日本国憲法の「三大原則」は、国民主権・平和主義と、あと1つは?
- 基本的人権の尊重
- 三権分立
- 法治主義
- 地方自治
三大原則は国民主権・基本的人権の尊重・平和主義。三権分立は権力を分けて濫用を防ぐ「統治の仕組み」で、原則そのものとは区別されます。
くらしの法律・マナー
憲法・民法・刑法・労働法の基礎
拾ったお金、口約束、SNSの悪口。日常の出来事を入り口に、憲法・民法・刑法・民事訴訟・刑事訴訟・労働法の基本的な考え方を確かめます。各問の解説では、なぜその結論になるのかを条文や原則の名前とともに書いています。個別の事案は専門家にご相談ください。
日本国憲法の「三大原則」は、国民主権・平和主義と、あと1つは?
三大原則は国民主権・基本的人権の尊重・平和主義。三権分立は権力を分けて濫用を防ぐ「統治の仕組み」で、原則そのものとは区別されます。
憲法99条が「憲法を尊重し擁護する義務」を課しているのは誰?
憲法は国家権力を縛るルール(立憲主義)。だから守る義務を負うのは権力を使う側です。国民の三大義務(教育・勤労・納税)とは別の話。ここを混同すると憲法の役割を見誤ります。
「表現の自由」があっても許されないのは?
表現の自由(21条)も他人の権利との調整(公共の福祉)で制約されます。SNSでの暴露や誹謗中傷は名誉毀損罪・侮辱罪、そして高額の損害賠償のリスク。「言論の自由だから何でもOK」は通用しません。
憲法に書かれていないのに、13条を根拠に認められてきた「新しい人権」は?
幸福追求権(13条)を根拠に、プライバシー権や肖像権が判例で認められてきました。憲法制定時(1946年)に想定されなかった権利を補う仕組み。無断で顔写真を公開されない利益もここから。
国が出版前の本の内容を審査して発表を止めること(検閲)は?
検閲(21条2項)は例外のない絶対的禁止と解されています(税関検査事件)。事前に情報の流通を止めることは民主主義の土台を壊すから。裁判所による事前差止めは検閲とは別枠で、極めて厳格な要件つき。
外国人にも日本国憲法の人権保障は及ぶ?(マクリーン事件・最高裁)
判例は「権利の性質上日本国民のみを対象とするものを除き、外国人にも等しく及ぶ」としました。ただし在留の自由までは保障されず、在留更新で不利益に考慮されうる、というのがこの事件の厳しい結論。司法試験でも超頻出。
いま、何歳から「大人」(成年)?
2022年4月から成年は18歳に。18歳になるとローンやクレジット契約が一人でできる反面、「未成年だから」と契約を取り消せる保護(未成年者取消権)を失います。新成人を狙うマルチ商法・情報商材に要注意。
友だちとの「1万円貸すね」という口約束。契約として成立する?
契約は原則、口頭の合意だけで成立します(諾成主義)。書面は「後で証明するため」のもの。つまり口約束でも法的義務は発生します。ただし証拠がないと裁判で勝てない――これが現実のリスク。LINEの記録も立派な証拠です。
ネット通販で買った服。「クーリングオフで返品できる」は正しい?
クーリングオフは訪問販売や電話勧誘など「不意打ち」取引の制度。自分から申し込むネット通販は対象外です。返品可否は各店の返品特約次第(特約表示がなければ8日間送料自己負担で返品可)。「通販もクーリングオフできる」は最も多い誤解の一つ。
賃貸を退去。日焼けした畳の張替え費用は原則どっち持ち?
普通に暮らしてできる損耗(日焼け・家具跡)は賃料に含まれ済みで、原則大家負担。2020年の民法改正で明文化されました(621条)。敷金から当然に引かれたら国交省ガイドラインを引いて交渉を。故意・不注意の傷(タバコの焦げ跡等)は借主負担です。
2024年から義務になった相続の手続きは?
相続で不動産を取得したら3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象に(2024年4月〜、過去の相続分も対象)。所有者不明土地問題への対策です。放置すると相続人が雪だるま式に増えて手続き困難に——親族関係図メーカーの出番です。
2020年にできた「配偶者居住権」とは?
自宅の「所有権」を子が相続しても、配偶者は「住む権利」を取得して終身住み続けられる制度。所有と居住を分けることで、預貯金も受け取りやすくなります。遺産分割や遺言で設定し、登記が対抗要件。
「全財産を愛人に譲る」という遺言。配偶者や子は何ももらえない?
兄弟姉妹以外の法定相続人には遺留分=最低保障の取り分があり(配偶者・子は法定相続分の1/2)、遺言でも奪えません。侵害されたら「遺留分侵害額請求」で金銭を請求可能。ただし時効は知った時から1年と短いので即行動。
「借金は時間が経てば消える」。何年で消滅時効?(原則)
2020年改正で原則「知った時から5年・行使できる時から10年」に統一。ただし時効は自動では完成せず「援用」の意思表示が必要。逆に1円でも返済したり借金を認めると時効はリセット(更新)。督促を無視し続けるのも裁判を起こされるリスクがあり危険です。
「疑わしきは被告人の利益に」。有罪が確定するまで被告人は?
刑事裁判の大原則「推定無罪」。検察官が合理的な疑いを差し挟む余地がない程度まで立証して初めて有罪です。逮捕=犯人ではありません。実名報道された人を犯人扱いして拡散すると、あなたが名誉毀損に問われるリスクも。
道で拾った1万円札。そのままポケットへ入れたら?
占有離脱物横領罪(1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金等)。「拾っただけ」でも犯罪です。警察に届ければ報労金(5〜20%)を受け取れる可能性と、3か月経てば所有権取得の道も。ネコババは割に合いません。
殴りかかってきた相手を突き飛ばした。正当防衛になる条件は?
正当防衛(刑法36条)は「急迫不正の侵害」への「やむを得ない」反撃のみ。倒れた相手をさらに殴れば過剰防衛や暴行罪に。「やられたらやり返す」は復讐であって防衛ではない——この線引きを知らないと、被害者のはずが加害者になります。
SNSで有名人に「消えろ、バカ」とリプライ。問われうる罪は?
具体的事実を挙げずに罵倒→侮辱罪。2022年の厳罰化で1年以下の拘禁刑・30万円以下の罰金が加わりました(それまでは拘留・科料のみ)。事実を摘示すれば名誉毀損罪(3年以下)。さらに発信者情報開示→数十万円〜の民事賠償コースも。匿名は守ってくれません。
犯罪は「未遂」でも処罰される?
未遂処罰は例外で、殺人・強盗・放火など条文に「未遂は罰する」とある犯罪のみ(刑法44条)。例えば器物損壊に未遂罪はありません。さらに手前の「予備」で処罰されるのは殺人予備など、ごく一部です。
13歳の子どもが人にケガをさせた。刑罰は?
刑法41条により14歳未満(刑事未成年)に刑罰は科されません。児童相談所や家庭裁判所の保護の対象になります(触法少年)。ただし民事の賠償責任は別で、監督義務者である親が支払うことに。「子どものしたこと」では済みません。
60万円以下の金銭トラブルを原則1回の期日で解決できる制度は?
簡易裁判所の少額訴訟は60万円以下の金銭請求専用。原則1日で判決、手数料も数千円で、弁護士なしでも使いやすい制度です。敷金返還・未払い報酬・フリマトラブルの回収に。相手が異議を出すと通常訴訟に移ることは知っておきましょう。
民事裁判で「貸したお金を返せ」と主張する場合、証明するのは誰?
民事は「主張する者が証明する」が原則。証拠がなければどんなに本当でも負けます。刑事と違い警察は動いてくれません。お金の貸し借りは借用書・振込記録・メッセージを必ず残す——これが最大の自衛です。
「内容証明郵便を送れば強制力がある」は正しい?
内容証明は「いつ・誰が・何を送ったか」を郵便局が証明するだけで、法的強制力はゼロ。ただし請求の意思を示した証拠になり、催告として時効の完成を6か月猶予させる効果(民法150条)と、本気度を伝える心理的効果は大きい。差押えには判決などの債務名義が必要です。
裁判の判決に不服があるときの流れは?
第一審→控訴(第二審)→上告(第三審)の三審制。慎重に判断して誤りを正すための仕組みです。ただし上告は憲法違反や判例違反など理由が限定され、「不満だから」では受け付けられません。控訴期間は判決送達から2週間——過ぎると確定します。
警察の取調べで「話したくないことは話さない」ことは?
黙秘権は憲法38条の権利で、取調べでも法廷でも行使でき、黙秘を理由に不利益な扱いをすることは許されません。「黙っていると心証が悪い」という圧力に負けてウソの自白をすることが冤罪の最大の原因。まず弁護士(当番弁護士は無料)を呼ぶのが鉄則です。
警察が人を逮捕するのに原則必要なものは?
逮捕には裁判官の令状が原則必要(憲法33条・令状主義)。例外は現行犯逮捕など。家宅捜索や差押えも同様に令状が要ります。「任意同行」「任意提出」はあくまで任意——断れるものは断れる、と知っているだけで対応が変わります。
犯罪者を裁判にかける(起訴する)かどうかを決められるのは?
起訴の権限は検察官が独占し(起訴独占主義)、事情により起訴しない裁量もあります(起訴便宜主義・起訴猶予)。被害者が「訴えてやる!」と言っても刑事裁判を起こすのは検察官。不起訴に不服なら検察審査会に申し立てる制度があります。
日本の刑事裁判の有罪率が99%超といわれる主な理由は?
検察官が起訴便宜主義のもと、確実に有罪にできる事件を選んで起訴しているのが主因とされます。つまり「起訴されたらほぼ有罪」という運用。だからこそ起訴前の弁護活動(勾留阻止・不起訴獲得)が決定的に重要、というのが刑事実務の常識です。
2022年の少年法改正で18・19歳は何と呼ばれるようになった?
成年年齢18歳化に合わせ、18・19歳は「特定少年」に。少年法の保護は残しつつ、検察官送致(逆送)の対象拡大や、起訴された場合の実名報道解禁など、大人扱いに近づきました。「18歳になったら少年法で守られない場面が増える」と知っておくべき変化です。
少年が事件を起こしたら、事件はまずどこへ送られる?
少年事件は原則すべて家庭裁判所に送られます(全件送致主義)。家裁調査官が生い立ちや家庭環境を調査し(ここで親族関係図=ジェノグラムが活躍)、審判で保護観察・少年院送致などの保護処分を決めます。刑罰ではなく立ち直りが目的です。
少年審判の目的は「罰を与えること」である。○か✕か?
少年法1条は「少年の健全な育成」を目的と明記。審判は非公開で、処分も少年院送致・保護観察など教育的なものが中心です。重大事件は逆送されて刑事裁判になる例外も。「甘い」と批判もありますが、再非行防止のデータに基づく制度設計です。
法律で決まっている労働時間の上限(法定労働時間)は?
労働基準法32条の大原則。これを超えて働かせるには36協定(サブロク協定)の締結・届出と割増賃金が必要です。「うちは9時間労働が普通」を無条件に受け入れる必要はありません。まず自社の所定労働時間と36協定を確認しましょう。
残業(法定時間外労働)の割増賃金率は最低何%増し?
時間外は25%以上、深夜(22時〜5時)はさらに25%、月60時間を超えた分は50%以上(中小企業も2023年から適用)。「みなし残業代を払っているから何時間でも定額」は、超過分を払わなければ違法です。給与明細の内訳を確認する習慣を。
会社が「残業しろ」と命令できるのはどんな場合?
残業命令が有効なのは、36協定が締結・届出され、就業規則や労働契約に残業を命じうる定めがある場合。それがなければ命令自体が無効で、断っても懲戒はできません。また有効でも、育児・介護中の制限や、健康を害するレベルの命令は権利濫用として拒めます。
36協定があっても超えられない残業時間の上限(原則)は?
働き方改革(2019年〜)で罰則付きの上限に。特別条項を結んでも年720時間以内・複数月平均80時間以内・月100時間未満などの絶対ラインがあります。違反した使用者には6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。「上限なしのブラック残業」は法律違反です。
「明日から来なくていい」と突然の解雇。法律的には?
解雇は客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性がなければ無効(労働契約法16条・解雇権濫用法理)。手続き面でも30日前予告か解雇予告手当が必要。「解雇された=終わり」ではなく、撤回や地位確認、解決金を争えるケースは多い。まず労基署・労働局のあっせんへ。
アルバイトに有給休暇は?
週1日勤務でも6か月継続・8割出勤で有給は比例付与されます。さらに年10日以上付与される人には、会社側に年5日取得させる義務(違反は罰金)。「バイトに有給はない」は違法トークの定番。理由を言う必要もありません(時季変更権はあり)。
未払い残業代をさかのぼって請求できる期間は?
賃金請求権の時効は当面3年(法律上は5年に延ばす方向)。タイムカード、PCログ、シフト表、日々のメモも証拠になります。退職後でも請求可能。悪質な場合は同額の付加金の支払いを裁判所が命じることも。「辞めたから泣き寝入り」は不要です。
憲法の人権規定は会社と個人の関係(私人間)に直接適用される?(三菱樹脂事件)
最高裁は、憲法の人権規定は国家と個人の関係を律するもので、私人間には直接適用されず、民法90条(公序良俗)等の解釈を通じて間接的に働くとしました(間接適用説)。学生運動歴を理由とする本採用拒否が争われた超有名判例。
親殺し(尊属殺)を通常の殺人より極端に重く罰する規定を、最高裁はどう判断した?
1973年、最高裁史上初の法令違憲判決。刑の加重自体は許されても、死刑・無期のみという極端な重罰は不合理な差別で14条違反としました。実父からの性的虐待に耐えかねた娘の事件が背景。条文は1995年にようやく削除されました。
「既存の薬局から一定距離ないと新規開業できない」規制を最高裁は?
1975年の法令違憲判決。距離制限の目的(不良医薬品の防止)と手段の関連が乏しく、職業選択の自由(22条)を侵害するとしました。規制目的を消極目的・積極目的で分けて審査密度を変える「規制目的二分論」の代表例として司法試験頻出。
「健康で文化的な最低限度の生活」(25条・生存権)について判例の立場は?
朝日訴訟などで、25条は国の責務を宣言したもので、具体的な給付請求権は法律(生活保護法など)を通じて実現されるとされました(プログラム規定的理解)。ただし制度の後退や不合理な運用は裁判で争えます。生活保護の相談をためらわないことも大切。
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