれか。
支配戦略は相手の行動に依存せず最適となる戦略で、存在すれば合理的プレイヤーは必ずそれを選ぶ。支配戦略の組は必ずナッシュ均衡になるが、逆にナッシュ均衡が支配戦略で構成されるとは限らない。支配される戦略の逐次消去は、均衡を絞り込む手法として使われる。
利得表が(A,A)=(2,1)、(A,B)=(0,0)、(B,A)=(0,0)、(B,B)=(1,2)の2人ゲーム(調整ゲーム)における純粋戦略ナッシュ均衡の数はいくつか。
(A,A)では両者とも逸脱すると利得が2→0、1→0と下がるので均衡。(B,B)も同様に均衡となる。(A,B)と(B,A)は逸脱で利得が改善するため均衡ではない。よって純粋戦略ナッシュ均衡は2つで、ほかに混合戦略均衡が1つ存在する。複数均衡のどれが実現するかは理論だけでは特定できない。
需要曲線P=12−Q(Qは2社の生産量合計)、両社の限界費用0のクールノー複占で、各企業の均衡生産量はいくらか。
企業1の利潤は(12−q1−q2)q1で、最適反応はq1=(12−q2)/2。対称性からq=(12−q)/2を解くとq=4となる。市場全体ではQ=8、P=4。独占のQ=6と完全競争のQ=12の中間に位置することが確認できる。6は独占の生産量との混同である。
展開形ゲーム(逐次手番ゲーム)を解く際に用いる「後ろ向き帰納法」の説明として適切なものはどれか。
後ろ向き帰納法は最終局面の最適行動を先に確定し、それを見越して前の手番の行動を順に決める解法で、得られる均衡は部分ゲーム完全均衡になる。実行されるはずのない「信憑性のない脅し」を含むナッシュ均衡を排除できる点が利点である。参入阻止ゲームなどで応用される。
無限繰り返しゲームに関する「フォーク定理」の含意として最も適切なものはどれか。
将来の利得を十分重視するなら、裏切りに対する報復(トリガー戦略など)の脅しによって協力が支えられる。ただし協力「も」均衡になりうるというだけで、非協力均衡も併存し、必ず協力が実現するわけではない。均衡が膨大に存在するため予測力が弱いという理論的課題も指摘される。
経済学でいう「外部性」の定義として最も適切なものはどれか。
外部性は対価の授受なしに第三者へ影響が及ぶ現象で、公害などの負の外部性と、教育やワクチン接種のような正の外部性がある。市場価格に反映されないため、放置すると負の外部性は過大に、正の外部性は過小に供給され、市場の失敗の代表例となる。
私的限界費用がMC=Q、需要曲線がP=20−Qの市場で、生産1単位当たり4の外部費用が発生する。社会的に最適な生産量を実現する従量税(ピグー税)の水準はいくらか。
社会的限界費用はQ+4。社会的最適は20−Q=Q+4よりQ=8となる。限界外部費用4に等しい従量税を課すと企業の費用曲線がQ+4となり、市場均衡がQ=8に一致する。無税の市場均衡Q=10は過剰生産。8や10は最適生産量・市場生産量との混同で、税率は外部費用に合わせる点が要点。
「コースの定理」の内容として最も適切なものはどれか。
定理の下では権利配分は効率性に影響しないが、所得分配には影響する。重要なのは前提の強さで、コース自身も現実には取引費用が正であることを強調した。当事者が多数にのぼる公害問題などでは交渉が困難なため、ピグー税的な介入と交渉的解決のどちらが優れるかは状況に依存するとされる。
純粋公共財を特徴づける2つの性質の組合せとして正しいものはどれか。
非競合性は一人の消費が他者の消費可能量を減らさないこと、非排除性は対価を払わない者を排除できないことを指す。国防や灯台が典型例。非競合的だが排除可能な財はクラブ財、競合的だが非排除の資源はコモンズ(共有資源)と分類され、後者は過剰利用の問題を生む。
公共財の供給で生じる「フリーライダー問題」の説明として適切なものはどれか。
非排除性ゆえに支払いを回避しても消費できるため、自発的な負担が過小になり、市場では効率的水準より過小供給となる。リンダール・メカニズムなどの理論的解決策はあるが、選好の正直な表明を促すのが難しく、現実には税による強制的な資金調達が中心となる。
公共選択論などで「政府の失敗」と呼ばれる主張の内容として最も適切なものはどれか。
ブキャナンらの公共選択論は、政治家や官僚も自己利益で行動すると想定し、レントシーキングや規制の虜などを分析した。市場の失敗の存在は介入正当化の必要条件にすぎないという指摘である。一方、適切に設計された介入が厚生を改善した事例も多く、介入の是非は個別の制度設計の問題とされる。
「逆選択」と「モラルハザード」の区別として正しいものはどれか。
逆選択は取引相手のタイプ(中古車の品質、被保険者の健康状態など)が契約前に観察できないことから生じ、モラルハザードは契約後の行動(安全運転の怠りなど)が観察できないことから生じる。前者にはスクリーニングやシグナリング、後者には免責やインセンティブ契約が代表的な対応策となる。
アカロフの「レモン市場」モデルが示す帰結として最も適切なものはどれか。
中古車市場で買い手が品質を識別できない場合、価格は平均品質を反映し、良質車の売り手は割に合わず退出する。すると平均品質がさらに低下し、悪循環で市場が縮小する。保証・ブランド・第三者検査などの制度は、この逆選択を緩和する市場側の対応と解釈できる。
スペンスの教育シグナリング・モデルにおける教育の役割として最も適切なものはどれか。
分離均衡では高能力者だけが教育を取得し、学歴が能力の信号として機能する。この見方では教育投資が私的には合理的でも社会的には浪費になりうる。対照的に人的資本理論は、教育が生産性そのものを高めるとみる。実証的にはどちらの効果も確認されており、その比重を巡る論争が続いている。
情報を持たない側が複数の契約メニューを提示し、相手に選ばせることでタイプを識別する仕組みを何と呼ぶか。
保険会社が免責額の異なる複数の保険を提示し、リスクの高低で異なる契約を自発的に選ばせるのが典型例。情報を持つ側が先に行動するシグナリングと対をなす概念である。ロスチャイルド=スティグリッツのモデルでは、逆選択の下で均衡が存在しない可能性も示された。
保険契約におけるモラルハザードを緩和する仕組みとして最も適切なものはどれか。
損失が全額補償されると事故回避の努力をする誘因が失われる。免責・自己負担・実績に応じた保険料(等級制度)は、努力の成果の一部を本人に帰属させて誘因を回復させる仕組みである。完全な保険と強い誘因は両立せず、リスク分担と誘因のトレードオフが本質となる。
グリーンワルド=スティグリッツ(1986)が示した、情報の非対称性が存在する市場に関する理論的結果はどれか。
厚生経済学の基本定理が成立しない環境では、税や規制が原理的に厚生を改善しうることを示した結果である。ただし、政府も同様の情報制約に直面し介入にはコストも伴うため、理論的可能性が現実の介入の正当化に直結するわけではないという批判(シカゴ学派的立場)もあり、論争が続いている。
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